ゲスト
(ka0000)
【天誓】鉄靴令嬢の華やかなる戦い
マスター:ゆくなが

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~4人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/11/13 12:00
- 完成日
- 2017/11/22 01:04
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
華やかなる、ある女騎士の話。
その女の具足に対する情熱は並々ならぬものがあった。ことに、装飾する、という点において。
その鎧の踵は印象的であった。
舞踏用の靴のごとくとても高いヒールなのである。
ついたあだ名が『鉄靴令嬢』。その鉄靴で女は戦場を駆け抜けた。
舞うように、踊るように、槍をふるい、敵と味方の注目を一身に受けながら。
彼女こそ、戦場の華。戦の正義はここにありといわんばかりに。
その女騎士の名は――――
「妾の名前をとくとその胸に刻むが良い! 我こそは、アラベラ・クララ! この戦さ場における正義と華を引き受ける騎士の名前だ!」
と、いうのが表向きの伝承だ。
アラベラの実態はただの「目立ちたがり」である。
彼女は、幼少期よりナイトハルトの北部制圧の武勇を聞かされて育った。そして、いつしかこう思うようになった。
「この世でもっとも目立てる舞台は、北部の戦さ場にあるのだ」と。
成長したアラベラは騎士となり、北部制圧に加わった。
彼女にとって、「目立つ」ことが至上の目的である。故に、観客は多い方がいいという理由で市街地での戦闘も辞さない、むしろ嬉々として行う問題行動も多々見られた。
しかし、大勢の敵軍にひるまず、先陣を切る彼女の戦果は絶大であった。
友軍、敵軍、その注視を一心に受け、美貌を歓喜にほころばせながら彼女は戦った。
そして、彼女はより目立つために鎧の踵をハイヒールのように、いやそれ以上に高く作らせた。偉丈夫の立ち並ぶ戦場で、女の身の丈でも十分に目立てるように、と
踵に限らず、彼女の装飾熱は機能美を一切排したものだった。
鎧には、どんなに重くなろうがあらゆる技巧を凝らした意匠を施させ、外套は縦横に金糸銀糸の刺繍を巡らせ緞子のようだった。首には宝石の飾りをまとい、髪は結い上げて華の簪をさす。それもこれも、ただ「目立つ」という目的のためにおこなわれたのだ。
そして、彼女にも終焉が訪れる。それはやはり、大勢の敵軍を前にしてのことだった。
彼女は臆することなく立ち向かおうとした。しかし、この時ばかりは友軍も止めたのだった。
「いくらあなた様といえ、あの大軍勢に立ち向かってはただではすみません。死んでしまうでしょう。どうぞおやめくださいまし」
この言葉を受けて、アラベラは美しく笑ったという。
「では、そなたの心は妾を想ってくれているのですね。妾にとってはそれだけで、充分なのです」
こう言ったきり、外套をはためかせ戦場へ向かって行ったのだ。
きっと彼女は愉悦していたのだ。心配しているとはいえ、味方の心が彼女に向かっている。それだけで戦場に向かうには充分すぎる理由だったのだ。
かくして彼女は死んでしまった。
敵軍の斬撃、刺突、征矢、悪罵に嘲笑をうけて、笑いながら死んで行った。
その最期は、ぞっとするほど華やかで、美しい戦いぶりだったそうな。
そして現在――――
ある草原で、複数の甲冑のスケルトンを前にして。
アラベラは英霊として顕現していた。
「ふむ。いささか敵の数が足りませんね。それに君たち、あまり華やかではありません。妾の敵として不適当です。敵も味方も華やかに限ります。ですので、君たちごときに消滅させられるわけにはいきませんね」
アラベラは生前と同じく、敵に囲まれる喜びを噛み締めていた。
そして――――
「東西東西! 妾の名前をとくとその胸に刻むが良い! 我こそは、アラベラ・クララ! この戦さ場における正義と華を引き受ける騎士の名前だ!」
彼女はやはり名乗っていた。
敵に自分自身を知らしめるために。
「さあ、華やかなる戦いに興じようではないか!」
より、目立つために。
彼女の目指す、華やかなる戦いのために。
その女の具足に対する情熱は並々ならぬものがあった。ことに、装飾する、という点において。
その鎧の踵は印象的であった。
舞踏用の靴のごとくとても高いヒールなのである。
ついたあだ名が『鉄靴令嬢』。その鉄靴で女は戦場を駆け抜けた。
舞うように、踊るように、槍をふるい、敵と味方の注目を一身に受けながら。
