ゲスト
(ka0000)
【命魔】三十年前の悪夢
マスター:剣崎宗二

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 8~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 6日
- 締切
- 2014/12/08 15:00
- 完成日
- 2014/12/08 21:50
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
――天よりマフォジョなる善神来たりて、我らに守りもたらさん
――其の神、光り輝く銀光放ち
――其の神、銀の鎧で民守り
――其の神、無限なる力で地を削りて道作り
――其の神、千里を一日にして駆ける
――天よりイシャなる悪神来たりて、我らに災厄もたらさん
――其の神、命無き物に邪悪なる命与え
――其の神、触れる者より時間奪い
――其の神、傷通して災い広げ
――其の神、全ての物より動き奪う
――イシャの脅威より民守るため、マフォジョ、傷つく体押し立ちはだかる
――全ての命込めしマフォジョの一撃が、イシ退け民を救う
――されどマフォジョ力尽き、共に向かう者もその半還らず
――イシ敗れど力尽きず、其の行方今知れず
――還りし者たちもまた、イシの呪いにより短命なりて
●不安の正体
「――と、以上が、マフォジョ族に伝わる、伝承でございますな」
ゆっくりと、マフォジョ族族長、ガルヴァン・マフォジョが目を開ける。
「伝承って…初代マフォジョさんが倒れたのは、30年前なんじゃ?」
とあるギルド職員が、周囲のハンターたちの疑問を代弁する。
「ええ…私でもう既に、マフォジョの名を継ぐ者は5代目ですな。……伝承の、通りです」
「え?」
「…4代目までは、何れも、最後の戦に参加した方々でした。…私は、初めての『あの戦に参加していない』マフォジョです」
つまりは、それまでのマフォジョは、全て死した…そういう意味だ。
「族内での男子は私が最年長ですな。我らの父の輩は、全て死にました」
「じゃあ、女性の方々から何か情報は…」
「生き残っている方は全て、直接戦闘に巻き込まれなかった者ばかり。…帰って来た父の輩も、全て口を閉ざしておりました。……それが、我らを救ってくれたマフォジョ様への敬意である、と申しましてな」
――偶然、ガルヴァンがハンターオフィスを訪れた際に、とあるハンターが彼に、マフォジョの歴史を教えてもらえないかとねだったのである。苦笑いして、『私も知る部分は少ないのですが』と話してくれたガルヴァンは、最後に『故に残るのは僅かな伝承と、その教えだけですが』と付け加える。
と、その時、息を切らした一人の職員が駆け込んでくる。
「どうしました?」
「大変です!遺跡調査に向かった、学者のお二方が――!」
●甦る悪夢
「はぁ…はぁ…もうだめじゃ、わしゃもう持たん…!」
「頑張って、先生…!」
二人は森の中を逃げていた。
その後ろをのらりくらりと追うのは、白衣を着た、ずぼらそうな男。
「あーあ、ちょっと話を聞こうと思っただけなのに。…おいおい、そんなに逃げるなよ」
遺跡から出てきたその者を見た瞬間、二人は本能的に逃げ出していた。
何か明確な理由がある訳ではない。だが、ただの人間がこの歪虚が出入りする遺跡から出てくる訳もないだろう。
そして何よりも――二人は男の纏う空気には、極めて不吉な感覚を覚えていた。
それはまるで、表情を変えずに人を大量に虐殺できる、サイコパス、或いはモンスターのような――
「ったく、これ以上追いかけっこは御免なんだがな。…力は半数しか使えねぇが、仕方ねぇ」
そこまで発した所で、白衣の男は目の前に立ちはだかる者たちに気づく。
「で、あんたたちは…まともに話してくれるのか?」
にやりと笑う。
「この世界の情勢が今、どうなってるのかを――」
捕まらなくて正解だった。目の前の男が目的を聞き出せば。若しくは、目的の情報を得られないと分かれば。遠慮なく彼は『邪魔物』を消し去るだろう。
助けを求めるように、二人はハンターの方へ這い這いの体で、逃げていった。
――其の神、光り輝く銀光放ち
――其の神、銀の鎧で民守り
――其の神、無限なる力で地を削りて道作り
――其の神、千里を一日にして駆ける
――天よりイシャなる悪神来たりて、我らに災厄もたらさん
――其の神、命無き物に邪悪なる命与え
――其の神、触れる者より時間奪い
――其の神、傷通して災い広げ
――其の神、全ての物より動き奪う
――イシャの脅威より民守るため、マフォジョ、傷つく体押し立ちはだかる
――全ての命込めしマフォジョの一撃が、イシ退け民を救う
