新酒が売れなくて困っています!

マスター:小林 左右也

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2017/12/08 19:00
完成日
2017/12/19 13:12

このシナリオは3日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●新酒できました、が
「あらレインマンさん、いらっしゃいませ。お待ちしておりました」
 この日、ハンターオフィスを訪れたのは、ひとりの青年であった。一見学生のようにも見えるが、立ち振る舞いは堂々としたもので、身なりや仕草に品がある。
「ご無沙汰しております、リィさん。今日はお時間作っていただいてありがとうございます」
 青年の名はウォルト・レインマン。「妖精の丘」と呼ばれる高原や森が広がる土地でで、ワイナリーとホテルを所有する若き経営者である。
「それで、今回の依頼というのは? 歪虚関係ではないとのことですが……」
 広大な敷地ゆえ、雑魔が潜む手つかずの土地も多いと聞いている。しかし今回は雑魔退治の類ではないらしい。
 詳しくはハンターオフィスで説明すると言われ、今に至る。
「リィさんは、ボジョレー・ヌーボーをご存じですか?」
「ええ、名前だけは存じております。詳しいことは知りませんが、確かリアルブルーにあるイベントのひとつ、でしたよね?」
「その通りです。今年の新酒を楽しむイベントです。リアルブルーの友人から話を聞いて面白いと思いまして、数年前から秋に今年で来たばかりの新酒を売り出しているんですよ」
 ですが、とウォルトは肩を落とす。
 どうやら、街の住人の浸透率がイマイチらしい。
 ボジョレー・ヌーボー、いや妖精の丘・ヌーボーは新酒であるゆえ、熟成されたワインのような味わいは無い。軽くてフルーティだから飲みやすいが、古くからワインに親しんでいる住人たちには物足りなさもあるのかもしれない。
「地元の皆さんにも広めたいのです。ゆくゆくは業界全体の活性化にも繋げていきたいのですが、最初の段階でつまずいてしまっている状態です」
「色々大変なのですね」
「お恥ずかしい話ですが、オーナーと言いましても、古参の方々には親の権威を笠に着た若造くらいの認識しかないのですよ」
 確かにレインマン氏は実年齢より若く見える。今年三十歳を迎えたとはとても思えない。
 はあ、と溜息を吐きつつも、ウォルトは続けた。
「なのでここはぜひ、ハンターの皆さんのご協力を得たいと思い、この度ご相談に上がったのです」
「はい……?」
 しかし、なぜその依頼をハンターオフィスに? コウ・リィは首を傾げた。

●レインマン氏の依頼とは?
「それで、ワインの新酒が売れないっていうのと、ハンターオフィスの関係って何だったんです?」
 うっかりコウ・リィの愚痴を聞く羽目になった年若いハンターだが、あまりない依頼に興味をもって訊ねる。
「ハンターにはリアルブルー出身者が多いから、ボジョレー・ヌーボーという新酒に慣れ親しんでいると思われたみたいなの。だから、今回の依頼にも協力して貰える人が多いんじゃないかって」
 レインマン氏の依頼。それは今年できたばかりの新酒ワイン「妖精の丘・ヌーボー」の売り上げアップ。
 先代の頃から付き合いのあるリカーショップに置かせて貰っているが、まったく売れないという話だ。
 売れるようアピールをして欲しいと要望するものの、店主はなかなか頑固者で気難しく、レインマン氏をいまだに若造扱いして、話に耳も傾けようとしない。
 だから街の住民からも信頼の厚いハンターの協力とあれば、頑固な店主も、街の人々もきっと受け入れてくれるはず……というのがレインマン氏の言い分である。
「信頼が厚いとまで言われたら、引き下がれなくなってしまったのよ……」
 しょんぼりと項垂れるコウ・リィを、まあまあと女性ハンターは慰める。
「悪い気はしないもんねー。それにリィさん付け込まれやすそうだし」
「申し訳ありません……」
「本題に戻るけど、新酒の販売促進に、出身ってあんまり関係ないんじゃない? あたし、リアルブルー出身だけど、ワインとか興味ないし。ボジョレー・ヌーボーだって、ああやってるなーくらい?」
「そうですか…………」
「でもさ、売れない商品を売れるように仕向けるって、ちょっと面白そうじゃない?」
「ほ、本当ですか?」
 彼女の発言に勇気づけられて、コウ・リィは顔を上げる。
「では! 『妖精の丘・ヌーボー』売り上げアップ大作戦! いってみましょうか!」

