【初夢】ぴこふぇりす

マスター:愁水

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
  • duplication
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~5人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
無し
相談期間
8日
締切
2018/01/13 22:00
完成日
2018/01/21 02:54

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出? もっと見る

オープニング


 とある朝だった。
 慣れ親しんだ声音に揺り動かされ、意識を夢の途中から引き摺り上げる。

 焦点の定まらない目を手の甲で擦りながら声の発信源を見やると、

「いつまで寝てんの? いいかげん起きないとオレ達も遅れるんだけど」
「ハクはおねぼうしゃんだねー……」

 弟のクロ――黒亜(kz0238)と、妹の紅亜(kz0239)が、ベッド脇に立っていた。





 ――幼い頃の姿で。





 寝起き故か、夢と現実の区別がつかないまま、俺は弾かれるように上半身を起こした。
 眠気の残る視界に重く張られていた蜘蛛の巣が、掻き集められた意識に一瞬で壊される。

 俺は思わず室内を見渡した。色の乏しさに見慣れた部屋は、何時もと変わりはない。
 泳いだ視線を一度、固く閉ざす。目頭を押さえ、乱れた呼吸を整え、そして、ゆっくりと瞼を開いた。その先には、やはり――

「……なに。どうかしたの? 鳩が豆鉄砲食ったような顔してるけど」
「う……? ハク、ハトしゃんだったの……?」

 クロと、紅亜がいる。
 今となっては、記憶と夢の中でしか出会えないその姿で。



 ――……夢の、中?



「片づかないからはやく朝ご飯食べちゃってよね。ほら、クーもまだ終わってないでしょ。ちゃんと卵食べておいで」
「えー……くーちゃん、たまごはおめめのやつがよかったなー……」
「は? クーがオムレツ食べたいって言ったんだよね? 卵はもう買い物いかないとないの。諦めてあるもん食べてきな」
「はーい……」
「ハク兄もいつまでぼーっとしてんの? その乱れた髪なおして早く仕度しないと、あいつらの方が先に着いちゃうよ?」

 独り置いてけぼりの俺が、この状況の理解に追いつくわけがない。
 無意識に反復した言葉がクロへの問いとなる。

「“あいつら”……?」

 クロのこの容貌は六つか七つくらいだったか。この頃から変わらない仏頂面を俺に遠慮もなく向けながら、クロが胡乱に片眉を上げた。

「なに、まだ寝ぼけてんの? 今日は登園日でしょ。園児のあいつらが先に幼稚園着いたら、先生として示しつくの?」
「幼稚園?」
「都市の郊外に建てたでしょ。忘れたの?」
「“先生”とは、誰だ?」
「あ ん た だ よ」

 閉じておいた袋の緒が切れたようだ。クロは“いい加減にしろ”というオーラを背に、俺の部屋を後にした。

「…………」

 ああ、そうか。
 わかった。



 ――これは夢だ。



 夢なんだ。
 でなければ、説明がつかない。

 天鵞絨サーカス団の天幕は、この世界では幼稚園であり。
 クロと紅亜はその園の園児であり。
 俺は園の教諭である――なんていうことは、夢の世界以外では有り得ない。

 何よりも先ず、紅亜のあの舌足らずさな年齢を考えると、クロと年の差がずれているような。……いや、そもそも、俺の外見だけが全く変わっていないことの方が、夢ならではの皮肉と見て取れる。