――されどマフォジョ力尽き、共に向かう者もその半還らず
――イシ敗れど力尽きず、其の行方今知れず
――還りし者たちもまた、イシの呪いにより短命なりて
●不安の正体
「――と、以上が、マフォジョ族に伝わる、伝承でございますな」
ゆっくりと、マフォジョ族族長、ガルヴァン・マフォジョが目を開ける。
「伝承って…初代マフォジョさんが倒れたのは、30年前なんじゃ?」
とあるギルド職員が、周囲のハンターたちの疑問を代弁する。
「ええ…私でもう既に、マフォジョの名を継ぐ者は5代目ですな。……伝承の、通りです」
「え?」
「…4代目までは、何れも、最後の戦に参加した方々でした。…私は、初めての『あの戦に参加していない』マフォジョです」
つまりは、それまでのマフォジョは、全て死した…そういう意味だ。
「族内での男子は私が最年長ですな。我らの父の輩は、全て死にました」
「じゃあ、女性の方々から何か情報は…」
「生き残っている方は全て、直接戦闘に巻き込まれなかった者ばかり。…帰って来た父の輩も、全て口を閉ざしておりました。……それが、我らを救ってくれたマフォジョ様への敬意である、と申しましてな」
――偶然、ガルヴァンがハンターオフィスを訪れた際に、とあるハンターが彼に、マフォジョの歴史を教えてもらえないかとねだったのである。苦笑いして、『私も知る部分は少ないのですが』と話してくれたガルヴァンは、最後に『故に残るのは僅かな伝承と、その教えだけですが』と付け加える。
と、その時、息を切らした一人の職員が駆け込んでくる。
「どうしました?」
「大変です!遺跡調査に向かった、学者のお二方が――!」
●甦る悪夢
「はぁ…はぁ…もうだめじゃ、わしゃもう持たん…!」
「頑張って、先生…!」
二人は森の中を逃げていた。
その後ろをのらりくらりと追うのは、白衣を着た、ずぼらそうな男。
「あーあ、ちょっと話を聞こうと思っただけなのに。…おいおい、そんなに逃げるなよ」
遺跡から出てきたその者を見た瞬間、二人は本能的に逃げ出していた。
何か明確な理由がある訳ではない。だが、ただの人間がこの歪虚が出入りする遺跡から出てくる訳もないだろう。
そして何よりも――二人は男の纏う空気には、極めて不吉な感覚を覚えていた。
それはまるで、表情を変えずに人を大量に虐殺できる、サイコパス、或いはモンスターのような――
「ったく、これ以上追いかけっこは御免なんだがな。…力は半数しか使えねぇが、仕方ねぇ」
そこまで発した所で、白衣の男は目の前に立ちはだかる者たちに気づく。
「で、あんたたちは…まともに話してくれるのか?」
にやりと笑う。
「この世界の情勢が今、どうなってるのかを――」
捕まらなくて正解だった。目の前の男が目的を聞き出せば。若しくは、目的の情報を得られないと分かれば。遠慮なく彼は『邪魔物』を消し去るだろう。
助けを求めるように、二人はハンターの方へ這い這いの体で、逃げていった。
リプレイ本文
●生存交渉
「うひひ……ゲロ楽しめそうだなァ?」
有無を言わさぬ掃射。白衣の男はそれを苦も無いステップで回避するが、元々これは当てる事を目的にした物ではない。単に男の、学者たちへの追撃を止めるための物。
『うひひ』と笑いを漏らしながら、毒々沼 冥々(ka0696)が、銃に装着したライトを白衣の男に向ける。
「よお、あんたがあの遺跡から出て来たっつうヤツだよな?」
先頭に出たのは、キール・スケルツォ(ka1798)。
「おかげで散々な目に遭わされたんだがな…アレは全部、お前の手下か?」
半目を開け笑うだけで、男は応えない。
「初めまして。私は真田天斗と申します。以後、お見知りおきを」
応えぬ事にいらっとした表情を浮かべたキールに代わり、真田 天斗(ka0014)が歩み出る。
胸に手を当て、礼儀正しく一礼。
「貴方の名前を聞かせてはもらえないでしょうか。会話はお互い名乗らないと始まりませんので」
「やっと礼儀が分かるヤツが出てきたか。狂犬ばっかかとおっさん思ってしまったよ」
キールへの当て付けの様に応える。
ピキッ、と怒りの表情を浮かべるキールを、然し天斗は手で制する。
パン、っと片手を付近の枯れ木につける。
「おっさんの事は…そうだな。『アレックス』とでも呼んでくれ。昔の名だがな」
ちらっと、目を横の男に向ける。
「そこのでかいヤツは、護衛って言った所かな?」
「……そんな物だ」
グライブ・エルケイル(ka1080)が応える。
重装に身を包み、盾を携行した彼。
「で、そこのお嬢様方は、おっさんの目の前で何をしようとしてるのかな?」
目線が向いた先では、カミーユ・鏑木(ka2479)とレム・K・モメンタム(ka0149)が、学者の二人を馬に乗せようとしていた。
