ゲスト
(ka0000)
【HW】笑ってはいけないビキニアーマー
マスター:猫又ものと

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,500
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~8人
- サポート
- 0~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/11/01 19:00
- 完成日
- 2017/11/17 08:14
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
「お前達、いつまで寝てるんだい。いい加減起きな。訓練の時間だよ」
聞こえてきた鋭い声に重い瞼をゆっくりと開けるハンター達。
――そうだ。昨日は大規模作戦のアレコレが終わって疲れて早めに寝たんだった。
まだ疲れ取れてないのに。
何でこんなに早く起こされなければいけないのか……。
「ほらほら。布団に潜り込もうとしてるんじゃないよ! 起きな!!」
「いやあああ! 布団剥がさないでえええ」
「まだ寝てたいぃ」
「甘えるんじゃないよ!!」
再び聞こえた鋭い声に顔を上げたハンター達。
良く良く見るとそれは、辺境を根城にする歪虚……トーチカ・J・ラロッカで――。
えっ。何でこんなところにトーチカがいるの?
……というかいつもより露出度高くない?
「トーチカ、何でお前ビキニアーマー着てるんだ……?」
「いいことに気が付いたね。さて、早速だけどお前達にはビキニアーマー強化訓練に参加してもらうよ」
「……は? ナニソレ」
「お前達知らないのかい? ビキニアーマーはただ作っただけじゃ防具としては役に立たない。ただのお飾りなのさ。数々の試練を乗り越えたビキニアーマーは真の輝きを得て、一人前の防具になれるんだよ」
「ちょっと言っている意味が分かりませんね」
「そうかい? まあ、やってみればすぐに分かるさ」
「というか参加するなんて一言も言ってねえぞ!!?」
「ここに来たやつは全員参加!! 強制なんだよ馬鹿だね!!」
「ええええ知らなかったーーー!!!」
「という訳で、お前達にも着替えて貰おうかね」
パチンと指を鳴らすトーチカ。
ポウン、という音と共に現れた煙にあっという間に包まれたハンター達は、気づけばビキニアーマーを装着していた。
「うわっ。何かスース―するっ」
「いやああああなにこれえええええ」
「いい格好だねえ。なかなか似合うじゃないか。さて、さっきもちらっと言ったけど、お前達にはこれから色々な訓練を受けて貰うよ。これも全てビキニアーマーを強化する為だ。気合入れな」
「嫌だって言ったらどうなるんですかね……」
「何度も同じこと言わせるんじゃないよ! 拒否権はないって言ってるだろ!? ああ、そうそう。……もし訓練の最中に少しでも笑ったらおしおきを受けて貰うことになるから覚悟おしよ」
「笑わないこととビキニアーマーを強化する話が全然繋がらねえんだが!!?」
「さて、ここでスペシャルゲストだよ。伝説のビキニアーマーマイスターだ。お前達、しっかり挨拶するんだよ」
「えっ。伝説のビキニアーマーマイスター……?」
「誰のこと……?」
振り返ったハンター達。
そこには、真顔で――漆黒のビキニアーマーに身を包んだ青木 燕太郎(kz0166)の姿があった。
「……青木さん、ムダ毛の処理完璧ですね」
デデーン! ハンター全員、アウトー!!
聞こえてきた鋭い声に重い瞼をゆっくりと開けるハンター達。
――そうだ。昨日は大規模作戦のアレコレが終わって疲れて早めに寝たんだった。
まだ疲れ取れてないのに。
何でこんなに早く起こされなければいけないのか……。
「ほらほら。布団に潜り込もうとしてるんじゃないよ! 起きな!!」
「いやあああ! 布団剥がさないでえええ」
「まだ寝てたいぃ」
「甘えるんじゃないよ!!」
再び聞こえた鋭い声に顔を上げたハンター達。
良く良く見るとそれは、辺境を根城にする歪虚……トーチカ・J・ラロッカで――。
えっ。何でこんなところにトーチカがいるの?
……というかいつもより露出度高くない?
「トーチカ、何でお前ビキニアーマー着てるんだ……?」
「いいことに気が付いたね。さて、早速だけどお前達にはビキニアーマー強化訓練に参加してもらうよ」
「……は? ナニソレ」
「お前達知らないのかい? ビキニアーマーはただ作っただけじゃ防具としては役に立たない。ただのお飾りなのさ。数々の試練を乗り越えたビキニアーマーは真の輝きを得て、一人前の防具になれるんだよ」
「ちょっと言っている意味が分かりませんね」
「そうかい? まあ、やってみればすぐに分かるさ」
「というか参加するなんて一言も言ってねえぞ!!?」
「ここに来たやつは全員参加!! 強制なんだよ馬鹿だね!!」
「ええええ知らなかったーーー!!!」
「という訳で、お前達にも着替えて貰おうかね」
パチンと指を鳴らすトーチカ。
ポウン、という音と共に現れた煙にあっという間に包まれたハンター達は、気づけばビキニアーマーを装着していた。
「うわっ。何かスース―するっ」
「いやああああなにこれえええええ」
「いい格好だねえ。なかなか似合うじゃないか。さて、さっきもちらっと言ったけど、お前達にはこれから色々な訓練を受けて貰うよ。これも全てビキニアーマーを強化する為だ。気合入れな」
「嫌だって言ったらどうなるんですかね……」
「何度も同じこと言わせるんじゃないよ! 拒否権はないって言ってるだろ!? ああ、そうそう。……もし訓練の最中に少しでも笑ったらおしおきを受けて貰うことになるから覚悟おしよ」
「笑わないこととビキニアーマーを強化する話が全然繋がらねえんだが!!?」
「さて、ここでスペシャルゲストだよ。伝説のビキニアーマーマイスターだ。お前達、しっかり挨拶するんだよ」
「えっ。伝説のビキニアーマーマイスター……?」
「誰のこと……?」
振り返ったハンター達。
そこには、真顔で――漆黒のビキニアーマーに身を包んだ青木 燕太郎(kz0166)の姿があった。
「……青木さん、ムダ毛の処理完璧ですね」
デデーン! ハンター全員、アウトー!!
リプレイ本文
――晴れ渡る秋空の下、ビキニアーマー強化訓練は実施の運びとなった。
「ホラ! お前達ボサっとしてないでさっさと並びな!」
響くトーチカ・J・ラロッカの声。
それに導かれるように、純白のビキニアーマー姿のサクラ・エルフリード(ka2598)が歩み出る。
「何が何だかわかりませんが、ビキニアーマー強化と聞いたらやるしかないですね……!」
ぐっと握り拳を作りやる気を見せる彼女。
何を隠そう……いや、全然隠してないが。サクラは普段からビキニアーマーを愛用している。
お金と時間をかけ、鍛えに鍛えているからこそ、強化の重要性は身に染みて感じている訳で……!
