知追う者、師匠の家に荷物運ぶ

マスター:狐野径

シナリオ形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
少なめ
相談期間
5日
締切
2018/03/06 19:00
完成日
2018/03/12 22:05

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●天ノ都に出かけよう
 人数がいるということは、うまくすれば早く片付くということである。
 実際、大江 紅葉は、里とその周囲が均されていくスピードを見て感じている。
 ただし、物資が足りないし、耕すのに力が足りないのも事実だ。人数があっても、常時働けるものではない。
「これは! 私の出番なのです! 都に戻ってトラックとゴーレムと、農具も持ってくるのです! それと、陰陽寮に顔を出して話を聞いて、仕事してこないといけません!」
 このことを家令に言うと「あなたを一人にするわけにはいきません」ということで人選がなされた。田貫家の夫婦が適任となされた。
「行ってきます」
 早々に紅葉とともに天ノ都に旅立った。道中何があるかわからないが、一応、紅葉が戦えるし田貫家の者は武術に優れている。一応、問題ないだろう。
 さて、都に着いて紅葉たちは自宅に直行する。
 周りも一緒に引っ越した結果、その地域は静かだ。
「宗主、ここはもともとスラムに近い状況です。皆が立ち去った後では治安がどうなるかわかりません」
「でもここじゃないと住むところありません……って、トラックとかは!」
 あるべきところにあるものがなかった。魔導トラックとゴーレムがない。
「農具の方はそのままありますね……」
 なぜその二台がなくなっているのか紅葉は困る。以前、グラズヘイム王国で借りてきた刻令術の農具はそのままだった。紅葉は「泥棒ではないですね」と考える。
「とりあえず、掃除をして、手前の方の部屋だけを使うようにしましょう。そのあと、中心地に良い家を探しましょう」
 田貫夫妻はてきぱきと作業に移った。
 紅葉は陰陽寮に顔を出しハンターオフィスに顔を出すことにした。

●陰陽寮
「師匠!」
 陰陽寮に紅葉の元気な声が通り過ぎる。
「あー、無事で何より」
「当たり前です! なんか嫌な感じすぎます! なんというか、うちの方、南から素通しかもしれません! だからどうにかしないといけないんです! それと、畑をどうにかしないといけません――」
 紅葉が吉備 灯世に必要なことをあれこれと述べた。
「それはいいんだが……俺、どこに住もう」
「……はい?」
「とりあえず、うちに来い」
 紅葉を引っ張って灯世は自宅に向かった。陰陽寮で話したくないこともあるんだろうと紅葉に察した。

●そりゃそうだ
 家の中、誰もいない。
 紅葉の家より都の中心に位置する。
 灯世は一家を大江が住んでいた地域に移した理由を話した。
「都の方が安全という言もある。が、危険が集中していると思うしな。で、お前のところなら、ねじ込めそうだと」
「うち、武家がいないから色々微妙ですよ」
「お前頑張れ!」
「え、えええ? 最近弓の練習はしていますけど」
 たぶんそういうことではないと二人は気づいているが、馬鹿なことを言って笑う。
「それはともかく、松永殿が無事なのは確認している」
 松永 光頼は武家に属し、今回都にいた。
「そうですか、よかったです。暇を見つけて会いに行ってみたいと思います……が、師匠! 私もここに住んでいいですか!」
 唐突の会話の変化に灯世は驚く。
 紅葉は陰陽寮に所属することを継続するため、里人は戻ろうとも天ノ都に家がいるという話をした。近隣も皆引っ越したため、都の中心地から離れているあそこに住み続ける理由が薄いということも付け加えた。
「確かにな……俺もこんなに広い屋敷いらないと思ったが……あっちに厄介になっているんだし、お前を置くのは理に適うな……それに、田貫夫妻が実質家令代わりだよな」
「そうなりますね。でも、師匠については論外ですし、こんな広い屋敷だと掃除とか手が行き届きません」
「……そりゃ、それは雇う、こっちが。分かった。どうせ部屋はあるんだし、越して来い」
 これで紅葉の都での居住場所は確保された。
「それより、うちにあったトラックとゴーレムどうなったのです?」
「……オフィス側が避難させてくれることになっていた。まあ何もなかったけどな」
「分かりましたー」
 紅葉はオフィスに向かった。
 そして、紅葉が借りていた魔導トラックをすぐに借りて、そのまま自宅に向かう。
 途中、魔導トラックでカカカカと壁を擦った。
 自宅に到着し、田貫夫妻に灯世のことを告げる。
「それは助かりますね。吉備様ならば、信用できます」
「良かったです。じゃ、早速荷物運びます」
「え?」
 夫妻は声をそろえて反応した。紅葉のトラック運転技術が向上しているとは思えないからだ。
「お前はひとまず、荷物を運ぶ算段を作ってくれ。俺はハンターにどうにかしてもらうよう行ってくる」
「分かったわ」
 田貫 清はオフィスに走る。
「すみません、えっと、寸志ですが……宗主の魔導トラック運転をどうにかしてください」
 止めるということではなく、今後もあるため、うまく運転できるようにどうにかしてほしいという。
「近所は壁にぶつけても大丈夫だと思います。でも、人をはねるのだけは避けたいです。引っ越しの手伝いと言う体裁でお願いします」
 という依頼を出したのだった。

