• 陶曲

【陶曲】麗しき人形―Erica01―

マスター:佐倉眸

シナリオ形態
シリーズ(新規)
難易度
普通
オプション
  • relation
参加費
1,300
参加制限
-
参加人数
3~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2017/11/29 12:00
完成日
2017/12/05 00:11

みんなの思い出

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オープニング


――春の物語。
 愛する人に先立たれた可哀想な娘は、寂しく暮らしていました。
 ある日、娘は魔法使いの弟子に出逢い、娘と友達になった弟子は、娘を魔法使いの元へ連れて行きました。
 弟子の頼みを聞いた魔法使いの特別な力で、娘も魔法使いとなり、自らの魔法で愛する人を蘇らせました。
 そして、2人はいつまでも幸せに暮らしました……

 魔法使いとなる途中で悪しき力の妨害を受けた娘は魔法使いにはなれず、1人で寂しく死んでしまいました。

――夏の物語。
 青年は愛する人の探し物を手伝っていました。
 ある日、魔法使いに探し物を隠し持っている化け物と戦うための力を授けられ、その場所を教えて貰いました。
 青年は愛する人を連れて探し物を取りに向かい、ついに化け物を倒して探し物を愛する人に差し出しました。
 愛する人はとても喜んで、2人は多くの祝福の元、いつまでも幸せに暮らしました……

 探し物の元へ向かう途中青年は悪しき力に殺されました。
 さらに、悪しき力は青年の愛する人と探し物を永劫に遠ざけて仕舞いました。

 こんなものは、私が可愛い娘に見せたい物語では無い。
 と、嗄れた声が言う。


 同盟一帯の騒がしさは、この小さな歪虚にも伝わって、新しい物語を探すべく動いていたそれは、この一時を、留まって過ごすことを決めた。
 ヴァリオスの高級住宅街の一角、以前騒ぎを起こしたその近くに、色取り取りのエリカが鬱蒼とした屋敷が構えられている。
 主を失って長く、所々が崩れ掛かったその廃屋に近付く者はいない。
 人形の歪虚が棲み着いて、その屋敷から声がするという話しが囁かれるようになった。
 嗄れた男の声だという。
 どことなく優しい口調で、何かを語り聞かせているような。
 もしかしたら、この家に実は誰かが住んでいて、父親が子どもに絵本でも読んでいるような。
 そう思わせる声だという。
 その噂は、子ども達の間に密やかに広がっていった。

――冬の物語。
 魔法使いは、悪しき力を閉じ込めるためのお家を用意して、魔法の罠を仕掛けました。
 罠に引っ掛かった悪しき力を、永劫に閉じ込めて、魔法使いは多くの可哀想な人を幸せにしました。

 物語を紡ぐ部屋には大きな針が散らかっている。
 針を組み上げた豪奢な椅子に座る人形の歪虚は、割れた窓から庭を眺めていた。


 有る晴れた日、エリカは風に煽られて、掠れる音を立てる。
 散った花が道を彩り、やがて何処へともなく吹き流されて。
 茂ったエリカの奥に煌めいた銀色の花。
 見慣れぬ花につい手を伸ばした幼い少女は、屋敷の門扉が開かれていることを知ってしまった。
 すこしだけ。
 幼い好奇心に任せ、屋敷の中へと一歩。
 少女を取り囲む花、それは。

「あら、間違えてしまいましたわね。どうしましょう……」

 鋭い針を束ねた花に全身を貫かれ、少女は地面に磔にされていた。
 夥しい血が流れ、光りの失せた瞳が青く晴れた空を見上げる。
 少女に近付いた人形は、緻密に整った白い手で血に塗れた頬に触れた。
「可哀想に。恨むことも、憎むことも、契ることさえも無ければ、ただ土に帰ることしか出来ない」
 人形が腕を払えば、銀の花は一瞬にして舞い上がり、少女の血を纏ったままでエリカに紛れて身を潜める。
「……貴女は、私の傍においてあげましょう。素晴らしい奇跡が起こって、お友達になれるかも知れないわ」
 人形は少女の身体を引きずるように廃屋の中へ消えて行った。

