ゲスト
(ka0000)
【CF】パーティ準備中 ~料理と捜索~
マスター:近藤豊

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~4人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/12/14 19:00
- 完成日
- 2017/12/17 12:51
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
月面基地「崑崙」にて開催されるクリスマスパーティ。
リアルブルーの危機を回避した戦勝記念の祝賀会を兼ねている事から、例年よりも盛大なクリスマスパーティとなる。
しかも、今回はリアルブルー有数の財団である「ムーンリーフ財団」が全面的にバックアップ。資金面に関しても万全な状態である。
だが、それはリアルブルー側の話。
クリムゾンウェストでも聖輝節は開催され、今も準備の真っ最中。
なら、崑崙での祝賀会は呼ばれるだけで何もしなくていい……という事は一切ない。一定時間だけの滞在にはなるのだが、クリムゾンウェストの者もパーティの準備をするべきだ。
クリムゾンウェストでも聖輝節の準備や歪虚との戦いで忙しいのだが、それでも誰かを手伝いへ送り込まなければならない。
――その結果、また新たな騒動が勃発する事になる。
「すっげぇ! 見ろよ、ヨアキム! 外が夜みてぇに暗いぞ!」
「おおっ!? 本当じゃねぇか。星が何かでけぇのもあるな。
でも、なんだよ。建物の外が岩ばっかりだ。ここ」
崑崙を訪れた大幻獣テルル(kz0218)とヨアキム(kz0011)の二名は、周囲を見回して驚嘆している。
祝賀会準備の為に送り込まれた二人だが、初めてのリアルブルーに状況がさっぱり飲み込めていないようだ。
「リアルブルーってぇのは、何にもねぇところなのか?
……いや、向こうにでっかくて丸くて青いのがあるな。ありゃなんだ?」
「あれは地球ザマス。あたくし達が生まれ育った星ザマス」
完全なお上りさん状態のヨアキムの後ろから、ラズモネ・シャングリラ艦長の森山恭子(kz0216)が現れた。
突如襲来した恭子を前に、テルルは思わずたじろいだ。
「な、なんだよ。この婆さんは! ピエロみたいに派手だぞ」
「婆さんじゃないザマス! あたくしはまだ還暦前……って、なんザマス? この丸い生物は?」
恭子は反射的にしゃがみ込んだ。
ハンターが乗っていたリーリーやイェジドを目撃した事はあったが、喋る幻獣は初めて目にしている。それもシマエナガで丸くもふもふ感いっぱいのテルルである。
しかし、当のテルルは何故かぶち切れている。
「生物じゃねぇ! 幻獣だ! パーティやるっていうから、この天才幻獣機導師のテルルさんが手伝いにきてやったんだ。ありがたく思いやがれ!」
「はいはい。可愛らしい手伝いザマスね。
そっちの髭モジャの方は……?」
「ワシはドワーフ王のヨアキム。挨拶代わりにワシの土手っ腹にパンチを二、三発叩き込んでみるか?」
「は?」
突然、意味不明な事を投げかけるヨアキムを前に、呆気に取られる恭子。
自信満々のヨアキム。
初対面の髭親父の腹を何故殴らなければならないのか?
その答えは――ヨアキムの口から語られる。
「殴ればおめぇもストレス発散。さらにワシも殴られて気持ちい……じゃなくて、筋肉を自慢できる。どっちもハッピー。ウィンウィンって訳だ」
何を言っているのか理由を聞いてもさっぱり分からない。
だが、これがヨアキムだ。おそらく誰かが教えた『ウィンウィン』を使ってみたかったのだろう。
「……なんか、とても先行き不安ザマス。
ああっ! ここでイケメンを見て眼福できれば!
