ゲスト
(ka0000)
雪の中で生を求む
マスター:音無奏

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/12/26 22:00
- 完成日
- 2018/01/09 00:45
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
――寒くて痛い。
十分に着込んで来たはずが、限度を超えた寒さは耳鳴りがするほどになっている。
幾ら拭っても顔に雪が張り付いてる気がして、繰り返した結果ハンター達の顔がひりつくほどになってしまった。
「あった、小屋だ……」
依頼前の説明によれば、シャリール地方の山中は幾つか休憩用の小屋が設置されている。
引きずるようにして体を室内に押し込み、仲間たちが欠けていないのを確認して、ハンター達は扉を閉め、ようやく部屋の中で一息ついた。
広間には囲炉があり、奥の倉庫には毛布と食料、聞いた通りの蓄えがある。
ハンターたちはそう――雪山の中で、崩れた雪に呑まれたのだ。
…………。
依頼内容は、シャリール地方に点在する小屋の物資交換だった。
シャリール地方はかなりの割合が山岳地帯であり、山深くには荷物置き場や休憩所としての小屋が幾つか置かれている。
それは例えば薬草取りが拠点代わりにしたり、天気が崩れた時の避難所として使うためのものだ。
広間には温まるための囲炉、倉庫に毛布と保存食と燃料。
保存食は、そのままかじる分にはさして美味しいとは言えない。だが非常時にはそれでも命綱になるもので、定期的に在庫を交換し、質を保つようにしている。
ハンターたちが請け負ったのは、この保存食の入れ替え作業だ。
「もし何らかの事情で籠城する事になったら、交換で持ち帰る予定の保存食は食べてくれても構わない」
60食ほどあるので、余程長引かない限りは問題ないだろうと責任者であるシャルルは言う。もし二日間戻らなかったら、兵士たちに様子を見に行かせると言っていた。
不安要素は雑魔と天気だけで、雑魔は遭遇しない限りはなんとも言えないにしろ、天気については小屋があり逃げ込む場所の目星がついている。
出発時の天気は良好と言ってよかった。
暫く歩き、山の奥に踏み入ったあたりから段々と怪しくなってきたが、同時に小屋が近く、何なら小屋で待機して様子見すれば済む程度だと誰もが思っていた。
雪が舞い、視界は悪くなっている。お互いを見失わないためには固まらないといけない状況で、その轟音は唐突に響いた。
雪が音を吸うのか、もしかしたら聞き違いだったのではと思う程度だったが、確かに轟音だ。
少しの迷いと疑惑。
だが遅れて山上から雪が崩れて来るとなれば、そんな悠長さも途端に吹き飛んだ。
「走れ!!!」
誰かが叫ぶ。雪が迫って来る速度は早く、身長を超えるほどの雪がハンター達に被さってくる。
混乱も、心配も、叫び声も、全ては雪に飲み込まれ、静かになった。
…………。
……幸い、少しもがいた結果、一度埋もれたハンター達はなんとか全員抜け出す事が出来た。
勢いはあったが雪自体は少なめだったらしい。
どうも自然現象的な雪崩ではない。確実に何かの衝撃を受けたために起きた雪崩れだったが、今のハンター達には原因を詮索している余裕はなかった。
何しろ一度雪に埋まっている。まだなんとか動けはするが、このまま外に居続ければ確実に体調を崩すだろう。手足はかじかみ、極度の寒さにより頭痛一歩手前だ。一度小屋に入ろうという提案に対して、反対意見は出なかった。
轟音は気にかかる、警戒する事は必要だったが、まずは暖を取る必要があった。
立地が良かったのか、小屋は全く影響を受けていない。
「……このままやりすごすか、それとも一度立て直してから見に行くか……」
依頼は物資の交換、小屋にたどり着いた以上やり過ごすのは難しくない。
どっちを選んでも責められる事はないだろう、だが、なんとしても、まずは体温を取り戻す必要に迫られていた。
十分に着込んで来たはずが、限度を超えた寒さは耳鳴りがするほどになっている。
幾ら拭っても顔に雪が張り付いてる気がして、繰り返した結果ハンター達の顔がひりつくほどになってしまった。
「あった、小屋だ……」
依頼前の説明によれば、シャリール地方の山中は幾つか休憩用の小屋が設置されている。
引きずるようにして体を室内に押し込み、仲間たちが欠けていないのを確認して、ハンター達は扉を閉め、ようやく部屋の中で一息ついた。
広間には囲炉があり、奥の倉庫には毛布と食料、聞いた通りの蓄えがある。
ハンターたちはそう――雪山の中で、崩れた雪に呑まれたのだ。
…………。
