ゲスト
(ka0000)
【東幕】その灯、道を照らす光
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/02/06 19:00
- 完成日
- 2018/02/13 21:32
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●紅葉
大江 紅葉(kz0163)はハンターに手紙を持たせて、天ノ都に帰らせた。そのあと、里人が止めるのを聞かず、南の方を見に行ってきた。
道は獣道にどころか荒れ果てた大地なため、道がないに等しい。ただし、南へ抜けるのに皆が使う街道につながっている推測はできた。一定距離で進むのはやめたが、飛べる、海をこらえる敵以外が来る可能性は否定できない。過去のことを考えれば、ここから来ていたというのは想定できた。
里やその周辺を守るために、ここにある資材で砦を作り上げるのは難しい。時間もない。
「武家がしっかりしていればとか言っていられません……光頼殿に頼むというのも一つでしょうか……でもあの方も『家』があります……」
紅葉は親しくしている武家の松永 光頼を思い出すが、頼ることはできないと理解している。だからこそ、自分がしっかりしないとならない。
父や叔父が、住民が守ろうとした里を再興に導かないとならない。
手助けしてくれるハンターもいる。
生き延びるにはどうするのがいいのか。
「里に居を構えましょう……資材が来るまで、人が来るまで」
魔導トラックや刻令ゴーレム「Gnome」を紅葉はハンターとして借りている。それらを利用すれば各段に作業は上がるはずだ。それには紅葉が一度戻る必要もあるが、順番に作業はすればいい。
都に避難していることも終わりにしないとならないだろう。紅葉自身は陰陽寮にいる為、都に残る必要はあるが。
「状況に尻を叩かれたと考えて、前に進むしかありませんね」
胸騒ぎは押しとどめ、見回りに努める。
里を見れば、犬猫驢馬に囲まれて、鬼の里から預かっているテユカが世話をしている。
「こちらに軸を移すとして、どうやって屋敷の者や物をうつすかですね……徐々にでしょうか」
テユカは紅葉に気づいて叫んでいる。緊急事態ではないのはわかるが、向かう。
「どうかしたのですか?」
「紅葉さま、これ、これ見て!」
梅の木を見るとつぼみがあった。
「ああ……花が咲きそうなのですね」
「そうだよ! まだ元気はないみたいだけど、少しずつ元気になるんだよ!」
「そうですね」
紅葉は幼いころその木に登って怒られたことを思い出していた。
●手紙から
ハンターからの手紙を受け取った紅葉の上司であり師匠であり兄弟子の吉備 灯世は目を細めた。
「紅葉が外にいるのが救いだな……物資を持って、吉備家と大江家の移動だな」
灯世が気がかりなことは妻子をはじめとした家の者や、紅葉との約束についてだった。その上で、紅葉とできれば収まってほしいとか勝手に考えている相手である光頼のことが気になる。
「武家だからあいつは逃げられないか」
まだ、問題がない状況だった。だからこそ、灯世は物資の手配を行い、妻子と大江家に紅葉の下に行くように指示を出した。
そのあとふらりと武家の詰める所に向かう。
光頼いる所は知り合いから聞いているため、そこに真っ直ぐ向かった。
対面したことはないが、光頼らしい人物を見つけた。初対面であっても彼が周囲の混乱の中、泰然自若としているようにうかがえる。ただし、疲労と困惑の色は強い。
(どこも同じだよな)
灯世自身、情報収集や自身の行動について考えないとならず、疲労はしている。
「君が松永君かい?」
灯世に声を掛けられて光頼はびくりと身を震わせる。その手は刀の柄に伸び、いつでも引き抜ける状態になった。
「貴殿は」
「話をしたいのもやまやまなのだけど、要点だけにしたほうがいいな。俺は大江 紅葉の兄みたいなもので、上司の吉備 灯世だ」
「なるほど……お初にお目にかかります」
光頼は刀から手を放し、頭を下げた。
「丁寧に済まないな……で、要件なんだが、大江の実家があるところに物資を運ぶんだが手伝ってもらえないか?」
光頼は目を見開く。首を横に振った。
「まあそうだね……うん、わかっているよ」
灯世は寂しそうに笑う。
「では、御武運を祈るが……無茶はなさるな」
「……それは貴殿も一緒でしょう?」
「そうだな……紅葉が無事なのが俺は嬉しいが」
「……大江殿がのびのびしているのがよくわかります」
二人は黙る。沈黙を破るように灯世が立ち去った。
●依頼
オフィスの職員は荷物の量と守るべき人数を見て眉をひそめた。
「大八車や牛車や馬車……歩みは遅いですね……」
大江家の決断と同郷の者たちの決意、吉備家の動き。
「……吉備の方は出身は……都住まいですよね……それでも、離れるんですか……」
都を離れることで安全が確保されるわけではない。
「……その移動を守ること……ただし、標的化を避けるためにユニットはダメですか」
