ゲスト
(ka0000)
【虚動】開拓は一日にしてならず
マスター:四月朔日さくら

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/11/30 07:30
- 完成日
- 2014/12/11 22:45
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
5年前に起こった王国を襲う災厄、その再来たるイスルダ島の歪虚の襲来は、クリムゾンウェストの世界を駆け巡り、震撼させた。
異界より到来したラッツィオ島での戦い、そして帝国に再び姿を現した剣機の歪虚。
世界を覆ういくつもの邪悪の影は、各国、各地域の首脳陣をリゼリオへと呼び集める。
人類の明日を、如何に守るべきか。
異世界リアルブルーの人々も交えた会合により、人類の希望は二つの兵器に託される。
一つは、蒼き世界の機械の巨人、サルヴァトーレ・ロッソに眠る戦闘装甲機「CAM」。
だがそれは、必要な燃料の入手に苦慮し、動くことはあたわなかった。
一つは、帝国の練魔院にて研究されてきた魔導アーマー。
長年の研究の結果、稼働実験にまで漕ぎ着けた、新たなる力。
そして世界は、二つの力を合わせることを選択する。
魔導アーマーの動力をCAMに搭載する実験が提唱され、世界はそれに向けて動き出した。
仮に実験が成功すれば、人類は歪虚に対抗する大きな手段を得るだろう。
だが……。
●
「……街、デスか?」
リムネラ(kz0018)は、ふしぎそうに首をかしげる。
「ああ、いや。厳密には街と言うよりも、その前段階――施設になるみたいですね」
彼女の言葉を受けて言葉を返すのは、ジーク。
先日の交流会を経てユニオン職員に正式についた彼は、今はリムネラの側で仕事の管理をサポートする役を買って出ていた。以前よりも自信がついたのか、言動もどこかはきはきしている。
降ってわいたような話題。
サルバトーレ・ロッソの持つ人型の大型機械――CAMの実験を辺境で行いたいという話題。
帝国がそのために、部族会議への接触を考えているらしい。そんな異例の事態ともなれば、おそらく一波乱起きるのは避けられないだろう。
とはいえこの話、帝国のみならず、王国、同盟もかんでいると言うことだから、辺境にも利がないとはいえない。
しかし、辺境にはその実験を支えるための施設はない。
だから寝食をするための場所が最低でも必要らしい――と言うことが、ガーディナに伝わってきたのだった。
ユニオン経由で伝わってきた情報では、候補地はマギア砦の南部だという。まだ部族の同意を得たわけではないが、すでに搬送は始まっている――と言う話も届いていた。
(でも、そうなると……辺境の中に、新しい拠点ができることになるかも知れない)
リムネラは思う。
そのことは辺境にとってデメリットだけではない。むしろメリットの方が多いだろう。
辺境のあちこちでは、絶えず歪虚との戦闘が行われている。結果、民もずいぶんと疲弊しているのは皆の知っているところだ。
それに、リタ・ティト――辺境の巫女たちの聖地は、いまだ歪虚たちの手の中だ。
(これがきっかけになるかも知れない。大巫女様たちを、助けられるチャンスを作るきっかけの一つになる、かも――)
そこまでは行かなくとも、人々の目を辺境に向けさせる、絶好の機会なのは事実だろう。
リムネラは、小さく頷く。
「……わかりまシタ。その施設作り、ガーディナも全力で支援シマース!」
この鶴の一声で、『実験施設の建設手伝い』が依頼として張り出されることになるのだった。
●
とりあえず必要なのは寝食をする場所。
リアルブルー出身のジークは『まだ未開拓の場所ですし、キャンプ場みたいな感じですかね』なんて言うが、リムネラには今ひとつイメージがわかない。
ただわかるのは、人々の営みの拠点作りと言うこと。
「ドウカ、手伝ってくだサイ――」
その言葉には、様々な祈りも込められていた。
異界より到来したラッツィオ島での戦い、そして帝国に再び姿を現した剣機の歪虚。
世界を覆ういくつもの邪悪の影は、各国、各地域の首脳陣をリゼリオへと呼び集める。
人類の明日を、如何に守るべきか。
異世界リアルブルーの人々も交えた会合により、人類の希望は二つの兵器に託される。
一つは、蒼き世界の機械の巨人、サルヴァトーレ・ロッソに眠る戦闘装甲機「CAM」。
だがそれは、必要な燃料の入手に苦慮し、動くことはあたわなかった。
一つは、帝国の練魔院にて研究されてきた魔導アーマー。