依頼内容は、シャリール地方に点在する小屋の物資交換だった。
シャリール地方はかなりの割合が山岳地帯であり、山深くには荷物置き場や休憩所としての小屋が幾つか置かれている。
それは例えば薬草取りが拠点代わりにしたり、天気が崩れた時の避難所として使うためのものだ。
広間には温まるための囲炉、倉庫に毛布と保存食と燃料。
保存食は、そのままかじる分にはさして美味しいとは言えない。だが非常時にはそれでも命綱になるもので、定期的に在庫を交換し、質を保つようにしている。
ハンターたちが請け負ったのは、この保存食の入れ替え作業だ。
「もし何らかの事情で籠城する事になったら、交換で持ち帰る予定の保存食は食べてくれても構わない」
60食ほどあるので、余程長引かない限りは問題ないだろうと責任者であるシャルルは言う。もし二日間戻らなかったら、兵士たちに様子を見に行かせると言っていた。
不安要素は雑魔と天気だけで、雑魔は遭遇しない限りはなんとも言えないにしろ、天気については小屋があり逃げ込む場所の目星がついている。
出発時の天気は良好と言ってよかった。
暫く歩き、山の奥に踏み入ったあたりから段々と怪しくなってきたが、同時に小屋が近く、何なら小屋で待機して様子見すれば済む程度だと誰もが思っていた。
雪が舞い、視界は悪くなっている。お互いを見失わないためには固まらないといけない状況で、その轟音は唐突に響いた。
雪が音を吸うのか、もしかしたら聞き違いだったのではと思う程度だったが、確かに轟音だ。
少しの迷いと疑惑。
だが遅れて山上から雪が崩れて来るとなれば、そんな悠長さも途端に吹き飛んだ。
「走れ!!!」
誰かが叫ぶ。雪が迫って来る速度は早く、身長を超えるほどの雪がハンター達に被さってくる。
混乱も、心配も、叫び声も、全ては雪に飲み込まれ、静かになった。
…………。
……幸い、少しもがいた結果、一度埋もれたハンター達はなんとか全員抜け出す事が出来た。
勢いはあったが雪自体は少なめだったらしい。
どうも自然現象的な雪崩ではない。確実に何かの衝撃を受けたために起きた雪崩れだったが、今のハンター達には原因を詮索している余裕はなかった。
何しろ一度雪に埋まっている。まだなんとか動けはするが、このまま外に居続ければ確実に体調を崩すだろう。手足はかじかみ、極度の寒さにより頭痛一歩手前だ。一度小屋に入ろうという提案に対して、反対意見は出なかった。
轟音は気にかかる、警戒する事は必要だったが、まずは暖を取る必要があった。
立地が良かったのか、小屋は全く影響を受けていない。
「……このままやりすごすか、それとも一度立て直してから見に行くか……」
依頼は物資の交換、小屋にたどり着いた以上やり過ごすのは難しくない。
どっちを選んでも責められる事はないだろう、だが、なんとしても、まずは体温を取り戻す必要に迫られていた。
リプレイ本文
仲間たちを室内に追いやり、沢城 葵(ka3114)は背中で小屋の扉を閉める。
奥に倉庫への扉があり、中を開けばわかりやすい場所に薪と毛布が積み上げられていた。
「薪は積み上げて、服脱いだら毛布はこっち!」
倉庫から物資を出し、居間に積み上げていく。
女の子たちのために着替えるスペースを用意して、囲炉に積み上げた薪にはリトルファイアで火をつける。
「おおー…!」
パトリシア=K=ポラリス(ka5996)が賛嘆の声を上げる。
見落としてる子がいないかと葵がチェックを巡らせようとしたら、アルヴィン = オールドリッチ(ka2378)が積まれた毛布の一つを取って、差し出してきていた。
「マズ着替えるベキだと思うヨー?」
確かに自分の事を忘れてしまっていた、気遣われた事を迂闊と感じてしまい、小さく礼を言って自分も着替えを済ます。
何もわかってません、みたいな顔をしてアルヴィンはニコニコと笑う、こいつに何を言っても無駄だな、そういう事がわかっているから、葵もため息だけで済ませた。
「ウウ、さぶーい……」
毛布にくるまったパティが、更なるぬくもりを求めて岩井崎 メル(ka0520)の方へと体を寄せる。おお? と少し驚きつつも、メルは寄ってきたパティを自分の毛布でもう一周分包んでやった。
パティが顔を緩めればメルもまんざらではない、仕方ないなぁと苦笑しながらも大人としては頼られれば嬉しい。
「はー…」
火の温もりが身に染みる、ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)はルンルン忍法を会得してなければ致命傷だっただろう、備えという名のコートと超密かに身につけた毛糸のパンツだが。