彼女こそ、戦場の華。戦の正義はここにありといわんばかりに。
その女騎士の名は――――
「妾の名前をとくとその胸に刻むが良い! 我こそは、アラベラ・クララ! この戦さ場における正義と華を引き受ける騎士の名前だ!」
と、いうのが表向きの伝承だ。
アラベラの実態はただの「目立ちたがり」である。
彼女は、幼少期よりナイトハルトの北部制圧の武勇を聞かされて育った。そして、いつしかこう思うようになった。
「この世でもっとも目立てる舞台は、北部の戦さ場にあるのだ」と。
成長したアラベラは騎士となり、北部制圧に加わった。
彼女にとって、「目立つ」ことが至上の目的である。故に、観客は多い方がいいという理由で市街地での戦闘も辞さない、むしろ嬉々として行う問題行動も多々見られた。
しかし、大勢の敵軍にひるまず、先陣を切る彼女の戦果は絶大であった。
友軍、敵軍、その注視を一心に受け、美貌を歓喜にほころばせながら彼女は戦った。
そして、彼女はより目立つために鎧の踵をハイヒールのように、いやそれ以上に高く作らせた。偉丈夫の立ち並ぶ戦場で、女の身の丈でも十分に目立てるように、と
踵に限らず、彼女の装飾熱は機能美を一切排したものだった。
鎧には、どんなに重くなろうがあらゆる技巧を凝らした意匠を施させ、外套は縦横に金糸銀糸の刺繍を巡らせ緞子のようだった。首には宝石の飾りをまとい、髪は結い上げて華の簪をさす。それもこれも、ただ「目立つ」という目的のためにおこなわれたのだ。
そして、彼女にも終焉が訪れる。それはやはり、大勢の敵軍を前にしてのことだった。
彼女は臆することなく立ち向かおうとした。しかし、この時ばかりは友軍も止めたのだった。
「いくらあなた様といえ、あの大軍勢に立ち向かってはただではすみません。死んでしまうでしょう。どうぞおやめくださいまし」
この言葉を受けて、アラベラは美しく笑ったという。
「では、そなたの心は妾を想ってくれているのですね。妾にとってはそれだけで、充分なのです」
こう言ったきり、外套をはためかせ戦場へ向かって行ったのだ。
きっと彼女は愉悦していたのだ。心配しているとはいえ、味方の心が彼女に向かっている。それだけで戦場に向かうには充分すぎる理由だったのだ。
かくして彼女は死んでしまった。
敵軍の斬撃、刺突、征矢、悪罵に嘲笑をうけて、笑いながら死んで行った。
その最期は、ぞっとするほど華やかで、美しい戦いぶりだったそうな。
そして現在――――
ある草原で、複数の甲冑のスケルトンを前にして。
アラベラは英霊として顕現していた。
「ふむ。いささか敵の数が足りませんね。それに君たち、あまり華やかではありません。妾の敵として不適当です。敵も味方も華やかに限ります。ですので、君たちごときに消滅させられるわけにはいきませんね」
アラベラは生前と同じく、敵に囲まれる喜びを噛み締めていた。
そして――――
「東西東西! 妾の名前をとくとその胸に刻むが良い! 我こそは、アラベラ・クララ! この戦さ場における正義と華を引き受ける騎士の名前だ!」
彼女はやはり名乗っていた。
敵に自分自身を知らしめるために。
「さあ、華やかなる戦いに興じようではないか!」
より、目立つために。
彼女の目指す、華やかなる戦いのために。
リプレイ本文
「おや、なんですか、君たちは」
アラベラが誰何を問う。
「通りすがりのハンターだよ」
猫のように軽やかな足取りでやって来た南條 真水(ka2377)はにっこり笑う。笑顔のお手本のような笑顔は、だから底のしれないものがあった。
「説得するにもまず骨が邪魔だね」
エリオ・アスコリ(ka5928)が緑の瞳で戦場を見渡して言う。
アラベラを囲むように、剣士のスケルトンが4体、弓使いのスケルトンが2体だ。スケルトンたちはハンターたちの登場に様子を見ているのだった。
「新しい観客でしょうか。でしたら、また名乗りから――」
「アラベラ・クララ。伝承で存じています」
シルヴィア・オーウェン(ka6372)がそう告げると、アラベラはまんざらでもない様子で、「それは光栄ですね」と言うのだった。
「君たち、その装備は本物ですね。戦士とお見受けしました。本当に、観客かしら?」
「否――私は、輝きに来た」
グレンデル・フォトンヘッド(ka6894)が前にでて、胸を張る。頼もしい表情で言っているのだろうが、雄々しく輝く被り物のせいでよく見えない。
「つまり――あなたたちも、この戦場の華と戯れたいのですね」
アラベラが、妖艶に笑う。
