ゲスト
(ka0000)
アイテム返せ泥棒
マスター:KINUTA

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 6日
- 締切
- 2018/03/16 22:00
- 完成日
- 2018/03/22 00:04
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●モンキチ、雌伏
去年の12月頃ハンターたちから、手に入れたばかりのCAMごとコテンパンにされた嫉妬の歪虚モンキチ。
彼は現在その雪辱を晴らすため、さいきょうのCAM作りに勤しんでいた。
「おーし、これでボディーは完成だー」
我ながら最高の出来であると自画自賛しつつ、自作CAMを見上げ振り向く。
「後は武器だな、武器。うんとすげーのいっぱいくっつけるんだ!」
と言って振り向いた先には無数の、円盤ぽい飛行機械。
これはラルヴァが彼によこしたものだ。なんでもカッツォがエバーグリーンであれこれ漁っているついでに見つけた玩具だとか。
モンキチは見かけによらず高位の歪虚である。であれば、無機物を支配し動かすことが出来る。
「よーし、それじゃアイテム取りに行くぞ」
飛行機械は命令に従い動き出した。その身についているプロペラを動かし宙に浮き、隊列を組み飛び始める。モンキチを乗せて。
●
フマーレ界隈では、近ごろ盗難事件が頻発している。
狙われているのは工場。持ち去られているのはCAM回りのアイテム。
武器、防具、補正装置、等々。
納品間近の品を盗まれ大損害を被った工場主たちは、当局へいち早く犯人を捕まえるよう要請した。
当局は捜査本部を作り捜査を始めた。
しかし今に至るまで、芳しい成果を出せていない。
被害を受けた工場主たちとしてはまことに憤懣やるかたなし。
まだ被害に遭っていない工場主たちは我先に警備体制を強化した。
●
暦の上ではもう春であるが、朝晩はやはり冷える。
カチャはハンター仲間たちと工場の見回りをしていた。
点々と並んだ照明に照らされているのは、工場の倉庫。
小さな窓、頑丈な壁、分厚い扉の周囲をぐるぐる囲んだ鉄鎖とこれ見よがしな南京錠。
倉庫の中にはユニット用のアイテムが多数保管されている。
引き取り相手に納品するのは明日――それまで絶対に盗まれないようにしてくれ、というのが今回カチャたちの受けた依頼の内容だ。
「それにしても一体誰が盗んでるんですかね、あんな大きいものを」
「さあなあ。素人じゃないのは確かだろうけど。出来心で盗んでいける大きさじゃないからな」
「大型馬車とか魔導トラックとか、そういうものが必要ですよね絶対」
「持って行ったとしてどうにもなりませんしね。家に飾っておくわけにもいかないでしょうし」
「盗んでるの、同業者なんじゃない? どこの業界でもよくあるじゃない、そういうこと。案外盗まれたもの、隣の工場にあったりしてね」
「そうか? 俺はこれは改造マニアによる犯罪だと思う。凝る奴は本当に凝るからな」
「そう決めつけるのも早計では。盗んだものをなにもそのままの形で売る必要はないわけですから。いったんばらして出所不明にし、改めて市場ルートに乗せるということも考えられるでしょう?」
「とにかくこんな大それたこと、単独では出来ませんね。組織的犯行と見てほぼ間違いないでしょう」
「とすると、闇ギルドの線も……」
それぞれ声高に推理を披露しあうのは、眠気ざましのためだ。
現在午前0時を切ったところ。
これまでのところ周囲に異変は起きていない。
別の敷地にある作業場にはまだ明かりついている。
「夜っぴいてご苦労さまだな」
「ここの所CAMやアーマーの修理依頼が増えてるらしいですよ」
「カチャもアーマー全壊させて、ここに持ち込んだんだって?」
「ええ、まあ。厳密にはあれ、私のアーマーじゃないんですけどね……」
「そういえば最近、またぞろ13魔のカッツォが現れたらしいぞ」
「へー。あいつまだ倒されてなかったのか。ここしばらく音沙汰がなかったからすっかり忘れかけてたんだが」
まだ話が続きそうだったところ、しいっ、と誰かが言った。
話し声がぴたりと止まった。
深まる静けさ、深まる暗さ。
かすかな音が聞こえる。倉庫の中から。カタカタ、コトコト、と。
ハンターたちは視線を交わし合い扉に近づく。
開けられた形跡は一切なかった。鎖も南京錠も1ミリたりとて動いていない。だが物音は続いている。
「……これは中を確かめたほうがいいんじゃないか?」
「……そうですね」
その時、カチャは何の気なく上を見た。
そして度肝を抜かされた。
屋根の上にびっしりと何かが張り付いている。
目をこらしてみれば四隅にプロペラがついた黒い円盤の群れ。
下部に生えた虫のような足で、屋根にしがみついている。
「皆さん、あれ、あれ!!」
ハンターたちは彼女の声に顔を上げる。
円盤がいっせいに飛び上がった。
屋根がそっくりそのままの形で剥がれた。
