ゲスト
(ka0000)
【幻兆】Happy Time
マスター:近藤豊

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~4人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/03/01 22:00
- 完成日
- 2018/03/03 15:29
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
辺境巫女リムネラ(kz0018)がリアルブルーから戻って数日が経過した。
この間に小さな白龍ヘレが倒れた理由は未だに不明となっていた。大巫女ディエナ (kz0219)によれば、辺境巫女の間で伝わる伝承にそのような話は伝わっていないらしい。
そもそもクリムゾンウェストにおいて龍の存在は、特別だ。
辺境巫女の伝承でも失われた部分や意図して伝承して来なかった部分があるのかもしれない。
――だが、まだ諦めるのは早い。
白龍の事を知る可能性もある者が、存在するのだ。
●
「お手紙だホー」
モフロウの大幻獣であるモフロウ博士は、パシュパティ砦の窓枠に止まった。
足に結ばれているのは一通の手紙。どうやら、モフロウ博士はどこかから手紙を預かってきたようだ。
そんなモフロウ博士に対して、窓を背にして椅子に座っていた男が一人。
立ち上がってモフロウ博士の方に振り向く。
「ふふ、ありがとうございます」
ヴェルナー・ブロスフェルト(kz0032)は感謝の言葉を述べながら、モフロウ博士が持参した手紙を足から取り外す。
モフロウ博士は、ヴェルナーの依頼を受けてある者へ連絡を取っていたのだ。
「小生は伝書鳩ではないホー」
「まあ、そう言わずに。あの人の元へ手紙を届けられる人は、それ程多くありませんから。特に私は嫌われていますからね……」
そう言いながら、ヴェルナーは手紙を開いた。
そこには短い文でこう書かれている。
『ボクにとって白龍がどうなろうが、関係ないよね?
これは辺境巫女の仕事だ。その辺境巫女が自分で何とかするべきでしょ。
ボクは忙しいから、もうそんな用事で手紙を寄越さないでくれるかな。
イクタサ』
「なるほど、これは想像以上ですね」
イクタサ(kz0246)の手紙を目にしたヴェルナーは、特に驚く様子もなかった。
むしろ、このような返事が返ってくる事は予想ができた。
先日、チュプ大神殿が青木 燕太郎(kz0166)によって襲撃された。ハンターの活躍で青木の攻撃をある程度は軽減したものの、遺跡にも被害が出ていた。
遺跡は元々、四大精霊の一人であるイクタサを祀ったものだ。
その遺跡が青木相手とはいえ、破壊されたとあってはイクタサも面白くない。
早い話、イクタサはヘソを曲げているのだ。
「本当、困った人ですね。ですが……どうしたものでしょうか。
ここでファリフさんの名前を出すのは簡単ですが、それはイクタサさんも想定の範囲内。おそらく、ヘソを曲げているだけあっていつも通りには行かないでしょう。
ならば……ハンターの皆さんにも一肌脱いでいただきましょうか」
そう言いながら、ヴェルナーは机に向かって手紙を書き始める。
紙面の上で滑らかに踊る万年筆は、瞬く間にイクタサ宛のメッセージを生み出していく。
「さて、博士さん。お願いがあるのですが」
「また小生に手紙を届けろというかホー? もう疲れたホー」
「そう言わずに……あ、そういえば今日捕まえたばかりのネズミがあると庭師が言ってましたね」
「早速届けるホー」
ネズミで簡単に買収されるモフロウ博士。
どうやら、博士もどっかの穀潰し幻獣と同じ系譜にいるようだ。
●
「ふぅん、ボクの所へハンターと共にお詫びねぇ」
ヴェルナーの手紙を見ながら、イクタサは考えを巡らせる。
単純にお気に入りのファリフ・スコール(kz0009)の名前を出して懐柔を図ると読んでいた。毎度同じような手を使ってくるのであれば、イクタサも簡単に許す気はなかった。
だが、ヴェルナーは敢えてそれ以外の行動に出た。
ハンターと共にお詫びを兼ねた茶会を開きたいというのだ。
「何を仕掛けてくるつもりかは分からないけど……ま、謝るというのなら、会ってあげてもいいかな」
モフロウ博士の手紙を風にはためかせながら、イクタサは数日後に開催される茶会を待つ事にした。
この間に小さな白龍ヘレが倒れた理由は未だに不明となっていた。大巫女ディエナ (kz0219)によれば、辺境巫女の間で伝わる伝承にそのような話は伝わっていないらしい。
そもそもクリムゾンウェストにおいて龍の存在は、特別だ。
辺境巫女の伝承でも失われた部分や意図して伝承して来なかった部分があるのかもしれない。
――だが、まだ諦めるのは早い。
白龍の事を知る可能性もある者が、存在するのだ。
●
「お手紙だホー」
モフロウの大幻獣であるモフロウ博士は、パシュパティ砦の窓枠に止まった。
足に結ばれているのは一通の手紙。どうやら、モフロウ博士はどこかから手紙を預かってきたようだ。
そんなモフロウ博士に対して、窓を背にして椅子に座っていた男が一人。
立ち上がってモフロウ博士の方に振り向く。
「ふふ、ありがとうございます」
ヴェルナー・ブロスフェルト(kz0032)は感謝の言葉を述べながら、モフロウ博士が持参した手紙を足から取り外す。
モフロウ博士は、ヴェルナーの依頼を受けてある者へ連絡を取っていたのだ。
「小生は伝書鳩ではないホー」
「まあ、そう言わずに。あの人の元へ手紙を届けられる人は、それ程多くありませんから。特に私は嫌われていますからね……」
そう言いながら、ヴェルナーは手紙を開いた。
そこには短い文でこう書かれている。
『ボクにとって白龍がどうなろうが、関係ないよね?