「あんたの聞きたい事は、俺たちが答えてやる。だから――」
「あいつらを見逃せってか?甘いぞ坊主」
その場で歩き、岩の上に座り込む。
「若しもお前たちが本当に、俺に全部伝えて見逃してもらうってつもりなら――逃がす必要はないだろう?」
――付近にある枯れ木を、ポンポンと叩く。
「可能性一。俺を信用していない。その場合、何故おっさんはそんな相手に情報を貰う必要があるんだ? その情報は9割方偽か、当たり障りのない物だろうに」
「可能性二。……最初からおっさんを騙まし討ちしようとしている、って可能性だ」
ピクリと、レムの肩が跳ねる。
――この男の目線に晒されるだけで、身震いがする。まるで死神に睨まれたかのようだ。
だが、ボロを出せば、作戦が総崩れに成るのみならず、後ろに居る学者たちの命までもが危険に晒される訳になる。
精一杯の虚勢を張り、彼女は平静を装う。
「あらぁ、おじいちゃんの体調が悪いのは目に見えてるでしょ? だから、先に病院に送っていくのよ」
「あぁ、そうじゃ。ゲホッゴホッ」
カミーユ・鏑木(ka2479)に目配せされた年老いた学者は、急いでワザとらしく咳き込む。
「まぁ、おっさんは面倒が嫌いでね。……ここで仕掛ければ、面倒くせぇ事になっちまう」
回りこむように歩くボルディア・コンフラムス(ka0796)と、リロードする冥々をそれぞれ一瞥し。座り込んだ『アレックス』は、ポンポンと隣の岩を叩きながら、ハンドサインを出す。早く行け、と言わんばかりに。
「大丈夫? さぁお乗りなさい」
老人を馬に乗せ、自身もまた飛び乗るカミーユ。
その隣で、同様にレムも若い学者を馬に乗せ、二頭の馬は駆け出す。
かくして、ハンターたちの計画の第一段階は、とりあえずの成功を収めた。
●情報交渉
「はいはーい、オッケーっす!神楽さんが教えてやるっすよ~!」
巨大な世界地図を広げ、神楽(ka2032)がまるで先生の如く棒でそれを指し示す。
「ここが王国で、こっちが帝国で――」
「それはもう知ってる」
『アレックス』が神楽の言葉を遮る。
「おっさんがこの世界を知らなくなったのは、たったの30年前くらいからだ。地図だってその時とほぼ同じだ」
まるで強調するかのように、バンバンと地面を掌で叩く。
「……では、貴方が欲しい情報は、何なのでしょうか?」
平静に天斗が問う。
「――空を横切ったあの巨大な船が何を積んできたか。そして、どんな『新兵器』『新技術』を積んできたか、だ」
「「っ……!」」
一同が息を呑む中、天斗は冷静に分析する。
(「少なくとも、サルヴァトーレ・ロッソがこの世界に来た事は知っているようですね。と言う事は――」)
「それも、あの『スキレット』とか言う小さいのから得た情報か?」
冷笑しながら、キールが聞き返す。
「まぁ、そう言う事にしておいてくれ」
のらりくらりとはぐらかされる。
――回答すべきか否か、天斗は考える。
「何故、そんな事を知りたいのですか?」
「おっさんの生まれた世界の事だ。少しくらい知ったって、バチは当たらんだろ?」
枯れ木に、寄りかかる。
「ふむ。人の危険になる可能性のある情報は漏らせませんね」
「欲を言っちまえば、逆にこれから何をおっ始めるつもりなのか、洗いざらい吐いて貰いたいところなんだがな?」
キールの方を一瞥し、天斗が続ける。
「そう言う事です。私たちが聞きたいのは――」
「……お前がイシャとやらで間違いないな?」
「貴方はマフォジョ族を滅族の危機に追い込んだ歪虚の堕落者ですか?」
クライヴと天斗が、ほぼ同時に、質問を提起した。
「ああ――そうだよ――っと!」
ドン。
猛烈なボディブローが、天斗に叩き込まれる。予兆動作のない完全なる奇襲。
「そこまで面倒くさい事をやって情報を得るくらいなら。お前たちをしばき倒してから他に聞いた方がマシだ」
――交渉とは、一歩間違えれば相手に主導権を握らせる事に繋がりかねない。
警戒されていなければそれが起こる事はないが。最初に学者たちを逃がした事。そして、取り囲むハンターたちの戦闘準備。警戒させるだけの理由は、十分すぎるほどあった。
そしてそのトドメが、最後の質問だ。あの事件を知っていると言う「人」が、この者と平和に交渉しようと言う考えが浮かぶのは、ありえない。
――故に、『アレックス』――悪神『イシ』は。先制攻撃を選択した。
●幕間~全力疾走~
一方。同時刻。
「頭を伏せてッ!」
レムが叫ぶ。
「うがっ!?」
だが、若い学者は反応が間に合わず、木の枝に胸を叩かれ、地面に転がる。
――ここは森の中なのだ。木の枝が入り組む、『森の中』。
そこで全力疾走すれば、ハンターたちは常人離れした運動神経で障害を回避できようと、後ろに乗っている一般人たちはそうは行かない。