天井がなくなった倉庫の中から同じ円盤たちがアイテム類を抱え、次々飛び出してくる。
「――ま、待てコラ! ドロボー!」
すると、妙に甲高い声が返ってきた。
『待たねーよバーカバーカ』
それはカチャにはとても聞き覚えのある声だった。
なんとなればついこの間、その声を出すCAMの襲撃で文字通り死にかけたのである。
「あー! あの時のサル!」
去年の12月頃ハンターたちから、手に入れたばかりのCAMごとコテンパンにされた嫉妬の歪虚モンキチ。
彼は現在その雪辱を晴らすため、さいきょうのCAM作りに勤しんでいた。
「おーし、これでボディーは完成だー」
我ながら最高の出来であると自画自賛しつつ、自作CAMを見上げ振り向く。
「後は武器だな、武器。うんとすげーのいっぱいくっつけるんだ!」
と言って振り向いた先には無数の、円盤ぽい飛行機械。
これはラルヴァが彼によこしたものだ。なんでもカッツォがエバーグリーンであれこれ漁っているついでに見つけた玩具だとか。
モンキチは見かけによらず高位の歪虚である。であれば、無機物を支配し動かすことが出来る。
「よーし、それじゃアイテム取りに行くぞ」
飛行機械は命令に従い動き出した。その身についているプロペラを動かし宙に浮き、隊列を組み飛び始める。モンキチを乗せて。
●
フマーレ界隈では、近ごろ盗難事件が頻発している。
狙われているのは工場。持ち去られているのはCAM回りのアイテム。
武器、防具、補正装置、等々。
納品間近の品を盗まれ大損害を被った工場主たちは、当局へいち早く犯人を捕まえるよう要請した。
当局は捜査本部を作り捜査を始めた。
しかし今に至るまで、芳しい成果を出せていない。
被害を受けた工場主たちとしてはまことに憤懣やるかたなし。
まだ被害に遭っていない工場主たちは我先に警備体制を強化した。
●
暦の上ではもう春であるが、朝晩はやはり冷える。
カチャはハンター仲間たちと工場の見回りをしていた。
点々と並んだ照明に照らされているのは、工場の倉庫。
小さな窓、頑丈な壁、分厚い扉の周囲をぐるぐる囲んだ鉄鎖とこれ見よがしな南京錠。
倉庫の中にはユニット用のアイテムが多数保管されている。
引き取り相手に納品するのは明日――それまで絶対に盗まれないようにしてくれ、というのが今回カチャたちの受けた依頼の内容だ。
「それにしても一体誰が盗んでるんですかね、あんな大きいものを」
「さあなあ。素人じゃないのは確かだろうけど。出来心で盗んでいける大きさじゃないからな」
「大型馬車とか魔導トラックとか、そういうものが必要ですよね絶対」
「持って行ったとしてどうにもなりませんしね。家に飾っておくわけにもいかないでしょうし」
「盗んでるの、同業者なんじゃない? どこの業界でもよくあるじゃない、そういうこと。案外盗まれたもの、隣の工場にあったりしてね」
「そうか? 俺はこれは改造マニアによる犯罪だと思う。凝る奴は本当に凝るからな」
「そう決めつけるのも早計では。盗んだものをなにもそのままの形で売る必要はないわけですから。いったんばらして出所不明にし、改めて市場ルートに乗せるということも考えられるでしょう?」
「とにかくこんな大それたこと、単独では出来ませんね。組織的犯行と見てほぼ間違いないでしょう」
「とすると、闇ギルドの線も……」
それぞれ声高に推理を披露しあうのは、眠気ざましのためだ。
現在午前0時を切ったところ。
これまでのところ周囲に異変は起きていない。
別の敷地にある作業場にはまだ明かりついている。
「夜っぴいてご苦労さまだな」
「ここの所CAMやアーマーの修理依頼が増えてるらしいですよ」
「カチャもアーマー全壊させて、ここに持ち込んだんだって?」
「ええ、まあ。厳密にはあれ、私のアーマーじゃないんですけどね……」
「そういえば最近、またぞろ13魔のカッツォが現れたらしいぞ」
「へー。あいつまだ倒されてなかったのか。ここしばらく音沙汰がなかったからすっかり忘れかけてたんだが」
まだ話が続きそうだったところ、しいっ、と誰かが言った。
話し声がぴたりと止まった。
深まる静けさ、深まる暗さ。
かすかな音が聞こえる。倉庫の中から。カタカタ、コトコト、と。
ハンターたちは視線を交わし合い扉に近づく。
開けられた形跡は一切なかった。鎖も南京錠も1ミリたりとて動いていない。だが物音は続いている。
「……これは中を確かめたほうがいいんじゃないか?」
「……そうですね」
その時、カチャは何の気なく上を見た。
そして度肝を抜かされた。
屋根の上にびっしりと何かが張り付いている。
目をこらしてみれば四隅にプロペラがついた黒い円盤の群れ。
下部に生えた虫のような足で、屋根にしがみついている。
「皆さん、あれ、あれ!!」
ハンターたちは彼女の声に顔を上げる。
円盤がいっせいに飛び上がった。
屋根がそっくりそのままの形で剥がれた。
天井がなくなった倉庫の中から同じ円盤たちがアイテム類を抱え、次々飛び出してくる。