リプレイ本文

●頑固親父との打ち合わせ
 事前の話し合いのため、ハンターたちはドルイド氏のリカーショップを訪れた。
 出迎えてくれたドルイド夫人と娘のマリーは、穏和で感じのいい人物であった。しかし、問題は店主のドルイド氏だ。
 恰幅がよく、口元にたっぷり生えた髭。きっと髭の下の口は始終への字の形だろう。気難しいとは聞いていたが、気難しいを絵に描いたような人物であった。
 ハンターたちはそれぞれ簡単な自己紹介をする。その間もドルイド氏は「うむ」と相槌を打つだけ。
 全員の挨拶が済むと、ドルイド氏はおもむろに席を立とうとする。慌てて夫人が引き留めた。
「ちょっと? あなた、どこへ行くの?」
「儂の勝手だ。開店前までには話を終わらせておくように」
「お父さん!」
 夫人とマリーが引き留めるものの、言うことを聞かない。
 ドルイド一家の様子をハラハラしながら見守っていたルリ(ka7068)であったが、勇気を出してドルイド氏の前に立つ。
「私達、このお酒をいろんな人に飲んでもらって、笑ってもらいたい……です。知らないだけで……皆さん……きっと、美味しいって言ってくれると思うんです……」
「美味い酒であれば、余計なことなどせずとも売れるものだ。若造の浅知恵など必要ない」
 ドルイド氏の無遠慮な態度に、ルリは怯みそうになる。しかし。
「少しだけ、時間をください……準備も、声掛けも……ご迷惑はお掛けしない様に頑張りますから……!」
 ミア(ka7035)もまた、自分の思いをドルイド氏にぶつける。
「もちろんお酒を買ってもらうのも大事ニャスけど、大切に栓を閉じたワインの味を“好き”になってもらうのも、今後、住人さんと繋がる“未来”になると思うニャス!」
 しばしの沈黙が流れる。ややあって、ドルイド氏は不機嫌そうに呟いた。
「……好きにしろ」
 ドルイド氏はため息を吐くと、再びイスにどっかりと座り込んだ。

 レインマン氏の了解を得た案を説明するのは、発案者である初月 賢四郎(ka1046)であった。
 まずは新酒の愛称。妖精の丘の「妖精」を使い「フェアリーテイル」に変更。
 赤はFTルージュ、ロゼはFTローズ。ちなみに「FT」はフェアリーテイルの略である。
 さらにラベルも妖精柄で毎年デザインを変える方式を提案した。妖精とワインの出逢いといった物語を創作し、ラベルデザインは公募方式。
 これにはレインマン氏も乗り気で、前向きに見当するということだ。
「ルージュにローズ。綺麗な響きですね」
「新酒赤や、新酒ロゼよりもずっといいんじゃないかしら?」
 マリーとドルイド夫人にはなかなか好評だ。店主であるドルイド氏を除いては。
「小手先だけ変えたところで、売れ行きはたかがしれていると思うがな。こっちに面倒がなければ、いくらでもやるといい」
「ええ、もちろん。ドルイドさんの手を煩わせたりしませんのでご安心ください」
 賢四郎は笑顔で受け流し、再び説明に入る。
「日本酒もそうですが、それ以上にワインは料理との相性が重要だと思うんですよ。酒と料理が互いに高め合う……確か……マリアージュ……でしたかね?」
 次に提案をするのは、新酒&新メニューの組み合わせの売り込み。場所は主に街の酒場などを考えている。また今後は「新酒とのマリアージュ」に拘った料理コンテストの開催してみては、というものだった。
 だが、ドルイド氏は難色を示す。
「あんな売れない酒を、うちの店から押し付けられたなんて言われてみろ。じいさんの代から続いているうちの店の信用に関わる」
「ならまずこの店で、道行く人に試飲と試食を提供してみてはどうでしょう?」
 賢四郎の意見を後押しするように、ミアもドルイド氏にお願いをする。
「ミアの味、ワインに合うかおっちゃんに確かめてほしいニャス」
「……儂を満足させる出来栄えだったらな」
 こうなったらドルイド氏を唸らせる料理を作ってみるしかない。
 夫人は申し訳なさそうに「キッチンはうちのを使ってくださいね」と口添えをする。ひと通りの調理器具は揃っているというから、ありがたく使わせて貰うことにする。
 また、他のつまみになる材料の店で新酒の販売依頼をするという案を出すが、試食&試飲販売が成功すれば考える、という返答だった。