「……強化するのに何故ビキニアーマーを着る必要があるのか理解できませんけどね」
サクラがあえて言わなかった一言を口に出すエルバッハ・リオン(ka2434)。
彼女は赤いビキニアーマーに身を包んでいるが、着慣れているからか恥ずかしがる様子は見られない。
「依頼でもっと際どい格好をすることもありますしね。この程度で動揺していられませんよ」
えっ。もっと際どい格好ってどんなのですか!?
ちょっと詳しくお伺いしたいんですけど!!?
「別に構わないですけど……。その話してたら先に進まないんじゃないですか?」
アッ。そうでした!!
話は戻って……アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)が緋色に白く縁取りされた愛らしいビキニアーマー姿で慌てていた。
「ちょ、なんだこの心もとないのは!?」
「うーん。ちょっとこの季節には涼しいかもね」
ちょっとズレた返答をするリューリ・ハルマ(ka0502)。
彼女も紫色のビキニアーマーが良く似合っているのだが、アルトはそれに気づくような精神的余裕はないらしい。
正直、アルトがここまで慌てるのは珍しいのではないだろうか。
何というかその……正直萌えますよね!
「萌えって何の話だバカーーー!!」
「アルトちゃん誰と話してるの?」
「うわあああ! そんなことはどうでもいいからちょっと隠れさせて!!」
色々と耐えきれないのかリューリの後ろに隠れるアルト。
そんな彼女を黒地に赤い縁取りの入ったビキニアーマーを着た少女……いや、よく見たら少年らしい。グラディート(ka6433)が覗き込む。
「ねえねえ。お姉さん、良く似合ってるし隠したら勿体ないよ?」
「そうだよー。アルトちゃん可愛いよー」
「やだやだやだー! 無理無理無理無理!!」
2人の宥める声にぶんぶんと首を振りながらお腹を必死に隠そうとするアルト。
その様子を、漆黒のビキニアーマーを着た教官……青木 燕太郎(kz0166)が鼻で笑った。
「ほう。茨の王は腹が弱点か」
「そんな恰好でカッコつけんな馬鹿なの!? っていうか茨の王って呼ぶなあああ!!」
ガチギレするアルト。そこに爽やかなハッハー! という笑い声か聞こえてきた。
「いやー、皆すげぇ格好してんな!」
「それアナタがいいます……? まあ確かにあれはないと思いますが。いろんな意味でアウトのような気がします」
白銀のビキニアーマーが眩しい役犬原 昶(ka0268)にボソリと突っ込むエルバッハ。彼の輝く白い歯も負けないくらい眩しい。
光を乱反射するというシャイニングなビキニアーマーは本当に素晴らしいの一言に尽きるワケですが。
何だかサイズが合ってないというか微妙に小さくないですかね……。
色々見えそうで心配なんですが……。
「んー? 俺よりこっちの方がすごくね?」
「うわあああん! それ言わないでえええ!!」
ハハハと笑う昶にプルプルと子犬のように震えるノノトト(ka0553)。
内股かつ胸を手で隠しているため分かりにくいが、彼が身に着けているのは紐……いやいや、マイクロビキニってやつですね!
うっわ! のっけから際どいですよこれは!!
「なんでぼくのだけこんなに小さいのおおお!? おかしいでしょおおおお!!」
「その質問には私がお答えしますぅ! ぐふっ。ぐふふふっ。ぐへへっ」
怪しい笑いを浮かべて胸を張る星野 ハナ(ka5852)。淡い青のビキニアーマーの胸元には『腐』の一文字がデカデカと書かれている。
……えっと。ハナさん。これは……?
「はい! 私は『腐』術師ですのでぇ! ズバッとバビッと御見通しなんですよグフフフ!!」
「……符術師じゃないの?」
「違いますよぅ。符術師と腐術師は似て非なるものですぅ! ところでノノトトさん。世界腐術師協会の調査によるとあなたは普段、鍛えに鍛えまくったLv18のホーリーナイトドレスを装備していらっしゃるとか」
「え、ええ!? 何で知ってるの!? というかアレは仕方なくであって……というか世界腐術師協会って何!!? いきなり規模が大きいんだけど!!?」
「しゃーっらっぷ。お黙りなさいですぅ! 普段からドレスを着ている……すなわちそれは女装趣味があるとお見受けしましたぁ! そういう子にはマイクロビキニがお似合いってもんですよぅ!」
「イヤアアアアア!!」
ぐへへへへ! と笑うハナに泣き崩れるノノトト。
激しい動きにいきなり閲覧削除か……? いや、ノノトトさんの髪が長いのが幸いしました! セーフセーフ! 見えてないです!
「うわー……。何か、すごいね……」
「あ。僕のビキニちょっと大きめだけど、ちゃんとムダ毛の処理してきたから大丈夫だよ!」
「そんなこと誰も聞いてないッ!!」
若干引き気味のリューリ。
可愛くアピールするグラディートにアルトのツッコミが炸裂する。
そんな中、昶をまじまじと見つめていたサクラがつかつかと歩み寄った。
「……つかぬことお伺いしますが。役犬原さんって男性ですよね……?」
「ん? そうだぜ?」
「じゃあ何でこんなに胸があるんですかっ!!?」
「そりゃあ鍛えてるからかなー」
「世界腐術師協会によると、昶さんはCカップあるそうですぅ!」
ハッハーと笑う昶を補足するハナ。実際昶の白銀のビキニアーマーからは逞しい大胸筋が零れそうになっている。
ビキニのサイズが若干小さいとはいえ、これは紛れもない事実。
女子なのに平たい胸族のサクラさんには厳しい現実ですね!
「うっさいわあああ! 平たい胸で悪かったなあああ!!」
「お前達ちょっと静かにしな! ホラ! 訓練を開始するよ!!」
「やだーー!! 家にかえるうううう!!」
「アルトちゃん! 頑張ろうよ! この可愛いビキニアーマー一人前にしてあげよう?」
「そうだよお姉さん! お姉さんなら立派なビキニアーマーに成長させられるよ!」
トーチカの号令に走り出そうとするアルト。リューリは心から、グラディートは被害者を逃がすまいと若干動機に差はあったが……宥められてハッとする。
――そうか。ビキニアーマーって成長するのか。
ということは……成長させれば面積とか増えていくかな?
増えるよね? 増えていくって信じたからね?
よし。装備を鍛えるのはボクの十八番だ。傭兵として質のいい武具を手に入れるのが必須だったからな……!