「――ま、待てコラ! ドロボー!」
すると、妙に甲高い声が返ってきた。
『待たねーよバーカバーカ』
それはカチャにはとても聞き覚えのある声だった。
なんとなればついこの間、その声を出すCAMの襲撃で文字通り死にかけたのである。
「あー! あの時のサル!」
リプレイ本文
●ドローンの数=500
「カエセどろぼー!」
パトリシア=K=ポラリス(ka5996)の抗議もどこ吹く風、ドローン軍団は臆面もなくユニットアイテム入りのコンテナを持ち出して行く。
「ただ全滅させるだけならば簡単なのでしょうけど、荷物を傷つけてはいけないとなると面倒ですね」
エルバッハ・リオン(ka2434)は愚痴の後すぐ、第一攻撃目標を定める。
「文句を言っても始まりませんね。とにかく荷物を傷つけないように気を付けながら攻撃しますか」
ファイアーボールの発動。火球の炸裂に巻かれたドローンが5つ爆発する。
それによって周囲が明々と照らし出された。ドローン軍団の全貌もよりくっきり見えた――なんとも数が多い。
アルト・ハーニー(ka0113)は辟易した声を出す。
「このまま見回りするだけで終わったらよかったのにねぇ――」
ライフルを構え、旋回するドローンを狙う。
「問題が起こった以上は真面目に頑張らせて貰うかな、と。射撃はあまりしたことないんだけどねぇ」
3機が火を吹き爆発する。
天竜寺 舞(ka0377)は空渡を使い宙を駆け、アサルトディスタンスを発動した。
「空を駆ける事が出来るのはお前らだけじゃないよ!」
ドローンが群がり体当たりしてくるが、ものともしない。瞬く間に3機斬り伏せる。
「邪魔するな!」
彼女の怒りはドローン軍団を操っている歪虚、モンキチに真っすぐ向いている。
本当は今すぐ性悪ブリキ猿を探しに行きたいところなのだ。それをしないでいるのは、ひとえに目の前の盗難を見過ごせないからである。
「あの野郎今度こそ真っ二つにかっさばいてやる!」
●ドローンの数=473
カチャはオートマチックで屋根の上に群がるドローンを狙い、撃った。
しかし1発も当たらなかった。
憎らしいことにモンキチが茶化してくる。
『ダセー! 一発も当たってwwねえしwwわざと?wwねえわざと?wwww』
「なっ……」
思わず頭に血が上りそうになるカチャ。
コーネリア・ミラ・スペンサー(ka4561)がその背を小突く。
「挑発に乗るな。手元が狂うぞ」
と言いつつアサトライフルを構え、立て続けに6機撃ち落とす。猟撃士ならではの鮮やかな手並み。
「人力に頼らなければ面が割れることはないと考えたか。だが……ロクな反撃手段もないのか? 素人が。これでは撃たれるだけのただの的だな」
ドローンは攻撃力もないが、防御力も乏しい。弾を食らえばそのまま落ちて行く。
(戦闘より作業に特化しているということか)
そのように分析したコーネリアだが、だからといって相手を軽く見るつもりなどなかった。歪虚相手に油断は禁物である。
「落下場所も考えながら落せってわけね……猟撃士の腕の見せ所だろうって言われれば、その通りなんだけど」
マリィア・バルデス(ka5848)は重魔導バイクを銃架代わりにして、大型魔導銃を構えた。
あっと言う間に8機が撃墜される。
物音を聞き付け、まだ働いていた工場関係者が出てきた。
そこでまたかん高い声。
『お前ら何やってんだよ! 手の空いてる奴はハンターの邪魔しろよ頭わりーな!』
リナリス・リーカノア(ka5126)は、アドレナリンの高まりを禁じ得ない。こともあろうにあのモンキチが近くにいるのだ。が、ここは押さえる。
「あの時のエテ公……また無様晒しに来たのかな?」
から手のドローンがハンターの周囲に群がり始めた。どうやらこの機械は命じられた通りに動くだけの代物で、自立行動は出来ないらしい。
リナリスはオートマチックにくくりつけたLEDライトで屋上を照らす。視界を塞ごうとするドローンたちに先んじて、ブリザードを発動した。屋根を持ち上げていたドローン3機のプロペラが霜で凍り行動不能になる。
続けて彼女はモンキチを挑発する。
「モンキチー? モンキチだよねその声? アイテム盗んで何に使うのさー? またCAMでも作るのー? 乗るのがバカ猿のあんたじゃまたボロ負けだよー?」
『ハァ? 誰が? 負けてねーし! 本気出してねーだけだし! わざとだしバカはてめーだし!』
「やーだー顔真っ赤ー♪ 超頭わりー言い訳乙♪」
『ムキー! うるせー黙れ調子のってんじゃねーぞ殺す!』
多数のドローンがリナリスへ集中攻撃してくる。そのうちの1機が彼女の後頭部に激突した。
「あいたっ!」
カチャはそれを竹刀でたたき伏せ、壊した。
「どうも私は、銃よりこっちの方が向いているみたいですね」
と言った端から彼女もドローンに体を掴まれる。
「うわッ!?」
上昇して行く途中で掴んでいる脚を叩き折り、脱出成功。墜落がてら体を打ちはしたが。
マリィアは急いで工場関係者を、建物内へ避難させる。すぐさま現場に戻り射撃を続行する。