これは辺境巫女の仕事だ。その辺境巫女が自分で何とかするべきでしょ。
ボクは忙しいから、もうそんな用事で手紙を寄越さないでくれるかな。
イクタサ』
「なるほど、これは想像以上ですね」
イクタサ(kz0246)の手紙を目にしたヴェルナーは、特に驚く様子もなかった。
むしろ、このような返事が返ってくる事は予想ができた。
先日、チュプ大神殿が青木 燕太郎(kz0166)によって襲撃された。ハンターの活躍で青木の攻撃をある程度は軽減したものの、遺跡にも被害が出ていた。
遺跡は元々、四大精霊の一人であるイクタサを祀ったものだ。
その遺跡が青木相手とはいえ、破壊されたとあってはイクタサも面白くない。
早い話、イクタサはヘソを曲げているのだ。
「本当、困った人ですね。ですが……どうしたものでしょうか。
ここでファリフさんの名前を出すのは簡単ですが、それはイクタサさんも想定の範囲内。おそらく、ヘソを曲げているだけあっていつも通りには行かないでしょう。
ならば……ハンターの皆さんにも一肌脱いでいただきましょうか」
そう言いながら、ヴェルナーは机に向かって手紙を書き始める。
紙面の上で滑らかに踊る万年筆は、瞬く間にイクタサ宛のメッセージを生み出していく。
「さて、博士さん。お願いがあるのですが」
「また小生に手紙を届けろというかホー? もう疲れたホー」
「そう言わずに……あ、そういえば今日捕まえたばかりのネズミがあると庭師が言ってましたね」
「早速届けるホー」
ネズミで簡単に買収されるモフロウ博士。
どうやら、博士もどっかの穀潰し幻獣と同じ系譜にいるようだ。
●
「ふぅん、ボクの所へハンターと共にお詫びねぇ」
ヴェルナーの手紙を見ながら、イクタサは考えを巡らせる。
単純にお気に入りのファリフ・スコール(kz0009)の名前を出して懐柔を図ると読んでいた。毎度同じような手を使ってくるのであれば、イクタサも簡単に許す気はなかった。
だが、ヴェルナーは敢えてそれ以外の行動に出た。
ハンターと共にお詫びを兼ねた茶会を開きたいというのだ。
「何を仕掛けてくるつもりかは分からないけど……ま、謝るというのなら、会ってあげてもいいかな」
モフロウ博士の手紙を風にはためかせながら、イクタサは数日後に開催される茶会を待つ事にした。
リプレイ本文
シンタチャシの小屋に集ったハンターとヴェルナー・ブロスフェルト(kz0032)。
茶会の準備の為か、ハンターのそれぞれがお茶や菓子の準備に忙しい。
そんな中、家主である四大精霊の一人イクタサ(kz0246)は、用意された椅子に座って憮然とした表情を浮かべている。
「あのさ」
「何でしょう?」
不機嫌なイクタサは、テーブルの上に頬杖を付く。
その傍らでは、ヴェルナーがいつものように微笑んでいる。
「いきなり押し掛けて無礼だと思わない?」
「そうですね。些か無礼かもしれません。ですが、本当にあなたが嫌であれば、シンタチャシへ足を踏み入れた段階で追い返していたのではありませんか?」
「…………やっぱり、キミの事は嫌いだ」
「どうも」
四大精霊の一人であるイクタサではあるが、どうもヴェルナー相手だと調子が狂うようだ。
精霊としての能力を使えば、ハンターが来る事を拒む事もできた。だが、それをしなかったという事は、ハンター達の来訪を待っていたのだ。
――それを本人の前で堂々と指摘してしまうヴェルナーも、大した人物ではあるが。
「はい、失礼します」
羊谷 めい(ka0669)は用意していたテーブルクロスを大きく広げた。
純白のテーブルクロスがふわりと部屋の宙を舞う。
ゆっくりと重力に引かれて降りてくる様は、鳥の羽を彷彿とさせる。
「イクタサさん、そちらを持って下さい」
「……こ、こう?」
「ありがとうございます」
めいの言うがままに手伝ってしまうイクタサ。
そんなイクタサをよそに、めいは広がったテーブルクロスの上にブーケ【信頼の白】を置く。これは、信頼の白を意味しているらしい。
小屋にできた素敵な茶会の場。
心なしか、茶会が始まる期待感が向上してくるようだ。
「火加減は……これぐらいか」
リーベ・ヴァチン(ka7144)は、囲炉裏に灯る炎へ手をかざす。
想定よりも火が少し弱い気もするが、枯れ枝を入れて後から調整すればいい。
準備していたメレンゲには、すべての材料が投入した。後は、フライパンをよく温めなければ――。
「あ、あの……ヴェルナーさん」
ヴェルナーの隣にちょこんと座った桜憐りるか(ka3748)。
紅茶の準備をする最中、合間を見つけて話し掛けてきた。