(「これは――少し速度を落としたほうが良さそうね」)
今回落ちたのは若い方の学者で、比較的に体が丈夫だった故に良かった物の。老人の方は一歩間違えれば、落馬からの即死である。
「大丈夫? ごめんね、もう少しゆっくり行く」
「す、すみません……」
学者が、しっかりとレムに掴まり直す。
「――生きて、帰さなくちゃいけないのよアンタらを!それが私の仕事、私の戦いだから!」
そんなレムを見ながら、カミーユは魔導短伝話で、味方に連絡する。
「こっちはちょっと遅れそうだわ。そっちはどう?」
『――すまないっす!もう始まったっす!!』
それが、反対側に居た、神楽の回答であった。
●悪夢・顕現す
「ヤロウ……ッ!」
魔導銃を構え、ボルディアが横から『アレックス』を撃つ。
『アレックス』は天斗を盾にするように振り回して弾を弾き、そしてボルディアのほうへと投げる。
「大丈夫か!?」
「……っ、ああ。ここで倒れるわけには行かないからな。『イクシード!』」
その全身から紋様が浮かび、天斗が戦闘モードに入る。己のマテリアルを循環させ、腹部に付けられた三本傷を治すが――短時間では、完全に回復はしきれない。
「それがあんたの戦闘スタイルか」
油断無く武器を構えながら、キールが聞く。
――『アレックス』の指の間にはそれぞれ三本の『メス』が挟み込まれており。それが『爪』の形を成していた。
「武器は使い慣れた物が一番いい。特におっさんみたいなものぐさにはな」
(「って事は、レムさんの予測が当たりっすね――『医師』っすか」)
「うひひひ! こっからなら、どうかな?」
盾にしていた天斗がボルディアの方へと投げられたのを見て、全速で後退し離れた所から銃をぶっ放す冥々。弾丸は、木々の間を跳弾しながら、『アレックス』の頭を狙い――
「Death to the Soulless――『Stop』」
呟かれた謎の言葉と共に、弾丸がカラン、と地に落ちる。
「――!?」
これが敵の能力の一つだと言う事は分かった。だが、何が起こったのかは理解できない。
が、理解する必要もない。味方と反対側から跳弾させたが故に、今『アレックス』は背中をハンターたちに晒している。チャンスなのだ。
「フンッ!」
グライブの盾による殴打。然し盾の重さもあって『アレックス』には当たらない。
「避けるのも面倒なんだがな」
木を蹴り、グライブの背後へと回る『アレックス』。突き出される『爪』が、クライヴの肩を抉る。
「その程度は……覚悟済み、だ」
だが、それすらフェイント。
パキリと音を立て、懐に入れていたお守りが折れる。
誰かの祈りが、光と化してクライヴを守る。
「ほう……」
「オトシマエ付けさせてもらわねぇとな、負けっぱなしは癪なんだよ!」
背後から襲い掛かるは、この機を待っていたキール。
振るわれる刀は、『アレックス』の首を狙い――
「さて、引っかかったのはどっちだろうね」
『アレックス』の眼光が、キールを捉える。
瞬間。ぞくりとした感覚が、背筋を駆け抜ける。
「Life to the Lifeless――『Wake up』」
声に答えるかのように、枯れ木が動き出し、キールに抱きつくようにしてその動きを止める。
ズレた刃は、僅かに『アレックス』の肩を掠め――腹部に、『爪』を叩き込まれる。
「くそ! 何でこうなるっすか!」
銃撃で枯れ木を一体、仕留め。神楽が毒づく。
「口を動かす暇があったら殲滅続けろ!」
太刀の刃を、石で出来た何かへと叩き付けながら、ボルディアが答える。
――出現した新たな『敵』は10体を超える。
何故こうなったかと言えば――それは『時間を掛けすぎた』と言う事に他ならない。
何故、『アレックス』は会話中、ずっと色々な所を歩き回り、触っていたのか。それは仕掛けをするためだ。
何故、アレックスは仕掛けをしたのか。――それは、彼に警戒させたまま、『交渉』に持ち込んだからに他ならない。
戦闘になる可能性が高いのだ。――『準備』を行わないほど、この堕落者は甘くなかったのである。
ハンターたちの最大の利は『人数』。この選択によって、それは逆転してしまったのである。
「……後ろを切り離せ」
クライヴが、腕力を補助するエネルギーをキールに放つ。
「ありがとよ!!」
腕を掴まれているが、問題はない。
手の中で刀を回転させ逆手とし、そのまま背後の『枯れ木』の頭を刎ねる。
「あーあ。やっぱ即席じゃあ強度は足りないか」
ドン。もう一撃、逆側から叩き込まれる。
「がはっ……」
元々機動力を重視したため、キールの防御はそれ程高くはない。後衛と新たなる敵によって隔絶され、回復を施す機がない以上。キールが継戦できる可能性は残っていなかった。
