ねずみのくにから

マスター:御影堂

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2014/11/22 19:00
完成日
2014/11/29 20:28

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング


 王国南部に位置するとある貴族領。
 問題のお屋敷は、領の山麓近くにありました。
 木造二階建て、左右対称のゴシック風建築です。
 
 都会の喧騒から離れ、静かに過ごすにはもってこいの物件といえます。
 もとは、この領を統治する貴族の別邸でした。
 数代前までは、パーティなどに使用していたらしいのですが、今では忘却の彼方。
 すっかり忘れ去られたこの屋敷を、現当主が偶然見つけ出しました。


「改修するにしても、解体するにしても一度確認せねばなるまい」
 そう領主は述べて、自ら出かけようとしたのであるが。
 そのような埃臭いところへ、行かせるわけにもいかない。
 執事長から執拗に注意と説得を受け、領主はむっと顔をしかめた。
 言い過ぎたかと思った次の瞬間、領主は執事長を指さして告ぐ。
「ならば、お前が行けばいいではないか。貴重な品を他人に触らせたくはないだけだ。お前なら、許す」
「え」
 驚いている間にも、領主は執事長が赴くためにスケジュールを組み直していた。
 自業自得とはいえ、背に腹は代えられない。
 領主に何か起こるよりはマシかと、執事長は断念する。
「そうそう、念のため衛士と土木関係の者も同行させよう」
「ありがたき、幸せ……」
 乗り気はしなかったが、しぶしぶ用意を整えるのだった。


 問題の物件、と言いたくなるほど、その建物は古びていた。
「劇的な改修工事が必要ですな」
 執事長は蔦まみれの外壁に触れ、ため息をつく。
 一から建てたほうが安くつくのではないかと土木関係者に問うが、中の様子を見てみなければ何ともいえないという。
「旦那、早くしやしょう」
「急かさないでいただきたい。心の準備というものが……」
 怖がりな性格の執事長は、扉の前を往復するばかり。
 業を煮やしたのは、衛士だった。
「入りますよ」
 サクッと言ってのけ、サクッと鍵をあけて、扉を開く。
 古めかしく重たい音が、時代を感じさせた。
 手を離せば、メッキの剥がれた取っ手のサビがついていた。
「これは、相当ですね」
「あぁ、入るのなら、言ってくださいよ」
 サビを扉にこすりつける衛士に続けて、執事長も続く。
 土木関係者も入ったところで、室内を見渡した。
 無駄に広いエントランスホールは、窓に蔦が絡みついているためか、昼間だというのに光量がない。
 足元は、ところどころ芝生のごとき、カビが生えている箇所すらある。
 高級そうな絨毯も、埃とカビで何が何だかわからない。
「こりゃ、解体しましょう」
 壁の様子や柱の様子を見ながら、業者が言う。
「風化の影響か、変に削れ……ん?」
「どうされました?」
「いや、これは風化というより、ネズミか何かの噛み跡のような」
 それにしては、あまりにも大きすぎる、歯痕が見える。
 大人の腕ならば噛み砕けそうなほどの、大きさになる。
「そんな大きなネズミ、現実にいるわけないでしょう」
 ハハハと空笑いを浮かべ、執事長は震え声でいう。
 そうですよねと答える土木関係者も、心なしか元気がない。
「と、思うでしょ。下がってください」
 一人、衛士が冷静に二人に告げる。
 指差す先にランタンの光を向ける。複数の赤い瞳が見えた。
 耳には、野太い声のチューチュー大合唱が聞こえてくる。
「ハハハ。なるほど、早くもこの調査は終了ですね」
「笑っている場合か。逃げるんだよぉお!!」
「少しは落ち着いたらどうなんです、っと、こっちに向かってきたな」
 慌てふためく二人を扉から突き飛ばし、自身も素早く退出する。
 扉を閉めると、バンバンと叩く音が二、三回聞こえたが、開けては来なかった。
 しっかりと鍵を閉めて、土木関係者がカンヌキを即席でつける。
「こ……これは、調査云々ではないですね」
 執事長はもはや笑うしかないという表情で、空を見上げていた。