長年の研究の結果、稼働実験にまで漕ぎ着けた、新たなる力。
そして世界は、二つの力を合わせることを選択する。
魔導アーマーの動力をCAMに搭載する実験が提唱され、世界はそれに向けて動き出した。
仮に実験が成功すれば、人類は歪虚に対抗する大きな手段を得るだろう。
だが……。
●
「……街、デスか?」
リムネラ(kz0018)は、ふしぎそうに首をかしげる。
「ああ、いや。厳密には街と言うよりも、その前段階――施設になるみたいですね」
彼女の言葉を受けて言葉を返すのは、ジーク。
先日の交流会を経てユニオン職員に正式についた彼は、今はリムネラの側で仕事の管理をサポートする役を買って出ていた。以前よりも自信がついたのか、言動もどこかはきはきしている。
降ってわいたような話題。
サルバトーレ・ロッソの持つ人型の大型機械――CAMの実験を辺境で行いたいという話題。
帝国がそのために、部族会議への接触を考えているらしい。そんな異例の事態ともなれば、おそらく一波乱起きるのは避けられないだろう。
とはいえこの話、帝国のみならず、王国、同盟もかんでいると言うことだから、辺境にも利がないとはいえない。
しかし、辺境にはその実験を支えるための施設はない。
だから寝食をするための場所が最低でも必要らしい――と言うことが、ガーディナに伝わってきたのだった。
ユニオン経由で伝わってきた情報では、候補地はマギア砦の南部だという。まだ部族の同意を得たわけではないが、すでに搬送は始まっている――と言う話も届いていた。
(でも、そうなると……辺境の中に、新しい拠点ができることになるかも知れない)
リムネラは思う。
そのことは辺境にとってデメリットだけではない。むしろメリットの方が多いだろう。
辺境のあちこちでは、絶えず歪虚との戦闘が行われている。結果、民もずいぶんと疲弊しているのは皆の知っているところだ。
それに、リタ・ティト――辺境の巫女たちの聖地は、いまだ歪虚たちの手の中だ。
(これがきっかけになるかも知れない。大巫女様たちを、助けられるチャンスを作るきっかけの一つになる、かも――)
そこまでは行かなくとも、人々の目を辺境に向けさせる、絶好の機会なのは事実だろう。
リムネラは、小さく頷く。
「……わかりまシタ。その施設作り、ガーディナも全力で支援シマース!」
この鶴の一声で、『実験施設の建設手伝い』が依頼として張り出されることになるのだった。
●
とりあえず必要なのは寝食をする場所。
リアルブルー出身のジークは『まだ未開拓の場所ですし、キャンプ場みたいな感じですかね』なんて言うが、リムネラには今ひとつイメージがわかない。
ただわかるのは、人々の営みの拠点作りと言うこと。
「ドウカ、手伝ってくだサイ――」
その言葉には、様々な祈りも込められていた。
リプレイ本文
●
辺境、マギア砦近辺――
八人のハンターたちは、期待と希望に胸を膨らませながらそこへやってきた。
リムネラ(kz0018)に頼まれ、CAMの実験をするための【施設】を作る、その手伝いをするために。
とは言っても、リムネラ本人はさすがにユニオンリーダーという立場上リゼリオを離れることが難しい。そのため、現在彼女のサポートを担当しているジークという青年が今回は同行している。元々はリムネラの魅力に惹かれてファンクラブを作ってしまったくらいのジークであるが、彼女のためとあらば働くことも厭わないらしい。この辺は以前とあまり変わっていないが、リムネラのために働けることが嬉しいのだろう、前よりも確実に生き生きとしていた。
「そんなわけで我々は、ドワーフの皆さんと協力しながらここに滞在できるだけの施設作りをしたいと思います」
何しろそこは辺境らしい場所、つまり荒野。
リムネラの要請を受けて手伝いに来てくれているドワーフの大工職人たちと、ハンターたちはぽつんと立っているわけで。
「なんだかよくわからねえけど、すげぇ事になってるみてえだな? でもこれで歪虚を吹っ飛ばせるってんなら、協力は惜しくねえぜ。……ま、できることつったら力仕事かメシぐれえなもんだけどよ」
わずかに口元を歪ませて、シン・カルナギ(ka3485)がそんなことを言ってみせた。口は悪いものの、歪虚によって過去を失ったことのある彼にしてみれば、これはある意味絶好の機会、なのだろう。
歪虚に対しての切り札ができるかもしれないというのは、ハンターたちにはその話だけで希望なのだ。
(それに……CAM乗りとしては今回の一大プロジェクト、関われるだけでも嬉しいんだよね)