「はい、りるかさん。どうされましたか?」
「実は、お願いが……あります」
そう言って、ヴェルナーに耳打ちをするりるか。
ヴェルナーもりるかの声を近づくが、気付けばりるかはヴェルナーと至近距離。
ほんのり鼻腔に漂うヴェルナーの香りに、心臓の鼓動が早くなる。
「なるほど、そういう趣向でしたか。面白い事を考えられますね。私は構いませんよ」
「ありがとう、ございます。一段落して、たまにで良いのでゆっくり過ごせる時間ができれば良い、ですね」
再び厨房へ戻り際、思っていた事を口にするりるか。
恥ずかしさもあってなのか、足早に戻っていく。
「イクタサさ……わ、わぅ……」
いつもの調子で話し掛けようとしたアルマ・A・エインズワース(ka4901)。
子犬のようにイクタサに懐こうとしていたのだが、イクタサの放つ雰囲気が違う為にちょっと惹いてしまったようだ。
「ああ、アルマか。君も来たんだね」
「わぅ、ご機嫌……ナナメです?」
手探りのようにイクタサへ問いかけるアルマ。
言葉だけ聞けば、怒っているようには見えない。だが、その言葉の裏に潜む感情はアルマにも分かる。
不機嫌だとは聞いていたが、まさかここまで悪いとは思わなかった。
「いけませんよ、イクタサさん。アルマさんが怯えているではありませんか」
イクタサを諫めようとするヴェルナー。
だが、イクタサの感情は収まらない。
「ボク、言ったよね? チュプ大神殿はボクを祀った神殿だって。それを歪虚が壊したんだよね? 地下の穴を瓦礫で埋めちゃったみたいだけど、ボクとしては嬉しくないね」
ふい、とそっぽを向くイクタサ。
今回の茶会の原因は、先日チュプ大神殿を襲撃した青木 燕太郎(kz0166)にある。ハンターは最善を尽くして防衛に努めたが、強大な青木の前に被害を食い止める事ができなかった。
結果、チュプ大神殿への入り口であった地下からの入り口は瓦礫によって封鎖。現在もドワーフ達が瓦礫の撤去作業に追われている。この事実に気付いたイクタサは自分を祀った大神殿が傷つけられたとあってヘソを曲げてしまったという訳だ。
「ふふ。あなたといい、バタルトゥさんといい……」
「なに?」
「……いえ、何でもありません。ハンターの皆さんも準備ができたようです。茶会を始めるとしましょうか」
●
「オーケーです。燕太郎さんはやっぱり燃やしましょう」
先程の子犬のようなアルマは何処へやら。
笑顔はそのままなのだが、目が明らかに笑っていない。報告書を読んではいたが、青木が行った襲撃による被害。それ以上にその手口にアルマの怒りは燃え上がる。
「ちゃんと名前を呼んでくれるようになったので、ちょっといいかなー? と思ったですけど……普通に殺しておくべきですね! ふふふっ」
「ふぅん、君も怒る時はそうやって怒るんだね」
アルマが怒る様子を興味深く見ていたイクタサ。
青木の襲撃を守り切れなかった事は残念だが、事態を一緒に憂いてくれる者がいるだけでも心情に変化があったようだ。
「っていうか、どうして僕はその場にいなかったんですかっ」
自分があの場にいたら青木の好きにはさせなかった。
それはアルマ自身に向かう怒りを意味していた。大神殿を守る為に尽力したのに、という後悔。その機会に巡り会えなかった事はアルマにとっても残念な出来事であった。
「そう、その場に居られなかったハンターが悔やむ事もあるんだ」
イクタサはアルマの怒りの理由に惹かれたようだ。
一方的に謝罪されると思っていたが、ハンターにはハンターの怒りがある。
歪虚だけではなく、自身に向けた怒り。それは精霊であるイクタサも想像していなかった感情であった。
「イクタサさん、ずっと怒っているのは疲れちゃうので……」
「キミは確か、テーブルクロスの」
「羊谷 めいです。お目にかかるのは初めてですけれど、まずはハンターとして神殿を守り切れなかった事は、申し訳ないと思っているのです」
めいは、ハンターを代表して頭を下げた。
めいもアルマ同様、歪虚に対して感情もある。だが、同時にイクタサの大切な場所を守れなかった事も事実だ。
謝罪は、めいの素直な気持ちを口にしたものだ。
「初めて会って、すぐに謝罪できるんだ。それ、言葉だけじゃないよね?」
「えっと。何でもはできないですけど、イクタサさんの要望にはお応えしていきたいと思ってます」
いきなり謝罪から入っても受け入れられない事は理解していた。
だからこそ、イクタサの為にめいができる精一杯の事をしよう。
めいは、そう考えていた。
「ふぅん。なら、ちょっと考えておこうかな。キミにして欲しい事」
