• 陶曲

【陶曲】帆と同盟うまいもの市~カキ小屋

マスター:深夜真世

シナリオ形態
ショート
難易度
易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~5人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2018/02/27 12:00
完成日
2018/03/13 01:09

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●おエライさんたちの話
「あ? 帆に市民の寄せ書きだと? なんでそんなもん……」
「昨年の春からこっち、同盟の各都市で大きな歪虚騒ぎが起きてるのは知ってるだろう? しかも人が操られるか利用されたりしている節がある。都市ごとに襲ったり狙われなかったりするのも同盟内部の分断を狙っている節がある。だからだ」
「んなこと言っても人が集まるかも分からんし、下手に住民の危機感をあおるのも良くないぞ?」
「そうだそうだ。歪虚が来るかもと噂を広めて王国や帝国に大量移住されても困るし、来なけりゃ文句を言われる。来たなら来たで、何で国として対策しなかっただのどうだの……」
「だから同盟の一体感醸成イベントとしてやるんだよ! ほら、同盟は機能分散型の都市構成だろ? 地産地消もできるが高度な流通でその良さが一番発揮できる。いわば同じ船に乗ってるんだよ」
「なるほど。だから帆か……」
「ただ、市民は理念では動かんぞ?」
「……分かってる。いま、同盟各地の特産を集めている。例えば、ポルトワールからは牡蠣を大量に仕入れた。後は、大通りを封鎖してそこで同盟うまいもの市と未来へこぎ出す船として大きく広げた帆に希望の言葉とサインを入れるイベントならば、と考えているが……」
「それなら賛同する。が、そうすると手伝う人が多く必要じゃの」


●そのころの南那初華
「あ。ここにあったんだ、水筒」
 街角屋台「Pクレープ」の車両内厨房で、南那初華(kz0135)はふと振り向いた視線の先に見覚えのある水筒を見つけた。
「同盟ヒズミーランドに出店してたとき、足りなくなった時用にってオアシスの水を汲んでたのよね~」
 ひょい、と器具の影に転がっていた水筒を拾い上げる。振ってみると中でちゃぽん。水はたっぷり入っている。
「そういえばあの爆発と炎上で隠れ住んでいた精霊が消滅したんだっけ?」
 見詰める瞳が陰った。

 翌日。
「見事に枯れてるわね~」
 初華、店舗でもある魔道トラックを運転して同盟ヒズミーランド跡地まで来ていた。当時は瑞々しく木々も茂っていたオアシスが、今では周りの荒野と同じように干からびていた。
 いや、少し湿っているところもある。
「みんなの所におかえり」
 スカートをたたむようにして座り込むと、水筒の栓を開けて中の水を大地へと注いだ。
 その時だった!
 ――ありがとう。
「ほへ?」
 どこからともなく聞こえる言葉。周囲に誰もいない。
 ――ここは乾いた動物が潤いお礼に種を残し、くたびれた馬が草を食み道を造り、旅人が休んで手入れをして栄えました。
「誰?」
 ――ユノーチカ。最期に、私にとってのオアシスを待っていました。ありがとう。これで心残りはありません。お礼に、何の力もありませんがこれを。
「ほへ?」
 言葉が途絶えた。
 水を注いでいた大地から小さな白い玉石が顔を覗かせた。指でつまみ上げると同時に大地の湿り気が完全に消え、干からびるのだった。
 声はもう聞こえることはなかった。

 後日、極彩色の街「ヴァリオス」のとある通り。
「くそう、いい機会だったのになぁ」
「ほへ? どうしたの、ポルテさん」
 営業中のPクレープにオーナーであるポルカ商会の一人息子、ポルテがやって来た。何やら歯がみしている。
「蒸気工業都市『フマーレ』で『同盟うまいもの市』をやるらしいからウチも参加しようとしたんだけど、ダメだったんだよね」
 同盟の特産を一堂に集め帆に寄せ書きをして、同盟の人々の心をつなぎ一体感を高めるイベントだという。帆の寄せ書きは同盟の他の都市でもやるらしい。
「あ」
 初華、ふと胸元に手をやった。
 そこにはペンダントがある。ユノーチカのオアシスで拾った玉石が飾られている。
 ユノーチカは、荒野のオアシスで行き交う動物や旅人をつないでいた。
「そういやその手伝い依頼がハンターオフィスに出てたなぁ」
 お隣で自転車修理屋台をしている「戦場詩人」ことダイン・グラマンが初華の微妙な様子に気付いた。何となく察してそれとなく呟く。
「殻付き牡蠣を焼く『カキ小屋』の半日手伝いだったか?」
 初華の食いつく視線を感じ、そっぽを向きつつ詳細も呟いてやる。
「カキ小屋なら知ってる。わたし、行ってくるね!」
 メイド服の胸元からペンダントトップを出した初華、決意を口にした。