暫く温まって、少しは動けるようになったら荷物の中から祝福の水筒を引っ張り出してきた。
一人でぼーっとしているメアリ・ロイド(ka6633)を見る、もしかしたら具合が悪いのかもしれない、お茶を飲むかと尋ねたら頷きが返ったので渡す。口をつけて暫しした後、メアリがほぅ……と小さな息をついた、多分気に入ってもらえたのだろう。
「有難うございます」
「ううん、備えあれば嬉しいなーって奴です!」
大丈夫? 具合悪くありません? と聞いたらメアリが首を傾げて大丈夫ですと答えた、最初から素だったらしい。
囲炉を囲めて少し経てば、服の湿気は大分取れてきた気配がする。
倉庫の奥には依頼対象の保存食、古いのを取り出して、自分たちが持ってきた分を代わりに押し込んでおく。
このまま食べてもそれほど美味しくはないらしい、鍋もあるから葵はそれを引っ張り出してきて、水場は……室外だった。
手足の凍えは取れてるが、確実に寒い。出ないといけないよなぁってわかってるから、外套を着なおして気合を入れたら横からアルヴィンが鍋を突っついた。
「僕が行くヨー?」
「なめんなっ!」
鍋を奪い返す、そう何でもかんでも甘えると思わないで欲しい。気合のままに外に出る、やっぱり寒くて一瞬怯むが、そのまま突っ切った。
「あっ私も! ルンルン忍法の出番です!」
意訳するとサバイバルが得意だから安全確認をしてくれるらしい、結局アルヴィンもついてきたから、三人で小屋の外へと出た。
「マ゛ッタク寒くナ゛イヨ?」
「嘘おっしゃい」
声以外はいつも通りな胡散臭い笑顔のアルヴィンを葵はジト目で見る。
小屋の裏には井戸があり、桶を下ろして引き上げれば、分担して無事水を汲むことが出来た。
周辺を一周したルンルンが言うに敵影はなし、雪崩の影響もないらしい、礼を言って三人で小屋へと戻る。
待機組は倉庫で絨毯を見つけたらしい、火に焼かれない程度の距離を置いて敷かれたそれに、パティがご満悦気味にごろごろしている。
「チョット硬いけどお布団ー♪」
葵が鍋を火にかけ、ルンルンが報告をもう一度繰り返した。
水が温まるまでは魔法瓶のお茶で凌ぐ、「忍法です!」と言ってルンルンが得意げに掲げれば、パティも持ってる! と言って張り合う、既に貰っていたメアリはずずーとお茶を啜った。
……そろそろ真面目になるべきだろう。
メルが貰っていた地図を広げる、来た場所と方角を合わせて、大体の地形と目安を共有した。
「少なくとも今日は道から外れない方がいいって思うんだよね……」
少人数で耐えながらの作業というのは、リアルブルーで経験したものに似ているとメルは思う。
既に日は傾きかけているが、周辺を把握しない事には安心して夜を過ごせもしない。
ならば見るべきは余り道から離れず、目が届く範囲に絞られる。
「雪ぶわー! って来たネ? ビックリしたんダヨー」
やまびこさんの可能性はある? とパティが問うので、メルはその可能性を真面目に検討した。
「うーん……反響ではない、かな……」
あの轟音には震動が伴っていたように思える、非常に微弱なものだったから、地形を挟んだ可能性が高い、となると大体このあたりだろうとメルが地図に印をつけた。
「……と言っても今日見に行くのは無理! 今日は周辺の安全確認だけ!」
見回る範囲を決め、ハンター達は二手に別れる事も決めた。
連絡用にトランシーバー、遭難防止用のロープ、それとパティが覚醒ついでに緊急用の口伝符を作る。
「おまじない☆」
アルヴィンが皆を集め、ヒーリングスフィアで受けていたダメージを回復させて準備よし。アルヴィン、メアリ、パティの三人が偵察班として外に出た。
+
結果を言うと、片道一時間でうろつける場所に敵影はなかった。
メルの言う通り地形の裏に回り込む必要があるだろう、決して容易くはないルートになるので、恐らく小屋を襲撃される心配も薄い。
白い息を吐きながら戻ってくると、留守番組が煮炊きをしながら待っている。
消費したお茶はティーパックから補充され、干し肉は刻んでスープにされていた、メルが気を遣ったのか、恐らくはまだ出来たてだろう。
「屋根の雪、誰かキレイにシタ?」
「さっきやったー」
メルがひらひらと手を上げると、パティはありがとダヨーとくっつきにいった。
外套を脱がせて毛布と替えてもらうまでお任せである、えへへと笑う。
「近くにはめぼしいものも、危険もありませんでした、明日は見立て通り地形の裏を見に行くのがいいかと」
外套を畳みながらメアリが見に行った場所と結果を地図に書き込む、ここから回り込むのが楽なんじゃないかと、と言ってルートを指すのと同時に、パティがリボンを目印として残した事を告げた。