少し悪戯っぽい笑みを浮かべるイクタサ。
四大精霊の一人がめいに向ける願い。
できない事はできないと断るつもりではあるが、少々恐ろしさを感じてしまう。
一方、リーベはめいとまったく異なるアプローチを試みていた。
「申し訳ない。私はハンターになったばかりだ。詳しい状況を知らず、とりあえず頭を下げるというのは誠実ではない。あなたもそれは嫌じゃないか?」
リーベは、つい最近ハンターになったばかりだ。
参加した依頼も今回が初めてだ。右も左も分からないハンターに、ただ頭を下げられた所で誠意が籠もっているはずもない。
リーベはその事を意識してイクタサへの謝罪を敢えて行わなかった。
「なるほどね。自分の立場をちゃんと理解しているって訳だね」
「四大精霊のイクタサ。噂には聞いている。辺境の民を導くのではなく、暖かく見守る精霊だと」
「……誉めても何もでないよ」
「これは献上品という訳ではないが、用意してみた。双子の弟両方共、これが好きで、故郷でよく作った。熱を出しているのに食べたいと言われた時は困った」
リーベが用意したのはパンケーキ。それもこの小屋で焼いていたパンケーキだ。
プレミアムチョコレートとナッツ、マカロンで彩られたパンケーキから、ほんのりと甘い香りが漂ってくる。
「良い匂いだホー」
リーベのパンケーキに惹かれて大幻獣「モフロウ博士」が顔を出した。
どうやら、お菓子が出されたと分かってひょっこり姿を現したようだ。
「小生も食べたいホー」
「でしたら、こちらもどうぞ」
めいが用意していたお菓子は美味スコーンとマロンプリン、ザッハトルテだ。
どれもめいが今日の為に取り揃えたお菓子で、テーブルの上にはお菓子が次々と並べられていく。
「わーい、美味しそうなお菓子がいっぱいだホー」
「良い匂いはするね。でも、お茶はどうするの? こういうお菓子には付き物なんでしょ?」
モフロウの横で水を差すイクタサ。
美味しそうだ、とは決して言わず、相手の穴を突こうとする姿勢は、まだ完全に許していないのだろう。
だが、その穴もりるかがしっかりと埋めている。
「あの……お茶は、ヴェルナーさんにお願いしようと思うの、です」
「え?」
りるかに促されて椅子を立つヴェルナー。
りるかはヴェルナーの紅茶が美味しい事を知っていた。その為、りるかは用意していたマカロンやマシュマロ、クッキーをテーブルへ並べながら紅茶をヴェルナーに託していた。めいのハーブティー「リスベルン」とヒカヤ紅茶もヴェルナーが預かっている。
「キミが煎れるの? 毒でも入れたりしないよね?」
「そんな無粋な真似はしません。そもそも、精霊のあなたを毒殺できるなんて思ってもいませんよ」
イクタサの棘のある言葉を受け流しながら、ヴェルナーは温めていたカップにお茶を注ぐ。
イクタサとハンターの前に並べられた紅茶からは、湯気と同時に紅茶の香りが放たれる。
小屋は、瞬く間に紅茶の香りで溢れかえる。
「……!」
「うまいな」
「ありがとうございます」
リーベの漏らした本音に、ヴェルナーは謝意を述べた。
各人の謝罪や意見を述べながら、茶会へと流れ込む展開は悪くない。
そして、ハンターにはハンターそれぞれの想いがある。
その事をイクタサに伝われば良いのだが――。
「キミ達はボクが許すまでここに居かねないから、ここらで腹を立てるのは止めておくよ」
●
「燕太郎さんは燃やすとして、もふもふがずっと寝たままだと……可愛いですけど、心配です。きっとよくないですー」
「もふもふ?」
「ヘレと呼ばれる白龍の子です。リアルブルーへ赴いてから、ずっと眠ったままなのです」
アルマの言葉を聞き返したイクタサ。
ヴェルナーがそっと言葉を補足する。
話によれば、ヘレは現時点でも眠ったままである。
「だって、寝たままだとごはん食べないですよ? 起こさないとですっ!」
アルマはびしっと断言する。
ご飯だけの問題ではないのだが、このまま力尽きる事も考えられる。周囲の心配は日に日に増えていく。
「異世界へ行ったのか……」
「そう言えば、精霊や龍に病はあるのか? 無知なんで知りたい」
リーベは思案するイクタサの横から声をかけた。
辺境の白龍は消滅したと聞いている。病でないとすれば、何かに蝕まれたのでは無いかと考えたのだ。
「精霊の中でも龍は特別なんだ。白龍の場合は、元々寿命だった。そこへ歪虚の侵攻を受けて巫女達を守る為に結界を張った。文字通り、自分の寿命を削ってね」
「そうだったのか」
白龍が消滅した理由は歪虚の侵攻が大きい。
