ゲスト
(ka0000)
その意志を受け継いで
マスター:一要・香織

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/02/18 12:00
- 完成日
- 2018/02/21 17:08
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
グラズヘイム王国の片隅に、広い林と広い平野を持つ領主がいた。
領地では農耕が盛んで、民は、金持ち……とは言えないが、食べる物に困る事のない、平穏な土地で幸せに暮らしている。
その平穏な領地を治める貴族に事件が起こった。
「直ぐに、ハンターに依頼を出すのです」
そう言い放ったのは、レイナ・エルト・グランツという18を迎えたばかりの若い女。
この領地を治めていた貴族、アイザック・エルト・グランツの一人娘だ。
「しかし、こういうことは王国に報告して、そちらからの指示を待たなければ……」
苦言を漏らすのは髭を生やした中年の男。付近の村の長だった。
「王国の指示を待っていては、時間が掛かり過ぎます。雑魔の討伐です、ハンターに頼むのが一番早いでしょう!」
高く結い上げた金色の髪を揺らし、レイナは村長の言葉を一蹴した。
そう、広大な領地の片側を囲む様に存在している林に、雑魔が出没したのだ。
年に2回、父親のアイザックは私兵を連れて領地内の視察に出掛けていた。そうして領地内を隅々まで見て回っていたのだが、5日程前、いつもと同じ様に出掛け、帰らぬ人となった……。
林に突如現れた雑魔に襲われ、数人の兵士と共に命を落としたのだ。
逃げ延びた兵士によって持ち帰られた死体は、いくつもの刺し傷に、切断された腕……、苦痛に歪む顔からは無念の程がありありと伝わった。
偉大だった父親の死に涙するも、一人娘であるレイナは父親の遺志を継ぎ、新たな領主として就任したのだった。
「ですがお父上はこういった場合、いつも王国に報告をしていましたぞ」
新たな領主が若い女……と言う事が気に入らないのか、村長は眉間に皺を寄せ更に言葉を重ねた。
「それは、雑魔の被害が無いうちだったからでしょう? 今回はもうすでに死人が出ているのですよ。事後報告になったところで、お咎めなどないでしょう」
「っ……」
レイナの言葉に苦々しげに奥歯を噛みしめ、村長は、分かりましたと応えた。
「サイファー、雑魔の事を教えてくれる?」
レイナは扉の前に佇んだ若い兵士を振り返った。
サイファーと呼ばれた男は、背筋を伸ばすと小さく頷く。
サイファーはアイザックの視察に同行し、亡骸を持ち帰った兵士の一人だった。
「西の林に出現した雑魔は、大ムカデ型の雑魔です。数は3匹。身体は我々の持つ剣を弾く程に硬く、複数の鋭い足に大きなハサミの様な顎を持っています」
「うえぇ……」
村長はあからさまに嫌忌の表情を浮かべる。
「噛まれた者が居りましたが、痺れがあった程度で既に回復しています」
サイファーが口を閉じると、部屋の中を静寂が駆け抜けた。
「……そう。ありがとう。尚更そんな危険な雑魔をこのままにしておけないわ」
ゴクリと息を飲んだレイナは、再び村長を見据えた。
「急いで依頼を出してちょうだい」
サイファーの話に不安を煽られたのか、村長は勢いよく首を縦に振ると、そそくさと部屋を後にした。
バタンッと閉まるドアに視線を向けながら、
「お父様の敵は、絶対に倒すからね……」
レイナの口からポツリと零れた言葉は、涙を堪えているのか――震えていた。
領地では農耕が盛んで、民は、金持ち……とは言えないが、食べる物に困る事のない、平穏な土地で幸せに暮らしている。
その平穏な領地を治める貴族に事件が起こった。
「直ぐに、ハンターに依頼を出すのです」
そう言い放ったのは、レイナ・エルト・グランツという18を迎えたばかりの若い女。
この領地を治めていた貴族、アイザック・エルト・グランツの一人娘だ。
「しかし、こういうことは王国に報告して、そちらからの指示を待たなければ……」
苦言を漏らすのは髭を生やした中年の男。付近の村の長だった。
「王国の指示を待っていては、時間が掛かり過ぎます。雑魔の討伐です、ハンターに頼むのが一番早いでしょう!」
高く結い上げた金色の髪を揺らし、レイナは村長の言葉を一蹴した。
そう、広大な領地の片側を囲む様に存在している林に、雑魔が出没したのだ。
