• RH

【RH】VOID sand

マスター:赤山優牙

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~5人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2018/03/07 22:00
完成日
2018/03/15 21:28

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出? もっと見る

オープニング

●解析へと
 強化人間施設『アスガルド』ではなく、星加 籃奈(kz0247)は知人からの紹介を通じて、イギリスのある技術担当者の下へと訪れていた。
 亡き夫が搭乗していたCAMから外してきた通信記録のボックスを解析する為だ。
 強化人間自体は統一地球連合宙軍が管理というのが名目なので、大っぴらに解析を行う訳ではない。表現を変えれば、個人的なものともいえようか。
 案内された施設は、ムーンリーフ財団との関係性が強い施設であった。
「……例のものですが、解析するのに、僅かばかりお時間を頂きます」
 技術担当者が淡々と言った。
 夫の戦死には謎が多い。事前の作戦と違う動きもそうだし、そもそも、担当していた戦域も違った。きっと、何か、理由があるはずなのだ。その手掛かりは、ボックスの中にあるかもしれない。
「なかなか良いタイミングではありますよ。財団の偉い人も、軍も、アスガルドの強化人間の謎の失踪で、今、ゴタついていますから」
 そう、技術担当者は続けた。
 失踪というのは大事件なはずなのだが、この担当者は表情一つ変わる事が無かった。
 偏屈だが、腕は確かという知人の話はどうやら、本当のようだ。
「よろしくお願いします」
「ところで、星加さんは、強化人間としてVOIDと戦った経歴をお持ちのようで」
「はい。それが、何か?」
 唐突な質問の意味が分からず、首を傾げる籃奈。
 技術担当者は素早い動きで、1枚の地図を広げた。どうやら、リアルブルーのどこからしい。
「秘密裡に解析する事は出来ます。ですが、無償という訳にもいかない事情があります」
「……つまり、私にVOIDと戦えと?」
 法外な値段を提示されても困る事なので、籃奈は内心、ホッとした。
「別の研究所で強化人間となった星加さんと、私達の研究所の強化人間との違いを確認したいのです」
「なるほど。そういう事ですか……ただ、そんな情報、既に幾らでも出回っているのでは?」
「集めて無駄になる情報とそうでない情報の区別は、私には必要ありませんので」
 変わらず、淡々と告げる技術担当者。
「分かったわ。ただ、私は一人では戦わない主義なの。知り合いをつけても?」
「構いません。作戦自体は、ムーンリーフ財団からの依頼という形にしますので」
 それなら、ハンター達を雇っても大丈夫だろう。
「それじゃ、早速、作戦の詳細を教えて貰おうかしら」
 籃奈は爽やかな笑顔を浮かべた。

●とある島にて
「リアルブルーって、暖かい所もあるんだね!」
 白いビキニ姿の鳴月 牡丹(kz0180)が両腕を大きく広げた。
 豊満な胸が強調される。ここは、リアルブルーのある島。ムーンリーフ財団所有の島だ。
「なんでも、保養所として使われていたようだけど、VOIDの襲来で放置されていたそうだよ」
 ラッシュガードを着て、眩しい太陽の日差しに思わず手をかざす籃奈。
 真っ白な砂浜には彼女らとハンター達しかいない。
「それでさ、なんで、水着なんだっけ?」
「説明していなかったね。この砂浜に潜むVOIDは、ちょっと手強くてね」
 牡丹の疑問に籃奈が応える。
 作戦資料には、細かくVOIDの事が記されていた。
 警戒心が強いようで、武装している兵士がいる限り、砂浜から出てこないという。
 それならばと、ヘリコプターや爆撃機を用意しても、近づくだけで潜ってしまう。
 CAMは当然、導入できない。海のど真ん中の保養所という事で放置していも問題ない事などあり、討伐作戦は見送られていた。
「……なるほどね。だから、水着姿で遊んで、出てきた所をボコればいいんだ!」
「端的に言うとその通り。だから……」
 籃奈が持ってきたのは、一通りのバーベキューセットやら、スポーツ用品だった。
 そして、それらを満載したホバー式のカート。
「やった! もしかして、良い肉揃ってるの!?」
「当然。演技だとバレたら、出てこないからね。全力で遊んでもらわないと」
「それなら、ボクに任せてよ!」
 袖は無いが、腕めくりする仕草をしつつ、牡丹が舌舐りをした。
「ボクがとびっきりの、バーベキュー料理を振舞うよ!」
「折角だから、海に潜って、魚でも取って来たら?」
 さり気なく籃奈が牡丹を別の事に誘導した。
 牡丹が作る料理は危険極まりないのだ。食べれば、ハンターといえども、重体必須だろう。
「あー! それ、いいね! それじゃ、ボクは海に潜ってくるよ」
 そう言って、牡丹は銛すらも持たずに、海へ向かって全速力で走り出した。
 素手で捕まえるつもりなのだろうか……まぁ、『女将軍』と呼ばれるだけあって、意外とやれるかもしれない。
「ほら、遅いよ、みんな!」
 ただ見守るだけだったハンター達を振り返って、牡丹が叫んだ。

