ゲスト
(ka0000)
レイン魔法美術塾の少女たち
マスター:深夜真世

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 少なめ
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/01/26 12:00
- 完成日
- 2018/02/12 23:09
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
同盟領は極彩色の街「ヴァリオス」にて。
「はい、どうぞ。ありがとうございましたぁ♪」
街角屋台「Pクレープ」で南那初華(kz0135)が明るい声で商品を渡していた。
「ありがとう」
受け取ったのはひょろ長いもやしのような青年だった。購入したばかりのクレープにかじりつきながら、先ほどから自分のいた場所に戻る。
そこにはイーゼルと、街の様子を厚塗りしているキャンバスがあった。
「……誰かの笑顔のために、か」
青年はそう呟いて油絵の具を筆で塗る。
絵には目の前の通りと広場、そして端にPクレープと自転車修理の機材が描かれていた。日常と、少しの非日常。いまは誰も通りにいないが、キャンバスにはその狭間に立つ女性が描かれている。少し寂しそうなたたずまいである。
果たして、この絵が完成して誰が笑顔になるのか。
「いや」
自問して顔を振った。
誰かの笑顔のために、はクレープ屋台の娘――初華がいつか自転車修理屋台の男性に言っていた言葉だ。こっそり題材にし始めてからたまにクレープを買うが、確かに笑顔になる。
では、自分は?
ぐっ、と筆に力を入れて塗った。
「一言で決して言い表せない、それでも何かの言葉で言い表したい心の揺らぎのため」
それが芸術だ、と自ら言い聞かせる。
悲壮感があるのは、それが鑑賞者に伝わるかどうか。その技量が己にあるかどうか――。
これまでの作家活動で画商の目に止まるも、伸び悩んでいる。
売れないわけではないが需要は少ない。
そしてハンターとしても戦っている。魔筆を使ったブリザードなどが得意だ。
どっちつかず、とも言う。
はざまで揺れているのはモチーフの街に描いた女性ではなく、自分であった。
「レイン君、頑張ってるね」
「あ……」
ここで声を掛けられた。
世話になっている画商である。
「新作はまだ……」
「それより今日は別の話があってね」
それだけ聞いてほっとするレインだった。
「そう言えば画廊を引っ越すって言ってましたね。まさか喫茶店になっているとは」
場所を変えた喫茶店でレインが言った。
「まあ、この店にも絵を置いてもらう約束だ。画廊はもっといい場所に移るしね。それより……」
画商、カップを置いて口調を改めた。本題である。
「レイン君、絵画の教師をする気はないかい?」
「え? 私なんかが?」
まだ若い青二才の、と言外に聞く。
「私塾で規模は小さいけど、生徒のあてはもうあるんだ。是非にとお願いするのは、レイン君がハンターだからだよ」
つまり、ハンターでもある娘たちに絵を教えてほしいというのだ。
「上流階級の習い事として、絵の好きな娘がいるから、落ち着きを持たせてほしい、とか理由はそれぞれだがね。指導者がハンターの先輩なら生徒も安心して絵画に集中できると思って」
「もし、私が断ったら?」
「この話は立ち消え。……ほら、レイン君って魔筆を使って街で戦ったことがあるでしょ? それから魔法絵師としてちょっと有名になってるんだよ。ほら、さっきまで絵を描いてたクレープ屋台の店員さんみたいに」
だから絶対に生徒から相手にされないなんてことはない、と強調する。
「ははは……」
レイン、謙遜した。
確かにハンターの魔術師としてそれなりに戦えている。
だからこそ、画家としての活動に今一つ身が入らないともいえる。
「正直、受けた方がいいと思うよ?」
ここで画商はひそひそ話のように身を寄せて来た。
「レイン君、伸び悩んでいるだろ? そういう時、誰かを指導するっていうのが結構効くんだよ。基本を教えて、生徒たちの感性に触れて、それで自らを振り返る。特に今回は女の子だ。自分にない感性の持ち主の声っていうのは、貴重だよ?」
「それは分かります」
感想など第三者の声を受け止めることの大切さは知っている。
「どうする? 場所はここから少し離れた裏路地の、画廊の倉庫だった場所だ」
「……私でよろしければ、ぜひ」
レイン、頭を下げた。
後に、生徒となる少女が十四人程度に膨れ上がった。
全員に指導できないため、絵の指導ができるハンターに手伝ってもらうことになった。
「はい、どうぞ。ありがとうございましたぁ♪」
街角屋台「Pクレープ」で南那初華(kz0135)が明るい声で商品を渡していた。
「ありがとう」
受け取ったのはひょろ長いもやしのような青年だった。購入したばかりのクレープにかじりつきながら、先ほどから自分のいた場所に戻る。
そこにはイーゼルと、街の様子を厚塗りしているキャンバスがあった。
「……誰かの笑顔のために、か」
青年はそう呟いて油絵の具を筆で塗る。
絵には目の前の通りと広場、そして端にPクレープと自転車修理の機材が描かれていた。日常と、少しの非日常。いまは誰も通りにいないが、キャンバスにはその狭間に立つ女性が描かれている。少し寂しそうなたたずまいである。
果たして、この絵が完成して誰が笑顔になるのか。
「いや」
自問して顔を振った。
誰かの笑顔のために、はクレープ屋台の娘――初華がいつか自転車修理屋台の男性に言っていた言葉だ。こっそり題材にし始めてからたまにクレープを買うが、確かに笑顔になる。
では、自分は?