年に2回、父親のアイザックは私兵を連れて領地内の視察に出掛けていた。そうして領地内を隅々まで見て回っていたのだが、5日程前、いつもと同じ様に出掛け、帰らぬ人となった……。
林に突如現れた雑魔に襲われ、数人の兵士と共に命を落としたのだ。
逃げ延びた兵士によって持ち帰られた死体は、いくつもの刺し傷に、切断された腕……、苦痛に歪む顔からは無念の程がありありと伝わった。
偉大だった父親の死に涙するも、一人娘であるレイナは父親の遺志を継ぎ、新たな領主として就任したのだった。
「ですがお父上はこういった場合、いつも王国に報告をしていましたぞ」
新たな領主が若い女……と言う事が気に入らないのか、村長は眉間に皺を寄せ更に言葉を重ねた。
「それは、雑魔の被害が無いうちだったからでしょう? 今回はもうすでに死人が出ているのですよ。事後報告になったところで、お咎めなどないでしょう」
「っ……」
レイナの言葉に苦々しげに奥歯を噛みしめ、村長は、分かりましたと応えた。
「サイファー、雑魔の事を教えてくれる?」
レイナは扉の前に佇んだ若い兵士を振り返った。
サイファーと呼ばれた男は、背筋を伸ばすと小さく頷く。
サイファーはアイザックの視察に同行し、亡骸を持ち帰った兵士の一人だった。
「西の林に出現した雑魔は、大ムカデ型の雑魔です。数は3匹。身体は我々の持つ剣を弾く程に硬く、複数の鋭い足に大きなハサミの様な顎を持っています」
「うえぇ……」
村長はあからさまに嫌忌の表情を浮かべる。
「噛まれた者が居りましたが、痺れがあった程度で既に回復しています」
サイファーが口を閉じると、部屋の中を静寂が駆け抜けた。
「……そう。ありがとう。尚更そんな危険な雑魔をこのままにしておけないわ」
ゴクリと息を飲んだレイナは、再び村長を見据えた。
「急いで依頼を出してちょうだい」
サイファーの話に不安を煽られたのか、村長は勢いよく首を縦に振ると、そそくさと部屋を後にした。
バタンッと閉まるドアに視線を向けながら、
「お父様の敵は、絶対に倒すからね……」
レイナの口からポツリと零れた言葉は、涙を堪えているのか――震えていた。
リプレイ本文
「こちらでお待ちください」
王国の片隅にある領主の屋敷――その応接室に通されたハンターは、ふかふかのソファに腰を下ろした。
間もなく廊下から、カツカツ……という足音が聞こえ、扉が開く。
姿を見せたのは、この屋敷の主である若い女……しかし、その居出立ちにハンターは目を見開いた。
フワリと揺れるスカート……、ではなく、女が身に着けているのは、男物の貴族服。
首元までキッチリと着込まれた服は、まるで自分を奮い立たせているようだ。
高く結った美しい金糸の髪を揺らし、緊張した面持ちでハンターに歩み寄る。
「急な依頼にも関わらず、来て下さってありがとうございます」
そう口を開いたレイナの声は僅かに沈んでいたが、力強い瞳でハンターを見据えた。
「犠牲者は、前領主だそうだな……心中察する」
ユルゲンス・クリューガー(ka2335)の低い声が室内に響くと、レイナはキュッと唇を噛んだ。
レイナはハンター達の前に腰掛けると静かに口を開いた。
「西の森に出没したのは大ムカデ型の雑魔です。……どうか皆様のお力で、雑魔の討伐をお願い致します」
ゆっくりと頭を下げるレイナからは、悔しさの色が滲んでいる。
小さく震えるその肩を見詰め、セレス・フュラー(ka6276)は口を開いた。
「貴方の気持ちはよく分かる。自分で父親の仇を討ちたいって……だけど貴方の立場ではそれが許されない」
セレスの言葉に目を見張り、レイナは小さな声で応えた。
「はい。もし、わたくしが戦場に出て万が一にでも命を落したら……お父様が守ってきたこの領地を、民を、守ることが出来ません」
自分が仇を討つという思いよりも、大切な物がある……。
だから……レイナはハンターに自分の思いを託すのだ。
「心配しないで待っていてくれ。新しき領主の決意に、我々は最善の結果で返すとしよう」
クレア・マクミラン(ka7132)の言葉に、ハンター達は頷き立ち上がった。
「どうかお気を付けて」
ハンター達から醸し出された覇気に、レイナの声は強張る。
「領主としての初仕事、必ず成功させよう」
安心させるように優しく微笑んだ鞍馬 真(ka5819)が言葉を掛けると、レイナは少しホッとして肩の力を抜いた。
西の森に向かって小さくなっていくハンターの姿を見据えながら、レイナは祈る様に手を握り締めた。
森の入り口には、数日前にそこから撤退した兵士たちの足跡や、血の跡、何かを引きずった様な跡が残っており、その時の悲惨な状況を想像させた。