見回してもイケメンは居ないザマスね。ううーん、癒しでもないと倒れそうザマス」
恭子は額に手を当てる。
せめてイケメンが派遣されていれば良いのだが、異世界のクリムゾンウェストでもかなり香ばしい部類の馬鹿代表がやってきたのだ。
苦悩するのも無理はなかった。
「仕方ないザマス。後から来るハンターさんの料理に期待ザマス」
恭子はため息をついた。
実は今日、崑崙でも祝賀会で添えられる料理を選定しようとしていたのだ。
ムーンリーフ財団や地球統一連合軍所属の料理人がパーティの料理を準備してくれる。
だが――歓迎されるハンターやクリムゾンウェストの人々が料理を提供できれば、二つの世界はより親交を深められるのではないか。
その企画を思い付いた恭子は、財団にかけあって企画をスタートさせた。
しかし、現時点で料理のアイディアはまったく無い。
レシピだけあればリアルブルーでもある程度決める事ができるのだが……。
クリムゾンウェストからやってくる者に料理のアイディア期待していたのだが、やってきたのは食べる事しかできない二人だったという訳だ。
「と、とりあえずお二人はここで待って……って、あれ? 何処へ行ったザマス?」
顔を上げて周囲を見回す恭子。
だが、そこにはヨアキムとテルルの姿が見当たらない。
馬鹿達が崑崙で迷子。
魔導や機械に興味を抱く二匹が、何か事件を引き起こすのは間違いない。
早々に捕まえなければ――。
リアルブルーの危機を回避した戦勝記念の祝賀会を兼ねている事から、例年よりも盛大なクリスマスパーティとなる。
しかも、今回はリアルブルー有数の財団である「ムーンリーフ財団」が全面的にバックアップ。資金面に関しても万全な状態である。
だが、それはリアルブルー側の話。
クリムゾンウェストでも聖輝節は開催され、今も準備の真っ最中。
なら、崑崙での祝賀会は呼ばれるだけで何もしなくていい……という事は一切ない。一定時間だけの滞在にはなるのだが、クリムゾンウェストの者もパーティの準備をするべきだ。
クリムゾンウェストでも聖輝節の準備や歪虚との戦いで忙しいのだが、それでも誰かを手伝いへ送り込まなければならない。
――その結果、また新たな騒動が勃発する事になる。
「すっげぇ! 見ろよ、ヨアキム! 外が夜みてぇに暗いぞ!」
「おおっ!? 本当じゃねぇか。星が何かでけぇのもあるな。
でも、なんだよ。建物の外が岩ばっかりだ。ここ」
崑崙を訪れた大幻獣テルル(kz0218)とヨアキム(kz0011)の二名は、周囲を見回して驚嘆している。
祝賀会準備の為に送り込まれた二人だが、初めてのリアルブルーに状況がさっぱり飲み込めていないようだ。
「リアルブルーってぇのは、何にもねぇところなのか?
……いや、向こうにでっかくて丸くて青いのがあるな。ありゃなんだ?」
「あれは地球ザマス。あたくし達が生まれ育った星ザマス」
完全なお上りさん状態のヨアキムの後ろから、ラズモネ・シャングリラ艦長の森山恭子(kz0216)が現れた。
突如襲来した恭子を前に、テルルは思わずたじろいだ。
「な、なんだよ。この婆さんは! ピエロみたいに派手だぞ」
「婆さんじゃないザマス! あたくしはまだ還暦前……って、なんザマス? この丸い生物は?」
恭子は反射的にしゃがみ込んだ。
ハンターが乗っていたリーリーやイェジドを目撃した事はあったが、喋る幻獣は初めて目にしている。それもシマエナガで丸くもふもふ感いっぱいのテルルである。
しかし、当のテルルは何故かぶち切れている。
「生物じゃねぇ! 幻獣だ! パーティやるっていうから、この天才幻獣機導師のテルルさんが手伝いにきてやったんだ。ありがたく思いやがれ!」
「はいはい。可愛らしい手伝いザマスね。
そっちの髭モジャの方は……?」
「ワシはドワーフ王のヨアキム。挨拶代わりにワシの土手っ腹にパンチを二、三発叩き込んでみるか?」
「は?」
突然、意味不明な事を投げかけるヨアキムを前に、呆気に取られる恭子。
自信満々のヨアキム。
初対面の髭親父の腹を何故殴らなければならないのか?
その答えは――ヨアキムの口から語られる。
「殴ればおめぇもストレス発散。さらにワシも殴られて気持ちい……じゃなくて、筋肉を自慢できる。どっちもハッピー。ウィンウィンって訳だ」
何を言っているのか理由を聞いてもさっぱり分からない。
だが、これがヨアキムだ。おそらく誰かが教えた『ウィンウィン』を使ってみたかったのだろう。
「……なんか、とても先行き不安ザマス。
ああっ! ここでイケメンを見て眼福できれば!
見回してもイケメンは居ないザマスね。ううーん、癒しでもないと倒れそうザマス」
恭子は額に手を当てる。
せめてイケメンが派遣されていれば良いのだが、異世界のクリムゾンウェストでもかなり香ばしい部類の馬鹿代表がやってきたのだ。
苦悩するのも無理はなかった。
「仕方ないザマス。後から来るハンターさんの料理に期待ザマス」
恭子はため息をついた。
実は今日、崑崙でも祝賀会で添えられる料理を選定しようとしていたのだ。