 報告を聞いた領主は、すぐさま、ハンターオフィスへ馬を走らせるのだった。

リプレイ本文


 その建物は、廃屋と一概にいうには、立派な門構えをしていた。
 かつては美しかったであろう外壁は、風に晒され、触れば崩れそうな部分すらある。
「ふむ、ちょっとの衝撃でも崩れそうじゃな」
 クラリッサ=W・ソルシエール(ka0659)は手についた粉を払いながら、懸念を示す。
 建物の破損にも注意とあったが、魔法の行使には気をつけたほうがよいかもしれない。
 逆に言えば、これだけ古い屋敷ならふさわしい歴史と物語がありそうだ。そう思うのは、エルティア・ホープナー(ka0727)だ。
「自然に溢れた静かで良い場所ね……でも、埃と獣臭いわ」
「廃屋敷に鼠、当たり前な取り合わせはありますが」
 合わさると面倒だと語るのは、アデリシア=R=エルミナゥ(ka0746)だ。
「屋敷の見取り情報ももう少し欲しかったところですが、まあやむをえないでしょう」
 アデリシアは、小さくため息をつく。現当主が運よく発見したからこそ、でてきた屋敷だ。いろいろと資料をあさってみたが、図面一つすら見つからなかったらしい。
 外側から見ただけでも、それもやむなしと思えてくる。
 エイル・メヌエット(ka2807)は、感慨深く感想を述べる。
「忘れ去られたお屋敷が、淋しさから何かを喚び寄せちゃったのかもしれないわね」
 皆の話を聞きながら、少し離れた位置にいる不知火 陽炎(ka0460)は、真面目な顔で考える。それならば、ネズミごと建物を壊したらどうだろう、と。
 だが折角の機会でもある。「暗所室内戦闘の経験」を蓄えるには、ちょうどよかった。機導剣や、防御障壁が暗所でどのように見えるのか等、参考にしてみたくもある。
 むしろ、今回の依頼は、得意かもしれないと早くも息巻く者もいた。
 リサ=メテオール(ka3520)である。
「いざ、ネズミ退治だよ」
「ただでさえネズミは厄介だしね。頑張って倒すわ!」
 握りこぶしを作って、メーナ(ka1713)がリサに応える。
 自身の鉄扇にシャインをかけて、光源を作る。同じくシャインを行使するものもいれば、LEDライトを用意するものもいた。
 囮役のミィリア(ka2689)は、腰にLEDを下げておく。
「準備完了ですね」
 もう一人の囮役、アデリシアが自身にプロテクションをかけたのを確認し、陽炎が扉に手をかけた。ギィっと嫌な音をたてて、開いた扉から一気に突入する。


「うわわわ、やっぱり荒れ放題でござる……」
 腰のライトを頼りに、右側の壁にそってミィリアは駆けていた。
 足元もところどころ、床が荒れているところもある。壁は外側よりはましだが、痛みを感じさせる。
 転がっているモノや、割れたのであろう何かのかけらに注意する。
 ここまでくると、元メイドのミィリアとしてはうずうずしてくるものがある。だが、まずはネズミを駆除しなければ何も始まらないのだ。
 その後ろを、クラリッサと陽炎が追う。
 右側はこの三名が班を組んでいた。
 囮役を担うミィリアは、隣の部屋につながる扉より手前で立ち止まる。
 エントランスホールの中央部から、足音が聞こえていた。
「そろそろ、接触するのじゃ」
 伝話を通じて、他のメンバーに通達する。

 一階一班の準備が整うのと同じくして、アデリシアも隣部屋につながる扉付近で立ち止まった。やはり中央付近から、近づいてくる気配があった。
 壁に背を預け、片膝立ちでアデリシアはじっとする。
 いかに大きくなっていようと、ネズミごときに遅れを取る訳にはいかない。周囲をしっかりと警戒し、暗闇で目を凝らす。
 距離を離して、中央側からメーナが様子を見守っていた。そのやや後ろを、エルティアが行く。この三名が、一階を担当するもう一班である。
 残るエイルとリサは二階へ行くべく、メーナの後ろに着いていた。
 敵が十二分に、一階担当に引きつられたら、駆け上がる算段である。
「昼間でも全然光が入らないのね……シャインがすごく明るく感じるわ」
 メーナが唸る。
 夜目を利かすべく、片目を閉じていたのだが室内はともかく、持っている鉄扇が眩しく見えた。できるだけ、光源自体に目を向けないよう注意する。
「これだけボロボロだと、警戒する場所が多いね」
 前後左右警戒していると、どこかから鳴き声が聞こえてくる。
 リサはその鳴き声に惑わされないよう、気を貼り直した。


