ゲスト
(ka0000)
【初夢】ぴこふぇりす
マスター:愁水
このシナリオは5日間納期が延長されています。
オープニング
●
とある朝だった。
慣れ親しんだ声音に揺り動かされ、意識を夢の途中から引き摺り上げる。
焦点の定まらない目を手の甲で擦りながら声の発信源を見やると、
「いつまで寝てんの? いいかげん起きないとオレ達も遅れるんだけど」
「ハクはおねぼうしゃんだねー……」
弟のクロ――黒亜(kz0238)と、妹の紅亜(kz0239)が、ベッド脇に立っていた。
――幼い頃の姿で。
寝起き故か、夢と現実の区別がつかないまま、俺は弾かれるように上半身を起こした。
眠気の残る視界に重く張られていた蜘蛛の巣が、掻き集められた意識に一瞬で壊される。
俺は思わず室内を見渡した。色の乏しさに見慣れた部屋は、何時もと変わりはない。
泳いだ視線を一度、固く閉ざす。目頭を押さえ、乱れた呼吸を整え、そして、ゆっくりと瞼を開いた。その先には、やはり――
「……なに。どうかしたの? 鳩が豆鉄砲食ったような顔してるけど」
「う……? ハク、ハトしゃんだったの……?」
クロと、紅亜がいる。
今となっては、記憶と夢の中でしか出会えないその姿で。
――……夢の、中?
「片づかないからはやく朝ご飯食べちゃってよね。ほら、クーもまだ終わってないでしょ。ちゃんと卵食べておいで」
「えー……くーちゃん、たまごはおめめのやつがよかったなー……」
「は? クーがオムレツ食べたいって言ったんだよね? 卵はもう買い物いかないとないの。諦めてあるもん食べてきな」
「はーい……」
「ハク兄もいつまでぼーっとしてんの? その乱れた髪なおして早く仕度しないと、あいつらの方が先に着いちゃうよ?」
独り置いてけぼりの俺が、この状況の理解に追いつくわけがない。
無意識に反復した言葉がクロへの問いとなる。
「“あいつら”……?」
クロのこの容貌は六つか七つくらいだったか。この頃から変わらない仏頂面を俺に遠慮もなく向けながら、クロが胡乱に片眉を上げた。
「なに、まだ寝ぼけてんの? 今日は登園日でしょ。園児のあいつらが先に幼稚園着いたら、先生として示しつくの?」
「幼稚園?」
「都市の郊外に建てたでしょ。忘れたの?」
「“先生”とは、誰だ?」
「あ ん た だ よ」
閉じておいた袋の緒が切れたようだ。クロは“いい加減にしろ”というオーラを背に、俺の部屋を後にした。
「…………」
ああ、そうか。
わかった。
――これは夢だ。
夢なんだ。
でなければ、説明がつかない。
天鵞絨サーカス団の天幕は、この世界では幼稚園であり。
クロと紅亜はその園の園児であり。
俺は園の教諭である――なんていうことは、夢の世界以外では有り得ない。
何よりも先ず、紅亜のあの舌足らずさな年齢を考えると、クロと年の差がずれているような。……いや、そもそも、俺の外見だけが全く変わっていないことの方が、夢ならではの皮肉と見て取れる。
部屋の姿見に映った自分の姿が、苦い微笑みを浮かべていた。
「幼稚園の教諭……一体何をすればいいんだ?」
クロの急かす声を籠耳に、俺は無意識の習慣で壁に下げていた何時ものハンガーを手にしていた。掛けられていたのは軍服ではなく――
シャツとエプロンだった。
とある朝だった。
慣れ親しんだ声音に揺り動かされ、意識を夢の途中から引き摺り上げる。
焦点の定まらない目を手の甲で擦りながら声の発信源を見やると、
「いつまで寝てんの? いいかげん起きないとオレ達も遅れるんだけど」
「ハクはおねぼうしゃんだねー……」
弟のクロ――黒亜(kz0238)と、妹の紅亜(kz0239)が、ベッド脇に立っていた。
――幼い頃の姿で。
寝起き故か、夢と現実の区別がつかないまま、俺は弾かれるように上半身を起こした。
眠気の残る視界に重く張られていた蜘蛛の巣が、掻き集められた意識に一瞬で壊される。
俺は思わず室内を見渡した。色の乏しさに見慣れた部屋は、何時もと変わりはない。
泳いだ視線を一度、固く閉ざす。目頭を押さえ、乱れた呼吸を整え、そして、ゆっくりと瞼を開いた。その先には、やはり――
「……なに。どうかしたの? 鳩が豆鉄砲食ったような顔してるけど」
「う……? ハク、ハトしゃんだったの……?」
クロと、紅亜がいる。
今となっては、記憶と夢の中でしか出会えないその姿で。
――……夢の、中?