「人は多ければ多いだけ良いものです。さあ、はじめましょう? このアラベラの華やかなる戦いを――!」
すると、アラベラの体から、花びらのようなマテリアルが吹き荒れた。
彼女が英雄譚から授けられた能力の一つ『傾注』。闘狩人のソウルトーチと効果は同じだが、アラベラの場合はさらに攻撃力を上昇させるのだ。
スケルトンたちも動きだす。そこへアラベラの渾身の一撃が炸裂した。
スケルトンは、それだけで致命傷だった。
アラベラが、英雄譚により付与された力は二つ。『傾注』と、もう一つは――
「ふふん、数が増えて妾も体が軽くなりました」
『多勢歓迎』。敵味方問わず、戦場の人数が多ければ多いほどアラベラの攻撃力が上乗せされる、まさに一騎当千の能力だった。
「どこまでもつかわからぬが、全員にプロテクションをかけておく――では、参るぞ!」
グレンデルの光る被り物が突然回り出し、覚醒を示唆する。
ハンターたちは駆け出した。まずはスケルトンを掃討する作戦だ。
アラベラの傾注の効果は、スケルトンはもちろんハンターにも効いている。
「これが絶火の騎士の力……!」
エリオは、弓のスケルトンを破壊しようとするが、如何せん視線がアラベラに巻きついて離れない。
その隙を埋めるようにシルヴィアの衝撃波が、はっしと飛んでいき、スケルトンを斬り裂いた。
「妾を無視するおつもりですか?」
アラベラは、視線を引き剥がそうとするエリオに言う。
「ボクらは、あなたと戦いにきたわけじゃないんだ」
「あら、寂しい」
アラベラの切っ先が、エリオに狙いをつける。突進しようとしたその刹那、戦場がまばゆい輝きで満ちた。
「相手が誰であろうと輝くのみ……!」
グレンデルがシャインを発動したために、武器が輝いているのだ。
「なんと! 武器が輝くのですか!?」
その眩さに思わず目を細めるアラベラ。
「そうとも! 輝くことが――私の使命にして宿命であるッ!」
「なんと美しいスキルでしょう。妾の輝きも負けてはいられませんね」
アラベラは外套を花弁のように閃かせ、舞うように、手近なスケルトンを鉄靴で斬りつけ、外套の重みを利用して、くるりと一回転、そのまま敵の横っ面に槍を叩き込んだ。
「さあ、さあ、お立合い。今世に舞い戻りし英霊鉄靴令嬢の初舞台。最後までお付き合いのほど、いやさお突き合いのほどよろしくお願いいたしまする」
かくして三つ巴の戦いの火蓋が切っておとされたのだ。
「みんな、スケルトンを狙えてる!?」
エリオが全員に呼びかける。エリオは全体を見渡して、趨勢を見極めていた。
アラベラの傾注は強力で、いくつかの攻撃はアラベラの方へ流れてしまうのだった。
アラベラはハンターとスケルトンの攻撃の只中にいて笑っていた。
「アラベラさん、消滅するのが怖くないのかい?」
エリオがアラベラに問う。絶火の騎士であるだけに、アラベラの体力は高い。しかし、ダメージが蓄積すれば、いずれは底をつく。
エリオはアラベラの体力を見極めつつ、敵を掃討していた。
「注視の愉悦の前では、そのような恐怖、取るに足りませんね」
アラベラは舞うように、踊るように槍を、ヒールをふるう。その度に花びらのようなマテリアルが吹き荒れて、視線を釘付けにするのだ。
「一体、その熱はどこから来るのかね」
真水はアラベラを横目で見る。
「見つめられれば、自然高ぶるものじゃありません?」
「そんなものかな。南條さんにはわからないや」
真水は淡々とクライアを展開する。時針分針秒針、三叉の光の奔流が敵を掠めて飛んで行った。
「エリオさん!」
「わかった!」
弓のスケルトンが一列に並んだ。その刹那、エリオの蒼海龍波が炸裂し、波濤の如き龍が敵を喰いちぎる。
「その間合い、断たせてもらいます」
シルヴィアが剣を体に引きつける。そして、一呼吸、相手の動きを見極めて、一気に振り抜いた。
斬撃は、空気を、スケルトンを切り裂いて飛んでいった。
その様をアラベラは不思議な面持ちで見ていた。彼女はその性質から、生まれついてのワンマンプレイヤーなので、味方との気の利いた連携攻撃などはしたことがなかったのだ。
「……面白いですね。もう1回みせてくださいません?」
なんて呑気なことを言いはじめた。
「いくらでも魅せてあげるさ。それまで倒れないでよ!」
「ええ、是非。では、妾も好きにやるといたしましょう」
アラベラがシルヴィアに向かって飛んでいき、槍の刺突を放った。
しかし、その間にグレンデルが割って入り、脇腹から血を流す。
「グレンデルさん、大丈夫ですか!?」
グレンデルの被り物が力強く発光し、生気を証明していた。
「なるほど。君たちは面白い相手ではあるようです」