 試飲と試食を提供するなら、店先には試飲場所が必要だ。試飲場所と店舗のディスプレイについてはルリが提案をする。
 今の時期に合わせて赤と緑を基調にしたディスプレイと、ワインを並べて妖精モチーフの人形、クリスマスモチーフのミニツリー。さらにお洒落なグラスや、ホットワインに使えるかわいい陶器グラスを飾ってはどうだろう。
「簡単に使えるオープナーとかも飾ったら一緒に売れるかも……?」
「あ! 可愛いのなら、在庫にもありますよ」
 とマリー。以前マリーも似たようなことを考え、単独で可愛く見栄えのするグラスやカップを購入したがドルイド氏の猛反対を受け、そのままお蔵入りになってしまったという。
「……寒いし、ホットワインも用意しとけば喜ばれるんちゃうかなぁ?」
 白藤(ka3768)が言うように、寒空の下で飲むホットワインは格別だろう。通行人も思わず足を止めたくなるはずだ。
「ホットワインに使うオレンジやシナモンも見せるように飾って、赤と緑のカラフルな紙コップを用意してもいいな」
 浅生 陸(ka7041)もホットワインから浮かんだアイディアを添える。
 ホットワインの他にも、ルリでも飲めるようなアルコールを飛ばしたサングリアや、赤ワインを使ったビーフシチュー、プルーンの赤ワインジャム……とハンターたちの間で、次々とアイディアが飛び交う。
「おつまみの試食はさせてもらいたいです……」
 そう思ったのはルリだけではないようだ。他のワインにも合いそうだな、ドルイド氏が呟いたのを耳にする。どうやらメニューの選択は合格のようだ。

●当日の朝
 いよいよ当日。ルリと陸は準備のために朝早くからリカーショップに出向いていた。
「男の人の……力があると、凄く凄く助かります……」
 ルリは精一杯、ありがとうのの気持ちを伝える。マリーも手伝いに来てくれたが、陸がいなかったら、試飲場所の準備は難しかっただろう。
 ルリが持参したものは妖精の絵を水彩絵の具で描いたイラストだ。他にはワインの味や違いを書いたPOPと持ち帰れる簡単レシピまで用意していた。もちろん妖精の人形や、ミニクリスマスツリーも忘れていない。
「ルリに任せて良かったよ、可愛くできてるじゃないか」
 ありがとうございます、とルリは嬉しそうに頬を染める。
 陸が用意したカラフルな紙コップ、ディスプレイ用の果物やスパイス。マリーが在庫から出した見栄えのするグラス類。店頭で気に入った人に渡せるよう、商品も準備した方がいいだろう。
「レインマンさんが用意してくれたのですよ」
 マリーが運んできた新酒のラベルには、妖精柄と新名称が入っていた。今回はレインマン氏自らデザインし、ラベルの張り替えもしたという。
 完成を迎える頃、ドルイド氏がひょこりと顔を出した。ドルイド氏は品定めをするようにディスプレイされた試飲場所を眺めと、「ふん」と鼻を鳴らして店に戻ってしまった。
「お父さんが文句言わないなんて、珍しい……」
 マリーは意外そうに呟いた。

 キッチンでもすでに試食用の料理の準備は始まっていた。
 白藤が作る赤ワインを使ったビーフシチューが鍋の中で、くつくつと音を立てていた。わからない程度の赤みそは隠し味。意外に思うがコクが出てさらに美味しくなる。一口食べられるよう、小さなレンゲやスプーンにのせてお客様に出すつもりだ。
 気軽につまめるカナッペには、チーズや生ハム、アボカドをのせて、彩りを大切に。寒い日に恋しくなる熱々ビーフシチューと、彩り鮮やかなカナッペが仕上がった。
「ふふ、ミア? おいで」
 出来立てのビーフシチューを冷まし、ミアの口の中に入れる。ミアは大きく目を見開き、とろけそうな笑顔になる。
「シチューおかわりニャス!」
 ミアの幸せな顔が見ることができて、白藤も笑顔になった。