聖地への道が歪虚によって分断された際、白龍は聖地にいた巫女を守る為に結界を張った。僅かに残った寿命を削り、助けが来るのを待っていたのだ。
「あの……あたしは、ヘレを救ってあげたい、のです。どうすれば、良いのでしょう?」
りるかの懇願。
それは長年ヘレと付き添ってきたリムネラが抱くものであった。
目覚めないヘレに、何かしてあげたい。
そのリムネラの想いを、りるかは端から見ていても良く分かった。
「今、こうしている間にもリムネラや多くのハンターが情報収集に頑張っています。お願いです、どうすれば良いのか教えて下さい」
めいも頭を下げる。
既にここにいるハンター以外にも、各地でヘレを助ける為に動いている。彼らは皆、ヘレを助けてあげたいという想いから行動しているのだろう。
だが、イクタサの口は重い。
「うーん、あまりボクが人に肩入れするのは良くないんだよね。それに龍が絡む事は結構厄介なんだ。龍って存在はかなりデリケートでね」
「たくさんいろんな事を知ってるイクタサさんなら、いい方法を知らないかなぁって思ったんですけど……ご存じないなら、仕方ないです」
アルマは、分かりやすくイクタサの前でしょげて見せた。
押してダメなら引いて見ろ。
ヴェルナーも言っていた言葉を実践したのだが、これがイクタサには効果を発揮する。
「ボクはちゃんと知っている。だけど、全部答えを教える訳にはいかないんだ」
「では、ヒントだけでも教えていただけませんか? 私の知っているイクタサさんは、とても器の大きな人です」
イクタサの言葉を待っていたように、ヴェルナーは言い放つ。
少し嫌味を込めながら、しれっとヒントを要求。
その態度に、イクタサは軽く眉をひそめる。
「本当、嫌な人だよ。キミは」
「どうも」
「ヒントならあげるよ。そう、白龍の目覚めの鍵を握るのは……キミだよ」
そう言ってイクタサが指し示したのはリーベだ。
唐突に指差されたリーベは、怪訝そうな顔を浮かべる。
「私?」
「正確には、キミの種族が出身の地だ」
「……あ、ヴリトラルカ」
めいの脳裏に浮かんだ地名。
龍園『ヴリトラルカ』。青龍によって守護されたリグ・サンガマで唯一の都市である。確かに、青龍のいる龍園ならば、龍に関する情報が眠っているかもしれない。
「そう。そこでなら白龍の眠る意味も分かると思うよ」
「わふーっ! イクタサさん、やっぱり頼りになるです! ありがとうですー!」
ヒントをくれたイクタサへ勢い良くハグをするアルマ。
機嫌が直ったと悟った段階で、「わふ、わふーっ」とハグの欲求を我慢していたのだ。
答えがある場所を指し示してくれただけでも、十分過ぎる成果だ。
「イクタサさん、ありがとうございます」
「感謝はいらない。それにリムネラ、だっけ? その巫女はこれから大切な選択を迫られる事になると思う」
謝辞を述べるヴェルナーに、イクタサはそう言葉をかけた。
その言葉の意味をめいは繰り返した。
「選択……」
「そう。とても大切な選択だ。
……それから、ヴェルナー。キミに新たな仕事ができそうだよ」
イクタサはヴェルナーに視線を送った後、一呼吸を置いてからイクタサは言った。
「大神殿がようやく目覚めた。きっと現地は大騒ぎだろうね」
茶会の準備の為か、ハンターのそれぞれがお茶や菓子の準備に忙しい。
そんな中、家主である四大精霊の一人イクタサ(kz0246)は、用意された椅子に座って憮然とした表情を浮かべている。
「あのさ」
「何でしょう?」
不機嫌なイクタサは、テーブルの上に頬杖を付く。
その傍らでは、ヴェルナーがいつものように微笑んでいる。
「いきなり押し掛けて無礼だと思わない?」
「そうですね。些か無礼かもしれません。ですが、本当にあなたが嫌であれば、シンタチャシへ足を踏み入れた段階で追い返していたのではありませんか?」
「…………やっぱり、キミの事は嫌いだ」
「どうも」
四大精霊の一人であるイクタサではあるが、どうもヴェルナー相手だと調子が狂うようだ。
精霊としての能力を使えば、ハンターが来る事を拒む事もできた。だが、それをしなかったという事は、ハンター達の来訪を待っていたのだ。
――それを本人の前で堂々と指摘してしまうヴェルナーも、大した人物ではあるが。
「はい、失礼します」
羊谷 めい(ka0669)は用意していたテーブルクロスを大きく広げた。
純白のテーブルクロスがふわりと部屋の宙を舞う。
ゆっくりと重力に引かれて降りてくる様は、鳥の羽を彷彿とさせる。
「イクタサさん、そちらを持って下さい」
「……こ、こう?」
「ありがとうございます」
