ゲスト
(ka0000)
『誕生! 帝国戦隊』
マスター:トーゴーヘーゾー

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/12/02 22:00
- 完成日
- 2014/12/10 00:29
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
帝国内で同時多発的に発生する雑魔事件!
辺境における歪虚との戦線を維持する必要性もあり、帝国軍のみで対処するのは非常に困難だ。
そこで、皇帝ヴィルヘルミナは力ある者へ協力を要請する。
曰く、『強力な雑魔達に対抗するため、帝国では特殊スーツを装備する対雑魔戦隊を新たに設立することにした。我こそはと思う勇者よ、我が元へ集え! 人類の自由と平和のために戦うのだ!』
皇帝直筆の親書を携えて、多くの使者が強きハンターを求めて出立する。
「……とまあ、こういう話を考えているんだ」
ベルンハルト・ベルガー(kz0049)がハンターオフィスに持ち込んだ依頼は、ずいぶんと毛色の変わった内容だった。
自身の執筆する物語について、意見やアイデアを求めると同時に、登場人物のモデルを探しているらしい。
ハンターを前に、本人が直に要望を述べる。
「聞くところによると、リアルブルーでは変身する勇者の物語が定番のようだ。小さい頃にはそういう話を聞いて育つとか。クリムゾンウェストでも、この手の話は流行ると思うんだ。そこで、いろんな意見を採り入れながら、多くの人に楽しんでもらえる話を作り上げたいと思う」
第一作目となる今回、彼は次のようなプロットを組んでいた。
ヴィルヘルミナの動きを察知した雑魔は、その使者が到達する前に始末すべく配下を動かす。
多数の犠牲者を出しながら、少数の使者が役目を果たす。ある者は親書を渡すと同時に息絶え、またある者は送付相手によって救われた。
召喚に応じたハンター達が集まったところで、戦隊の指令補佐であるベルンハルト・ベルガーが到着する。
彼が皆に渡したブレスレットこそ、帝国が開発した『超覚醒』を促すための秘密兵器だった。
だが、そこへ出現するクモゾーマ。親書から集合場所を知り、メンバーを一網打尽にしようと包囲する。
「……最初に出る敵は、やっぱり蜘蛛だと思うんだ」
何のこだわりがあるのか、ベルンハルトは力説していた。
集まった隊員達は戦闘スーツでの装着訓練をする暇もなく、いきなりの実戦を強いられる。
帝国戦隊、通称・テイコクジャーの初陣はこんな形で始まった。
戦え、帝国戦隊! 負けるな、テイコクジャー!
辺境における歪虚との戦線を維持する必要性もあり、帝国軍のみで対処するのは非常に困難だ。
そこで、皇帝ヴィルヘルミナは力ある者へ協力を要請する。
曰く、『強力な雑魔達に対抗するため、帝国では特殊スーツを装備する対雑魔戦隊を新たに設立することにした。我こそはと思う勇者よ、我が元へ集え! 人類の自由と平和のために戦うのだ!』
皇帝直筆の親書を携えて、多くの使者が強きハンターを求めて出立する。
「……とまあ、こういう話を考えているんだ」
ベルンハルト・ベルガー(kz0049)がハンターオフィスに持ち込んだ依頼は、ずいぶんと毛色の変わった内容だった。
自身の執筆する物語について、意見やアイデアを求めると同時に、登場人物のモデルを探しているらしい。
ハンターを前に、本人が直に要望を述べる。
「聞くところによると、リアルブルーでは変身する勇者の物語が定番のようだ。小さい頃にはそういう話を聞いて育つとか。クリムゾンウェストでも、この手の話は流行ると思うんだ。そこで、いろんな意見を採り入れながら、多くの人に楽しんでもらえる話を作り上げたいと思う」
第一作目となる今回、彼は次のようなプロットを組んでいた。
ヴィルヘルミナの動きを察知した雑魔は、その使者が到達する前に始末すべく配下を動かす。
多数の犠牲者を出しながら、少数の使者が役目を果たす。ある者は親書を渡すと同時に息絶え、またある者は送付相手によって救われた。
召喚に応じたハンター達が集まったところで、戦隊の指令補佐であるベルンハルト・ベルガーが到着する。
彼が皆に渡したブレスレットこそ、帝国が開発した『超覚醒』を促すための秘密兵器だった。
だが、そこへ出現するクモゾーマ。親書から集合場所を知り、メンバーを一網打尽にしようと包囲する。
「……最初に出る敵は、やっぱり蜘蛛だと思うんだ」
何のこだわりがあるのか、ベルンハルトは力説していた。
集まった隊員達は戦闘スーツでの装着訓練をする暇もなく、いきなりの実戦を強いられる。
帝国戦隊、通称・テイコクジャーの初陣はこんな形で始まった。
戦え、帝国戦隊! 負けるな、テイコクジャー!