リプレイ本文

●白浜のハンター達
 青い海。白い砂浜。そして、眩しい日差し。保養所というだけあって素晴らしいビーチだ。
 トラ柄ビキニ姿のネフィリア・レインフォード(ka0444)が両手を挙げて楽しそうに走る。
「う・みー♪ この時期に海で遊べるとは思ってなかったのだ♪」
 依頼内容のVOID討伐の為にも、精一杯、遊ぶ必要がある訳で。
 海で遊べるという事もあり、ハンター達はそういう意味でも準備万端だ。
「泳ぐなら、水着無い方が泳ぎやすいんだけどねー? この時期泳げるのかな? かな?」
「泳ぐ分には問題ないようだけど、あまり沖までは出られないわね」
 アイビス・グラス(ka2477)が日差しに対して手を翳して応える。
 動きやすさを優先してか、ワンピースタイプの競泳水着をアイビスは着ていた。
 フロントジッパーは彼女の性格か、確りと上がっているようだ。
「前回はチョコ。今回は砂……牡丹さんと一緒にいると不定形歪虚に遭遇しやすいのかしら……?」
 そっと、鳴月 牡丹(kz0180)の姿をアイビスは見た。零れ落ちるかと思う程、宝満な胸が目立つ。
 例え、どんなVOIDが出ようが、牡丹は動じる事がないだろうが、このままいずれ、とんでもないVOIDが出てきても不思議ではない。
 そんな牡丹はイレーヌ(ka1372)に対して、頬を膨らませていた。
「イレーヌ君だけずるいよ! 面白そうなのに!」
「なら、牡丹も塗ってもらうといい」
 余裕の表情で顔だけを上げてボーダー柄のビキニを着たイレーヌが言う。
 ブーメランパンツ姿の龍崎・カズマ(ka0178)に日焼け止めのオイルを塗って貰っていたのだ。
 背中を丁寧に塗るカズマの表情は真剣そのもので、まるで職人のようだった。
「じゃ、僕も塗って貰うからね! カズマ君!」
「分かったから順番だ……とりあえず、イレーヌに被さるのはやめろ」
「私にその凶器を当てつけてくるなんて、いい度胸だね、牡丹」
 何か……カオスな光景になりつつあり、カズマは大きくため息をついた。
 まだ、テントすらまともに立てていないのにこの有り様だ。テントもしっかり立て、バーベキューの準備だってある。
 そんな訳で、設営を頑張っているのは、ロジャー=ウィステリアランド(ka2900)と星加 籃奈(kz0247)の二人だった。
 籃奈がテントを固定させるロープを引っ張った。
 胸は残念なのだが、躰のラインはシャープで綺麗に映る。
「こんな感じだろうか? ロジャーさん」
「あぁ、バッチリだ」
 それがロープの張りなのか、際どい籃奈の姿勢の事なのかは彼にしか分からない事ではあるが。
 ロジャーは砂を払うようにパンパンと音を立てて手をたたきながら一面を見渡して満足そうに頷いた。
(女子の水着姿を堪能できる上に遊べるだなんて、最高だな!)
 砂VOIDを誘き出す為でもある。決して邪な考えではない……だろう。