 というわけで、同盟うまいもの市のカキ小屋を午前と昼どきの前半を手伝って、後から自分たちも殻付きのカキや海鮮、小さな鍋に水を入れて燗した酒など味わい寄せ書きもする人、求ム。

リプレイ本文


 祭り会場は多くの人が詰め掛けていた。
 その一角のカキ小屋では。
「らっしゃいらっしゃい! 丸々太った殻付き牡蠣がバケツ売りだ! この時期の牡蠣は絶品だ、ここで食べなきゃ人生大損だぜ!」
 ぱん、ぱんとトリプルJ(ka6653)が手を叩いて呼び込んでいる。
 テンガロンハットをかぶるいつものワイルドな姿に厚手のデニム地のエプロン姿。上品さはないがここカキ小屋ではむしろ野趣味を強調している。
 整えられた快適な空間であるレストランでは味わえない体験――。
 そんな予感を人々に抱かせるに十分で、注目度はとても高い。
「はーい。まずはこっちで食材を購入してくださいね~」
 隣で売り場を預かる南那初華(kz0135)の声。
 荒々しい男の世界か、という印象が和らいでいる。
「ええと……どのくらい買えばいいか……」
 家族連れが来て聞いてくる。
「小さなバケツに殻付きカキ十個程度入ってます。まず一つか二つ買って、後から追加を購入した方がいいですよ」
「そーそー。まずは座って楽しむに限りますよ~♪」
 初華の説明の横から、ひょぃとメルクーア(ka4005)。にこぱ顔なのはこういうイベント大好きだから。
 そんな楽しい様子が伝わったか、客は「じゃあカキバケツ二つ」と即答。
「お買い上げありがとうございま~す♪」
「じゃ、お席に案内しますよ~」
 呼び込みのJ、会計の初華、あっせん・案内のメルクーアのトリプルプレーでご案内♪
「はいは~い。店員、通りま~す。ご注意くださいませ~」
 メルクーアがちょっとしたことにも声を出すのは、活気や楽しさの演出と、そして火の周りなので目につきにくい背の低い子供にぶつかって事故が起きないよう、事前に皆さんに注意してもらうため。
 そこまで気にするものか、という意見があるかもしれない。
 ちょっと実例を見てみよう。

「初華さん、私もお手伝いに来たんだよ♪」
 この時、狐中・小鳥(ka5484)が売り場に登場した。
「おおぅ」
「海辺の演出だねぇ」
 たちまち客席の男性から声が上がった。
 それもそのはず。
「ぶっ! あの、小鳥さん寒くない?」
 初華が聞いた通り、小鳥の衣裳は水着エプロン。
「そ、そうかもだけど海の家っぽいかな、とか……え? カキ小屋?」
 身をよじって自らの背後を見ようとする小鳥。
 前は猫エプロンだが、背中は素肌丸出しで背筋がくねる。水着はビキニで語尾に「だっちゃ」とか付きそうな虎柄だったり。
「ええとそれじゃ小鳥さん、こちらのお客様を炭火テーブルに案内お願いっ」
「任せてなんだよ」
 その時だった!
 ――ぱしっ!
 炭火で焼くカキの殻の表面が弾けた。
 そのテーブルの客は「おわっ」と驚いただけだが……。
「はう!」
 熱い欠片が小鳥の腰に命中。
 ちょうど素肌の部分で、少し赤くなっていたり。
 客もエプロンをしている理由である。
「うう……」
 身をよじって命中個所をさすりさすりする小鳥、涙目。大丈夫、火傷してない。
「……初華さん、着替えてくるね」
「う? うん」
 小鳥、精神的敗北を喫した瞬間である。
 長くなったが、火を使うのでいろいろと注意が必要なのである。
「俺?」
 小鳥を見送った初華、ちらとJを気にした。
 なぜならJの普段着は素肌チョッキで前開き。腹筋のシックスパックご開帳衣装だから。
 今回はエプロン着用だが、腕は素肌のままである。チョッキの丈も少し短く腰が肌出し。
 この時、近くの炭火席でカキの殻がパシッと弾けた。
 で、この破片がJの二の腕に命中!
 が、Jは涼しい顔。
「ふんっ!」
 そればかりか当たった腕を前に出し肘を曲げて拳がっちり固め、筋肉ムキムキポーズ。お~、と客席からどよめきが。って、何だ、この流れ。
 とにかくJ、ドヤ顔で初華を見た。って、何だ、この妙に説得力のあるセリフ無しは。
「うん……そうじゃないかって思ったけど」
 まさかホントに飛んできてホントにやるとは、と初華。