あれば荷物を多く運べるが、今回は後回しとなったようだ。
移動中にありうる危険は、妖怪との戦いに巻き込まれることだった。
「……貸与品に関してはこちらで何とか回収したほうがいいんでしょう」
このことは依頼とは関係ない。ただ、ここの状況を考えると紅葉に伝わると良いことでもあった。
大江 紅葉(kz0163)はハンターに手紙を持たせて、天ノ都に帰らせた。そのあと、里人が止めるのを聞かず、南の方を見に行ってきた。
道は獣道にどころか荒れ果てた大地なため、道がないに等しい。ただし、南へ抜けるのに皆が使う街道につながっている推測はできた。一定距離で進むのはやめたが、飛べる、海をこらえる敵以外が来る可能性は否定できない。過去のことを考えれば、ここから来ていたというのは想定できた。
里やその周辺を守るために、ここにある資材で砦を作り上げるのは難しい。時間もない。
「武家がしっかりしていればとか言っていられません……光頼殿に頼むというのも一つでしょうか……でもあの方も『家』があります……」
紅葉は親しくしている武家の松永 光頼を思い出すが、頼ることはできないと理解している。だからこそ、自分がしっかりしないとならない。
父や叔父が、住民が守ろうとした里を再興に導かないとならない。
手助けしてくれるハンターもいる。
生き延びるにはどうするのがいいのか。
「里に居を構えましょう……資材が来るまで、人が来るまで」
魔導トラックや刻令ゴーレム「Gnome」を紅葉はハンターとして借りている。それらを利用すれば各段に作業は上がるはずだ。それには紅葉が一度戻る必要もあるが、順番に作業はすればいい。
都に避難していることも終わりにしないとならないだろう。紅葉自身は陰陽寮にいる為、都に残る必要はあるが。
「状況に尻を叩かれたと考えて、前に進むしかありませんね」
胸騒ぎは押しとどめ、見回りに努める。
里を見れば、犬猫驢馬に囲まれて、鬼の里から預かっているテユカが世話をしている。
「こちらに軸を移すとして、どうやって屋敷の者や物をうつすかですね……徐々にでしょうか」
テユカは紅葉に気づいて叫んでいる。緊急事態ではないのはわかるが、向かう。
「どうかしたのですか?」
「紅葉さま、これ、これ見て!」
梅の木を見るとつぼみがあった。
「ああ……花が咲きそうなのですね」
「そうだよ! まだ元気はないみたいだけど、少しずつ元気になるんだよ!」
「そうですね」
紅葉は幼いころその木に登って怒られたことを思い出していた。
●手紙から
ハンターからの手紙を受け取った紅葉の上司であり師匠であり兄弟子の吉備 灯世は目を細めた。
「紅葉が外にいるのが救いだな……物資を持って、吉備家と大江家の移動だな」
灯世が気がかりなことは妻子をはじめとした家の者や、紅葉との約束についてだった。その上で、紅葉とできれば収まってほしいとか勝手に考えている相手である光頼のことが気になる。
「武家だからあいつは逃げられないか」
まだ、問題がない状況だった。だからこそ、灯世は物資の手配を行い、妻子と大江家に紅葉の下に行くように指示を出した。
そのあとふらりと武家の詰める所に向かう。
光頼いる所は知り合いから聞いているため、そこに真っ直ぐ向かった。
対面したことはないが、光頼らしい人物を見つけた。初対面であっても彼が周囲の混乱の中、泰然自若としているようにうかがえる。ただし、疲労と困惑の色は強い。
(どこも同じだよな)
灯世自身、情報収集や自身の行動について考えないとならず、疲労はしている。
「君が松永君かい?」
灯世に声を掛けられて光頼はびくりと身を震わせる。その手は刀の柄に伸び、いつでも引き抜ける状態になった。
「貴殿は」
「話をしたいのもやまやまなのだけど、要点だけにしたほうがいいな。俺は大江 紅葉の兄みたいなもので、上司の吉備 灯世だ」
「なるほど……お初にお目にかかります」
光頼は刀から手を放し、頭を下げた。
「丁寧に済まないな……で、要件なんだが、大江の実家があるところに物資を運ぶんだが手伝ってもらえないか?」
光頼は目を見開く。首を横に振った。
「まあそうだね……うん、わかっているよ」
灯世は寂しそうに笑う。
「では、御武運を祈るが……無茶はなさるな」
「……それは貴殿も一緒でしょう?」
「そうだな……紅葉が無事なのが俺は嬉しいが」
「……大江殿がのびのびしているのがよくわかります」
二人は黙る。沈黙を破るように灯世が立ち去った。
●依頼
オフィスの職員は荷物の量と守るべき人数を見て眉をひそめた。
「大八車や牛車や馬車……歩みは遅いですね……」
大江家の決断と同郷の者たちの決意、吉備家の動き。
「……吉備の方は出身は……都住まいですよね……それでも、離れるんですか……」
都を離れることで安全が確保されるわけではない。
「……その移動を守ること……ただし、標的化を避けるためにユニットはダメですか」
あれば荷物を多く運べるが、今回は後回しとなったようだ。
移動中にありうる危険は、妖怪との戦いに巻き込まれることだった。
