お茶会の前に

マスター:ゆくなが

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2017/10/14 15:00
完成日
2017/10/19 02:19

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 少年は、水汲みに向かっていた。主人の命令でお茶会のための水、この辺りで有名な湧き水を汲むためだ。
 大きな水甕を抱えて少年は森の中へ入って行く。森に入るまでは、整備された街道となっている。少年も街道に馬車を置いてきた。
 少年にとっては通い慣れた道だった。お茶好きの主人のために何度も往復した道だった。
 でも、今回は少し、変だった。
 なんだか、騒がしい。
 人の声ではない。木々のざわめきでもない。まして湧水の染み渡る音でもない。
 生理的な嫌悪が滲み出す、いやな羽音の群れ。
 その音の原因は蜂だった。とても大きな、黒いボールが宙に浮かんでいるのではないかというほど密集した蜂の群だった。
 それが、3つ。湧水を取り囲むように巣を作っている。
 蜂が住み着いてしまったのだろう。少年は思った。よくあることだ。主人に相談すればきっと対処してくれる。
 少年は、じりじりと後退る。こう言う時は、相手を刺激しないようにゆっくりと立ち去るのが最善だ。そうして、ご主人に報告すればいい。主人は怖い人ではないから、死んでまで水汲みをしなければならぬとは言うまい。
 少年の目論見は正しい。それが、ただの蜂であったなら。
 その蜂たちも、少年を発見した。
 そして、彼らは、害意を示さない少年に向かって一直線に襲い掛かった。
 少年も事態を察した。このままでは、危ない。思わず手にしていた水瓶を蜂の群れへ投げつけた。それは、ひとつの群れに見事命中した。それにひるんだ蜂は一瞬攻撃の手を休めてしまう。
 少年は駆け出した。砕けた甕なぞ捨てておけ。とにかく、お屋敷へ戻らねばならない。
 それでも追いすがってくる蜂は、少年をいくつか刺したが、少年はあまりの興奮と恐怖のため、痛みに悶えている余裕などなかった。転がり落ちるように街道に飛び出し、運搬のために持ってきた馬車に飛び乗った。馬もその鋭敏な感覚で異常事態を察知していたらしい。興奮にぶるぶる体をふるわせながらも、主人である少年を待っていたのだ。
 馬車はすぐに走り出した。蜂も追いつけない速さで。
 斯くして、少年は無事にお屋敷へ帰り、これを聞いた主人がオフィスに雑魔化した蜂の駆除を要請した。なによりも、明日の美味しい紅茶のために。

「話は単純です。ある湧水の付近に住み着いた雑魔化した蜂を退治してください。この雑魔の出所は不明。別の場所で雑魔となったものがここに流れてきたのでしょう」
 オフィスの職員は淡々と話す。
「戦場となるのは、湧き水の近く。どうやら、紅茶に最適とかで、有名なところらしいですね」
 依頼の主であるお屋敷の主人は、退治できたあかつきにはハンターたちをお茶会へ招待したいと言っているらしい。
「それはともかく、」
 と、職員は話を区切る。
「有名な湧き水、ということで現場の破壊は望ましくありません。蜂を退治するために木に放火などもってのほかです。ですが、蜂の住み着いている巣はちょうど湧水の真上の一際高い木々にあります。そして、湧水の付近は木々が生えていることや自然由来の傾斜があることもあり、戦闘には不向きでしょう。さいわい、この湧水のある森に至るまでの道は補正され、馬車でも十分に通れるようです。どのように戦うかは、皆様におまかせします。
「敵は雑魔です。普通の食べ物には目もくれず、マテリアルを有するものを狙います。つまり、人間や動物を、です。
「ここで、さらに問題がひとつ。この蜂が襲った動物もまた雑魔と化して湧水の付近をうろついているのです。確認されているのはイノシシ2体です。もちろん、これも討伐の対象です。
「蜂の雑魔3群、イノシシ2体の討伐を、湧水付近を傷つけずに行うこと。これがあなたたちの任務です」
 オフィスの職員はそうして説明を終え、契約書を差し出す。そして付け足すように、
「ちなみに、お茶会はその湧水付近にあるちょっとした空き地で行うようです。おそらく、雑魔が住み着いたことにより負に偏ったマテリアルを浄化させるための、趣味と実益を兼ねた催しなのでしょう。強制はしませんが、参加されるのも一興かと」
 と言うのだった。