「待て」
「そっちは厄介そうなんでね。後で相手させてもらいたいもんだ」
木を蹴り、立体的な軌道でクライブの頭上を越え、敵は後衛へと向かっていた。
追おうにも、『岩』に掴まれ、追えない。それを砕くには、防御重視の装備では暫く時間が掛かる。
「殺すゲロ殺すゲロゲロ殺すゲロ殺すうひひうひッ!!」
ナイフで拳打を受けた冥々の銃弾が、至近距離から『枯れ木』の一体を打ち倒すが、その間に次々と岩が彼女に飛び掛り、生き埋めにする。
前線ではボルティアの太刀が、祖霊の力を帯びて振り下ろされる。が、『枯れ木』の一体が、『アレックス』を突き飛ばし、太刀をは『枯れ木』ごと地面を割る。
神楽の銃弾をメスで弾き、返す手でメスを投げ、銃を彼の手から打ち落とす。即座にナイフを構えなおすが、ナイフの重心が移動したその僅かな隙を突き、『爪』が神楽の脇腹に食い込んだ。
倒れる彼の後方から近づく天斗。突き出されるストレート。
『Stop』
回転するドリルは然し、敵の直前で、回転を停止する。
●最後の一撃
既に三人、倒れてしまった。
敵の能力の程が分からない以上、倒れた者が捉えられ、知識が解析されるのは避けたい。
残った三人は、お互いの顔を見合わせ――撤退を、決意する。
「ありゃ。もう帰っちゃうの? おっさん、感心しないね」
神楽を担いだボルティアに、追いすがる『アレックス』。だが、ピクリと何かに気づいたように、僅かに動きが止まる。
「そこよぉ!」
一気に突進したカミーユ。救出が終わって、戻って来たのである。
「マフォジョ族の恨み……ここで一矢報いてやるわ!」
「奇襲ならもうちょい静かにやるべきだ。この森の中――馬の足音は、特に目立つ」
ひょいっと空を舞うように斧の一閃をかわし、蹴撃でカミーユを馬から落馬させる。すぐさま地に居た『敵』たちが、彼を押さえ込む。
その瞬間。飛び出すもう一つの人影。
振り下ろされる剣は、アレクサンドルの背後から首を狙い――
「甘いな。『Stop』」
何かに、阻まれる。眼光に含まれる、無尽の殺気と増悪に、怖くて泣きそうになる。
だが、それを振るった者――レム・K・モメンタムは引きはしなかった。
ここで、心まで負けてしまえば。もう二度と、立ち上がれないかもしれないから。
「こンのおぉぉ!!負ッけてえぇ!!やるものかあぁぁッ!!」
己の全力を持って、押し込み続ける。僅か。僅かずつ、刃が、敵に向かい進んでいく。
「おっさん感心したよ。敬意を表して教えよう。――俺はアレクサンドル。アレクサンドル・バーンズ――」
刃の拘束が解かれた瞬間。6本のメスが、交差するように、レムの胸を引き裂いた。
●戦いの終わり
がばっと、レムは病院のベッドで起き上がる。
見回せば、周りに寝ているのは、何れもあの一戦で負傷した仲間たち。
「……負けたく……無いっ……次にまた会った時は……きっと……!」
心は、負けなかった。
だが、力で見れば、そして戦術で見れば。それは確実なる『敗北』。
涙を拭き、見上げたレムは、然し、そこで驚愕すべき1枚の写真を発見する。
――そこに笑顔で写っていた者は二人。
――車椅子に座っている少女の顔は、祭りで見た『マフォジョ』のそれと酷似しており。
――それを押していた白衣の男性は、髪が整い、ひげがしっかり剃られて居た物の。紛れも無く。
『アレクサンドル・バーンズ』だったのである。
「うひひ……ゲロ楽しめそうだなァ?」
有無を言わさぬ掃射。白衣の男はそれを苦も無いステップで回避するが、元々これは当てる事を目的にした物ではない。単に男の、学者たちへの追撃を止めるための物。
『うひひ』と笑いを漏らしながら、毒々沼 冥々(ka0696)が、銃に装着したライトを白衣の男に向ける。
「よお、あんたがあの遺跡から出て来たっつうヤツだよな?」
先頭に出たのは、キール・スケルツォ(ka1798)。
「おかげで散々な目に遭わされたんだがな…アレは全部、お前の手下か?」
半目を開け笑うだけで、男は応えない。
「初めまして。私は真田天斗と申します。以後、お見知りおきを」
応えぬ事にいらっとした表情を浮かべたキールに代わり、真田 天斗(ka0014)が歩み出る。
胸に手を当て、礼儀正しく一礼。
「貴方の名前を聞かせてはもらえないでしょうか。会話はお互い名乗らないと始まりませんので」
「やっと礼儀が分かるヤツが出てきたか。狂犬ばっかかとおっさん思ってしまったよ」
キールへの当て付けの様に応える。
ピキッ、と怒りの表情を浮かべるキールを、然し天斗は手で制する。
パン、っと片手を付近の枯れ木につける。
「おっさんの事は…そうだな。『アレックス』とでも呼んでくれ。昔の名だがな」
ちらっと、目を横の男に向ける。