……こういう思考に行く当たり、もう大分アルトも追い詰められているような気がするが。
アルトは顔を上げるとキッとビキニアーマーマイスターを睨む。
「というわけで、マイスター青木! この際なんか細かいのはこの際脇に置いてどうすればビキニアーマーを鍛えれるんだ!?」
「ほう。やる気になったか。教えてやらんこともないが……」
「……オシエテクダサイ」
最初の威勢はどこへやら。教官に土下座せんばかりの勢いのアルト。
まあ、最初からリューリの陰に隠れっぱなしで威勢も何もなかった奴ですが。
「ハッ! そうでした……! 将来のビキニアーマーマイスターを目指して、どんな訓練でも受けて立ちます! 教官宜しくお願いします!」
我に返り、アルトの横に膝をついたサクラ。その様子にエルバッハがため息をつく。
「導入だけで大分文字数使ってるみたいですけど、大丈夫ですか……?」
「さてねえ。『皆のプレイングが濃かったんだ仕方ない』って声がどっからか聞こえた気がするけど、気にせず始めようかねえ。いいかい、お前達。今から訓練を開始するよ。もう一度言うけど、これかれら訓練の最中に少しでも笑ったらおしおきを受けて貰うことになるから覚悟おし」
キセルから紫煙を吐き出しながら言うトーチカ。その説明に、ハンター達がこくりと頷く。
そこに目を爛々と輝かせたハナがババッと挙手した。
「教官殿ッ! 訓練の前にお伺いしたいことがありますッ!」
「何だ。言ってみろ」
「ハイッ! 教官殿はどこまでお触り可でありましょうかッ! 小生青木教官殿のようなタイプは大好物でありますッ! 是非ともぺろぺろはぁはぁくんかくんかさせて戴きたいでありますッ!」
「それは却下だ。お前、俺に下手に触ったら痛い目に遭うぞ……?」
「えーーーー!? それって負のマテリアル的なアレですかぁ? それを恐れてお触りできるかーーーー!! ていうかぁ、脂肪率5%以下の作り込み過ぎちゃった筋肉は一般鑑賞には向かないんですぅ! ちょっとたぷたぷしたところがあっても筋トレ始めました頑張りますぅ、から肥大しないギリギリマッチョまでが美味しいんですぅ! そういう意味では青木さんと昶さんのお肉はジャストミート! ですぅ、ぐふ、ぐふふふふ~」
「ハッハー! そうかそうか! 俺の筋肉の良さが分かるのか! おう、ちょっとくらいなら触ってもいいぜぇ!」
「えっ。ホントですかぁ!? ぐへへへへ」
デデーン! 昶、ハナ、アウト―!
「お前達いきなりかい!?」
「いやぁ~。つい笑いが出ちまったぜー。仕方ねえなー」
「ちょっ。私のこれは腐笑いで、いわば萌えから湧き出るものでそっちの笑いとは意味が違うんですよぅ!」
「おだまり! お前達やっちまいな!」
「「あいあいさー!!」」
トーチカの号令で現れたのはハリセンを手にした2体のモグラ……モルッキーとセルトポだ。
もちろん2匹ともバッチリビキニアーマー装備である。
「セルトポさんとモルッキーさんはムダ毛の処理してないんですね」
「ムダ毛? 何のことでおますか?」
「あたし達の毛に無駄なところなんてないわよぉ! という訳で今回のハリセンもモルッキー特別製お仕置き仕様よぉん! 滅茶苦茶痛いわよォ~! そーれ!!」
「うおおおお!」
「い゛っだああああ!!」
小首を傾げるエルバッハにハリセンをふりふり答えたモグラ達。
スパンスパーーン! 響く乾いた音。悶絶する昶とハナ。
今すごい音したし。特別製とか言ってたし。素肌を叩かれるのだからそれなりに痛いはずだし。
皆よりアーマーの表面積が少ないノノトトはなおのことで……少年はカタカタと震える。
大丈夫。笑わなければいいんだ。そう、笑わなければ……!
「えっと。じゃあ改めて宜しくお願いします」
「初めてだから優しくしてネ☆」
「師匠。何をすればいいですか!?」
「何なりとお受けします!」
礼儀正しく頭を下げるリューリにくねくねとしなをつくるグラディート。
真顔で迫るアルトとサクラに青木もまた真面目な顔で頷き返す。
「……いいだろう。まずお前達には、ビキニアーマーを鍛えるのに必要不可欠な形を覚えて貰う」
「形……? 拳法とかの基本姿勢のことでしょうか」
「なるほど。まずは形から入るってことか……。分かった。師匠、お願いします」
サクラとアルトが食い入るように見つめる中、ふぅーーと息を吐く青木。
張り詰めた空気。
流れるような動き。
両腕を空を飛ぶ鳥のように上へと伸ばし、更に片足を高らかに上げて、膝から綺麗に曲げて……。
ヘ○ヘ
|∧
/
その姿を見て、エルバッハがぽつりと呟いた。
「荒ぶる鷹のポーズですね……」
デデーン! 昶、ハナ、ノノトト、グラディート、サクラ、アルト、リューリアウト―!!
「ハハハハハ! 青木ってやつ面白いな!!」
「荒wぶwるw鷹wのwポwーwズw 無理! さすがの腐術師もこれは無理wwwww」
「これはヒドイ……! 真顔でやってるのが更にヒドイ……!」
「耐えられるかと思ったけど教官のちょっと陶酔した表情見たら無理だったよ……!」
「ひ、人が真面目にやってるのに卑怯ですよッ……!」
「これで本当にビキニアーマー強化されるの……?」
「というか燕太郎さん恥ずかしくないの!?」
バシバシバシ! と響く6連打。尻を叩かれて6人が蹲る。
そんなハンター達を冷たい目で見つめて青木は言い放った。
「恥ずかしがっていてビキニアーマーマイスターが務まるか!」
「あー。やっぱりそうなんだねー。流石だね燕太郎さん」
「リューリちゃんそれ納得したらダメなとこじゃないかな!!?」
「というか、あそこまできっちり足上げて見えないってある意味すごくないですぅ? ちょっとくらい見えてくれてもいいんですけどねぇ」
「マイスター青木のムダ毛処理、私も見習うべきでしょうか……。……ムダ毛ないですけど……」
アルトとハナ、サクラが三人三様の感想を漏らす中、昶がすっと歩み出た。
「俺、このポーズ知ってるぜ! 『二人はアマゾネス!』って番組のやつだろ」
「え。ナニソレ……?」
「あー。ノノトトさんとか皆さんクリムゾンウェストの方だからご存知ないですかねえ。リアルブルーの人気番組ですよぉ。今は最新作『キラキラ☆アマゾネスアラモード』が放映中ですぅ」
「ハナさん。それ以上は色々アウトな気がするので気を付けてくださいね……」
「エルバッハは細かいこと気にするんだなぁ! よし、教官! 一緒に『二人はアマゾネス』しようぜ!」
「昶、受けて立とう!」
「弾ける筋肉の鼓動! ビキニホワイト!」
「唸る筋肉の嵐! ビキニブラック!」
「「二人はーーーーーアマゾネス!!」」
デデーン! エルバッハ、ノノトト、サクラ、グラディート、リューリ、アウト―!!