「面白いでは、足りないな……!」
グレンデルが、答える。息も絶え絶えであるが、力強い語調だ。
スケルトンも絶火の騎士を相手にしに来ただけあってとても強い。アラベラとスケルトンを同時に相手にするのは難しかった。
「私の輝きがこの程度で終わるはずがないだろう……!」
「そうだよ。アラベラ・クララ――君には聞きたいことがあるんだ」
真水も、腿に篦深く刺さった矢で重傷であった。
「そうさ。もっと、ボクたちの方を見てよ、アラベラさん。ボクたちの戦いを魅せつけてあげるからさ」
エリオは不敵に笑って言うのだった。
傾注の効果も、そろそろ時間切れだった。
度重なる範囲攻撃により、弓持ちは残り1体。
スケルトンたちは、ハンターたちへの警戒を強くし、徐々にアラベラ以外にも注意を向けてきていた。
シルヴィアが飛んできた矢を弾いた。
「エリオさん! 今です!」
「了解。片付けるよ!」
エリオの拳に続いて、さらにシルヴィアの衝撃波が、敵を打ち据えた。
「そして、妾の攻撃!」
なんと、シルヴィアの攻撃に続くようにアラベラが槍を振るったのだ。
「ふむ、連携攻撃とは、こういう感じなのですね」
アラベラの強打を受けた弓持ちのスケルトンががらがらと崩れ、塵になって言った。
しかし、息をつく暇もなく、アラベラは振り返ってシルヴィアへと襲いかかる。
「君、今の攻撃といい、目立つことよりも、味方と連携することを重視しているようですが――きれいな顔をしているだけに勿体無い。どうして目立とうとしないのです?」
「私の戦い方は華やかさとは縁遠いものではあるかもしれません……ですが……そんな私でも、きっと美しいものを見せることができるはずです」
シルヴィアは、華やかさより機能を重視する人間だった。
――求めるのは、隊としての機能的な美しさ。
「それが、私の生き様。隊としての美しさもあるはずです」
槍を剣ではじき返し、シルヴィアが宣言する。肩からは血が出ていたが、グレンデルのプロテクションのおかげで、致命傷はさけられた。
「人にはそれぞれ信念があります。妾はそれを否定しません」
丁度、アラベラを中心に吹き荒れていたマテリアルの花吹雪が静まった。
「少しの間、力を貸してあげます。とっととあの無粋なスケルトンたちを倒してしまいなさい」
アラベラは傾注を再発動することなく、ハンターたちと一時的な共闘に応じた。
ほどなくして、スケルトンは殲滅された。今一度、アラベラとハンターたちが向かい合う。
「さて、これで邪魔者はいなくなりました。今度はあなたたちと――」
「待ってください」
シルヴィアが進み出て、対話を促す。そして、シルヴィアはずっと隠していた自分の血筋を明かした。
「私はゾンネンシュトラール帝国のオーウェンが娘。先達たる貴方とお話がしたいのです」
シルヴィアの正体は帝国貴族の末娘であった。身につけている鎧は皇帝ヴィルヘルミナと同じデザインの、赤い意匠が青に変更された鎧である。
「ゾンネンシュトラール帝国……?」
アラベラは首をかしげる。精霊は死んだ時点で記憶が止まっている。自分が英霊として蘇ったことは知っていても、現代の知識はなかった。故に、アラベラは北部が帝国となっていることを知らないのだ。
「知らない国ですが、その鎧の拵えから高貴な身分の方とお見受けしました。先ほどの戦いもあります。いいでしょう、話を聞きましょう」
アラベラは、槍の切っ先を下げて、対話に応じた。
さっそく真水が話を切り出した。
「鉄靴令嬢アラベラ・クララ――暴食王との決戦に興味はないかい? 戦いになれば、幻獣、鋼の巨人や空を征く船も参戦するだろう。大きな戦で、それらを背に引き連れ駆けたくないかな?」
「つまり、君たちの味方になれと?」
「そうさ。つまり、スカウト、だね」
ふむ、とアラベラは考える。
「こんなところより貴女がもっと華々しく輝ける戦場へご案内しましょう」
エリオも押しの一言を放つ。
「アラベラ殿――巨悪が迫っている。そして護るべき民がいる」
グレンデルも静かに語り出す。頭の輝きは荘厳な光をたたえていた。
「喝采を受けるべき貴女が民も居ないこの戦場で目立つとは如何に? 古今東西の伝説からなる英霊達と肩を並べ、一際輝いてみないか?」
「輝くことには大いに賛同しますしかし、あなたたちと敵対する方が面白いと思いますね」
アラベラには、敵すら自身の華やかさのための糧であった。だから、敵を選ぶ。今の彼女は、ハンターたちと戦う方が面白いと考えていた。
「よし、それじゃあ、こういうのはどうだい? アラベラ・クララ――」
――アイドルに興味はないかい?