リプレイ本文

「それじゃあ、手前どもはここで失礼します。街道の入り口に坊主がおりますので、戦闘が終わりましたらお声がけくださいまし。何卒、ご武運のほど、お祈り申し上げます」
 湧水へ連なる細道の入り口で、依頼主であるお屋敷の主人が言った。
 別れ際、戦闘後のお茶会にハンター全員が参加することを告げると、主人は丸顔にいっぱいの笑い皺をつくって笑うのだった。
 暖かい昼の日差しの中、ハンターたちは今回の戦場に臨む。


「この後のお楽しみがないとやってられないですぅ」
 星野 ハナ(ka5852)が戦闘後のお茶会を想像し、破顔する。なにより、ハナはこの時のためにお菓子を持参してきたのだ。
 出陣前のハナの行動は以下の通り。
「私と一緒に蜂に刺されてもいい子はいませんかぁ? ……よぉしゴンちゃん、今日は一緒におでかけしましょぉ」
 放牧中の馬にハナが話しかける。ゴンちゃんとは、この馬−−−−ゴースロン種の馬にハナがつけた名前らしかった。
 ハナが連れてきた馬はハナ手製のお菓子を詰めた白い箱を乗せて、街道の入り口で屋敷の従者の少年とともに待機している。
「ええ。紅茶のためにも、雑魔などぱぱっと殲滅してしまいましょう」
 T-Sein(ka6936)もお茶会を非常に楽しみにしているひとりだった。
 そして、アリア・セリウス(ka6424)はこの地を訪れる人々や日々催されるお茶会を思ってそっと呟いた。
「継承こそ、私の誇り」
 大切なものを明日につなげるために、とアリアは言うのだった。
「じゃ、作戦を確認しておこうか」
 アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)が提案した。それにロニ・カルディス(ka0551)や久瑠我・慈衛(ka6741)も同意し、一丸となり最後の作戦会議が行われた。
「まず、湧水を傷つけちゃいけないらしいから、敵は街道までおびき寄せて戦うこと。そのための囮役は−−−−」
 アルト、ザイン、アリア、ロニ、慈衛の5人である、とアルトは続けるのだった。
「そうだな……」慈衛が囁くように同意する。「蜂は……星野さんに任せるとして、俺は猪連中を誘き出そう」
「俺も敵をおびき寄せ次第、蜂退治に加勢する。よろしくたのむぞ」
 ロニが戦闘中の流れを確認する。それ受けてハナは、
「ハぁイ、了解ですぅ!」
 と元気に頷くのだった。
「良い木が生えているね……都合が良さそうだ……」
 慈衛は周囲を見渡して満足そうに言うのだった。