 白亜のカイトシールドを構え、ミィリアは腰に下げたLEDを揺らめかす。
 女の子にこのような表現をするのは、非常に心が痛むのだが、アンコウの疑似餌のようである。事実、それはおびき寄せるための罠なのだ。
「さ、どーんと来いでござるっ! ミィリアがぜーんぶ受け止めてあげちゃう!!」
 その宣言通り、どーんとネズミたちが突撃してきてくれた。
 まるで鼠色三連星のごとく、波状攻撃で畳み掛けてきたのだ。
「う、これはきついでござる」
 タイミングを外され、体勢を崩したところに二体目、三体目がくる。
「障壁を!」と陽炎が、かろうじて一度障壁を与える。グッと耐え切ったところで、三体のネズミが目の前に出現していた。
 向こうの方でも、戦闘音が響く。どうやら同時に、端緒が開かれたようだ。
「さて、眠ってもらうとするかのう」
 手をかざし、ミィリアを狙うネズミどもに青白いガスを浴びせる。
 一瞬、動きが鈍ったものの頭を振って振り切るものもいたが、一体は眠りについた。
 起きているネズミは、一体は続けてミィリアに、もう一体はクラリッサめがけて飛び出した。
「そうは、させません」
 割って入るように陽炎が盾を広げる。機導術によって動かされた盾が、ネズミの突撃を防ぐ。
 返す刀で、陽炎は機導剣を振るう。光が一瞬、室内で煌めいた。
 ネズミはその光には飛び込まず、距離を取る。だが、その動きは集中して見ていたクラリッサに捉えられていた。
「眠っても可愛げはないのう。起きていればなおさらじゃ」
 放たれた風刃がネズミを襲い、その身を刻む。
 いかに大きくなっているといえど、集中力からひねり出された強力な一撃は耐え難い。
 ボロ雑巾用になって、床に倒れ込んだ。
「さて、こちらは三体中一体を撃破したところじゃが」

 伝話の先、エイルはそのことを即座にメーナに伝えた。
「こっちも三体って伝えて!」
 向かって来る一体に鉄扇を広げ、押し返すように受け流す。
 力が揺らされたネズミは、痺れる身体を動かせない。
「攻撃は最大の防御って言うけど、防御こそ最大の攻撃だと思うの!」
 キッパリと言い切ると、エイルに目配せする。
「大丈夫。 落ち着いていきましょう」と、階段へ向かう道筋を開けて、移動を促す。
 二人が通りすぎたのを確認すると、メーナは鉄扇を閉じて攻撃に転じる。
 三体と彼女はいったが、残る二体はどこにいるのか。
「いかに大きくなろうと、鼠ごときに遅れは取らぬ」
 向かって来るネズミを一体は盾で受け止め、一体は受け流してアデリシアは毅然と言い切る。
 短剣でネズミをなぎ払い、注意深く周囲を見渡す。
「これだけの群れならば、司令塔が」
 いるはずだと思っていたが、むしろ烏合の衆なのかもしれない。
 目に飛び込んできたものへ、とりあえず飛び込んできているようにも見えた。
「鼠ってこんなに大きくなるのね……でも、夢の国には程遠いのが残念かしら?」
 エルティアは、そんなネズミたちを目を細めて見やる。
 メーナが二階組を通り抜けさせようとしている意図を汲み、弓を射る。
 ネズミの挙動を抑えれば、より仕事は容易くなるだろう。
「貴方達の紡ぐ物語は単調過ぎて面白味に欠けるわ。やはり人の紡ぐものこそ、おもしろい……」
 弓を避けながらも、メーナに背後から討たれたネズミにそう声をかけるのだった。