 部屋の姿見に映った自分の姿が、苦い微笑みを浮かべていた。





「幼稚園の教諭……一体何をすればいいんだ?」

 クロの急かす声を籠耳に、俺は無意識の習慣で壁に下げていた何時ものハンガーを手にしていた。掛けられていたのは軍服ではなく――





 シャツとエプロンだった。


リプレイ本文


 懐古に浸る毛色は違えど、ある意味、幾何か似ているところがあるな。



 ――“戦場”に。

**

 此処は、天鵞絨サ――……ではなく、幼稚園。

 夢の世界の余所人である俺には馴染みのない空間だ。
 だが、此の世界の住人である彼等には、今という瞬間が日常なのだろう。

「ハクせんせー!」

 背後から掛けられたのは、耳知らぬ自分の称呼。しかし、その声の質には聞き覚えがあった。無邪気な声音に重なり、日溜まりのような温かさが背中に飛び乗ってくる。

「おはようニャス! ミアはきょうもまっちょべりべりニャスよー!」

 ミア(ka7035)だ。……べりべり? 何語だろうか。

 肩によじよじと登ってきたミアを担いで地面に降ろしてやると、「ニャはー♪」と愛嬌のある八重歯を覗かせながら見上げてくる。服装は猫耳フードのパーカーにショートパンツ。大きな鈴付きのチョーカーという何時もの装いだ。年の頃は四つ程だろうか。顔が……丸い。ぽっちゃりとしたその頬は、思わず掬い上げたくなる。

「あー、ミアだぁ……くーちゃんとあしょぼー……」
「おお、いこいこーニャス♪」

 ミアは猫じゃらしを手にした紅亜(kz0239)に手を引かれ、薄陽の射す銀花の庭を走っていった。小さな足跡が瞬く間に咲く。まるで仔猫だ。対して此方は――

「うおー! ゆきー! ごろごろあたーっく!」

 ……。

 仔犬、という単語では収められない腕白盛りな園児がいる。見受ける容姿や行動からすると、三歳程か。降り積もった雪の海に頭から突っ込み、泳いで――いや、あの四肢の動きは溺れているのか? 助けに向かった方がよさ――

「ぶおっ! わはは、がとりんぐゆきだまー!」

 …………。

 もし肩書きがあるとするならば、“天鵞絨幼稚園のちびっこギャング”、ボルディア・コンフラムス(ka0796)――とでも呼ばれていそうだ。

「わはは! うおんうおーん!」

 ――?

 今し方雪玉で遊んでいたコンフラムスが、庭を爆走している。若さ故か、行動の移り変わりが凄まじい。目まぐるしいと言うべきか、活きがいいと言うべきか。

「あ、ボルちゃんニャスー! ちびっこぎゃんぐまてまてーニャスー!」
「おー……くーちゃんもまてまてするー……」

 其処へ、ミアと紅亜が加わった。傍から見ると、鬼ごっこというよりは、各々が単に走り回っ――……いや、言わないでおこう。

「せんせ、おはよー?」

 ふと、背後から線の細い声音が聞こえてきた。振り返った俺は、変な顔をしていたことだろう。

「……せんせ?」
「あ、ああ。おはよう、白藤」

 真白なケープを肩に掛け、可愛らしいクリーム色の膝下ワンピースを装う園児は、四歳程の白藤(ka3768)であった。実に、稚い。実に。だが、その奥深い灰瞳に宿る質は、確かに俺の知る彼女だ。

「もしかして、せんせもしんどいん?」
「“も”? いや、俺は平気だが……白藤はどうだ? 具合でも悪いのか?」
「んん、いまはへいきやねんけど……はしったらあかんって、ぜーぜーなるっていわれとるん……」

 ふむ。話を聞くと、幼い頃の白藤はあまり身体が丈夫ではなく、走り回ると夜に熱を出していたようだ。少々、意外な過去だった。……と言ったら、腹を立てられてしまうだろうか。だが、その虚弱さはこの夢(せかい)でも反映されてしまうものなのか?

 思考する俺の横を、「あっ、しーちゃん♪」と、快活な呼び声を上げて、ミアが過ぎっていく。
 ミアは親しげに白藤を抱き締めると、その手をやや強引に引き――

「ニャは! おひめさまはいただいたニャスー!」

 怪盗ミアセーヌが俺の目の前から白藤……姫、を攫っていった。二人の小さな背中が駆けてゆく。ふむ……ミアの潔い行動力は流石と言ったところか。白藤の身体が気懸かりではあったが、そこはやはり――夢。身体の軽さを察した白藤は、ミアと共に走り弾んでいた。

 ――と、おや?

 ジャングルジムの天辺に腰を掛けているのは、ネフィルト・ジェイダー(ka6838)か。
 気の入っていない両足を揺らしながら、ぼんやりと空を眺めているようだ。だが、目深に被った帽子から覗く円らな双眸は、何処か遠い記憶を見ているようでもあった。それに……四つか五つ程の年頃で、哀愁漂う背中というのも珍しい。

「なぁなぁ、ねふぃるとくんもしろたちといっしょにあそぼ?」

 ふむ。俺が声を掛けずとも、誘ってもらえたようだ。

「あ……しろと、みあ。いっしょ……いいの?」
「もちろんニャス! ミアたちといっしょにぷくぷくーするニャスよ!」

 ぷくぷく?