「全滅……なんて状態でなくて良かったですが、レイナさんのお父様は……」
点々と続く血痕を見詰めながら、カティス・フィルム(ka2486)が眉を下げた。
「ああ。……急遽とは言え領地を治めるなんて、まだ18歳の女の子には大変な役目だろう」
真も血痕を見詰め、その視線を森の奥へと移動させる。
「ホント、大変だよね。領主の仕事なんてさ。あたしだったら面倒だから逃げ出してるね」
少し沈んだ空気を一蹴するようにセレスが戯けた調子で呟いた。
「ならば、私たちが力になればいい」
優しく弓なりに目を細めたレイア・アローネ(ka4082) が力強く言葉を重ねる。
「さあ、行きましょう!」
カティスの声と共に、ハンター達は森の暗がりを睨み歩き出した。
樹や茂み、岩の影などをカティスとセレスは注意深く確認しながら、時折聞こえる音にも意識を向けた。
暫らく歩くと、――それは突然現れた。
ムカデは前方の太い木の幹に張り付き、獲物が来るのを待っている様だった。
ハンター達がその姿を認識した途端、背後からガサガサと不気味な音がいくつも聞こえ出す。
前方のムカデを警戒しながら振り向くと、新たに2匹のムカデがいくつもの脚を動かし、ハンター達を取り囲もうと近付いてくる。
「挟み撃ちってわけですね」
カティスは僅かに驚くも、冷静にその間合いを測る。
「相手は虫ケラといえど雑魔、油断はできんな」
同じく前方のムカデも見据えながら、ユルゲンスも口を開いた。
「私の獲物は貰っていくぞ。カティス、援護を頼む!」
レイアは不敵に微笑むと後方から現れたムカデの1匹に向かいシーガルスホルムを構え、一気に間合いへと踏み込み、跳躍して渾身撃をムカデの頭部へと叩き込んだ。
レイアは身体を捻ってムカデの曳航肢の側に着地する。
「任せて!」
そのタイミングでカティスが走りだし、レイアの横を通り抜け森の奥へと走っていく。
それを確認しながらレイアは剣を振り上げた。
威嚇するようにブンブンと振り回される2本の曳航肢に狙いを付けると、一気に剣で斬り落とした。
ビクリと身体を震わせたムカデは怒った様にレイアの方に頭を向ける。
その時を待っていたレイアは、炎の様なマテリアルのオーラを纏い、ムカデの意識を強く引きつけた。
ムカデは一直線にレイアへと向かっていく。
充分に引きつけると、レイアはカティスが向かって行った方へと駆け出し、その後をムカデが追いかけた。
少し走ると僅かに拓けた場所に出た。
足を止めたレイアは振り返り、ムカデを挑発する。
その空間に入ったムカデに、待ち構えたカティスは威力を高めたアイスボルトを放った。
パキッピキッ、パシッ――。
ムカデの胴体には霜が降り、脚は凍り付いて動かなくなった。
直後、カティスはファイアアローを凍り付いた胴体に放つ。
ムカデの胴体は温度差の歪に耐え切れず、弾ける様に表皮に亀裂が走った。
「レイナの父上の仇は取らせてもらうぞ」
レイナの悲しげな顔が脳裏を過ぎるとレイアの胸にはカッと熱が灯り、その熱を力に変える様に、ムカデの鋼の様な胴体に再び渾身の一撃を打ち込んだ。
衝撃にムカデは身体をくねらせ、いくつもの脚が、石を、枝を弾いていく。
ムカデの脚で弾かれた石が、カティスを目掛けて飛んだ。
レイアは守りの構えでその石つぶてを受けた。
「凍てつく氷の刃よ、敵を貫け! アイスボルト!」
再びムカデの胴体が凍り付く。
攻撃に転じたレイアが剣を構え直した刹那、ムカデは立ち上がる様に身体を持ちあげた。
予想外の行動に、レイアは目を見開いた。
息を飲むより早くムカデの顎がレイアに迫り、咄嗟に突き出した剣がその顎を留めた。
宙を掻いていたいくつもの脚が、レイアの腕に突き刺さり、赤い飛沫を生み出す。
「っ!」
「レイアさん!!」
痛みに顔を歪めたレイアにカティスが悲鳴のような声を上げる。しかし直ぐ様、カティスは頭部に向かいアイスボルトを唱えた。
レイアが飛び退くと、今度はファイアアローを唱え、一段と硬そうな頭に亀裂を作る。
続け様ムカデの頭に炎の矢が突き刺さった瞬間、レイアの渾身撃が脆くなった頭を叩き割った。
ムカデは塵となり、地面の砂となると2人はフッと息を吐いた。
レイアがムカデ1匹を引き連れその場を後にすると、続く様にユルゲンスもノルベルトを振り上げ後方のムカデの頭に渾身撃を叩き込んだ。
その衝撃にムカデは地面に打ち付けられ、触角を揺らした。