と、真水は、人差し指を唇に当て、誘うように言った。
「誰より気高く、目立ち、愛される者。歌で、踊りで、視線で人々を熱狂させる者。地上にあって夜天より輝く星(スター)――それがアイドル」
「なんと、そんな妾にぴったりのものがあるのですか!?」
アラベラは身を乗り出した。
続いて、シルヴィアも説明する。
「あなたがかつて戦っていた北部は現在ゾンネンシュトラール帝国といって、その軍には『目立つことが職業』であるアイドルがいます」
「あなたたちに従えば、妾もアイドルになれると?」
「英霊アイドルって人気でると思うんだよね」
真水がさらにひと押しする。
自軍からの敬愛。それはただ戦果を上げるだけでは決して得られないものだった。
アラベラは、決して他人の話を聞かない人間ではない。他人の信念や美しさを認めた上で、華やかさを競っていただけなのだ。ただ、その性質は余人には理解し難く、自陣からは厄介者のように扱われていたのも事実。
それに、アラベラが戦っていたのはあくまで『目立つため』だ。
だから、もし『目立つこと』そのものが存在意義の職業があれば――
それが、時代の最先端だというのなら――
「先ほどの戦いで、あなたたちの太刀筋は拝見させていただきました。嘘をついているようには見えません。その言葉、本当のことと受け取らせていただきます」
アラベラは言う。
「新しい時代の可能性を感じました。あなたたちの要請に応じましょう――」
しかし、とアラベラは続ける。
「妾、戦い足りません。もうちょっと相手をしてくださらない?」
聖母のような微笑みで、戦鬼のようなことをいうアラベラ。
「じゃ、ちょっといいかな?」
真水が進み出た。
「さっきも言ったけど、聞きたいことがあるんだ」
「いいでしょう」
「南條さんには熱が足りないらしい。意志や矜持と言ってもいいね。それが似合わないのは理解してるけれど、やっぱり憧れるんだ。だから感じさせてほしい。伝承に謳われる英霊の熱を。焦がれる程に咲き誇る華の気高さを――」
真水は、再び武器を構える。
「鉄靴令嬢アラベラ・クララ。この南條真水と手合わせ願う――」
「ボクらは危なくなったら止めに入る――それでいいね?」
エリオは適当な場所に腰掛けて、戦いを見守る態勢だった。
「安心して。まさかお互い死ぬまでやるつもりはない。でも、万一の時は、頼むね」
「では尋常に――勝負!」
アラベラの周りに再び花嵐のマテリアルが吹き荒れる。
真水も、眼鏡の奥の瞳を爛々と輝かせ、機導剣を展開した。
「何かを、見つけられましたか?」
草原を、爽やかな風が吹き抜ける。
真水とアラベラは武器を杖代わりにして、立っていた。
アラベラは、全力で相手をした。傾注を使い、花吹雪をまとい、外套を翻し、鉄靴をふるい、槍を突き刺し、伝承通りの華やかさでもって真水を迎え撃った。
数度の打ち合いの後、真水はケルキオンで動きを封じ込め、メルトによって魔力を収束した機導剣でアラベラを袈裟斬りにした。アラベラの鎧はそれに破壊され傷も深かったが、彼女はうっとり笑っていた。そして反撃とばかりに、ケルキオンすら貫く一撃をお見舞いしたのだった。
スケルトン戦でのダメージもあり、真水も、アラベラも、もう戦う力はなかった。
「あなた、熱が足りない、と言いましたね。熱というのはなにも熱いだけではありません。凍てつくように冷たいのも、人肌のように温みがあるのも、同じように熱なのではないしかしら」
アラベラはそっと問いかける。
「どっちにしろ、難儀なことだね」
気だるそうに真水は答えた。ずれたぐるぐる眼鏡から赤紫の瞳が覗いていた。
「ごめん、手間かけたね。それじゃ、帰ろうか」と真水が言う。
「それではアラベラさん。これから帝都に向かいましょう。そこで陛下や大精霊のサンデルマンさんからお話があるはずです」シルヴィアが説明した。
「グレンデルさん、怪我ひどいけど、大丈夫?」エリオが心配するも、
「何のこれしき! さあ、我が輝きで案内しよう!」まだ輝いている武器を掲げ、グレンデルは言うのだった。
華やかなる戦いは、ここで一旦の終わりである。
アラベラが誰何を問う。
「通りすがりのハンターだよ」
猫のように軽やかな足取りでやって来た南條 真水(ka2377)はにっこり笑う。笑顔のお手本のような笑顔は、だから底のしれないものがあった。
「説得するにもまず骨が邪魔だね」
エリオ・アスコリ(ka5928)が緑の瞳で戦場を見渡して言う。
アラベラを囲むように、剣士のスケルトンが4体、弓使いのスケルトンが2体だ。スケルトンたちはハンターたちの登場に様子を見ているのだった。
「新しい観客でしょうか。でしたら、また名乗りから――」
「アラベラ・クララ。伝承で存じています」
シルヴィア・オーウェン(ka6372)がそう告げると、アラベラはまんざらでもない様子で、「それは光栄ですね」と言うのだった。