リプレイ本文

●顔合わせ
 ステラ・フォーク(ka0808)は久々に大江 紅葉(kz0163)に会い、丁寧なあいさつをする。
「――では、今日はよろしくお願いしますね」
「清、ハンターに頼んだのですか?」
 ステラはこの瞬間、情報が伝わっていないと知った。田貫 清と光子夫妻が慌てて紅葉に「人手がいる」と説明している。
「よろしくお願いしますね」
 紅葉がステラに頭を下げた。
 カーミン・S・フィールズ(ka1559)とミオレスカ(ka3496)が来て、まず目に入ったのは満身創痍または百戦錬磨の戦士と言える装甲の魔導トラックだ。
「こんにちはー、クレハ手伝いにきたわ」
「お引越しですね……紅葉さんもすっかりトラック運転が――が……」
「で、どんな手順でするの?」
 ミオレスカが言葉に詰まったところをカーミンがさりげなく違う方向に誘導した。
「持っていくほうがいい物と、売ってしまう物、里の方に持っていくものは分けています」
 光子が答えた。
 エラ・“dJehuty”・ベル(ka3142)は来る途中に道の様子は見て、今到着する。
「荷物を入れるならば、何がどこにあるか書きましょう。それに、運ぶ順番も重要です」
 丁寧に告げる姿は経歴を物語るようだった。
 ハンス・ラインフェルト(ka6750)と穂積 智里(ka6819)の目に飛び込んできたのは魔導トラックの哀れな姿だった。ハンスに怒りが沸き上がるのを智里は感知した。
「ハンスさん、依頼人ですから……」
 智里が落ち着くように告げるが、車愛溢れるハンスの怒りを抑えるのに大した役には立たないようだ。
「こんにちは」
 普通に挨拶から入るハンスに智里はホッとし、自分も挨拶する。
「で、アウトバーンで何百キロだそうが速度制限はありません。一日で都から大江家まで到達するのも紅葉さんの腕で次第でしょう。しかし、車をきれいにしない運転手というのは正直許しがたいのですよ」
 声は抑えられているが、仁王像やら阿修羅像やらが背後に見えそうな雰囲気だった。

