ゲスト
(ka0000)
赤い実を、妹に
マスター:一要・香織

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 5~7人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/12/30 19:00
- 完成日
- 2018/01/07 02:41
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
山間にはしんしんと雪が降り、辺り一面を白銀に変えた。
墨絵の様なモノクロの世界に、その村はひっそりと存在していた。
いくつもの家は寄り添う様に並び、暖かな光が窓から溢れて、凍える様な寒さに僅かな温もりを与える。
家の中では薪ストーブの上に乗せられたヤカンが、シュンシュンと音をさせて湯気を立ち登らせ、部屋の中を温めている。
その部屋の片隅で、1人の少女が横たわっていた。
沢山の布団をかけているにも関わらず、身体はカタカタと震え、苦しげに息をしている。
コホ、ゴホ、コホ……。
小さな口から聞こえる乾いた咳。
少女の顔を覗き込んだ少年は、キッチンに立つ母親を振り返った。
「ママー! リリア、また苦しそうだよ」
眉を下げ不安げに瞳を揺らした少年は、リリアの兄、キール。
2人はとても仲の良い兄妹で、元気で活発なキールの後を、病弱で内気なリリアが追いかける様にしていつも遊んでいた。
しかし、数日前からリリアが熱を出し寝込んでいるのだ。
「ねえママ、薬飲ませてあげようよ」
キールは今にも泣きだしそうな顔で母親に頼む。
しかし、
「飲ませてあげたいけど、薬に使う薬草が無いのよ……」
母親も痛ましいほどに落ち込んだ顔でそう応えた。
「……薬草ってあれでしょ? あの赤い実のなる木」
「そうよ、この辺だと西の崖上にしかないわ……」
薬を飲ませようにも、その薬が無い。
村を出て山を歩き、崖の上にある薬に使う実がなる木まで行かないと手に入らない。
今年は降雪の時期が早く、薬草を取りに行く前に雪に閉ざされてしまったのだ。
コホ、ゴホ、ゴホ……。
再び乾いた咳がリリアの口から響いた。
苦しそうに小さく唸り、寝返りを打つ妹。
その姿を見たキールは、大きな声で言った。
「僕、場所分かるよ! だから、僕が取ってくる!」
雪山を歩くことが如何に大変か。それが子供であるなら尚更だ。
それを解っていながら、妹を助けてあげたい……その気持ちがキールを突き動かす。
「ダメよ、危ないわ! それにあの辺りで雑魔を目撃した人が居るらしいの、退治されてないならまだ居る可能性が高いわ」
母親は強い口調でキールを制する。
しかしそれで引き下がるキールではない。
「じゃあ、村の大人達全員で行けばいいじゃないか」
尖った声で言い返すが、母親は首を振るばかりだ。
「目撃された雑魔は大型の熊だったんですって……いくら村の猛者でも、敵いっこないわ……だから、皆嫌がっているのよ」
はぁ。母親は小さく溜息を吐いた。
自分だってキールと同じ思いだ。
リリアの咳が酷くなれば、また喘息を発症するかもしれない。
今すぐにでも薬草を取りに行きたいが……雪山の恐ろしさは身に染みて分かっている。しかも雑魔まで……。
だから、キールを行かせたくないのだ。
雪山に出て戻らない人が今までに何人居ただろうか……体力のあるハンターならまだしも、子供が一人でなんて……。
「っ!!」
母親はハッとした様に目を見開いた。
「そうだ、ハンターにお願いしてみましょうか?」
「うっ、うん!! 来てくれたら僕、ハンターを案内できるよ!」
●ハンターオフィス
「依頼が来てるッス。」
やけに威勢のいい受付の女性は依頼書をカウンターに置いた。
「依頼内容は、少年の護衛と雑魔の討伐ッス。なんでも薬草を取りに雪山に入りたいそうで……、道中はかなり大変そうッスね……。」
受付の女性はポリポリと頬を掻いた。
「その薬草は何に使うんだい?」
ハンターが尋ねると、
「依頼主の話では、病気の妹さんの薬を作るそうッス」
「まあ、なら早く行ってあげないと!」
ハンターは顔を見合わせ頷いた。
「討伐対象は大きな熊型の雑魔ッス。目撃されたのは随分前ッスがそこに留まっている可能性が高いらしいッス。よろしくお願いするッス」
受付の女性がサイン用の羽ペンを差し出すと、
「もちろん、力になるぜ!」
ハンターは口元に笑みを浮かべた。
墨絵の様なモノクロの世界に、その村はひっそりと存在していた。
いくつもの家は寄り添う様に並び、暖かな光が窓から溢れて、凍える様な寒さに僅かな温もりを与える。