リプレイ本文
●企画会議
「俺はオウガ(ka2124)。ドラゴンの霊闘師、オウガだ。よろしくなー」
「今回はよろしくね♪」
オウガとフィリテ・ノート(ka0810)というカップルが仲良さ気に訪れた。
彼らを含めた9名が挨拶を交したところで、さっそくリサ=メテオール(ka3520)が仕事内容に言及する。
「うーん……あたし達をモデルにしたお話の内容を相談するんだよね? 合ってる?」
「ああ。そうなる」
ベルンハルトから概要を聞かされ、オウガが目を輝かせた。
「おお! おっちゃん! こんな話、すげえな! 天才じゃね!?」
「うんうん。やっぱり最初の敵は蜘蛛よね……蜘蛛じゃなきゃ!」
唯一のリアルブルー出身者である慈姑 ぽえむ(ka3243)は、大いに謎の共感する。
「俺もちょっとは知り合いから聞いてみたけど、リアルブルーってのは色々あるんだな……」
興味深げにフェルム・ニンバス(ka2974)が感想を漏らす。
「変わった依頼だね。執筆のために話し合うなんて。でも面白そうだな」
「打ち合わせの時にみんなで食べるくまー! 楽しいくまー!」
テーブルに並べられたのは、サントール・アスカ(ka2820)としろくま(ka1607)が持参したお菓子だ。
「手作りしろくま型クッキーを作ったくま!」
かくて、のんびりムードでわきあいあいと会議は進む。
「それと、大型の敵とかCAMっぽい兵器が出てきてぶつかり合うと、派手で見栄えするかもしれないな。最初の話では難しいだろうけどな」
サントールの案に、フェルムが同意した。
「そういや、巨大機械なんてのも向こうじゃ登場するらしいな。帝国が舞台ならちょうどいい」
「それは、もう少し話が進んでからだなぁ」
「ま、書くのあんただから適当にいいとこを摘まんでってくれよ」
フェルムが取捨選択を作者に委ねた。
「あたしが、こー動くと……。を。なるほど、相手はこー動くのね♪」
当初は不安げだったフィリテも、熱心にオウガと打ち合わせている。
「皆が同じ役回りでは面白くないだろう。我は異なる形にしたい」
「私は黄色を希望! だけど、食いしん坊とか、影が薄いとか、ピンクにヒロインの座争奪で勝てないとか、そういうお約束に縛られない形で!」
オンサ・ラ・マーニョ(ka2329)やリサはイレギュラーな展開を希望する。
「俺はやっぱり赤だよなー! 赤!」
「オウガが赤なら、フィリテは対になる青か?」
「それでお願い」
ピンクを取られたと知りぽえむが、驚きの声を上げる。
「ちょ……! ピンクって可愛い女の子がやるもんじゃないの!? 私じゃないの!? ……え、さんちゃん?」
「ちょうど、このシャツの色だしね」
相手がサントールと知って、ぽえむの怒りはあっさり引っ込んだ。
「良いと思う。すごく良い……似合ってる」
結局、ぽえむには残り物が与えられることとなった。
「あんた自身はどういう役になるんだ?」
フェルムの問いに、すました声が応じる。
「一応、ひとりでも行動できるようにハンターという設定にする。もともと、この小説はフィクションであり、実在の人物・団体とは関係ないからな」
●『戦いへの誘い』
「立派なしろくまになるため、そのいちくまっ!」
全身着ぐるみ姿でロッドを振り回すしろくま。
そこへ飛来した鳥のくちばしが、スコーンとこめかみに突き刺さる。
「くまがしろくまでなかったら死んでたくま。修行していなかったら、あぶなかったくま」
刺さっていたくちばしを引き抜くと、鳥の足には手紙が結ばれていた。
とある食堂にて。
「カレー、大盛りでおかわりっ!」
「……3杯はさすがに食べ過ぎだろ」
「大好物は別腹なの! なんの問題もない!」
料理人の注意もリサはまったく意に介さない。
食堂へ訪れた男が、唐突に彼女へ話しかけた。
「リサだな? さるお方から親書を預かってきた」
とある山道にて。
フェルムは、道ばたの茂みに手紙が引っかかっているのを発見した。
持ち主と思われる人物は見あたらない。もう少し先の崖下にいたのだが、彼が気づくはずもない。
「宛先はトム? 差出人は、……皇帝ヴィルヘルミナ!?」
とある酒場にて。
「サントール。貴様に陛下からの親書を渡す」
やさぐれた酒場には場違いな、身なりの整った男だ。