●まず、運転とは?
 紅葉はハンスに反論した。
「異議ありです! 私はこすったりぶつけたりしているかもしれませんが、丁寧に拭いたり、ゴミはとっています!」
 カーミンとミオレスカが魔導トラックの周囲と運転席を見た。
「確かに、何を持ってきれいかは別として、きれいだわ」
「そうですね」
 反論は成功した模様。
「しかし! これだけ擦ったり、ぶつけた痕があるということは問題があります。紅葉さん、貴女がこのまま車で物を壊し続ければ、こう噂をされることになります。大江家の惣領は西洋かぶれの――」
 紅葉のところの柴犬が鳴いた。
「また犬拾ったのですか?」
 ミオレスカの質問に紅葉が「そこを歩いていたので」と答える。
「天子様のお膝元たる都で狂ったように車とかいうものを乗り回し、人を殺し他人の屋敷を壊している。松永も吉備もあの悪女に弱みでも握られているに違いない、とね。里を再興しようとする貴女を引きずり下ろしたい人間は五万といます」
 紅葉はうめく。公家・武家問題が横たわっているのは事実。
「今後の大江の里への支援は、貴女の行動一つにかかっているといってよい……貴女自身が気をつけなければ、運転技術は向上しませんよ?」
 ハンスはしゃべっている間に怒りより、親身な声音になっている。本当に嫌ならば、いくら智里と一緒でもこの案件に手を貸すことはなかった。
「車も大事に出来ず、ぶつけまくるならば、トラック返却してゴーレムだけにしてください。あれも荷物の運搬はできます」
 紅葉は神妙にうなずいた。
 何とも言えない表情のままだが、ハンスはひとまず紅葉の反応に納得する。
「はいっ! では、荷物を運びましょう」
 紅葉、切り替えは早かった。
「はいっ」
 ステラと智里がほぼ同時に挙手をした。互いに譲り合が、疲れ切ったハンスが智里を背後から抱きしめるように前に押し出した。
「えっと! 改造してみませんか、魔導トラックを。ちょっと材料が不足していますが……二つの点を改良するといいと思います」
 一つはタコメーターに一定速度が出たら音が鳴るようにすること。
「都の中はともかく、里に向かうところはハンスさんが言うように飛ばしてもいいと思います。そのため、音をオン・オフできるようにする方がいいですよね」
 紅葉がうなずいた。
「さらに、助手席から急ブレーキ踏めるようにするのです」
「えっ? なぜそのようなものがいるのですか? 危ないじゃないですか」
 全員が沈黙した。たぶん、これは自分の運転の悪さに全く気付いていない状況。紅葉は心外と言う顔である。
 一旦、この話題から離れる方がいいと思う中、ミオレスカがステラに向く。
「と、ところで、ステラさんの内容をお聞きしていいでしょうか」
 智里は説明が中途半端でおろおろするが、ハンスが彼女の肩をポンとたたき、首を横に振った。たぶん、紅葉の説得をするのも考えると、かなり骨が折れる依頼なのだと。
 ステラは「運転の重要な話」を進める。
「運転の経験は全くないのですが、父が良く話をしていました。空間把握は重要だと聞いていました。なので、車幅を視覚化することで物などに触れにくくなり、大江さんの運転技術も向上するかもしれません」
 バンパーの両脇に棒立てる細工し、夜ならば、ハンディLEDライトを括り付けることを提案される。
「なるほど……」
「そもそも符術師には結界術とかあるわよね?」
 カーミンが指摘する。
「それって、空間把握が必要よね?」
「そうなのですか?」
「ん?」
 この会話から、紅葉が直感でやり切っていることが感じられた。
「つまりね……あ、あとでいいかな……」
 カーミンは説明が長くなると感じて、先に改造問題をどうにかしてもらう。
「うーん、どれも不要だと思うのですが? 今後の検討課題として受け取ります。スピードは出していませんし。確かにこすっているのは事実ですから、こすらないような仕掛けはやってみてもいいです」
 一行は確信した、紅葉は優良ドライバーだと思っていることに。
「……運転技術を向上させるならば、訓練場に行って【操縦士】の資格を取得されるのもいいかもしれませんね。あとは【機導師】もよいと思います。魔導トラックの扱いや整備も長けていますね。車体感覚は難しいですので【立体感覚】を身につけておくのもよいですね」
 ミオレスカが無難な提案をしたところに、機導師である智里が同意の声をあげたのだった。

 外で激論中、エラは田貫夫妻と荷物の整理をしていた。
「紙はあります?」
「それはたくさんありますよ」
 紙と筆と墨を用意してもらった。
「行李に張るのは……無理か……ならば、何をいれた物かパッとわかる用にメモ書きをして入れていこう」
 エラはてきぱきと詰めるのを手伝う。
「重いものは下、軽いものを上に詰め……割れ物はぼろで……」
 田貫夫妻は感心して話を聞き、手伝っていた。
「これは、手伝ってもらうつもりが、我々が手伝っているだけみたいですな」
「本当ですね」
 田貫夫妻は楽しそうに笑っていた。
「移動は彼女の運転がどうか……」
 エラの一言で、夫妻は暗い表情になった。そのため、相当下手なのだと理解できる。
「外でどうにかするという話はしているみたいなので……何とかなると思います」
 エラは言い切るのは非常にためらわれた。そして、作業を続ける。
「これは」
 行李を開けると毬のような物が出てくる。球でも楕円形で、色鮮やかなラグビーボールのような毬。
「宗主が作った物なのです……素材と色合いは大変良いものです」
「ええ」
 そのままエラは行李を閉めた、なんとなく田貫夫妻の笑顔が怖かったので。