直接CAMに触れることはできないだろうけれど――けれど、サルヴァトーレ・ロッソのCAMパイロットだったレホス・エテルノ・リベルター(ka0498)にとってみれば、このプロジェクトの発足そのものが待ち望んだものだった。
「頑張るね!」
「はい、私もお手伝いいたしますわー!」
その言葉に応じるように頭にパルムを乗せた少女チョココ(ka2449)がそうにっこりと笑顔を作れば、周りのものも頷く。
「それにしてもこの規模、ある意味村を作るのとさほどかわらん気がするな……どのくらいの期間を予定しているかは細かく書いてはいなかったが」
鋭い言葉のメスを入れるのはアルメイダ(ka2440)、確かにそういった部分はかなりアバウトな依頼だったような気がするが……きっと細かいことを気にしてはいけない、のだろう。
「村を作る。その発想は多分あながち間違いではないと思いますよ」
そう、やや興奮した口ぶりで答えたのはジークだった。
「リムネラさんは、辺境の――というか、このクリムゾンウェストの未来を憂いている部分があります。それを打破するための第一歩にもなるかも知れないですから、この実験も、ここにできる施設も。だから、――どうか皆さん、力を貸してください……リムネラさんもそれを願っています」
言いながら、遙か遠くを見やる。彼の視線の彼方には、巫女たちの聖地リタ・ティトがある。リムネラはきっと、その奪還を祈り、願っているのだろう――己のルーツを取り戻したいと思わぬはずがないのだから。
「期間はとりあえず一週間ほどをめどに考えていますけど、むろん早くても遅くても、とりあえず施設が雨風を凌ぐことができ、暖かな食事が取れる――そういった基本的な生活をそこで行っても問題がないくらいになるようにしたいところです。皆さんの力が頼りです、お願いします」
ドワーフたちも後ろで力こぶを作り、豪快に笑った。
「まあ、この手伝いが新しい希望になれば良いと思うのはわしらも同じだからな。わしらにできるのはもっぱら力仕事だから、指示なんぞも頼むぞ」
「えっ」
驚いたような声を上げたのは誰だったか。
「なにしろ、わしらはあくまで作る手伝いじゃからのう」
ドワーフはそんなことを言いながらあごをしごく。……もしかして、このドワーフたちはかのドワーフ王に近しいのだろうか……なんとなくそんな雰囲気も漂っている。
「……ま、なんとかなるわよ。なにしろ、普段リムネラちゃんになってる恩返しもしなくちゃならないしね♪」
一瞬固まりかけた空気を和ませるようにウィンクしてみせたのはカミーユ・鏑木(ka2479)、見た目は筋肉質な男性だが心は乙女というナイスゲイ(本人談)。ユニオンメンバーのみならず、仲間たちのそんなあたたかな思いやりはいまはとてもありがたい。
「ま、今回の施設は主に実験のための宿舎みたいなもんになるみたいだから、日数が少ないとは言えしっかりしたものを建てたいところだねぇ」
壬生 義明(ka3397)も頷きながら、周囲をくるっと見渡してみる。
「……家を作れば良いのか? よくわからんから俺は言われたこなしていく、適当に使ってくれ」
口下手なのだろうか。どこか幼さの残る少年ティウ=ダイン(ka3560)はぼそっとそう言って、小さく目を伏せた。
「それじゃあまずは資材運びかな。乗用馬を使えばいくらか楽だと思うんだけど」
そう提案したのはレホス。準備万端、自分の乗用馬も連れてきている。
「ああ、少しでも手伝ってくれるならそりゃあありがたいなぁ」
ドワーフ大工たちもそう言って頷き合う。
「うちにも馬はいるから、その手伝いはできるな。まあ、動かないことには始まらないし、人だけでやるよりも多少はましだろ?」
アルメイダも言いながら、連れてきた乗用馬の首を軽く撫ぜてやる。
「じゃあ、物資の運搬については馬を持った人とドワーフさんたちに主に任せる形になるかな。その他の素材確保は、みんなで。施設の建設については、それが完了してからになるね」
ジークが話を軽くまとめる。今回は王国・帝国などの協力も仰ぎつつの共同事業であるため、砦に近い集落まで一部の資材は運ばれているとのこと。それを運ぶのは確かに骨の折れる作業ではあるだろうが、やりがいのない作業ではないはずだ。
「そういえば、ここの建物はリアルブルーのコテージをイメージしているんだけど、こんな感じでどうかね?」