めいの言うがままに手伝ってしまうイクタサ。
そんなイクタサをよそに、めいは広がったテーブルクロスの上にブーケ【信頼の白】を置く。これは、信頼の白を意味しているらしい。
小屋にできた素敵な茶会の場。
心なしか、茶会が始まる期待感が向上してくるようだ。
「火加減は……これぐらいか」
リーベ・ヴァチン(ka7144)は、囲炉裏に灯る炎へ手をかざす。
想定よりも火が少し弱い気もするが、枯れ枝を入れて後から調整すればいい。
準備していたメレンゲには、すべての材料が投入した。後は、フライパンをよく温めなければ――。
「あ、あの……ヴェルナーさん」
ヴェルナーの隣にちょこんと座った桜憐りるか(ka3748)。
紅茶の準備をする最中、合間を見つけて話し掛けてきた。
「はい、りるかさん。どうされましたか?」
「実は、お願いが……あります」
そう言って、ヴェルナーに耳打ちをするりるか。
ヴェルナーもりるかの声を近づくが、気付けばりるかはヴェルナーと至近距離。
ほんのり鼻腔に漂うヴェルナーの香りに、心臓の鼓動が早くなる。
「なるほど、そういう趣向でしたか。面白い事を考えられますね。私は構いませんよ」
「ありがとう、ございます。一段落して、たまにで良いのでゆっくり過ごせる時間ができれば良い、ですね」
再び厨房へ戻り際、思っていた事を口にするりるか。
恥ずかしさもあってなのか、足早に戻っていく。
「イクタサさ……わ、わぅ……」
いつもの調子で話し掛けようとしたアルマ・A・エインズワース(ka4901)。
子犬のようにイクタサに懐こうとしていたのだが、イクタサの放つ雰囲気が違う為にちょっと惹いてしまったようだ。
「ああ、アルマか。君も来たんだね」
「わぅ、ご機嫌……ナナメです?」
手探りのようにイクタサへ問いかけるアルマ。
言葉だけ聞けば、怒っているようには見えない。だが、その言葉の裏に潜む感情はアルマにも分かる。
不機嫌だとは聞いていたが、まさかここまで悪いとは思わなかった。
「いけませんよ、イクタサさん。アルマさんが怯えているではありませんか」
イクタサを諫めようとするヴェルナー。
だが、イクタサの感情は収まらない。
「ボク、言ったよね? チュプ大神殿はボクを祀った神殿だって。それを歪虚が壊したんだよね? 地下の穴を瓦礫で埋めちゃったみたいだけど、ボクとしては嬉しくないね」
ふい、とそっぽを向くイクタサ。
今回の茶会の原因は、先日チュプ大神殿を襲撃した青木 燕太郎(kz0166)にある。ハンターは最善を尽くして防衛に努めたが、強大な青木の前に被害を食い止める事ができなかった。
結果、チュプ大神殿への入り口であった地下からの入り口は瓦礫によって封鎖。現在もドワーフ達が瓦礫の撤去作業に追われている。この事実に気付いたイクタサは自分を祀った大神殿が傷つけられたとあってヘソを曲げてしまったという訳だ。
「ふふ。あなたといい、バタルトゥさんといい……」
「なに?」
「……いえ、何でもありません。ハンターの皆さんも準備ができたようです。茶会を始めるとしましょうか」
●
「オーケーです。燕太郎さんはやっぱり燃やしましょう」
先程の子犬のようなアルマは何処へやら。
笑顔はそのままなのだが、目が明らかに笑っていない。報告書を読んではいたが、青木が行った襲撃による被害。それ以上にその手口にアルマの怒りは燃え上がる。
「ちゃんと名前を呼んでくれるようになったので、ちょっといいかなー? と思ったですけど……普通に殺しておくべきですね! ふふふっ」
「ふぅん、君も怒る時はそうやって怒るんだね」
アルマが怒る様子を興味深く見ていたイクタサ。
青木の襲撃を守り切れなかった事は残念だが、事態を一緒に憂いてくれる者がいるだけでも心情に変化があったようだ。
「っていうか、どうして僕はその場にいなかったんですかっ」
自分があの場にいたら青木の好きにはさせなかった。
それはアルマ自身に向かう怒りを意味していた。大神殿を守る為に尽力したのに、という後悔。その機会に巡り会えなかった事はアルマにとっても残念な出来事であった。
「そう、その場に居られなかったハンターが悔やむ事もあるんだ」
イクタサはアルマの怒りの理由に惹かれたようだ。
一方的に謝罪されると思っていたが、ハンターにはハンターの怒りがある。
歪虚だけではなく、自身に向けた怒り。それは精霊であるイクタサも想像していなかった感情であった。
「イクタサさん、ずっと怒っているのは疲れちゃうので……」
「キミは確か、テーブルクロスの」