――改めて、冬の物語。
 魔法使いは、悪しき力を閉じ込めるためのお家を用意して、魔法の罠を仕掛けました。
 ところが、哀れな少女が、その魔法に巻き込まれてしまったのです。
 魔法使いはその少女を、大切に抱き締めました。
 いつか、魔法使いの力と願いで、少女が目を覚ますことを祈りながら。

 その日の夜、少女の捜索がオフィスに依頼された。
 友人と遊びに行くと出掛けたきり、行方が分からなくなっているという。
 友人も約束の時間に来なかった少女を心配しているそうだ。
「エリカを摘んでくるって言った。誰もいない古いお家に咲いてて、沢山の色がとても綺麗だからって」
 少女の足取りを追うように、集められたハンターはエリカの茂る廃屋へ向かった。

 庭に血痕が広がっている。引き摺った様な跡は屋敷の中へと向かっていた。
 その血の量は、少女の死を想起するのに十分だった。

リプレイ本文


 吹き抜けた風にざわめく音。
 庭木としてよく見かけるその花は、しかし、花言葉は。
 Gacrux(ka2726)が双眼鏡を覗き庭を観察する。
 茂ったエリカの隙間に鋭い針の切っ先が覗いて、ごく僅かな光りを映して煌めいている。
「花言葉は、孤独でしたねぇ」
 東條 奏多(ka6425)が顎を引く。
 こういう噂は馬鹿にならない、歪虚の可能性の重要な手がかりだ。
 東條が廃屋を一瞥するが、嗄れた男のと囁かれる噂の声は、今は聞こえない。
 ガクルックスが双眼鏡を窓へ向けた。
 黒い窓に映る物は何も無い。目を凝らしたその瞬間、どろりと溶け出したような原色の斑模様が閃光を伴って、その悍ましい色合いが目に刺さるような幻覚を見る。
 思わず双眼鏡から目を離すと、窓は何も無かったように暗い。
 双眼鏡も自身の目も、何の影響も受けていないが、気のせいだと言うには強烈な景色だった。
 エンジンを落としてスタンドを立てたバイクを柵の傍らに残し、マテリアルで発光させた水晶球を伴って、マリィア・バルデス(ka5848)は庭へ近付く。
 光りを庭へ傾けると、照らし出されたのは濡れた地面。
 黒く、錆びた臭いを放つそれに眉を寄せる。
「血だまり……女の子のものだとしたら、その子は……」
 庭に広がった血の量に氷雨 柊(ka6302)が息を飲む。すぐに頭を横に振って、生きているかも知れないと得物を握り締めて口許を引き締めた。
 医学者を志すヴィリー・シュトラウス(ka6706)の目に、その血溜まりの状態は生存の希望が持てるものでは無かった。
 せめて、連れ戻してあげたいと祈るように。
「踏み込んで血の乾き具合を確認する必要があるけれど、あそこで立ち止まれば同じ攻撃をされる可能性が高いと思う」
 マリィアはマテリアルを目に、その跡や周囲の気配を探る様に目を凝らす。
「引き摺った跡から考えて、攫われた子はあの廃屋に連れ込まれた可能性が高い」
 血痕を照らす光りを追って、ガクルックスはその血の伸びていく先に廃屋の扉を見る。
 観察を遮ってみせた廃屋の中は、恐らく。
「ちまちまと面倒くせぇじゃん。焼き払っちゃえよー」
 半端に開いて揺れる門扉に足を掛けゾファル・G・初火(ka4407)が逸った声で言う。
 戦闘中毒のピンクは楽しむようにさえ輝いている。
 見回せば近隣には手入れをされた庭木も多く、軽率に火は放てない。
 億劫そうな素振りを見せながら、ままよとその鉄扉を蹴り開けた。
「突入してトラップ解除もしくは敵を殲滅するのと、あの廃屋に突入するのとに分かれるのはどうかしら」
 あくまで少女の生存を前提として。
 マリィアの提案を背に聞き、俺様ちゃんは殲滅組だぜ、と、庭へ。
 マテリアルを輝かせ、マテリアル鉱石に彩られた拳を構えた。
 荒れた庭を覆うエリカがその影に隠れた針の反応に揺らされてざわめく。
「それじゃ私は突入で。何か見つけたらすぐ声を上げるかトランシーバーで連絡するわ……行きましょう」
 得物を構えてマリィアも庭へ進み、他のハンター達もそれぞれに得物を構えて頷いた。