 時は若干遡る。
「これが牡蠣小屋というものですか……」
 興味深そうにトラウィス(ka7073)が熱気あふれる店内を見回している。
 初華たちのいる売店を前に、四人掛けの低いテーブルが並ぶ。
 客は網に殻の平らな部分を乗せ、口を開けたらひっくり返してしっかり焼き、ピックで開けて中の身を食べていた。店内は磯の香りと頬張って客の幸せそうな雰囲気にあふれている。
「牡蠣……深守夫婦が真顔で言ってたよ。生は中ると怖いって」
 トラウィスの隣にそう言って立ったのは、深守・H・大樹(ka7084)。やや淡々とした感じのトラウィスに比べ、少しいたずらっ気のありそうな赤い瞳をしている。
「僕やトラちゃんくんはともかく、人にとって火を通すの凄い大事らしい」
 なお、大樹にトラちゃ……違った。トラウィスをからかう様子はない。
「真顔で……」
「くす……そんな感じの顔だったかな? そうそう。開店前に牡蠣を割るコツは聞いておこうかな」
 真顔で返すトラウィスににこやかに対応した大樹、初華たちにも指導していた依頼元の店員を呼んだ。
 で、レクチャーを受ける。
「三分待ってりゃ大体口を開ける。開けないのは捨てること。大きく口を開けたのは手でもできるが、隙間があまりないのは……」
 指導係、平らで薄いピックを二枚貝の隙間に入れてねじる。
「おおー」
 てこの原理で開き、大樹が拍手。トラウィスは横でこくこく。
「で、ここまで開けば……二人とも、やってみな」
 手渡され、力ずく。
 かこっ、とかぎきぎ・こきっとかいう手ごたえで全部開いた。
「このひと手間が楽しいねぇ、トラちゃんくん」
「関節の接続系統が理解できますね」
 えらく喜び方が違う二人だが、ともに楽しさは理解したようだ。
「トラさ~ん、大樹さーん。手伝い、できる~?」
 ここで初華からの声。
「客が増えてきた。すまねぇがテーブルのセッティング、やってくんねーか?」
「あたしたちがばんばん案内するから安心してね~」
 呼び込みのJと整理のメルクーアの声も。
「ええと、セッティングだって」
「人には適材適所というものがございます」
 聞いた大樹に頷くトラウィス。
 仲間に期待されている。
 よし、と食器や調味料一式をテーブルに並べるなどの作業に取り掛かった。