「ア、占い的に明日はタブンお昼カラ晴れ!」
行き先も地形の裏でいいんじゃないか、といった感じだそうだ。
「そう、お疲れ様。じゃあ後は交代で火の番と見張りってとこかしら」
「ハイハイ、マダ寝るにはハヤイと思うンダヨっ」
パティのお喋りしたいアピールである、寒さに負けずにホットな恋のお話をするべき、と力説すれば、まぁせっかくだし……と顔を見合わせた面々と雑談タイムに突入した。
持ち込んだ荷物の中からアルヴィンが成人組にお酒を注ぐ、仕事中であるため軽く舐める程度だが、強めのアルコールは程よく空気を解し、体を熱く保ってくれる。
「えー? 話すの、マジ?」
そうだなぁとメルは考え込み、何を話そうかと思い返してる内に恥ずかしくなってきたのか、何を話せばいい!? と逆ギレ気味に質問を投げ返していた。
「ジャア好きなコの好きなトコ!」
「う……」
定番だが心の裡を明かすのは中々に勇気がいる。どうも饒舌には語り難いのか、そっぽを向いて「……前向きなとこ」と呟く。
「るんるんー」
「将来的に出会う予定ですっ、いつか、きっと、必ずは!」
葵に話が回ると彼女は苦笑して首を横に振る。
「あ~。私はイケメン見る専だからぁ」
突っ込みたさそうなパティを葵は酒盃片手になだめる、世間の目線くらいはわかっているのだ。
「むー、じゃあアルヴィンの好きなコ!」
「モチロンいるとも、ナニシロ僕は愛の伝道師だからネ☆」
既に悟っている葵は酒をあおりながら放置モードである。
「尖った耳が可愛くてー」
「ふんふん」
「フワフワの茶色い毛並みがチャーミングでー」
「……??」
「こいつ相手が人間だとは言ってないわよ」
ダイスキな相手ダヨ? とアルヴィンは爽やかスマイルで締めくくった、ペットの兎の話である。
「ふぬー! ネネ、メアリは? 好きなコいる?」
「そうですね……いますよ」
おお、とようやくまともな回答にありつけそうなパティは食い気味である。
どんなコどんなコ? と尋ねられれば、真面目な方ですが……と一旦言葉を置いて、真面目過ぎて幸が薄くて死にそうな人ですね、と付け足した。
「ソコが好き?」
「…………」
直球だ、どうも目を向け難くて、とりあえずノーコメントを貫かせてもらう。
口を噤んでからメアリは一人で考え込んでいた。
どっちかといえばほっとけないに近く、その中に憧憬が混じっている。
想われている訳ではない、ただ自分が想っている。恋といえばきっとその通りだと思うが、どこか他人事のように見つめる自分もいた。
醒めた視点の中でも、強く在るのはこのままにしたくない、という気持ちだ。
今だってそう、自分がいなくても彼はきっと自分を忘れるだろうけど、メアリはそれが悔しくて、嫌だった。
+
翌朝、全員で朝食をとってから、昨夜と違う三人が探索に出た。
朝の飲み物は早起きしたメアリが用意した砂糖湯。一晩中火を維持し、食事も十分取ったことにより体調は比較的良くなっている。これならば探索中に体が凍えて動けなくなる、などはないだろう。
目印があり、地図があり、場所の特定は容易く済む。勿論、口伝符も配った、今日はルンルン作のニンジャテレカである。
B班からの連絡は山を挟んだ裏側、棍棒を持った大型の歪虚を三体確認とのことだった。
昼になって雪が止むのを待ち、全員で該当地点へと向かう。
最短ルートで来たため疲労も少ない、ギリギリまで近づいて対象を確認する。
「あー……はいはい」
納得したかのようにメルは頷きを繰り返す、トロールだろうか、遠目から見ても歪虚達は棍棒をぶん回したりで気性が荒い、虫の居所が悪ければ雪崩くらいは起こすだろう。
「あいつらが原因ですね……絶対お仕置きしてやるのですっ」
ルンルンがカードを手に挟む、いつでもいけるよ、と合図を出す。
「では、尋常に――」
メアリが息を吸い、目を閉じたのち、蠢く髪と共に開き直した。
「――やってやるとしますか!」
先制攻撃は魔術射撃から始まる、いかにも筋肉バカな相手にわざわざ近づいてやる事はない、足場は悪く、むしろ好都合だった。
一斉射撃の内三発を当て、二発を外す。アルヴィンは術士達より前の位置で待機、相手が近づいてくるのを待つ。
「そうだろうと思ってたけど、頑丈ねぇ」
詠唱の合間に葵がぼやく。脆いところを狙ってみようとしたが、攻撃は逸れ、胴体に当たっている。傷は細く、出血も浅い。急所の一撃を狙いつつ、削り倒す覚悟もする必要があるだろう。
二射目を構えたあたりに、敵がアルヴィンへと接敵しようとしていた。
日差しが大きく遮られるほどの巨体、見上げながら鎌を構える。本能的に恐怖を感じてもいいのだろうが、浮かぶのは満面の笑みと、ヤバイネーという感慨のこもってない感想だけ。