 5人のハンターたちは街道から湧水へいたる細道を登って行く。足元は木の根が脈打っており、足場がとても悪かった。
 ロニが先陣を切って歩きやすい道を示す。
「湧水に、蜂の巣……きっとあれだね」
 まだ距離はあり、木々の枝葉で視界は良好ではないがアルトの鋭い視力は的確に敵の根城を捉えていた。
 湧水付近に生える木々にできた、蜂の巣とその周りを忙しなく飛び交っている蜂の群れ。
「イノシシも−−−−1体は木の根元にいるね」
「もう1体は左側にいるわ」
 アリアが情報を補足する。彼女は視覚ではなく聴覚を澄ませて周囲を探っていた。
「では、戦闘の時間だな」
 ロニの言葉とともにハンターたちの緊張が一気にはりつめる。
「誘き出せたら、『いつものやり方』で仕留める」
 −−−−戦闘中、性格がガラリとかわるものがある。
 アルトは冷淡に。慈衛は人見知りが一転して冷徹に。そして、もうひとり−−−−
「−−−−殲滅執行」
 ザインの白い肌が褐色に染め変えられた。そして、ザインは手近な湧水付近にいたイノシシに縮地を使って接近し、挑発を兼ねた拳を放った。
「取り敢えず喰らっとけ、木偶」
 それどころか、性格も口調も荒々しいものに変化していた。
 続いて、アリアがルーンソードをザインが狙ったのと別のイノシシに向けて放った。
「喪わせぬ為に、私は戦うわ」
 それらの攻撃で、蜂もイノシシもハンターたちに気がついた。
 蜂は巣からわらわら湧いてきて、3つの集団を作る。そのひとつに一際大きな蜂−−−−女王蜂がいる集団があった。女王蜂はうるさい羽音をたてて味方を鼓舞する。
「現れたな、無粋な歪虚ども。殲滅してやるから、かかってこい」
 ザインの言葉をうけて、敵も攻撃を開始した。
 ハンターたちは足場の悪い中、湧水を傷つけないように立ち回る。
「ハチ! 敵の気を引いてくれ!」 
 慈衛はデリンジャーを発砲しつつ、同行させた狼のハチを使って敵の注意を引きつける。
 イノシシたちは湧水が自分のテリトリーだと言わんばかりに、ハンターたちをそちらへ押し込まんとする。しかしハンターたちも、背後に木が来るようにすることで後退を最低限に防いでいた。
 やがて、街道で待機するハナが見えて来る。
 ハチは、戦闘の邪魔にならないように近くの茂みへ姿を隠した。
「きましたねぇ! ピカっと行きますよぉ」
 待ち受けるハナはマテリアルによる防御膜を展開し、そして、眩いばかりの光の符術を紡ぐ。
「回避半減、光でぶわっと殲滅、五色光符陣最高ですぅ」
 その輝きは蜂の目をくらませた。
「さぁ、我慢比べの始まりですよぅ」


「さて、こっちも本気を出させてもうらおうか」
 アルトは、湧水を傷つけないように、わざと敵の攻撃を受けていた。しかし、ここまで−−−−街道までくれば、邪魔な木の根も傷つけてはいけない湧水も関係ない。
 イノシシたちは、なおもハンターたちを湧水の方面へ押し込もうとするが、それをアルトはひらりとかわし、すれ違いざま斬りつける。
 アルトの体は加速する。残像を作り出し、重鈍なイノシシでは捉えられない速さまで。
 しかし、敵は2体だ。イノシシどもは、アルトを囲んで得々と突進のタイミングをはかっている−−−−が、その刹那、この季節にはまだ早い白雪が舞い込んだ。
 否、雪ではない。アリアが覚醒したために纏った、白雪のようなマテリアルだった。
 アリアは舞うように戦場を駆け抜ける。その軌跡にいたイノシシどもの体にはいつの間にか無数の傷跡ができていた。
「白い斬撃っていうのも、綺麗なものだね」
 と、アルトがアリアに言う。
「あなたの紅蓮のマテリアルも、とても綺麗よ? 範囲攻撃は任せて。まとめて雪花と散らしてあげるわ」
 アリアが、蛇のように縦長になった虹彩の瞳で、敵を見据える。
 2人は背中合わせに、イノシシと対峙する。
 紅蓮の焔のマテリアルと、白銀の雪のマテリアル、そのふたつが絡み合い、自然にはありえない美しい戦絵図を作り出した。

 女王蜂は、ぶんぶんと生理的に不快な羽音をたてる。その度に、働き蜂たちはより凶暴にハンターたちに突進して行く。
「ひゃああ、気持ち悪いですぅ! あいたっ、刺されましたぁ!」
 ハナの視界を遮るように蜂が飛び回る。続いて、もうひと群れの蜂がハナをちくりとさすのだった。しかし、魔法の防御膜のおかげでダメージ自体は高くない。
「蹴散らしてやりますぅ!」
 ハナは周囲の蜂を巻き込むようには五色光符陣を放った。
「まったく、小うるさい虫どもだ」
 ロニは、ジャッジメントを、ハナから少し離れた場所にいる女王蜂の群れに打ち込むも、いったん群れを散り散りにすることで避けられる。しかし、続いて放たれたセイクリッドフラッシュは働き蜂もろとも焼き尽くした。
「ハナ、大丈夫か?」
「うぅ、マテリアルアーマーが仕事してくれましたぁ−−−−ようし、こうなってもならなくても、蜂歪虚全ブッコロ!」
 一際強力な五色光符陣が蜂どもを覆い尽くした。