「羊谷 めいです。お目にかかるのは初めてですけれど、まずはハンターとして神殿を守り切れなかった事は、申し訳ないと思っているのです」
めいは、ハンターを代表して頭を下げた。
めいもアルマ同様、歪虚に対して感情もある。だが、同時にイクタサの大切な場所を守れなかった事も事実だ。
謝罪は、めいの素直な気持ちを口にしたものだ。
「初めて会って、すぐに謝罪できるんだ。それ、言葉だけじゃないよね?」
「えっと。何でもはできないですけど、イクタサさんの要望にはお応えしていきたいと思ってます」
いきなり謝罪から入っても受け入れられない事は理解していた。
だからこそ、イクタサの為にめいができる精一杯の事をしよう。
めいは、そう考えていた。
「ふぅん。なら、ちょっと考えておこうかな。キミにして欲しい事」
少し悪戯っぽい笑みを浮かべるイクタサ。
四大精霊の一人がめいに向ける願い。
できない事はできないと断るつもりではあるが、少々恐ろしさを感じてしまう。
一方、リーベはめいとまったく異なるアプローチを試みていた。
「申し訳ない。私はハンターになったばかりだ。詳しい状況を知らず、とりあえず頭を下げるというのは誠実ではない。あなたもそれは嫌じゃないか?」
リーベは、つい最近ハンターになったばかりだ。
参加した依頼も今回が初めてだ。右も左も分からないハンターに、ただ頭を下げられた所で誠意が籠もっているはずもない。
リーベはその事を意識してイクタサへの謝罪を敢えて行わなかった。
「なるほどね。自分の立場をちゃんと理解しているって訳だね」
「四大精霊のイクタサ。噂には聞いている。辺境の民を導くのではなく、暖かく見守る精霊だと」
「……誉めても何もでないよ」
「これは献上品という訳ではないが、用意してみた。双子の弟両方共、これが好きで、故郷でよく作った。熱を出しているのに食べたいと言われた時は困った」
リーベが用意したのはパンケーキ。それもこの小屋で焼いていたパンケーキだ。
プレミアムチョコレートとナッツ、マカロンで彩られたパンケーキから、ほんのりと甘い香りが漂ってくる。
「良い匂いだホー」
リーベのパンケーキに惹かれて大幻獣「モフロウ博士」が顔を出した。
どうやら、お菓子が出されたと分かってひょっこり姿を現したようだ。
「小生も食べたいホー」
「でしたら、こちらもどうぞ」
めいが用意していたお菓子は美味スコーンとマロンプリン、ザッハトルテだ。
どれもめいが今日の為に取り揃えたお菓子で、テーブルの上にはお菓子が次々と並べられていく。
「わーい、美味しそうなお菓子がいっぱいだホー」
「良い匂いはするね。でも、お茶はどうするの? こういうお菓子には付き物なんでしょ?」
モフロウの横で水を差すイクタサ。
美味しそうだ、とは決して言わず、相手の穴を突こうとする姿勢は、まだ完全に許していないのだろう。
だが、その穴もりるかがしっかりと埋めている。
「あの……お茶は、ヴェルナーさんにお願いしようと思うの、です」
「え?」
りるかに促されて椅子を立つヴェルナー。
りるかはヴェルナーの紅茶が美味しい事を知っていた。その為、りるかは用意していたマカロンやマシュマロ、クッキーをテーブルへ並べながら紅茶をヴェルナーに託していた。めいのハーブティー「リスベルン」とヒカヤ紅茶もヴェルナーが預かっている。
「キミが煎れるの? 毒でも入れたりしないよね?」
「そんな無粋な真似はしません。そもそも、精霊のあなたを毒殺できるなんて思ってもいませんよ」
イクタサの棘のある言葉を受け流しながら、ヴェルナーは温めていたカップにお茶を注ぐ。
イクタサとハンターの前に並べられた紅茶からは、湯気と同時に紅茶の香りが放たれる。
小屋は、瞬く間に紅茶の香りで溢れかえる。
「……!」
「うまいな」
「ありがとうございます」
リーベの漏らした本音に、ヴェルナーは謝意を述べた。
各人の謝罪や意見を述べながら、茶会へと流れ込む展開は悪くない。
そして、ハンターにはハンターそれぞれの想いがある。
その事をイクタサに伝われば良いのだが――。
「キミ達はボクが許すまでここに居かねないから、ここらで腹を立てるのは止めておくよ」
●
「燕太郎さんは燃やすとして、もふもふがずっと寝たままだと……可愛いですけど、心配です。きっとよくないですー」
「もふもふ?」
「ヘレと呼ばれる白龍の子です。リアルブルーへ赴いてから、ずっと眠ったままなのです」
アルマの言葉を聞き返したイクタサ。
ヴェルナーがそっと言葉を補足する。
話によれば、ヘレは現時点でも眠ったままである。