ムーンリーフ財団や地球統一連合軍所属の料理人がパーティの料理を準備してくれる。
だが――歓迎されるハンターやクリムゾンウェストの人々が料理を提供できれば、二つの世界はより親交を深められるのではないか。
その企画を思い付いた恭子は、財団にかけあって企画をスタートさせた。
しかし、現時点で料理のアイディアはまったく無い。
レシピだけあればリアルブルーでもある程度決める事ができるのだが……。
クリムゾンウェストからやってくる者に料理のアイディア期待していたのだが、やってきたのは食べる事しかできない二人だったという訳だ。
「と、とりあえずお二人はここで待って……って、あれ? 何処へ行ったザマス?」
顔を上げて周囲を見回す恭子。
だが、そこにはヨアキムとテルルの姿が見当たらない。
馬鹿達が崑崙で迷子。
魔導や機械に興味を抱く二匹が、何か事件を引き起こすのは間違いない。
早々に捕まえなければ――。
リプレイ本文
「さて、クリムゾンウェストの誇るお馬鹿を見つけにゃな」
藤堂研司(ka0569)は、崑崙の住宅地区を歩いていた。
クリムゾンウェストの料理人として崑崙に呼ばれた研司だったのだが、依頼者である森山恭子(kz0216)から思わぬ相談を受けたのだ。
『何処かへ行ってしまったヨアキム(kz0011)さんとテルル(kz0218)さんを探して欲しいザマス!』
恭子が目を離した隙に、ヨアキムとテルルは何処かへ姿を眩ませてしまったのだ。
クリムゾンウェストの評判が失墜する前に、何としても回収しなければならない。
「しかし、思っているよりも厄介だな。こりゃあ」
研司は、改めて周囲を見回した。
住宅地区は崑崙で勤務する軍人やその家族が住んでいる場所だ。人工の公園も存在。子連れの主婦が街角で井戸場会議を開く光景も目にする事ができる。
だが、研司が探している髭面ドワーフとシマエナガの幻獣については見つける事ができない。そこで研司は思いきって近くに居た親子連れに話し掛けてみた。
「ちょっといいか?」
「な、なんでしょう?」
見慣れない相手に声をかけられたのだ。母親は研司を警戒しているようだ。
「なぁ、この辺でシマエナガを連れた筋肉モリモリマッチョメンの親父を見なかった?」
「……は?」
母親は、思わず聞き返した。
無理もない。
だが、問題はそれを捜索している研司も変態の仲間として見られてしまう事だ。
「行きましょう」
不審人物扱いされてしまった研司。
母親は、子供を連れて足早に去ってしまった。
「あの馬鹿ども……覚えてろよ」
研司は、捜索対象の二人に怒りを覚えながらも気を落ち着ける為にカフェへと向かって歩き始めた。
●
「いやぁ、ヨアキムは殴って、シマエナガは菓子でもくれてやりゃ連れ戻せるんじゃねぇの。さっさと捜しに行こうぜ」
トリプルJ(ka6653)は、アリア(ka2394)と共に商業地区へ赴いていた。
馬鹿二人がこの商業地区へ紛れ込んだと考えていた為だ。
「きっと、美味しそうな匂いや楽しそうな場所に引き寄せられているんだ」
アリアの視界には多くの人々が行き交っている。
実は商業地区ではムーンリーフ財団が主催するクリスマスパーティに向けて様々な準備が進められていた。
「ヨアキムなら、ウィンウィンとか言いながら人の多い所で筋肉を見せ付けて馬鹿晒してそうだし、テルルは自分の可愛さをネタに菓子を強奪しているところしか想像ができなくてな」
トリプルJの脳裏には、行方不明の馬鹿二人が事件を引き起こしている様子であった。
「とりあえず、さっさと回収しないとな」
「そうだね。早速聞き込みしてみようか」
アリアは、あまり忙しく無さそうな人間を探して声をかけてみる事にした。
「ねぇねぇ。ここに丸々太った美味しそうな鳥さんか、樽が歩いてるみたいなおじさん見なかった?」
「は? 鳥? 樽?
いやー、そんな奴は見てないな。そもそも、これだけ忙しいと他の人間に注意を払う余裕もないな」
作業員の男によれば、ヨアキムもテルルらしき姿は見ていないという。
しかし、作業員の多くは作業に没頭している為に周囲へ気を配る余裕も無いらしい。
「こりゃ、意外に捜索は面倒そうだな」
「でも、これだけの人なら情報を持っている人がいるかもよ」
そう言い切ったアリアは、広場の方へ移動。
周囲に負けない声を出して歌い始める。
アイドルであるアリアらしい注目の集め方だ。
「……ん? 歌か?」
「へぇ、珍しいな」
「よし、休憩にしようぜ」
アリアの歌声で作業員達は耳を傾けてくれたようだ。
気付けば数人の男達が集まってくる。
早速、トリプルJが早々に聞き込みを開始する。
「おい。この辺で髭面のビヤ樽みたいにデカイ親父と白い丸々と太った鳥を見なかったか?」
「親父? ……あ、アイツか?」
思い当たる節のある作業員が言葉を口にする。
トリプルJが言葉を被せ気味に突っ込んだ。
「どこだ? どっちへ行った?」
「ああ。港湾地区の方だ。こそこそしてたから怪しいと思ったんだ」
トリプルJの予感は、悪い方に的中しそうだ。
●