同時にセレスは軽やかにステップを踏みムカデのマテリアルを威圧すると、アンコールとアイデアル・ソングの効果を乗せ限界まで引き延ばす。
その間にもユルゲンスはムカデの反撃をかわし、その頭部に何度も打撃を与えた。
「なるほど、その鎧の様な外皮は伊達ではないということか」
眉を顰めたユルゲンスの少し後ろで、ステップを踏み終えたセレスがカラドボルグを掲げた。
毒々しい紫のオーラを纏った剣でムカデに狙いを定めると、素早く踏み込みムカデを斬りつけた。
セレスの毒が少しずつ身体を蝕み、その不快感からかムカデはグルグルと輪を描く様に動き始めた。
「嫉妬や恨み、憎しみってのは怖いものだよねぇ」
思い出す様に口元に弧を描き、セレスはポツリと呟いた。
苛立ったようにムカデは曳航肢を振り回し、ユルゲンスの鎧を叩いた。
その威力に歯を食い縛ると再び来る曳航肢を剣でいなし、渾身の打撃をムカデの頭に叩き込む。
セレスは再びステップを踏み、ムカデのマテリアルを威圧し始めた。
ムカデは大きな顎をカチカチと合わせると、近くの木の幹を噛み千切った。
幹はユルゲンスとセレスを目掛け倒れ込み、2人は寸での所で飛び退く。
「うわっ! 危なーい」
言葉ではそう言うものの、セレスの口調は余裕に満ちている。
「早めに倒さねば、森の中をグチャグチャにされてしまいそうだな」
反対にユルゲンスの口調は怒りを帯びている。
セレスはアイデアル・ソングを再び舞うとアンコールで効果を共鳴させた。
ユルゲンスがノルベルトを握り締め、ムカデに踏み込もうと腰を落した刹那、それより早くムカデが飛び掛かってきた。
ムカデの顎が大きく開き、ユルゲンスに噛みつこうとした瞬間、ユルゲンスの盾がその隙間に滑り込む。
それと同時にセレスのカラドボルグが胴節の隙間に突き刺さり、内部へと潜り込んだ。
ムカデの傷口からは青い体液が飛び散り、ビクリと体が跳ねたムカデはのた打ち回る様に身体を捩った。
その動きにセレスの剣は抜け、ユルゲンスの盾も放された。
のた打ち回るその拍子に、ムカデの腹部がチラリと覗く。
その好機を逃さず、セレスは武器を握り直し飛び掛かった。
「そのお腹は柔らかかったりするのかな?」
セレスは裏返った腹の部分に、深々と剣を突き立てる。
背面と比較して柔らかい腹に突き立てた剣を、今度は胴体に沿って振り向いた。
ムカデは激昂した様に頭部を持ち上げ、触角をバチバチと叩き付けるように動かし、大きな顎を再びカチカチ鳴らす。
「死闘も仕舞いぞ虫ケラ。掛かってくるがいい」
ナルヴィ・ソードに持ち替えたユルゲンスは顔の横で剣を構えた。
刀身を横たえ――静かにその時を待つ。
目の前のユルゲンスに向かい、ムカデは大きな口を開け飛び掛かった。
刹那、ユルゲンスは刺突一閃で踏み込むと鋒がギラリと煌めき、ムカデの頭を貫いた。
ムカデはボロボロと崩れ出し、間もなく塵に変わった。
後方から伝わる殺気を感じながら、真は前方のムカデを睨みつけた。
眼前のムカデの意識を引くため、真は正面から踏み込む。
ムカデは威嚇するように身体を持ち上げた。
真はそれに合わせる様に空中で回転し体勢を変えると、ムカデの頭に鋭く踵を落す。
衝撃にムカデは地面に倒れ込んだ。
しかし直ぐに起き上がると、真を目掛け飛び掛かる。
その様子に笑みを浮かべると、真とクレアは目配せし合い戦い始めた仲間に背を向け走り出した。
他のムカデから引き離したところで足を止めた真は、ソウルエッジで強化したカオスウィースを掲げ、剣心一如で呼吸を整える。
戦場には不釣り合いなほど凛とした空気が満ちていくのを感じながら、クレアは近付いてくるムカデに強弾を撃ち込んだ。
弾丸はムカデの頭部近くの脚を貫き関節から下をもぎ取った。
しかしムカデは徐々にその距離を詰めてくる。
真が魔導剣を握りなおしたのを合図に、クレアは威嚇射撃を放ちムカデの動きを封じた。
「たとえムカデが悪路の走破になれていようと、動く先を抑えてしまえばいい」
クレアが口元に小さな笑みを浮かべた、その瞬間、真は踏み込み剣を走らせる。
斬り上げる瞬間地面を擦った魔導剣は、生じた火花を火炎に変え、紅蓮の軌跡を描いてムカデを斬りつけた。
痛みを逃がすように身体を揺すったムカデは、直後鞭の様に身体をしならせ、足元の岩に尻を叩き付けた。
大きな岩は衝撃で砕け散り、2人を目掛けて飛ぶ。
「っ!」
真はクレアの前に飛び出すと、その攻撃からクレアを庇った。
「真、助かった」
そう呟くとクレアは再び強弾を撃ち込んだ。