その際関係者から借り受けた規格外の部品などを投げてみる。アイテムの代わりにゴミを持って行かせようと思って。
ドローンは、いったんそれを掴んだものの、すぐほうり出した。次の声に従って。
『おい違うだろそれじゃねえだろ!』
モンキチはドローンを通じて現場を見ることが出来ているのである。
それに気づいたマリィアは、残念そうに指を鳴らした。
「うーん。そううまくはいかない、か」
そしてすぐ気持ちを切り替え、射撃に専念する。
●ドローンの数=442
「せっかくダカラ、誰が1番ハイスコアになるか競争ネ♪ お荷物持ちハお手間な分、高得点でお願いしたいんダヨ♪」
と言ってパトリシアは、コンテナを運んで行くドローン目がけ風雷陣を仕掛けた。フォトンバインダーを使い、効果対象の数を増やして。
しかしその時、すうっと体が持ち上がった。1機のドローンが彼女の襟首に足を引っ掻け、持ち上げようとしたのである。
「わわっ!」
そのおかげで攻撃がずれ、狙った標的に当たらなかった。
「もウ、パティは景品じゃないんダヨ!」
憤慨しつつ何とか脚を振り払うパティ。
彼女と行動を共にするエーミ・エーテルクラフト(ka2225)は、パティを吊り上げようとしたドローン含め、周囲を旋回している空手の6機を風雷陣で始末した。
「二重詠唱――六連装」
視界が開けたところで、荷を持ったドローンとそうでないドローンを見比べ、その上昇速度を計測する。持ち上げられている荷物の重さを割り出す。どれほどの高さから落ちたら駄目になってしまいそうか、ドローンがどんな原理で飛んでいるのかも。
現代機械についての専門知識を持っているわけではないが――そこは推理術によるひらめきで補った。
「エーミ、ドローンのこと分かルノ?」
「ええ。お料理や魔法と同じで、二輪と拳銃ならどの状態でどうすればどうなるかは、なんとなくわかるの――と、四重詠唱――十二連装!」
ドローンが7機、火を噴き落ちる。
●ドローンの数=418
アルトは渾身の力でウォーハンマーを振り抜いた。
「そら、俺の100tハンマーの餌食になりたい奴はどいつだ? いくらでも吹き飛ばしてやるさねぇ。希望があればな」
衝撃波により彼に群がっていたドローン4機が砕け散った。
リオンがライトニングボルトを放ち、一気に8機消し炭にする。
舞が空を駆け、すれ違いざまに3機を破壊した。
コーネリアの弾丸が、マリィアの弾丸が、屋根を支えているドローンを逐一撃破して行く。リナリスのブリザードも機体を凍らせ作動不能にして行く。
参加者の多数が通信機器を持ち込んでいたため、それらの連携はスムーズに進んだ。
浮いていた屋根がグラグラし始める。数を減らしたドローンが、屋根の吊り下げに持ちこたえられなくなってきているのだ。
数秒後、とうとう屋根が落ちた。本来かぶさっていた位置からやや左にずれて。
めきめきっと建物がきしむ不吉な音に、思わずカチャは身構える。
大丈夫、倉庫は倒壊しなかった。いくらか歪みはしたが。屋根自体が軽く作ってあったからだろう。
だが荷物が同じように落ちてきたらどうなるか分からない。エーミが目算で算出したところによれば、以下の通りらしいから。
『そうねー。軽いものでも2トンはありそうよ。群がってるドローンの数が多ければ多いほど重いってことだから、そこは要注意ね。動きが遅くなるから、狙いやすくはあるけど』
荷が落下した際は最悪下でクッションになろうかと思っていたアルトであったが、彼女のこの言葉を聞いて、だいぶ考えが揺らいだ。
(重さを考えるとゾッとしねえな……)
ところでドローンは、まだまだたくさんいる。
ここにおいてリナリスは、前以て用意していた試みを決行することにした。ドローンの相手をしているカチャの協力を得て。
「ね、あたしすごくいい作戦思いついたんだけど、カチャも協力してくれない?」
「はい、いいですけど、どんな作戦です?」
●ドローンの数=386
屋根を降ろしたことで、ドローンは倉庫に侵入することが出来なくなった。
一分一秒ごとハンターたちの形勢は有利になって行く。
パトリシアとエーミは落下させてもなるべく被害の出ない場所をスキルで割り出し、それを皆に伝える。
コーネリアとマリィアはハウンドバレットによる精密射撃で、舞は部位狙いで、コンテナを運ぶドローンのプロペラを狙った。すぐには完全に壊さない。荷を高所から墜落させないためだ。
荷が降下して行く。地につく寸前ふわりと浮き、静かに着地する。パトリシアが地上から加護符を飛ばし、張り付けたのである。
それを見届けて舞は、挑発を始めた。
「そういや妹に聞いたけど、あんたCAMに乗っててコテンパンにやられたんだって?」
『やられてねえっつっただろ!』
「あ、成程、あまりに惨めな失態にボスから暇を出されたんだ。そんでコソ泥の真似事して食いつないでるって訳だ。やだねー。落ちぶれた猿ほど惨めなものはないねー」