 ミアはきのこのペペロンチーノブルスケッタに取り掛かっていた。オリーブオイルとニンニクの匂いが食欲をそそる。バケットにのせて、オリーブオイルをかけて食べるのもいい。動物のピックとか、旗とかさしてみようかな?
 プルーンの赤ワインジャムと、賢四郎レシピのサングリアは、ちびっこたちも飲み食いできるように、煮立ててアルコールを飛ばす。
 ジャムは食べやすいようバケットに乗せる。サングリアには皮つきでカットした無農薬フルーツと、蜂蜜をたっぷり入れて甘めに仕上げる。
「FTサングリア・フォウ・レディの出来上がりニャス!」
 さっそく出来上がった料理とサングリアを、皆に試食して貰うことにする。まずは寒空の下で試飲場所の二人の下へと持っていく。
「ミアさんや白藤さんの作るおつまみ、美味しい……」
 ルリは白い頬を上気させ、ビーフシチューを堪能する。
「旨いじゃん、酒がすすむ……! いや、飲むのは終わってからだけどな。二人とも料理できるんだなー」
 じろり。白藤とミアの視線に気づき、慌てて「いや、冗談だって……」と弁解していると、様子を見に来たドルイド夫人が「私も試食させて貰ってもいいかしら?」と訊ねてきた。
 そこで陸は、夫人とマリーには客足を止める呼び水として、開店してから改めて試飲と試食をお願いしたいと伝えると「もちろんよ」と笑顔で快諾された。
 料理の味は間違いなく美味しいはずだ。だが一番問題なのは、ドルイド氏のお眼鏡に叶うかだ。皆の応援を受けながら、ミアは出来立ての料理とサングリアを持っていくことになった。
 すでに店内で開店準備をしていたドルイド氏に声を掛ける。
「ドルイドさん、試食をお願いしますニャス!」
「遅かったな」
 ということは待っていたのだろうか。試食の料理を次々と平らげていく。ジャムとサングリアを口にした時、ふと手を止めた。
「……アルコールが飛んでいるぞ」
 子供でも食べられるようにと伝えると、「子供は酒を飲まないから関係ないだろう」と渋い顔になる。
「まったく、若い奴らの考えていることはわからん。これも住人と繋がる“未来”になるってわけか?」
 どうやら以前のミアの言葉を覚えてくれていたらしい。
「言葉も触れ合いも、食べることも飲むことも、人との大切な繋がりになるニャス! これを機会にお酒も縁もまるっと抱えちゃおうニャスよ♪」
「……取り敢えず初日は許可しよう。集客に繋がらないようなら明日は無しだ」
 わかったな、とドルイド氏は念を押した。