「ブッハハ! まずは、あのトンチキコンビを捕獲しようではないか」
デスドクロ・ザ・ブラックホール(ka0013)は、散歩がてらに港湾市区を探索していた。
テルルもヨアキムも魔導については造詣も深い。港湾地区にある機材に興味を惹かれる可能性が高いと考えたのだ。
武器庫も存在する為に警備体制はそれなりに高い為、何処かの網に引っかかってそうなのだが――。
「俺様自らが探索してやろう。最高のクリパ開催の為に。
しかし、クリスマス前のこの浮き立つような雰囲気は悪くねぇ。面白ぇ事に世界中どこでも、いや世界が変わっても、この空気感は同じ……」
クリスマスについて感慨深さを感じ取っていたデスドクロであったが、その言葉を続ける事ができなかった。
何故なら、足下に見覚えるある白くて丸い鳥が走っていたからだ。
「おまえ……」
「あ、やべ!」
デスドクロの前に現れたのはテルルだ。
何故かこそこそと物陰に隠れながら移動していた。
「ここで何をしている」
「バッカ、違ぇよ。バッカ。サプライズの準備だってぇの」
「サプライズ?」
首を傾げるデスドクロ。
この時点で、ロクでもない事を準備しているのは明白だが、今はテルルを追って特大馬鹿の方を捕獲しなければならない。
「ヨアキムは何処へ行ったのだ?」
「こっちだ。ついてこい」
テルルの後を追いかけて辿り着いたのは、大きな倉庫。
何故か人気が無く、警備装置が反応しない。後で分かった事だが、ヨアキムとテルルが警備装置を停止させていたようだ。完全に犯罪者同然である。
「これで概ね完成、と……誰か来たのか?」
デスドクロが案内された先には、工具を手にするヨアキムの姿があった。
「何をやっている」
「そりゃ、サプライズの準備だ。くりすますだかくりくりすだか分からねぇが、要は聖輝節だろ? ならモミの木がなきゃ始まらねぇ。だけど、建物の外には木が一本もねぇ。そりゃまずいだろ」
聖輝節だからモミの木がない。月面だから致し方ないのだが、馬鹿なくせに鋭い所を突いてくる。実際には商業地区の広場にも存在しているのだが、都合の悪い所は見えないようだ。
「で、そのモミの木が無いからどうしたのだ?」
デスドクロの前にあったのは試作型ミサイルだ。近くの机に研究資料があった為に間違いないだろう。
本来であれば通常のミサイルの形をしていたのだろうが、ヨアキムとテルルの手によってミサイルは無残にもクリスマスツリーの形へ変貌をさせられていた。
「どうよ。こいつをぶっ放せば、気分はもう聖輝節だろ」
「苦労したんだぜ。なんせ、リアルブルーの技術は手探りだからな。まあ、材料もその辺にあったし、俺っちとヨアキムにかかりゃこんなもんよ。
……あ、みんなへのサプライズだからな。他の奴には言うなよ」
「……」
デスドクロは馬鹿の底力を垣間見た気がした。
みんなの驚く顔が見たくてミサイルをクリスマスツリー型にしたのだろうが、これを見た者は別の意味で驚くだろう。特に開発していた研究者達が気の毒でならない。
「誰だ!? 誰かいるのか?」
そこへ警備の者が異変に気付いて訪れた。
慌てて動き出すデスドクロと馬鹿二匹。
「やべぇ! ずらかるぞ」
その後、試作弾頭の改造が発見されて基地内が騒然となった。
ミサイルは対歪虚用試作弾頭「クリスマスツリー」という体裁で利用される事になったのだが、誰が改造したのかは未だに不明である。
●
「本題を始めるザマス」
デスドクロがヨアキムとテルルを連れて来たおかげで、ようやく本格的な依頼に着手できる。
恭子からの依頼は『クリムゾンウェストの料理』。
この料理を崑崙のクリスマスパーティへ出すことで、二つの世界の架け橋にしたい。
恭子はそう考えていた。
「料理自体は象徴みたいなもんザマスから、多くの食材は必要ないザマス。大切なのはクリムゾンウェストらしさとインパクトザマスね」
「料理はワシとテルルが食ってみるからな。うまいもんを頼むぜ」
趣旨を理解しているか怪しいヨアキムだが、何か食わしておけば静かにしてくれる。
審査員にしておくのも悪くはないだろう。
「このデスドクロ様が提案するのは、これだ」
デスドクロがテーブルの上に置いたのは、ワイン「ズューデ」であった。
「これは……お酒ザマスか」
「そうだ。クリムゾンウェスト由来の酒をパーティへ提供するのだ」
デスドクロは胸を張る。
食事に酒は付き物。
食事だけでは片手落ちと考えたいデスドクロが、自信を持って進める酒である。
「あ、ズューデじゃねぇか」
酒にうるさいヨアキムが早速食いついた。
しかし、酒にうるさいだけあってヨアキムが懸念点を指摘する。
「確か、帝国のワインだよな? あんまりうまくねぇんだよなぁ」
「ふっ、それも狙いの一つだ」
「どういう事ザマス?」
「帝国の醸造技術は高いとは言えまい。しかし、これこそクリムゾンウェストの現状でもある。不足した点を補うよう促せるではないか」
デスドクロがズューデを出した理由はここにある。
拙い部分を補う事こそ、二つの世界を繋ぐ鍵になる。ズューデがリアルブルーの技術でうまくなる事を願い、敢えてこのワインをプレゼンしたのだ。