「早速お出ましというわけね」
「思ったより上手く釣れたね」
 エイルがエア・スティーラーを構える間に、リサはライトを片す。
 廊下の先にロープをくくった光源を投げ、釣りの要領で敵をおびき寄せたのだった。
 エルティアの文句ではないが、あまりにも単純である。
「一体なら、そのまま倒すわよ」
「わかったよ、任せて」
 エイルが銃声を響かせている間に、リサが潜り込む。
 サーベルを閃かせ、ネズミを切りつける。その隙間を縫うように、弾丸がネズミを襲う。
 即席ながら連携のとれた動きを前に、ネズミが出来たのは、わずかばかりの歯型をリサの黒手袋のつけることだけであった。
「改めて……と」
 リサはドアストッパーになるものを各部屋に挟み込んでいく。ドアの間隔からして、各部屋はそれほど広いというわけではなさそうだ。
 仕掛けを終えれば、一部屋ずつ処理するだけだ。
「開けるよ―」
 錆びついた音を立てて、扉が開く。光をさし込むが、物音一つしない。
 覗きこめば、古びた風景が映るばかり。
「次ね」とエイルが告げて、リサが頷く。2つ目の部屋は、光を当てた瞬間に動きがあった。
 ドタドタという足音が聞こえ、タイミングを合わせて刃を突けば、鳴き声が上がった。
 ドアを開けて、エイルが頭を狙って銃撃をかます。
「確実に、終わらせるわよ」
 伸びきったネズミが、その声に答えることはなかった。
 三つ、四つと開けていき、部屋を探るさまはまるで盗賊。
 リサはそんな今回の捜索を楽しんで行っていた。
「どんどん開けて、どんどん調べようっと」
「気をつけてよ」と調子のいいリサにエイルはそれとなく、釘を刺す。
 大丈夫というリサの予想より早く飛び出してきたネズミに、ホーリーライトをぶつけ、エイルはほらというのだった。


「大丈夫ですか? 次に行きますよ」
 アデリシアは、メーナを柔らかい光で包む。そして、自身は防御を高める光を纏った。
 エントランスの敵は倒せたであろうというのが、クラリッサらの班と意見を交わした結論だった。
 二階は、二階班がまだ対処しているが手際の良さそうな二人のことだ、それほど時間はかかるまい。
「今度はこっちね」
 エルティアの指差す先には、左の広間へ続く扉があった。
 メーナが扉に手をかけ、アデリシアは先と同じように盾を構えて中へ押し入った。
 アデリシアへ向かって、丸々としたネズミが二匹突進をかましてきたが、まもりを固めていた彼女を打ち崩すことはできない。
「これしきで、倒されるとでも?」
 一方はアデリシアから返す刀で一撃を喰らい、もう一方はメーナの鉄扇で弾かれて動きを止めていた。
「狩場で獲物を逃がすなんて、そんな情けない事できないわ?」
 アデリシアへ向かっていたネズミは、敵わないと判断したのかキッと踵を返そうとした。封鎖された屋敷とはいえ、暖炉や物陰に隠れられては厄介だ。
 エルティアが的を縛り、弓を射る。足を狙い、動きを防ぐ。
 逃げる、という判断をしたのはこの個体が初めてだったが、アタマというほどではなさそうだった。
「烏合の衆は、烏合の衆ということか」
 あるいは、他のところにいるのかもしれないが。残念そうに告げて、アデリシアは刃を振るう。
 するりと避けるも、エルティアの矢が首元に刺さり、トドメとなった。
「あんたの相手は私よ!」
 メーナもまた、閉じた鉄扇を棍のように振るって応戦する。動きを封じた相手に的確な打撃を与え、とどめを刺す。

 眠りについていたネズミも倒し、クラリッサたちもまた、右の部屋を捜索していた。
 ドアを開けた隙間から、ペンライトを投げ込み、陽炎は敵の分散を図る。
 かたかたという音が奥の方で、なったのを確認して再びミィリアが囮として突入した。
「さぁ、今度もドンと来るでござるよ!」
 奥に行ったのは一体、部屋の中にはもう一体のネズミがいた。
 ミィリアは言葉通り、ネズミをドンと受け止める。
 陽炎が機導剣を振るい、クラリッサが風刃を放つ。
 すらりと避けるネズミを、ミィリアが守りの姿勢を解いて追う。強く踏み込み、大きく振りかぶっての一撃。
「お屋敷をガジガジしちゃった悪い子にはお仕置きでござる! 壊したらメッなんだから……!」
 押し倒すように放てば、ネズミも足を滑らせる。
「終わりです」
 陽炎が静かに告げた時には、ネズミは床に転がっていた。
 残る一体が、三人の気配に気づいた時には、全てが終わっていたのである。