●ビーチバレー
 ようやくオイル塗りから解放されたカズマが忙しく次の準備に取り掛かった籃奈に声を掛けた。
「星加女史も遊びましょうや。休養も必要です」
 普段、籃奈は仕事と育児の両方に追われているのだろう。
 依頼で来ているとはいえ、休むのは大事な事だ。
「どうも、働くのが癖になっているみたいでね」
 苦笑を浮かべる籃奈。
 そして、楽しそうに無邪気に笑う牡丹を眺め――何かを言おうと口を開きかけた時だった。
「籃奈も早くこっちに。バレーをやるよ」
 ビキニ姿を惜しみもなく、さらけ出しながらイレーヌが手を振っていた。
 ちなみに、魔導カメラもちゃっかりと握っており、そういう所は流石としか言いようがない。
「……審判役が一人でいれば、3対3でもいいのか」
「僕はそれで構わないさ。ギッタギタにしてあげるよ、カズマ君」
 不敵な笑みを浮かべて、牡丹がネフィリアを背後から抱き締めた。
 どうやら、ネフィリアはチーム要員として確保されたようだ。
「全力で頑張るんだよ!」
「という事は、俺と龍崎とアイビスか」
 全員を指さしながらロジャーは告げる。
 人数を数えている様相だが、実は女子全員の水着姿を堂々と確認しての事だ。さりげないあたり、場慣れしているというべきか。
「真面目にやるわよ」
 アイビスが冷たく言い放つ。
「と、当然だ! 勝つぞ、龍崎!」
「とりあえずは楽しむかぁね、目の保養にもなるし」
 男子二人に言葉と態度に増々、アイビスが厳しい目つきになる。
 あれは、ボールを打つと見せかけて、蹴りか拳を繰り出してくるに違いない。

 ドシュゥ! と唸るような音を立ててボールが打たれる。
 それをロジャーは避ける事もしなかった。顔面で受け止める。
「……揺れ……て……る」
 どんなに真面目にやろうとしても、どうしても、視線が女子の躰に向いてしまう。
 それでも顔面で受け止めた事は称賛に値するだろう。
「ナイスファイトだ!」
 横っ飛びでボールを打ち上げるカズマ。
 ボールは繋げたが、彼は砂の中に豪快に頭を突っ込んだ。
 一方、アイビスはフェイントを入れながらも次の瞬間、空高く飛び上がっていた。
「これでも運動部出身、勝ちを狙いに行くわよ!」
「来なよ!」
 挑発的に言ったのは牡丹だ。
 しかし、アイビスは冷静だった。牡丹に打ち込んでも返されるのは必至だからだ。
「たぁ!」
「こっちにきたぁ!」
 渾身の一撃を叩き込まれたのはネフィリアだった。
 砂へと飛び跳ね滑り込み、意地でも拾った。
「まだ落ちていないよ」
 審判役なのに何故か魔導カメラを握ったままのイレーヌが宣言する。
「ナイス!」
 すかさず、籃奈がフォローに入った。
 ネット際で高く打ち上がるボール。絶好の機会に牡丹が飛ぶ。
 ブロックするようにアイビスも飛んだ。両者が空中で睨み合う。
「止めるよ!」
「残念だけど、僕の勝ちだね!」
 彼女の言葉の意味をアイビスはすぐに理解した。
 豪快に跳んだネフィリアの水着がその衝撃でズレていたからだ。不可抗力だとしても、男性陣の視線は一瞬止まったいるに違いない。
「このぉぉ!」
 その怒りの叫びは牡丹ではなく、二人の男性に向かう事になるのであった。

●バーベキュー、時々、VOID
 網の上で焼かれる野菜や肉の串。直焼きされていた貝がパカっと開いた。
 それらの香ばしい様相にネフィリアはビーチバレーの疲れを感じさせない表情だった。
「海といったらBBQだよね? 料理なら任せろなのだー♪」
 包丁片手に次から次へと食材を切っていく。
 それは横に並ぶアイビスも同じだ。火加減を確認しつつ、食材を並べる。
「こういうとこでBBQするのも何時ぶりだろうなぁ……っと」
 焼きあがった肉が硬くならないように端に移動させながら、そう呟いた。
 持ち運びの為、冷凍されていた肉の解凍もそろそろだろう。野菜の後から焼き始めれば上手に焼きあがるはずだ。
 三枚おろしされた魚にふぁさーっと塩を振りかけながら、ロジャーが肘を傾けていた。腕を流れ落ちるような塩の流れ。
「いや~。俺は飛び道具が無いとただのイケメンになっちゃうからさ~」
「自分で言うか。まぁ、否定する要素もないだろうけど」
 籃奈が楽しそうに応える。
「ニンニクは臭いがキツいからな。ここは香草か」
「ふわぁー! いい香り~だよ!」
 ロジャーの気遣いにネフィリアが手を叩いて喜ぶ。
 