「そこのでかいヤツは、護衛って言った所かな?」
「……そんな物だ」
グライブ・エルケイル(ka1080)が応える。
重装に身を包み、盾を携行した彼。
「で、そこのお嬢様方は、おっさんの目の前で何をしようとしてるのかな?」
目線が向いた先では、カミーユ・鏑木(ka2479)とレム・K・モメンタム(ka0149)が、学者の二人を馬に乗せようとしていた。
「あんたの聞きたい事は、俺たちが答えてやる。だから――」
「あいつらを見逃せってか?甘いぞ坊主」
その場で歩き、岩の上に座り込む。
「若しもお前たちが本当に、俺に全部伝えて見逃してもらうってつもりなら――逃がす必要はないだろう?」
――付近にある枯れ木を、ポンポンと叩く。
「可能性一。俺を信用していない。その場合、何故おっさんはそんな相手に情報を貰う必要があるんだ? その情報は9割方偽か、当たり障りのない物だろうに」
「可能性二。……最初からおっさんを騙まし討ちしようとしている、って可能性だ」
ピクリと、レムの肩が跳ねる。
――この男の目線に晒されるだけで、身震いがする。まるで死神に睨まれたかのようだ。
だが、ボロを出せば、作戦が総崩れに成るのみならず、後ろに居る学者たちの命までもが危険に晒される訳になる。
精一杯の虚勢を張り、彼女は平静を装う。
「あらぁ、おじいちゃんの体調が悪いのは目に見えてるでしょ? だから、先に病院に送っていくのよ」
「あぁ、そうじゃ。ゲホッゴホッ」
カミーユ・鏑木(ka2479)に目配せされた年老いた学者は、急いでワザとらしく咳き込む。
「まぁ、おっさんは面倒が嫌いでね。……ここで仕掛ければ、面倒くせぇ事になっちまう」
回りこむように歩くボルディア・コンフラムス(ka0796)と、リロードする冥々をそれぞれ一瞥し。座り込んだ『アレックス』は、ポンポンと隣の岩を叩きながら、ハンドサインを出す。早く行け、と言わんばかりに。
「大丈夫? さぁお乗りなさい」
老人を馬に乗せ、自身もまた飛び乗るカミーユ。
その隣で、同様にレムも若い学者を馬に乗せ、二頭の馬は駆け出す。
かくして、ハンターたちの計画の第一段階は、とりあえずの成功を収めた。
●情報交渉
「はいはーい、オッケーっす!神楽さんが教えてやるっすよ~!」
巨大な世界地図を広げ、神楽(ka2032)がまるで先生の如く棒でそれを指し示す。
「ここが王国で、こっちが帝国で――」
「それはもう知ってる」
『アレックス』が神楽の言葉を遮る。
「おっさんがこの世界を知らなくなったのは、たったの30年前くらいからだ。地図だってその時とほぼ同じだ」
まるで強調するかのように、バンバンと地面を掌で叩く。
「……では、貴方が欲しい情報は、何なのでしょうか?」
平静に天斗が問う。
「――空を横切ったあの巨大な船が何を積んできたか。そして、どんな『新兵器』『新技術』を積んできたか、だ」
「「っ……!」」
一同が息を呑む中、天斗は冷静に分析する。
(「少なくとも、サルヴァトーレ・ロッソがこの世界に来た事は知っているようですね。と言う事は――」)
「それも、あの『スキレット』とか言う小さいのから得た情報か?」
冷笑しながら、キールが聞き返す。
「まぁ、そう言う事にしておいてくれ」
のらりくらりとはぐらかされる。
――回答すべきか否か、天斗は考える。
「何故、そんな事を知りたいのですか?」
「おっさんの生まれた世界の事だ。少しくらい知ったって、バチは当たらんだろ?」
枯れ木に、寄りかかる。
「ふむ。人の危険になる可能性のある情報は漏らせませんね」
「欲を言っちまえば、逆にこれから何をおっ始めるつもりなのか、洗いざらい吐いて貰いたいところなんだがな?」
キールの方を一瞥し、天斗が続ける。
「そう言う事です。私たちが聞きたいのは――」
「……お前がイシャとやらで間違いないな?」
「貴方はマフォジョ族を滅族の危機に追い込んだ歪虚の堕落者ですか?」
クライヴと天斗が、ほぼ同時に、質問を提起した。
「ああ――そうだよ――っと!」
ドン。
猛烈なボディブローが、天斗に叩き込まれる。予兆動作のない完全なる奇襲。
「そこまで面倒くさい事をやって情報を得るくらいなら。お前たちをしばき倒してから他に聞いた方がマシだ」
――交渉とは、一歩間違えれば相手に主導権を握らせる事に繋がりかねない。
警戒されていなければそれが起こる事はないが。最初に学者たちを逃がした事。そして、取り囲むハンターたちの戦闘準備。警戒させるだけの理由は、十分すぎるほどあった。
そしてそのトドメが、最後の質問だ。あの事件を知っていると言う「人」が、この者と平和に交渉しようと言う考えが浮かぶのは、ありえない。