そう義明がそう言いながら、写真やイラストをいくつか見せてみる。そこにはリアルブルーのキャンプ上でよく見かけるような、木製の素朴な家が何軒も軒を連ねている様子が描かれていた。正直、今の状態ではこれくらいの規模がせいぜいだろう――下手をすればこれすら難しいかも知れない――が、ビジュアルになっていることで全員の認識が統一されるのは良いことだろう。
「へぇ、これなら確かにここにある材料でも十分に可能だしね♪」
それを見たカミーユは目を細めて、いかにも楽しそうに頷いた。カミーユ自身はかまども作りたいと思っている。それは今回の滞在だけでなく、最終的に施設の台所として機能すればなお良いだろう。それぞれ、夢を少しずつ描いている。
「……でも、CAMというのは人型の大型機械なのですよね……はっ、パルム、パルム型はないんですの!?」
チョココはパルム大好きなエルフ、頭の上にいるパルムのパルパルは彼女の大切な存在だ。天涯孤独の少女の、活力の源なのかもしれない。だからこそ、パルム型なんて想像をしてみたるするのだが。レホスはわずかに苦笑しながら、CAM乗りとしてその質問に答えてやる。
「残念ながら、パルム型はないね。もっとも、そういうマークを入れる程度なら、リアルブルーでもやっている人がいなかったわけじゃないけど」
彼女が想定しているのは、戦闘機などに描かれるノーズアートと呼ばれるたぐいのものだろう。それを聞いたチョココはわずかに残念そうに耳をたれ、
「そうなんですの……すーっごく大きなキノコ型のCAM、あれば良かったですのにー……」
その言葉で、まだ緊張しがちだった場の空気が、わずかに緩んだ。
●
とは言え、すべての資材を輸送してもらったわけではない。建材になるであろうものはその重量もあって辺境に運ぶのも一苦労なので、それらは寒風吹きすさぶ森で必要分を伐採をする必要がある。
「こういう力仕事なら任せて♪ あたしはメインウェポンが斧だから、こういった作業には向いてると思うのよね」
カミーユがにっこり笑いながら、バルディッシュを軽くふるう。軽々と動くそれは、さすがハンターの膂力というべきか。よく見れば全身がほのかに虹色の雷の如きオーラを纏っており、それは覚醒していることを示す証でもある。あっという間に木が伐採され、見ている方も心地よいくらいだ。
「伐採なら、ハルバードでの手伝いもできそうじゃの」
ピンク色の髪のドワーフアルマ(ka3330)もまた、おのれの武器で木材を伐採していく。ついでに枝も払えば、施設の主な建材となる木材が次々と生み出されていく。
「大きいものはともかくとして、ある程度のサイズならばアルマ自身で運んでいくかの」
そう言うとひょいと担ぎ上げ、それをもって運んでいく。この二人の行動に無駄がなく、必要な木材はさほど時間もかからずに用意することができた。
一方そのころアルメイダとレホスは、輸送されてきていた必要な資材を受け取っていた。
CAMの件は大きく宣伝を打った行動ではないが、ハンターたちには少しずつ、しかし確実に情報が広まり始めている。どうやらそれを知っている商人なのだろう、
「がんばれよ」
と励ましの言葉をもらうことになるのだった。
●
彼ら自身はテントで寝泊まりし、作業は順調に進んでいく。
三日目、四日目ともなるとハンターとドワーフたちの間も親密になり、ハンター同士の仲も良くなっていた。はじめは主張の薄かったティウも、仕事をしっかりとやることでドワーフたちにはずいぶん気に入られたようだ。
「っと、そろそろメシにするぞー」
そう茶目っ気を含んだ声で言ったのはきょうの料理担当であるシンだ。材料は仲間たちと持ち寄ってきたもの、そしてユニオン側が用意してくれたものなどという感じでかなりの量があるのでとりあえずの食事に困ることはまずないだろう。ちなみに明日はカミーユがシチューを作るつもり満々だ。
「ハンター仕込みの男の手料理ってやつになっちまうけどな、味はいけるぜ」
苦笑しながらも彼が作っていたのは、大鍋にたっぷりの煮込み料理。これも、あらかじめ薄ぼんやりとしたリクエストを確認してから作ったものなので、周りからの評判もなかなかに好評だった。
「そうだ、ここって大人数がそれなりの時間を過ごすことになるんでしょ? 物資や食料も、ある程度ためておけるようにした方が良いんじゃないかな」
言われてみればもっともだ。どんなことが起きるかわからない場所に住むわけだから、万が一の備えというのは必要に違いあるまい。
「コテージの方も作成がずいぶん進んでいますしね。そういうところに手を加えて頂けると、確かにありがたいです。何しろ、この何にもないところに作っているわけですしね?」