家の中では薪ストーブの上に乗せられたヤカンが、シュンシュンと音をさせて湯気を立ち登らせ、部屋の中を温めている。
その部屋の片隅で、1人の少女が横たわっていた。
沢山の布団をかけているにも関わらず、身体はカタカタと震え、苦しげに息をしている。
コホ、ゴホ、コホ……。
小さな口から聞こえる乾いた咳。
少女の顔を覗き込んだ少年は、キッチンに立つ母親を振り返った。
「ママー! リリア、また苦しそうだよ」
眉を下げ不安げに瞳を揺らした少年は、リリアの兄、キール。
2人はとても仲の良い兄妹で、元気で活発なキールの後を、病弱で内気なリリアが追いかける様にしていつも遊んでいた。
しかし、数日前からリリアが熱を出し寝込んでいるのだ。
「ねえママ、薬飲ませてあげようよ」
キールは今にも泣きだしそうな顔で母親に頼む。
しかし、
「飲ませてあげたいけど、薬に使う薬草が無いのよ……」
母親も痛ましいほどに落ち込んだ顔でそう応えた。
「……薬草ってあれでしょ? あの赤い実のなる木」
「そうよ、この辺だと西の崖上にしかないわ……」
薬を飲ませようにも、その薬が無い。
村を出て山を歩き、崖の上にある薬に使う実がなる木まで行かないと手に入らない。
今年は降雪の時期が早く、薬草を取りに行く前に雪に閉ざされてしまったのだ。
コホ、ゴホ、ゴホ……。
再び乾いた咳がリリアの口から響いた。
苦しそうに小さく唸り、寝返りを打つ妹。
その姿を見たキールは、大きな声で言った。
「僕、場所分かるよ! だから、僕が取ってくる!」
雪山を歩くことが如何に大変か。それが子供であるなら尚更だ。
それを解っていながら、妹を助けてあげたい……その気持ちがキールを突き動かす。
「ダメよ、危ないわ! それにあの辺りで雑魔を目撃した人が居るらしいの、退治されてないならまだ居る可能性が高いわ」
母親は強い口調でキールを制する。
しかしそれで引き下がるキールではない。
「じゃあ、村の大人達全員で行けばいいじゃないか」
尖った声で言い返すが、母親は首を振るばかりだ。
「目撃された雑魔は大型の熊だったんですって……いくら村の猛者でも、敵いっこないわ……だから、皆嫌がっているのよ」
はぁ。母親は小さく溜息を吐いた。
自分だってキールと同じ思いだ。
リリアの咳が酷くなれば、また喘息を発症するかもしれない。
今すぐにでも薬草を取りに行きたいが……雪山の恐ろしさは身に染みて分かっている。しかも雑魔まで……。
だから、キールを行かせたくないのだ。
雪山に出て戻らない人が今までに何人居ただろうか……体力のあるハンターならまだしも、子供が一人でなんて……。
「っ!!」
母親はハッとした様に目を見開いた。
「そうだ、ハンターにお願いしてみましょうか?」
「うっ、うん!! 来てくれたら僕、ハンターを案内できるよ!」
●ハンターオフィス
「依頼が来てるッス。」
やけに威勢のいい受付の女性は依頼書をカウンターに置いた。
「依頼内容は、少年の護衛と雑魔の討伐ッス。なんでも薬草を取りに雪山に入りたいそうで……、道中はかなり大変そうッスね……。」
受付の女性はポリポリと頬を掻いた。
「その薬草は何に使うんだい?」
ハンターが尋ねると、
「依頼主の話では、病気の妹さんの薬を作るそうッス」
「まあ、なら早く行ってあげないと!」
ハンターは顔を見合わせ頷いた。
「討伐対象は大きな熊型の雑魔ッス。目撃されたのは随分前ッスがそこに留まっている可能性が高いらしいッス。よろしくお願いするッス」
受付の女性がサイン用の羽ペンを差し出すと、
「もちろん、力になるぜ!」
ハンターは口元に笑みを浮かべた。
リプレイ本文
足を止めれば、降りしきる雪の音は静寂の中にやけに大きく響いた。
「うぅ、さみぃ……」
雪原を駆けて吹いた一陣の風に、龍崎・カズマ(ka0178) は肩を震わせる。
「村までもう少しよ」
アリア・セリウス(ka6424) が励ますように声を掛けると、ハンター達は再び足を進めた。
村の中は綺麗に雪が撥ねられて、人々が生活している温かさが感じられた。
コンコン――――。
一軒の家のドアを叩くと、間を空けずヒョッコリと少年が顔を覗かせる。
ハンターを見上げる少年に近付き、
「お、坊主がキールか? 妹の為に薬草を取りに行くなんて良い兄貴だな」
ジャック・エルギン(ka1522) がキールの頭をくしゃりと撫でると、その後ろから母親が現れた。
「まあ、みなさん。わざわざありがとうございます。寒いでしょう? どうぞ入って下さい」