「……貸与品に関してはこちらで何とか回収したほうがいいんでしょう」
このことは依頼とは関係ない。ただ、ここの状況を考えると紅葉に伝わると良いことでもあった。
リプレイ本文
●前に進む
メイム(ka2290)が示した隊列に一部修正をして出発した。二列縦隊に対し、ハンターが前から適度な距離を取り左右に付く形である。
大江家の周辺を出たときはまだ何もなかったが、天ノ都を出たあたりで事態が急転した。マテリアルが動いているという感覚を持った者もあるだろう。それは人を不安にさせるものでもあった。
メイムは急ぐように声をかける。何かが起こるならば都であろうから、早く離れる方がいいと前もって言ってはあった。
「なんかありそうだし、最初の三十分は、少しでも急いでねー。必要なら馬車や牛車に乗せてあげてねー」
ハンス・ラインフェルト(ka6750)はメイムと列を挟んだ位置にいる。
ハンスはシビアな優先順位を持っていた。里の再編を考えると大江家は何としても護らねばならないと。結果、大江 紅葉(kz0163)の上司一家と言っても優先順位は下がる。
「これだけの列です、街道を逸れることも他の道を行くこともできませんよ。どこまで守れるかは…最初の私達の配置と、運かもしれません」
出発前に大江家の家令に頼んだことが一つあった。以前行ったときに舗装されている道ではないことを考えてのことだった。ぬかるみに車が取られると遅れの原因にもなるし、焦りなど心情にもよくはない。そのため、戸板や木材を余分に持っていくことができるかと言うことだった。幸い、大江家の驢馬たちも使えばどうにかなるということで解決された。
誰ともなく、嫌な色の空を見る。
七夜・真夕(ka3977)とレイア・アローネ(ka4082)は列の最後にいた。駆け足はいいのだが遅れる人が出てくる不安がある。なお、真夕は自分の驢馬に少しでも物資を積んでいた。
(商隊の護衛はあったがこれだけの人数は……)
レイアは初めてのことということで眉を寄せたが、真夕が彼女の雰囲気を察したらしく、自分の口角に指を当てて「笑顔」というしぐさをする。
「みんな無理はしなくて大丈夫だからね! もし遅れても私たちがいるし、きちんと無事に送り届けます」
真夕が不安を吹き飛ばすような笑顔で告げた。
レイアは同意するようにうなずく。戦闘できない民を怯えさせることは良くないと思い出した。
「こうして連絡を取る道具があるんだ。精一杯進むことだけ考えてくれればいい」
子どもが「かっけー」とか言っているのが聞こえた。まだ余裕があるということで、むしろ心が和んだ。
最前列にいるペアの一人ロジャー=ウィステリアランド(ka2900)は重魔導バイクの初乗りや紅葉に会おうとしたか色々と思惑がある。とはいえ、最大の目的は非戦闘員の安全な移動だ。
「現状は不審な物はない、よな」
駆け足状態の住民たちと異なり、乗り物に乗っている分、周囲に気を配ることができる。
「そっちはどうだ?」
リュー・グランフェスト(ka2419)は声を掛けられ、「問題ない」と答える。
移動する列の先頭で民衆から離れない位置にリューもいる。
「何も出ない方がいいんだがな……」
そうはいっていられない空気が南から漂ってきてた。
グリムバルド・グリーンウッド(ka4409)は必死に移動する車類を見る。
「それにしても故郷へ帰る、か」
タイミングが良いのか悪いのかわからないが、今回、上層部で色々起こっていることが背中を押しているのは事実だろう。
守る民の列をグリムバルドと挟み並び歩く、アレイダ・リイン(ka6437)は馬車や牛車の様子を見る。遠くを見るために乗って移動したかったが、難しそうだ。
(そればかりは荷物が優先だねぇ……この界隈の歪虚の動きが活発化しているそうだしねぇ……)
心の中でつぶやく。稼ぐとともに、民の安全は優先すべきと心得ている。もちろん、何も出ないほうがいいに決まっている。アレイダは遠くを見つめた。
●休息ののち……
都から離れ、速度は大八車の無理のない移動速度まで落とした。緊張もあるためか、まだ列は伸びきらず、それなりにまとまっている。一行は順調に進んでいるといってよかった。
朝から動いて三時間ほどたち、一行は休息と列の間隔の調整に入る。
休息を取らずに移動したいという意見もあった。
「でもね、ただ歩くだけじゃないから気をつけないと辛くなるよ」
メイムは休息の意義を説く。
「そうですよ。紅葉さんがいる所まで、馬を使っても途中で夜を迎えます。我々は徒歩であり、荷物もあるのです」
ハンスも説得に加わる。
比較的元気で進みたいと言った者は、二人の説得にうなずいたのだった。
リューとロジャーは休息を少し早めに切り上げ、先を見て道の状況を確認した。
「あのあたりがぬかるんでいるかなぁ……」
リューは確認をとるが、単騎通るには問題がなくとも、人や車が多く通れば水が表に出そうな状況に見える。
「かつ、隠れられそうなところがあれば危険か?」