 先陣を切って突入、敵を殴るべく拳を構え、血溜まりの跡を目指す。
 罠に飛び込んで探知しようと近付くと、その意図の通りに四方から束ねられた針の鞭が撓り、その鋭利な先端が鎧に覆われた胸を打った。
「その程度、俺様ちゃんには効かねーぜ」
 軽い衝撃に笑って拳を振り向け、殴り上げた所を蹴り落とす。
 撓る足に纏う華麗な武装は、敵に触れた瞬間にマテリアルの刃を形作る。
 砕けた鞭から、ぱらりと細かな針が舞い落ちる。
 草の隙間に散らかったそれは動きを止めたようにも見えるが、その内の数本がまだ動いており、目を離した隙にも動く針は数を増やす。
 次の鞭を叩き落とした時には、殆どが寄り集まって鞭の形を取り戻していた。

 また少女か。
 同じ都市での事件を思い、ガクルックスは眉間に深く皺を刻んだ。
 柄から刃先まで紋章を刻み込んだナイフを握り庭の土を踏み締めた。
 雲が流れた幽かな月明かりに照らされた影の中に潜む針が光る。
 目許を走る黒いラインと瞼に彩る青い紋様。力の抜ける感覚に抗うように踏み締めて、マテリアルを燃やす炎を纏う。
 マリィアの進路から針を誘う様に惹き付けて、向かった来たものを長柄に捕らえ、弾いて抑え込む。
「支援しましますよぅ」
 ふさふさと銀色の尖った耳と長い尾を揺らした氷雨の紫の瞳の中心が縦に、翻す長着から覗いた肌に赤黒い紋様を浮かばせた。
 聖印を刻んだ穂を掲げる長柄の白の装飾を帯びた柄を握り、ガクルックスへ向けて舞うように振るう。
 届いた光がその全身を覆い、弾き損ねて籠手に迫る針の衝撃を幾らか受け留めた。

 ゾファルの行動で姿を見せた針へ向かって、東條は地面を蹴り駆け巡るように動く。
 マテリアルの描く流線の幻影と自身の残像を残しながら、足に絡む様に纏わり付いた針を構わずに素早く接近し、大太刀を抜き放つ。
 間合いに仲間を巻き込まない十分な距離を取って、艶やかな革を巻いた柄を握り締め、黄金の刀身を構えた。
「悪趣味な雑草、ひとつ残らず狩り落してやろうか」
 廃屋への進路には針がその姿を現しているが、周囲にはまだ潜んでいる物も多く、降り注いだ銀色の花を刀身と、肩まで覆ったグローブで受け留める。
 敵へ向けた刃がしなやかに凪いで、向かってきた針を舞い散らせる。
 それが沈黙している間に、東條は次の敵へと地面を駆った。

 花を模した針の鋭利な雨を盾に、僅かに掠った傷がひりついた。
「足場が良くないな……」
 踏み込めば針が構えているような見通しの悪さに低く構えた剣で凪ぐと、エリカは容易にその枝を、花を散らし、その下に潜んだ針の花を露わにする。
 自身の周囲にも迫ってくる物、一度弾かれて再度動き出す物が多く集まっている。その一帯を囲むように光りの衝撃を放った。
 青銅の色をした刀身が、悲鳴のように鳴いて風を切る。
 北方の冬の冷気を閉じ込めた宝石を埋め込んだ柄を握って構え直し、再び襲い来る針をその刃で切り伏せるように散らせた。
 鎮まってもやがて動いて仕舞うのならば、その形さえ変わる様に。
 ヴィリーの剣に折られた針は未だに沈黙しているが、庭中に潜む無数の針を全て折るのは困難に思えた。