母親が微笑み家に招くと、ハンター達は軽く一礼して家の扉を潜った。
温かな家の中は、広くはないがよく手入れされており、その優しい雰囲気が寒さに凍える体を少しずつ溶かしていく。
「この子がリリアちゃんか?」
ヘルヴェル(ka4784)が部屋の片隅に横たわる少女を見やった。
「ええ」
母親は眉を下げ心配そうにリリアに視線を移した。
「体調はどうッスか?」
根国・H・夜見(ka7051)もリリアに視線を向け尋ねると、
「熱が全然下がらないんだよ」
母親の隣に佇んだキールが真剣な表情で答えた。
「なら支度が出来次第、薬草を採りに向かおうぜ」
岩井崎 旭(ka0234)がニヤリと唇の端を上げキールを見ると、キールは驚いたように目を見開き、次の瞬間大きく頷いた。
「妹さんを助けるため、一緒に頑張ろう」
鞍馬 真(ka5819)がキールの目線に合わせて膝を着き声を掛けると、
「うん」
快活な返事が返った。
家族の為、妹の為に頑張りたいと思っている小さな少年の優しさに眩しさを覚え、真は目を細めた。
「雪山に詳しい人は居るだろうか? 少し話を聞きたいのだが」
ヘルヴェルが母親に声を掛けると、
「なら、村長に……」
その隣から、
「それから、雪山はかんじきが必要か?」
ジャックが続け様尋ねると、母親はジャックの足元を確認し答えた。
「深く積もってる所もありますから、有った方がいいと思います。家に予備がいくつかありますので使ってください」
「そりゃ助かる。ありがたく使わせてもらうぜ」
旭が口元に弧を描いて礼を言う。
それぞれが、雪山への支度を始めた。
数の足りないかんじきはジャックがスキルとツールを使い、あっという間に作り上げる。
キールもコートを羽織り、雪山用のブーツに履き替えた。
身体の割に少し大きなリュックを背負うと、その顔つきは大人びた雰囲気を纏い頼もしく感じられた。
「お待たせしたッス。村長に話を聞いて来たッス」
話を聞きに行っていたヘルヴェルと夜見が駆け寄ると、ハンター達は顔を見合わせた。
「さ、妹への想いで赤く染まった実を、雪の白さに閉ざされた中へ採りに行きましょう」
アリアが呟くと、それに応えるように母親が掌を握った。
「キール君の事なら心配いらない。貴方はリリアさんの側に居てあげて下さい」
真も励ますように母親に声を掛けると、
「よろしくお願いします」
母親は小さく頭を下げた。
門を潜ったハンターとキールの背中は次第に小さくなり、雪の中に消えた。
その光景を見つめながら母親は唇を噛み締め、ゆっくりと家の中に戻っていった。
「お兄ちゃん達のブーツ、カッコいいね」
キールは雪道を歩きながら旭やヘルヴェル、カズマが履いているブーツを眺め、目を輝かせている。
顔を合わせた時よりも更に人懐っこくなったキールに、ハンター達は頬を緩めた。
元々活発で人見知りをしないキールだが、妹の為に来てくれたハンター達には格段に好意を抱いているようだ。
「へへっ、いいだろ!」
「そう? ありがとう」
旭とヘルヴェルが応えると、キールはニコリと笑みを見せ視線を前に戻した。
眼前に広がるのは白一色。
「これが白銀の世界ってやつか。良い景色だが長居はしたくねえな」
ジャックが戯けて呟くと、
「雪山行軍とはなあ、雑魔よか自然環境の方が怖いやな」
同調するようにカズマが呟く。
「雪山に暮らす人達は逞しいッス。キール君もきっと強い大人になるッス」
キールと繋いだロープを握り夜見が口を開くと、
「うん。僕お兄ちゃん達ハンターみたいに強くなりたいな」
キールは憧れの眼差しをハンターに向けた。
ザクサクザク……雪を踏みしめる音が静かな山道に響き渡る。
暫らく歩いたことでキールの息は弾んできた。
しかし、休みたいとは言わない。
そんなキールの様子を窺いつつ、先頭を歩いていた真が足を止めた。
「この道で合っているか? 雪が崩れているようだが……」
前方には山の斜面から滑落してきた雪が積もって道なき道を塞いでいる。
「うん、このまま真っ直ぐであってるよ」
キールが頷くと、ハンター達は目配せする。
「じゃあ、雪が積もってる所を崩そうぜ」
ジャックがスコップを手に前に出ると、ヘルヴェルと旭、真が続いた。
カズマは双眼鏡で周囲を警戒し、夜見とアリアはキールの体調を気遣った
「寒くないッスか? 疲れは?」
「全然大丈夫だよ!!」
キールは少し疲労の浮かぶ顔で、それでも元気に答えた。
「そう、でも無理はしないでね。お兄ちゃんが怪我をしたら、妹さんは悲しくなるでしょう?」
「……うん」
「疲れたら、疲れたって言っていいのよ」