「君たち、その装備は本物ですね。戦士とお見受けしました。本当に、観客かしら?」
「否――私は、輝きに来た」
グレンデル・フォトンヘッド(ka6894)が前にでて、胸を張る。頼もしい表情で言っているのだろうが、雄々しく輝く被り物のせいでよく見えない。
「つまり――あなたたちも、この戦場の華と戯れたいのですね」
アラベラが、妖艶に笑う。
「人は多ければ多いだけ良いものです。さあ、はじめましょう? このアラベラの華やかなる戦いを――!」
すると、アラベラの体から、花びらのようなマテリアルが吹き荒れた。
彼女が英雄譚から授けられた能力の一つ『傾注』。闘狩人のソウルトーチと効果は同じだが、アラベラの場合はさらに攻撃力を上昇させるのだ。
スケルトンたちも動きだす。そこへアラベラの渾身の一撃が炸裂した。
スケルトンは、それだけで致命傷だった。
アラベラが、英雄譚により付与された力は二つ。『傾注』と、もう一つは――
「ふふん、数が増えて妾も体が軽くなりました」
『多勢歓迎』。敵味方問わず、戦場の人数が多ければ多いほどアラベラの攻撃力が上乗せされる、まさに一騎当千の能力だった。
「どこまでもつかわからぬが、全員にプロテクションをかけておく――では、参るぞ!」
グレンデルの光る被り物が突然回り出し、覚醒を示唆する。
ハンターたちは駆け出した。まずはスケルトンを掃討する作戦だ。
アラベラの傾注の効果は、スケルトンはもちろんハンターにも効いている。
「これが絶火の騎士の力……!」
エリオは、弓のスケルトンを破壊しようとするが、如何せん視線がアラベラに巻きついて離れない。
その隙を埋めるようにシルヴィアの衝撃波が、はっしと飛んでいき、スケルトンを斬り裂いた。
「妾を無視するおつもりですか?」
アラベラは、視線を引き剥がそうとするエリオに言う。
「ボクらは、あなたと戦いにきたわけじゃないんだ」
「あら、寂しい」
アラベラの切っ先が、エリオに狙いをつける。突進しようとしたその刹那、戦場がまばゆい輝きで満ちた。
「相手が誰であろうと輝くのみ……!」
グレンデルがシャインを発動したために、武器が輝いているのだ。
「なんと! 武器が輝くのですか!?」
その眩さに思わず目を細めるアラベラ。
「そうとも! 輝くことが――私の使命にして宿命であるッ!」
「なんと美しいスキルでしょう。妾の輝きも負けてはいられませんね」
アラベラは外套を花弁のように閃かせ、舞うように、手近なスケルトンを鉄靴で斬りつけ、外套の重みを利用して、くるりと一回転、そのまま敵の横っ面に槍を叩き込んだ。
「さあ、さあ、お立合い。今世に舞い戻りし英霊鉄靴令嬢の初舞台。最後までお付き合いのほど、いやさお突き合いのほどよろしくお願いいたしまする」
かくして三つ巴の戦いの火蓋が切っておとされたのだ。
「みんな、スケルトンを狙えてる!?」
エリオが全員に呼びかける。エリオは全体を見渡して、趨勢を見極めていた。
アラベラの傾注は強力で、いくつかの攻撃はアラベラの方へ流れてしまうのだった。
アラベラはハンターとスケルトンの攻撃の只中にいて笑っていた。
「アラベラさん、消滅するのが怖くないのかい?」
エリオがアラベラに問う。絶火の騎士であるだけに、アラベラの体力は高い。しかし、ダメージが蓄積すれば、いずれは底をつく。
エリオはアラベラの体力を見極めつつ、敵を掃討していた。
「注視の愉悦の前では、そのような恐怖、取るに足りませんね」
アラベラは舞うように、踊るように槍を、ヒールをふるう。その度に花びらのようなマテリアルが吹き荒れて、視線を釘付けにするのだ。
「一体、その熱はどこから来るのかね」
真水はアラベラを横目で見る。
「見つめられれば、自然高ぶるものじゃありません?」
「そんなものかな。南條さんにはわからないや」
真水は淡々とクライアを展開する。時針分針秒針、三叉の光の奔流が敵を掠めて飛んで行った。
「エリオさん!」
「わかった!」
弓のスケルトンが一列に並んだ。その刹那、エリオの蒼海龍波が炸裂し、波濤の如き龍が敵を喰いちぎる。
「その間合い、断たせてもらいます」
シルヴィアが剣を体に引きつける。そして、一呼吸、相手の動きを見極めて、一気に振り抜いた。
斬撃は、空気を、スケルトンを切り裂いて飛んでいった。
その様をアラベラは不思議な面持ちで見ていた。彼女はその性質から、生まれついてのワンマンプレイヤーなので、味方との気の利いた連携攻撃などはしたことがなかったのだ。
「……面白いですね。もう1回みせてくださいません?」
なんて呑気なことを言いはじめた。
「いくらでも魅せてあげるさ。それまで倒れないでよ!」
「ええ、是非。では、妾も好きにやるといたしましょう」
アラベラがシルヴィアに向かって飛んでいき、槍の刺突を放った。