「用心棒をしている俺に、皇帝から? 活躍すれば金にもなるのか!?」
ぶしつけな問い。頭が弱いという情報を思い出し、男はそのまま話を続ける。
「活躍に応じて、正当な報酬が与えられるはずだ」
とある商店街にて。
露天巡りをしていた若いカップルがいた。
「下がれ、フィリテ!」
かばうように進み出たオウガの先へ、路地から血みどろの男が倒れ込んできた。
「こ、これを……」
血で汚れた手紙の宛先に、オウガが驚く。
「フィリテ宛だぞ、これ?」
「え? あたしにこれを? ……ち、ちょっと、大丈夫!?」
しかし、手当の甲斐無く男は落命し、各種の手続きは町の兵士達が行った。
埋葬につきあったフィリテの元に、命の重さを持つ手紙が残った。
心情を察したオウガが、彼女を勇気づけるように宣言する。
「俺も一緒に行く」
●『集いし者達』
「親書に書いてあった場所は、ここのはずだが……」
張り切って訪れたサントールが、ソワソワしながら待ちわびている。
人気のない森のはずれ。目立つものはせいぜい、目印にした一回り大きな木だけだ。
「ずいぶん早いんだな」
やってきたベルンハルトが、集まった人間をリストと照らし合わせていく。
中に、ふたりの部外者が混じっていた。
ひとりはフィリテの同行者で、彼女が人格と実力を保証したため、暫定的に仲間と認められた。
そして、もうひとり。
「お前はトムじゃないな?」
「……俺はフェルム。山道で親書を拾ったんだよ。内容に興味がわいてね」
「信用できないな」
「はい、はい。別に乗り気だったわけじゃないしな」
あっさりと引き下がり、フェルムはその場から立ち去るのだった。
「……で、ジョンも入れて7名。使者の半分以上が襲われたようだな」
「難しい話は後にして、仕事の話をしてくれよ」
サントールの要望に応じて、ベルンハルトが説明を始める。
帝国を危機から救うために作られた特殊戦隊。通称テイコクジャー。彼らには、マテリアルスーツを実体化させるブレスレットが支給された。
「つ、つけられないくま!?」
「中の人がつければいいんだよ」
リサの助言に、しろくまが狼狽する。
「中の人なんていないくまーっ!」
「……あ、逃げた」
「リサは、カレーの黄色がいいんだろう?」
ベルンハルトの確認に、リサが苦笑する。
「なんでカレーなんだか……」
「余った色で良いって言ったのは私だけどさ……茶色? なんでこんな色があんの? 土の色なんて嫌がらせじゃん。……地を這う私にはぴったりってわけ?」
ぽえむが不満を漏らすため、ベルンハルトは傍らのサントールを肘でせっついた。
「なんか言え」
「あ? ああ……、落ち着きあるし、茶色って高級感があっていいよな」
「そう!? サントールさんがそう言うならやるわ!」
彼らの事情とは無関係に、林の中を小さな人影が歩いていた。
革の胸当てや腰簑が覆う面積は狭く、肌の露出が多いためか野生児を印象づける。
はぐはぐと、手づかみにした肉の塊にかぶりつく少女の名はオンサ。
人気のない林の中で、誰かの発した声が彼女にまで届いた。
「気をつけな! 敵のお出ましのようだぜ!」
●『それぞれの戦い』
剣を手にした黒ずくめの集団が襲ってきた。
後に判明するが、連中の名はゾーマ兵。明確な敵である。
「テイコクジャーレッド!」
オウガが両手を広げてバーンっと派手なポーズをとると、爆発を起こす赤い光の中に、竜の幻影が浮かびあがった。
ベルンハルトは伝え忘れたが、変身時にはオーバーフローの可能性がある。気合いを入れすぎると、スーツの実体化で爆発が生じるのだ。
背後に回ったゾーマ兵の足に、青いリボンが絡みついて転倒させる。リボンの片端を握るのはテイコクブルーだ。
「レッド・ゴールデンハンマー!」
何色か不明の技だが、その一撃がゾーマ兵を圧殺する。
「この前はせっかくのデートを邪魔しやがって! 全部てめえらのせいだー!」
ジョンがテイコクブラックへ、サントールがテイコクサーモンピンクへと変身する。
意を決してぽえむも変身を果たす。
「胸に抱くは大平原。いずれは脱却不毛地帯。正義の力に目覚めども、どうせ私は目立てない。取り巻く環境変われども、どうせ明日も笑えない。クルセイダウナー、テイコクブラウン!」
ベルンハルトは、先ほど警告を発した人間を見つけた。