ぐっ、と筆に力を入れて塗った。
「一言で決して言い表せない、それでも何かの言葉で言い表したい心の揺らぎのため」
それが芸術だ、と自ら言い聞かせる。
悲壮感があるのは、それが鑑賞者に伝わるかどうか。その技量が己にあるかどうか――。
これまでの作家活動で画商の目に止まるも、伸び悩んでいる。
売れないわけではないが需要は少ない。
そしてハンターとしても戦っている。魔筆を使ったブリザードなどが得意だ。
どっちつかず、とも言う。
はざまで揺れているのはモチーフの街に描いた女性ではなく、自分であった。
「レイン君、頑張ってるね」
「あ……」
ここで声を掛けられた。
世話になっている画商である。
「新作はまだ……」
「それより今日は別の話があってね」
それだけ聞いてほっとするレインだった。
「そう言えば画廊を引っ越すって言ってましたね。まさか喫茶店になっているとは」
場所を変えた喫茶店でレインが言った。
「まあ、この店にも絵を置いてもらう約束だ。画廊はもっといい場所に移るしね。それより……」
画商、カップを置いて口調を改めた。本題である。
「レイン君、絵画の教師をする気はないかい?」
「え? 私なんかが?」
まだ若い青二才の、と言外に聞く。
「私塾で規模は小さいけど、生徒のあてはもうあるんだ。是非にとお願いするのは、レイン君がハンターだからだよ」
つまり、ハンターでもある娘たちに絵を教えてほしいというのだ。
「上流階級の習い事として、絵の好きな娘がいるから、落ち着きを持たせてほしい、とか理由はそれぞれだがね。指導者がハンターの先輩なら生徒も安心して絵画に集中できると思って」
「もし、私が断ったら?」
「この話は立ち消え。……ほら、レイン君って魔筆を使って街で戦ったことがあるでしょ? それから魔法絵師としてちょっと有名になってるんだよ。ほら、さっきまで絵を描いてたクレープ屋台の店員さんみたいに」
だから絶対に生徒から相手にされないなんてことはない、と強調する。
「ははは……」
レイン、謙遜した。
確かにハンターの魔術師としてそれなりに戦えている。
だからこそ、画家としての活動に今一つ身が入らないともいえる。
「正直、受けた方がいいと思うよ?」
ここで画商はひそひそ話のように身を寄せて来た。
「レイン君、伸び悩んでいるだろ? そういう時、誰かを指導するっていうのが結構効くんだよ。基本を教えて、生徒たちの感性に触れて、それで自らを振り返る。特に今回は女の子だ。自分にない感性の持ち主の声っていうのは、貴重だよ?」
「それは分かります」
感想など第三者の声を受け止めることの大切さは知っている。
「どうする? 場所はここから少し離れた裏路地の、画廊の倉庫だった場所だ」
「……私でよろしければ、ぜひ」
レイン、頭を下げた。
後に、生徒となる少女が十四人程度に膨れ上がった。
全員に指導できないため、絵の指導ができるハンターに手伝ってもらうことになった。
リプレイ本文
●
(懐かしい)
多田野一数(ka7110)が長い前髪に隠れた目をこっそりと細めたのは、目の前に広がる光景がリアルブルーで馴染んだ様子に似ていたから。
部屋の隅に並べられたイーゼル。
描きかけのキャンバス。
油絵の具の匂い。
ここは、レイン魔法美術塾の教室。画商の倉庫だった、薄暗い一室。
(高校の美術室とは少し違うけど)
生徒の少女たちは制服ではなく西洋風の私服でいずれも個性的だ。炭棒を手にクロッキー帳に果物や洋酒の瓶など、静物描写に励んでいる。
「あー。ウチ、黙って作業すんの苦手やねん!」
関西弁風の少女が突然騒ぎ出した。
「ハルカ。筆は口ほどにものを言う。筆でしゃべってみればいい」
「ホンマか? レインセンセ、それホンマか? 信じるで?」
レインの指導でハルカ(※今回は攻略外ヒロイン)はまた集中し始めた。「しゃべるでー、筆でしゃべるでー」とかぶつくさ言ってるが。一数がちらと手元を覗くと、結構筋がいい。
(技術的なアドバイスは不要、か)
一数、絵は趣味で嗜む。中学高校で美術の成績は良かった。
技術的なアドバイスのできる子を探す。
「しっかしなぁ」
おっと。
講師陣からもちょっと大きな声が上がったぞ?