●じっくり行こう
 紅葉の運転を目の当たりにすることとなるまでのカウントダウン。一見、穏やかそうにハンターは会話をするが、緊張感がみなぎる。
「助手席に乗ってナビをするわね」
「なら、私はカーミンに連絡を取る形にする」
 エラは先行して状況の確認と必要ならば交通整理をするというのだ。予定しているルートが万全な状況とは限らない。二度も通るから道は覚えても、暴れ馬が出るかもしれないし、町の人間がけんか始めるかもしれないという不意打ちはありうる。
 智里は索敵……敵ではないけれど周囲に人がいたらすぐに伝えられるように、荷台の荷物の間にはまった。
「人が飛び出してきそうなら……大声出したほうが早いですね……。人が出て来たら声をあげますのでブレーキ踏んでくださいね。人も物も壊しちゃだめですよ。都の人や物を壊すくらいなら、【アースウォール】を立てて私がこのトラックを壊します。都の中では特に緊張感を持って運転してくださいね」
「……待って、乗る人間もいるのよ」
「頑張ってください!」
 カーミンは智里に覚悟を見出したが、自分が死ぬのではないかという不安がよぎった。
「あなたも危険だと分かっているのですか?」
 心配したハンスが言うが智里は「きっとうまくいくと信じています」と答えた。
 紅葉が現状無事だし、そこまでひどくはないと信じたい部分は誰しも思っているだろう。
「引っ越しが終わったら醤油が効いたおだしでお蕎麦、なんて楽しいですよね」
 ミオレスカが提案するが、田貫夫妻が「そばの材料はない」と言う。
「では、私は別行動で買い物をして、お伺いしますね?」
 田貫夫妻が頭を下げる。物事が無事終わったら楽しみができたことにより、場の空気は少し和らいだようだ。
「先方の家に勝手に上がっても大丈夫でしょうか?」
「荷下しもありますし、私がそっちにいますよ」
 ハンスの提案は田貫夫妻にもありがたいものであった。
「紅葉さん、トラックにペットの皆さんも乗せることあるでしょう? 安定した運転は重要です」
 ミオレスカが「頑張れ」と目に力を込めて言い、エラとともに出発した。
「はい、棒を立て終わりました。あとは、運転中に人が横切る可能性を常に考えることだと思います」
 ステラは作業を終えた。彼女は荷物積みもあるため、ひとまず大江家に残る。
 エンジンがかけられるトラック。
 一連の動作を見てカーミンは普通だと安堵した。
 見送るステラは無事行けるといいと祈る。
 ハンスは馬でついていくつもりだが、状況を確認するまで近づけない。
 魔導トラックのアクセルが踏まれた直後、急ブレーキが踏まれる。
 ガッコンと激しく揺れるトラック。智里はトラックの荷台にしがみつく。悲鳴を上げるのは見ていたステラとハンス。
「何があったんですの!」
「舌をかまないように注意してください!」
 カーミンは見ていた、紅葉が急ブレーキ後、普通に左右を確認して出発するのを。
「あなたは! 順番を考えるの!」
 思わず叫んだが、トラックは右折する。のろのろ運転である。
 ステラはせっかく立てた棒が張り出した枝に引っかかるのを見た。キーという嫌な音もしている。
「壁に寄りすぎですわ! ……あっ」
 棒は枝から外れ、バチッとトラックの側面をたたいた。
「ほら、式符を考えて! あれって、状況把握するのに使うんでしょ!」
 カーミンが助言をするがガリガリと言う音がする。
「え?」
 ガン。
 紅葉は急ブレーキを踏み、カーミンを見た。前方が壁にぶつかっている。
(このままだと今までのどんな戦闘機より、精神を削られることになる? それと、この人、助手席に人がいる状況で乗ったことがないのね!)
 カーミンは冷や汗とともに、紅葉が人をひかなかったことが奇跡だと知った。
「……紅葉、深呼吸して」
 カーミンは言いながらする。
「いい? 私は口出ししないから、運転に集中してね」
「え? はい」
「あと、あの棒がぶつけないように運転をしてね」
「はい?」
「あと、事故ると、後ろに乗っている智里が十中八九、【アースウォール】発動してトラック壊す前に、彼女自身が吹っ飛ばされて重体になるから」
 紅葉は恐る恐る荷台を見る。自分の名が聞こえて智里は恐る恐る二人を見る。
(……つまり、私は恐ろしいことにかかわってしまったのですね!)
 智里はハンスを見る。
(でも、このくらいでへこたれるのはハンターとしては!)
 智里は頑張る決心をした。
 トラックは動き始める。紅葉は集中して運転しているらしく、車体をこすったりはしていない。ただ、急ブレーキと急発進は多い。
『何かあった? そこからこの交差に来るのにそんなに時間がかからないと思うけど』
 エラからカーミンに連絡が入る。カーミンは小声で応対した。
「まー、蛇行しつつ進んでいるわ」
『こちらの状況を伝える。今のところ、人通りは少ない。彼女はオフィスからそこまで運んでいるのだから、何度か通ったことがあるはず』
「クレハを信じる」
『何かあったら連絡頂戴』
「了解」
 じわじわとトラックは進んでいった。
 エラが大通りで紅葉の運転を見て、急発進と急ブレーキがなければ、慎重な運転に見えた。