反撃の隙を与えない様、二丁の拳銃で連続して攻撃しムカデの意識を分散させると、僅かにムカデの注意が真から逸れる。
その瞬間、生命力から作り出したマテリアルを纏わせた武器を掲げた真がムカデの死角から飛び掛かり、胴体に魔導剣を突き立てた。
ムカデは暴れ馬の様に身体を捻り、剣ごと真を振り払おうともがく。
しかし柄を強く握った真はその動きさえ利用するように、ムカデの胴体を抉った。
ムカデが曳航肢で叩き落そうと尻を持ち上げると、その尻にクレアの強弾が当たり跳ね返されるように尻は地面に着いた。
その隙に剣を引き抜いた真は一度飛び退くと、剣心一如で深く息を吐く。
クレアはクローズコンバットで足回りを底上げし、のた打ち回るムカデの死角に回り込んだ。
時折見え隠れする腹部を見据えると、銃剣を突き刺し、それを握り締め渾身の力でひっくり返した。
ムカデの脚は空しく宙を掻き、起き上がろうと曳航肢が何度も尻を持ち上げる。
「真、あとは任せます。フィニッシュブローを」
その声に真は駆け出した。
今にも起き上がりそうなムカデを睨み付け、高く跳躍する。
強化した魔導剣の柄を握り、大きく振りかぶると空気を震わせるほどに勢いよく振り下ろした。
頭部は胴体と斬り離され、塵は溶ける様に消えて行った。
それぞれのムカデを討伐し終えたハンター達は、更に森の中を捜索し新たな雑魔が居ない事を確認すると、レイナの屋敷へと戻った。
「討伐は完了した。これで新たに人が襲われることは無いから安心して欲しい」
真の言葉に、レイナは大きく息を吐いた。
「っ! ありがとうございます」
お礼の言葉を零すと、レイナは安堵して膝から崩れ落ちた。
新たな犠牲者を生み出してはならないという責任感。その重圧と緊張感が一気に弾け、それと同時に、憎んでいた父親の仇が居なくなったことでレイナの心にぽっかりと穴が空いた。
レイナの晴れやかな顔は、すぐに凍り付き、瞳には涙が滲む。
「余計なお世話かもしれないが、……今だけは泣いてもいいんじゃないかな」
ハンター達の気持ちを代弁するように真が優しく声を掛けると、レイナは唇をかみしめ、そして――
「うわぁーーーーーーん!」
人目もはばからず、大声で泣いた。
「お恥ずかしい所をお見せして申し訳ありませんでした」
少し落ち着いたレイナは穏やかな笑みを見せた。
「うむ、父上に倣い良き領主となる事だな。それが父上への手向けとなろう」
ユルゲンスが口を開くと、
「これから大変だと思うが、いつでも呼んでくれ。我々には荒事くらいしか引き受けられないが……」
レイアも優しい笑みを浮かべ口を開いた。
「はい。ありがとうございます。頑張ります」
レイナは静かに頭を下げた。
沈み始めた太陽を眺めていたクレアはフーッと紙巻煙草の煙を吐き出し、振り返りながら呟いた。
「いかなることがあろうとも、それでも人生は続いていく。日々を懸命に生きるのです。またいつかお会いしましょう、領主」
その言葉がレイナの心に染み込んでいく。
再び深く頭を下げるレイナに別れを告げ、ハンター達は帰っていったーーー。
王国の片隅にある領主の屋敷――その応接室に通されたハンターは、ふかふかのソファに腰を下ろした。
間もなく廊下から、カツカツ……という足音が聞こえ、扉が開く。
姿を見せたのは、この屋敷の主である若い女……しかし、その居出立ちにハンターは目を見開いた。
フワリと揺れるスカート……、ではなく、女が身に着けているのは、男物の貴族服。
首元までキッチリと着込まれた服は、まるで自分を奮い立たせているようだ。
高く結った美しい金糸の髪を揺らし、緊張した面持ちでハンターに歩み寄る。
「急な依頼にも関わらず、来て下さってありがとうございます」
そう口を開いたレイナの声は僅かに沈んでいたが、力強い瞳でハンターを見据えた。
「犠牲者は、前領主だそうだな……心中察する」
ユルゲンス・クリューガー(ka2335)の低い声が室内に響くと、レイナはキュッと唇を噛んだ。
レイナはハンター達の前に腰掛けると静かに口を開いた。
「西の森に出没したのは大ムカデ型の雑魔です。……どうか皆様のお力で、雑魔の討伐をお願い致します」
ゆっくりと頭を下げるレイナからは、悔しさの色が滲んでいる。
小さく震えるその肩を見詰め、セレス・フュラー(ka6276)は口を開いた。
「貴方の気持ちはよく分かる。自分で父親の仇を討ちたいって……だけど貴方の立場ではそれが許されない」
セレスの言葉に目を見張り、レイナは小さな声で応えた。