 一方、銛を片手に魚を捕っていたカズマと牡丹が海から上がってきた。
 イレーヌが気を利かせたのかそれとも何か考えがあるのか、バスタオルとお酒を手に出迎えてくれる。
「大漁かい?」
「まぁ、こんな感じだ」
 籠の中には大小さまざまな大きさの魚が入っていた。
 牡丹が胸を揺らしながら言った。
「僕の実力を持ってすれば、余裕だよ」
 思わず水でも掛けてしまいたい程のドヤ顔だ。背後に回って水着の紐でも外してやろうかなと邪な事をイレーヌが思い至った時だった。
 突如としての爆音と振動が砂浜に広がった。
 バランスを崩し、牡丹とイレーヌの胸に飛び込みそうになったカズマはなんとか足を踏ん張った。ラキスケの神は降臨しなかったようだ。
 ようやっと、巨大な芋虫みたいな砂のVOIDが出現したのだ。
「本当に砂の中から出てきたな」
 覚醒状態に入ると、カズマはマテリアルを集中させると魔法を行使した。
 本物の雪ではなく幻影ではあるが、真夏のような一面に雪が舞う。
 ポンと手を叩くイレーヌ。
「……と、目的はVOID退治だったな。忘れかけていたよ」
「ほんと、忘れる所だった」
 支援魔法を掛けるために意識を集中するイレーヌの台詞に牡丹が大いに頷きながら拳を構えた。
 牡丹は完全に忘れていただろう。依頼の目的を。
 なお、ネフィリアも同様だったようだ。
「む? 何か変なのが出てきたのだ? あ、そういえばあれを倒すのが依頼だったっけ」
 とりあえず、包丁を持ちながらVOIDに対峙する。
 装備は心許ないが、何もないよりかはマシというものだ。
「あれが本当のサンドワームってやつか」
 呑気に言いながら、ロジャーは水鉄砲を手にした。
 なんでもマテリアルに反応する水鉄砲の玩具らしい。これなら、猟撃士としての力も活かす事ができるだろう。
「おびき出すとは言え、折角楽しんでる所を邪魔するのは無粋にも程があるわよ!!」
 もうそろそろ、お肉が上手に焼けそうだったのにとアイビスが声を荒げた。
 一刻も早く打倒して、バーベキューを再開するしかない。
「援護をよろしくね、カズマ君!」
 拳を構えて走り出す牡丹の尻……ではなく背中を見守りながら、カズマが氷矢の魔法を唱えた。
 周囲に振る雪の幻影を纏い、氷矢が砂VOIDに直撃する。
「潜られるのだけは避けたいから、動きは観察しておかないと」
 そう言いながら、イレーヌが黒い塊を放った。
 VOIDが激しく悶えている所を見ると、既に十分なダメージを与えているはずだ。
 そこへ、牡丹が強烈な蹴りを抉り刺す。VOIDも揺れるが彼女の胸も激しく揺れた。
「しまった。今のは撮り損ねた」
「それは惜しい」
 イレーヌとロジャーの冗談にアイビスが射殺せるような目で睨む。
 両肩を竦めながら、ロジャーは水鉄砲を構えて意識を集中させた。
「これでもくらいやがれ!」
 込めたマテリアルがVOIDに直撃すると、触手状のものがVOIDに絡みついた。多少は動きを鈍らせる事ができるはずだ。
「絶対に逃がさないからね!」
 ネフィリアから幻影の腕がぐぐっと伸びた。
 砂に戻ろうとしたVOIDだったが、先ほど、ロジャーから受けた触手状のもので動きがにびっていた事もあり、あっけなく幻影の手に掴まれる。
 そのまま手繰り寄せながら、ネフィリアは包丁を突き出した。
 VOIDもただではやられるつもりがないのか、砂を鞭状にして振るう。
 対して、イレーヌが作り出した光の防御壁がVOIDの攻撃を止める。
「やる時はヤルのさ」
「さくっと倒してご飯再開するのだ♪ 何かよくわからない相手だけど♪」
 見事なハンター達の連携により、進退窮まった状態のVOID。
 砂がバラバラと崩れ始めるのを見て籃奈が叫ぶ。
「水を!」
 砂に水を掛けて固まらせるつもりだろう。
 そう感じ取ってカズマは水の入ったボトルを輝紅士としての力を使って投げる。
「これを使え」
 クリスマスプレゼントではないが、VOIDを飛び越えて籃奈は水ボトルを受け取るとアイビスの攻撃に合わせて投げ込んだ。
「いいタイミング!」
 砂地を蹴り上げてアイビスは高く飛翔する。
 くるっと空中で一回転。かかと落としで水の入ったボトルをたたき割りながら、VOIDに一撃を入れた。
 僅かな水であったが、崩れ落ちるスピードが落ちた。水は有効なのだろう。
「そうとわかりゃ!」
 ロジャーが水鉄砲を最大限に生かして側面からありったけの水を放つ。
 怒り狂うVOIDの反撃だが、それはイレーヌによって防がれていた。
「砂で固まれば、衝撃は諸に伝わりそうだな」
「それだよ!」
 何気ないイレーヌの台詞に、ネフィリアがピンと来たようだった。
 体内のマテリアルを練り、意識を集中させる。手に持っていた包丁がマテリアルの土砂に包まれ、砂で固めた棍状の武器と化した。
「これでどうだぁ!」
 力の限り振り下ろすと激しい衝突音とともに、砂浜に身を倒すVOID。
「動きが止まったなら、一気に叩き伏せる」
 籃奈はパラソル傘の柄をクルクルと回す。
 全員が頷き合った。あとは文字通りタコ殴りにするだけだ。