――故に、『アレックス』――悪神『イシ』は。先制攻撃を選択した。
●幕間~全力疾走~
一方。同時刻。
「頭を伏せてッ!」
レムが叫ぶ。
「うがっ!?」
だが、若い学者は反応が間に合わず、木の枝に胸を叩かれ、地面に転がる。
――ここは森の中なのだ。木の枝が入り組む、『森の中』。
そこで全力疾走すれば、ハンターたちは常人離れした運動神経で障害を回避できようと、後ろに乗っている一般人たちはそうは行かない。
(「これは――少し速度を落としたほうが良さそうね」)
今回落ちたのは若い方の学者で、比較的に体が丈夫だった故に良かった物の。老人の方は一歩間違えれば、落馬からの即死である。
「大丈夫? ごめんね、もう少しゆっくり行く」
「す、すみません……」
学者が、しっかりとレムに掴まり直す。
「――生きて、帰さなくちゃいけないのよアンタらを!それが私の仕事、私の戦いだから!」
そんなレムを見ながら、カミーユは魔導短伝話で、味方に連絡する。
「こっちはちょっと遅れそうだわ。そっちはどう?」
『――すまないっす!もう始まったっす!!』
それが、反対側に居た、神楽の回答であった。
●悪夢・顕現す
「ヤロウ……ッ!」
魔導銃を構え、ボルディアが横から『アレックス』を撃つ。
『アレックス』は天斗を盾にするように振り回して弾を弾き、そしてボルディアのほうへと投げる。
「大丈夫か!?」
「……っ、ああ。ここで倒れるわけには行かないからな。『イクシード!』」
その全身から紋様が浮かび、天斗が戦闘モードに入る。己のマテリアルを循環させ、腹部に付けられた三本傷を治すが――短時間では、完全に回復はしきれない。
「それがあんたの戦闘スタイルか」
油断無く武器を構えながら、キールが聞く。
――『アレックス』の指の間にはそれぞれ三本の『メス』が挟み込まれており。それが『爪』の形を成していた。
「武器は使い慣れた物が一番いい。特におっさんみたいなものぐさにはな」
(「って事は、レムさんの予測が当たりっすね――『医師』っすか」)
「うひひひ! こっからなら、どうかな?」
盾にしていた天斗がボルディアの方へと投げられたのを見て、全速で後退し離れた所から銃をぶっ放す冥々。弾丸は、木々の間を跳弾しながら、『アレックス』の頭を狙い――
「Death to the Soulless――『Stop』」
呟かれた謎の言葉と共に、弾丸がカラン、と地に落ちる。
「――!?」
これが敵の能力の一つだと言う事は分かった。だが、何が起こったのかは理解できない。
が、理解する必要もない。味方と反対側から跳弾させたが故に、今『アレックス』は背中をハンターたちに晒している。チャンスなのだ。
「フンッ!」
グライブの盾による殴打。然し盾の重さもあって『アレックス』には当たらない。
「避けるのも面倒なんだがな」
木を蹴り、グライブの背後へと回る『アレックス』。突き出される『爪』が、クライヴの肩を抉る。
「その程度は……覚悟済み、だ」
だが、それすらフェイント。
パキリと音を立て、懐に入れていたお守りが折れる。
誰かの祈りが、光と化してクライヴを守る。
「ほう……」
「オトシマエ付けさせてもらわねぇとな、負けっぱなしは癪なんだよ!」
背後から襲い掛かるは、この機を待っていたキール。
振るわれる刀は、『アレックス』の首を狙い――
「さて、引っかかったのはどっちだろうね」
『アレックス』の眼光が、キールを捉える。
瞬間。ぞくりとした感覚が、背筋を駆け抜ける。
「Life to the Lifeless――『Wake up』」
声に答えるかのように、枯れ木が動き出し、キールに抱きつくようにしてその動きを止める。
ズレた刃は、僅かに『アレックス』の肩を掠め――腹部に、『爪』を叩き込まれる。
「くそ! 何でこうなるっすか!」
銃撃で枯れ木を一体、仕留め。神楽が毒づく。
「口を動かす暇があったら殲滅続けろ!」
太刀の刃を、石で出来た何かへと叩き付けながら、ボルディアが答える。
――出現した新たな『敵』は10体を超える。
何故こうなったかと言えば――それは『時間を掛けすぎた』と言う事に他ならない。
何故、『アレックス』は会話中、ずっと色々な所を歩き回り、触っていたのか。それは仕掛けをするためだ。
何故、アレックスは仕掛けをしたのか。――それは、彼に警戒させたまま、『交渉』に持ち込んだからに他ならない。
戦闘になる可能性が高いのだ。――『準備』を行わないほど、この堕落者は甘くなかったのである。
ハンターたちの最大の利は『人数』。この選択によって、それは逆転してしまったのである。
「……後ろを切り離せ」
クライヴが、腕力を補助するエネルギーをキールに放つ。
「ありがとよ!!」
腕を掴まれているが、問題はない。