望遠鏡を使って眺めるロジャーはより細かく不自然なところはないか注意する。
リューがその間に仲間に連絡を取る。ぬかるみのための道具の準備と必要な手伝いがあればいうようにと告げた。
アレイダは休憩中、荷物の状況を確認する。一行の準備が抜かりないと関心した。
「序盤で酷使したかもしれないが……簡単に壊れるものではないな」
グリムバルドは道の情報を受けて、先に進める牛車を通す手伝いをする。
「それはこちらでしますから」
率先して動こうとしたグリムバルドを大江家の者が止める。
「このくらいは……」
「いえいえ、むしろ、このくらいは我々がするところですから」
「ああ……そうか。警戒は俺の仕事だな」
グリムバルドの答えににっこりと立ち去る人物を見て「学校の教師みたいだ」と思い出していた。
身なりの良い男の子が二人、真夕とレイアを牛車の陰からうかがっていた。
「どうしたのかな?」
真夕が声を掛けると、二人は「ばれた」とばかりに堂々と出てきた。
「父上から依頼を受けたんでしょ?」
「どうしてなの?」
兄の方は丁寧に、弟の方は子供らしく問う。
真夕とレイアは顔を見合わせたが、細かいことは依頼人の吉備 灯世から聞いていない。
「ごめんね。あなたたちの護衛としか聞いていないから」
「そうだな。でも、安全は保証するぞ」
真夕とレイアの言葉に、男の子たちは黙ったがうなずいた。
「あ、母上が呼んでる」
「海が近いって聞いたよ」
男の子たちはしゃべるだけしゃべって立ち去った。思わず真夕とレイアは笑うが、周囲への警戒は怠るわけにはいかないと気持ちが改まった。
休憩が終わり前に進む。
ぬかるみがあったが、準備していた板やハンターが手伝いもあり小さな問題で済んだ。
それからしばらくして、遠くを警戒していたロジャーは眉をひそめた。
「あれは……イノシシの集団?」
連絡を取るとメイムから「そっち南の方だよね」と確認の通信がある。ロジャーは確認してその通りと答えた。
詳細のやり取りをしている場合ではなく、これらを防がないといけない。
「場所の交代だ」
リューが馬を駆ってロジャーのいる位置に向かう。ロジャーは銃で敵を狙えるため、列の近い方に移動した。
「ここで止めて殲滅する! 【ソウルトーチ】」
リューのマテリアルが見えない炎となり湧き上がる。強調されたそれに気づいた敵が近づいてくるか、気にしないかはわからない。それらは、ひとまずリューに向かって行った。
リューが守りを固めてひきつけたところで薙ぎ払った。その直後に、それらは襲い掛かる。
「この程度は防げる」
ぶつかられる衝撃は続く。
「こっちだっているんでね」
ロジャーがライフルで援護をしていた。
グリムバルドは近づいてくる存在に気づく。
「進むのを止めるな! そのための俺たちだ」
敵が来るのを見つめ、列の外側に着く。距離に応じて戦えるように、武器に手をかけていた。
「ちょっとごめんよ」
アレイダは馬車の上にひょいと乗る。揺れるが高さが出る分、敵の動きが見えやすい。銃を構えた。
メイムとハンスは援護に出るか待機するか判断しなければならない。
「この場合、私が行ってきた方が早いですね」
「よろしくね。機動力と敵への攻撃力考えたら早く倒せるよ」
ハンスはゴースロンで一行から離れた。離れたといっても、互いに視認できる距離である。
レイアは連絡を聞き、敵が来るならば引き離すべきかと考える。
「早く倒すことも大切だけど、後方から来ないとは限らないよ」
真夕がきっぱり告げる。
「あれくらいなら……という油断はダメだけど、倒せるはずだよ」
レイアはうなずく。戦いの様子が見える位置なのは子らや戦いに慣れていない人たちの心に重しとなると考えているため、問題を感じなくはなかった。レイアはキュと唇を噛む。
「最善を尽くさないと」
レイアは周囲に目を走らせた。
イノシシのような雑魔も討伐はされた。ハンターたちは連絡は密に取り、散発的に発生する雑魔たちとの戦い潜り抜けていった。
●曲がり角
できれば、水がある復興できていない里跡を使いたかった。しかし、そこまで行くには若干歩みは遅かった。人数が多いので無理な可能性もあったので無茶はできない。
リューは馬の上で振り返る。列が全部見渡せる位置にあるわけではないが、列が長いのは分かった。
「頃合いかな……明るいうちにまとまったほうがいいだろうし」
リューはメイムが提案していた早めの休息を視野に入れた。
「俺は周囲を見てくる」
「ああ、俺はここで皆を見てる」
リューが護衛を請け負い、ロジャーは重魔導バイクを走らせた。敵は南から来ているようである。それが確定ならば守りやすくなる。
「といえ、違ったらまずいよな」
だから、誰も断定はしていない。それこそ、雑魔が大挙している場所があれば別だ。
「ん……って、か、でかい?」
大きな影こちらに近づいてくるのが肉眼でわかるし、枯れ木があり隠れられる。連絡を取ると、ロジャーは下がる。
ハンスとレイア、リューがすぐに来た。
「こっちに引き付けて足止めする」
レイアがマテリアルで自身の強化後【ソウルトーチ】を用いる。