「しかし、可愛げのないネズミじゃったな」
 クラリッサは、ペンライトで室内を照らして、残党がいないかを確認していた。
 それにメーナはうーんと唸る。
「ネズミって畑のお野菜は荒らすし天井走り回るし家具は齧るし、昔から迷惑してるのよね……可愛げ?」
 可愛げなんてあったかなと、小首を傾げる。
「ネズミに可愛げを求めるのも妙な話かのう」
 ネズミの仲間には、可愛げのあるものもいるのだが。本元のネズミにはないというのも、可哀想なものである。
 ネズミが残っていないことを確認すると、二人はエントランスへと引き返した。
 そこへ、再度二階の部屋を確認しにいっていた、エイルとリサが戻ってくる。
「こっちは大丈夫だったわよ」
「隈なく探したから、間違いないよ」
「それにしても」とエイルは言う。
「解体するにせよ、ちゃんと当主さんの手に渡してあげられそうでよかったわ」
 戦いによる損傷は、予想以上に少なくて済んだ。
 囮作戦が功を奏した結果といえよう。
「いい実戦経験がとれました」と陽炎が語るのも、うなずける。
「吝嗇もすぎればよくないといういい見本でしたね」とアデリシアは漏らす。だが、見回ってきた一同と、少し毛色が違い、この空気を味わうものがいた。
 エルティアだ。
 傍らでは恐る恐る着いて行っているミィリアが声をかけていた。
「何か物を壊しちゃったりする前に、ささっと帰ろうよ」
「手は触れないわ」
 だから、大丈夫よとミィリアに告げる。
「貴方達はどんな物語をここで見てきたのかしらね……」
 エルティアは昔を思いやるように調度品を眺め、空気を感じていた。
 ミィリアはうっかり壊して、怒られたらどうしようと戦々恐々だ。
「見回りは、終わったわよ。問題なし」
 エイルが声をかけると、名残惜しそうにエルティアは部屋を見渡して、
「わかったわ。私も充分よ」と告げる。
 その声にミィリアが安堵したように大きく息をつく。
 それじゃあ、帰る、でござる、と口調を思い出す。
「すっかり埃っぽくなっちゃったから、お風呂にも入りたいでござるねっ」
 このミィリアの意見には、頷くものも多かった。
 
 屋敷が解体ではなく基礎を残して、改修すると決定されたのは、しばらく経ってからの事だった。新たな歴史が、この屋敷に刻まれるのもそう遠くはないだろう。
 

依頼結果

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MVP一覧

  • 物語の終章も、隣に
    エルティア・ホープナーka0727
  • 春霞桜花
    ミィリアka2689

重体一覧

参加者一覧


  • 不知火 陽炎(ka0460
    人間(蒼)|20才|男性|機導師
  • 風の紡ぎ手
    クラリッサ=W・ソルシエール(ka0659
    人間(蒼)|20才|女性|魔術師
  • 物語の終章も、隣に
    エルティア・ホープナー(ka0727
    エルフ|21才|女性|闘狩人
  • 戦神の加護
    アデリシア・R・時音(ka0746
    人間(紅)|26才|女性|聖導士

  • メーナ(ka1713
    エルフ|17才|女性|聖導士
  • 春霞桜花
    ミィリア(ka2689
    ドワーフ|12才|女性|闘狩人
  • 愛にすべてを
    エイル・メヌエット(ka2807
    人間(紅)|23才|女性|聖導士
  • 運命の回答者
    リサ=メテオール(ka3520
    人間(紅)|16才|女性|聖導士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
クラリッサ=W・ソルシエール(ka0659
人間(リアルブルー)|20才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2014/11/21 22:58:07
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/11/18 23:03:35