「差し当たって今回は、このズューデを使ってカクテルを合わせて提案しよう。これもまた『架け橋』だ。さらに……この季節に飲むべき酒も持参した」
「あ。ヨアキムじゃねぇか!」
ヨアキム自身が醸造した「ヨアキム」純米大吟醸や銘酒「詩天盛」を並べるデスドクロ。
料理に合わせて楽しむ旨い酒。
これも立派な文化交流だ。
「確かにお酒は良いアイディアザマスね。検討するザマス」
「じゃあ、次はアタシだね。アタシはこれだよ」
アリアが出したのは、鉄板の上に焼かれた肉。
今も肉汁を流し、心地良い良い音を奏でている。
その横には、目玉焼き。
だが、そのサイズは普通よりもかなり大きい。
「ダチョウのステーキとダチョウの目玉焼きだよ。
ダチョウのモモ肉を捌いて塩コショウで味付けしたんだ。リンゴから作ったフルーツソースを掛けて完成。なるべく手をかけず、素材を味わえる方がいいと思うんだ」
アリアの調理は比較的簡単なものだ。
しかし、あまり手を掛ければ肉本来の風味が損なわれてしまう。風味を最大限に引き出す調理法を考えた結果であろう。
「大変美味しいザマス。でも、これらの食材はリアルブルーにもあるザマスねぇ」
「そうなんだよね。そこが難しいんだ」
恭子の指摘は、アリアも理解していた。
クリムゾンウェストの要素を料理に反映するのが難しい。
リアルブルーにも存在する食材を使えるのは良いが、それではインパクトに欠ける。
「このリンゴのソースを工夫すれば行けるかもしれないザマスね」
「クリムゾンウェスト独特の果物を使えばいいんだよね。もうちょっと考えてみるよ」
アリアのステーキも改善すれば、パーティに出すこともできるだろう。
そして、次にプレゼンするのはトリプルJだ。
「気付けば酒場でもリアルブルーにあるものばかり食ってたんだよなぁ」
トリプルJもクリムゾンウェストらしい料理という課題に苦戦していた。
どの食材をどういうポイントで使うかが勝負の分かれ目である。
「俺はクレープだ」
トリプルJの手にした皿には、トマトを練り込んだ生地に細かく刻んだおかずを挟んで丸めている。
今回は工夫の一つとして、ジャムや蜂蜜を薄く塗った上で薔薇を象っている。
「見た目を鮮やかにしてみた。ポイントは、このタスカービレ村の自家製チクワだな」
トリプルJが指さしたのは、クレープに添えられたチクワだ。
タスカービレ村で村興しを目的に作られた自家製チクワに、フルーツを詰めて彩りとして添えられている。トマトが練り込まれているとはいえ、どうしても生地だけでは見た目か地味になる。それをチクワにフルーツを詰めて添えることで、華を持たせているのだ。
「クレープ自体も美味しいザマス」
「うん、確かにこりゃうめぇ!」
恭子の横で、テルルがヨアキムにクレープを食べさせてもらっている。
おかずを変えれば味も楽しめ、お手軽に食べられるとあって概ね好評だ。
しかし、このクレープにも難点はある。
「でもよ、クリムゾンウェストらしいところがこのチクワだけってぇのは寂しいな」
ヨアキムは、トリプルJも気にしていた事を指摘した。
クリムゾンウェストらしい点がチクワだけなのだ。チクワがメイン食材に絡めれば話は変わるが、チクワであるが故にメインとして取り扱う事が困難なのだ。
「やっぱそうかー。クレープの具にチクワを混ぜてもインパクトが弱ぇんだよなぁ」
「クレープの具材に印象的なものがあれば、パーティの列席者にもアピールできるザマスね。課題が明確になれば、改良もしやすいザマス」
「最後は、俺だな」
研司が持ってきたのは大きな皿。
チーズを使わず、ニンニクとトマトをメインにしたピザ「マリナーラ」。
その上にキャンバスのように描かれるのは、崑崙とリゼリオの町並みだ。
「おにぎり草「まめし」を使った崑崙ピザとリゼリオピザだ。
クリムゾンウェストの食文化もほとんどがリアルブルーから流入したものだ。クリムゾンウェスト由来の物は少ない。
その中でまめしだけは別格だ。つぼみに入れれば色付けもできる事を利用して町並みを再現してみた」
研司の料理は時間がかかったが、その代わり手が込んでいる。
まめしをスパイスで味付けした上、つぼみで着色。建物は蔓やさやで造形している。
ヨアキム達を捜索して不審者扱いされていた研司であったが、ちゃんと町並みもチェックしていたのだ。
「おおっ! これは素晴らしいザマス!!」
恭子の評価も上々だ。
「インパクト絶大、食っても旨い。手がかかるから、量産は難しいけどな」
「今回は食べてもらうだけが目的じゃないザマスから、その点は問題ないザマス。味もご飯と同じザマスから、アジア圏の方々には親しみやすいザマスね」
味付けも工夫すれば各国の客も楽しめる。
さらにピザであるが故に、オーブンで焼く事で香ばしさと香りも楽しめる。まめしを前に押した研司の料理は、味もインパクトも十分だ。
「ヨアキムさんもテルルさんも満足されたみたいザマス。
あたくしとしては、このピザをまずは推薦しておくザマス」