手の中で刀を回転させ逆手とし、そのまま背後の『枯れ木』の頭を刎ねる。
「あーあ。やっぱ即席じゃあ強度は足りないか」
ドン。もう一撃、逆側から叩き込まれる。
「がはっ……」
元々機動力を重視したため、キールの防御はそれ程高くはない。後衛と新たなる敵によって隔絶され、回復を施す機がない以上。キールが継戦できる可能性は残っていなかった。
「待て」
「そっちは厄介そうなんでね。後で相手させてもらいたいもんだ」
木を蹴り、立体的な軌道でクライブの頭上を越え、敵は後衛へと向かっていた。
追おうにも、『岩』に掴まれ、追えない。それを砕くには、防御重視の装備では暫く時間が掛かる。
「殺すゲロ殺すゲロゲロ殺すゲロ殺すうひひうひッ!!」
ナイフで拳打を受けた冥々の銃弾が、至近距離から『枯れ木』の一体を打ち倒すが、その間に次々と岩が彼女に飛び掛り、生き埋めにする。
前線ではボルティアの太刀が、祖霊の力を帯びて振り下ろされる。が、『枯れ木』の一体が、『アレックス』を突き飛ばし、太刀をは『枯れ木』ごと地面を割る。
神楽の銃弾をメスで弾き、返す手でメスを投げ、銃を彼の手から打ち落とす。即座にナイフを構えなおすが、ナイフの重心が移動したその僅かな隙を突き、『爪』が神楽の脇腹に食い込んだ。
倒れる彼の後方から近づく天斗。突き出されるストレート。
『Stop』
回転するドリルは然し、敵の直前で、回転を停止する。
●最後の一撃
既に三人、倒れてしまった。
敵の能力の程が分からない以上、倒れた者が捉えられ、知識が解析されるのは避けたい。
残った三人は、お互いの顔を見合わせ――撤退を、決意する。
「ありゃ。もう帰っちゃうの? おっさん、感心しないね」
神楽を担いだボルティアに、追いすがる『アレックス』。だが、ピクリと何かに気づいたように、僅かに動きが止まる。
「そこよぉ!」
一気に突進したカミーユ。救出が終わって、戻って来たのである。
「マフォジョ族の恨み……ここで一矢報いてやるわ!」
「奇襲ならもうちょい静かにやるべきだ。この森の中――馬の足音は、特に目立つ」
ひょいっと空を舞うように斧の一閃をかわし、蹴撃でカミーユを馬から落馬させる。すぐさま地に居た『敵』たちが、彼を押さえ込む。
その瞬間。飛び出すもう一つの人影。
振り下ろされる剣は、アレクサンドルの背後から首を狙い――
「甘いな。『Stop』」
何かに、阻まれる。眼光に含まれる、無尽の殺気と増悪に、怖くて泣きそうになる。
だが、それを振るった者――レム・K・モメンタムは引きはしなかった。
ここで、心まで負けてしまえば。もう二度と、立ち上がれないかもしれないから。
「こンのおぉぉ!!負ッけてえぇ!!やるものかあぁぁッ!!」
己の全力を持って、押し込み続ける。僅か。僅かずつ、刃が、敵に向かい進んでいく。
「おっさん感心したよ。敬意を表して教えよう。――俺はアレクサンドル。アレクサンドル・バーンズ――」
刃の拘束が解かれた瞬間。6本のメスが、交差するように、レムの胸を引き裂いた。
●戦いの終わり
がばっと、レムは病院のベッドで起き上がる。
見回せば、周りに寝ているのは、何れもあの一戦で負傷した仲間たち。
「……負けたく……無いっ……次にまた会った時は……きっと……!」
心は、負けなかった。
だが、力で見れば、そして戦術で見れば。それは確実なる『敗北』。
涙を拭き、見上げたレムは、然し、そこで驚愕すべき1枚の写真を発見する。
――そこに笑顔で写っていた者は二人。
――車椅子に座っている少女の顔は、祭りで見た『マフォジョ』のそれと酷似しており。
――それを押していた白衣の男性は、髪が整い、ひげがしっかり剃られて居た物の。紛れも無く。
『アレクサンドル・バーンズ』だったのである。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/12/02 08:29:47 |
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仕事の時間です 真田 天斗(ka0014) 人間(リアルブルー)|20才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2014/12/08 00:49:56 |
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質問卓 真田 天斗(ka0014) 人間(リアルブルー)|20才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2014/12/04 02:38:46 |