「片づかないからはやく朝ご飯食べちゃってよね。ほら、クーもまだ終わってないでしょ。ちゃんと卵食べておいで」
「えー……くーちゃん、たまごはおめめのやつがよかったなー……」
「は? クーがオムレツ食べたいって言ったんだよね? 卵はもう買い物いかないとないの。諦めてあるもん食べてきな」
「はーい……」
「ハク兄もいつまでぼーっとしてんの? その乱れた髪なおして早く仕度しないと、あいつらの方が先に着いちゃうよ?」
独り置いてけぼりの俺が、この状況の理解に追いつくわけがない。
無意識に反復した言葉がクロへの問いとなる。
「“あいつら”……?」
クロのこの容貌は六つか七つくらいだったか。この頃から変わらない仏頂面を俺に遠慮もなく向けながら、クロが胡乱に片眉を上げた。
「なに、まだ寝ぼけてんの? 今日は登園日でしょ。園児のあいつらが先に幼稚園着いたら、先生として示しつくの?」
「幼稚園?」
「都市の郊外に建てたでしょ。忘れたの?」
「“先生”とは、誰だ?」
「あ ん た だ よ」
閉じておいた袋の緒が切れたようだ。クロは“いい加減にしろ”というオーラを背に、俺の部屋を後にした。
「…………」
ああ、そうか。
わかった。
――これは夢だ。
夢なんだ。
でなければ、説明がつかない。
天鵞絨サーカス団の天幕は、この世界では幼稚園であり。
クロと紅亜はその園の園児であり。
俺は園の教諭である――なんていうことは、夢の世界以外では有り得ない。
何よりも先ず、紅亜のあの舌足らずさな年齢を考えると、クロと年の差がずれているような。……いや、そもそも、俺の外見だけが全く変わっていないことの方が、夢ならではの皮肉と見て取れる。
部屋の姿見に映った自分の姿が、苦い微笑みを浮かべていた。
「幼稚園の教諭……一体何をすればいいんだ?」
クロの急かす声を籠耳に、俺は無意識の習慣で壁に下げていた何時ものハンガーを手にしていた。掛けられていたのは軍服ではなく――
シャツとエプロンだった。
リプレイ本文
●
懐古に浸る毛色は違えど、ある意味、幾何か似ているところがあるな。
――“戦場”に。
**
此処は、天鵞絨サ――……ではなく、幼稚園。
夢の世界の余所人である俺には馴染みのない空間だ。
だが、此の世界の住人である彼等には、今という瞬間が日常なのだろう。
「ハクせんせー!」
背後から掛けられたのは、耳知らぬ自分の称呼。しかし、その声の質には聞き覚えがあった。無邪気な声音に重なり、日溜まりのような温かさが背中に飛び乗ってくる。
「おはようニャス! ミアはきょうもまっちょべりべりニャスよー!」
ミア(ka7035)だ。……べりべり? 何語だろうか。
肩によじよじと登ってきたミアを担いで地面に降ろしてやると、「ニャはー♪」と愛嬌のある八重歯を覗かせながら見上げてくる。服装は猫耳フードのパーカーにショートパンツ。大きな鈴付きのチョーカーという何時もの装いだ。年の頃は四つ程だろうか。顔が……丸い。ぽっちゃりとしたその頬は、思わず掬い上げたくなる。
「あー、ミアだぁ……くーちゃんとあしょぼー……」
「おお、いこいこーニャス♪」
ミアは猫じゃらしを手にした紅亜(kz0239)に手を引かれ、薄陽の射す銀花の庭を走っていった。小さな足跡が瞬く間に咲く。まるで仔猫だ。対して此方は――
「うおー! ゆきー! ごろごろあたーっく!」
……。
仔犬、という単語では収められない腕白盛りな園児がいる。見受ける容姿や行動からすると、三歳程か。降り積もった雪の海に頭から突っ込み、泳いで――いや、あの四肢の動きは溺れているのか? 助けに向かった方がよさ――
「ぶおっ! わはは、がとりんぐゆきだまー!」
…………。
もし肩書きがあるとするならば、“天鵞絨幼稚園のちびっこギャング”、ボルディア・コンフラムス(ka0796)――とでも呼ばれていそうだ。
「わはは! うおんうおーん!」
――?
今し方雪玉で遊んでいたコンフラムスが、庭を爆走している。若さ故か、行動の移り変わりが凄まじい。目まぐるしいと言うべきか、活きがいいと言うべきか。
「あ、ボルちゃんニャスー! ちびっこぎゃんぐまてまてーニャスー!」
「おー……くーちゃんもまてまてするー……」
其処へ、ミアと紅亜が加わった。傍から見ると、鬼ごっこというよりは、各々が単に走り回っ――……いや、言わないでおこう。
「せんせ、おはよー?」
ふと、背後から線の細い声音が聞こえてきた。振り返った俺は、変な顔をしていたことだろう。
「……せんせ?」
「あ、ああ。おはよう、白藤」
真白なケープを肩に掛け、可愛らしいクリーム色の膝下ワンピースを装う園児は、四歳程の白藤(ka3768)であった。実に、稚い。実に。だが、その奥深い灰瞳に宿る質は、確かに俺の知る彼女だ。
「もしかして、せんせもしんどいん?」
「“も”? いや、俺は平気だが……白藤はどうだ? 具合でも悪いのか?」
「んん、いまはへいきやねんけど……はしったらあかんって、ぜーぜーなるっていわれとるん……」
ふむ。話を聞くと、幼い頃の白藤はあまり身体が丈夫ではなく、走り回ると夜に熱を出していたようだ。少々、意外な過去だった。……と言ったら、腹を立てられてしまうだろうか。だが、その虚弱さはこの夢(せかい)でも反映されてしまうものなのか?