 訪れた客たちは、家族で仲間ずれで、そして恋人同士でと賑やか。
「すみませ~ん、火が弱くないですかね?」
「炭火か? ま、ほかの店員にゃ任せられねぇかな? ちょっと行ってくるぜ、初華!」
「うん、頑張ってね」
 Jが炭を用意している場所に行って困っている客の分と交換する。
「ええと、ほかにはねぇかな?」
 そのまま店内の席の炭火確認巡回を続ける。
「ごちそうさまでした~」
「はいは~い。ありがとうございました」
 立った客がいればすかさずメルクーアが席まで行って次の客のために再セッティング。
 おや。
「店員さん、このリストにある『レ・リリカ』ってワイン、何?」
「ああ、それはですね~」
 メルクーア、事前にテーブルに飾っておいた独自制作のワインリストに興味を抱いた客から呼ばれて嬉しそう。
「それは農業振興地『ジェオルジ』のタスカービレっていう小村の白ワインで、フレッシュな味わいが焼きガキに合うんですよ~」
 早速、レクチャーというか自身の関わる地域の特産を売り込み売り込み。
「じゃ、それを」
「ありがとうございま~す♪」
 なお、メルクーアがセッティングを離れることになったが……。
「連携重視でございます」
 彼女のやりかけていた仕事をトラウィスがきっちりとこなしている。新たなピックや厚手のエプロンなど必要なものを並べていた。
「うん、うまい!」
「でしょーっ」
 メルクーアの方は盛り上がっている。背中でそれを感じたトラウィス、少しだけ微笑。
「ねえ、店員さん。これ、食べられますかね?」
 大樹の方は焼いても閉じたままのカキが安全か客に聞かれていた。
「ああ、これは……」
「あ!」
 確認したところで、ちょっと離れた初華から声が。
 振り返るとこっちを心配そうに見ている。
「ダメですね。中ると大変ですから。……代わりを持ってきましょう」
 大樹、ダメなカキを手に初華のところまで行く。
 で、カキを見せると初華は少しの確認だけして新しいものに変えた。
「うん! 心配したけどばっちりの対応よ。これ、持って行ってあげてね」
「ありがとう、初華さん」
 嬉しそうな笑顔を見て満足そうに客に新しいカキを持っていく。
「ありがとうございます」
「いえいえ」
 客に渡し大樹が辞そうとした時だった!
「いらっしゃいませだよ♪」
 虎柄ビキニとエプロンから着替えた小鳥が戻ってきたのだ。
 素敵な笑顔を振りまき元気いっぱいだ。
 が、しかし。
 ――どよ……。
「こっちの席に座って待っててね♪ 直ぐに用意する……ええと、何かな?」
 周りからの視線とどよめきに振り返る小鳥。スカートひらん♪
 ――どよ、どよどよ……。
「べ、べつに歌ったり踊ったりはしないんだよーっ!」
 どうやら期待の視線が集まっていたようだ。
 それもそのはず。
 小鳥、パニエたっぷりのフリフリアイドル衣装にエプロンを着けて店員しているのだから。
「歌や踊りはねぇが楽しくやってくれよ。こういう場所だ、楽しく食べてくれ!」
 代わりにJが声を張り上げる。
「お客様だけの組み合わせを見つけるのも、また楽しいものですよん♪」
 メルクーアの方は各テーブルを回ってお酒を勧めている。
「すごい活気だね、トラちゃんくん」
「とても良いと判断します」
 一緒に皿を片付ける大樹とトラウィスの見た通り、店は大繁盛である。