「まだダメですよー!」
接敵する直前にルンルンが地縛符を放つ。一体を止め、残り二体は突破した。
振り下ろされる棍棒にアルヴィンが鎌を合わせる、がきんとした感触、手が痺れてじーんとする。一方で浮かぶのは満面の笑みで、少し荒れた息も意に介せず二発目も受け止める。
「ウンウン♪」
手の痺れはある種感動にも似ている、それが楽しい、と言わんばかりの口ぶりだ。
「ルンルン忍法――三雷神の術!」
投げた三枚のカードを媒介に、三つの稲妻が敵を穿った。いかに頑丈な敵と言えどルンルンの魔力は相手の体力を大きく削る、どうですか! とガッツポーズしながら、次のカードを手に取った。
「グオオオオ!」
「わわっ」
怒り狂うトロールに、うるせぇ、とメアリがデルタレイを放つ、しかし棍棒が向かってくると、流石に不利を悟ったか舌打ちをしながらも後ろへと下がった。
「ウーン……これは……」
アルヴィンが大きく鎌を振るうが、体格差で三体を引きつけきれない。一体を足止めし、もう一体の気をひこうとするくらいがギリギリ。
「来るぞ、避けろ!」
「パティが――」
「ダメだ!」
立ち向かおうとしたパティの襟首をひっつかみ、メルがVOBを使って横に飛んだ。棍棒を避け、雪をかぶりながらゴロゴロと転がる。
「まずこいつからだ、集中して落とせ!」
メルの激励を受けて、パティが火炎符を投げつける。敵に張り付いた符は一瞬で燃え上がり、歪虚の一部を炭化させて燃え尽きた。
「ガアアア!」
「オ? いけソウ?」
押し切れる、そう判断してメルも機械杖を向けた。杭状に圧縮されたマテリアルが打ち込まれて、敵に突き刺さって爆発する。見れば歪虚は消し飛んでおり、後衛達は慌ててアルヴィンの方に視線を戻す。
「ちょっと、まだ生きてる?」
「余裕ー☆」
アハハ、と笑いながらアルヴィンが鎌で歪虚達を突き飛ばした。
歪虚達が重なった一瞬を見て、葵がライトニングボルトを放つ、相手の耐久力は大体わかったので、残り二体もこのまま押し切ってやるつもりだ。
「あ、まず……」
怒り狂った歪虚の棍棒が地面へと向かう、雪崩が来る、そう判断したハンター達は思い思いの行動を取ろうとするも――。
「サセナイヨー」
飛び上がる10枚のフォトンカード、パティ自身の硬直と引き換えに、黒曜封印符が相手の動きを止める。
「……助かったけど、メインアタッカーが一人動けなくなったんだけど」
「アレ?」
「ル、ルンルンが頑張ります!」
スキルが解けてからちゃんと全員で倒した。
+
歪虚を撃破し、ハンター達は小屋に戻ってきていた。
時々外に出て様子を伺っていたが、特に異変などはない、他の歪虚はいないと判断して良いとハンター達は思っていた。
「外は……雪で埋まってたかー」
メルが伸びをする、今日には兵士が来てくれるはずだ。
ある程度小屋の片付けをして、使ったものも綺麗にして元の場所に戻してある。依頼品も含めて荷物もまとめたから、後は道さえ開ければいつでも出立可能だ。
言った横から外が騒がしく、集団の喧騒が近づいてくる。
「隊長! 除雪作業は終了、小屋とハンター達を確認しました!」
「来ましたね」
静かな声でメアリが立ち上がる。ルンルンが外に出て返事をする横で、小屋を見回して、大丈夫だと示してから、荷物を持って外に出た。
「ウーン、ナカナカ愉しい体験ダッタネ?」
「どこがよ」
やれやれ、と葵も続いて外に出た、パティを探すが既に外に出て葵達を呼んでおり、アルヴィンが戸締まりをする。
「イクヨー!」
「はいはい」
奥に倉庫への扉があり、中を開けばわかりやすい場所に薪と毛布が積み上げられていた。
「薪は積み上げて、服脱いだら毛布はこっち!」
倉庫から物資を出し、居間に積み上げていく。
女の子たちのために着替えるスペースを用意して、囲炉に積み上げた薪にはリトルファイアで火をつける。
「おおー…!」
パトリシア=K=ポラリス(ka5996)が賛嘆の声を上げる。
見落としてる子がいないかと葵がチェックを巡らせようとしたら、アルヴィン = オールドリッチ(ka2378)が積まれた毛布の一つを取って、差し出してきていた。
「マズ着替えるベキだと思うヨー?」
確かに自分の事を忘れてしまっていた、気遣われた事を迂闊と感じてしまい、小さく礼を言って自分も着替えを済ます。
何もわかってません、みたいな顔をしてアルヴィンはニコニコと笑う、こいつに何を言っても無駄だな、そういう事がわかっているから、葵もため息だけで済ませた。
「ウウ、さぶーい……」
毛布にくるまったパティが、更なるぬくもりを求めて岩井崎 メル(ka0520)の方へと体を寄せる。おお? と少し驚きつつも、メルは寄ってきたパティを自分の毛布でもう一周分包んでやった。