屈んでいた身体を上げたのはトリプルJ(ka6653)である。
「ん? どうした、J」
生徒の様子を熱心に観察していた鳳凰院ひりょ(ka3744)も顔を上げる。
「ここ画塾だろ? 俺様パンイチモデルの募集だとばっかり思ってたぜ!」
「はい、脱がないように」
叫んで上着に手を掛けたJ。もちろんそのつもりはなかったようだが、近くにいた初月 賢四郎(ka1046)がぽむと肩に手を置き淡々と止めた。生徒からは「えー」、「きゃー」とかざわめきが起きる。
「まあ、せっかくだから楽しくやろうと思っただけだって」
慌てて言い訳するJ。生徒たちもさすがにくすくす笑った。少しくらい教室が少し明るい雰囲気になる。
「さて、そう言うことならコレも加えるんだぞ、と」
おや。
アルト・ハーニー(ka0113)がデッサンする静物に何か加えたぞ?
「……なぜ埴輪だい?」
「曲線も直線もあってこれでもデッサンには向くんだぞ、と」
細い眼鏡のブリッジに指を掛け位置を調整しつつ突っ込む賢四郎。アルトは自らの趣味の正当性を主張する。なお、置いた埴輪はそうだそうだといわんばかりにドヤ顔に……なっているような気もする。
「なんや、レインセンセと違っておもろいセンセ多いな~。楽しい塾になりそや!」
ハルカなど数人の生徒は大変好意的である。
「……そうでもない子もいるが迷惑そうではない、か」
ひりょは素早く全体を観察していた。
積極的に話題に乗る生徒がいる一方、集中している少女もいる。
ただ、そんな子たちも明るくなった雰囲気を好意的にとらえているようだった。
元画商の倉庫だった一室は薄暗い。
今は、美術塾の教室。
生徒も教室も教師も、明るく第一歩を踏み出すことができた。
●
さて、J。
じーっ、と見詰める視線に気付いた。
視線をやると少女がにぱっと笑った。
「おぉ、頑張って描いてるなぁ」
「うん! ララっていうの。Jセンセ、よろしくね」
ララというこげ茶髪のウエイブした娘は明るく社交的だった。
「ああ、よろしくな」
本格的に横に付き絵を拝見する。果物をしっかりととらえているようだ。
「ララは絵が好きか」
「うん。センセはどんな色が好き?」
特に指導はいらないなと感じ話を振ったが、逆に聞かれた。
「俺は黒が好きだな。自分に似合う色だと思うからよ。ララはどんな色が好きだ? 理由はあるか?」
「こげ茶色。……ララのこと、ララが好きにならなくちゃ誰も好きになってくれないもん」
ララは明るく言って自らの髪に手を添えた。
「そうか。ララはいい子だな!」
J、満面の笑み。ララが寂しそうな顔をしたのに感付いたのかもしれない。なお、この時にはっとこちらを向いた生徒もいたようだが。
「それじゃ、絵を人に見せるのと自分で描くのと、ララはどちらが楽しい?」
Jは続けて話を振った。
ララ、少しうーんと考えた風だが……。
「両方! 描くのも楽しいし、見て楽しくなってくれるのも楽しい!」
「おいおい。アドバイスなんかいらねぇじゃねぇかよ」
明るく欲張るララにJは両掌を上にして肩をすくめた。
「あ、でも……ただ描き写すだけでいいのかな、って悩む……」
「ああ、それなら」
うつむいたララに魔導カメラを取り出すJ。描いていた果物を撮影して画像を見せた。
「そういうのはカメラがある。おかげで絵にはもっと可能性が生まれた……何で林檎は赤いんだと思ったら別の色で塗ればいいしお腹が減ったと思えば料理の絵を描いていい。綺麗に描く必要はないし見たままを描く必要もない。何をしたいかを考える手段として、絵を使ってみればいい」
「うんっ。」
ララ、素直に頷いた。
で、実際とは違う虫食いリンゴが描き上がりましたとさ。
ハーティアは、ララの言葉にはっとして身を起こしていた。
「そう、その姿勢」
すかさず一数がアドバイスした。
「え? わたし……あれ、先生?」
「まずは良い姿勢で描こう。背筋をぴんと伸ばして顔を上げる。視線がフラフラしないように」
さら、と長い金髪を揺らして振り向いたハーティアの顔は驚いている。一数は少しため息をつくとさらにアドバイス。
「目線の位置は物を観察する為にとても大事。俯かず顔を上げて欲しい」
「あ、はい。先生」
ハーティアは素直に従った。
が、やがてまた視線は下に。デッサンもやや想像に任せた様相を呈してきた。
「はい、うつむかない。デッサンは観察力を鍛える為に積み重ねる基礎。観察がとても大事なんだ」
ハーティは一数の言葉に少し懐疑的。
それもそのはず。一数は長い前髪で目を隠しているのだから。
「観察してないと、ハーティアの様子は分からないよね?」
感付いた一数、釘を差す。さすがに慌てるハーティア。姿勢を正す。
「観察力を高めれば色々な物が見えてくる。光の当たり方や陰影の強弱、モチーフの形や色…それらがすらすらと理解出来るようになり、モチーフを正確に描けるようになる」
ハーティア、うんうん頷いて聞く。
「……モチーフ、モチーフ、観察して……」
時にはそんな鼻歌のような独り言も。