思考する俺の横を、「あっ、しーちゃん♪」と、快活な呼び声を上げて、ミアが過ぎっていく。
ミアは親しげに白藤を抱き締めると、その手をやや強引に引き――
「ニャは! おひめさまはいただいたニャスー!」
怪盗ミアセーヌが俺の目の前から白藤……姫、を攫っていった。二人の小さな背中が駆けてゆく。ふむ……ミアの潔い行動力は流石と言ったところか。白藤の身体が気懸かりではあったが、そこはやはり――夢。身体の軽さを察した白藤は、ミアと共に走り弾んでいた。
――と、おや?
ジャングルジムの天辺に腰を掛けているのは、ネフィルト・ジェイダー(ka6838)か。
気の入っていない両足を揺らしながら、ぼんやりと空を眺めているようだ。だが、目深に被った帽子から覗く円らな双眸は、何処か遠い記憶を見ているようでもあった。それに……四つか五つ程の年頃で、哀愁漂う背中というのも珍しい。
「なぁなぁ、ねふぃるとくんもしろたちといっしょにあそぼ?」
ふむ。俺が声を掛けずとも、誘ってもらえたようだ。
「あ……しろと、みあ。いっしょ……いいの?」
「もちろんニャス! ミアたちといっしょにぷくぷくーするニャスよ!」
ぷくぷく?
「しろたち、あっちでしゃぼんだまするんや。ほら、はよおりてきぃな」
ミア語の解読は俺には少々難かもしれん。
ジェイダーは白藤とミアに手を引かれ、和らいだ表情を浮かべながら走っていった。子供は子供と一緒にいる方がいい。
「きょうはなにしよっかなぁー」
俺の耳に、金属がガシャガシャと騒ぐような音がした。
「あっ、みー達シャボン玉やってるのか。よし、それなら俺がすげーもん作ってやろう!」
五歳児の身体には不釣り合いな大きいリュックを肩から下ろし、降雪の少ないスペースを陣取ったのは、浅生 陸(ka7041)――の、ようだ。肩まで伸びた絹糸のような黒髪に、大きく開いた二重瞼だけでは、女児と間違えても仕方が無い程の容貌だ。装いは、だぶついたニットにデニム。黒いニット帽を被り、前髪は三日月のピンで留めている。
ふむ、金属音の正体はリュックに入れていた工具か。浅生は子供の頃から器用だったのだな。あれは……小型の扇風機か? 壊れているようだが……。他にも、針金と毛糸を取り出しては幾つもの輪を作っている。輪と言うよりも、枠、か。
熱中している浅生を暫く眺めていると、「できたー!」と、満足そうに作業を終えた。俺の視線に気づいたのか、目が合う。……? 何を思ったのか、浅生は屈託の無い笑みを浮かべながら、やにわに雪玉を作ると――
「!?」
俺の顔面を狙って投げてきた。
咄嗟に雪玉を避けると、浅生は「おー、すげー」と、悪びれもせず笑う。なるほど……彼の中には天使と悪魔が共存しているようだ。
不意に、そよ風が吹く。
視界へ泳いできたのは、二つのシャボン玉だった。それは俺の目の前で触れ合い、ぱちん、と、儚げな音を立てて消えた。向こうで、ミア達の戯れる声が聞こえてくる。浅生も胸に扇風機やらを抱え、彼女達の方へ走っていった。
「しろ、これでいっぱいシャボン玉作って!」
浅生が白藤に手渡したのは、先程、彼が弄っていた扇風機のようだ。白藤がスイッチを入れると――ほう、凄いな。扇風機の前面にシャボン枠を取り付けた、自動シャボン玉機、と言ったところか。
「みあちゃん、みてや…! りくくんまほうつかいやねんで!!」
白藤が目を輝かせながら、ミアにシャボン玉のシャワーを降らせている。だが、当の本人はシャボン玉が傍に来ると「Σひぅ」と、頭を押さえて屈み込んでしまった。ふむ、幼児期はやや臆病だったようだな。……いや、昔だけとは限らんか。
「……あれっ、……よっ、……んーとどかないぞぉ。それっ、えいっ! ――わぁ、やったぁ!」
「とりゃー! あわ、あっぱー!」
おや、あの二人は白藤と対照的だな。手を伸ばしながらシャボン玉を追いかけ、透明な玉に向かって飛び跳ねている。ふむ、コンフラムスは非常によくわかるのだが……消極的な印象で見受けてしまっていたジェイダーは少々意外だったな。感受性豊かな、いい表情をしている。
「つよいこ、よいこ……げんきな……こ……!」
白藤は二人にきらきらと尊敬の眼差しを向けていた。だが、時折、
「おうちかえったら……にぃさんにぎゅってしてもらえるやろか……」
紅亜と、紅亜の子守をしている黒亜(kz0238)――クロ達を眺めては、羨ましそうに呟く。自身の兄には、素直に甘えられているのだろうか。