アリアが優しく諭すと、キールは顔を上げて頷いた。
少しすると賑やかな声が響いた。
道を塞いでいた雪を崩し終えたようだ。
「よし、これで通れるぜ」
雪かきが済み、現れた雪道は斜面が少しずつ急になり始めていた。
ジャックは手早くマッピングを済ますと隊列の後ろに付き、ハンター達は先程よりも慎重に進み始める。
「熊が目撃されたのはこの辺りだったか?」
カズマが尋ねると、
「そうみたい」
ヘルヴェルが言葉短く返事する。
ハンター達は意識を張り巡らせ、周辺を警戒した。
風が吹き抜け、揺れた枝から落ちた雪の音にさえ鋭く反応する。
すると、ふと目に留まった光景に真は眉を寄せた。
同時にその後に続くハンター達も同じく眉を寄せた。
生える木々が不自然に倒され、強い力で叩き付けられたのか、あるのもは幹が折れていた。
「これは、自然にできたものじゃなさそうだな」
旭がそう口にした刹那、
「ガァァァァーーーー」
遠吠えの様な、雄叫びの様な吠え声がハンター達を襲った。
その声にハンター達は身構え、ビクリと体を揺らしたキールを夜見が引き寄せた。
「どこからきやがる?」
カズマが不敵に口の端を持ち上げると、
ドドドドド……
地鳴りのような響きが辺りを満たした。
「上だ」
真の鋭い声に、ハンター達は山の斜面を見上げた。
そこには雪と共に坂を駆け下りてくる大型の熊……の雑魔が居た。
「お出ましだな」
ジャックがクイックリロードで矢を番え、引き絞りからターゲッティングで放った剛力矢が風を切って雑魔に刺さった。
「キール心配いらないぜ、俺達が付いてる。なんだったら、休憩時間だと思ってくれてもいいぜ」
旭はキールを落ち着かせるように声をかけ、地を駆けるもので動物の能力を借り不安定な足元をカバーしながら前に出た。
同時にカズマがフォトンカードを投擲すると、実体をもつホログラムが雑魔を射った。
それでも雑魔は足を止めず、ハンター達との距離は詰り始める。
ヘルヴェルがリボルバーを掲げ雑魔の目を狙い引き金を引く。
甲高い銃声をさせ飛び出た弾丸は雑魔の片方の瞳に着弾し、その衝撃に雑魔は頭を振った。
雑魔は怒りを滲ませ再び、
「ガァァァァァ」
と吠えると、近くに生える枯れ木に勢いよく腕を叩き付けた。
その力に木は折られ、砕かれた木の破片がハンター達に降り注ぎ、刹那庇う様に前に飛び出した真とアリアを掠めた。
雑魔は仁王立ちになり、今にも飛び掛かってきそうだ。
旭がその隙をつき幻影の腕で雑魔を拘束し、爆突風で雑魔の身体を弾いた。
足を取られふら付く雑魔の間合いに真が踏み込む。
ソウルエッジで威力を上げた魔導剣がギラリと光ると、渾身撃を叩き込んだ。
同時にアリアもスラリと二刀の刃を抜き、氷輪詩を唱え踏み雑魔を切り裂く。
月魂から祓月での斬撃の軌跡は、雪原に上弦と下弦の三日月を描いた。
ドサリッと雪の上に倒れた雑魔は、周りの雪に解ける様に塵になって消えた。
その様子を見届けるハンター達の横で、カズマは双眼鏡を覗き込み新手が居ないか確認する。
「怪我はないか?」
真が尋ねると、硬い表情のキールは、
「うん」
と小さく答えた。
「敵影は無いな。先に進もう」
確認を終えたカズマが声を掛けると、皆はキールを励ましながら歩き始めた。
「もうすぐだよ」
崖上に続く道を登っていくと、視界が一気に開けた。
一際冷たい風が頬を撫で、赤い実を付ける木を揺らした。
「この赤い実がそうッスか?」
夜見がキールと共に木に近付き、その赤い実に手を伸ばす。
プチッと摘まんだ実を掌に載せると、夜見とキールは嬉しそうに顔を見合わせた。
旭はジェローを呼び寄せるとファミリアズアイを使用し、上空から敵影や危険な場所がないかをチェックし始めた。
「少し多めに採っておいて、外で凍らせておくのはいかがでしょうか?」
キールと一緒に実を採り始めたヘルヴェルの提案に、キールは笑顔で応える。
「うん、そうするよ」
もってきた麻袋に赤い実と葉がどんどん入れられていく。
「赤い実といえば南天――、難を転じて福と成すと言われていますが、この赤い実も妹さんの難を福に転じてくれるでしょう」
アリアも掌いっぱいに摘んだ実をキールの麻袋に入れた。
楽しそうに実を採る皆を背後に、真は隙なく辺りを見回し更なる難が無いよう警戒している。
やがて麻袋がいっぱいになると、
「十分に採れたなら戻るとしようぜ、薬は早くあるに越したことはないからな」
カズマは麻袋を大事そうに抱えるキールを見据え口を開いた。
「うん」
キールの声は少しの疲れを見せぬほど元気だった。
ジャックが記録したマッピングを頼りに、帰路に就いた。