「くっ……。台詞つきの視覚攻撃とは……! 不覚を取りました……」
「だ、ダメだよ昶さん! 股間の邪神様はかろうじて隠れてるけどゴールデンな(閲覧削除)がコンニチハしてるよ!!」
「その表現って大丈夫なのですか?」
「ダメだったらその時は蔵倫が仕事してくれるって聞いたよ!」
「そっかー! だったら大丈夫だねー! っていったああああい!!」
ハリセンで尻を叩かれ悶絶する5人。なお、ハナは番組を知っていた為、アルトはうっかり昶の(閲覧削除)が目に入ってしまった為笑わずに済んだ。
「さあ、お前達も昶を見習って形をやれ」
「それじゃお腹見えちゃう……! けどやるしかないのか……?」
「茨の王。一番弟子のお前であれば簡単だろう」
「えっ。いつからボク一番弟子だったの!?」
「いーなーアルトちゃん! じゃあ私二番弟子ね!!」
「一番でも二番でもいいけど、これ本当にやらなきゃダメ……?」
「ノノトトさん。教官の命令は絶対ですよ……! 恥ずかしいですが、やらなくては……!」
ギャーギャー言い合うアルトとリューリに突っ込みつつ逃げ腰になるノノトト。
そんな彼の前に立ち塞がり、サクラが頷く。
「いやいや、ボクそれやったら色々見えちゃうしーーーー!! 分かった! 分かったよ! かくし芸やるから許して!!」
アワアワと慌てるノノトト。
片腕で胸を隠し、髪の毛と手で股間を隠して、ビシッとポーズを決めた。
「び、ビーナスの誕生……?」
デデーン! 昶、アウトー!!
「ハッハー! 面白いなノノトト! お前もそう思うだろハナ!」
「うーん。ちょっと筋肉がたりないですぅ。ね、サクラさん」
「そういう問題じゃないんじゃないですかね……。エルバッハさんどう思われます?」
「かくし芸、という割にはちょっと迷いがありましたね……」
「リューリちゃん……。あの子が照れてるのが分かって何だか居たたまれない……」
「うん。ちょっと笑えなかったねアルトちゃん……」
「ノノトトさん! こういうのは思い切りが大事だよ! 僕がお手本見せてあげるね!」
そう言って飛び出したグラディート。
仁王立ちする青木をポールに見立てて身体を艶めかしくくねらせる。
ちゃらっちゃちゃららっららん~♪
「あっはーん☆」
デデーン! 昶、ハナ、アウトー!!
「ハッハー! 面白いなグラディート!」
「ぐへへへ! 教官とショタの絡みはなかなかいいですなァ!!」
「……リューリちゃん。あの子いくつだっけ」
「確か15歳って言ってたかな……?」
「先が思いやられますね……」
「それ私達も人のこと言えないんじゃないでしょうか……」
悲壮な顔をしてお互いの顔を見合わせるアルトとリューリ、サクラとエルバッハ。
居たたまれない雰囲気の中、昶とハナがシバかれる。
不意に目を焼くような眩しい光。
よく見るとそれはスポットライトで……。
その中を一人の少女が静々と現れた。
「さあ、新たな笑いの刺客だよ! おいで!」
「はーい! えっーと……『ノノトト……マイフレンド』……こんな感じでいいです?」
「は?」
「元気ですかーっ!?」
ばちこーーん☆
トーチカの紹介を受け、カンペを読みながらやって来た少女。羊谷 めい(ka0669)の突然のビンタがノノトトの頬にクリーンヒットし、回転して倒れ込んだ。
デデーン! 昶、サクラ、グラディート、アウトー!!
「ハッハー! いいビンタだったなー!」
「す、すみません……勢いに負けました……」
「ちょ、ちょっとノノトトさんの驚きの表情に興奮しちゃった……!」
既にアウトは出ておりますが、引き続きお楽しみください!
「め、めいちゃん……!? どうしてここに?!」
「えへへ……! ノノ君が頑張ってるとこ見たいなーと思って。来ちゃった☆」
頬を押さえたまま呆然とするノノトト。
「こんなとこ来たらダメでしょ……! めいちゃんがひどい目にあったらどうするの!?」
「トーチカさんが思う存分ノノ君撮ってもいいって! それに、ちょっとこの格好恥ずかしいけど……ノノくんになら見られてもいい、かな……」
うわあ。何だ。魔導カメラ構えた天使がいる。
というか、良く良く見るとめいちゃんの恰好もビキニアーマーだ。
淡いピンクのビキニアーマーが良く似合ってるなあ……。
……今気が付いたけど。良く見ると、めいちゃん結構胸ある……?
――っていうか結構どころかナイスバディじゃない……?
「いった! いだだだだだ!」
「ノノくんどうしたの!? 大丈夫!?」
「いやあの、ボクのアーマー、マイクロで紐だから、ちょっと食い込んでいだだだだだだ」
突然前屈みになって苦しみ始めたノノトトにオロオロするめい。
仲間達も何事かと駆け寄って来る。
「アルトちゃん、何か苦しんでるよ。助けなくて大丈夫かな?」
「あー……。リューリちゃん、近寄っちゃダメ。あの子可愛い顔してケダモノだよ。サクラさんも下がって下がって」
「え。それってどういうことですかね……? グラディートさん分かります?」
「うん。かわいい彼女のビキニアーマー姿見て反応しちゃったんだろうね! アレが!」
「うっわ。最低ですね……」
「ハッハー! エルバッハそう言ってやるなよー!」
「ノノトトさんも健全な男子っていうことでしょうかぁ。もうちょっと筋肉つけて欲しいですけどぉ。ってほらほら。皆さんお仕置きタイムですよぉ」
「うごああああ!」
「叩かれ過ぎてだんだん痛覚鈍って来ました……!」
「僕まだ大丈夫だよ☆」
しばき隊にシバかれる3人。その間も、ノノトトはもがきながら後退を続けていた。
「いやああああ! じろじろ見ないでええええ!!」
「ノノ君大丈夫……?」
「うわああああ! めいちゃん来ちゃダメええええええ!!」
海老のようになりながらじりじりと下がり続ける少年。硬い何かにぶつかって振り返ると……そこには青木教官が立っていた。
「えっ。教官……?」
「さあ立て。まだ訓練は終わっていないぞ」
「ダメダメダメ! 待って教官! こんな状況で立ったら確実にアウト。社会的にアウトだから!!」
「ちょっと(閲覧削除)が零れたくらいなんだというのか! アウトを恐れてビキニアーマーの強化が出来ると思ってるのか!?」
「知らんわ! ってかこれはダメだって言ってんでしょおおおおお!!?」
ブレない青木長官にガチギレするアルト。エルバッハが腕を組んで考え込む。
「……ここで私もお色気ポーズしたらどうなりますかね」
「えっ。火に油注ぎます? エルバッハさん鬼ですね!?」
「こういう場に来て笑いもしない、笑いも取らずに終わったら癪じゃないですか」
「そういう問題じゃない気がしますけど……!」
淡々と言う彼女にデッカイ冷や汗を流すサクラ。ノノトトは海老のような状態で器用にえっへんと胸を張った。
「残念! ボクは誰にでも反応するワケじゃないよ! めいちゃんだから反応したんだ!!」
「……へえ。そうですか」
「あっ。エルバッハさんやめて踏まないで何か癖になりそう」
ヒールのあるブーツでグリグリとノノトトを踏みつけるエルバッハ。
目を爛々とさせたハナが青木教官に迫る。
「というか社会的にアウトを目指すなら、小生青木教官を剥きたいですぅ! 脱ぎましょう教官! 世がそれを望んでますぅ!」
「えー。えっちなのはダメだと思うよ」
「そうですよ! 脱いでしまってはビキニアーマーの強化が出来ないじゃないですか!」
リューリの良心の訴え。こんな状況でも訓練を続けようというサクラ。
何という涙ぐましい努力か……!