『ちげーし! オレ様ラルヴァ様に期待されてるし! 今なー、今なー、すっげえCAM作ってんだからな! 大きさ10メートルあんだからな! ラルヴァ様みてーに超変形すんだからな! 完成したらお前らなんかハナクソだからな!』
頭上で繰り広げられるやり取りを聞いていたエーミは、モンキチがどういう性格をしているのか大体分かってきた。
そこで一計を案じ、話しかけてみる。ドローンを見上げながら。
「すごーい。あれだけ一斉に操作できるものなの?」
案の定敵は食いついてきた。
『たりめーだ、オレさますげえ歪虚だからな!』
「わーすごーい。でもさすがに編隊飛行はできないわよね? 無理よね? おさるさんだから」
『はあ? そんなん簡単に出来るし!』
その声が響くやいなや、飛行中であった10台のドローンがひし形に並んだ。
そこにばさっと広がった何かが被さってくる。マジックフライトを使い宙に待機していたリナリスがカチャと協力し投網を投げたのだ。
たちまち飛行不能となる一群のドローン。
それが落ちてきたところでリオンがすかさずファイアーボールを放つ。
一塊にされていたドローンがきれいに炸裂した。
『あー! 騙したなてめえら! きたねーぞ!』
そこでパトリシアが目をキラキラさせ、言った。
「ロボ作ってるの? ロボ作れるの? 凄いんダヨ! 頭の良いお猿さんなんダネっ?! パティ、ロボが見たいナ? お猿さんのお家、行ってみたいナ? きっと、すんごい秘密基地なんだろナ?」
『へーだ、お前らなんかに見せねえよ。大体来れねーよ。すげー地下の深いところにあっからな。嫉妬の眷属しか入れねーしー』
聞いてもないことまでぺらぺらしゃべり過ぎだと思うが、これが猿の浅知恵というものだろうか。
(ていうか……嫉妬王って変形するの?)
思いつつマリィアはドローンを撃つ。
「まったく、猿のくせに窃盗とは頂けないさね。いや、猿だからこそ盗むような真似をするのかね?」
アルトは寄ってくるドローンをハンマーで叩き潰す。
「物が欲しいなら正面から金払って持っていけよ。いや、だとしても売るつもりはないけどな、と」
●ドローンの数=156
掃討を始めてからおよそ20分が過ぎたころ、ドローンはその数を劇的に減らしていた。
飛行スキル、並びにその要素をもつアイテムを所持するものが複数いたことが功を奏したのだ。
この結果にモンキチは、大いに不服である。
『何だよお前ら、何やってんだよ役立たず!』
リナリスはウィンドスラッシュで1機のプロペラを弾き飛ばし、口笛を吹く。
「幾らいいアイテムを揃えても、使うのがエテ公じゃあね♪ 悔しかったら自分で出てきて戦ったらー?」
煽ったもののモンキチは出てこなかった。今出て行ったら袋叩きに会う程度のことは、さすがに理解しているらしい。
『いい気になんなよ、絶対絶対絶対、お前ら後で後悔するからな!』
と負け惜しみを言っている間にもどんどんドローンは数を減らして行く。
残りの数は23。
この段階に至ってモンキチは、ようやくハンターへの攻撃を諦めた。
『くそー! 飛べ、戻ってこいお前ら!』
ハンターにたかっていたドローンたちがいっせいに引いた。しかし撤退は遅すぎた。
エーミが風雷陣で3機落とす。リオンがライトニングボルトで8機消滅させる。
コーネリアは副武器の鉄爪での攻撃だ。すでに弾が尽きてしまっているのである。
「猿にしては随分と知恵が回るようだが、貴様はハンターを舐めすぎた。貴様が何を企んでいるかは知らんが、必ず見つけ出し、貴様のその腐った命諸共計画を叩き潰してやる。首を洗って待っていろ」
標的はプロペラを壊され高度を下げてくるドローン。これでまた5機が消えた。
パトリシアは数を数える――残りは7機。全部壊してしまうのは惜しくないだろうか、とこの段階において彼女は思った。
「発信機とかあっタラ、ドローンに持って帰ってもらうんダケド……カチャ、持ってないカナ?」
「え? いやー、生憎そういうものは持ってないですねー」
「んー、あのドローンが来た場所がわかるといいんだケド……あ、みんなでドローン乗ってっちゃう?」
彼女がそう言った直後、残っていたドローンがアルトによって破壊された。
舞は立体軌道を駆使し工場群の屋上を飛び回る。鋭敏視覚を周囲に走らせて。
無気質な工場群の影にちらっと何かが動いた。
無言でそちらに突っ込んで行く。モンキチが弾丸のような速度で躍り出た。舞はナイフで突きかかる。外した。モンキチは壁に現れた魔法陣の中へ飛び込み姿を消す。捨て台詞を残して。
『くそったれ、お前ら今度会ったらただじゃおかねーからなー!』
取り逃がした悔しさのあまり舞は、足を踏み鳴らした。
「次は絶対ぶっ殺す!」
騒動が鎮まってからハンターたちは、工場関係者と一緒にアイテムを調べて回った。
すべて無事。故障や破損はなし。
辺りの建物や茂みに被害は出たものの、許容の範囲内。
依頼は無事成功した。
「カエセどろぼー!」
パトリシア=K=ポラリス(ka5996)の抗議もどこ吹く風、ドローン軍団は臆面もなくユニットアイテム入りのコンテナを持ち出して行く。