ハンターが提案した料理は、クリスマスパーティまでに正式決定する。
恭子の推薦で、研司の二つのピザがクリスマスパーティで供されるかもしれない。
藤堂研司(ka0569)は、崑崙の住宅地区を歩いていた。
クリムゾンウェストの料理人として崑崙に呼ばれた研司だったのだが、依頼者である森山恭子(kz0216)から思わぬ相談を受けたのだ。
『何処かへ行ってしまったヨアキム(kz0011)さんとテルル(kz0218)さんを探して欲しいザマス!』
恭子が目を離した隙に、ヨアキムとテルルは何処かへ姿を眩ませてしまったのだ。
クリムゾンウェストの評判が失墜する前に、何としても回収しなければならない。
「しかし、思っているよりも厄介だな。こりゃあ」
研司は、改めて周囲を見回した。
住宅地区は崑崙で勤務する軍人やその家族が住んでいる場所だ。人工の公園も存在。子連れの主婦が街角で井戸場会議を開く光景も目にする事ができる。
だが、研司が探している髭面ドワーフとシマエナガの幻獣については見つける事ができない。そこで研司は思いきって近くに居た親子連れに話し掛けてみた。
「ちょっといいか?」
「な、なんでしょう?」
見慣れない相手に声をかけられたのだ。母親は研司を警戒しているようだ。
「なぁ、この辺でシマエナガを連れた筋肉モリモリマッチョメンの親父を見なかった?」
「……は?」
母親は、思わず聞き返した。
無理もない。
だが、問題はそれを捜索している研司も変態の仲間として見られてしまう事だ。
「行きましょう」
不審人物扱いされてしまった研司。
母親は、子供を連れて足早に去ってしまった。
「あの馬鹿ども……覚えてろよ」
研司は、捜索対象の二人に怒りを覚えながらも気を落ち着ける為にカフェへと向かって歩き始めた。
●
「いやぁ、ヨアキムは殴って、シマエナガは菓子でもくれてやりゃ連れ戻せるんじゃねぇの。さっさと捜しに行こうぜ」
トリプルJ(ka6653)は、アリア(ka2394)と共に商業地区へ赴いていた。
馬鹿二人がこの商業地区へ紛れ込んだと考えていた為だ。
「きっと、美味しそうな匂いや楽しそうな場所に引き寄せられているんだ」
アリアの視界には多くの人々が行き交っている。
実は商業地区ではムーンリーフ財団が主催するクリスマスパーティに向けて様々な準備が進められていた。
「ヨアキムなら、ウィンウィンとか言いながら人の多い所で筋肉を見せ付けて馬鹿晒してそうだし、テルルは自分の可愛さをネタに菓子を強奪しているところしか想像ができなくてな」
トリプルJの脳裏には、行方不明の馬鹿二人が事件を引き起こしている様子であった。
「とりあえず、さっさと回収しないとな」
「そうだね。早速聞き込みしてみようか」
アリアは、あまり忙しく無さそうな人間を探して声をかけてみる事にした。
「ねぇねぇ。ここに丸々太った美味しそうな鳥さんか、樽が歩いてるみたいなおじさん見なかった?」
「は? 鳥? 樽?
いやー、そんな奴は見てないな。そもそも、これだけ忙しいと他の人間に注意を払う余裕もないな」
作業員の男によれば、ヨアキムもテルルらしき姿は見ていないという。
しかし、作業員の多くは作業に没頭している為に周囲へ気を配る余裕も無いらしい。
「こりゃ、意外に捜索は面倒そうだな」
「でも、これだけの人なら情報を持っている人がいるかもよ」
そう言い切ったアリアは、広場の方へ移動。
周囲に負けない声を出して歌い始める。
アイドルであるアリアらしい注目の集め方だ。
「……ん? 歌か?」
「へぇ、珍しいな」
「よし、休憩にしようぜ」
アリアの歌声で作業員達は耳を傾けてくれたようだ。
気付けば数人の男達が集まってくる。
早速、トリプルJが早々に聞き込みを開始する。
「おい。この辺で髭面のビヤ樽みたいにデカイ親父と白い丸々と太った鳥を見なかったか?」
「親父? ……あ、アイツか?」
思い当たる節のある作業員が言葉を口にする。
トリプルJが言葉を被せ気味に突っ込んだ。
「どこだ? どっちへ行った?」
「ああ。港湾地区の方だ。こそこそしてたから怪しいと思ったんだ」
トリプルJの予感は、悪い方に的中しそうだ。
●
「ブッハハ! まずは、あのトンチキコンビを捕獲しようではないか」
デスドクロ・ザ・ブラックホール(ka0013)は、散歩がてらに港湾市区を探索していた。
テルルもヨアキムも魔導については造詣も深い。港湾地区にある機材に興味を惹かれる可能性が高いと考えたのだ。
武器庫も存在する為に警備体制はそれなりに高い為、何処かの網に引っかかってそうなのだが――。
「俺様自らが探索してやろう。最高のクリパ開催の為に。
しかし、クリスマス前のこの浮き立つような雰囲気は悪くねぇ。面白ぇ事に世界中どこでも、いや世界が変わっても、この空気感は同じ……」
クリスマスについて感慨深さを感じ取っていたデスドクロであったが、その言葉を続ける事ができなかった。
何故なら、足下に見覚えるある白くて丸い鳥が走っていたからだ。
「おまえ……」
「あ、やべ!」