まあ、男性陣は一切そんなこと気にしてないみたいですけどね!
「あっ。じゃあ僕が脱いであげよっか!」
「おっ。俺も脱いでやってもいいぜぇ!!」
「黙れこの変態どもがあああああ!! いくよ! リューリちゃん!」
「うん! アルトちゃん! 愛と友情のツープラトン……食らえーーー!!」
アルトとリューリのキックが綺麗な弧を描いてハナとグラディート、昶、ノノトトを吹き飛ばす……!
「何てことでしょぉ、変態を誇りたいだけなのに世知辛い世の中ですぅ……!」
「あはははーー! お星さま初体験ーーー!!」
「ハッハー! かーぎやーーー!!」
「何でボクまでえええええええええ!!?」
キラーン☆
デデーン! グラディート、昶、アウトーーー!!!
「…………!?」
毛布を跳ね除け、起き上がったアルト。
仲間達と宿屋で酒盛りをしていたら、いつの間にか眠っていたらしい。
――何だか、すごく嫌な夢を見ていたような……。
額を流れる汗。
隣にいるリューリがプルプルと震えているのに気づいて、そっと肩を叩く。
「リューリちゃん、大丈夫……?」
「あ、アルトちゃん、今ね、燕太郎さんが……っ」
最後まで言えずにぶーーーっと吹き出す彼女。
どうやら震えていたのは笑っていたらしい。何か面白い夢でも見ていたのだろうか。
その横では、昶とグラディートが寝ながら大爆笑している。
そしてノノトトとサクラが酷く疲れた顔をしていて……エルバッハが恐る恐る声をかける。
「お二人ともヒドイ顔してますけど大丈夫ですか……?」
「はい。ちょっと夢見が悪くて……」
「うん。青木が出てきて……ボクあの歪虚あんまり知らないはずなんだけどな……」
「あら偶然ですね。私も青木の夢を見ていましたよ」
「あ、私もですよぅ。あともうちょっとで剥けそうだったのにぃ……」
「え。本当? ボクもなんだけど……」
ハナとアルトの声に顔を見合わせるハンター達。
揃いも揃って青木の夢を見るとは……これも何かの悪戯というやつだろうか。
ともあれ、皆疲れているようだし、部屋に戻ってきちんと寝直した方がいいかもしれない。
頷き合いそれぞれの部屋に向おうとしたその時――耳元で、デデーン! という聞き慣れた音が聞こえた。
「ホラ! お前達ボサっとしてないでさっさと並びな!」
響くトーチカ・J・ラロッカの声。
それに導かれるように、純白のビキニアーマー姿のサクラ・エルフリード(ka2598)が歩み出る。
「何が何だかわかりませんが、ビキニアーマー強化と聞いたらやるしかないですね……!」
ぐっと握り拳を作りやる気を見せる彼女。
何を隠そう……いや、全然隠してないが。サクラは普段からビキニアーマーを愛用している。
お金と時間をかけ、鍛えに鍛えているからこそ、強化の重要性は身に染みて感じている訳で……!
「……強化するのに何故ビキニアーマーを着る必要があるのか理解できませんけどね」
サクラがあえて言わなかった一言を口に出すエルバッハ・リオン(ka2434)。
彼女は赤いビキニアーマーに身を包んでいるが、着慣れているからか恥ずかしがる様子は見られない。
「依頼でもっと際どい格好をすることもありますしね。この程度で動揺していられませんよ」
えっ。もっと際どい格好ってどんなのですか!?
ちょっと詳しくお伺いしたいんですけど!!?
「別に構わないですけど……。その話してたら先に進まないんじゃないですか?」
アッ。そうでした!!
話は戻って……アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)が緋色に白く縁取りされた愛らしいビキニアーマー姿で慌てていた。
「ちょ、なんだこの心もとないのは!?」
「うーん。ちょっとこの季節には涼しいかもね」
ちょっとズレた返答をするリューリ・ハルマ(ka0502)。
彼女も紫色のビキニアーマーが良く似合っているのだが、アルトはそれに気づくような精神的余裕はないらしい。
正直、アルトがここまで慌てるのは珍しいのではないだろうか。
何というかその……正直萌えますよね!
「萌えって何の話だバカーーー!!」
「アルトちゃん誰と話してるの?」
「うわあああ! そんなことはどうでもいいからちょっと隠れさせて!!」
色々と耐えきれないのかリューリの後ろに隠れるアルト。
そんな彼女を黒地に赤い縁取りの入ったビキニアーマーを着た少女……いや、よく見たら少年らしい。グラディート(ka6433)が覗き込む。
「ねえねえ。お姉さん、良く似合ってるし隠したら勿体ないよ?」
「そうだよー。アルトちゃん可愛いよー」
「やだやだやだー! 無理無理無理無理!!」
2人の宥める声にぶんぶんと首を振りながらお腹を必死に隠そうとするアルト。
その様子を、漆黒のビキニアーマーを着た教官……青木 燕太郎(kz0166)が鼻で笑った。
「ほう。茨の王は腹が弱点か」
「そんな恰好でカッコつけんな馬鹿なの!? っていうか茨の王って呼ぶなあああ!!」
ガチギレするアルト。そこに爽やかなハッハー! という笑い声か聞こえてきた。
「いやー、皆すげぇ格好してんな!」
「それアナタがいいます……? まあ確かにあれはないと思いますが。いろんな意味でアウトのような気がします」
白銀のビキニアーマーが眩しい役犬原 昶(ka0268)にボソリと突っ込むエルバッハ。彼の輝く白い歯も負けないくらい眩しい。
光を乱反射するというシャイニングなビキニアーマーは本当に素晴らしいの一言に尽きるワケですが。
何だかサイズが合ってないというか微妙に小さくないですかね……。
色々見えそうで心配なんですが……。
「んー? 俺よりこっちの方がすごくね?」
「うわあああん! それ言わないでえええ!!」
ハハハと笑う昶にプルプルと子犬のように震えるノノトト(ka0553)。
内股かつ胸を手で隠しているため分かりにくいが、彼が身に着けているのは紐……いやいや、マイクロビキニってやつですね!
うっわ! のっけから際どいですよこれは!!