しかし、その間にグレンデルが割って入り、脇腹から血を流す。
「グレンデルさん、大丈夫ですか!?」
グレンデルの被り物が力強く発光し、生気を証明していた。
「なるほど。君たちは面白い相手ではあるようです」
「面白いでは、足りないな……!」
グレンデルが、答える。息も絶え絶えであるが、力強い語調だ。
スケルトンも絶火の騎士を相手にしに来ただけあってとても強い。アラベラとスケルトンを同時に相手にするのは難しかった。
「私の輝きがこの程度で終わるはずがないだろう……!」
「そうだよ。アラベラ・クララ――君には聞きたいことがあるんだ」
真水も、腿に篦深く刺さった矢で重傷であった。
「そうさ。もっと、ボクたちの方を見てよ、アラベラさん。ボクたちの戦いを魅せつけてあげるからさ」
エリオは不敵に笑って言うのだった。
傾注の効果も、そろそろ時間切れだった。
度重なる範囲攻撃により、弓持ちは残り1体。
スケルトンたちは、ハンターたちへの警戒を強くし、徐々にアラベラ以外にも注意を向けてきていた。
シルヴィアが飛んできた矢を弾いた。
「エリオさん! 今です!」
「了解。片付けるよ!」
エリオの拳に続いて、さらにシルヴィアの衝撃波が、敵を打ち据えた。
「そして、妾の攻撃!」
なんと、シルヴィアの攻撃に続くようにアラベラが槍を振るったのだ。
「ふむ、連携攻撃とは、こういう感じなのですね」
アラベラの強打を受けた弓持ちのスケルトンががらがらと崩れ、塵になって言った。
しかし、息をつく暇もなく、アラベラは振り返ってシルヴィアへと襲いかかる。
「君、今の攻撃といい、目立つことよりも、味方と連携することを重視しているようですが――きれいな顔をしているだけに勿体無い。どうして目立とうとしないのです?」
「私の戦い方は華やかさとは縁遠いものではあるかもしれません……ですが……そんな私でも、きっと美しいものを見せることができるはずです」
シルヴィアは、華やかさより機能を重視する人間だった。
――求めるのは、隊としての機能的な美しさ。
「それが、私の生き様。隊としての美しさもあるはずです」
槍を剣ではじき返し、シルヴィアが宣言する。肩からは血が出ていたが、グレンデルのプロテクションのおかげで、致命傷はさけられた。
「人にはそれぞれ信念があります。妾はそれを否定しません」
丁度、アラベラを中心に吹き荒れていたマテリアルの花吹雪が静まった。
「少しの間、力を貸してあげます。とっととあの無粋なスケルトンたちを倒してしまいなさい」
アラベラは傾注を再発動することなく、ハンターたちと一時的な共闘に応じた。
ほどなくして、スケルトンは殲滅された。今一度、アラベラとハンターたちが向かい合う。
「さて、これで邪魔者はいなくなりました。今度はあなたたちと――」
「待ってください」
シルヴィアが進み出て、対話を促す。そして、シルヴィアはずっと隠していた自分の血筋を明かした。
「私はゾンネンシュトラール帝国のオーウェンが娘。先達たる貴方とお話がしたいのです」
シルヴィアの正体は帝国貴族の末娘であった。身につけている鎧は皇帝ヴィルヘルミナと同じデザインの、赤い意匠が青に変更された鎧である。
「ゾンネンシュトラール帝国……?」
アラベラは首をかしげる。精霊は死んだ時点で記憶が止まっている。自分が英霊として蘇ったことは知っていても、現代の知識はなかった。故に、アラベラは北部が帝国となっていることを知らないのだ。
「知らない国ですが、その鎧の拵えから高貴な身分の方とお見受けしました。先ほどの戦いもあります。いいでしょう、話を聞きましょう」
アラベラは、槍の切っ先を下げて、対話に応じた。
さっそく真水が話を切り出した。
「鉄靴令嬢アラベラ・クララ――暴食王との決戦に興味はないかい? 戦いになれば、幻獣、鋼の巨人や空を征く船も参戦するだろう。大きな戦で、それらを背に引き連れ駆けたくないかな?」
「つまり、君たちの味方になれと?」
「そうさ。つまり、スカウト、だね」
ふむ、とアラベラは考える。
「こんなところより貴女がもっと華々しく輝ける戦場へご案内しましょう」
エリオも押しの一言を放つ。
「アラベラ殿――巨悪が迫っている。そして護るべき民がいる」
グレンデルも静かに語り出す。頭の輝きは荘厳な光をたたえていた。
「喝采を受けるべき貴女が民も居ないこの戦場で目立つとは如何に? 古今東西の伝説からなる英霊達と肩を並べ、一際輝いてみないか?」
「輝くことには大いに賛同しますしかし、あなたたちと敵対する方が面白いと思いますね」
アラベラには、敵すら自身の華やかさのための糧であった。だから、敵を選ぶ。今の彼女は、ハンターたちと戦う方が面白いと考えていた。
「よし、それじゃあ、こういうのはどうだい? アラベラ・クララ――」
――アイドルに興味はないかい?