デスドクロの前に現れたのはテルルだ。
何故かこそこそと物陰に隠れながら移動していた。
「ここで何をしている」
「バッカ、違ぇよ。バッカ。サプライズの準備だってぇの」
「サプライズ?」
首を傾げるデスドクロ。
この時点で、ロクでもない事を準備しているのは明白だが、今はテルルを追って特大馬鹿の方を捕獲しなければならない。
「ヨアキムは何処へ行ったのだ?」
「こっちだ。ついてこい」
テルルの後を追いかけて辿り着いたのは、大きな倉庫。
何故か人気が無く、警備装置が反応しない。後で分かった事だが、ヨアキムとテルルが警備装置を停止させていたようだ。完全に犯罪者同然である。
「これで概ね完成、と……誰か来たのか?」
デスドクロが案内された先には、工具を手にするヨアキムの姿があった。
「何をやっている」
「そりゃ、サプライズの準備だ。くりすますだかくりくりすだか分からねぇが、要は聖輝節だろ? ならモミの木がなきゃ始まらねぇ。だけど、建物の外には木が一本もねぇ。そりゃまずいだろ」
聖輝節だからモミの木がない。月面だから致し方ないのだが、馬鹿なくせに鋭い所を突いてくる。実際には商業地区の広場にも存在しているのだが、都合の悪い所は見えないようだ。
「で、そのモミの木が無いからどうしたのだ?」
デスドクロの前にあったのは試作型ミサイルだ。近くの机に研究資料があった為に間違いないだろう。
本来であれば通常のミサイルの形をしていたのだろうが、ヨアキムとテルルの手によってミサイルは無残にもクリスマスツリーの形へ変貌をさせられていた。
「どうよ。こいつをぶっ放せば、気分はもう聖輝節だろ」
「苦労したんだぜ。なんせ、リアルブルーの技術は手探りだからな。まあ、材料もその辺にあったし、俺っちとヨアキムにかかりゃこんなもんよ。
……あ、みんなへのサプライズだからな。他の奴には言うなよ」
「……」
デスドクロは馬鹿の底力を垣間見た気がした。
みんなの驚く顔が見たくてミサイルをクリスマスツリー型にしたのだろうが、これを見た者は別の意味で驚くだろう。特に開発していた研究者達が気の毒でならない。
「誰だ!? 誰かいるのか?」
そこへ警備の者が異変に気付いて訪れた。
慌てて動き出すデスドクロと馬鹿二匹。
「やべぇ! ずらかるぞ」
その後、試作弾頭の改造が発見されて基地内が騒然となった。
ミサイルは対歪虚用試作弾頭「クリスマスツリー」という体裁で利用される事になったのだが、誰が改造したのかは未だに不明である。
●
「本題を始めるザマス」
デスドクロがヨアキムとテルルを連れて来たおかげで、ようやく本格的な依頼に着手できる。
恭子からの依頼は『クリムゾンウェストの料理』。
この料理を崑崙のクリスマスパーティへ出すことで、二つの世界の架け橋にしたい。
恭子はそう考えていた。
「料理自体は象徴みたいなもんザマスから、多くの食材は必要ないザマス。大切なのはクリムゾンウェストらしさとインパクトザマスね」
「料理はワシとテルルが食ってみるからな。うまいもんを頼むぜ」
趣旨を理解しているか怪しいヨアキムだが、何か食わしておけば静かにしてくれる。
審査員にしておくのも悪くはないだろう。
「このデスドクロ様が提案するのは、これだ」
デスドクロがテーブルの上に置いたのは、ワイン「ズューデ」であった。
「これは……お酒ザマスか」
「そうだ。クリムゾンウェスト由来の酒をパーティへ提供するのだ」
デスドクロは胸を張る。
食事に酒は付き物。
食事だけでは片手落ちと考えたいデスドクロが、自信を持って進める酒である。
「あ、ズューデじゃねぇか」
酒にうるさいヨアキムが早速食いついた。
しかし、酒にうるさいだけあってヨアキムが懸念点を指摘する。
「確か、帝国のワインだよな? あんまりうまくねぇんだよなぁ」
「ふっ、それも狙いの一つだ」
「どういう事ザマス?」
「帝国の醸造技術は高いとは言えまい。しかし、これこそクリムゾンウェストの現状でもある。不足した点を補うよう促せるではないか」
デスドクロがズューデを出した理由はここにある。
拙い部分を補う事こそ、二つの世界を繋ぐ鍵になる。ズューデがリアルブルーの技術でうまくなる事を願い、敢えてこのワインをプレゼンしたのだ。
「差し当たって今回は、このズューデを使ってカクテルを合わせて提案しよう。これもまた『架け橋』だ。さらに……この季節に飲むべき酒も持参した」
「あ。ヨアキムじゃねぇか!」
ヨアキム自身が醸造した「ヨアキム」純米大吟醸や銘酒「詩天盛」を並べるデスドクロ。
料理に合わせて楽しむ旨い酒。
これも立派な文化交流だ。
「確かにお酒は良いアイディアザマスね。検討するザマス」
「じゃあ、次はアタシだね。アタシはこれだよ」
アリアが出したのは、鉄板の上に焼かれた肉。
今も肉汁を流し、心地良い良い音を奏でている。
その横には、目玉焼き。
だが、そのサイズは普通よりもかなり大きい。
「ダチョウのステーキとダチョウの目玉焼きだよ。