水源近くにあったからこの場所を選んだものの、それ以外は本当に何もない場所だった。しかし今は、そこに少しずつながらも人の手が加わり、人が生活するに耐えうる環境を作り出そうとしている。
「実験でここを使う人はむろん多くないですけど、その後もここをそれなりの集落として機能させるのならば、かなりしっかりと基礎作りをしないといけませんしね。今はこんなコテージで精一杯ですけど、いずれはもっときちんとしたものをとは、リムネラさんもお考えになっていますし」
ジークはそう言って頷く。
確かに、リムネラの考えるような拠点足りうるにはこれでは足りないだろう。しかし、その足がかりにするには十分なのかも知れない。
「うん、だからこそいっそう、必要なものをもっと確認しなきゃだね。とりあえず倉庫は必要だと思う」
「あと、ゴミをまとめて処分する場所もあった方が良いだろう」
これはアルメイダの意見。カミーユもウィンクしながら、
「かまどももっと本格的な方が、料理の幅も広がるし♪」
そう言って笑みを浮かべる。
「足場は確りとせねばならぬしのう、大分頑張ってみたのじゃが」
アルマは作りかけのコテージをそっと見る。急ごしらえではあるが、ハンターの力も借りていることもあってずいぶんはかどっている。普通なら二倍以上時間のかかりそうな工程もあるだろうが、そこはハンターたちとドワーフたちのコンビネーションでうまくいっているのだ。特にドワーフであるアルマや話術に長けた義明などがずいぶんその助けになっている。
「本当、ドワーフの大工さんの腕前が改めてわかるよねぇ、優秀なんだって」
「いやあ、おだてても何もでんぞ?」
義明に褒められて、豪快に笑うドワーフ大工たち。
「でもじっさい、みんなで頑張っているからこそここまでの成果が出ているんですよ。もう少し頑張りましょう、きっと結果は出ますから」
「ああ……そうだな」
新は頷いてからふと思い出したように質問をする。
「……そう言えば、真っ黒いフェイライの話というのを、聞いたことはねぇか? いや、見た目は……覚えてねェんだけどよ」
その黒いフェイライは、彼の故郷を襲った歪虚。そして彼はそれと、生きるすべを教えてくれた親代わりのハンターを捜している。機会があれば、それを知る人を捜しているのだ。
「左目に赤い眼帯をしてる白髪のハンターはさ、俺の親父なんだけどさ……ああ、今は離れて暮らしているんだけどよ、やっぱり気になってな」
そう呟く彼の瞳は、少し懐かしそうに細められていた。
「さ、もう少しですよ。大丈夫、頑張りましょう」
ジークは小さく頷いた。
アルマの奏でるオカリナが、静かに夜空に響いていった。
●
アルメイダなどは動物などの襲来にも備えていたが、それも特になく。
予定よりなんだかんだで少し時間がかかったが、彼らのできることはやり尽くしたはずだ。
コテージが数軒、それに共同のトイレと風呂、台所。
脇には多くの資材をしまうことのできる倉庫がある。
それなりの人数が最低限以上の生活を送れるだけの場所になっているはずだ。ドワーフも、ハンターたちも、満足そうな笑顔を浮かべている。
「あとは――CAMの実験、成功すれば良いね」
レホスがうれしそうにそう笑う。
「ああ」
人類の希望であるCAM。そのための実験。
それを支える一助になることができたことを誇らしく思いながら、ハンターたちは笑顔を浮かべあったのであった。
辺境、マギア砦近辺――
八人のハンターたちは、期待と希望に胸を膨らませながらそこへやってきた。
リムネラ(kz0018)に頼まれ、CAMの実験をするための【施設】を作る、その手伝いをするために。
とは言っても、リムネラ本人はさすがにユニオンリーダーという立場上リゼリオを離れることが難しい。そのため、現在彼女のサポートを担当しているジークという青年が今回は同行している。元々はリムネラの魅力に惹かれてファンクラブを作ってしまったくらいのジークであるが、彼女のためとあらば働くことも厭わないらしい。この辺は以前とあまり変わっていないが、リムネラのために働けることが嬉しいのだろう、前よりも確実に生き生きとしていた。
「そんなわけで我々は、ドワーフの皆さんと協力しながらここに滞在できるだけの施設作りをしたいと思います」
何しろそこは辺境らしい場所、つまり荒野。
リムネラの要請を受けて手伝いに来てくれているドワーフの大工職人たちと、ハンターたちはぽつんと立っているわけで。