 何とか吉備家に一度たどり着いた。
 なお、次の往復の時は、夕方に差し掛かっていたため、人通りが多かった。これも何とかこなしたのだった。

●引っ越しそば
 吉備家の台所でミオレスカはそばを作っていた。
「なんかにぎやかだなー、おや?」
 家主の吉備 灯世が入ってきたので、ミオレスカが挨拶と状況説明をする。
「助かる。やはり、人がいるといいな」
 灯世は飄々と中に入っていった。
 ミオレスカが丁寧に出汁を取ったそばつゆと茹で上がったそばがここにある。
「まだ寒いですし、温かい方がいいですね」
 器を探して盛りつけ、盆に乗る分を持って食堂となる部屋に向かう。
「皆さん、そばできました」
 その声に田貫夫妻が急いで出てきて、手伝い始める。
「私もお手伝いしますわ。お茶淹れましょうか?」
 ステラも台所に向かう。
「うわーいい匂い」
 カーミンが嬉しそうな顔で来る。その頬がこけて見えるのはきっと気のせいだろう。
「紅葉の運転は……結局、集中力だと思う」
 エラが見たときの感想を言う。
「独りの時、どれだけ集中していないのかってこと……でもないのよね、事故っていないから」
「そう、事故らない程度の集中力」
 カーミンとエラが狩衣のそでを戻している紅葉をちらっと見た。
 最後に部屋に来た智里とハンスは隣同士で座る。
「片付けははかどりましたね」
「その件に関しては同意します」
「ハンスさん、私頑張りましたよね」
 智里のつぶやきにハンスが彼女を抱きしめる。
「せっかくの車絡みの依頼なのに、癒しがほしくなりました」
「そうですか……あっ……」
 智里の首にハンスが唇を寄せ、そっと甘噛みをしていた。
 そのころ他の者は運転と片付けに関してあれこれ意見交換をしてにぎやかだった。

 そばを食べ、ほっと一息を付いたハンターたち。キリが良いところで解散となる。
 なお、トラックに乗っていた人間は体重が一時的に激減していた、らしい。

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  • 世界は子供そのもの
    エラ・“dJehuty”・ベルka3142

重体一覧

参加者一覧

  • 冷静射手
    ステラ・フォーク(ka0808
    人間(蒼)|12才|女性|霊闘士
  • 花言葉の使い手
    カーミン・S・フィールズ(ka1559
    人間(紅)|18才|女性|疾影士
  • 世界は子供そのもの
    エラ・“dJehuty”・ベル(ka3142
    人間(蒼)|30才|女性|機導師
  • 師岬の未来をつなぐ
    ミオレスカ(ka3496
    エルフ|18才|女性|猟撃士
  • 変わらぬ変わり者
    ハンス・ラインフェルト(ka6750
    人間(蒼)|21才|男性|舞刀士
  • 私は彼が好きらしい
    穂積 智里(ka6819
    人間(蒼)|18才|女性|機導師

サポート一覧

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依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/03/06 11:46:53
アイコン こうつうあんぜんとは
カーミン・S・フィールズ(ka1559
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2018/03/06 12:18:23