ダチョウのモモ肉を捌いて塩コショウで味付けしたんだ。リンゴから作ったフルーツソースを掛けて完成。なるべく手をかけず、素材を味わえる方がいいと思うんだ」
アリアの調理は比較的簡単なものだ。
しかし、あまり手を掛ければ肉本来の風味が損なわれてしまう。風味を最大限に引き出す調理法を考えた結果であろう。
「大変美味しいザマス。でも、これらの食材はリアルブルーにもあるザマスねぇ」
「そうなんだよね。そこが難しいんだ」
恭子の指摘は、アリアも理解していた。
クリムゾンウェストの要素を料理に反映するのが難しい。
リアルブルーにも存在する食材を使えるのは良いが、それではインパクトに欠ける。
「このリンゴのソースを工夫すれば行けるかもしれないザマスね」
「クリムゾンウェスト独特の果物を使えばいいんだよね。もうちょっと考えてみるよ」
アリアのステーキも改善すれば、パーティに出すこともできるだろう。
そして、次にプレゼンするのはトリプルJだ。
「気付けば酒場でもリアルブルーにあるものばかり食ってたんだよなぁ」
トリプルJもクリムゾンウェストらしい料理という課題に苦戦していた。
どの食材をどういうポイントで使うかが勝負の分かれ目である。
「俺はクレープだ」
トリプルJの手にした皿には、トマトを練り込んだ生地に細かく刻んだおかずを挟んで丸めている。
今回は工夫の一つとして、ジャムや蜂蜜を薄く塗った上で薔薇を象っている。
「見た目を鮮やかにしてみた。ポイントは、このタスカービレ村の自家製チクワだな」
トリプルJが指さしたのは、クレープに添えられたチクワだ。
タスカービレ村で村興しを目的に作られた自家製チクワに、フルーツを詰めて彩りとして添えられている。トマトが練り込まれているとはいえ、どうしても生地だけでは見た目か地味になる。それをチクワにフルーツを詰めて添えることで、華を持たせているのだ。
「クレープ自体も美味しいザマス」
「うん、確かにこりゃうめぇ!」
恭子の横で、テルルがヨアキムにクレープを食べさせてもらっている。
おかずを変えれば味も楽しめ、お手軽に食べられるとあって概ね好評だ。
しかし、このクレープにも難点はある。
「でもよ、クリムゾンウェストらしいところがこのチクワだけってぇのは寂しいな」
ヨアキムは、トリプルJも気にしていた事を指摘した。
クリムゾンウェストらしい点がチクワだけなのだ。チクワがメイン食材に絡めれば話は変わるが、チクワであるが故にメインとして取り扱う事が困難なのだ。
「やっぱそうかー。クレープの具にチクワを混ぜてもインパクトが弱ぇんだよなぁ」
「クレープの具材に印象的なものがあれば、パーティの列席者にもアピールできるザマスね。課題が明確になれば、改良もしやすいザマス」
「最後は、俺だな」
研司が持ってきたのは大きな皿。
チーズを使わず、ニンニクとトマトをメインにしたピザ「マリナーラ」。
その上にキャンバスのように描かれるのは、崑崙とリゼリオの町並みだ。
「おにぎり草「まめし」を使った崑崙ピザとリゼリオピザだ。
クリムゾンウェストの食文化もほとんどがリアルブルーから流入したものだ。クリムゾンウェスト由来の物は少ない。
その中でまめしだけは別格だ。つぼみに入れれば色付けもできる事を利用して町並みを再現してみた」
研司の料理は時間がかかったが、その代わり手が込んでいる。
まめしをスパイスで味付けした上、つぼみで着色。建物は蔓やさやで造形している。
ヨアキム達を捜索して不審者扱いされていた研司であったが、ちゃんと町並みもチェックしていたのだ。
「おおっ! これは素晴らしいザマス!!」
恭子の評価も上々だ。
「インパクト絶大、食っても旨い。手がかかるから、量産は難しいけどな」
「今回は食べてもらうだけが目的じゃないザマスから、その点は問題ないザマス。味もご飯と同じザマスから、アジア圏の方々には親しみやすいザマスね」
味付けも工夫すれば各国の客も楽しめる。
さらにピザであるが故に、オーブンで焼く事で香ばしさと香りも楽しめる。まめしを前に押した研司の料理は、味もインパクトも十分だ。
「ヨアキムさんもテルルさんも満足されたみたいザマス。
あたくしとしては、このピザをまずは推薦しておくザマス」
ハンターが提案した料理は、クリスマスパーティまでに正式決定する。
恭子の推薦で、研司の二つのピザがクリスマスパーティで供されるかもしれない。
依頼結果
参加者一覧
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マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 デスドクロ・ザ・ブラックホール(ka0013) 人間(リアルブルー)|34才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2017/12/14 09:59:50 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/12/12 08:49:05 |