「みーには鳥あげる。ねこって鳥好きだろ?」
……ミアの種族は何であったか。
浅生は、ぜんまい仕掛けの鳥も作っていたようだ。ミアは早速ぜんまいを巻き、ぱたぱたと動く鳥と平行して歩きながら、シャボン玉を吹く。
「やねよーりたかーいしゃぼんだーまー♪ おおきーいしゃぼんーはーミアのーゆーめー♪」
可愛らしいな。ミアなりの替え歌か。
「ミアのゆめ、きらきらニャんニャス! きらきら! ぱぁん! ぱぁん! ミアのゆめ、きらきらー!」
その拙さ故か、ミアの感情が直接的に伝わってくる。
「みんなのゆめはニャにかなぁ? ――あ! クロちゃんのゆめはニャんニャスか?」
「は?」
クロが、無愛想にミアを一瞥した。
「クロちゃんはおうたじょうずだから、とりさんかなぁ? にゃんにゃんかなぁ? ぴーぴーぴー♪ みゃあみゃあみゃあ♪」
「……あんたは笛でも吹いてれば? その鳥擬きでも連れてさ」
「うニャ? じゃあ、クロちゃんもいっしょにくるニャスよー?」
「……気がむいたらね」
「ニャはは♪ みんなのゆめも、きらきらきらきら、きれいにぱぁんしたらいいニャぁ」
ミアを見遣るクロの表情が、心なしか、和らいだ。珍しいこともあるものだ。
●
暖かい園内。
温かい昼食。
……の、時間となったが、子供達は食事中でも賑やかだ。
「しろ……にんじんもぴーまんもすきやないもん……」
「んー? しろ、にんじんきらいなんだ。甘くておいしいのになぁ……」
「じゃあ、ねふぃるとくんがしろのにんじんたべや。あーん♪」
白藤は野菜の豚肉巻きから抜いた人参を、人参(もの)欲しそうに見ていたジェイダーへ食べさせていた。まあ、捨てるより誰かに食べてもらう方がずっといい。
……む? 浅生が何か言っているな。
「俺はえらいから何でも食うよ。あ、くろ、俺のピーマンわけてあげる」
「いらない」
「そんなこというなよ。いっぱい食べればおおきくなれるんだよ! クロはちびっこだか……ぎゃー(ry」
見守るのも一つの教諭心だと思っておこう。
「ふニャぁ。ミア、きょうはぶっころりーきゅうけいニャス」
……!? 食べたら危険極まり無いようなものを入れた覚えは――……ああ、どうやらブロッコリーのことを言っているらしい。誰よりも早く食事の席に着いていた食欲旺盛なミアは、ブロッコリーが苦手なようだな。
「ハクせんせー、ぶっころりーおいしいおいしいするニャス?」
俺にさり気なく食べさせようとしている。苦手でも嫌いではないのなら、“工夫”をすれば食べてもらえるだろうか。
「ああ、いただこう。そうだ、半分に分けないか?」
「うニャ?」
「美味しさを二つに分けて、一緒に食べよう。俺とでよければ、だが」
「……ニャス! ミア、いっしょにおいしいするニャス!」
全く、クロにもこんな素直さがあればな……。
●
食う、寝る、遊ぶ。
子供が行うべきことはそれでいい。だが、早々に食事を終え、大きな寝息を立てながら英気を養ったコンフラムスは、宛ら――
「はくあ! はんたーあたーっく!」
砲弾のようだった。
「はくあ! う"ぉ"い”どきーっく!」
時に全力のタックル、時に容赦の無いキック、時に俺の身体をアスレチックのようによじ登っ――
「いけー、はくあきゃむ! てき、やっつけろ!」
いや……訂正しよう。まるで、ガトリング砲だ。
子供のすること故、怒るほどのことではないのだが……コンフラムスが怪我をしないかが少々不安だな。
「こら、暴れるなコンフラムス。落ちるぞ」
「わははー!」
俺の両肩を征服したコンフラムスが、命令を下してくる。
「はくあ! おれといっしょ、たのしいか?」
溌剌とした声音が頭上から降ってきた。幼子らしい、真っ直ぐな響きだ。
少なくとも、嫌われているわけではないようだな。でなければ、こうも干渉してこないだろう。……と、思いたい。
「ああ。君といると、退屈せんよ」
俺の返答に、コンフラムスは満足そうに喉を鳴らした。
「――くー、これあげる」
コンフラムスの相手をしながら声のした方へ視線を向けると、砂場で遊んでいる紅亜の傍らに、浅生が腰を下ろしていた。紅亜に穏やかな目線を置きながら、自分の前髪に付けていたヘアピンを外す。
「これつけると目の前が明るくなって、ぱーっと世界がひろがるんだ!」
浅生は頬にえくぼを寄せ、紅亜の額が見えるように三日月のヘアピンで前髪を飾ってやった。