と、真水は、人差し指を唇に当て、誘うように言った。
「誰より気高く、目立ち、愛される者。歌で、踊りで、視線で人々を熱狂させる者。地上にあって夜天より輝く星(スター)――それがアイドル」
「なんと、そんな妾にぴったりのものがあるのですか!?」
アラベラは身を乗り出した。
続いて、シルヴィアも説明する。
「あなたがかつて戦っていた北部は現在ゾンネンシュトラール帝国といって、その軍には『目立つことが職業』であるアイドルがいます」
「あなたたちに従えば、妾もアイドルになれると?」
「英霊アイドルって人気でると思うんだよね」
真水がさらにひと押しする。
自軍からの敬愛。それはただ戦果を上げるだけでは決して得られないものだった。
アラベラは、決して他人の話を聞かない人間ではない。他人の信念や美しさを認めた上で、華やかさを競っていただけなのだ。ただ、その性質は余人には理解し難く、自陣からは厄介者のように扱われていたのも事実。
それに、アラベラが戦っていたのはあくまで『目立つため』だ。
だから、もし『目立つこと』そのものが存在意義の職業があれば――
それが、時代の最先端だというのなら――
「先ほどの戦いで、あなたたちの太刀筋は拝見させていただきました。嘘をついているようには見えません。その言葉、本当のことと受け取らせていただきます」
アラベラは言う。
「新しい時代の可能性を感じました。あなたたちの要請に応じましょう――」
しかし、とアラベラは続ける。
「妾、戦い足りません。もうちょっと相手をしてくださらない?」
聖母のような微笑みで、戦鬼のようなことをいうアラベラ。
「じゃ、ちょっといいかな?」
真水が進み出た。
「さっきも言ったけど、聞きたいことがあるんだ」
「いいでしょう」
「南條さんには熱が足りないらしい。意志や矜持と言ってもいいね。それが似合わないのは理解してるけれど、やっぱり憧れるんだ。だから感じさせてほしい。伝承に謳われる英霊の熱を。焦がれる程に咲き誇る華の気高さを――」
真水は、再び武器を構える。
「鉄靴令嬢アラベラ・クララ。この南條真水と手合わせ願う――」
「ボクらは危なくなったら止めに入る――それでいいね?」
エリオは適当な場所に腰掛けて、戦いを見守る態勢だった。
「安心して。まさかお互い死ぬまでやるつもりはない。でも、万一の時は、頼むね」
「では尋常に――勝負!」
アラベラの周りに再び花嵐のマテリアルが吹き荒れる。
真水も、眼鏡の奥の瞳を爛々と輝かせ、機導剣を展開した。
「何かを、見つけられましたか?」
草原を、爽やかな風が吹き抜ける。
真水とアラベラは武器を杖代わりにして、立っていた。
アラベラは、全力で相手をした。傾注を使い、花吹雪をまとい、外套を翻し、鉄靴をふるい、槍を突き刺し、伝承通りの華やかさでもって真水を迎え撃った。
数度の打ち合いの後、真水はケルキオンで動きを封じ込め、メルトによって魔力を収束した機導剣でアラベラを袈裟斬りにした。アラベラの鎧はそれに破壊され傷も深かったが、彼女はうっとり笑っていた。そして反撃とばかりに、ケルキオンすら貫く一撃をお見舞いしたのだった。
スケルトン戦でのダメージもあり、真水も、アラベラも、もう戦う力はなかった。
「あなた、熱が足りない、と言いましたね。熱というのはなにも熱いだけではありません。凍てつくように冷たいのも、人肌のように温みがあるのも、同じように熱なのではないしかしら」
アラベラはそっと問いかける。
「どっちにしろ、難儀なことだね」
気だるそうに真水は答えた。ずれたぐるぐる眼鏡から赤紫の瞳が覗いていた。
「ごめん、手間かけたね。それじゃ、帰ろうか」と真水が言う。
「それではアラベラさん。これから帝都に向かいましょう。そこで陛下や大精霊のサンデルマンさんからお話があるはずです」シルヴィアが説明した。
「グレンデルさん、怪我ひどいけど、大丈夫?」エリオが心配するも、
「何のこれしき! さあ、我が輝きで案内しよう!」まだ輝いている武器を掲げ、グレンデルは言うのだった。
華やかなる戦いは、ここで一旦の終わりである。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/11/08 06:25:06 |
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相談卓 エリオ・アスコリ(ka5928) 人間(クリムゾンウェスト)|17才|男性|格闘士(マスターアームズ) |
最終発言 2017/11/12 19:14:23 |