「なんでぼくのだけこんなに小さいのおおお!? おかしいでしょおおおお!!」
「その質問には私がお答えしますぅ! ぐふっ。ぐふふふっ。ぐへへっ」
怪しい笑いを浮かべて胸を張る星野 ハナ(ka5852)。淡い青のビキニアーマーの胸元には『腐』の一文字がデカデカと書かれている。
……えっと。ハナさん。これは……?
「はい! 私は『腐』術師ですのでぇ! ズバッとバビッと御見通しなんですよグフフフ!!」
「……符術師じゃないの?」
「違いますよぅ。符術師と腐術師は似て非なるものですぅ! ところでノノトトさん。世界腐術師協会の調査によるとあなたは普段、鍛えに鍛えまくったLv18のホーリーナイトドレスを装備していらっしゃるとか」
「え、ええ!? 何で知ってるの!? というかアレは仕方なくであって……というか世界腐術師協会って何!!? いきなり規模が大きいんだけど!!?」
「しゃーっらっぷ。お黙りなさいですぅ! 普段からドレスを着ている……すなわちそれは女装趣味があるとお見受けしましたぁ! そういう子にはマイクロビキニがお似合いってもんですよぅ!」
「イヤアアアアア!!」
ぐへへへへ! と笑うハナに泣き崩れるノノトト。
激しい動きにいきなり閲覧削除か……? いや、ノノトトさんの髪が長いのが幸いしました! セーフセーフ! 見えてないです!
「うわー……。何か、すごいね……」
「あ。僕のビキニちょっと大きめだけど、ちゃんとムダ毛の処理してきたから大丈夫だよ!」
「そんなこと誰も聞いてないッ!!」
若干引き気味のリューリ。
可愛くアピールするグラディートにアルトのツッコミが炸裂する。
そんな中、昶をまじまじと見つめていたサクラがつかつかと歩み寄った。
「……つかぬことお伺いしますが。役犬原さんって男性ですよね……?」
「ん? そうだぜ?」
「じゃあ何でこんなに胸があるんですかっ!!?」
「そりゃあ鍛えてるからかなー」
「世界腐術師協会によると、昶さんはCカップあるそうですぅ!」
ハッハーと笑う昶を補足するハナ。実際昶の白銀のビキニアーマーからは逞しい大胸筋が零れそうになっている。
ビキニのサイズが若干小さいとはいえ、これは紛れもない事実。
女子なのに平たい胸族のサクラさんには厳しい現実ですね!
「うっさいわあああ! 平たい胸で悪かったなあああ!!」
「お前達ちょっと静かにしな! ホラ! 訓練を開始するよ!!」
「やだーー!! 家にかえるうううう!!」
「アルトちゃん! 頑張ろうよ! この可愛いビキニアーマー一人前にしてあげよう?」
「そうだよお姉さん! お姉さんなら立派なビキニアーマーに成長させられるよ!」
トーチカの号令に走り出そうとするアルト。リューリは心から、グラディートは被害者を逃がすまいと若干動機に差はあったが……宥められてハッとする。
――そうか。ビキニアーマーって成長するのか。
ということは……成長させれば面積とか増えていくかな?
増えるよね? 増えていくって信じたからね?
よし。装備を鍛えるのはボクの十八番だ。傭兵として質のいい武具を手に入れるのが必須だったからな……!
……こういう思考に行く当たり、もう大分アルトも追い詰められているような気がするが。
アルトは顔を上げるとキッとビキニアーマーマイスターを睨む。
「というわけで、マイスター青木! この際なんか細かいのはこの際脇に置いてどうすればビキニアーマーを鍛えれるんだ!?」
「ほう。やる気になったか。教えてやらんこともないが……」
「……オシエテクダサイ」
最初の威勢はどこへやら。教官に土下座せんばかりの勢いのアルト。
まあ、最初からリューリの陰に隠れっぱなしで威勢も何もなかった奴ですが。
「ハッ! そうでした……! 将来のビキニアーマーマイスターを目指して、どんな訓練でも受けて立ちます! 教官宜しくお願いします!」
我に返り、アルトの横に膝をついたサクラ。その様子にエルバッハがため息をつく。
「導入だけで大分文字数使ってるみたいですけど、大丈夫ですか……?」
「さてねえ。『皆のプレイングが濃かったんだ仕方ない』って声がどっからか聞こえた気がするけど、気にせず始めようかねえ。いいかい、お前達。今から訓練を開始するよ。もう一度言うけど、これかれら訓練の最中に少しでも笑ったらおしおきを受けて貰うことになるから覚悟おし」
キセルから紫煙を吐き出しながら言うトーチカ。その説明に、ハンター達がこくりと頷く。
そこに目を爛々と輝かせたハナがババッと挙手した。
「教官殿ッ! 訓練の前にお伺いしたいことがありますッ!」
「何だ。言ってみろ」
「ハイッ! 教官殿はどこまでお触り可でありましょうかッ! 小生青木教官殿のようなタイプは大好物でありますッ! 是非ともぺろぺろはぁはぁくんかくんかさせて戴きたいでありますッ!」
「それは却下だ。お前、俺に下手に触ったら痛い目に遭うぞ……?」
「えーーーー!? それって負のマテリアル的なアレですかぁ? それを恐れてお触りできるかーーーー!! ていうかぁ、脂肪率5%以下の作り込み過ぎちゃった筋肉は一般鑑賞には向かないんですぅ! ちょっとたぷたぷしたところがあっても筋トレ始めました頑張りますぅ、から肥大しないギリギリマッチョまでが美味しいんですぅ! そういう意味では青木さんと昶さんのお肉はジャストミート! ですぅ、ぐふ、ぐふふふふ~」
「ハッハー! そうかそうか! 俺の筋肉の良さが分かるのか! おう、ちょっとくらいなら触ってもいいぜぇ!」
「えっ。ホントですかぁ!? ぐへへへへ」
デデーン! 昶、ハナ、アウト―!
「お前達いきなりかい!?」
「いやぁ~。つい笑いが出ちまったぜー。仕方ねえなー」
「ちょっ。私のこれは腐笑いで、いわば萌えから湧き出るものでそっちの笑いとは意味が違うんですよぅ!」
「おだまり! お前達やっちまいな!」
「「あいあいさー!!」」
トーチカの号令で現れたのはハリセンを手にした2体のモグラ……モルッキーとセルトポだ。
もちろん2匹ともバッチリビキニアーマー装備である。
「セルトポさんとモルッキーさんはムダ毛の処理してないんですね」
「ムダ毛? 何のことでおますか?」
「あたし達の毛に無駄なところなんてないわよぉ! という訳で今回のハリセンもモルッキー特別製お仕置き仕様よぉん! 滅茶苦茶痛いわよォ~! そーれ!!」
「うおおおお!」
「い゛っだああああ!!」
小首を傾げるエルバッハにハリセンをふりふり答えたモグラ達。
スパンスパーーン! 響く乾いた音。悶絶する昶とハナ。
今すごい音したし。特別製とか言ってたし。素肌を叩かれるのだからそれなりに痛いはずだし。
皆よりアーマーの表面積が少ないノノトトはなおのことで……少年はカタカタと震える。
大丈夫。笑わなければいいんだ。そう、笑わなければ……!