「はい。もし、わたくしが戦場に出て万が一にでも命を落したら……お父様が守ってきたこの領地を、民を、守ることが出来ません」
自分が仇を討つという思いよりも、大切な物がある……。
だから……レイナはハンターに自分の思いを託すのだ。
「心配しないで待っていてくれ。新しき領主の決意に、我々は最善の結果で返すとしよう」
クレア・マクミラン(ka7132)の言葉に、ハンター達は頷き立ち上がった。
「どうかお気を付けて」
ハンター達から醸し出された覇気に、レイナの声は強張る。
「領主としての初仕事、必ず成功させよう」
安心させるように優しく微笑んだ鞍馬 真(ka5819)が言葉を掛けると、レイナは少しホッとして肩の力を抜いた。
西の森に向かって小さくなっていくハンターの姿を見据えながら、レイナは祈る様に手を握り締めた。
森の入り口には、数日前にそこから撤退した兵士たちの足跡や、血の跡、何かを引きずった様な跡が残っており、その時の悲惨な状況を想像させた。
「全滅……なんて状態でなくて良かったですが、レイナさんのお父様は……」
点々と続く血痕を見詰めながら、カティス・フィルム(ka2486)が眉を下げた。
「ああ。……急遽とは言え領地を治めるなんて、まだ18歳の女の子には大変な役目だろう」
真も血痕を見詰め、その視線を森の奥へと移動させる。
「ホント、大変だよね。領主の仕事なんてさ。あたしだったら面倒だから逃げ出してるね」
少し沈んだ空気を一蹴するようにセレスが戯けた調子で呟いた。
「ならば、私たちが力になればいい」
優しく弓なりに目を細めたレイア・アローネ(ka4082) が力強く言葉を重ねる。
「さあ、行きましょう!」
カティスの声と共に、ハンター達は森の暗がりを睨み歩き出した。
樹や茂み、岩の影などをカティスとセレスは注意深く確認しながら、時折聞こえる音にも意識を向けた。
暫らく歩くと、――それは突然現れた。
ムカデは前方の太い木の幹に張り付き、獲物が来るのを待っている様だった。
ハンター達がその姿を認識した途端、背後からガサガサと不気味な音がいくつも聞こえ出す。
前方のムカデを警戒しながら振り向くと、新たに2匹のムカデがいくつもの脚を動かし、ハンター達を取り囲もうと近付いてくる。
「挟み撃ちってわけですね」
カティスは僅かに驚くも、冷静にその間合いを測る。
「相手は虫ケラといえど雑魔、油断はできんな」
同じく前方のムカデも見据えながら、ユルゲンスも口を開いた。
「私の獲物は貰っていくぞ。カティス、援護を頼む!」
レイアは不敵に微笑むと後方から現れたムカデの1匹に向かいシーガルスホルムを構え、一気に間合いへと踏み込み、跳躍して渾身撃をムカデの頭部へと叩き込んだ。
レイアは身体を捻ってムカデの曳航肢の側に着地する。
「任せて!」
そのタイミングでカティスが走りだし、レイアの横を通り抜け森の奥へと走っていく。
それを確認しながらレイアは剣を振り上げた。
威嚇するようにブンブンと振り回される2本の曳航肢に狙いを付けると、一気に剣で斬り落とした。
ビクリと身体を震わせたムカデは怒った様にレイアの方に頭を向ける。
その時を待っていたレイアは、炎の様なマテリアルのオーラを纏い、ムカデの意識を強く引きつけた。
ムカデは一直線にレイアへと向かっていく。
充分に引きつけると、レイアはカティスが向かって行った方へと駆け出し、その後をムカデが追いかけた。
少し走ると僅かに拓けた場所に出た。
足を止めたレイアは振り返り、ムカデを挑発する。
その空間に入ったムカデに、待ち構えたカティスは威力を高めたアイスボルトを放った。
パキッピキッ、パシッ――。
ムカデの胴体には霜が降り、脚は凍り付いて動かなくなった。
直後、カティスはファイアアローを凍り付いた胴体に放つ。
ムカデの胴体は温度差の歪に耐え切れず、弾ける様に表皮に亀裂が走った。
「レイナの父上の仇は取らせてもらうぞ」
レイナの悲しげな顔が脳裏を過ぎるとレイアの胸にはカッと熱が灯り、その熱を力に変える様に、ムカデの鋼の様な胴体に再び渾身の一撃を打ち込んだ。
衝撃にムカデは身体をくねらせ、いくつもの脚が、石を、枝を弾いていく。
ムカデの脚で弾かれた石が、カティスを目掛けて飛んだ。
レイアは守りの構えでその石つぶてを受けた。
「凍てつく氷の刃よ、敵を貫け! アイスボルト!」
再びムカデの胴体が凍り付く。
攻撃に転じたレイアが剣を構え直した刹那、ムカデは立ち上がる様に身体を持ちあげた。
予想外の行動に、レイアは目を見開いた。