「しろたち、あっちでしゃぼんだまするんや。ほら、はよおりてきぃな」

 ミア語の解読は俺には少々難かもしれん。

 ジェイダーは白藤とミアに手を引かれ、和らいだ表情を浮かべながら走っていった。子供は子供と一緒にいる方がいい。

「きょうはなにしよっかなぁー」

 俺の耳に、金属がガシャガシャと騒ぐような音がした。

「あっ、みー達シャボン玉やってるのか。よし、それなら俺がすげーもん作ってやろう!」

 五歳児の身体には不釣り合いな大きいリュックを肩から下ろし、降雪の少ないスペースを陣取ったのは、浅生 陸(ka7041)――の、ようだ。肩まで伸びた絹糸のような黒髪に、大きく開いた二重瞼だけでは、女児と間違えても仕方が無い程の容貌だ。装いは、だぶついたニットにデニム。黒いニット帽を被り、前髪は三日月のピンで留めている。

 ふむ、金属音の正体はリュックに入れていた工具か。浅生は子供の頃から器用だったのだな。あれは……小型の扇風機か? 壊れているようだが……。他にも、針金と毛糸を取り出しては幾つもの輪を作っている。輪と言うよりも、枠、か。

 熱中している浅生を暫く眺めていると、「できたー!」と、満足そうに作業を終えた。俺の視線に気づいたのか、目が合う。……? 何を思ったのか、浅生は屈託の無い笑みを浮かべながら、やにわに雪玉を作ると――

「!?」

 俺の顔面を狙って投げてきた。

 咄嗟に雪玉を避けると、浅生は「おー、すげー」と、悪びれもせず笑う。なるほど……彼の中には天使と悪魔が共存しているようだ。



 不意に、そよ風が吹く。



 視界へ泳いできたのは、二つのシャボン玉だった。それは俺の目の前で触れ合い、ぱちん、と、儚げな音を立てて消えた。向こうで、ミア達の戯れる声が聞こえてくる。浅生も胸に扇風機やらを抱え、彼女達の方へ走っていった。

「しろ、これでいっぱいシャボン玉作って!」

 浅生が白藤に手渡したのは、先程、彼が弄っていた扇風機のようだ。白藤がスイッチを入れると――ほう、凄いな。扇風機の前面にシャボン枠を取り付けた、自動シャボン玉機、と言ったところか。

「みあちゃん、みてや…! りくくんまほうつかいやねんで!!」

 白藤が目を輝かせながら、ミアにシャボン玉のシャワーを降らせている。だが、当の本人はシャボン玉が傍に来ると「Σひぅ」と、頭を押さえて屈み込んでしまった。ふむ、幼児期はやや臆病だったようだな。……いや、昔だけとは限らんか。

「……あれっ、……よっ、……んーとどかないぞぉ。それっ、えいっ! ――わぁ、やったぁ!」
「とりゃー! あわ、あっぱー!」

 おや、あの二人は白藤と対照的だな。手を伸ばしながらシャボン玉を追いかけ、透明な玉に向かって飛び跳ねている。ふむ、コンフラムスは非常によくわかるのだが……消極的な印象で見受けてしまっていたジェイダーは少々意外だったな。感受性豊かな、いい表情をしている。