 イノシシは、アルトとアリアに切り刻まれながらなおも突進を繰り返す。
 アリアはその突進をまともに食い、背後の木へ叩きつけられた。
 もう1体のイノシシもアリアへ突進しようと、爪を地面へ打ち鳴らすところへ、声が降ってきた。
「静かに、一気に、狩る。喰ワレルノハ、オマエダ」
 声の後半から雰囲気がガラリとかわっているが、確かに慈衛のものだった。
 イノシシが、はてなと周囲を確認するよりも早く、木から飛び降りた慈衛の斧が背中に突き刺さった。
 イノシシはよろめきながらも、慈衛を吹き飛ばそうと姿を探しまわるが、そうこうしているうちに、再び斧で切りつけられる。
「ナンテ、簡単ナ獲物ナンダ……コレデハ故郷ニイタ奴トカワラナイ」
 声を仮面の向こうから響かせる慈衛。
「デモ慎重ニ、確実ニ狩ロウ」
 蛇のような刃が、イノシシに狙いを定める。

「この死に損ないが。とっとと、寝てしまえ」
 ザインが荒々しい文句とともに、イノシシへ拳撃を打ち込む。ザインは、敵に吹き飛ばされようが、距離を取られようが、縮地で瞬時に間合いをつめるのだった。
「硬い体をしやがって。なら、砕けるまで砕くだけだ」
 気を練り上げた、防御を無視する渾身の一撃がイノシシに直撃する。
 そして、
「まったくだ。そろそろ終わりにしよう」
 赤い糸のつけられた手裏剣がイノシシに突き刺さる。その先には、陽炎を纏ったアルトがいた。
「おまえに死を結んでやろう」
 その赤い糸を伝って、アルトが跳躍する。瞬時にイノシシに接近し、アルトは長大な刀を抜きはなった。
 一太刀、二太刀。
 目にも留まらぬ疾さで敵を斬り刻む、守りすら許さない精緻な斬撃。
 それは、イノシシの死によって爛れた体に、最期、綺麗な血の華を咲かせた。
 イノシシはそれきり、動かなくなり、塵に還元されていくのだった。

 蜂は残り2群だった。女王は未だ健在である。
 蜂は、ロニのジャッジメントで思うように動けなかった。
 それにハナの五色光符陣が放たれ、蜂の視界を阻害する。
「こちらも、そろそろ終わりにしよう−−−−せめて聞け、鎮魂の歌を」
 ロニがレクイエムを歌いあげる。
 それは街道に響き渡り、蜂の羽音が鈍った。
 その隙を、ロニのセイクリッドフラッシュが焼き尽くす。
 まばゆい光が街道を埋める。
 そして、光が消失した後、蜂たちの姿も消え去っていたのだった。

 ロニの歌声は、イノシシも範囲に収めていた。
 イノシシは痙攣して、刹那足を止める。
 アリアの剣がひらめいて、前足を切り落とした。
 続いて慈衛の刃が強襲し、斧がイノシシの脳天に振り下ろされる−−−−それが、留めだった。
「喰ラッテヤッタゾ」
 最後に慈衛が敵に告げる。
 イノシシはやはり塵となって空中に霧散していった。
「さすがに長かったですよぅ……お菓子が待ち遠しいですぅ~」
 と、ハナは言った。
 戦闘が終わったのだ。