新たな雑魔も落雪もなく、帰りはスムーズだ。
しかし歩き続けたキールの足取りは些か覚束無い。
相当に疲れているのだろう。
その姿にハンター達は微笑ましさを覚えた。
遠慮するキールを代わる代わる背負い、山道を下っていくと次第にキールは静かになり……いつしかハンターの背中で眠ってしまった。
「おい、寝ちまったのか?」
ジャックが背中を振り返ると、ふわふわと揺れる髪の毛だけが視線に入る。
「疲れたッスよ、このまま運んであげるッス」
夜見がジャックの後ろからキールを支え、ハンター達は村まで辿りついた。
「お帰りなさい。お怪我はないですか?」
扉を開けハンター達を見た母親は次にキョロキョロと辺りを見回した。
「キール君ならここっッスよ」
その動きががキールを探していると悟った夜見はジャックの背中を指差す。
母親は驚いた顔を見せるとジャックに駆け寄り、その背中を覗いた。
ジャックに背負われ、真が貸した毛皮のマントで寒くないよう包まれたキールが、気持ちよさそうに寝ている。
「すいません、重かったでしょう?」
母親がすまなそうに呟くと、
「ジャックならこれくらいなんともない」
カズマがジャックを揶揄う様に言った。
「これが薬草だ」
真が麻袋を手渡すと、母親はホッとした様に笑みを溢した。
「ありがとうございます。さあ、どうぞ中に。温かい飲み物を用意してます」
ハンター達も温かい部屋にホッと息を吐いた。
母親は赤い実を磨り潰し、葉と一緒に熱いお湯で煮だして薬湯を作った。
「さあリリア、ゆっくり飲んで」
直ぐにそれをリリアに飲ませる。
コクコク――と、小さな喉が上下して薬湯は飲み干された。
ハンター達は暖を取る傍ら、その様子を見守った。
暫らくすると苦し気だったリリアの呼吸が静かになり、カタカタと音が鳴りそうな震えも無くなった。
「顔色が先程より良くなった」
ヘルヴェルがリリアを覗き込んだ時、ハンターの隣で寝ていたキールがもぞもぞと起きあがった。
目を擦った後、目にした光景に驚いてぽっかりと口が開いた。
「ここは君の家だ」
真が可笑しそうに唇の端を持ち上げた。
「ジャックの背中で気持ちよさそうに寝てたぜ」
つられるように旭が口を開く。
漸く理解が追いついたキールはハッとした様に尋ねた。
「赤い実は?」
「もう、妹さんに飲ませてあげましたよ」
アリアが優しく微笑みリリアに視線を向けると、キールもリリアを振り返った。
家を出る時に見たあの苦しそうな表情は、今はもうない。
穏やかな寝息と穏やかな寝顔がリリアの顔に浮かんでいる。
「よく頑張ったな」
カズマがキールの頭をクシャリと撫でると、キールは嬉しそうに微笑んだ。
「お兄ちゃん達が来てくれたからだよ。ありがとう」
その笑顔にハンター達の胸に温かさが広がった。
料理を振る舞いたいとキッチンに立つ母親に、
「私も何かお手伝いしますよ」
アリアが申し出ると、
「ならば私も手伝おう」
ヘルヴェルもキッチンに立ち、女性三人は楽しそうに料理を作り始めた。
その様子を見ていたキールが、急にソワソワとし始める。
チラチラとハンター達を見たと思うと直ぐに視線を下げ落ち着かない。
その行動が何を意味するのか悟ったハンター達は顔を見合わせ、ニヤリと笑う。
「よしキール、雪合戦でもするか!」
カズマが膝を叩いて大きな声を出すと、キールは何故自分が思っていたことが分かったのか……と言いたげに目を見張った。
「いいの!?」
嬉しそうに応えるキールにハンター達は頷く。
リリアが熱を出してから遊び相手が居なく、寂しい思いをしていたのだとハンター達は感じた。
外に飛び出したキールは陽が暮れるまで、カズマ、旭、ジャック、真、夜見と雪合戦をして遊び、びしょびしょになった服で家に戻ると、男達は「風邪を引いたらどうするの!」と女達に怒られた。
しかし冷えた体は温かい料理と、温かい優しさに直ぐに熱を取り戻したのだった。
「うぅ、さみぃ……」
雪原を駆けて吹いた一陣の風に、龍崎・カズマ(ka0178) は肩を震わせる。
「村までもう少しよ」
アリア・セリウス(ka6424) が励ますように声を掛けると、ハンター達は再び足を進めた。
村の中は綺麗に雪が撥ねられて、人々が生活している温かさが感じられた。
コンコン――――。
一軒の家のドアを叩くと、間を空けずヒョッコリと少年が顔を覗かせる。
ハンターを見上げる少年に近付き、
「お、坊主がキールか? 妹の為に薬草を取りに行くなんて良い兄貴だな」
ジャック・エルギン(ka1522) がキールの頭をくしゃりと撫でると、その後ろから母親が現れた。