「つよいこ、よいこ……げんきな……こ……!」

 白藤は二人にきらきらと尊敬の眼差しを向けていた。だが、時折、

「おうちかえったら……にぃさんにぎゅってしてもらえるやろか……」

 紅亜と、紅亜の子守をしている黒亜(kz0238)――クロ達を眺めては、羨ましそうに呟く。自身の兄には、素直に甘えられているのだろうか。

「みーには鳥あげる。ねこって鳥好きだろ?」

 ……ミアの種族は何であったか。

 浅生は、ぜんまい仕掛けの鳥も作っていたようだ。ミアは早速ぜんまいを巻き、ぱたぱたと動く鳥と平行して歩きながら、シャボン玉を吹く。

「やねよーりたかーいしゃぼんだーまー♪ おおきーいしゃぼんーはーミアのーゆーめー♪」

 可愛らしいな。ミアなりの替え歌か。

「ミアのゆめ、きらきらニャんニャス! きらきら! ぱぁん! ぱぁん! ミアのゆめ、きらきらー!」

 その拙さ故か、ミアの感情が直接的に伝わってくる。

「みんなのゆめはニャにかなぁ? ――あ! クロちゃんのゆめはニャんニャスか?」
「は?」

 クロが、無愛想にミアを一瞥した。

「クロちゃんはおうたじょうずだから、とりさんかなぁ? にゃんにゃんかなぁ? ぴーぴーぴー♪ みゃあみゃあみゃあ♪」
「……あんたは笛でも吹いてれば? その鳥擬きでも連れてさ」
「うニャ? じゃあ、クロちゃんもいっしょにくるニャスよー?」
「……気がむいたらね」
「ニャはは♪ みんなのゆめも、きらきらきらきら、きれいにぱぁんしたらいいニャぁ」

 ミアを見遣るクロの表情が、心なしか、和らいだ。珍しいこともあるものだ。




 暖かい園内。
 温かい昼食。

 ……の、時間となったが、子供達は食事中でも賑やかだ。

「しろ……にんじんもぴーまんもすきやないもん……」
「んー? しろ、にんじんきらいなんだ。甘くておいしいのになぁ……」
「じゃあ、ねふぃるとくんがしろのにんじんたべや。あーん♪」

 白藤は野菜の豚肉巻きから抜いた人参を、人参(もの)欲しそうに見ていたジェイダーへ食べさせていた。まあ、捨てるより誰かに食べてもらう方がずっといい。

 ……む? 浅生が何か言っているな。

「俺はえらいから何でも食うよ。あ、くろ、俺のピーマンわけてあげる」
「いらない」
「そんなこというなよ。いっぱい食べればおおきくなれるんだよ! クロはちびっこだか……ぎゃー(ry」

 見守るのも一つの教諭心だと思っておこう。

「ふニャぁ。ミア、きょうはぶっころりーきゅうけいニャス」

 ……!? 食べたら危険極まり無いようなものを入れた覚えは――……ああ、どうやらブロッコリーのことを言っているらしい。誰よりも早く食事の席に着いていた食欲旺盛なミアは、ブロッコリーが苦手なようだな。

「ハクせんせー、ぶっころりーおいしいおいしいするニャス?」

 俺にさり気なく食べさせようとしている。苦手でも嫌いではないのなら、“工夫”をすれば食べてもらえるだろうか。

「ああ、いただこう。そうだ、半分に分けないか?」
「うニャ?」
「美味しさを二つに分けて、一緒に食べよう。俺とでよければ、だが」
「……ニャス! ミア、いっしょにおいしいするニャス!」

 全く、クロにもこんな素直さがあればな……。




 食う、寝る、遊ぶ。
 子供が行うべきことはそれでいい。だが、早々に食事を終え、大きな寝息を立てながら英気を養ったコンフラムスは、宛ら――

「はくあ! はんたーあたーっく!」

 砲弾のようだった。

「はくあ! う"ぉ"い”どきーっく!」

 時に全力のタックル、時に容赦の無いキック、時に俺の身体をアスレチックのようによじ登っ――

「いけー、はくあきゃむ! てき、やっつけろ!」

 いや……訂正しよう。まるで、ガトリング砲だ。
 子供のすること故、怒るほどのことではないのだが……コンフラムスが怪我をしないかが少々不安だな。

「こら、暴れるなコンフラムス。落ちるぞ」
「わははー!」

 俺の両肩を征服したコンフラムスが、命令を下してくる。

「はくあ! おれといっしょ、たのしいか?」

 溌剌とした声音が頭上から降ってきた。幼子らしい、真っ直ぐな響きだ。
 少なくとも、嫌われているわけではないようだな。でなければ、こうも干渉してこないだろう。……と、思いたい。