「にあうにあう!」
「うー……? くーちゃん、かわいー……?」
「ああ、かわいいよ。くーは小さなお姫さまだな」
「えへへー……」
……。夢でも、久方振りに見たような気がする。透明な、紅亜の笑顔を。
「ねふぃ、おにごっこしよう!」
「うん! はくせんせー、みんなでかくれおにしたい! せんせーおに!」
「おっ、いいな! はくあ、めっちゃこわーいやつな!」
子供達の遊びも一息ついたか、と、俺がエプロンに付いた土埃を払っていると、ジェイダーと浅生が俺の下へ駆けてきた。それを合図に、他の子供達も集まってくる。そして――
「よーし! みんな、にげろー!」
途端に散開。子供達は好き勝手に走って行く。
待て……範囲は園庭だけでなく、園内もなのか? それ以前に、隠れ鬼……とは、何だ?
……。
取り敢えず、“鬼”の俺は“獲物”を探せばいいだけの話か。そう意識を切り替え、俺が数歩進むと――
「…………ジェイダー」
正に、頭隠して尻隠さず。言葉通り、全く忍べていないその様を見事に表現していた。
「Σわぁー!」
静観していた俺の気配に気づいたのか、ジェイダーが遊具から飛び出してくる。そして、両手で帽子のつばをしっかりと押さえながら逃げていった。ふむ、帽子の下に見られたくないものでもあるのだろうか。
その後、敏捷いが一つの場所に留まることが苦手な浅生、ルール無頓着に爆走していたコンフラムス、そして、再びジェイダー見つけた。――ん? 向こうから歩いてくるのは……ミアか? 眠そうに目を擦っている。
「ハクせんせー、抱っこしてニャスー……ふニャぁ」
欠伸をしながら俺に抱きついてきた。遊び疲れたのだろうな。ふむ、遊戯室にいる浅生達も寝ているかもしれない。
俺はミアを抱き上げると、寝具の収納場所へ向かった。途中、「クーが三毛と昼寝したいんだって」と、クロが紅亜と手を繋ぎながらやってきたので、遊戯室で待っているよう促した。
寝具の収納扉を開くと、其処には眠り姫がいた。
「ぬくぬく……にぃさんのおひざのうえみたいや……むにゃ……」
重ねてある布団の間に潜り込み、すやすやと寝息を立てているのは白藤だ。こんなところに隠れていたのか。
――さて、と。
そろそろおやつの時間になるが……もう少し、寝かせてやろう。温かいココアとマフィンの香りに、自然と起きてくるはずだ。
だからそれまでは、子供達が、俺が、“現実”に目覚める前に、どうか――
「幸せな“夢”を」
懐古に浸る毛色は違えど、ある意味、幾何か似ているところがあるな。
――“戦場”に。
**
此処は、天鵞絨サ――……ではなく、幼稚園。
夢の世界の余所人である俺には馴染みのない空間だ。
だが、此の世界の住人である彼等には、今という瞬間が日常なのだろう。
「ハクせんせー!」
背後から掛けられたのは、耳知らぬ自分の称呼。しかし、その声の質には聞き覚えがあった。無邪気な声音に重なり、日溜まりのような温かさが背中に飛び乗ってくる。
「おはようニャス! ミアはきょうもまっちょべりべりニャスよー!」
ミア(ka7035)だ。……べりべり? 何語だろうか。
肩によじよじと登ってきたミアを担いで地面に降ろしてやると、「ニャはー♪」と愛嬌のある八重歯を覗かせながら見上げてくる。服装は猫耳フードのパーカーにショートパンツ。大きな鈴付きのチョーカーという何時もの装いだ。年の頃は四つ程だろうか。顔が……丸い。ぽっちゃりとしたその頬は、思わず掬い上げたくなる。
「あー、ミアだぁ……くーちゃんとあしょぼー……」
「おお、いこいこーニャス♪」
ミアは猫じゃらしを手にした紅亜(kz0239)に手を引かれ、薄陽の射す銀花の庭を走っていった。小さな足跡が瞬く間に咲く。まるで仔猫だ。対して此方は――
「うおー! ゆきー! ごろごろあたーっく!」
……。
仔犬、という単語では収められない腕白盛りな園児がいる。見受ける容姿や行動からすると、三歳程か。降り積もった雪の海に頭から突っ込み、泳いで――いや、あの四肢の動きは溺れているのか? 助けに向かった方がよさ――
「ぶおっ! わはは、がとりんぐゆきだまー!」
…………。
もし肩書きがあるとするならば、“天鵞絨幼稚園のちびっこギャング”、ボルディア・コンフラムス(ka0796)――とでも呼ばれていそうだ。
「わはは! うおんうおーん!」
――?