「スキルの温存もしたいんだ……が」
「様子見てからでいいと思いますよ」
リューとハンスの言葉にレイアは「構わない」と告げた。受け止める以外でもまだここはいい。
「とはいえ、こっちも狙うぞ」
ロジャーは引き金を絞った。それに続き、接敵状態になったクマのような雑魔に対し、リューとハンスの攻撃が叩き込まれる。その直後、雑魔はレイアを狙った。
「っ!」
衝撃が大きかったのは、他の者にも分かった。
「さっさと退場願おうか【海魔の八腕】」
ロジャーから放たれた銃弾は、雑魔に当たると氷つきそうな冷気を発した。
「意外とすばしっこく丈夫ですねぇ、なら、こちらもそれ相応の対応しますよ」
ハンスは刃と自身を一旦引き、円描くように武器を振るった。
「長引かせる意味がないな」
リューもマテリアルを込めて攻撃をした。
「最後に行かせてもらう」
レイアはクマ雑魔にとどめを刺した。
クマ雑魔が出たころ、真夕はハッとする。後方の横手から地響きがしたのだ。複数の何かが来る音。
「後方の方に雑魔ぽいの来たよ、力を貸して! 皆さん、急いで! ここは私たちが倒すから安心して」
連絡をする共に、住民たちに声をかけた。その間、大江家の戦力なはずの鬼二人が民のサポートのかなめとなる。
アレイダとメイムとグリムバルドが連絡により駆けつける。
「馬車の上から狙いやすかったが、状況が変わったからな」
アレイダは接敵する前は銃を使うため構える。
「これまでの雑魔は【ソウルトーチ】を意識してくれてるけど使えないね」
「それを嘆いても仕方がない、こちらに来るなら倒すのみ」
グリムバルドが淡々と告げるとメイムも嘆きつつ、槍を構えて戦闘準備は整えていた。
「距離が少しでもあるうちに行くわよ! 【グラビデフォール】」
真夕の魔法が戦闘の開始合図となった。
「ここにお前たちにやるような餌はないんでね、さっさとお引き取り願うよ」
アレイダは引き金を絞る。
「狙いやすいうちに攻撃するぞ」
「そうだよー……ていっ」
グリムバルドの【風雷陣】が放たれ、メイムが近くにいる敵に槍を叩き込んだ。
足止めできなかったものが、一行に群がる。避けることはできるが、突破されることは避けないとならない。
「っ……」
アレイダは銃から拳に切り替える。技を叩き込む。
「安全第一……だからね【ライトニングボルト】」
「符を……風よ、雷よ【風雷陣】」
真夕とグリムバルドから魔法が放たれる。
「これで終わり」
「だな」
メイムとアレイダが残った敵に攻撃を叩き込んだ。
敵を倒しえたハンターたちは一行と合流する。ここが野営に向いて言えるか否かはわからないが、どこでも危険はありうる。まとまり、いかに守るかであった。護衛対象であっても、一行は自分たちで行動できる性質だった。そのため、見張り等は積極的にやってくれる。
しばらくは気が休まらない状況は続いた。しかし、南から都に向かうルートから外れたころから、雑魔の気配はかなり薄れた。
●海風
翌日、それなりに順調に進んだが、あと一息で日が落ちた。目と鼻の先であり、進むことが選ばれる。
灯があっても暗いため、非常に緊張はする。
「あと一時間もしないでつくのかな」
「そうなのか……だといい」
真夕とレイアは呟く。あと一息と聞いた護衛をしている人たちは元気を増したようだった。
メイムとハンスは見覚えのある景色に安堵の息を思わず吐いた。
「あと少しだよー」
メイムは住民に声をかける。
「まだ、荒地に近いですが、荷物と人手があれば……」
ハンスはここに家や畑ができるのも近いだろうと考えた。
グリムバルドとアレイダは馬車などがくたびれているのを見ていた。そのため、目的地があと少しとわかると荷物も無事に運べそうでほっとする。
「まだ油断はできないねぇ」
「……あれは? 灯か?」
グリムバルドの言葉にアレイダが「そうだねぇ」と同意した。
リューとロジャーは、灯を持って一行を迎えるようにいる人たちに気づいた。
「紅葉ちゃーん、俺のこと覚えているかな!」
ロジャーが紅葉の姿を認めて言う。
「……何があったのですか? ハンターの方に物資くらいを運んでもらうとは思っていましたが」
紅葉は困惑している。
「物資だけでなく、この辺りの住民と、吉備の人もいる」
リューの言葉に、余計に紅葉は混乱した。ひとまず、全員の無事を確認するまで、話はお預けだった。
夜と言うことで再会もそこそこではあった。
まだ、あまり何もないところでこの大所帯をどうするのか、紅葉に注がれた視線は非常に重かった。
なお、大江家のペットたちもどうやってかやってきていたのだった。それを見て「どうにかするしかないのですね」と紅葉は苦笑し、里を見つめたのだった。
メイム(ka2290)が示した隊列に一部修正をして出発した。二列縦隊に対し、ハンターが前から適度な距離を取り左右に付く形である。
大江家の周辺を出たときはまだ何もなかったが、天ノ都を出たあたりで事態が急転した。マテリアルが動いているという感覚を持った者もあるだろう。それは人を不安にさせるものでもあった。