「ただ全滅させるだけならば簡単なのでしょうけど、荷物を傷つけてはいけないとなると面倒ですね」
エルバッハ・リオン(ka2434)は愚痴の後すぐ、第一攻撃目標を定める。
「文句を言っても始まりませんね。とにかく荷物を傷つけないように気を付けながら攻撃しますか」
ファイアーボールの発動。火球の炸裂に巻かれたドローンが5つ爆発する。
それによって周囲が明々と照らし出された。ドローン軍団の全貌もよりくっきり見えた――なんとも数が多い。
アルト・ハーニー(ka0113)は辟易した声を出す。
「このまま見回りするだけで終わったらよかったのにねぇ――」
ライフルを構え、旋回するドローンを狙う。
「問題が起こった以上は真面目に頑張らせて貰うかな、と。射撃はあまりしたことないんだけどねぇ」
3機が火を吹き爆発する。
天竜寺 舞(ka0377)は空渡を使い宙を駆け、アサルトディスタンスを発動した。
「空を駆ける事が出来るのはお前らだけじゃないよ!」
ドローンが群がり体当たりしてくるが、ものともしない。瞬く間に3機斬り伏せる。
「邪魔するな!」
彼女の怒りはドローン軍団を操っている歪虚、モンキチに真っすぐ向いている。
本当は今すぐ性悪ブリキ猿を探しに行きたいところなのだ。それをしないでいるのは、ひとえに目の前の盗難を見過ごせないからである。
「あの野郎今度こそ真っ二つにかっさばいてやる!」
●ドローンの数=473
カチャはオートマチックで屋根の上に群がるドローンを狙い、撃った。
しかし1発も当たらなかった。
憎らしいことにモンキチが茶化してくる。
『ダセー! 一発も当たってwwねえしwwわざと?wwねえわざと?wwww』
「なっ……」
思わず頭に血が上りそうになるカチャ。
コーネリア・ミラ・スペンサー(ka4561)がその背を小突く。
「挑発に乗るな。手元が狂うぞ」
と言いつつアサトライフルを構え、立て続けに6機撃ち落とす。猟撃士ならではの鮮やかな手並み。
「人力に頼らなければ面が割れることはないと考えたか。だが……ロクな反撃手段もないのか? 素人が。これでは撃たれるだけのただの的だな」
ドローンは攻撃力もないが、防御力も乏しい。弾を食らえばそのまま落ちて行く。
(戦闘より作業に特化しているということか)
そのように分析したコーネリアだが、だからといって相手を軽く見るつもりなどなかった。歪虚相手に油断は禁物である。
「落下場所も考えながら落せってわけね……猟撃士の腕の見せ所だろうって言われれば、その通りなんだけど」
マリィア・バルデス(ka5848)は重魔導バイクを銃架代わりにして、大型魔導銃を構えた。
あっと言う間に8機が撃墜される。
物音を聞き付け、まだ働いていた工場関係者が出てきた。
そこでまたかん高い声。
『お前ら何やってんだよ! 手の空いてる奴はハンターの邪魔しろよ頭わりーな!』
リナリス・リーカノア(ka5126)は、アドレナリンの高まりを禁じ得ない。こともあろうにあのモンキチが近くにいるのだ。が、ここは押さえる。
「あの時のエテ公……また無様晒しに来たのかな?」
から手のドローンがハンターの周囲に群がり始めた。どうやらこの機械は命じられた通りに動くだけの代物で、自立行動は出来ないらしい。
リナリスはオートマチックにくくりつけたLEDライトで屋上を照らす。視界を塞ごうとするドローンたちに先んじて、ブリザードを発動した。屋根を持ち上げていたドローン3機のプロペラが霜で凍り行動不能になる。
続けて彼女はモンキチを挑発する。
「モンキチー? モンキチだよねその声? アイテム盗んで何に使うのさー? またCAMでも作るのー? 乗るのがバカ猿のあんたじゃまたボロ負けだよー?」
『ハァ? 誰が? 負けてねーし! 本気出してねーだけだし! わざとだしバカはてめーだし!』
「やーだー顔真っ赤ー♪ 超頭わりー言い訳乙♪」
『ムキー! うるせー黙れ調子のってんじゃねーぞ殺す!』
多数のドローンがリナリスへ集中攻撃してくる。そのうちの1機が彼女の後頭部に激突した。
「あいたっ!」
カチャはそれを竹刀でたたき伏せ、壊した。
「どうも私は、銃よりこっちの方が向いているみたいですね」
と言った端から彼女もドローンに体を掴まれる。
「うわッ!?」
上昇して行く途中で掴んでいる脚を叩き折り、脱出成功。墜落がてら体を打ちはしたが。
マリィアは急いで工場関係者を、建物内へ避難させる。すぐさま現場に戻り射撃を続行する。
その際関係者から借り受けた規格外の部品などを投げてみる。アイテムの代わりにゴミを持って行かせようと思って。
ドローンは、いったんそれを掴んだものの、すぐほうり出した。次の声に従って。
『おい違うだろそれじゃねえだろ!』
モンキチはドローンを通じて現場を見ることが出来ているのである。
それに気づいたマリィアは、残念そうに指を鳴らした。
「うーん。そううまくはいかない、か」