「まだいたのか、フェルム」
「おかげで奇襲を避けられただろ」
「…………」
正論すぎて彼は口をつぐむしかない。
眼下での戦いを俯瞰しながら、黄色い人影は満足そうにつぶやいた。
「あたしが手を出さなくても、全滅しそう。戦ってるのは5人だけじゃない」
誰かが同じ木に登ってきたため、彼女は幹の反対側へ隠れた。
世の中には、やたらと高いところを好む者がいる。あるいは彼女であり、あるいはしろくまである。
「今こそ、修行で手に入れた真なるしろくまパワーで、困っている人を救うくま!」
着ぐるみの中では、すでにブレスレットを装着済みだ。
「変身くまっ!」
彼の変身もまたオーバーフローを引き起こす。誰に気づかれることもなく、黄色の人は爆発に巻き込まれていた。
「ダイビングしろくまきーっく!」
ゾーマ兵をうまくクッションに利用して、彼は無事に着地した。
あたるを幸い、しろくま流棒術がバッタバッタとゾーマ兵をなぎ倒す。
「真打は遅れて登場くまー!」
自由に動けるだけのスペースを得て、サントールは速度を活かした喧嘩殺法で敵を翻弄する。
「リボンスラッシュ!」
ブルーのリボンが流れて、血の帯を宙に描き出す。
「這いつくばったその姿……あの日の私に似ているわ。早く楽になりたいでしょ? 逃げたいでしょ?」
茶色であるはずなのに、ぽえむの杖から放たれたのはなぜか黒い光。
ふふふ、と底冷えのする含み笑いがヘルメットからこぼれ落ちた。
奮闘空しく、テイコクブラックが倒れ伏した。大人の事情から描写は割愛したが、彼の頑張りは確かに存在したのだ。
スーツも解除され、満身創痍のジョン。
彼の元へ駆けつけたのは、フェルムの声を聞きつけたオンサだった。
「こ、これを……」
絶命間際に、黒いブレスレットはジョンからオンサへと手渡された。
戦闘系のスキルを持たず、回避に専念しているベルンハルトへ声がかかる。
「もしかして、あんた困ってねえ?」
「困ってるよ」
「俺はちょうど暇なんだよなぁ」
「……手を貸してくれ、フェルム」
「仕方ねーな」
投げ渡されたブレスレットを装着して、テイコクグリーンが出現する。
再び立ち上がったゾーマ兵や、味方の背後を狙う敵を、ワンドから出る緑の矢が的確に撃ち抜いていく。
「我にも使えるのか?」
ふたりのやりとりを目にしたオンサが、ブレスレットを身につける。ただし、サイズが合わなかったため、装着は二の腕だ。
自らを奮い立たせようと彼女は部族名を口にする。
「グ~ン~……マーニョ!」
瞳を金色に輝き、全身が黒く発光する。
装着者の意志による影響で、スーツは龍に似た意匠となっていた。
龍神の爪や牙を思わせる突起が、ゾーマ兵の体に噛みつき、切り裂いていく。
「ガアアアア!」
人型の龍を思わせる暴れっぷりで、敵兵を蹴散らすテイコクブラック。
「ジョン……じゃないな」
ベルンハルトが推測する。身長は明らかに低く、おそらく性別だって違うためだ。
●『テイコクジャーの敵』
ゾーマ兵が一掃され、これまで傍観していたクモゾーマが動く。
「ゾーマ兵など、我らの中で一番の小者。この私が自ら始末してやろう」
テイコクイエローを欠く7名のテイコクジャーが揃い、クモゾーマを相手に身構える。
ホワイトは両腕を鶴のように持ち上げ。
レッドは両手を広げて。
サントールは拳を突き出して。
フィリテは左腕を天高く上げる。
雰囲気を読んだグリーン、ブラウンはまだしも、ブラックは自然体のままだ。
先手必勝とばかりに真っ向から挑んだサントールが、吐き出された網に絡まれて動きを封じられてしまう。
散開したテイコクジャーが、6方向からクモゾーマへ攻撃を加える。
それを迎え撃つ長い6本の腕。
正面から挑むレッドが、闘心昂揚を使用しつつクラッシュブロウを繰り出した。
「真・紅竜爆咆牙ぁ!」
強烈な一撃が1本をへし折るが、残った5本の腕が全てレッドへ向けられる。
連撃の最中に、ホワイトが抱きついて彼をかばう。柔らかな体が攻撃を防ぎ、転倒したショックも和らげる。
「バラバラに戦っても無理そうくま! 力を合わせて合体攻撃をするくま!」
「よし、みんなの力でやっつけようぜ!」
レッドは、ブルーのリボンを巻き付けた状態で後方へ跳んだ。