メイムは急ぐように声をかける。何かが起こるならば都であろうから、早く離れる方がいいと前もって言ってはあった。
「なんかありそうだし、最初の三十分は、少しでも急いでねー。必要なら馬車や牛車に乗せてあげてねー」
ハンス・ラインフェルト(ka6750)はメイムと列を挟んだ位置にいる。
ハンスはシビアな優先順位を持っていた。里の再編を考えると大江家は何としても護らねばならないと。結果、大江 紅葉(kz0163)の上司一家と言っても優先順位は下がる。
「これだけの列です、街道を逸れることも他の道を行くこともできませんよ。どこまで守れるかは…最初の私達の配置と、運かもしれません」
出発前に大江家の家令に頼んだことが一つあった。以前行ったときに舗装されている道ではないことを考えてのことだった。ぬかるみに車が取られると遅れの原因にもなるし、焦りなど心情にもよくはない。そのため、戸板や木材を余分に持っていくことができるかと言うことだった。幸い、大江家の驢馬たちも使えばどうにかなるということで解決された。
誰ともなく、嫌な色の空を見る。
七夜・真夕(ka3977)とレイア・アローネ(ka4082)は列の最後にいた。駆け足はいいのだが遅れる人が出てくる不安がある。なお、真夕は自分の驢馬に少しでも物資を積んでいた。
(商隊の護衛はあったがこれだけの人数は……)
レイアは初めてのことということで眉を寄せたが、真夕が彼女の雰囲気を察したらしく、自分の口角に指を当てて「笑顔」というしぐさをする。
「みんな無理はしなくて大丈夫だからね! もし遅れても私たちがいるし、きちんと無事に送り届けます」
真夕が不安を吹き飛ばすような笑顔で告げた。
レイアは同意するようにうなずく。戦闘できない民を怯えさせることは良くないと思い出した。
「こうして連絡を取る道具があるんだ。精一杯進むことだけ考えてくれればいい」
子どもが「かっけー」とか言っているのが聞こえた。まだ余裕があるということで、むしろ心が和んだ。
最前列にいるペアの一人ロジャー=ウィステリアランド(ka2900)は重魔導バイクの初乗りや紅葉に会おうとしたか色々と思惑がある。とはいえ、最大の目的は非戦闘員の安全な移動だ。
「現状は不審な物はない、よな」
駆け足状態の住民たちと異なり、乗り物に乗っている分、周囲に気を配ることができる。
「そっちはどうだ?」
リュー・グランフェスト(ka2419)は声を掛けられ、「問題ない」と答える。
移動する列の先頭で民衆から離れない位置にリューもいる。
「何も出ない方がいいんだがな……」
そうはいっていられない空気が南から漂ってきてた。
グリムバルド・グリーンウッド(ka4409)は必死に移動する車類を見る。
「それにしても故郷へ帰る、か」
タイミングが良いのか悪いのかわからないが、今回、上層部で色々起こっていることが背中を押しているのは事実だろう。
守る民の列をグリムバルドと挟み並び歩く、アレイダ・リイン(ka6437)は馬車や牛車の様子を見る。遠くを見るために乗って移動したかったが、難しそうだ。
(そればかりは荷物が優先だねぇ……この界隈の歪虚の動きが活発化しているそうだしねぇ……)
心の中でつぶやく。稼ぐとともに、民の安全は優先すべきと心得ている。もちろん、何も出ないほうがいいに決まっている。アレイダは遠くを見つめた。
●休息ののち……
都から離れ、速度は大八車の無理のない移動速度まで落とした。緊張もあるためか、まだ列は伸びきらず、それなりにまとまっている。一行は順調に進んでいるといってよかった。
朝から動いて三時間ほどたち、一行は休息と列の間隔の調整に入る。
休息を取らずに移動したいという意見もあった。
「でもね、ただ歩くだけじゃないから気をつけないと辛くなるよ」
メイムは休息の意義を説く。
「そうですよ。紅葉さんがいる所まで、馬を使っても途中で夜を迎えます。我々は徒歩であり、荷物もあるのです」
ハンスも説得に加わる。
比較的元気で進みたいと言った者は、二人の説得にうなずいたのだった。
リューとロジャーは休息を少し早めに切り上げ、先を見て道の状況を確認した。
「あのあたりがぬかるんでいるかなぁ……」
リューは確認をとるが、単騎通るには問題がなくとも、人や車が多く通れば水が表に出そうな状況に見える。
「かつ、隠れられそうなところがあれば危険か?」
望遠鏡を使って眺めるロジャーはより細かく不自然なところはないか注意する。
リューがその間に仲間に連絡を取る。ぬかるみのための道具の準備と必要な手伝いがあればいうようにと告げた。
アレイダは休憩中、荷物の状況を確認する。一行の準備が抜かりないと関心した。
「序盤で酷使したかもしれないが……簡単に壊れるものではないな」
グリムバルドは道の情報を受けて、先に進める牛車を通す手伝いをする。
「それはこちらでしますから」
率先して動こうとしたグリムバルドを大江家の者が止める。