パティが顔を緩めればメルもまんざらではない、仕方ないなぁと苦笑しながらも大人としては頼られれば嬉しい。
「はー…」
火の温もりが身に染みる、ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)はルンルン忍法を会得してなければ致命傷だっただろう、備えという名のコートと超密かに身につけた毛糸のパンツだが。
暫く温まって、少しは動けるようになったら荷物の中から祝福の水筒を引っ張り出してきた。
一人でぼーっとしているメアリ・ロイド(ka6633)を見る、もしかしたら具合が悪いのかもしれない、お茶を飲むかと尋ねたら頷きが返ったので渡す。口をつけて暫しした後、メアリがほぅ……と小さな息をついた、多分気に入ってもらえたのだろう。
「有難うございます」
「ううん、備えあれば嬉しいなーって奴です!」
大丈夫? 具合悪くありません? と聞いたらメアリが首を傾げて大丈夫ですと答えた、最初から素だったらしい。
囲炉を囲めて少し経てば、服の湿気は大分取れてきた気配がする。
倉庫の奥には依頼対象の保存食、古いのを取り出して、自分たちが持ってきた分を代わりに押し込んでおく。
このまま食べてもそれほど美味しくはないらしい、鍋もあるから葵はそれを引っ張り出してきて、水場は……室外だった。
手足の凍えは取れてるが、確実に寒い。出ないといけないよなぁってわかってるから、外套を着なおして気合を入れたら横からアルヴィンが鍋を突っついた。
「僕が行くヨー?」
「なめんなっ!」
鍋を奪い返す、そう何でもかんでも甘えると思わないで欲しい。気合のままに外に出る、やっぱり寒くて一瞬怯むが、そのまま突っ切った。
「あっ私も! ルンルン忍法の出番です!」
意訳するとサバイバルが得意だから安全確認をしてくれるらしい、結局アルヴィンもついてきたから、三人で小屋の外へと出た。
「マ゛ッタク寒くナ゛イヨ?」
「嘘おっしゃい」
声以外はいつも通りな胡散臭い笑顔のアルヴィンを葵はジト目で見る。
小屋の裏には井戸があり、桶を下ろして引き上げれば、分担して無事水を汲むことが出来た。
周辺を一周したルンルンが言うに敵影はなし、雪崩の影響もないらしい、礼を言って三人で小屋へと戻る。
待機組は倉庫で絨毯を見つけたらしい、火に焼かれない程度の距離を置いて敷かれたそれに、パティがご満悦気味にごろごろしている。
「チョット硬いけどお布団ー♪」
葵が鍋を火にかけ、ルンルンが報告をもう一度繰り返した。
水が温まるまでは魔法瓶のお茶で凌ぐ、「忍法です!」と言ってルンルンが得意げに掲げれば、パティも持ってる! と言って張り合う、既に貰っていたメアリはずずーとお茶を啜った。
……そろそろ真面目になるべきだろう。
メルが貰っていた地図を広げる、来た場所と方角を合わせて、大体の地形と目安を共有した。
「少なくとも今日は道から外れない方がいいって思うんだよね……」
少人数で耐えながらの作業というのは、リアルブルーで経験したものに似ているとメルは思う。
既に日は傾きかけているが、周辺を把握しない事には安心して夜を過ごせもしない。
ならば見るべきは余り道から離れず、目が届く範囲に絞られる。
「雪ぶわー! って来たネ? ビックリしたんダヨー」
やまびこさんの可能性はある? とパティが問うので、メルはその可能性を真面目に検討した。
「うーん……反響ではない、かな……」
あの轟音には震動が伴っていたように思える、非常に微弱なものだったから、地形を挟んだ可能性が高い、となると大体このあたりだろうとメルが地図に印をつけた。
「……と言っても今日見に行くのは無理! 今日は周辺の安全確認だけ!」
見回る範囲を決め、ハンター達は二手に別れる事も決めた。
連絡用にトランシーバー、遭難防止用のロープ、それとパティが覚醒ついでに緊急用の口伝符を作る。
「おまじない☆」
アルヴィンが皆を集め、ヒーリングスフィアで受けていたダメージを回復させて準備よし。アルヴィン、メアリ、パティの三人が偵察班として外に出た。
+
結果を言うと、片道一時間でうろつける場所に敵影はなかった。
メルの言う通り地形の裏に回り込む必要があるだろう、決して容易くはないルートになるので、恐らく小屋を襲撃される心配も薄い。
白い息を吐きながら戻ってくると、留守番組が煮炊きをしながら待っている。
消費したお茶はティーパックから補充され、干し肉は刻んでスープにされていた、メルが気を遣ったのか、恐らくはまだ出来たてだろう。
「屋根の雪、誰かキレイにシタ?」