今し方雪玉で遊んでいたコンフラムスが、庭を爆走している。若さ故か、行動の移り変わりが凄まじい。目まぐるしいと言うべきか、活きがいいと言うべきか。
「あ、ボルちゃんニャスー! ちびっこぎゃんぐまてまてーニャスー!」
「おー……くーちゃんもまてまてするー……」
其処へ、ミアと紅亜が加わった。傍から見ると、鬼ごっこというよりは、各々が単に走り回っ――……いや、言わないでおこう。
「せんせ、おはよー?」
ふと、背後から線の細い声音が聞こえてきた。振り返った俺は、変な顔をしていたことだろう。
「……せんせ?」
「あ、ああ。おはよう、白藤」
真白なケープを肩に掛け、可愛らしいクリーム色の膝下ワンピースを装う園児は、四歳程の白藤(ka3768)であった。実に、稚い。実に。だが、その奥深い灰瞳に宿る質は、確かに俺の知る彼女だ。
「もしかして、せんせもしんどいん?」
「“も”? いや、俺は平気だが……白藤はどうだ? 具合でも悪いのか?」
「んん、いまはへいきやねんけど……はしったらあかんって、ぜーぜーなるっていわれとるん……」
ふむ。話を聞くと、幼い頃の白藤はあまり身体が丈夫ではなく、走り回ると夜に熱を出していたようだ。少々、意外な過去だった。……と言ったら、腹を立てられてしまうだろうか。だが、その虚弱さはこの夢(せかい)でも反映されてしまうものなのか?
思考する俺の横を、「あっ、しーちゃん♪」と、快活な呼び声を上げて、ミアが過ぎっていく。
ミアは親しげに白藤を抱き締めると、その手をやや強引に引き――
「ニャは! おひめさまはいただいたニャスー!」
怪盗ミアセーヌが俺の目の前から白藤……姫、を攫っていった。二人の小さな背中が駆けてゆく。ふむ……ミアの潔い行動力は流石と言ったところか。白藤の身体が気懸かりではあったが、そこはやはり――夢。身体の軽さを察した白藤は、ミアと共に走り弾んでいた。
――と、おや?
ジャングルジムの天辺に腰を掛けているのは、ネフィルト・ジェイダー(ka6838)か。
気の入っていない両足を揺らしながら、ぼんやりと空を眺めているようだ。だが、目深に被った帽子から覗く円らな双眸は、何処か遠い記憶を見ているようでもあった。それに……四つか五つ程の年頃で、哀愁漂う背中というのも珍しい。
「なぁなぁ、ねふぃるとくんもしろたちといっしょにあそぼ?」
ふむ。俺が声を掛けずとも、誘ってもらえたようだ。
「あ……しろと、みあ。いっしょ……いいの?」
「もちろんニャス! ミアたちといっしょにぷくぷくーするニャスよ!」
ぷくぷく?
「しろたち、あっちでしゃぼんだまするんや。ほら、はよおりてきぃな」
ミア語の解読は俺には少々難かもしれん。
ジェイダーは白藤とミアに手を引かれ、和らいだ表情を浮かべながら走っていった。子供は子供と一緒にいる方がいい。
「きょうはなにしよっかなぁー」
俺の耳に、金属がガシャガシャと騒ぐような音がした。
「あっ、みー達シャボン玉やってるのか。よし、それなら俺がすげーもん作ってやろう!」
五歳児の身体には不釣り合いな大きいリュックを肩から下ろし、降雪の少ないスペースを陣取ったのは、浅生 陸(ka7041)――の、ようだ。肩まで伸びた絹糸のような黒髪に、大きく開いた二重瞼だけでは、女児と間違えても仕方が無い程の容貌だ。装いは、だぶついたニットにデニム。黒いニット帽を被り、前髪は三日月のピンで留めている。
ふむ、金属音の正体はリュックに入れていた工具か。浅生は子供の頃から器用だったのだな。あれは……小型の扇風機か? 壊れているようだが……。他にも、針金と毛糸を取り出しては幾つもの輪を作っている。輪と言うよりも、枠、か。
熱中している浅生を暫く眺めていると、「できたー!」と、満足そうに作業を終えた。俺の視線に気づいたのか、目が合う。……? 何を思ったのか、浅生は屈託の無い笑みを浮かべながら、やにわに雪玉を作ると――
「!?」
俺の顔面を狙って投げてきた。
咄嗟に雪玉を避けると、浅生は「おー、すげー」と、悪びれもせず笑う。なるほど……彼の中には天使と悪魔が共存しているようだ。
不意に、そよ風が吹く。
視界へ泳いできたのは、二つのシャボン玉だった。それは俺の目の前で触れ合い、ぱちん、と、儚げな音を立てて消えた。向こうで、ミア達の戯れる声が聞こえてくる。浅生も胸に扇風機やらを抱え、彼女達の方へ走っていった。
「しろ、これでいっぱいシャボン玉作って!」