 ハンター達の活躍により、保養所に出現したVOIDは討伐された。
 その間に通信記録のボックスは解析が終わり、後ほど籃奈は衝撃的な事実を知る事となるのであった。


 おしまい


●続・白浜のハンター達
 無事に依頼を果たしたという事で、ロジャーが持ってきた飲み物を籃奈が全員に渡していく。
「お疲れ様」
「炭酸がキンキンに冷えてやがるっ……!」
 爽やかな笑顔でロジャーが言った。一仕事終えた後の一杯は格別だなと水を配っていく籃奈の姿を見て思う。
 ふと、その時、イレーヌが手にしている写真が視界に入った。
 VOID討伐後に撮った集合写真もあるが、それとは別になにか、際どい写真も多い。
「私ながらよく撮れているな」
「ゆ、ゆずってくれ たのむ!!」
 満足そうな表情のイレーヌに突貫すると、魔導カメラを反射的に両手で掴むロジャー。
 類は友を呼ぶというが……そんな二人の背後に、怒りのオーラを発しながらアイビスが立った。
「どうやら懲りないよう、ね!」
 不埒なものは許さない。写真を確認するまでもなく、彼女はポキポキと指を鳴らしていた。
 悲鳴を上げて逃げ出した二人を追いかけるアイビス。
「こらぁ! 待ちなさいぃ!」
「く……ロジャー、足止めだ!」
「無理だっつーの!」
 砂に足を取られながらも走り出す。
 そんな賑やかな様子を肉を頬張りつつ眺めていたネフィリアは、右手を元気よく高々と挙げた。
「次は追いかけっこ!? 僕もまざるよー!」
 串を何本も持ちつつネフィリアが駆け出していった。
「やめろ! 串が刺さったら危ないって!」
「大丈夫だよ! ロジャー君にも、この分厚いの一本あげるからさー!」
「余計、いらねぇーって!」
 ロジャーが刺されると勘違いしたのか叫ぶ。
 確かに、串で刺されたら、覚醒者といえども、痛いでは済まされないだろう。
 ヒートアップしていく追いかけっこに、同じように走り出そうとした牡丹だったが、カズマが何か意識を集中させているのを見て、足を止める。
 反動で胸がボヨンと大きく跳ねた。
「カズマ君、どうしたんだい?」
「いや、特にっていう訳じゃないが、魔法で花火でもってね」
「いいね、それ! 夜が楽しみだよ!」
 嬉しそうに跳ねると、その勢いのまま、カズマに飛びついた。
「あ……」
 その衝撃で意識の集中が半端に途切れる。直後、地上で魔法の花火が盛大に舞った。
 こんな調子でハンター達は夜遅くまで遊び続ける事になるのであった。

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MVP一覧

  • 爆炎を超えし者
    ネフィリア・レインフォードka0444
  • 白嶺の慧眼
    イレーヌka1372

重体一覧

参加者一覧

  • 虹の橋へ
    龍崎・カズマ(ka0178
    人間(蒼)|20才|男性|疾影士
  • 爆炎を超えし者
    ネフィリア・レインフォード(ka0444
    エルフ|14才|女性|霊闘士
  • 白嶺の慧眼
    イレーヌ(ka1372
    ドワーフ|10才|女性|聖導士
  • 戦いを選ぶ閃緑
    アイビス・グラス(ka2477
    人間(蒼)|17才|女性|疾影士
  • Xカウンターショット
    ロジャー=ウィステリアランド(ka2900
    人間(紅)|19才|男性|猟撃士

サポート一覧

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依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/03/02 00:23:36
アイコン 【質問用】
龍崎・カズマ(ka0178
人間(リアルブルー)|20才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2018/03/06 21:27:06
アイコン 海だー!【相談用】
龍崎・カズマ(ka0178
人間(リアルブルー)|20才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2018/03/07 19:40:14