そしてすぐ気持ちを切り替え、射撃に専念する。
●ドローンの数=442
「せっかくダカラ、誰が1番ハイスコアになるか競争ネ♪ お荷物持ちハお手間な分、高得点でお願いしたいんダヨ♪」
と言ってパトリシアは、コンテナを運んで行くドローン目がけ風雷陣を仕掛けた。フォトンバインダーを使い、効果対象の数を増やして。
しかしその時、すうっと体が持ち上がった。1機のドローンが彼女の襟首に足を引っ掻け、持ち上げようとしたのである。
「わわっ!」
そのおかげで攻撃がずれ、狙った標的に当たらなかった。
「もウ、パティは景品じゃないんダヨ!」
憤慨しつつ何とか脚を振り払うパティ。
彼女と行動を共にするエーミ・エーテルクラフト(ka2225)は、パティを吊り上げようとしたドローン含め、周囲を旋回している空手の6機を風雷陣で始末した。
「二重詠唱――六連装」
視界が開けたところで、荷を持ったドローンとそうでないドローンを見比べ、その上昇速度を計測する。持ち上げられている荷物の重さを割り出す。どれほどの高さから落ちたら駄目になってしまいそうか、ドローンがどんな原理で飛んでいるのかも。
現代機械についての専門知識を持っているわけではないが――そこは推理術によるひらめきで補った。
「エーミ、ドローンのこと分かルノ?」
「ええ。お料理や魔法と同じで、二輪と拳銃ならどの状態でどうすればどうなるかは、なんとなくわかるの――と、四重詠唱――十二連装!」
ドローンが7機、火を噴き落ちる。
●ドローンの数=418
アルトは渾身の力でウォーハンマーを振り抜いた。
「そら、俺の100tハンマーの餌食になりたい奴はどいつだ? いくらでも吹き飛ばしてやるさねぇ。希望があればな」
衝撃波により彼に群がっていたドローン4機が砕け散った。
リオンがライトニングボルトを放ち、一気に8機消し炭にする。
舞が空を駆け、すれ違いざまに3機を破壊した。
コーネリアの弾丸が、マリィアの弾丸が、屋根を支えているドローンを逐一撃破して行く。リナリスのブリザードも機体を凍らせ作動不能にして行く。
参加者の多数が通信機器を持ち込んでいたため、それらの連携はスムーズに進んだ。
浮いていた屋根がグラグラし始める。数を減らしたドローンが、屋根の吊り下げに持ちこたえられなくなってきているのだ。
数秒後、とうとう屋根が落ちた。本来かぶさっていた位置からやや左にずれて。
めきめきっと建物がきしむ不吉な音に、思わずカチャは身構える。
大丈夫、倉庫は倒壊しなかった。いくらか歪みはしたが。屋根自体が軽く作ってあったからだろう。
だが荷物が同じように落ちてきたらどうなるか分からない。エーミが目算で算出したところによれば、以下の通りらしいから。
『そうねー。軽いものでも2トンはありそうよ。群がってるドローンの数が多ければ多いほど重いってことだから、そこは要注意ね。動きが遅くなるから、狙いやすくはあるけど』
荷が落下した際は最悪下でクッションになろうかと思っていたアルトであったが、彼女のこの言葉を聞いて、だいぶ考えが揺らいだ。
(重さを考えるとゾッとしねえな……)
ところでドローンは、まだまだたくさんいる。
ここにおいてリナリスは、前以て用意していた試みを決行することにした。ドローンの相手をしているカチャの協力を得て。
「ね、あたしすごくいい作戦思いついたんだけど、カチャも協力してくれない?」
「はい、いいですけど、どんな作戦です?」
●ドローンの数=386
屋根を降ろしたことで、ドローンは倉庫に侵入することが出来なくなった。
一分一秒ごとハンターたちの形勢は有利になって行く。
パトリシアとエーミは落下させてもなるべく被害の出ない場所をスキルで割り出し、それを皆に伝える。
コーネリアとマリィアはハウンドバレットによる精密射撃で、舞は部位狙いで、コンテナを運ぶドローンのプロペラを狙った。すぐには完全に壊さない。荷を高所から墜落させないためだ。
荷が降下して行く。地につく寸前ふわりと浮き、静かに着地する。パトリシアが地上から加護符を飛ばし、張り付けたのである。
それを見届けて舞は、挑発を始めた。
「そういや妹に聞いたけど、あんたCAMに乗っててコテンパンにやられたんだって?」
『やられてねえっつっただろ!』
「あ、成程、あまりに惨めな失態にボスから暇を出されたんだ。そんでコソ泥の真似事して食いつないでるって訳だ。やだねー。落ちぶれた猿ほど惨めなものはないねー」
『ちげーし! オレ様ラルヴァ様に期待されてるし! 今なー、今なー、すっげえCAM作ってんだからな! 大きさ10メートルあんだからな! ラルヴァ様みてーに超変形すんだからな! 完成したらお前らなんかハナクソだからな!』
頭上で繰り広げられるやり取りを聞いていたエーミは、モンキチがどういう性格をしているのか大体分かってきた。
そこで一計を案じ、話しかけてみる。ドローンを見上げながら。
「すごーい。あれだけ一斉に操作できるものなの?」