息を飲むより早くムカデの顎がレイアに迫り、咄嗟に突き出した剣がその顎を留めた。
宙を掻いていたいくつもの脚が、レイアの腕に突き刺さり、赤い飛沫を生み出す。
「っ!」
「レイアさん!!」
痛みに顔を歪めたレイアにカティスが悲鳴のような声を上げる。しかし直ぐ様、カティスは頭部に向かいアイスボルトを唱えた。
レイアが飛び退くと、今度はファイアアローを唱え、一段と硬そうな頭に亀裂を作る。
続け様ムカデの頭に炎の矢が突き刺さった瞬間、レイアの渾身撃が脆くなった頭を叩き割った。
ムカデは塵となり、地面の砂となると2人はフッと息を吐いた。
レイアがムカデ1匹を引き連れその場を後にすると、続く様にユルゲンスもノルベルトを振り上げ後方のムカデの頭に渾身撃を叩き込んだ。
その衝撃にムカデは地面に打ち付けられ、触角を揺らした。
同時にセレスは軽やかにステップを踏みムカデのマテリアルを威圧すると、アンコールとアイデアル・ソングの効果を乗せ限界まで引き延ばす。
その間にもユルゲンスはムカデの反撃をかわし、その頭部に何度も打撃を与えた。
「なるほど、その鎧の様な外皮は伊達ではないということか」
眉を顰めたユルゲンスの少し後ろで、ステップを踏み終えたセレスがカラドボルグを掲げた。
毒々しい紫のオーラを纏った剣でムカデに狙いを定めると、素早く踏み込みムカデを斬りつけた。
セレスの毒が少しずつ身体を蝕み、その不快感からかムカデはグルグルと輪を描く様に動き始めた。
「嫉妬や恨み、憎しみってのは怖いものだよねぇ」
思い出す様に口元に弧を描き、セレスはポツリと呟いた。
苛立ったようにムカデは曳航肢を振り回し、ユルゲンスの鎧を叩いた。
その威力に歯を食い縛ると再び来る曳航肢を剣でいなし、渾身の打撃をムカデの頭に叩き込む。
セレスは再びステップを踏み、ムカデのマテリアルを威圧し始めた。
ムカデは大きな顎をカチカチと合わせると、近くの木の幹を噛み千切った。
幹はユルゲンスとセレスを目掛け倒れ込み、2人は寸での所で飛び退く。
「うわっ! 危なーい」
言葉ではそう言うものの、セレスの口調は余裕に満ちている。
「早めに倒さねば、森の中をグチャグチャにされてしまいそうだな」
反対にユルゲンスの口調は怒りを帯びている。
セレスはアイデアル・ソングを再び舞うとアンコールで効果を共鳴させた。
ユルゲンスがノルベルトを握り締め、ムカデに踏み込もうと腰を落した刹那、それより早くムカデが飛び掛かってきた。
ムカデの顎が大きく開き、ユルゲンスに噛みつこうとした瞬間、ユルゲンスの盾がその隙間に滑り込む。
それと同時にセレスのカラドボルグが胴節の隙間に突き刺さり、内部へと潜り込んだ。
ムカデの傷口からは青い体液が飛び散り、ビクリと体が跳ねたムカデはのた打ち回る様に身体を捩った。
その動きにセレスの剣は抜け、ユルゲンスの盾も放された。
のた打ち回るその拍子に、ムカデの腹部がチラリと覗く。
その好機を逃さず、セレスは武器を握り直し飛び掛かった。
「そのお腹は柔らかかったりするのかな?」
セレスは裏返った腹の部分に、深々と剣を突き立てる。
背面と比較して柔らかい腹に突き立てた剣を、今度は胴体に沿って振り向いた。
ムカデは激昂した様に頭部を持ち上げ、触角をバチバチと叩き付けるように動かし、大きな顎を再びカチカチ鳴らす。
「死闘も仕舞いぞ虫ケラ。掛かってくるがいい」
ナルヴィ・ソードに持ち替えたユルゲンスは顔の横で剣を構えた。
刀身を横たえ――静かにその時を待つ。
目の前のユルゲンスに向かい、ムカデは大きな口を開け飛び掛かった。
刹那、ユルゲンスは刺突一閃で踏み込むと鋒がギラリと煌めき、ムカデの頭を貫いた。
ムカデはボロボロと崩れ出し、間もなく塵に変わった。
後方から伝わる殺気を感じながら、真は前方のムカデを睨みつけた。
眼前のムカデの意識を引くため、真は正面から踏み込む。
ムカデは威嚇するように身体を持ち上げた。
真はそれに合わせる様に空中で回転し体勢を変えると、ムカデの頭に鋭く踵を落す。
衝撃にムカデは地面に倒れ込んだ。
しかし直ぐに起き上がると、真を目掛け飛び掛かる。
その様子に笑みを浮かべると、真とクレアは目配せし合い戦い始めた仲間に背を向け走り出した。
他のムカデから引き離したところで足を止めた真は、ソウルエッジで強化したカオスウィースを掲げ、剣心一如で呼吸を整える。
戦場には不釣り合いなほど凛とした空気が満ちていくのを感じながら、クレアは近付いてくるムカデに強弾を撃ち込んだ。