リボンの弾性が反発を生み、レッドを前方へ射出する。
「我の力も持っていくがよかろう」
ブラックが拳を振りかぶり、拘束から脱したサーモンピンクが駆けつける。レッドの背中へ、同じタイミングで2つの拳が炸裂した。
ブラウンの施したプロテクションが、レッドの体を守っており、すべての攻撃が推進力へ加算される。
グリーンとホワイトの光弾も、レッドの背中に命中した。
7色に輝くレッドの体が、砲弾なってクモゾーマへ迫る。
「テイコクジャー・ファイナル・ミサイルー!」
高々と跳んだクモゾーマの体が、地面へと激突する。
「お、おのれ……。ぞ、ゾーマユニオンに栄光あれーっ!」
立ち上がった体が爆発に飲み込まれた。
「今のは、証拠隠滅のための自爆かな」
冷静に分析するフェルム。
「なんだかよくわからないけど悪っぽい敵をこれからも倒すくま!」
「こんな力を押し付けられるなんて……ついてないわ」
しろくまとぽえむが真逆のテンションで未来を見つめた。
「ここを襲えたのは、使者の手紙を読んだからか? それとも、敵が紛れ込んでいたからか?」
ベルンハルトの疑念を証明するように、黄色のブレスレットが持ち去られてしまった。
その点、黒いブレスレットは放置されており、その正体は不明のままだ。
参加者9名中、テイコクブラック(初代)は死亡。テイコクブラック(2代目)とテイコクイエローが消息不明だ。
ちなみに、手紙をすり取られた人物が、翌日になって集合場所へ訪れたという。
「なにこのひどい荒れ方!? あたし日付間違った!? もう全部終わった後ってことっ!?」
正体不明の敵『ゾーマユニオン』を相手に、彼らの戦いは始まったばかりだ。
戦え帝国戦隊! 負けるなテイコクジャー!
作:ベルンハルト・ベルガー。
制作協力:テイコクジャー『誕生チーム』一同。
「俺はオウガ(ka2124)。ドラゴンの霊闘師、オウガだ。よろしくなー」
「今回はよろしくね♪」
オウガとフィリテ・ノート(ka0810)というカップルが仲良さ気に訪れた。
彼らを含めた9名が挨拶を交したところで、さっそくリサ=メテオール(ka3520)が仕事内容に言及する。
「うーん……あたし達をモデルにしたお話の内容を相談するんだよね? 合ってる?」
「ああ。そうなる」
ベルンハルトから概要を聞かされ、オウガが目を輝かせた。
「おお! おっちゃん! こんな話、すげえな! 天才じゃね!?」
「うんうん。やっぱり最初の敵は蜘蛛よね……蜘蛛じゃなきゃ!」
唯一のリアルブルー出身者である慈姑 ぽえむ(ka3243)は、大いに謎の共感する。
「俺もちょっとは知り合いから聞いてみたけど、リアルブルーってのは色々あるんだな……」
興味深げにフェルム・ニンバス(ka2974)が感想を漏らす。
「変わった依頼だね。執筆のために話し合うなんて。でも面白そうだな」
「打ち合わせの時にみんなで食べるくまー! 楽しいくまー!」
テーブルに並べられたのは、サントール・アスカ(ka2820)としろくま(ka1607)が持参したお菓子だ。
「手作りしろくま型クッキーを作ったくま!」
かくて、のんびりムードでわきあいあいと会議は進む。
「それと、大型の敵とかCAMっぽい兵器が出てきてぶつかり合うと、派手で見栄えするかもしれないな。最初の話では難しいだろうけどな」
サントールの案に、フェルムが同意した。
「そういや、巨大機械なんてのも向こうじゃ登場するらしいな。帝国が舞台ならちょうどいい」
「それは、もう少し話が進んでからだなぁ」
「ま、書くのあんただから適当にいいとこを摘まんでってくれよ」
フェルムが取捨選択を作者に委ねた。
「あたしが、こー動くと……。を。なるほど、相手はこー動くのね♪」
当初は不安げだったフィリテも、熱心にオウガと打ち合わせている。
「皆が同じ役回りでは面白くないだろう。我は異なる形にしたい」
「私は黄色を希望! だけど、食いしん坊とか、影が薄いとか、ピンクにヒロインの座争奪で勝てないとか、そういうお約束に縛られない形で!」
オンサ・ラ・マーニョ(ka2329)やリサはイレギュラーな展開を希望する。
「俺はやっぱり赤だよなー! 赤!」
「オウガが赤なら、フィリテは対になる青か?」
「それでお願い」