●いざ開店
「寒い季節、家で大事な家族とまったり、友人たちとわいわい、恋人とのんびり、そんな時間にこの新酒はいかがです?」
 賑わう商店街に、陸の呼び込みの声が響き渡る。
 試飲場所にはホットワイン、サングリア、ワインに合うおつまみが用意されている。
 寒い中でのホットワインとビーフシチューは好評だ。美味しそうな匂いや、可愛らしいディスプレイで足を止める人も多いが、店頭に立つ陸とルリの存在も十分に目立つようだ。
 しかし、まだ足を止めようかと迷いながら通り過ぎる人も多い。
「ホットでもコールドでも、勿論常温でもイケるワインでね、フルーティな独特の味わいがあって、何より、出来立ては今しか味わえないんだ」
 よし、もうひと押しだ。陸は目の合った人に笑顔で語りかける。
「今日は特別にめちゃ旨いワインのお供も試せる、お客さん、運がいいね。中にもたくさんあるよ」
 陸の巧みな営業トークと接客術に、ルリは圧倒されつつも決意を固める。
「頑張って……笑顔で……私も、ワインを配るお手伝いをします……」
 慣れないながらも健気なルリの接客は微笑ましく、二人の周りにはいつの間にか人だかりができていた。
「陸、これ」
 料理を届けにきた白藤が、陸にアドバイスメモをそっと渡す。
「ホットワインで寒い夜にぴったり・家族で美味しく食べれる・酸化防止の効果、美容に良いと言われている……」
「女性は最後のがオススメやで」
 陸の隣りでは、ルリは試飲や試食を勧めている。彼女は今回が初仕事だ。ひと段落ついたところで、白藤は何か手伝うことはないかとルリに声を掛ける。
 自分が飲めないワインを売るのは色々と大変ではないかと心配していた。
「飲めないけど、きっと皆さん、にこにこ笑顔だから……ワイン、美味しいんだろうなぁって……」
 でも、ちゃんとお手伝いできているでしょうか。
 少し不安げなルリの頭を、ぽんとひと撫でする
「大丈夫や、皆で一緒にがんばろや」
「はい」
 ルリは控えめな笑顔で頷いた。
 ちょうどその時、外回りに行っていた賢四郎が戻ってきた。
「試飲の様子は如何ですか?」
「賢四郎は外回り寒かったやろ? 暖まってや」
 試食の他に、皆にもおすそ分けを用意してある。ビーフシチューで体を温めると、賢四郎は再び営業に向かった。
 新しく用意した料理は瞬く間に消えていく。今度はミアができたばかりの料理を運んできた。
「ちびっこも遠慮なく食べるニャス!」
 わあっと、子供たちが嬉しそうに駆け寄ってくる。子供たちを追い掛けてくる大人たちも、試飲の輪に加わった。
 ホットワインはさることながら、FTサングリア・フォウ・レディもなかなかの人気だ。
「お酒は楽しい飲むもん、幸せの時間……やな」
 忘れたくて、潰れる迄飲むんは…もうやめにせんと。お酒を楽しむ笑顔を見て、白藤も釣られて微笑んだ。

●今日の売り上げ、そして
 夕方の賑わいに紛れて、レインマン氏がこっそりとドルイド氏のリカーショップに訪れた。
「ハンターの皆さんのご様子は如何ですか?」
 祖父の代から続く大事な店を、必死になって守ってきた。熟成させないワインなんて受け入られるはずがない。レインマン氏も立場は同じはずなのに。
「……次々と新しいことをやってくれている。あんたみたいにな」
 レインマン氏が微笑むと、複雑な表情でドルイド氏はそっぽを向いてしまった。

 初日の新酒の売り上げは上々だった。
 これにはさすがのドルイド氏も何も文句は言えなかったようだ。子供たちでも食べられるよう、アルコールを飛ばしたジャムとサングリアも翌日も継続となる。子供が案外大人を引っ張ってきてくれることも判明したからだ。
「お、お疲れ様でした……どうぞ……」
 ルリは営業から戻ってきた賢四郎にホットワインを差し出した。
 酒場への新酒と新メニューの提案は成功だった。他店への新酒の販売依頼も時間の問題であろう。
「働いた後は皆で乾杯、だな!」
 陸の掛け声を合図に、全員グラスを高く掲げた。

 翌日は初日の倍以上の売り上げで終了した。
 来年からは新酒用のラベルデザインの公募を開始することが決定。
 妖精とワインが綴る物語は、今始まったばかり。

依頼結果

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MVP一覧

  • 矛盾に向かう理知への敬意
    初月 賢四郎ka1046
  • 天鵞絨ノ風船唐綿
    ミアka7035

重体一覧

参加者一覧

  • 矛盾に向かう理知への敬意
    初月 賢四郎(ka1046
    人間(蒼)|29才|男性|機導師
  • 天鵞絨ノ空木
    白藤(ka3768
    人間(蒼)|28才|女性|猟撃士
  • 天鵞絨ノ風船唐綿
    ミア(ka7035
    鬼|22才|女性|格闘士
  • Schwarzwald
    浅生 陸(ka7041
    人間(蒼)|26才|男性|機導師

  • ルリ(ka7068
    人間(紅)|16才|女性|聖導士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
初月 賢四郎(ka1046
人間(リアルブルー)|29才|男性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2017/12/08 02:03:48
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/12/04 22:30:57