意識したせいか、ずいぶん姿勢は良くなった。
「疲れたか? そうだ。何か音楽が聴きたいのだがお勧めがあれば助かる」
「手軽なのはオルゴール。いつでも聴けるし、安定しているので音をしっかり感じるのに向きます。音が変わらないのでそれを受け止める自分の調子も分かります」
意外としっかりしているな、と感心する。
「わたしからも質問。先生、どんな色が好きです?」
「青かな。澄み渡る青空等爽やかさを感じさせる色。趣味で空模様は良く描くんだが、まあ、楽しくてな」
ハーティア、くすっと微笑した。
俯かずに。
●
「丁寧だね」
賢四郎はクレシェンテの絵を見て素直にほめた。実際、上手く洋酒の瓶の質感や陰影を捉えている。
「……先生。私のタッチ、暗すぎない?」
クレシェンテは少し俯きさらさらの黒髪を揺らした。瞳に不安の色。
「タッチが暗い? 逆に聞くが何が問題なんだい?」
賢四郎の言葉に顔を上げるクレシェンテ。
ここで、ララの明るい声。少し明るくなっていたクレシェンテの瞳が再びかげる。
「自分も誰でも憧れるモノになりたい時期があったが、現実は軍人でも地味な裏方の事務屋。ハンターになっても華やかではないかな」
賢四郎、穏やかな声で呟いた。クレシェンテの視線が向く。
「偶然事務や裏方が向いていて、限られた才能で足掻くしかなく。それに全てを賭けた…つもりかな」
「……なぜ、先生はそんなに自分のことを簡単に話せるの?」
「それを是とし、自分の型として受け入れているから……君はどう考える」
逆に聞いた。
「分からない」
クレシェンテの素直な気持ちかもしれない。
「納得できるかが大切だと思うよ。芸術であれ何であれ全てを賭すなら」
「……」
「賭けると言えば」
考え込む様子を見て話題を変えた。
「ポーカーってカードゲームに、デッドマンズ・ハンドっていう伝説があってね」
英雄的保安官が暗殺されたときの手札が、黒のAと8のツーペアだったと話す。
「五枚目不明なんだが、何だったと思う?」
「黒の2」
答えは早かった。
「なぜだい?」
「暗殺されたのは英雄が英雄でなくなりそうだったからじゃない? イカサマして変えようとした運命なら絶望的に低いカードであるべき」
「面白いね、君は」
賢四郎、真顔。
「じゃ、先生は?」
「自分の解はJOKERかな。敵の可能性を潰し死人の手札をフルハウスに変える……緑系の地味で落ち着いた色が好みで明るい派手な色は落ち着けず好きではないからね。赤のAの華やかさは似合わないから」
「発想がすごいわ」
クレシェンテ、笑っていた。
「テイル、調子の方はどうだ?」
全体を見渡していたひりょが個人指導に選んだのは、セミロングで茶色髪のテイルだった。
「あ……」
ひりょに声を掛けられると途端に行儀よく、というかよそよそしくなった。
もともと、集中力がないというか、周りや他人を気にし過ぎていた。Jの騒ぎもそうだし、ララの声にも過剰に反応していた。
ただ、ひりょは気にせずまずはデッサンをじっくり見る。
「ああ、しっかり特徴を掴んでるね。ただテーブルは木製だから置いてある部分の質感の違いを気にするとより良くなるかもしれない」
「あ、はい。先生」
テイル、素直に取り組む。少し嬉しそうでもある。
が、そこに集中するあまり全体との陰影バランスが崩れた。後で着手、という感じではない。アドバイスに流され過ぎである。
「……ふぅ」
「疲れたか? 紅茶を淹れたから少し休もう」
ひりょが一息入れることを提案すると、周りの生徒から「あーっ」と声が上がった。ひりょ、「皆には後から」と言い訳に追われることになるが。
「先生、よかったの?」
テイルは紅茶に口をつけつつ小さくなっていた。
「人は自分と他人を比較してしまいがちだが『自分は自分』」
紅茶を飲みながらのひりょの言葉。周りに言い訳したが、指導に必要と考えれば堂々としたものだ。
「例えばだが、俺より実力が上のハンターは沢山いる。でも、俺にしか出来ない事、持ち味だってあると思うんだ。それはテイルも同じ。テイルはテイルなんだ」
「はい……はい」
こくこく頷くテイル。背筋が伸びる。
が、何かを思いついたように目を見開いた。そして再び小さくなる。
「その……わたしの絵、先生のアドバイスで良くなりました?」
「指摘した部分は確実にできてるね。いい感じだよ。……ただ、そこに合わせてバランスを取らないとね」
「そう……ですか」
「順番だよ。できることはできた。そこからまた次のできることをすればいい……俺の言ったことはできたんだから」
「はい!」
明るい声が返る。
と、何かを思いついたように目を広げた。
「その、先生はどんな色が好きなんです?」
「青色、思い悩んだりしている時に青空を眺めるのが好きだから」
テイル、柔らかくほほ笑んだ。
●
こちら、アルト。
「さて、埴輪の絵なら得意なんだがどうなることやらなんだぞ、と」
どうやら埴輪作成の関係上、埴輪のスケッチはよくしていたようで。
……本当ですよ。
証拠にちゃんと「絵画(5%)」が一般スキルについている!