「だって、寝たままだとごはん食べないですよ? 起こさないとですっ!」
アルマはびしっと断言する。
ご飯だけの問題ではないのだが、このまま力尽きる事も考えられる。周囲の心配は日に日に増えていく。
「異世界へ行ったのか……」
「そう言えば、精霊や龍に病はあるのか? 無知なんで知りたい」
リーベは思案するイクタサの横から声をかけた。
辺境の白龍は消滅したと聞いている。病でないとすれば、何かに蝕まれたのでは無いかと考えたのだ。
「精霊の中でも龍は特別なんだ。白龍の場合は、元々寿命だった。そこへ歪虚の侵攻を受けて巫女達を守る為に結界を張った。文字通り、自分の寿命を削ってね」
「そうだったのか」
白龍が消滅した理由は歪虚の侵攻が大きい。
聖地への道が歪虚によって分断された際、白龍は聖地にいた巫女を守る為に結界を張った。僅かに残った寿命を削り、助けが来るのを待っていたのだ。
「あの……あたしは、ヘレを救ってあげたい、のです。どうすれば、良いのでしょう?」
りるかの懇願。
それは長年ヘレと付き添ってきたリムネラが抱くものであった。
目覚めないヘレに、何かしてあげたい。
そのリムネラの想いを、りるかは端から見ていても良く分かった。
「今、こうしている間にもリムネラや多くのハンターが情報収集に頑張っています。お願いです、どうすれば良いのか教えて下さい」
めいも頭を下げる。
既にここにいるハンター以外にも、各地でヘレを助ける為に動いている。彼らは皆、ヘレを助けてあげたいという想いから行動しているのだろう。
だが、イクタサの口は重い。
「うーん、あまりボクが人に肩入れするのは良くないんだよね。それに龍が絡む事は結構厄介なんだ。龍って存在はかなりデリケートでね」
「たくさんいろんな事を知ってるイクタサさんなら、いい方法を知らないかなぁって思ったんですけど……ご存じないなら、仕方ないです」
アルマは、分かりやすくイクタサの前でしょげて見せた。
押してダメなら引いて見ろ。
ヴェルナーも言っていた言葉を実践したのだが、これがイクタサには効果を発揮する。
「ボクはちゃんと知っている。だけど、全部答えを教える訳にはいかないんだ」
「では、ヒントだけでも教えていただけませんか? 私の知っているイクタサさんは、とても器の大きな人です」
イクタサの言葉を待っていたように、ヴェルナーは言い放つ。
少し嫌味を込めながら、しれっとヒントを要求。
その態度に、イクタサは軽く眉をひそめる。
「本当、嫌な人だよ。キミは」
「どうも」
「ヒントならあげるよ。そう、白龍の目覚めの鍵を握るのは……キミだよ」
そう言ってイクタサが指し示したのはリーベだ。
唐突に指差されたリーベは、怪訝そうな顔を浮かべる。
「私?」
「正確には、キミの種族が出身の地だ」
「……あ、ヴリトラルカ」
めいの脳裏に浮かんだ地名。
龍園『ヴリトラルカ』。青龍によって守護されたリグ・サンガマで唯一の都市である。確かに、青龍のいる龍園ならば、龍に関する情報が眠っているかもしれない。
「そう。そこでなら白龍の眠る意味も分かると思うよ」
「わふーっ! イクタサさん、やっぱり頼りになるです! ありがとうですー!」
ヒントをくれたイクタサへ勢い良くハグをするアルマ。
機嫌が直ったと悟った段階で、「わふ、わふーっ」とハグの欲求を我慢していたのだ。
答えがある場所を指し示してくれただけでも、十分過ぎる成果だ。
「イクタサさん、ありがとうございます」
「感謝はいらない。それにリムネラ、だっけ? その巫女はこれから大切な選択を迫られる事になると思う」
謝辞を述べるヴェルナーに、イクタサはそう言葉をかけた。
その言葉の意味をめいは繰り返した。
「選択……」
「そう。とても大切な選択だ。
……それから、ヴェルナー。キミに新たな仕事ができそうだよ」
イクタサはヴェルナーに視線を送った後、一呼吸を置いてからイクタサは言った。
「大神殿がようやく目覚めた。きっと現地は大騒ぎだろうね」
依頼結果
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/02/26 18:03:22 |
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相談卓 羊谷 めい(ka0669) 人間(リアルブルー)|15才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2018/02/25 22:41:44 |