「まあ、みなさん。わざわざありがとうございます。寒いでしょう? どうぞ入って下さい」
母親が微笑み家に招くと、ハンター達は軽く一礼して家の扉を潜った。
温かな家の中は、広くはないがよく手入れされており、その優しい雰囲気が寒さに凍える体を少しずつ溶かしていく。
「この子がリリアちゃんか?」
ヘルヴェル(ka4784)が部屋の片隅に横たわる少女を見やった。
「ええ」
母親は眉を下げ心配そうにリリアに視線を移した。
「体調はどうッスか?」
根国・H・夜見(ka7051)もリリアに視線を向け尋ねると、
「熱が全然下がらないんだよ」
母親の隣に佇んだキールが真剣な表情で答えた。
「なら支度が出来次第、薬草を採りに向かおうぜ」
岩井崎 旭(ka0234)がニヤリと唇の端を上げキールを見ると、キールは驚いたように目を見開き、次の瞬間大きく頷いた。
「妹さんを助けるため、一緒に頑張ろう」
鞍馬 真(ka5819)がキールの目線に合わせて膝を着き声を掛けると、
「うん」
快活な返事が返った。
家族の為、妹の為に頑張りたいと思っている小さな少年の優しさに眩しさを覚え、真は目を細めた。
「雪山に詳しい人は居るだろうか? 少し話を聞きたいのだが」
ヘルヴェルが母親に声を掛けると、
「なら、村長に……」
その隣から、
「それから、雪山はかんじきが必要か?」
ジャックが続け様尋ねると、母親はジャックの足元を確認し答えた。
「深く積もってる所もありますから、有った方がいいと思います。家に予備がいくつかありますので使ってください」
「そりゃ助かる。ありがたく使わせてもらうぜ」
旭が口元に弧を描いて礼を言う。
それぞれが、雪山への支度を始めた。
数の足りないかんじきはジャックがスキルとツールを使い、あっという間に作り上げる。
キールもコートを羽織り、雪山用のブーツに履き替えた。
身体の割に少し大きなリュックを背負うと、その顔つきは大人びた雰囲気を纏い頼もしく感じられた。
「お待たせしたッス。村長に話を聞いて来たッス」
話を聞きに行っていたヘルヴェルと夜見が駆け寄ると、ハンター達は顔を見合わせた。
「さ、妹への想いで赤く染まった実を、雪の白さに閉ざされた中へ採りに行きましょう」
アリアが呟くと、それに応えるように母親が掌を握った。
「キール君の事なら心配いらない。貴方はリリアさんの側に居てあげて下さい」
真も励ますように母親に声を掛けると、
「よろしくお願いします」
母親は小さく頭を下げた。
門を潜ったハンターとキールの背中は次第に小さくなり、雪の中に消えた。
その光景を見つめながら母親は唇を噛み締め、ゆっくりと家の中に戻っていった。
「お兄ちゃん達のブーツ、カッコいいね」
キールは雪道を歩きながら旭やヘルヴェル、カズマが履いているブーツを眺め、目を輝かせている。
顔を合わせた時よりも更に人懐っこくなったキールに、ハンター達は頬を緩めた。
元々活発で人見知りをしないキールだが、妹の為に来てくれたハンター達には格段に好意を抱いているようだ。
「へへっ、いいだろ!」
「そう? ありがとう」
旭とヘルヴェルが応えると、キールはニコリと笑みを見せ視線を前に戻した。
眼前に広がるのは白一色。
「これが白銀の世界ってやつか。良い景色だが長居はしたくねえな」
ジャックが戯けて呟くと、
「雪山行軍とはなあ、雑魔よか自然環境の方が怖いやな」
同調するようにカズマが呟く。
「雪山に暮らす人達は逞しいッス。キール君もきっと強い大人になるッス」
キールと繋いだロープを握り夜見が口を開くと、
「うん。僕お兄ちゃん達ハンターみたいに強くなりたいな」
キールは憧れの眼差しをハンターに向けた。
ザクサクザク……雪を踏みしめる音が静かな山道に響き渡る。
暫らく歩いたことでキールの息は弾んできた。
しかし、休みたいとは言わない。
そんなキールの様子を窺いつつ、先頭を歩いていた真が足を止めた。
「この道で合っているか? 雪が崩れているようだが……」
前方には山の斜面から滑落してきた雪が積もって道なき道を塞いでいる。
「うん、このまま真っ直ぐであってるよ」
キールが頷くと、ハンター達は目配せする。
「じゃあ、雪が積もってる所を崩そうぜ」
ジャックがスコップを手に前に出ると、ヘルヴェルと旭、真が続いた。
カズマは双眼鏡で周囲を警戒し、夜見とアリアはキールの体調を気遣った
「寒くないッスか? 疲れは?」
「全然大丈夫だよ!!」
キールは少し疲労の浮かぶ顔で、それでも元気に答えた。
「そう、でも無理はしないでね。お兄ちゃんが怪我をしたら、妹さんは悲しくなるでしょう?」