 廃屋への前進を試みるが、マリィアの足元には花が落ち、蔓を思わせる鞭が撓った。
 あしらわれた幾何学模様にマテリアルを反応させ描く障壁に、花はすぐに砕けるように針に戻るが、鞭は再びその先端までを擡げてマリィアへと振り下ろされた。
 馴染んだ銃から弾丸を一つ、鞭の中程を弾いたそれが数本の針を散らすと、狙いの狂った針がマリィアの脇を、拳一つ分逸れて掠めた。
 血の跡を追って進もうとする度に降り注ぐ針、鞭や花に紛れた細かな物は、その攻撃を防いでも尚鎧の隙間にさえ入り込み、振り払えば僅かに皮膚を裂いて痛みを与えた。
 鬱陶しげに払い退けて、更に1歩、廃屋へ近付いた。
 ガクルックスが振るう槍が、足元から連なった針を刈る。
 扉を睨めば、駆け抜けられるほどの距離に、見下ろすほどの高さまで撚ったように束ねられた幾輪もの花が、頭を垂れて見下ろしてくる。
「近隣の方にも、危機を知らせておきたいですねぇ」
 今はその余裕は無いが、と、撓らせる脚が冷気を纏う脛当てで振ってくる針の束を蹴り落とし、マリィアに進めと促してその背後への敵を引き受ける。
 マリィアの銃声が聞こえる度、思い起こされる事件に胸騒ぎが酷くなっていく。


 ひとつ残らず。その言葉に違わぬ動きで、東條は大太刀を振るい、黄金の流線が針を散らし、その刃に触れたものを拉げさせながら弾き飛ばす。
 間合いの広い刃を活かすように、素早く大きく動きながら、続けざまに飛び交って襲う鞭を刈った。
 龍の鱗を思わせる色の鎧は硬く、如何に鋭い針も弾いたが、細かなそれが隙間に刺さると、ゾファルは苛立ちを顕わにしながら笑った。
「俺様ちゃん、一発も殴れなかったらストレスで死んじゃうぜ」
 重い音を立てながら、花を支えて自身の腕ほどの太さまで束ねられた銀色の茎を殴り倒す。
 真横から鋭く決まる鋭い拳は花を手折るように針を散らし、その中で一際長いものが足の傍に刺さった。
 存外に脆いと思いながらも、殴れる敵はまだ多い。跳ねる様に構えて次の敵へと拳を振るった。
 東條とゾファルが庭へ散って動く針の数を減らし、ガクルックスはマリィアの周囲の針の注意を引き、氷雨はガクルックスを支援しながら、彼に集まる敵の一部を引き受けて槍を振るう。
 ヴァイスの背を狙った花を叩き落とすと、散った針の一部が既に赤黒く染まっている。
「黒……いえ、赤? 針についている、あの色は……血、でしょうかー……」
 傷を負った味方もいるが、彼等は皆、自身に傷を負わせた敵へ報いている。
 動いているそれは、少女を。
 気付くと、得物を握る手に力が籠もった。
「……まずは早急に突破しませんとねぇ」
 頬を裂いた小さな針に穂先を叩き付け、マテリアルの尾が怒りを示して忙しなく揺れた。

 花が迫る指ほどの太さを持った針が茎を、纏わり付くように沿った細かな針が葉を象り、大輪を束ねたブーケが解けたような可憐さで、鋭利な針の切っ先がヴィリーに注いだ。
 先を弾いた軽い音、胴を弾けばその重さが盾を支えた腕に掛かる。
 抑え込んだと思った瞬間に、もう一輪の花が脚を裂いて傍らに咲く。
 この程度では倒れない。
「迎え撃つのは慣れてる。来い!」
 刈り取ったエリカの散らかる庭で声を張り上げた。

 細かな傷を増やしながら、氷雨が槍を振るう。
 敵の攻撃こそ凌いでいるが、ガクルックスの周囲も敵が密集し、動きを取りづらくなっていた。
 敵の集団を狙うように特殊装置で気流を制御し、光りの収束する穂先は、一角の牙を思わせる激しさで集る敵を貫いた。
 門扉はすぐそこに見えている。
 マリィアが銃を構えた。
 ノッカーをドアノブを。装填を繰り返して全ての蝶番を撃ち抜いて駆け込むマリィアに合わせ、ガクルックスはその扉へ斬り付けた。
 鋭利な刃は、倒れたドアを更に裂く。
「退路を塞がれては困りますからねぇ」
 廃屋を一瞥して呟く。
 振り返れば庭の針の多くが沈黙を見せた。