「えっと。じゃあ改めて宜しくお願いします」
「初めてだから優しくしてネ☆」
「師匠。何をすればいいですか!?」
「何なりとお受けします!」
礼儀正しく頭を下げるリューリにくねくねとしなをつくるグラディート。
真顔で迫るアルトとサクラに青木もまた真面目な顔で頷き返す。
「……いいだろう。まずお前達には、ビキニアーマーを鍛えるのに必要不可欠な形を覚えて貰う」
「形……? 拳法とかの基本姿勢のことでしょうか」
「なるほど。まずは形から入るってことか……。分かった。師匠、お願いします」
サクラとアルトが食い入るように見つめる中、ふぅーーと息を吐く青木。
張り詰めた空気。
流れるような動き。
両腕を空を飛ぶ鳥のように上へと伸ばし、更に片足を高らかに上げて、膝から綺麗に曲げて……。
ヘ○ヘ
|∧
/
その姿を見て、エルバッハがぽつりと呟いた。
「荒ぶる鷹のポーズですね……」
デデーン! 昶、ハナ、ノノトト、グラディート、サクラ、アルト、リューリアウト―!!
「ハハハハハ! 青木ってやつ面白いな!!」
「荒wぶwるw鷹wのwポwーwズw 無理! さすがの腐術師もこれは無理wwwww」
「これはヒドイ……! 真顔でやってるのが更にヒドイ……!」
「耐えられるかと思ったけど教官のちょっと陶酔した表情見たら無理だったよ……!」
「ひ、人が真面目にやってるのに卑怯ですよッ……!」
「これで本当にビキニアーマー強化されるの……?」
「というか燕太郎さん恥ずかしくないの!?」
バシバシバシ! と響く6連打。尻を叩かれて6人が蹲る。
そんなハンター達を冷たい目で見つめて青木は言い放った。
「恥ずかしがっていてビキニアーマーマイスターが務まるか!」
「あー。やっぱりそうなんだねー。流石だね燕太郎さん」
「リューリちゃんそれ納得したらダメなとこじゃないかな!!?」
「というか、あそこまできっちり足上げて見えないってある意味すごくないですぅ? ちょっとくらい見えてくれてもいいんですけどねぇ」
「マイスター青木のムダ毛処理、私も見習うべきでしょうか……。……ムダ毛ないですけど……」
アルトとハナ、サクラが三人三様の感想を漏らす中、昶がすっと歩み出た。
「俺、このポーズ知ってるぜ! 『二人はアマゾネス!』って番組のやつだろ」
「え。ナニソレ……?」
「あー。ノノトトさんとか皆さんクリムゾンウェストの方だからご存知ないですかねえ。リアルブルーの人気番組ですよぉ。今は最新作『キラキラ☆アマゾネスアラモード』が放映中ですぅ」
「ハナさん。それ以上は色々アウトな気がするので気を付けてくださいね……」
「エルバッハは細かいこと気にするんだなぁ! よし、教官! 一緒に『二人はアマゾネス』しようぜ!」
「昶、受けて立とう!」
「弾ける筋肉の鼓動! ビキニホワイト!」
「唸る筋肉の嵐! ビキニブラック!」
「「二人はーーーーーアマゾネス!!」」
デデーン! エルバッハ、ノノトト、サクラ、グラディート、リューリ、アウト―!!
「くっ……。台詞つきの視覚攻撃とは……! 不覚を取りました……」
「だ、ダメだよ昶さん! 股間の邪神様はかろうじて隠れてるけどゴールデンな(閲覧削除)がコンニチハしてるよ!!」
「その表現って大丈夫なのですか?」
「ダメだったらその時は蔵倫が仕事してくれるって聞いたよ!」
「そっかー! だったら大丈夫だねー! っていったああああい!!」
ハリセンで尻を叩かれ悶絶する5人。なお、ハナは番組を知っていた為、アルトはうっかり昶の(閲覧削除)が目に入ってしまった為笑わずに済んだ。
「さあ、お前達も昶を見習って形をやれ」
「それじゃお腹見えちゃう……! けどやるしかないのか……?」
「茨の王。一番弟子のお前であれば簡単だろう」
「えっ。いつからボク一番弟子だったの!?」
「いーなーアルトちゃん! じゃあ私二番弟子ね!!」
「一番でも二番でもいいけど、これ本当にやらなきゃダメ……?」
「ノノトトさん。教官の命令は絶対ですよ……! 恥ずかしいですが、やらなくては……!」
ギャーギャー言い合うアルトとリューリに突っ込みつつ逃げ腰になるノノトト。
そんな彼の前に立ち塞がり、サクラが頷く。
「いやいや、ボクそれやったら色々見えちゃうしーーーー!! 分かった! 分かったよ! かくし芸やるから許して!!」
アワアワと慌てるノノトト。
片腕で胸を隠し、髪の毛と手で股間を隠して、ビシッとポーズを決めた。
「び、ビーナスの誕生……?」
デデーン! 昶、アウトー!!
「ハッハー! 面白いなノノトト! お前もそう思うだろハナ!」
「うーん。ちょっと筋肉がたりないですぅ。ね、サクラさん」
「そういう問題じゃないんじゃないですかね……。エルバッハさんどう思われます?」
「かくし芸、という割にはちょっと迷いがありましたね……」
「リューリちゃん……。あの子が照れてるのが分かって何だか居たたまれない……」
「うん。ちょっと笑えなかったねアルトちゃん……」
「ノノトトさん! こういうのは思い切りが大事だよ! 僕がお手本見せてあげるね!」
そう言って飛び出したグラディート。
仁王立ちする青木をポールに見立てて身体を艶めかしくくねらせる。
ちゃらっちゃちゃららっららん~♪
「あっはーん☆」
デデーン! 昶、ハナ、アウトー!!
「ハッハー! 面白いなグラディート!」
「ぐへへへ! 教官とショタの絡みはなかなかいいですなァ!!」
「……リューリちゃん。あの子いくつだっけ」
「確か15歳って言ってたかな……?」
「先が思いやられますね……」
「それ私達も人のこと言えないんじゃないでしょうか……」
悲壮な顔をしてお互いの顔を見合わせるアルトとリューリ、サクラとエルバッハ。
居たたまれない雰囲気の中、昶とハナがシバかれる。
不意に目を焼くような眩しい光。
よく見るとそれはスポットライトで……。
その中を一人の少女が静々と現れた。
「さあ、新たな笑いの刺客だよ! おいで!」
「はーい! えっーと……『ノノトト……マイフレンド』……こんな感じでいいです?」
「は?」
「元気ですかーっ!?」
ばちこーーん☆
トーチカの紹介を受け、カンペを読みながらやって来た少女。羊谷 めい(ka0669)の突然のビンタがノノトトの頬にクリーンヒットし、回転して倒れ込んだ。
デデーン! 昶、サクラ、グラディート、アウトー!!