ピンクを取られたと知りぽえむが、驚きの声を上げる。
「ちょ……! ピンクって可愛い女の子がやるもんじゃないの!? 私じゃないの!? ……え、さんちゃん?」
「ちょうど、このシャツの色だしね」
相手がサントールと知って、ぽえむの怒りはあっさり引っ込んだ。
「良いと思う。すごく良い……似合ってる」
結局、ぽえむには残り物が与えられることとなった。
「あんた自身はどういう役になるんだ?」
フェルムの問いに、すました声が応じる。
「一応、ひとりでも行動できるようにハンターという設定にする。もともと、この小説はフィクションであり、実在の人物・団体とは関係ないからな」
●『戦いへの誘い』
「立派なしろくまになるため、そのいちくまっ!」
全身着ぐるみ姿でロッドを振り回すしろくま。
そこへ飛来した鳥のくちばしが、スコーンとこめかみに突き刺さる。
「くまがしろくまでなかったら死んでたくま。修行していなかったら、あぶなかったくま」
刺さっていたくちばしを引き抜くと、鳥の足には手紙が結ばれていた。
とある食堂にて。
「カレー、大盛りでおかわりっ!」
「……3杯はさすがに食べ過ぎだろ」
「大好物は別腹なの! なんの問題もない!」
料理人の注意もリサはまったく意に介さない。
食堂へ訪れた男が、唐突に彼女へ話しかけた。
「リサだな? さるお方から親書を預かってきた」
とある山道にて。
フェルムは、道ばたの茂みに手紙が引っかかっているのを発見した。
持ち主と思われる人物は見あたらない。もう少し先の崖下にいたのだが、彼が気づくはずもない。
「宛先はトム? 差出人は、……皇帝ヴィルヘルミナ!?」
とある酒場にて。
「サントール。貴様に陛下からの親書を渡す」
やさぐれた酒場には場違いな、身なりの整った男だ。
「用心棒をしている俺に、皇帝から? 活躍すれば金にもなるのか!?」
ぶしつけな問い。頭が弱いという情報を思い出し、男はそのまま話を続ける。
「活躍に応じて、正当な報酬が与えられるはずだ」
とある商店街にて。
露天巡りをしていた若いカップルがいた。
「下がれ、フィリテ!」
かばうように進み出たオウガの先へ、路地から血みどろの男が倒れ込んできた。
「こ、これを……」
血で汚れた手紙の宛先に、オウガが驚く。
「フィリテ宛だぞ、これ?」
「え? あたしにこれを? ……ち、ちょっと、大丈夫!?」
しかし、手当の甲斐無く男は落命し、各種の手続きは町の兵士達が行った。
埋葬につきあったフィリテの元に、命の重さを持つ手紙が残った。
心情を察したオウガが、彼女を勇気づけるように宣言する。
「俺も一緒に行く」
●『集いし者達』
「親書に書いてあった場所は、ここのはずだが……」
張り切って訪れたサントールが、ソワソワしながら待ちわびている。
人気のない森のはずれ。目立つものはせいぜい、目印にした一回り大きな木だけだ。
「ずいぶん早いんだな」
やってきたベルンハルトが、集まった人間をリストと照らし合わせていく。
中に、ふたりの部外者が混じっていた。
ひとりはフィリテの同行者で、彼女が人格と実力を保証したため、暫定的に仲間と認められた。
そして、もうひとり。
「お前はトムじゃないな?」
「……俺はフェルム。山道で親書を拾ったんだよ。内容に興味がわいてね」
「信用できないな」
「はい、はい。別に乗り気だったわけじゃないしな」
あっさりと引き下がり、フェルムはその場から立ち去るのだった。
「……で、ジョンも入れて7名。使者の半分以上が襲われたようだな」
「難しい話は後にして、仕事の話をしてくれよ」
サントールの要望に応じて、ベルンハルトが説明を始める。
帝国を危機から救うために作られた特殊戦隊。通称テイコクジャー。彼らには、マテリアルスーツを実体化させるブレスレットが支給された。
「つ、つけられないくま!?」
「中の人がつければいいんだよ」
リサの助言に、しろくまが狼狽する。
「中の人なんていないくまーっ!」
「……あ、逃げた」
「リサは、カレーの黄色がいいんだろう?」
ベルンハルトの確認に、リサが苦笑する。
「なんでカレーなんだか……」
「余った色で良いって言ったのは私だけどさ……茶色? なんでこんな色があんの? 土の色なんて嫌がらせじゃん。……地を這う私にはぴったりってわけ?」