「このくらいは……」
「いえいえ、むしろ、このくらいは我々がするところですから」
「ああ……そうか。警戒は俺の仕事だな」
グリムバルドの答えににっこりと立ち去る人物を見て「学校の教師みたいだ」と思い出していた。
身なりの良い男の子が二人、真夕とレイアを牛車の陰からうかがっていた。
「どうしたのかな?」
真夕が声を掛けると、二人は「ばれた」とばかりに堂々と出てきた。
「父上から依頼を受けたんでしょ?」
「どうしてなの?」
兄の方は丁寧に、弟の方は子供らしく問う。
真夕とレイアは顔を見合わせたが、細かいことは依頼人の吉備 灯世から聞いていない。
「ごめんね。あなたたちの護衛としか聞いていないから」
「そうだな。でも、安全は保証するぞ」
真夕とレイアの言葉に、男の子たちは黙ったがうなずいた。
「あ、母上が呼んでる」
「海が近いって聞いたよ」
男の子たちはしゃべるだけしゃべって立ち去った。思わず真夕とレイアは笑うが、周囲への警戒は怠るわけにはいかないと気持ちが改まった。
休憩が終わり前に進む。
ぬかるみがあったが、準備していた板やハンターが手伝いもあり小さな問題で済んだ。
それからしばらくして、遠くを警戒していたロジャーは眉をひそめた。
「あれは……イノシシの集団?」
連絡を取るとメイムから「そっち南の方だよね」と確認の通信がある。ロジャーは確認してその通りと答えた。
詳細のやり取りをしている場合ではなく、これらを防がないといけない。
「場所の交代だ」
リューが馬を駆ってロジャーのいる位置に向かう。ロジャーは銃で敵を狙えるため、列の近い方に移動した。
「ここで止めて殲滅する! 【ソウルトーチ】」
リューのマテリアルが見えない炎となり湧き上がる。強調されたそれに気づいた敵が近づいてくるか、気にしないかはわからない。それらは、ひとまずリューに向かって行った。
リューが守りを固めてひきつけたところで薙ぎ払った。その直後に、それらは襲い掛かる。
「この程度は防げる」
ぶつかられる衝撃は続く。
「こっちだっているんでね」
ロジャーがライフルで援護をしていた。
グリムバルドは近づいてくる存在に気づく。
「進むのを止めるな! そのための俺たちだ」
敵が来るのを見つめ、列の外側に着く。距離に応じて戦えるように、武器に手をかけていた。
「ちょっとごめんよ」
アレイダは馬車の上にひょいと乗る。揺れるが高さが出る分、敵の動きが見えやすい。銃を構えた。
メイムとハンスは援護に出るか待機するか判断しなければならない。
「この場合、私が行ってきた方が早いですね」
「よろしくね。機動力と敵への攻撃力考えたら早く倒せるよ」
ハンスはゴースロンで一行から離れた。離れたといっても、互いに視認できる距離である。
レイアは連絡を聞き、敵が来るならば引き離すべきかと考える。
「早く倒すことも大切だけど、後方から来ないとは限らないよ」
真夕がきっぱり告げる。
「あれくらいなら……という油断はダメだけど、倒せるはずだよ」
レイアはうなずく。戦いの様子が見える位置なのは子らや戦いに慣れていない人たちの心に重しとなると考えているため、問題を感じなくはなかった。レイアはキュと唇を噛む。
「最善を尽くさないと」
レイアは周囲に目を走らせた。
イノシシのような雑魔も討伐はされた。ハンターたちは連絡は密に取り、散発的に発生する雑魔たちとの戦い潜り抜けていった。
●曲がり角
できれば、水がある復興できていない里跡を使いたかった。しかし、そこまで行くには若干歩みは遅かった。人数が多いので無理な可能性もあったので無茶はできない。
リューは馬の上で振り返る。列が全部見渡せる位置にあるわけではないが、列が長いのは分かった。
「頃合いかな……明るいうちにまとまったほうがいいだろうし」
リューはメイムが提案していた早めの休息を視野に入れた。
「俺は周囲を見てくる」
「ああ、俺はここで皆を見てる」
リューが護衛を請け負い、ロジャーは重魔導バイクを走らせた。敵は南から来ているようである。それが確定ならば守りやすくなる。
「といえ、違ったらまずいよな」
だから、誰も断定はしていない。それこそ、雑魔が大挙している場所があれば別だ。
「ん……って、か、でかい?」
大きな影こちらに近づいてくるのが肉眼でわかるし、枯れ木があり隠れられる。連絡を取ると、ロジャーは下がる。
ハンスとレイア、リューがすぐに来た。
「こっちに引き付けて足止めする」
レイアがマテリアルで自身の強化後【ソウルトーチ】を用いる。
「スキルの温存もしたいんだ……が」
「様子見てからでいいと思いますよ」
リューとハンスの言葉にレイアは「構わない」と告げた。受け止める以外でもまだここはいい。
「とはいえ、こっちも狙うぞ」
ロジャーは引き金を絞った。それに続き、接敵状態になったクマのような雑魔に対し、リューとハンスの攻撃が叩き込まれる。その直後、雑魔はレイアを狙った。
「っ!」
衝撃が大きかったのは、他の者にも分かった。
「さっさと退場願おうか【海魔の八腕】」