「なんだかよくわからねえけど、すげぇ事になってるみてえだな? でもこれで歪虚を吹っ飛ばせるってんなら、協力は惜しくねえぜ。……ま、できることつったら力仕事かメシぐれえなもんだけどよ」
わずかに口元を歪ませて、シン・カルナギ(ka3485)がそんなことを言ってみせた。口は悪いものの、歪虚によって過去を失ったことのある彼にしてみれば、これはある意味絶好の機会、なのだろう。
歪虚に対しての切り札ができるかもしれないというのは、ハンターたちにはその話だけで希望なのだ。
(それに……CAM乗りとしては今回の一大プロジェクト、関われるだけでも嬉しいんだよね)
直接CAMに触れることはできないだろうけれど――けれど、サルヴァトーレ・ロッソのCAMパイロットだったレホス・エテルノ・リベルター(ka0498)にとってみれば、このプロジェクトの発足そのものが待ち望んだものだった。
「頑張るね!」
「はい、私もお手伝いいたしますわー!」
その言葉に応じるように頭にパルムを乗せた少女チョココ(ka2449)がそうにっこりと笑顔を作れば、周りのものも頷く。
「それにしてもこの規模、ある意味村を作るのとさほどかわらん気がするな……どのくらいの期間を予定しているかは細かく書いてはいなかったが」
鋭い言葉のメスを入れるのはアルメイダ(ka2440)、確かにそういった部分はかなりアバウトな依頼だったような気がするが……きっと細かいことを気にしてはいけない、のだろう。
「村を作る。その発想は多分あながち間違いではないと思いますよ」
そう、やや興奮した口ぶりで答えたのはジークだった。
「リムネラさんは、辺境の――というか、このクリムゾンウェストの未来を憂いている部分があります。それを打破するための第一歩にもなるかも知れないですから、この実験も、ここにできる施設も。だから、――どうか皆さん、力を貸してください……リムネラさんもそれを願っています」
言いながら、遙か遠くを見やる。彼の視線の彼方には、巫女たちの聖地リタ・ティトがある。リムネラはきっと、その奪還を祈り、願っているのだろう――己のルーツを取り戻したいと思わぬはずがないのだから。
「期間はとりあえず一週間ほどをめどに考えていますけど、むろん早くても遅くても、とりあえず施設が雨風を凌ぐことができ、暖かな食事が取れる――そういった基本的な生活をそこで行っても問題がないくらいになるようにしたいところです。皆さんの力が頼りです、お願いします」
ドワーフたちも後ろで力こぶを作り、豪快に笑った。
「まあ、この手伝いが新しい希望になれば良いと思うのはわしらも同じだからな。わしらにできるのはもっぱら力仕事だから、指示なんぞも頼むぞ」
「えっ」
驚いたような声を上げたのは誰だったか。
「なにしろ、わしらはあくまで作る手伝いじゃからのう」
ドワーフはそんなことを言いながらあごをしごく。……もしかして、このドワーフたちはかのドワーフ王に近しいのだろうか……なんとなくそんな雰囲気も漂っている。
「……ま、なんとかなるわよ。なにしろ、普段リムネラちゃんになってる恩返しもしなくちゃならないしね♪」
一瞬固まりかけた空気を和ませるようにウィンクしてみせたのはカミーユ・鏑木(ka2479)、見た目は筋肉質な男性だが心は乙女というナイスゲイ(本人談)。ユニオンメンバーのみならず、仲間たちのそんなあたたかな思いやりはいまはとてもありがたい。
「ま、今回の施設は主に実験のための宿舎みたいなもんになるみたいだから、日数が少ないとは言えしっかりしたものを建てたいところだねぇ」
壬生 義明(ka3397)も頷きながら、周囲をくるっと見渡してみる。
「……家を作れば良いのか? よくわからんから俺は言われたこなしていく、適当に使ってくれ」
口下手なのだろうか。どこか幼さの残る少年ティウ=ダイン(ka3560)はぼそっとそう言って、小さく目を伏せた。
「それじゃあまずは資材運びかな。乗用馬を使えばいくらか楽だと思うんだけど」
そう提案したのはレホス。準備万端、自分の乗用馬も連れてきている。
「ああ、少しでも手伝ってくれるならそりゃあありがたいなぁ」
ドワーフ大工たちもそう言って頷き合う。
「うちにも馬はいるから、その手伝いはできるな。まあ、動かないことには始まらないし、人だけでやるよりも多少はましだろ?」
アルメイダも言いながら、連れてきた乗用馬の首を軽く撫ぜてやる。
「じゃあ、物資の運搬については馬を持った人とドワーフさんたちに主に任せる形になるかな。その他の素材確保は、みんなで。施設の建設については、それが完了してからになるね」