「ああ。君といると、退屈せんよ」

 俺の返答に、コンフラムスは満足そうに喉を鳴らした。

「――くー、これあげる」

 コンフラムスの相手をしながら声のした方へ視線を向けると、砂場で遊んでいる紅亜の傍らに、浅生が腰を下ろしていた。紅亜に穏やかな目線を置きながら、自分の前髪に付けていたヘアピンを外す。

「これつけると目の前が明るくなって、ぱーっと世界がひろがるんだ!」

 浅生は頬にえくぼを寄せ、紅亜の額が見えるように三日月のヘアピンで前髪を飾ってやった。

「にあうにあう!」
「うー……? くーちゃん、かわいー……?」
「ああ、かわいいよ。くーは小さなお姫さまだな」
「えへへー……」

 ……。夢でも、久方振りに見たような気がする。透明な、紅亜の笑顔を。










「ねふぃ、おにごっこしよう!」
「うん! はくせんせー、みんなでかくれおにしたい! せんせーおに!」
「おっ、いいな! はくあ、めっちゃこわーいやつな!」

 子供達の遊びも一息ついたか、と、俺がエプロンに付いた土埃を払っていると、ジェイダーと浅生が俺の下へ駆けてきた。それを合図に、他の子供達も集まってくる。そして――

「よーし! みんな、にげろー!」

 途端に散開。子供達は好き勝手に走って行く。
 待て……範囲は園庭だけでなく、園内もなのか? それ以前に、隠れ鬼……とは、何だ?

 ……。

 取り敢えず、“鬼”の俺は“獲物”を探せばいいだけの話か。そう意識を切り替え、俺が数歩進むと――

「…………ジェイダー」

 正に、頭隠して尻隠さず。言葉通り、全く忍べていないその様を見事に表現していた。

「Σわぁー!」

 静観していた俺の気配に気づいたのか、ジェイダーが遊具から飛び出してくる。そして、両手で帽子のつばをしっかりと押さえながら逃げていった。ふむ、帽子の下に見られたくないものでもあるのだろうか。

 その後、敏捷いが一つの場所に留まることが苦手な浅生、ルール無頓着に爆走していたコンフラムス、そして、再びジェイダー見つけた。――ん? 向こうから歩いてくるのは……ミアか? 眠そうに目を擦っている。

「ハクせんせー、抱っこしてニャスー……ふニャぁ」

 欠伸をしながら俺に抱きついてきた。遊び疲れたのだろうな。ふむ、遊戯室にいる浅生達も寝ているかもしれない。
 俺はミアを抱き上げると、寝具の収納場所へ向かった。途中、「クーが三毛と昼寝したいんだって」と、クロが紅亜と手を繋ぎながらやってきたので、遊戯室で待っているよう促した。

 寝具の収納扉を開くと、其処には眠り姫がいた。

「ぬくぬく……にぃさんのおひざのうえみたいや……むにゃ……」

 重ねてある布団の間に潜り込み、すやすやと寝息を立てているのは白藤だ。こんなところに隠れていたのか。





 ――さて、と。
 そろそろおやつの時間になるが……もう少し、寝かせてやろう。温かいココアとマフィンの香りに、自然と起きてくるはずだ。





 だからそれまでは、子供達が、俺が、“現実”に目覚める前に、どうか――

「幸せな“夢”を」


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MVP一覧

  • 天鵞絨ノ風船唐綿
    ミアka7035
  • Schwarzwald
    浅生 陸ka7041

重体一覧

参加者一覧

  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムス(ka0796
    人間(紅)|23才|女性|霊闘士
  • 天鵞絨ノ空木
    白藤(ka3768
    人間(蒼)|28才|女性|猟撃士

  • ネフィルト・ジェイダー(ka6838
    鬼|17才|男性|舞刀士
  • 天鵞絨ノ風船唐綿
    ミア(ka7035
    鬼|22才|女性|格闘士
  • Schwarzwald
    浅生 陸(ka7041
    人間(蒼)|26才|男性|機導師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 天鵞絨幼稚園のそうだんたく
浅生 陸(ka7041
人間(リアルブルー)|26才|男性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2018/01/13 11:50:58
アイコン 質問のお部屋
白藤(ka3768
人間(リアルブルー)|28才|女性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2018/01/07 21:52:59
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/01/09 09:00:16