そこへ明るい声が。
「センセ―、ボクの見てみて~」
声の主は、赤毛ショートのヌリエ。自分のデッサンを掲げている。
「……」
クロッキー帳を見たアルト、固まった。
描いた洋酒の瓶がスライムのように曲がっているのだ。質感何それ状態だ。
ところがっ!
「悪くないさね~。これを描くともっと良くなるぞ、と」
褒めて埴輪を描くよう勧めた理由は、やはり直線にしても曲線にしても長く整った形を描く集中力がないと見たから。
「わ。まっすぐ立ってるけど腕がくねってて面白いね! ボク、ヌリエ。センセ、お名前なんていうの?」
「アルト・ハーニーさね。ま、元気な子は好きなんだな。取り敢えずよろしくさね」
なんかあっさり意気投合した!
でもって、二人並んで埴輪の絵を描き始めた。
なお、ヌリエの絵はアルトと違ってやはり曲がっている。
「わ。センセ―、上手いね~。ボクの絵が曲がってるってよく分かる!」
「気にする必要ないさね。……絵は好きかー」
「うんっ」
「好きならよし。好きこそものの上手なれ、という言葉があるしな、と」
そんなやり取りを交えつつ、並んで取り組む。
「……その、あまり褒めてもらえないボクの絵を褒めてくれて、ありがとね」
「ま、俺がいい絵だと思えばいい絵なのさね。最低でも俺にとってはな」
「うんっ」
並んで取り組む。
「でも……もうちょっとうまくなりたいな」
「自分で楽しく自分がいいと思う物を、いいと思うように描けばいいと思うんだな、と。それを好きと思う人が多ければそれが名作になるし、少なければ…迷作になるだけじゃないかねぇ」
「そ、そうかな?」
並んで取り組む。
「俺は埴輪が好きだ。だから埴輪を作るし描く。そして愛でるっ! 他人が好きでなくとも俺は好きなのだ!」
「わっ! びっくりした」
突然の力説に驚くヌリエ。
「ちなみにセンセ―、どんな色が好き?」
「黒と茶色。理由は埴輪の色だから。ついでに好きな体型は埴輪体型」
「んもう、聞いてないよぅ」
笑うヌリエ。
なお、胸はべったんこでウエストもまっすぐ。
とにかく楽しそうだ。
というわけで、画塾の講義は終了。
生徒たちは喫茶店にたむろする。
「ララ、やっぱりこの画塾に通ってよかったって思う。だって、先生みたいな人周りにいないし、楽しいもん」
「ボクも~。すっごく面白いセンセ―だったんだよ」
盛り上がるララとヌリエ。
「確かに……前髪で目を隠して、それでちゃんと観察しろって…でも、先生はそれでちゃんと観察してるみたいだし」
「うん……自信にあふれててちょっと苦手って思ったけど、わたしのことを一生懸命励ましてくれてありがたかったかな」
ハーティアとテイルもうんと頷く。なお、画塾で紅茶を飲んだので皆ココアを飲んでいる。
「クレシェンテはどうだった?」
ララが一人静かにたたずむクレシェンテに前のめりで聞く。
「……よく分からない人。でも、不快じゃないわ」
くす、と微笑している。
どうやら生徒たちはみな、講師に好感を抱き画塾が好きになったようである。
(懐かしい)
多田野一数(ka7110)が長い前髪に隠れた目をこっそりと細めたのは、目の前に広がる光景がリアルブルーで馴染んだ様子に似ていたから。
部屋の隅に並べられたイーゼル。
描きかけのキャンバス。
油絵の具の匂い。
ここは、レイン魔法美術塾の教室。画商の倉庫だった、薄暗い一室。
(高校の美術室とは少し違うけど)
生徒の少女たちは制服ではなく西洋風の私服でいずれも個性的だ。炭棒を手にクロッキー帳に果物や洋酒の瓶など、静物描写に励んでいる。
「あー。ウチ、黙って作業すんの苦手やねん!」
関西弁風の少女が突然騒ぎ出した。
「ハルカ。筆は口ほどにものを言う。筆でしゃべってみればいい」
「ホンマか? レインセンセ、それホンマか? 信じるで?」
レインの指導でハルカ(※今回は攻略外ヒロイン)はまた集中し始めた。「しゃべるでー、筆でしゃべるでー」とかぶつくさ言ってるが。一数がちらと手元を覗くと、結構筋がいい。
(技術的なアドバイスは不要、か)
一数、絵は趣味で嗜む。中学高校で美術の成績は良かった。
技術的なアドバイスのできる子を探す。
「しっかしなぁ」
おっと。
講師陣からもちょっと大きな声が上がったぞ?