「さっきやったー」
メルがひらひらと手を上げると、パティはありがとダヨーとくっつきにいった。
外套を脱がせて毛布と替えてもらうまでお任せである、えへへと笑う。
「近くにはめぼしいものも、危険もありませんでした、明日は見立て通り地形の裏を見に行くのがいいかと」
外套を畳みながらメアリが見に行った場所と結果を地図に書き込む、ここから回り込むのが楽なんじゃないかと、と言ってルートを指すのと同時に、パティがリボンを目印として残した事を告げた。
「ア、占い的に明日はタブンお昼カラ晴れ!」
行き先も地形の裏でいいんじゃないか、といった感じだそうだ。
「そう、お疲れ様。じゃあ後は交代で火の番と見張りってとこかしら」
「ハイハイ、マダ寝るにはハヤイと思うンダヨっ」
パティのお喋りしたいアピールである、寒さに負けずにホットな恋のお話をするべき、と力説すれば、まぁせっかくだし……と顔を見合わせた面々と雑談タイムに突入した。
持ち込んだ荷物の中からアルヴィンが成人組にお酒を注ぐ、仕事中であるため軽く舐める程度だが、強めのアルコールは程よく空気を解し、体を熱く保ってくれる。
「えー? 話すの、マジ?」
そうだなぁとメルは考え込み、何を話そうかと思い返してる内に恥ずかしくなってきたのか、何を話せばいい!? と逆ギレ気味に質問を投げ返していた。
「ジャア好きなコの好きなトコ!」
「う……」
定番だが心の裡を明かすのは中々に勇気がいる。どうも饒舌には語り難いのか、そっぽを向いて「……前向きなとこ」と呟く。
「るんるんー」
「将来的に出会う予定ですっ、いつか、きっと、必ずは!」
葵に話が回ると彼女は苦笑して首を横に振る。
「あ~。私はイケメン見る専だからぁ」
突っ込みたさそうなパティを葵は酒盃片手になだめる、世間の目線くらいはわかっているのだ。
「むー、じゃあアルヴィンの好きなコ!」
「モチロンいるとも、ナニシロ僕は愛の伝道師だからネ☆」
既に悟っている葵は酒をあおりながら放置モードである。
「尖った耳が可愛くてー」
「ふんふん」
「フワフワの茶色い毛並みがチャーミングでー」
「……??」
「こいつ相手が人間だとは言ってないわよ」
ダイスキな相手ダヨ? とアルヴィンは爽やかスマイルで締めくくった、ペットの兎の話である。
「ふぬー! ネネ、メアリは? 好きなコいる?」
「そうですね……いますよ」
おお、とようやくまともな回答にありつけそうなパティは食い気味である。
どんなコどんなコ? と尋ねられれば、真面目な方ですが……と一旦言葉を置いて、真面目過ぎて幸が薄くて死にそうな人ですね、と付け足した。
「ソコが好き?」
「…………」
直球だ、どうも目を向け難くて、とりあえずノーコメントを貫かせてもらう。
口を噤んでからメアリは一人で考え込んでいた。
どっちかといえばほっとけないに近く、その中に憧憬が混じっている。
想われている訳ではない、ただ自分が想っている。恋といえばきっとその通りだと思うが、どこか他人事のように見つめる自分もいた。
醒めた視点の中でも、強く在るのはこのままにしたくない、という気持ちだ。
今だってそう、自分がいなくても彼はきっと自分を忘れるだろうけど、メアリはそれが悔しくて、嫌だった。
+
翌朝、全員で朝食をとってから、昨夜と違う三人が探索に出た。
朝の飲み物は早起きしたメアリが用意した砂糖湯。一晩中火を維持し、食事も十分取ったことにより体調は比較的良くなっている。これならば探索中に体が凍えて動けなくなる、などはないだろう。
目印があり、地図があり、場所の特定は容易く済む。勿論、口伝符も配った、今日はルンルン作のニンジャテレカである。
B班からの連絡は山を挟んだ裏側、棍棒を持った大型の歪虚を三体確認とのことだった。
昼になって雪が止むのを待ち、全員で該当地点へと向かう。
最短ルートで来たため疲労も少ない、ギリギリまで近づいて対象を確認する。
「あー……はいはい」
納得したかのようにメルは頷きを繰り返す、トロールだろうか、遠目から見ても歪虚達は棍棒をぶん回したりで気性が荒い、虫の居所が悪ければ雪崩くらいは起こすだろう。
「あいつらが原因ですね……絶対お仕置きしてやるのですっ」
ルンルンがカードを手に挟む、いつでもいけるよ、と合図を出す。
「では、尋常に――」
メアリが息を吸い、目を閉じたのち、蠢く髪と共に開き直した。
「――やってやるとしますか!」
先制攻撃は魔術射撃から始まる、いかにも筋肉バカな相手にわざわざ近づいてやる事はない、足場は悪く、むしろ好都合だった。
一斉射撃の内三発を当て、二発を外す。アルヴィンは術士達より前の位置で待機、相手が近づいてくるのを待つ。