浅生が白藤に手渡したのは、先程、彼が弄っていた扇風機のようだ。白藤がスイッチを入れると――ほう、凄いな。扇風機の前面にシャボン枠を取り付けた、自動シャボン玉機、と言ったところか。
「みあちゃん、みてや…! りくくんまほうつかいやねんで!!」
白藤が目を輝かせながら、ミアにシャボン玉のシャワーを降らせている。だが、当の本人はシャボン玉が傍に来ると「Σひぅ」と、頭を押さえて屈み込んでしまった。ふむ、幼児期はやや臆病だったようだな。……いや、昔だけとは限らんか。
「……あれっ、……よっ、……んーとどかないぞぉ。それっ、えいっ! ――わぁ、やったぁ!」
「とりゃー! あわ、あっぱー!」
おや、あの二人は白藤と対照的だな。手を伸ばしながらシャボン玉を追いかけ、透明な玉に向かって飛び跳ねている。ふむ、コンフラムスは非常によくわかるのだが……消極的な印象で見受けてしまっていたジェイダーは少々意外だったな。感受性豊かな、いい表情をしている。
「つよいこ、よいこ……げんきな……こ……!」
白藤は二人にきらきらと尊敬の眼差しを向けていた。だが、時折、
「おうちかえったら……にぃさんにぎゅってしてもらえるやろか……」
紅亜と、紅亜の子守をしている黒亜(kz0238)――クロ達を眺めては、羨ましそうに呟く。自身の兄には、素直に甘えられているのだろうか。
「みーには鳥あげる。ねこって鳥好きだろ?」
……ミアの種族は何であったか。
浅生は、ぜんまい仕掛けの鳥も作っていたようだ。ミアは早速ぜんまいを巻き、ぱたぱたと動く鳥と平行して歩きながら、シャボン玉を吹く。
「やねよーりたかーいしゃぼんだーまー♪ おおきーいしゃぼんーはーミアのーゆーめー♪」
可愛らしいな。ミアなりの替え歌か。
「ミアのゆめ、きらきらニャんニャス! きらきら! ぱぁん! ぱぁん! ミアのゆめ、きらきらー!」
その拙さ故か、ミアの感情が直接的に伝わってくる。
「みんなのゆめはニャにかなぁ? ――あ! クロちゃんのゆめはニャんニャスか?」
「は?」
クロが、無愛想にミアを一瞥した。
「クロちゃんはおうたじょうずだから、とりさんかなぁ? にゃんにゃんかなぁ? ぴーぴーぴー♪ みゃあみゃあみゃあ♪」
「……あんたは笛でも吹いてれば? その鳥擬きでも連れてさ」
「うニャ? じゃあ、クロちゃんもいっしょにくるニャスよー?」
「……気がむいたらね」
「ニャはは♪ みんなのゆめも、きらきらきらきら、きれいにぱぁんしたらいいニャぁ」
ミアを見遣るクロの表情が、心なしか、和らいだ。珍しいこともあるものだ。
●
暖かい園内。
温かい昼食。
……の、時間となったが、子供達は食事中でも賑やかだ。
「しろ……にんじんもぴーまんもすきやないもん……」
「んー? しろ、にんじんきらいなんだ。甘くておいしいのになぁ……」
「じゃあ、ねふぃるとくんがしろのにんじんたべや。あーん♪」
白藤は野菜の豚肉巻きから抜いた人参を、人参(もの)欲しそうに見ていたジェイダーへ食べさせていた。まあ、捨てるより誰かに食べてもらう方がずっといい。
……む? 浅生が何か言っているな。
「俺はえらいから何でも食うよ。あ、くろ、俺のピーマンわけてあげる」
「いらない」
「そんなこというなよ。いっぱい食べればおおきくなれるんだよ! クロはちびっこだか……ぎゃー(ry」
見守るのも一つの教諭心だと思っておこう。
「ふニャぁ。ミア、きょうはぶっころりーきゅうけいニャス」
……!? 食べたら危険極まり無いようなものを入れた覚えは――……ああ、どうやらブロッコリーのことを言っているらしい。誰よりも早く食事の席に着いていた食欲旺盛なミアは、ブロッコリーが苦手なようだな。
「ハクせんせー、ぶっころりーおいしいおいしいするニャス?」
俺にさり気なく食べさせようとしている。苦手でも嫌いではないのなら、“工夫”をすれば食べてもらえるだろうか。
「ああ、いただこう。そうだ、半分に分けないか?」
「うニャ?」
「美味しさを二つに分けて、一緒に食べよう。俺とでよければ、だが」
「……ニャス! ミア、いっしょにおいしいするニャス!」
全く、クロにもこんな素直さがあればな……。
●
食う、寝る、遊ぶ。
子供が行うべきことはそれでいい。だが、早々に食事を終え、大きな寝息を立てながら英気を養ったコンフラムスは、宛ら――
「はくあ! はんたーあたーっく!」
砲弾のようだった。
「はくあ! う"ぉ"い”どきーっく!」
時に全力のタックル、時に容赦の無いキック、時に俺の身体をアスレチックのようによじ登っ――