ロジャーから放たれた銃弾は、雑魔に当たると氷つきそうな冷気を発した。
「意外とすばしっこく丈夫ですねぇ、なら、こちらもそれ相応の対応しますよ」
ハンスは刃と自身を一旦引き、円描くように武器を振るった。
「長引かせる意味がないな」
リューもマテリアルを込めて攻撃をした。
「最後に行かせてもらう」
レイアはクマ雑魔にとどめを刺した。
クマ雑魔が出たころ、真夕はハッとする。後方の横手から地響きがしたのだ。複数の何かが来る音。
「後方の方に雑魔ぽいの来たよ、力を貸して! 皆さん、急いで! ここは私たちが倒すから安心して」
連絡をする共に、住民たちに声をかけた。その間、大江家の戦力なはずの鬼二人が民のサポートのかなめとなる。
アレイダとメイムとグリムバルドが連絡により駆けつける。
「馬車の上から狙いやすかったが、状況が変わったからな」
アレイダは接敵する前は銃を使うため構える。
「これまでの雑魔は【ソウルトーチ】を意識してくれてるけど使えないね」
「それを嘆いても仕方がない、こちらに来るなら倒すのみ」
グリムバルドが淡々と告げるとメイムも嘆きつつ、槍を構えて戦闘準備は整えていた。
「距離が少しでもあるうちに行くわよ! 【グラビデフォール】」
真夕の魔法が戦闘の開始合図となった。
「ここにお前たちにやるような餌はないんでね、さっさとお引き取り願うよ」
アレイダは引き金を絞る。
「狙いやすいうちに攻撃するぞ」
「そうだよー……ていっ」
グリムバルドの【風雷陣】が放たれ、メイムが近くにいる敵に槍を叩き込んだ。
足止めできなかったものが、一行に群がる。避けることはできるが、突破されることは避けないとならない。
「っ……」
アレイダは銃から拳に切り替える。技を叩き込む。
「安全第一……だからね【ライトニングボルト】」
「符を……風よ、雷よ【風雷陣】」
真夕とグリムバルドから魔法が放たれる。
「これで終わり」
「だな」
メイムとアレイダが残った敵に攻撃を叩き込んだ。
敵を倒しえたハンターたちは一行と合流する。ここが野営に向いて言えるか否かはわからないが、どこでも危険はありうる。まとまり、いかに守るかであった。護衛対象であっても、一行は自分たちで行動できる性質だった。そのため、見張り等は積極的にやってくれる。
しばらくは気が休まらない状況は続いた。しかし、南から都に向かうルートから外れたころから、雑魔の気配はかなり薄れた。
●海風
翌日、それなりに順調に進んだが、あと一息で日が落ちた。目と鼻の先であり、進むことが選ばれる。
灯があっても暗いため、非常に緊張はする。
「あと一時間もしないでつくのかな」
「そうなのか……だといい」
真夕とレイアは呟く。あと一息と聞いた護衛をしている人たちは元気を増したようだった。
メイムとハンスは見覚えのある景色に安堵の息を思わず吐いた。
「あと少しだよー」
メイムは住民に声をかける。
「まだ、荒地に近いですが、荷物と人手があれば……」
ハンスはここに家や畑ができるのも近いだろうと考えた。
グリムバルドとアレイダは馬車などがくたびれているのを見ていた。そのため、目的地があと少しとわかると荷物も無事に運べそうでほっとする。
「まだ油断はできないねぇ」
「……あれは? 灯か?」
グリムバルドの言葉にアレイダが「そうだねぇ」と同意した。
リューとロジャーは、灯を持って一行を迎えるようにいる人たちに気づいた。
「紅葉ちゃーん、俺のこと覚えているかな!」
ロジャーが紅葉の姿を認めて言う。
「……何があったのですか? ハンターの方に物資くらいを運んでもらうとは思っていましたが」
紅葉は困惑している。
「物資だけでなく、この辺りの住民と、吉備の人もいる」
リューの言葉に、余計に紅葉は混乱した。ひとまず、全員の無事を確認するまで、話はお預けだった。
夜と言うことで再会もそこそこではあった。
まだ、あまり何もないところでこの大所帯をどうするのか、紅葉に注がれた視線は非常に重かった。
なお、大江家のペットたちもどうやってかやってきていたのだった。それを見て「どうにかするしかないのですね」と紅葉は苦笑し、里を見つめたのだった。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談卓 ロジャー=ウィステリアランド(ka2900) 人間(クリムゾンウェスト)|19才|男性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2018/02/06 17:38:59 |
|
![]() |
【質問卓】 メイム(ka2290) エルフ|15才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2018/02/04 15:10:35 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/02/04 19:54:08 |