ジークが話を軽くまとめる。今回は王国・帝国などの協力も仰ぎつつの共同事業であるため、砦に近い集落まで一部の資材は運ばれているとのこと。それを運ぶのは確かに骨の折れる作業ではあるだろうが、やりがいのない作業ではないはずだ。
「そういえば、ここの建物はリアルブルーのコテージをイメージしているんだけど、こんな感じでどうかね?」
そう義明がそう言いながら、写真やイラストをいくつか見せてみる。そこにはリアルブルーのキャンプ上でよく見かけるような、木製の素朴な家が何軒も軒を連ねている様子が描かれていた。正直、今の状態ではこれくらいの規模がせいぜいだろう――下手をすればこれすら難しいかも知れない――が、ビジュアルになっていることで全員の認識が統一されるのは良いことだろう。
「へぇ、これなら確かにここにある材料でも十分に可能だしね♪」
それを見たカミーユは目を細めて、いかにも楽しそうに頷いた。カミーユ自身はかまども作りたいと思っている。それは今回の滞在だけでなく、最終的に施設の台所として機能すればなお良いだろう。それぞれ、夢を少しずつ描いている。
「……でも、CAMというのは人型の大型機械なのですよね……はっ、パルム、パルム型はないんですの!?」
チョココはパルム大好きなエルフ、頭の上にいるパルムのパルパルは彼女の大切な存在だ。天涯孤独の少女の、活力の源なのかもしれない。だからこそ、パルム型なんて想像をしてみたるするのだが。レホスはわずかに苦笑しながら、CAM乗りとしてその質問に答えてやる。
「残念ながら、パルム型はないね。もっとも、そういうマークを入れる程度なら、リアルブルーでもやっている人がいなかったわけじゃないけど」
彼女が想定しているのは、戦闘機などに描かれるノーズアートと呼ばれるたぐいのものだろう。それを聞いたチョココはわずかに残念そうに耳をたれ、
「そうなんですの……すーっごく大きなキノコ型のCAM、あれば良かったですのにー……」
その言葉で、まだ緊張しがちだった場の空気が、わずかに緩んだ。
●
とは言え、すべての資材を輸送してもらったわけではない。建材になるであろうものはその重量もあって辺境に運ぶのも一苦労なので、それらは寒風吹きすさぶ森で必要分を伐採をする必要がある。
「こういう力仕事なら任せて♪ あたしはメインウェポンが斧だから、こういった作業には向いてると思うのよね」
カミーユがにっこり笑いながら、バルディッシュを軽くふるう。軽々と動くそれは、さすがハンターの膂力というべきか。よく見れば全身がほのかに虹色の雷の如きオーラを纏っており、それは覚醒していることを示す証でもある。あっという間に木が伐採され、見ている方も心地よいくらいだ。
「伐採なら、ハルバードでの手伝いもできそうじゃの」
ピンク色の髪のドワーフアルマ(ka3330)もまた、おのれの武器で木材を伐採していく。ついでに枝も払えば、施設の主な建材となる木材が次々と生み出されていく。
「大きいものはともかくとして、ある程度のサイズならばアルマ自身で運んでいくかの」
そう言うとひょいと担ぎ上げ、それをもって運んでいく。この二人の行動に無駄がなく、必要な木材はさほど時間もかからずに用意することができた。
一方そのころアルメイダとレホスは、輸送されてきていた必要な資材を受け取っていた。
CAMの件は大きく宣伝を打った行動ではないが、ハンターたちには少しずつ、しかし確実に情報が広まり始めている。どうやらそれを知っている商人なのだろう、
「がんばれよ」
と励ましの言葉をもらうことになるのだった。
●
彼ら自身はテントで寝泊まりし、作業は順調に進んでいく。
三日目、四日目ともなるとハンターとドワーフたちの間も親密になり、ハンター同士の仲も良くなっていた。はじめは主張の薄かったティウも、仕事をしっかりとやることでドワーフたちにはずいぶん気に入られたようだ。
「っと、そろそろメシにするぞー」
そう茶目っ気を含んだ声で言ったのはきょうの料理担当であるシンだ。材料は仲間たちと持ち寄ってきたもの、そしてユニオン側が用意してくれたものなどという感じでかなりの量があるのでとりあえずの食事に困ることはまずないだろう。ちなみに明日はカミーユがシチューを作るつもり満々だ。
「ハンター仕込みの男の手料理ってやつになっちまうけどな、味はいけるぜ」
苦笑しながらも彼が作っていたのは、大鍋にたっぷりの煮込み料理。これも、あらかじめ薄ぼんやりとしたリクエストを確認してから作ったものなので、周りからの評判もなかなかに好評だった。