「そうだろうと思ってたけど、頑丈ねぇ」
詠唱の合間に葵がぼやく。脆いところを狙ってみようとしたが、攻撃は逸れ、胴体に当たっている。傷は細く、出血も浅い。急所の一撃を狙いつつ、削り倒す覚悟もする必要があるだろう。
二射目を構えたあたりに、敵がアルヴィンへと接敵しようとしていた。
日差しが大きく遮られるほどの巨体、見上げながら鎌を構える。本能的に恐怖を感じてもいいのだろうが、浮かぶのは満面の笑みと、ヤバイネーという感慨のこもってない感想だけ。
「まだダメですよー!」
接敵する直前にルンルンが地縛符を放つ。一体を止め、残り二体は突破した。
振り下ろされる棍棒にアルヴィンが鎌を合わせる、がきんとした感触、手が痺れてじーんとする。一方で浮かぶのは満面の笑みで、少し荒れた息も意に介せず二発目も受け止める。
「ウンウン♪」
手の痺れはある種感動にも似ている、それが楽しい、と言わんばかりの口ぶりだ。
「ルンルン忍法――三雷神の術!」
投げた三枚のカードを媒介に、三つの稲妻が敵を穿った。いかに頑丈な敵と言えどルンルンの魔力は相手の体力を大きく削る、どうですか! とガッツポーズしながら、次のカードを手に取った。
「グオオオオ!」
「わわっ」
怒り狂うトロールに、うるせぇ、とメアリがデルタレイを放つ、しかし棍棒が向かってくると、流石に不利を悟ったか舌打ちをしながらも後ろへと下がった。
「ウーン……これは……」
アルヴィンが大きく鎌を振るうが、体格差で三体を引きつけきれない。一体を足止めし、もう一体の気をひこうとするくらいがギリギリ。
「来るぞ、避けろ!」
「パティが――」
「ダメだ!」
立ち向かおうとしたパティの襟首をひっつかみ、メルがVOBを使って横に飛んだ。棍棒を避け、雪をかぶりながらゴロゴロと転がる。
「まずこいつからだ、集中して落とせ!」
メルの激励を受けて、パティが火炎符を投げつける。敵に張り付いた符は一瞬で燃え上がり、歪虚の一部を炭化させて燃え尽きた。
「ガアアア!」
「オ? いけソウ?」
押し切れる、そう判断してメルも機械杖を向けた。杭状に圧縮されたマテリアルが打ち込まれて、敵に突き刺さって爆発する。見れば歪虚は消し飛んでおり、後衛達は慌ててアルヴィンの方に視線を戻す。
「ちょっと、まだ生きてる?」
「余裕ー☆」
アハハ、と笑いながらアルヴィンが鎌で歪虚達を突き飛ばした。
歪虚達が重なった一瞬を見て、葵がライトニングボルトを放つ、相手の耐久力は大体わかったので、残り二体もこのまま押し切ってやるつもりだ。
「あ、まず……」
怒り狂った歪虚の棍棒が地面へと向かう、雪崩が来る、そう判断したハンター達は思い思いの行動を取ろうとするも――。
「サセナイヨー」
飛び上がる10枚のフォトンカード、パティ自身の硬直と引き換えに、黒曜封印符が相手の動きを止める。
「……助かったけど、メインアタッカーが一人動けなくなったんだけど」
「アレ?」
「ル、ルンルンが頑張ります!」
スキルが解けてからちゃんと全員で倒した。
+
歪虚を撃破し、ハンター達は小屋に戻ってきていた。
時々外に出て様子を伺っていたが、特に異変などはない、他の歪虚はいないと判断して良いとハンター達は思っていた。
「外は……雪で埋まってたかー」
メルが伸びをする、今日には兵士が来てくれるはずだ。
ある程度小屋の片付けをして、使ったものも綺麗にして元の場所に戻してある。依頼品も含めて荷物もまとめたから、後は道さえ開ければいつでも出立可能だ。
言った横から外が騒がしく、集団の喧騒が近づいてくる。
「隊長! 除雪作業は終了、小屋とハンター達を確認しました!」
「来ましたね」
静かな声でメアリが立ち上がる。ルンルンが外に出て返事をする横で、小屋を見回して、大丈夫だと示してから、荷物を持って外に出た。
「ウーン、ナカナカ愉しい体験ダッタネ?」
「どこがよ」
やれやれ、と葵も続いて外に出た、パティを探すが既に外に出て葵達を呼んでおり、アルヴィンが戸締まりをする。
「イクヨー!」
「はいはい」
依頼結果
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閉塞した小屋の中(相談所 沢城 葵(ka3114) 人間(リアルブルー)|28才|男性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2017/12/26 20:38:15 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/12/21 13:10:34 |