屈んでいた身体を上げたのはトリプルJ(ka6653)である。
「ん? どうした、J」
生徒の様子を熱心に観察していた鳳凰院ひりょ(ka3744)も顔を上げる。
「ここ画塾だろ? 俺様パンイチモデルの募集だとばっかり思ってたぜ!」
「はい、脱がないように」
叫んで上着に手を掛けたJ。もちろんそのつもりはなかったようだが、近くにいた初月 賢四郎(ka1046)がぽむと肩に手を置き淡々と止めた。生徒からは「えー」、「きゃー」とかざわめきが起きる。
「まあ、せっかくだから楽しくやろうと思っただけだって」
慌てて言い訳するJ。生徒たちもさすがにくすくす笑った。少しくらい教室が少し明るい雰囲気になる。
「さて、そう言うことならコレも加えるんだぞ、と」
おや。
アルト・ハーニー(ka0113)がデッサンする静物に何か加えたぞ?
「……なぜ埴輪だい?」
「曲線も直線もあってこれでもデッサンには向くんだぞ、と」
細い眼鏡のブリッジに指を掛け位置を調整しつつ突っ込む賢四郎。アルトは自らの趣味の正当性を主張する。なお、置いた埴輪はそうだそうだといわんばかりにドヤ顔に……なっているような気もする。
「なんや、レインセンセと違っておもろいセンセ多いな~。楽しい塾になりそや!」
ハルカなど数人の生徒は大変好意的である。
「……そうでもない子もいるが迷惑そうではない、か」
ひりょは素早く全体を観察していた。
積極的に話題に乗る生徒がいる一方、集中している少女もいる。
ただ、そんな子たちも明るくなった雰囲気を好意的にとらえているようだった。
元画商の倉庫だった一室は薄暗い。
今は、美術塾の教室。
生徒も教室も教師も、明るく第一歩を踏み出すことができた。
●
さて、J。
じーっ、と見詰める視線に気付いた。
視線をやると少女がにぱっと笑った。
「おぉ、頑張って描いてるなぁ」
「うん! ララっていうの。Jセンセ、よろしくね」
ララというこげ茶髪のウエイブした娘は明るく社交的だった。
「ああ、よろしくな」
本格的に横に付き絵を拝見する。果物をしっかりととらえているようだ。
「ララは絵が好きか」
「うん。センセはどんな色が好き?」
特に指導はいらないなと感じ話を振ったが、逆に聞かれた。
「俺は黒が好きだな。自分に似合う色だと思うからよ。ララはどんな色が好きだ? 理由はあるか?」
「こげ茶色。……ララのこと、ララが好きにならなくちゃ誰も好きになってくれないもん」
ララは明るく言って自らの髪に手を添えた。
「そうか。ララはいい子だな!」
J、満面の笑み。ララが寂しそうな顔をしたのに感付いたのかもしれない。なお、この時にはっとこちらを向いた生徒もいたようだが。
「それじゃ、絵を人に見せるのと自分で描くのと、ララはどちらが楽しい?」
Jは続けて話を振った。
ララ、少しうーんと考えた風だが……。
「両方! 描くのも楽しいし、見て楽しくなってくれるのも楽しい!」
「おいおい。アドバイスなんかいらねぇじゃねぇかよ」
明るく欲張るララにJは両掌を上にして肩をすくめた。
「あ、でも……ただ描き写すだけでいいのかな、って悩む……」
「ああ、それなら」
うつむいたララに魔導カメラを取り出すJ。描いていた果物を撮影して画像を見せた。
「そういうのはカメラがある。おかげで絵にはもっと可能性が生まれた……何で林檎は赤いんだと思ったら別の色で塗ればいいしお腹が減ったと思えば料理の絵を描いていい。綺麗に描く必要はないし見たままを描く必要もない。何をしたいかを考える手段として、絵を使ってみればいい」
「うんっ。」
ララ、素直に頷いた。
で、実際とは違う虫食いリンゴが描き上がりましたとさ。
ハーティアは、ララの言葉にはっとして身を起こしていた。
「そう、その姿勢」
すかさず一数がアドバイスした。
「え? わたし……あれ、先生?」
「まずは良い姿勢で描こう。背筋をぴんと伸ばして顔を上げる。視線がフラフラしないように」
さら、と長い金髪を揺らして振り向いたハーティアの顔は驚いている。一数は少しため息をつくとさらにアドバイス。
「目線の位置は物を観察する為にとても大事。俯かず顔を上げて欲しい」
「あ、はい。先生」
ハーティアは素直に従った。
が、やがてまた視線は下に。デッサンもやや想像に任せた様相を呈してきた。
「はい、うつむかない。デッサンは観察力を鍛える為に積み重ねる基礎。観察がとても大事なんだ」
ハーティは一数の言葉に少し懐疑的。
それもそのはず。一数は長い前髪で目を隠しているのだから。
「観察してないと、ハーティアの様子は分からないよね?」
感付いた一数、釘を差す。さすがに慌てるハーティア。姿勢を正す。
「観察力を高めれば色々な物が見えてくる。光の当たり方や陰影の強弱、モチーフの形や色…それらがすらすらと理解出来るようになり、モチーフを正確に描けるようになる」
ハーティア、うんうん頷いて聞く。
「……モチーフ、モチーフ、観察して……」
時にはそんな鼻歌のような独り言も。