ぽえむが不満を漏らすため、ベルンハルトは傍らのサントールを肘でせっついた。
「なんか言え」
「あ? ああ……、落ち着きあるし、茶色って高級感があっていいよな」
「そう!? サントールさんがそう言うならやるわ!」
彼らの事情とは無関係に、林の中を小さな人影が歩いていた。
革の胸当てや腰簑が覆う面積は狭く、肌の露出が多いためか野生児を印象づける。
はぐはぐと、手づかみにした肉の塊にかぶりつく少女の名はオンサ。
人気のない林の中で、誰かの発した声が彼女にまで届いた。
「気をつけな! 敵のお出ましのようだぜ!」
●『それぞれの戦い』
剣を手にした黒ずくめの集団が襲ってきた。
後に判明するが、連中の名はゾーマ兵。明確な敵である。
「テイコクジャーレッド!」
オウガが両手を広げてバーンっと派手なポーズをとると、爆発を起こす赤い光の中に、竜の幻影が浮かびあがった。
ベルンハルトは伝え忘れたが、変身時にはオーバーフローの可能性がある。気合いを入れすぎると、スーツの実体化で爆発が生じるのだ。
背後に回ったゾーマ兵の足に、青いリボンが絡みついて転倒させる。リボンの片端を握るのはテイコクブルーだ。
「レッド・ゴールデンハンマー!」
何色か不明の技だが、その一撃がゾーマ兵を圧殺する。
「この前はせっかくのデートを邪魔しやがって! 全部てめえらのせいだー!」
ジョンがテイコクブラックへ、サントールがテイコクサーモンピンクへと変身する。
意を決してぽえむも変身を果たす。
「胸に抱くは大平原。いずれは脱却不毛地帯。正義の力に目覚めども、どうせ私は目立てない。取り巻く環境変われども、どうせ明日も笑えない。クルセイダウナー、テイコクブラウン!」
ベルンハルトは、先ほど警告を発した人間を見つけた。
「まだいたのか、フェルム」
「おかげで奇襲を避けられただろ」
「…………」
正論すぎて彼は口をつぐむしかない。
眼下での戦いを俯瞰しながら、黄色い人影は満足そうにつぶやいた。
「あたしが手を出さなくても、全滅しそう。戦ってるのは5人だけじゃない」
誰かが同じ木に登ってきたため、彼女は幹の反対側へ隠れた。
世の中には、やたらと高いところを好む者がいる。あるいは彼女であり、あるいはしろくまである。
「今こそ、修行で手に入れた真なるしろくまパワーで、困っている人を救うくま!」
着ぐるみの中では、すでにブレスレットを装着済みだ。
「変身くまっ!」
彼の変身もまたオーバーフローを引き起こす。誰に気づかれることもなく、黄色の人は爆発に巻き込まれていた。
「ダイビングしろくまきーっく!」
ゾーマ兵をうまくクッションに利用して、彼は無事に着地した。
あたるを幸い、しろくま流棒術がバッタバッタとゾーマ兵をなぎ倒す。
「真打は遅れて登場くまー!」
自由に動けるだけのスペースを得て、サントールは速度を活かした喧嘩殺法で敵を翻弄する。
「リボンスラッシュ!」
ブルーのリボンが流れて、血の帯を宙に描き出す。
「這いつくばったその姿……あの日の私に似ているわ。早く楽になりたいでしょ? 逃げたいでしょ?」
茶色であるはずなのに、ぽえむの杖から放たれたのはなぜか黒い光。
ふふふ、と底冷えのする含み笑いがヘルメットからこぼれ落ちた。
奮闘空しく、テイコクブラックが倒れ伏した。大人の事情から描写は割愛したが、彼の頑張りは確かに存在したのだ。
スーツも解除され、満身創痍のジョン。
彼の元へ駆けつけたのは、フェルムの声を聞きつけたオンサだった。
「こ、これを……」
絶命間際に、黒いブレスレットはジョンからオンサへと手渡された。
戦闘系のスキルを持たず、回避に専念しているベルンハルトへ声がかかる。
「もしかして、あんた困ってねえ?」
「困ってるよ」
「俺はちょうど暇なんだよなぁ」
「……手を貸してくれ、フェルム」
「仕方ねーな」
投げ渡されたブレスレットを装着して、テイコクグリーンが出現する。
再び立ち上がったゾーマ兵や、味方の背後を狙う敵を、ワンドから出る緑の矢が的確に撃ち抜いていく。
「我にも使えるのか?」
ふたりのやりとりを目にしたオンサが、ブレスレットを身につける。ただし、サイズが合わなかったため、装着は二の腕だ。
自らを奮い立たせようと彼女は部族名を口にする。