 で、カキ小屋での勤務は交代。
 食事である。
「さー、食べよ食べよ♪」
「初華さん……この格好のまま、かな?」
 初華、小鳥と腕を組んでアイドル衣装のまま連行。
「初華さ~ん、こっちよ~」
「働いた分ガッツリ食わねぇとな! ほら、初華達もガッツリ行け」
 メルクーアが手招きし、Jが初華を隣に座らせたくさん焼いたカキを取ってやる。
 網ではじゅうじゅうと殻付きカキや野菜、海鮮が焼けている。
「いつもはフライにしたのを食べるし、こういう風に食べるのは何だか新鮮。トラちゃんくんはどう?」
 はふはふと焼きたてを食べる大樹が隣のトラウィスに声を掛ける。
 そのトラウィス、前屈みでじっとカキを見つつ固まっている。
 デバイスのタイマー音を待っているのだ。
「それ、そろそろ食べた方がいいと思うよー」
「何かあってからでは遅いので。安全かつ美味いものを食す為には一秒の狂いもなく確実な動きが求められると判断致します」
 なお、トラウィスの待っているカキは殻がすっかり開いている。
「生っぽいのが好きな人は早め、磯の香りがたっぷり染み込むまで焼くのがいい人は遅いからね~」
「トラウィス君はじっくり焼く派だね」
 初華の説明にくす、と大樹。そういう彼はエビにトウモロコシにと多彩に焼いているが。
「お仕事中、ずっといい匂いしてて凄くお腹が空いちゃったんだよ♪ だから、一杯食べないとね♪」
 おや、小鳥はもう格好は気にしてないようで。
「海の香りがして……あ。おい初華、手をケガするなよ?」
「あ、うん。Jさんありがと」
「はいはい。初華さんも飲んで~」
「メルクーアさん、こぼれる~」
「初華さん、胸元が緩んで……あれ?」
 小鳥、初華のデコルテにペンダントを発見。右に左に振られ手の自由が利かない初華、小鳥に胸元を好き放題されている。
「何か綺麗なペンダントしてるね? 何処かで買ったのかな? それもと…誰かからのプレゼントとか? とか?」
「違う違う。ほら、同盟ヒズミーランドの傍にあった湖の……精霊からのお礼だと思う。私が持ってた最後の湖の水を返したから」
 ピカピカの玉石。
 初華の肌の温もりが手にした小鳥にも伝わる。
「そういえばあの時も大変だったよね~」
 小鳥、しみじみ。
「ちょうどいい。あのときの打ち上げもやるぜ!」
「うん。カキにチーズをかけて焼いたら赤ワインに合うかしらね~……え? 乾杯? それじゃ小鳥さんも♪」
「わ、わたしは飲めないんだよ……」
 盛り上がるJにもきゅもきゅやってたメルクーアがはっとしてお酌。小鳥はジュースにしたが。
「大ちゃん様、ほら……」
「僕のカボチャもそろそろだから、少し炙ったチーズを乗っけて……え?」
 流れを呼んだトラウィスが大樹にジュースをお酌。
「それじゃ改めて、お疲れ様なんだよー♪」
 小鳥、ユノーチカのペンダントを掲げ乾杯の音頭を取った。
「よーし、改めて食うぜ!」
「ま、負けないもん!」
 Jと初華がカキに手を伸ばす。
「そっちは独創的ねぇ」
「え?」
 メルクーアに声を掛けられびくっ、と手を止めるトラウィス。が、作業は続行。
「完成……此方をどうぞ。合わせると美味しいそうです」
「ホタテにチーズ掛けてもいけたけど、トラちゃん君も食べる?」
 というわけで、料理をシェア。
「普通に美味しいわね~」
 大樹の料理をぱくつくメルクーア。トラウィスも満足したように黙々と食べる。
 が、大樹の方は……。
「トラちゃんくんも割と任務に絡みそうなことには詳しそうだけど、日常生活的なことは、色々不得手なんだね…」
「え? 合わせ調味料が美味しいと聞いたのですが」
 少し残念そうに言う大樹に、聞いた評判通りに製作したのですが、な視線を向けるトラウィスだった。
「……合わせ過ぎかしらね~」
「だな」
 メルクーアとJの評の通りである。

「んじゃ、私たちも書いて行く?」
 最後に初華が寄せ書きの方に。すでに【団らん】と書いているが。
「こういうの書くの初めてだよ。んー……」
 小鳥が続く。
 衣装にちなんで【歌って踊れるハンター】。
「世の中、こうだ」
 Jは【友情と愛情】。
「分かりませんが……」
 あまり意識せず【世界と人々の安寧】と書いたトラウィス。あるいは己に刻まれていたのかもしれない。
「何かふわっと思い浮かんだから」
 同じく大樹は【Vive hodie.】。
「これ、なんて読むの?」
 初華が聞いたのが【歳寒松柏】。
「【さいかんのしょうはく】。厳しい状況になってこそ人の真価がわかる、という意味 よん♪」
 書いたメルクーアの説明。
「ふわー、すごいね~」
「一体何歳だよ、オイ」
 感心する小鳥とそこを突っ込むJだったり。
「あ、それじゃみんなこれにも書いて」
 初華が色紙を取り出して、五人に改めて一言を書いてもらう。
「それ、どうするのかな、かな?」
「お店に飾るの♪」
 初華、小鳥に答えて気付いた。
 慌てて一筆入れる。
 【人と動物の集まるオアシス~ユノーチカ】、と。

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参加者一覧

  • Pクレープ店員
    メルクーア(ka4005
    ドワーフ|10才|女性|機導師
  • 笑顔で元気に前向きに
    狐中・小鳥(ka5484
    人間(紅)|12才|女性|舞刀士
  • Mr.Die-Hard
    トリプルJ(ka6653
    人間(蒼)|26才|男性|霊闘士
  • 平和な日々の思い出を
    トラウィス(ka7073
    オートマトン|24才|男性|機導師
  • 輝く星の記憶
    深守・H・大樹(ka7084
    オートマトン|30才|男性|疾影士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
メルクーア(ka4005
ドワーフ|10才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2018/02/26 21:54:11
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/02/26 21:49:21