「……うん」
「疲れたら、疲れたって言っていいのよ」
アリアが優しく諭すと、キールは顔を上げて頷いた。
少しすると賑やかな声が響いた。
道を塞いでいた雪を崩し終えたようだ。
「よし、これで通れるぜ」
雪かきが済み、現れた雪道は斜面が少しずつ急になり始めていた。
ジャックは手早くマッピングを済ますと隊列の後ろに付き、ハンター達は先程よりも慎重に進み始める。
「熊が目撃されたのはこの辺りだったか?」
カズマが尋ねると、
「そうみたい」
ヘルヴェルが言葉短く返事する。
ハンター達は意識を張り巡らせ、周辺を警戒した。
風が吹き抜け、揺れた枝から落ちた雪の音にさえ鋭く反応する。
すると、ふと目に留まった光景に真は眉を寄せた。
同時にその後に続くハンター達も同じく眉を寄せた。
生える木々が不自然に倒され、強い力で叩き付けられたのか、あるのもは幹が折れていた。
「これは、自然にできたものじゃなさそうだな」
旭がそう口にした刹那、
「ガァァァァーーーー」
遠吠えの様な、雄叫びの様な吠え声がハンター達を襲った。
その声にハンター達は身構え、ビクリと体を揺らしたキールを夜見が引き寄せた。
「どこからきやがる?」
カズマが不敵に口の端を持ち上げると、
ドドドドド……
地鳴りのような響きが辺りを満たした。
「上だ」
真の鋭い声に、ハンター達は山の斜面を見上げた。
そこには雪と共に坂を駆け下りてくる大型の熊……の雑魔が居た。
「お出ましだな」
ジャックがクイックリロードで矢を番え、引き絞りからターゲッティングで放った剛力矢が風を切って雑魔に刺さった。
「キール心配いらないぜ、俺達が付いてる。なんだったら、休憩時間だと思ってくれてもいいぜ」
旭はキールを落ち着かせるように声をかけ、地を駆けるもので動物の能力を借り不安定な足元をカバーしながら前に出た。
同時にカズマがフォトンカードを投擲すると、実体をもつホログラムが雑魔を射った。
それでも雑魔は足を止めず、ハンター達との距離は詰り始める。
ヘルヴェルがリボルバーを掲げ雑魔の目を狙い引き金を引く。
甲高い銃声をさせ飛び出た弾丸は雑魔の片方の瞳に着弾し、その衝撃に雑魔は頭を振った。
雑魔は怒りを滲ませ再び、
「ガァァァァァ」
と吠えると、近くに生える枯れ木に勢いよく腕を叩き付けた。
その力に木は折られ、砕かれた木の破片がハンター達に降り注ぎ、刹那庇う様に前に飛び出した真とアリアを掠めた。
雑魔は仁王立ちになり、今にも飛び掛かってきそうだ。
旭がその隙をつき幻影の腕で雑魔を拘束し、爆突風で雑魔の身体を弾いた。
足を取られふら付く雑魔の間合いに真が踏み込む。
ソウルエッジで威力を上げた魔導剣がギラリと光ると、渾身撃を叩き込んだ。
同時にアリアもスラリと二刀の刃を抜き、氷輪詩を唱え踏み雑魔を切り裂く。
月魂から祓月での斬撃の軌跡は、雪原に上弦と下弦の三日月を描いた。
ドサリッと雪の上に倒れた雑魔は、周りの雪に解ける様に塵になって消えた。
その様子を見届けるハンター達の横で、カズマは双眼鏡を覗き込み新手が居ないか確認する。
「怪我はないか?」
真が尋ねると、硬い表情のキールは、
「うん」
と小さく答えた。
「敵影は無いな。先に進もう」
確認を終えたカズマが声を掛けると、皆はキールを励ましながら歩き始めた。
「もうすぐだよ」
崖上に続く道を登っていくと、視界が一気に開けた。
一際冷たい風が頬を撫で、赤い実を付ける木を揺らした。
「この赤い実がそうッスか?」
夜見がキールと共に木に近付き、その赤い実に手を伸ばす。
プチッと摘まんだ実を掌に載せると、夜見とキールは嬉しそうに顔を見合わせた。
旭はジェローを呼び寄せるとファミリアズアイを使用し、上空から敵影や危険な場所がないかをチェックし始めた。
「少し多めに採っておいて、外で凍らせておくのはいかがでしょうか?」
キールと一緒に実を採り始めたヘルヴェルの提案に、キールは笑顔で応える。
「うん、そうするよ」
もってきた麻袋に赤い実と葉がどんどん入れられていく。
「赤い実といえば南天――、難を転じて福と成すと言われていますが、この赤い実も妹さんの難を福に転じてくれるでしょう」
アリアも掌いっぱいに摘んだ実をキールの麻袋に入れた。
楽しそうに実を採る皆を背後に、真は隙なく辺りを見回し更なる難が無いよう警戒している。
やがて麻袋がいっぱいになると、
「十分に採れたなら戻るとしようぜ、薬は早くあるに越したことはないからな」
カズマは麻袋を大事そうに抱えるキールを見据え口を開いた。