意識したせいか、ずいぶん姿勢は良くなった。
「疲れたか? そうだ。何か音楽が聴きたいのだがお勧めがあれば助かる」
「手軽なのはオルゴール。いつでも聴けるし、安定しているので音をしっかり感じるのに向きます。音が変わらないのでそれを受け止める自分の調子も分かります」
意外としっかりしているな、と感心する。
「わたしからも質問。先生、どんな色が好きです?」
「青かな。澄み渡る青空等爽やかさを感じさせる色。趣味で空模様は良く描くんだが、まあ、楽しくてな」
ハーティア、くすっと微笑した。
俯かずに。
●
「丁寧だね」
賢四郎はクレシェンテの絵を見て素直にほめた。実際、上手く洋酒の瓶の質感や陰影を捉えている。
「……先生。私のタッチ、暗すぎない?」
クレシェンテは少し俯きさらさらの黒髪を揺らした。瞳に不安の色。
「タッチが暗い? 逆に聞くが何が問題なんだい?」
賢四郎の言葉に顔を上げるクレシェンテ。
ここで、ララの明るい声。少し明るくなっていたクレシェンテの瞳が再びかげる。
「自分も誰でも憧れるモノになりたい時期があったが、現実は軍人でも地味な裏方の事務屋。ハンターになっても華やかではないかな」
賢四郎、穏やかな声で呟いた。クレシェンテの視線が向く。
「偶然事務や裏方が向いていて、限られた才能で足掻くしかなく。それに全てを賭けた…つもりかな」
「……なぜ、先生はそんなに自分のことを簡単に話せるの?」
「それを是とし、自分の型として受け入れているから……君はどう考える」
逆に聞いた。
「分からない」
クレシェンテの素直な気持ちかもしれない。
「納得できるかが大切だと思うよ。芸術であれ何であれ全てを賭すなら」
「……」
「賭けると言えば」
考え込む様子を見て話題を変えた。
「ポーカーってカードゲームに、デッドマンズ・ハンドっていう伝説があってね」
英雄的保安官が暗殺されたときの手札が、黒のAと8のツーペアだったと話す。
「五枚目不明なんだが、何だったと思う?」
「黒の2」
答えは早かった。
「なぜだい?」
「暗殺されたのは英雄が英雄でなくなりそうだったからじゃない? イカサマして変えようとした運命なら絶望的に低いカードであるべき」
「面白いね、君は」
賢四郎、真顔。
「じゃ、先生は?」
「自分の解はJOKERかな。敵の可能性を潰し死人の手札をフルハウスに変える……緑系の地味で落ち着いた色が好みで明るい派手な色は落ち着けず好きではないからね。赤のAの華やかさは似合わないから」
「発想がすごいわ」
クレシェンテ、笑っていた。
「テイル、調子の方はどうだ?」
全体を見渡していたひりょが個人指導に選んだのは、セミロングで茶色髪のテイルだった。
「あ……」
ひりょに声を掛けられると途端に行儀よく、というかよそよそしくなった。
もともと、集中力がないというか、周りや他人を気にし過ぎていた。Jの騒ぎもそうだし、ララの声にも過剰に反応していた。
ただ、ひりょは気にせずまずはデッサンをじっくり見る。
「ああ、しっかり特徴を掴んでるね。ただテーブルは木製だから置いてある部分の質感の違いを気にするとより良くなるかもしれない」
「あ、はい。先生」
テイル、素直に取り組む。少し嬉しそうでもある。
が、そこに集中するあまり全体との陰影バランスが崩れた。後で着手、という感じではない。アドバイスに流され過ぎである。
「……ふぅ」
「疲れたか? 紅茶を淹れたから少し休もう」
ひりょが一息入れることを提案すると、周りの生徒から「あーっ」と声が上がった。ひりょ、「皆には後から」と言い訳に追われることになるが。
「先生、よかったの?」
テイルは紅茶に口をつけつつ小さくなっていた。
「人は自分と他人を比較してしまいがちだが『自分は自分』」
紅茶を飲みながらのひりょの言葉。周りに言い訳したが、指導に必要と考えれば堂々としたものだ。
「例えばだが、俺より実力が上のハンターは沢山いる。でも、俺にしか出来ない事、持ち味だってあると思うんだ。それはテイルも同じ。テイルはテイルなんだ」
「はい……はい」
こくこく頷くテイル。背筋が伸びる。
が、何かを思いついたように目を見開いた。そして再び小さくなる。
「その……わたしの絵、先生のアドバイスで良くなりました?」
「指摘した部分は確実にできてるね。いい感じだよ。……ただ、そこに合わせてバランスを取らないとね」
「そう……ですか」
「順番だよ。できることはできた。そこからまた次のできることをすればいい……俺の言ったことはできたんだから」
「はい!」
明るい声が返る。
と、何かを思いついたように目を広げた。
「その、先生はどんな色が好きなんです?」
「青色、思い悩んだりしている時に青空を眺めるのが好きだから」
テイル、柔らかくほほ笑んだ。
●
こちら、アルト。
「さて、埴輪の絵なら得意なんだがどうなることやらなんだぞ、と」
どうやら埴輪作成の関係上、埴輪のスケッチはよくしていたようで。
……本当ですよ。
証拠にちゃんと「絵画(5%)」が一般スキルについている!