弾丸はムカデの頭部近くの脚を貫き関節から下をもぎ取った。
しかしムカデは徐々にその距離を詰めてくる。
真が魔導剣を握りなおしたのを合図に、クレアは威嚇射撃を放ちムカデの動きを封じた。
「たとえムカデが悪路の走破になれていようと、動く先を抑えてしまえばいい」
クレアが口元に小さな笑みを浮かべた、その瞬間、真は踏み込み剣を走らせる。
斬り上げる瞬間地面を擦った魔導剣は、生じた火花を火炎に変え、紅蓮の軌跡を描いてムカデを斬りつけた。
痛みを逃がすように身体を揺すったムカデは、直後鞭の様に身体をしならせ、足元の岩に尻を叩き付けた。
大きな岩は衝撃で砕け散り、2人を目掛けて飛ぶ。
「っ!」
真はクレアの前に飛び出すと、その攻撃からクレアを庇った。
「真、助かった」
そう呟くとクレアは再び強弾を撃ち込んだ。
反撃の隙を与えない様、二丁の拳銃で連続して攻撃しムカデの意識を分散させると、僅かにムカデの注意が真から逸れる。
その瞬間、生命力から作り出したマテリアルを纏わせた武器を掲げた真がムカデの死角から飛び掛かり、胴体に魔導剣を突き立てた。
ムカデは暴れ馬の様に身体を捻り、剣ごと真を振り払おうともがく。
しかし柄を強く握った真はその動きさえ利用するように、ムカデの胴体を抉った。
ムカデが曳航肢で叩き落そうと尻を持ち上げると、その尻にクレアの強弾が当たり跳ね返されるように尻は地面に着いた。
その隙に剣を引き抜いた真は一度飛び退くと、剣心一如で深く息を吐く。
クレアはクローズコンバットで足回りを底上げし、のた打ち回るムカデの死角に回り込んだ。
時折見え隠れする腹部を見据えると、銃剣を突き刺し、それを握り締め渾身の力でひっくり返した。
ムカデの脚は空しく宙を掻き、起き上がろうと曳航肢が何度も尻を持ち上げる。
「真、あとは任せます。フィニッシュブローを」
その声に真は駆け出した。
今にも起き上がりそうなムカデを睨み付け、高く跳躍する。
強化した魔導剣の柄を握り、大きく振りかぶると空気を震わせるほどに勢いよく振り下ろした。
頭部は胴体と斬り離され、塵は溶ける様に消えて行った。
それぞれのムカデを討伐し終えたハンター達は、更に森の中を捜索し新たな雑魔が居ない事を確認すると、レイナの屋敷へと戻った。
「討伐は完了した。これで新たに人が襲われることは無いから安心して欲しい」
真の言葉に、レイナは大きく息を吐いた。
「っ! ありがとうございます」
お礼の言葉を零すと、レイナは安堵して膝から崩れ落ちた。
新たな犠牲者を生み出してはならないという責任感。その重圧と緊張感が一気に弾け、それと同時に、憎んでいた父親の仇が居なくなったことでレイナの心にぽっかりと穴が空いた。
レイナの晴れやかな顔は、すぐに凍り付き、瞳には涙が滲む。
「余計なお世話かもしれないが、……今だけは泣いてもいいんじゃないかな」
ハンター達の気持ちを代弁するように真が優しく声を掛けると、レイナは唇をかみしめ、そして――
「うわぁーーーーーーん!」
人目もはばからず、大声で泣いた。
「お恥ずかしい所をお見せして申し訳ありませんでした」
少し落ち着いたレイナは穏やかな笑みを見せた。
「うむ、父上に倣い良き領主となる事だな。それが父上への手向けとなろう」
ユルゲンスが口を開くと、
「これから大変だと思うが、いつでも呼んでくれ。我々には荒事くらいしか引き受けられないが……」
レイアも優しい笑みを浮かべ口を開いた。
「はい。ありがとうございます。頑張ります」
レイナは静かに頭を下げた。
沈み始めた太陽を眺めていたクレアはフーッと紙巻煙草の煙を吐き出し、振り返りながら呟いた。
「いかなることがあろうとも、それでも人生は続いていく。日々を懸命に生きるのです。またいつかお会いしましょう、領主」
その言葉がレイナの心に染み込んでいく。
再び深く頭を下げるレイナに別れを告げ、ハンター達は帰っていったーーー。
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相談卓 ユルゲンス・クリューガー(ka2335) 人間(クリムゾンウェスト)|40才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2018/02/18 07:33:14 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/02/14 23:00:24 |