「うん」
キールの声は少しの疲れを見せぬほど元気だった。
ジャックが記録したマッピングを頼りに、帰路に就いた。
新たな雑魔も落雪もなく、帰りはスムーズだ。
しかし歩き続けたキールの足取りは些か覚束無い。
相当に疲れているのだろう。
その姿にハンター達は微笑ましさを覚えた。
遠慮するキールを代わる代わる背負い、山道を下っていくと次第にキールは静かになり……いつしかハンターの背中で眠ってしまった。
「おい、寝ちまったのか?」
ジャックが背中を振り返ると、ふわふわと揺れる髪の毛だけが視線に入る。
「疲れたッスよ、このまま運んであげるッス」
夜見がジャックの後ろからキールを支え、ハンター達は村まで辿りついた。
「お帰りなさい。お怪我はないですか?」
扉を開けハンター達を見た母親は次にキョロキョロと辺りを見回した。
「キール君ならここっッスよ」
その動きががキールを探していると悟った夜見はジャックの背中を指差す。
母親は驚いた顔を見せるとジャックに駆け寄り、その背中を覗いた。
ジャックに背負われ、真が貸した毛皮のマントで寒くないよう包まれたキールが、気持ちよさそうに寝ている。
「すいません、重かったでしょう?」
母親がすまなそうに呟くと、
「ジャックならこれくらいなんともない」
カズマがジャックを揶揄う様に言った。
「これが薬草だ」
真が麻袋を手渡すと、母親はホッとした様に笑みを溢した。
「ありがとうございます。さあ、どうぞ中に。温かい飲み物を用意してます」
ハンター達も温かい部屋にホッと息を吐いた。
母親は赤い実を磨り潰し、葉と一緒に熱いお湯で煮だして薬湯を作った。
「さあリリア、ゆっくり飲んで」
直ぐにそれをリリアに飲ませる。
コクコク――と、小さな喉が上下して薬湯は飲み干された。
ハンター達は暖を取る傍ら、その様子を見守った。
暫らくすると苦し気だったリリアの呼吸が静かになり、カタカタと音が鳴りそうな震えも無くなった。
「顔色が先程より良くなった」
ヘルヴェルがリリアを覗き込んだ時、ハンターの隣で寝ていたキールがもぞもぞと起きあがった。
目を擦った後、目にした光景に驚いてぽっかりと口が開いた。
「ここは君の家だ」
真が可笑しそうに唇の端を持ち上げた。
「ジャックの背中で気持ちよさそうに寝てたぜ」
つられるように旭が口を開く。
漸く理解が追いついたキールはハッとした様に尋ねた。
「赤い実は?」
「もう、妹さんに飲ませてあげましたよ」
アリアが優しく微笑みリリアに視線を向けると、キールもリリアを振り返った。
家を出る時に見たあの苦しそうな表情は、今はもうない。
穏やかな寝息と穏やかな寝顔がリリアの顔に浮かんでいる。
「よく頑張ったな」
カズマがキールの頭をクシャリと撫でると、キールは嬉しそうに微笑んだ。
「お兄ちゃん達が来てくれたからだよ。ありがとう」
その笑顔にハンター達の胸に温かさが広がった。
料理を振る舞いたいとキッチンに立つ母親に、
「私も何かお手伝いしますよ」
アリアが申し出ると、
「ならば私も手伝おう」
ヘルヴェルもキッチンに立ち、女性三人は楽しそうに料理を作り始めた。
その様子を見ていたキールが、急にソワソワとし始める。
チラチラとハンター達を見たと思うと直ぐに視線を下げ落ち着かない。
その行動が何を意味するのか悟ったハンター達は顔を見合わせ、ニヤリと笑う。
「よしキール、雪合戦でもするか!」
カズマが膝を叩いて大きな声を出すと、キールは何故自分が思っていたことが分かったのか……と言いたげに目を見張った。
「いいの!?」
嬉しそうに応えるキールにハンター達は頷く。
リリアが熱を出してから遊び相手が居なく、寂しい思いをしていたのだとハンター達は感じた。
外に飛び出したキールは陽が暮れるまで、カズマ、旭、ジャック、真、夜見と雪合戦をして遊び、びしょびしょになった服で家に戻ると、男達は「風邪を引いたらどうするの!」と女達に怒られた。
しかし冷えた体は温かい料理と、温かい優しさに直ぐに熱を取り戻したのだった。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/12/26 23:20:07 |
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【相談版】 龍崎・カズマ(ka0178) 人間(リアルブルー)|20才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2017/12/30 16:47:38 |