「いけー、はくあきゃむ! てき、やっつけろ!」
いや……訂正しよう。まるで、ガトリング砲だ。
子供のすること故、怒るほどのことではないのだが……コンフラムスが怪我をしないかが少々不安だな。
「こら、暴れるなコンフラムス。落ちるぞ」
「わははー!」
俺の両肩を征服したコンフラムスが、命令を下してくる。
「はくあ! おれといっしょ、たのしいか?」
溌剌とした声音が頭上から降ってきた。幼子らしい、真っ直ぐな響きだ。
少なくとも、嫌われているわけではないようだな。でなければ、こうも干渉してこないだろう。……と、思いたい。
「ああ。君といると、退屈せんよ」
俺の返答に、コンフラムスは満足そうに喉を鳴らした。
「――くー、これあげる」
コンフラムスの相手をしながら声のした方へ視線を向けると、砂場で遊んでいる紅亜の傍らに、浅生が腰を下ろしていた。紅亜に穏やかな目線を置きながら、自分の前髪に付けていたヘアピンを外す。
「これつけると目の前が明るくなって、ぱーっと世界がひろがるんだ!」
浅生は頬にえくぼを寄せ、紅亜の額が見えるように三日月のヘアピンで前髪を飾ってやった。
「にあうにあう!」
「うー……? くーちゃん、かわいー……?」
「ああ、かわいいよ。くーは小さなお姫さまだな」
「えへへー……」
……。夢でも、久方振りに見たような気がする。透明な、紅亜の笑顔を。
「ねふぃ、おにごっこしよう!」
「うん! はくせんせー、みんなでかくれおにしたい! せんせーおに!」
「おっ、いいな! はくあ、めっちゃこわーいやつな!」
子供達の遊びも一息ついたか、と、俺がエプロンに付いた土埃を払っていると、ジェイダーと浅生が俺の下へ駆けてきた。それを合図に、他の子供達も集まってくる。そして――
「よーし! みんな、にげろー!」
途端に散開。子供達は好き勝手に走って行く。
待て……範囲は園庭だけでなく、園内もなのか? それ以前に、隠れ鬼……とは、何だ?
……。
取り敢えず、“鬼”の俺は“獲物”を探せばいいだけの話か。そう意識を切り替え、俺が数歩進むと――
「…………ジェイダー」
正に、頭隠して尻隠さず。言葉通り、全く忍べていないその様を見事に表現していた。
「Σわぁー!」
静観していた俺の気配に気づいたのか、ジェイダーが遊具から飛び出してくる。そして、両手で帽子のつばをしっかりと押さえながら逃げていった。ふむ、帽子の下に見られたくないものでもあるのだろうか。
その後、敏捷いが一つの場所に留まることが苦手な浅生、ルール無頓着に爆走していたコンフラムス、そして、再びジェイダー見つけた。――ん? 向こうから歩いてくるのは……ミアか? 眠そうに目を擦っている。
「ハクせんせー、抱っこしてニャスー……ふニャぁ」
欠伸をしながら俺に抱きついてきた。遊び疲れたのだろうな。ふむ、遊戯室にいる浅生達も寝ているかもしれない。
俺はミアを抱き上げると、寝具の収納場所へ向かった。途中、「クーが三毛と昼寝したいんだって」と、クロが紅亜と手を繋ぎながらやってきたので、遊戯室で待っているよう促した。
寝具の収納扉を開くと、其処には眠り姫がいた。
「ぬくぬく……にぃさんのおひざのうえみたいや……むにゃ……」
重ねてある布団の間に潜り込み、すやすやと寝息を立てているのは白藤だ。こんなところに隠れていたのか。
――さて、と。
そろそろおやつの時間になるが……もう少し、寝かせてやろう。温かいココアとマフィンの香りに、自然と起きてくるはずだ。
だからそれまでは、子供達が、俺が、“現実”に目覚める前に、どうか――
「幸せな“夢”を」
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
天鵞絨幼稚園のそうだんたく 浅生 陸(ka7041) 人間(リアルブルー)|26才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2018/01/13 11:50:58 |
|
![]() |
質問のお部屋 白藤(ka3768) 人間(リアルブルー)|28才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2018/01/07 21:52:59 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/01/09 09:00:16 |