 大きく薙いで迫る敵を全て切り払い、その沈黙を見て東條が、マリィアとガクルックスに合流し、すぐにも屋内へ進もうと扉の外れた入り口へ手を掛けた。
 マイブームの大精霊が活躍する、怪傑、コンクエスター天狗。披露された最終奥義を模した技は、最後に残った3輪の銀の花へ。
 マテリアルの光りを背負い、拳を放った。
 花を砕き終え、鎮まった庭を一瞥し。殴り足りないと言わんばかりの表情で、ゾファルが開いた門扉の傍へと向かう。
 消耗の大きかったヴィリーが氷雨の傍で祈る柔らかな光で包み負った傷を動ける程度に癒やす。
 忙しなかった尻尾は落ち付いて、先だけが小さく揺れた。
 この先かと、ヴィリーはマテリアルを収めて皮膚に残った血を拭う。
「何らかの手がかりや、少女の落とし物があるかも知れないよね。少し調べてはどうかな?」
 提案したヴィリーと、それに頷いた氷雨。
 近隣住人を気に掛けるガクルックスと、茂るエリカを燃やしておきたいゾファルが庭へ目を向けた。

 銀色の針は複雑に組み合わさって壁を作る。
 一つ引き抜けば全て崩れるその壁は見上げるほどの高さがあり、向こう側の透けないほどの厚さがあった。

「引き返すな、と言うことでしょうかねぇ」
「燃やせねぇじゃん。ま、表に出たなら、俺様ちゃんがぶっ倒してやるよ」
 針の壁を観察し、溜息を吐くガクルックスと、挑発する様に拳を見せたゾファル。
 氷雨は槍を、ヴィリーは盾を咄嗟に構えて、壁を見据えた。
「進みましょう。まだ、女の子を見付けたわけではないわ」
 肩越しにその状況を見たマリィアが眉を寄せ、扉へ撃ち尽くした弾丸を装填し、ハンマーを起こした。
 既に探索へ向かおうとしていた東條も倣うように一瞥する。
 そして、銀色の壁を認めてすぐに振り向いた内装は、醜悪なほど変化していた。

 廃屋だったはず。
 壁は剥がれ、天井は崩れ掛かって、柱が軋む音を立てる。
 所々に雑然と、嘗ては美しかっただろう調度品が、割れた鏡、裂けたソファ、砕けた食器の破片と長い年月を掛けて積もった埃。
 埃と黴、外から流れ込んだ土の臭い。

 ガクルックスには覚えが有った。
 外からこの廃屋の窓を覗いた時の光景だ。
 黒い、暗い、闇の中に原色の斑模様。目の眩むほどの眩しい色彩。それは悍ましく蠢いていた。
 黒い壁に黒い床、天井も全て黒く塗られ、そこに塗りたくられた様々な色が混ざり合うように這う。
 腑を思わせる濃淡の異なる赤に、踏み込むことに躊躇いさえ覚えながら得物を握り締めて先を睨む。
 互いを確認するように視線を交わし、ハンター達は慎重に廃屋の中へ踏み込んだ。

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重体一覧

参加者一覧

  • 見極めし黒曜の瞳
    Gacrux(ka2726
    人間(紅)|25才|男性|闘狩人
  • ゾファル怠極拳
    ゾファル・G・初火(ka4407
    人間(蒼)|16才|女性|闘狩人
  • ベゴニアを君に
    マリィア・バルデス(ka5848
    人間(蒼)|24才|女性|猟撃士
  • 一握の未来へ
    氷雨 柊(ka6302
    エルフ|20才|女性|霊闘士
  • 背負う全てを未来へ
    東條 奏多(ka6425
    人間(蒼)|18才|男性|疾影士
  • BravePaladin
    ヴィリー・シュトラウス(ka6706
    人間(紅)|17才|男性|聖導士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
Gacrux(ka2726
人間(クリムゾンウェスト)|25才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2017/11/29 01:41:47
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/11/25 10:14:02