 湧水付近の蜂の巣を確認すると、敵を倒した影響からか、すでに巣は露と消えていた。
 ロニがピュリフィケーションを施して、負のマテリアルを祓う。
 それが終わってから、ハンターたちは、街道の入り口でハナの馬と待機していた屋敷の従者である少年に依頼達成の報告をした。
 彼は、喜び勇んでお茶会の会場である湧水付近の小さな空き地にハンターたちを誘導する。そこは、湧水の音が聞こえ、頭上を木々の天蓋が日差しを柔らかく遮る、憩いの場所だった。
 屋敷の主人や従者たちは手際よく机や椅子、野点の道具などを運び込み、程なくしてお茶会の準備ができた。
「あのぉ、お菓子を作ってもってきたのでぇ、よろしければどうぞぉ」
 と、ハナが持参した白い箱の中身を開陳する。箱を開けた途端、バターのいい香りが鼻をくすぐった。それもそのはず。そこには、カップケーキやロールケーキ、マフィンといった紅茶にとても合うお菓子がふんわりと並んでいたのだ。
 主人はとても喜んだ。だって、お茶会を楽しみにしてくれて、さらにそれに彩りを添えてくれる人をホストが歓迎しないはずがないのだから。
 テーブルの上には、銀色のティーポットで紅茶が蒸らされ、好みに合うように、ミルク、砂糖、ジャムが置かれている。お菓子はハナの差し入れと、屋敷の主人が用意したスコーンやパイにケーキそしてクッキー、クロテッドクリームや、バターなどが所狭しと並んでいる。紅茶は、ミルクに合うもの、ストレートがいいもの、ハーブティなど様々なお茶がかわるがわる登場する。器も凝っており、花の模様が描かれた陶器に、くり抜きの木の器など、主人自慢のものが使われていた。
 また、主人は、ハナの馬のゴンちゃんや、慈衛の狼のハチにも動物用の食事を振る舞った。
 ハンターたちは、それぞれのスタイルでお茶を味わう。
 アルトは、言葉は少ないけれど、美味しそうに紅茶を味わっている。同時にまだ敵の気配がないかどうか、そっと周囲に気を配っていた。
 ザインは、紅茶がとても好きらしく、ひたすら紅茶を飲み続けていた。また、今回の依頼はほとんどが知り合いで、雑談にも花を咲かせていた。ハナとは初対面らしく、軽く挨拶を交わし、ぺこりとお辞儀をした後、やっぱり楽しそうにおしゃべりをしていた。なにせ、ハナの作ったお菓子はとてもおいしかったのだ。
 ロニも、おいしいお茶を飲む機会は少ないので、この時を十分に堪能していた。
 慈衛は、戦闘中の冷酷な雰囲気はすっかりなくなって、お茶やお菓子を楽しんでいた。
 アリアは、お茶を飲みつつ、主人と話し込んでいた。この土地の由来や地形を尋ねているのだ。なんでも、この土地ではお茶会は日常的に行われること。また、主人お気に入りのお茶を分けてもらった。
「−−−−こういう温かくて、柔らかな日常を、続けたいものね」
 ぽつり、と陽光にとける淡雪のような切なさでアリアは呟いた。
 アリアにとって、継承は剣や技などの強さだけではなくて、優しさや温もりも、同じく受け継がれるべきものだった。
 いま、ハンターたちは、目の前にいる愛想のいい丸顔の−−−−世界にとってはさほど影響をもたらさない屋敷の主人の、明日の紅茶という日常を守った結果に立ち会っていた。
 ハンターたちの直面する、血なまぐさい世界から少し外れたあたたかなひと時。
 いつしか時は過ぎ、テーブルの上にあったお茶やお菓子はすっかりなくなってしまった。楽しい時は、すぐに、過ぎてしまう。
 お茶会の後には、紅茶のような澄んだ夕日が空を染めていた。

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重体一覧

参加者一覧

  • 支援巧者
    ロニ・カルディス(ka0551
    ドワーフ|20才|男性|聖導士
  • 茨の王
    アルト・ヴァレンティーニ(ka3109
    人間(紅)|21才|女性|疾影士
  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナ(ka5852
    人間(蒼)|24才|女性|符術師
  • 紅の月を慈しむ乙女
    アリア・セリウス(ka6424
    人間(紅)|18才|女性|闘狩人
  • 強襲の蛇
    久瑠我・慈衛(ka6741
    ドワーフ|18才|男性|疾影士
  • 狂える牙
    冷泉 緋百合(ka6936
    オートマトン|13才|女性|格闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
アリア・セリウス(ka6424
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2017/10/14 13:08:57
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/10/13 08:13:42