「そうだ、ここって大人数がそれなりの時間を過ごすことになるんでしょ? 物資や食料も、ある程度ためておけるようにした方が良いんじゃないかな」
言われてみればもっともだ。どんなことが起きるかわからない場所に住むわけだから、万が一の備えというのは必要に違いあるまい。
「コテージの方も作成がずいぶん進んでいますしね。そういうところに手を加えて頂けると、確かにありがたいです。何しろ、この何にもないところに作っているわけですしね?」
水源近くにあったからこの場所を選んだものの、それ以外は本当に何もない場所だった。しかし今は、そこに少しずつながらも人の手が加わり、人が生活するに耐えうる環境を作り出そうとしている。
「実験でここを使う人はむろん多くないですけど、その後もここをそれなりの集落として機能させるのならば、かなりしっかりと基礎作りをしないといけませんしね。今はこんなコテージで精一杯ですけど、いずれはもっときちんとしたものをとは、リムネラさんもお考えになっていますし」
ジークはそう言って頷く。
確かに、リムネラの考えるような拠点足りうるにはこれでは足りないだろう。しかし、その足がかりにするには十分なのかも知れない。
「うん、だからこそいっそう、必要なものをもっと確認しなきゃだね。とりあえず倉庫は必要だと思う」
「あと、ゴミをまとめて処分する場所もあった方が良いだろう」
これはアルメイダの意見。カミーユもウィンクしながら、
「かまどももっと本格的な方が、料理の幅も広がるし♪」
そう言って笑みを浮かべる。
「足場は確りとせねばならぬしのう、大分頑張ってみたのじゃが」
アルマは作りかけのコテージをそっと見る。急ごしらえではあるが、ハンターの力も借りていることもあってずいぶんはかどっている。普通なら二倍以上時間のかかりそうな工程もあるだろうが、そこはハンターたちとドワーフたちのコンビネーションでうまくいっているのだ。特にドワーフであるアルマや話術に長けた義明などがずいぶんその助けになっている。
「本当、ドワーフの大工さんの腕前が改めてわかるよねぇ、優秀なんだって」
「いやあ、おだてても何もでんぞ?」
義明に褒められて、豪快に笑うドワーフ大工たち。
「でもじっさい、みんなで頑張っているからこそここまでの成果が出ているんですよ。もう少し頑張りましょう、きっと結果は出ますから」
「ああ……そうだな」
新は頷いてからふと思い出したように質問をする。
「……そう言えば、真っ黒いフェイライの話というのを、聞いたことはねぇか? いや、見た目は……覚えてねェんだけどよ」
その黒いフェイライは、彼の故郷を襲った歪虚。そして彼はそれと、生きるすべを教えてくれた親代わりのハンターを捜している。機会があれば、それを知る人を捜しているのだ。
「左目に赤い眼帯をしてる白髪のハンターはさ、俺の親父なんだけどさ……ああ、今は離れて暮らしているんだけどよ、やっぱり気になってな」
そう呟く彼の瞳は、少し懐かしそうに細められていた。
「さ、もう少しですよ。大丈夫、頑張りましょう」
ジークは小さく頷いた。
アルマの奏でるオカリナが、静かに夜空に響いていった。
●
アルメイダなどは動物などの襲来にも備えていたが、それも特になく。
予定よりなんだかんだで少し時間がかかったが、彼らのできることはやり尽くしたはずだ。
コテージが数軒、それに共同のトイレと風呂、台所。
脇には多くの資材をしまうことのできる倉庫がある。
それなりの人数が最低限以上の生活を送れるだけの場所になっているはずだ。ドワーフも、ハンターたちも、満足そうな笑顔を浮かべている。
「あとは――CAMの実験、成功すれば良いね」
レホスがうれしそうにそう笑う。
「ああ」
人類の希望であるCAM。そのための実験。
それを支える一助になることができたことを誇らしく思いながら、ハンターたちは笑顔を浮かべあったのであった。
依頼結果
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相談卓 レホス・エテルノ・リベルター(ka0498) 人間(リアルブルー)|18才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2014/11/30 06:47:26 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/11/29 20:55:27 |