案の定敵は食いついてきた。
『たりめーだ、オレさますげえ歪虚だからな!』
「わーすごーい。でもさすがに編隊飛行はできないわよね? 無理よね? おさるさんだから」
『はあ? そんなん簡単に出来るし!』
その声が響くやいなや、飛行中であった10台のドローンがひし形に並んだ。
そこにばさっと広がった何かが被さってくる。マジックフライトを使い宙に待機していたリナリスがカチャと協力し投網を投げたのだ。
たちまち飛行不能となる一群のドローン。
それが落ちてきたところでリオンがすかさずファイアーボールを放つ。
一塊にされていたドローンがきれいに炸裂した。
『あー! 騙したなてめえら! きたねーぞ!』
そこでパトリシアが目をキラキラさせ、言った。
「ロボ作ってるの? ロボ作れるの? 凄いんダヨ! 頭の良いお猿さんなんダネっ?! パティ、ロボが見たいナ? お猿さんのお家、行ってみたいナ? きっと、すんごい秘密基地なんだろナ?」
『へーだ、お前らなんかに見せねえよ。大体来れねーよ。すげー地下の深いところにあっからな。嫉妬の眷属しか入れねーしー』
聞いてもないことまでぺらぺらしゃべり過ぎだと思うが、これが猿の浅知恵というものだろうか。
(ていうか……嫉妬王って変形するの?)
思いつつマリィアはドローンを撃つ。
「まったく、猿のくせに窃盗とは頂けないさね。いや、猿だからこそ盗むような真似をするのかね?」
アルトは寄ってくるドローンをハンマーで叩き潰す。
「物が欲しいなら正面から金払って持っていけよ。いや、だとしても売るつもりはないけどな、と」
●ドローンの数=156
掃討を始めてからおよそ20分が過ぎたころ、ドローンはその数を劇的に減らしていた。
飛行スキル、並びにその要素をもつアイテムを所持するものが複数いたことが功を奏したのだ。
この結果にモンキチは、大いに不服である。
『何だよお前ら、何やってんだよ役立たず!』
リナリスはウィンドスラッシュで1機のプロペラを弾き飛ばし、口笛を吹く。
「幾らいいアイテムを揃えても、使うのがエテ公じゃあね♪ 悔しかったら自分で出てきて戦ったらー?」
煽ったもののモンキチは出てこなかった。今出て行ったら袋叩きに会う程度のことは、さすがに理解しているらしい。
『いい気になんなよ、絶対絶対絶対、お前ら後で後悔するからな!』
と負け惜しみを言っている間にもどんどんドローンは数を減らして行く。
残りの数は23。
この段階に至ってモンキチは、ようやくハンターへの攻撃を諦めた。
『くそー! 飛べ、戻ってこいお前ら!』
ハンターにたかっていたドローンたちがいっせいに引いた。しかし撤退は遅すぎた。
エーミが風雷陣で3機落とす。リオンがライトニングボルトで8機消滅させる。
コーネリアは副武器の鉄爪での攻撃だ。すでに弾が尽きてしまっているのである。
「猿にしては随分と知恵が回るようだが、貴様はハンターを舐めすぎた。貴様が何を企んでいるかは知らんが、必ず見つけ出し、貴様のその腐った命諸共計画を叩き潰してやる。首を洗って待っていろ」
標的はプロペラを壊され高度を下げてくるドローン。これでまた5機が消えた。
パトリシアは数を数える――残りは7機。全部壊してしまうのは惜しくないだろうか、とこの段階において彼女は思った。
「発信機とかあっタラ、ドローンに持って帰ってもらうんダケド……カチャ、持ってないカナ?」
「え? いやー、生憎そういうものは持ってないですねー」
「んー、あのドローンが来た場所がわかるといいんだケド……あ、みんなでドローン乗ってっちゃう?」
彼女がそう言った直後、残っていたドローンがアルトによって破壊された。
舞は立体軌道を駆使し工場群の屋上を飛び回る。鋭敏視覚を周囲に走らせて。
無気質な工場群の影にちらっと何かが動いた。
無言でそちらに突っ込んで行く。モンキチが弾丸のような速度で躍り出た。舞はナイフで突きかかる。外した。モンキチは壁に現れた魔法陣の中へ飛び込み姿を消す。捨て台詞を残して。
『くそったれ、お前ら今度会ったらただじゃおかねーからなー!』
取り逃がした悔しさのあまり舞は、足を踏み鳴らした。
「次は絶対ぶっ殺す!」
騒動が鎮まってからハンターたちは、工場関係者と一緒にアイテムを調べて回った。
すべて無事。故障や破損はなし。
辺りの建物や茂みに被害は出たものの、許容の範囲内。
依頼は無事成功した。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
ドローン軍団を撃ち落とせ! エーミ・エーテルクラフト(ka2225) 人間(リアルブルー)|17才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2018/03/16 10:55:41 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/03/13 23:49:30 |