「ハッハー! いいビンタだったなー!」
「す、すみません……勢いに負けました……」
「ちょ、ちょっとノノトトさんの驚きの表情に興奮しちゃった……!」
既にアウトは出ておりますが、引き続きお楽しみください!
「め、めいちゃん……!? どうしてここに?!」
「えへへ……! ノノ君が頑張ってるとこ見たいなーと思って。来ちゃった☆」
頬を押さえたまま呆然とするノノトト。
「こんなとこ来たらダメでしょ……! めいちゃんがひどい目にあったらどうするの!?」
「トーチカさんが思う存分ノノ君撮ってもいいって! それに、ちょっとこの格好恥ずかしいけど……ノノくんになら見られてもいい、かな……」
うわあ。何だ。魔導カメラ構えた天使がいる。
というか、良く良く見るとめいちゃんの恰好もビキニアーマーだ。
淡いピンクのビキニアーマーが良く似合ってるなあ……。
……今気が付いたけど。良く見ると、めいちゃん結構胸ある……?
――っていうか結構どころかナイスバディじゃない……?
「いった! いだだだだだ!」
「ノノくんどうしたの!? 大丈夫!?」
「いやあの、ボクのアーマー、マイクロで紐だから、ちょっと食い込んでいだだだだだだ」
突然前屈みになって苦しみ始めたノノトトにオロオロするめい。
仲間達も何事かと駆け寄って来る。
「アルトちゃん、何か苦しんでるよ。助けなくて大丈夫かな?」
「あー……。リューリちゃん、近寄っちゃダメ。あの子可愛い顔してケダモノだよ。サクラさんも下がって下がって」
「え。それってどういうことですかね……? グラディートさん分かります?」
「うん。かわいい彼女のビキニアーマー姿見て反応しちゃったんだろうね! アレが!」
「うっわ。最低ですね……」
「ハッハー! エルバッハそう言ってやるなよー!」
「ノノトトさんも健全な男子っていうことでしょうかぁ。もうちょっと筋肉つけて欲しいですけどぉ。ってほらほら。皆さんお仕置きタイムですよぉ」
「うごああああ!」
「叩かれ過ぎてだんだん痛覚鈍って来ました……!」
「僕まだ大丈夫だよ☆」
しばき隊にシバかれる3人。その間も、ノノトトはもがきながら後退を続けていた。
「いやああああ! じろじろ見ないでええええ!!」
「ノノ君大丈夫……?」
「うわああああ! めいちゃん来ちゃダメええええええ!!」
海老のようになりながらじりじりと下がり続ける少年。硬い何かにぶつかって振り返ると……そこには青木教官が立っていた。
「えっ。教官……?」
「さあ立て。まだ訓練は終わっていないぞ」
「ダメダメダメ! 待って教官! こんな状況で立ったら確実にアウト。社会的にアウトだから!!」
「ちょっと(閲覧削除)が零れたくらいなんだというのか! アウトを恐れてビキニアーマーの強化が出来ると思ってるのか!?」
「知らんわ! ってかこれはダメだって言ってんでしょおおおおお!!?」
ブレない青木長官にガチギレするアルト。エルバッハが腕を組んで考え込む。
「……ここで私もお色気ポーズしたらどうなりますかね」
「えっ。火に油注ぎます? エルバッハさん鬼ですね!?」
「こういう場に来て笑いもしない、笑いも取らずに終わったら癪じゃないですか」
「そういう問題じゃない気がしますけど……!」
淡々と言う彼女にデッカイ冷や汗を流すサクラ。ノノトトは海老のような状態で器用にえっへんと胸を張った。
「残念! ボクは誰にでも反応するワケじゃないよ! めいちゃんだから反応したんだ!!」
「……へえ。そうですか」
「あっ。エルバッハさんやめて踏まないで何か癖になりそう」
ヒールのあるブーツでグリグリとノノトトを踏みつけるエルバッハ。
目を爛々とさせたハナが青木教官に迫る。
「というか社会的にアウトを目指すなら、小生青木教官を剥きたいですぅ! 脱ぎましょう教官! 世がそれを望んでますぅ!」
「えー。えっちなのはダメだと思うよ」
「そうですよ! 脱いでしまってはビキニアーマーの強化が出来ないじゃないですか!」
リューリの良心の訴え。こんな状況でも訓練を続けようというサクラ。
何という涙ぐましい努力か……!
まあ、男性陣は一切そんなこと気にしてないみたいですけどね!
「あっ。じゃあ僕が脱いであげよっか!」
「おっ。俺も脱いでやってもいいぜぇ!!」
「黙れこの変態どもがあああああ!! いくよ! リューリちゃん!」
「うん! アルトちゃん! 愛と友情のツープラトン……食らえーーー!!」
アルトとリューリのキックが綺麗な弧を描いてハナとグラディート、昶、ノノトトを吹き飛ばす……!
「何てことでしょぉ、変態を誇りたいだけなのに世知辛い世の中ですぅ……!」
「あはははーー! お星さま初体験ーーー!!」
「ハッハー! かーぎやーーー!!」
「何でボクまでえええええええええ!!?」
キラーン☆
デデーン! グラディート、昶、アウトーーー!!!
「…………!?」
毛布を跳ね除け、起き上がったアルト。
仲間達と宿屋で酒盛りをしていたら、いつの間にか眠っていたらしい。
――何だか、すごく嫌な夢を見ていたような……。
額を流れる汗。
隣にいるリューリがプルプルと震えているのに気づいて、そっと肩を叩く。
「リューリちゃん、大丈夫……?」
「あ、アルトちゃん、今ね、燕太郎さんが……っ」
最後まで言えずにぶーーーっと吹き出す彼女。
どうやら震えていたのは笑っていたらしい。何か面白い夢でも見ていたのだろうか。
その横では、昶とグラディートが寝ながら大爆笑している。
そしてノノトトとサクラが酷く疲れた顔をしていて……エルバッハが恐る恐る声をかける。
「お二人ともヒドイ顔してますけど大丈夫ですか……?」
「はい。ちょっと夢見が悪くて……」
「うん。青木が出てきて……ボクあの歪虚あんまり知らないはずなんだけどな……」
「あら偶然ですね。私も青木の夢を見ていましたよ」
「あ、私もですよぅ。あともうちょっとで剥けそうだったのにぃ……」
「え。本当? ボクもなんだけど……」
ハナとアルトの声に顔を見合わせるハンター達。
揃いも揃って青木の夢を見るとは……これも何かの悪戯というやつだろうか。
ともあれ、皆疲れているようだし、部屋に戻ってきちんと寝直した方がいいかもしれない。
頷き合いそれぞれの部屋に向おうとしたその時――耳元で、デデーン! という聞き慣れた音が聞こえた。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
- 羊谷 めい(ka0669)
マテリアルリンク参加者一覧
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/10/31 21:52:55 |