そこへ明るい声が。
「センセ―、ボクの見てみて~」
声の主は、赤毛ショートのヌリエ。自分のデッサンを掲げている。
「……」
クロッキー帳を見たアルト、固まった。
描いた洋酒の瓶がスライムのように曲がっているのだ。質感何それ状態だ。
ところがっ!
「悪くないさね~。これを描くともっと良くなるぞ、と」
褒めて埴輪を描くよう勧めた理由は、やはり直線にしても曲線にしても長く整った形を描く集中力がないと見たから。
「わ。まっすぐ立ってるけど腕がくねってて面白いね! ボク、ヌリエ。センセ、お名前なんていうの?」
「アルト・ハーニーさね。ま、元気な子は好きなんだな。取り敢えずよろしくさね」
なんかあっさり意気投合した!
でもって、二人並んで埴輪の絵を描き始めた。
なお、ヌリエの絵はアルトと違ってやはり曲がっている。
「わ。センセ―、上手いね~。ボクの絵が曲がってるってよく分かる!」
「気にする必要ないさね。……絵は好きかー」
「うんっ」
「好きならよし。好きこそものの上手なれ、という言葉があるしな、と」
そんなやり取りを交えつつ、並んで取り組む。
「……その、あまり褒めてもらえないボクの絵を褒めてくれて、ありがとね」
「ま、俺がいい絵だと思えばいい絵なのさね。最低でも俺にとってはな」
「うんっ」
並んで取り組む。
「でも……もうちょっとうまくなりたいな」
「自分で楽しく自分がいいと思う物を、いいと思うように描けばいいと思うんだな、と。それを好きと思う人が多ければそれが名作になるし、少なければ…迷作になるだけじゃないかねぇ」
「そ、そうかな?」
並んで取り組む。
「俺は埴輪が好きだ。だから埴輪を作るし描く。そして愛でるっ! 他人が好きでなくとも俺は好きなのだ!」
「わっ! びっくりした」
突然の力説に驚くヌリエ。
「ちなみにセンセ―、どんな色が好き?」
「黒と茶色。理由は埴輪の色だから。ついでに好きな体型は埴輪体型」
「んもう、聞いてないよぅ」
笑うヌリエ。
なお、胸はべったんこでウエストもまっすぐ。
とにかく楽しそうだ。
というわけで、画塾の講義は終了。
生徒たちは喫茶店にたむろする。
「ララ、やっぱりこの画塾に通ってよかったって思う。だって、先生みたいな人周りにいないし、楽しいもん」
「ボクも~。すっごく面白いセンセ―だったんだよ」
盛り上がるララとヌリエ。
「確かに……前髪で目を隠して、それでちゃんと観察しろって…でも、先生はそれでちゃんと観察してるみたいだし」
「うん……自信にあふれててちょっと苦手って思ったけど、わたしのことを一生懸命励ましてくれてありがたかったかな」
ハーティアとテイルもうんと頷く。なお、画塾で紅茶を飲んだので皆ココアを飲んでいる。
「クレシェンテはどうだった?」
ララが一人静かにたたずむクレシェンテに前のめりで聞く。
「……よく分からない人。でも、不快じゃないわ」
くす、と微笑している。
どうやら生徒たちはみな、講師に好感を抱き画塾が好きになったようである。
依頼結果
依頼成功度 | 大成功 |
---|
面白かった! | 6人 |
---|
ポイントがありませんので、拍手できません
現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!
MVP一覧
重体一覧
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
ギャルゲー依頼がやってきた? トリプルJ(ka6653) 人間(リアルブルー)|26才|男性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2018/01/25 21:15:32 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/01/25 00:03:42 |