「グ~ン~……マーニョ!」
瞳を金色に輝き、全身が黒く発光する。
装着者の意志による影響で、スーツは龍に似た意匠となっていた。
龍神の爪や牙を思わせる突起が、ゾーマ兵の体に噛みつき、切り裂いていく。
「ガアアアア!」
人型の龍を思わせる暴れっぷりで、敵兵を蹴散らすテイコクブラック。
「ジョン……じゃないな」
ベルンハルトが推測する。身長は明らかに低く、おそらく性別だって違うためだ。
●『テイコクジャーの敵』
ゾーマ兵が一掃され、これまで傍観していたクモゾーマが動く。
「ゾーマ兵など、我らの中で一番の小者。この私が自ら始末してやろう」
テイコクイエローを欠く7名のテイコクジャーが揃い、クモゾーマを相手に身構える。
ホワイトは両腕を鶴のように持ち上げ。
レッドは両手を広げて。
サントールは拳を突き出して。
フィリテは左腕を天高く上げる。
雰囲気を読んだグリーン、ブラウンはまだしも、ブラックは自然体のままだ。
先手必勝とばかりに真っ向から挑んだサントールが、吐き出された網に絡まれて動きを封じられてしまう。
散開したテイコクジャーが、6方向からクモゾーマへ攻撃を加える。
それを迎え撃つ長い6本の腕。
正面から挑むレッドが、闘心昂揚を使用しつつクラッシュブロウを繰り出した。
「真・紅竜爆咆牙ぁ!」
強烈な一撃が1本をへし折るが、残った5本の腕が全てレッドへ向けられる。
連撃の最中に、ホワイトが抱きついて彼をかばう。柔らかな体が攻撃を防ぎ、転倒したショックも和らげる。
「バラバラに戦っても無理そうくま! 力を合わせて合体攻撃をするくま!」
「よし、みんなの力でやっつけようぜ!」
レッドは、ブルーのリボンを巻き付けた状態で後方へ跳んだ。
リボンの弾性が反発を生み、レッドを前方へ射出する。
「我の力も持っていくがよかろう」
ブラックが拳を振りかぶり、拘束から脱したサーモンピンクが駆けつける。レッドの背中へ、同じタイミングで2つの拳が炸裂した。
ブラウンの施したプロテクションが、レッドの体を守っており、すべての攻撃が推進力へ加算される。
グリーンとホワイトの光弾も、レッドの背中に命中した。
7色に輝くレッドの体が、砲弾なってクモゾーマへ迫る。
「テイコクジャー・ファイナル・ミサイルー!」
高々と跳んだクモゾーマの体が、地面へと激突する。
「お、おのれ……。ぞ、ゾーマユニオンに栄光あれーっ!」
立ち上がった体が爆発に飲み込まれた。
「今のは、証拠隠滅のための自爆かな」
冷静に分析するフェルム。
「なんだかよくわからないけど悪っぽい敵をこれからも倒すくま!」
「こんな力を押し付けられるなんて……ついてないわ」
しろくまとぽえむが真逆のテンションで未来を見つめた。
「ここを襲えたのは、使者の手紙を読んだからか? それとも、敵が紛れ込んでいたからか?」
ベルンハルトの疑念を証明するように、黄色のブレスレットが持ち去られてしまった。
その点、黒いブレスレットは放置されており、その正体は不明のままだ。
参加者9名中、テイコクブラック(初代)は死亡。テイコクブラック(2代目)とテイコクイエローが消息不明だ。
ちなみに、手紙をすり取られた人物が、翌日になって集合場所へ訪れたという。
「なにこのひどい荒れ方!? あたし日付間違った!? もう全部終わった後ってことっ!?」
正体不明の敵『ゾーマユニオン』を相手に、彼らの戦いは始まったばかりだ。
戦え帝国戦隊! 負けるなテイコクジャー!
作:ベルンハルト・ベルガー。
制作協力:テイコクジャー『誕生チーム』一同。
依頼結果
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依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/11/30 23:05:52 |
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相談卓 リサ=メテオール(ka3520) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2014/12/02 20:22:13 |