ゲスト
(ka0000)
【反影】大地のイタチは空に消える
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/03/13 19:00
- 完成日
- 2018/03/21 00:08
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●理解
一旦龍園に戻ったラカ・ベルフは反省とともに情報を集める。
前回、たまたま異界に足を踏み入れてしまった。不注意で済む話ではないとハンターオフィスにある情報からよく理解した。
無事戻れたことは幸いであり、あの場で深手を負ったり、死もありうるのだ。
「それでも、もう一度調査に行きたいです」
ハンターとともに見た世界を直接救えるわけではないが、あのままで良いとは思えなかった。そこの者たちにどのような感情があるのか、何もないのかもしれない。救うという感情そのものがひどいものかもしれない。
ただ、あのままではいけないと感じるだけ。外の人間としてそう感じるだけ。
異界ではラカの足には大地の感触があり、肺に入った空気はどこか重く冷たい森の空気だった。ハンターが触れていたその地の住民はもふもふだった。
最後に抱き抱えていたハンターは思わず手を見つめていた。そこに先ほどまでいた、ぬくもりがあったということだろう。
「消す方法はあるはずです……」
戦うことはできても騎士ほどの力はない。だからこそ、ハンターの力を借りる必要はあった。
そして、集まってくれたハンターには頭を深々と下げる。
「よろしくお願いします」
違和感を調査に向かう。
あのフェレットのようなイタチのような生き物がいる世界に対する違和感。住民の存在ではなく、そこにある奇妙な不安定さ。
先日のハンターたちのやり取りからラカでも感じるものはあった。
ただし、それが根源ということは確証がない。
調べて、討伐しないとならない。
しかし、本当にそれができるかは分からない。
歪虚に連なるものと認識し、手に掛けることができるのかわからないが、護らないといけないものはあるのだから譲れないはずだ。
ラカは葛藤とともに向かう。
異界があった場所。恐る恐る手をのばす。勢いよく飛び込む勇気はなかった。
異界に取り込まれた。
すぐに空気が変わる。
一瞬、清浄な空気のような気がする。しかし、負のマテリアルを含むどこか重い空気であった。
森の木々は相変わらず元気がない。負のマテリアルの浸食により、いずれ枯れるだろうどころか、滅びを迎える。
「ここでしたわね」
エンジェル隊と歪虚と同じ方向から来たマッシュという白いフェレットと出会った。
違和感はどれだろうか?
それがこの異界を支えている物だろうか?
ラカは唇をかみしめた。
●もふもふ
世界が終わるでち、世界が終わってしまうでち。
どうやってもだめでちか?
神様はどこに行ってしまったでちか?
神様はもういないでちか?
神様に仕えるエンジェルと言うのを模したエンジェル隊も歪虚に勝てないでち。
みんないなくなる……みんななくなる……。
僕に力があれば!
力があれば守れるでち!
でも、僕は疲れたでち。
でも、もっと生きたいでち。
変な記憶、変な記憶……あれは、敵でちか? 何も変わらないから敵でちか?
●同じ状況?
カサカサと音がして、フェレットが五体出てきた。いや、前回より多い。
『うわあああ、敵が出たでちー』
このように言われてもラカはおろおろしなかった。
このフェレット達は自分たちより大きく、形状が人間に似ているものはすべて歪虚とする傾向があると前回わかっているのだから。
前回ハンターがしたように、ラカはしゃがんで話しかける。
「わたくしたちは敵ではありませんわ。できれば救いたいのです」
『え?』
驚いてエンジェル隊のものはラカを見つめる。甲冑風、背中に羽のある服を着ているフェレット達は立ち止まる。
『本当でちか?』
『あいつらは言葉を話さないでち』
ひそひそとエンジェル隊はしゃべる。
交渉を進め、違和感を排除すれば、穏便にこの世界に眠りをもたらせるとラカは思っていた。
「あれらは言葉を話さないのですね……。私たちは――」
ラカの交渉を遮る鋭い声がした。
『だめでちー、そいつらは敵でちー』
白いフェレットのマッシュの声が響いた。走ってきたらしく、地面についていた前足をあげて立つ。
その背後に木の人形のような歪虚が来る。
「逃げてください!」
ラカがマッシュに警告する。
『戦うのでちー』
マッシュは背後から来た歪虚に吹き飛ばされる。
「マッシュさん!」
思わずラカは名前を叫んでしまった。
その瞬間、エンジェル隊からラカに攻撃がある。
「うっ」
痛い。切られた手より、胸の奥が痛い。名前を呼ぶという愚かなことをした自分に怒りを感じる。
それが原因で敵とみなされたのだろうと、ラカですら分かった。
『会話ができる敵でち! 新しい敵でち!』
『マッシュが殺されたでち!』
『こいつらも敵でち』
「マッシュさんは私が助けます」
生きているならば、救うことができる。でも、この世界は、どうなのだろうか。
「皆さん!」
ハンターは武器を構える。
どう行動するか、違和感が何か。
ラカはマッシュがいる方向に走ろうとしている。
一旦龍園に戻ったラカ・ベルフは反省とともに情報を集める。
前回、たまたま異界に足を踏み入れてしまった。不注意で済む話ではないとハンターオフィスにある情報からよく理解した。
無事戻れたことは幸いであり、あの場で深手を負ったり、死もありうるのだ。
「それでも、もう一度調査に行きたいです」
ハンターとともに見た世界を直接救えるわけではないが、あのままで良いとは思えなかった。そこの者たちにどのような感情があるのか、何もないのかもしれない。救うという感情そのものがひどいものかもしれない。
ただ、あのままではいけないと感じるだけ。外の人間としてそう感じるだけ。
異界ではラカの足には大地の感触があり、肺に入った空気はどこか重く冷たい森の空気だった。ハンターが触れていたその地の住民はもふもふだった。
最後に抱き抱えていたハンターは思わず手を見つめていた。そこに先ほどまでいた、ぬくもりがあったということだろう。
「消す方法はあるはずです……」
戦うことはできても騎士ほどの力はない。だからこそ、ハンターの力を借りる必要はあった。
そして、集まってくれたハンターには頭を深々と下げる。
「よろしくお願いします」
違和感を調査に向かう。
あのフェレットのようなイタチのような生き物がいる世界に対する違和感。住民の存在ではなく、そこにある奇妙な不安定さ。
先日のハンターたちのやり取りからラカでも感じるものはあった。
ただし、それが根源ということは確証がない。
調べて、討伐しないとならない。
しかし、本当にそれができるかは分からない。
歪虚に連なるものと認識し、手に掛けることができるのかわからないが、護らないといけないものはあるのだから譲れないはずだ。
ラカは葛藤とともに向かう。
異界があった場所。恐る恐る手をのばす。勢いよく飛び込む勇気はなかった。
異界に取り込まれた。
すぐに空気が変わる。
一瞬、清浄な空気のような気がする。しかし、負のマテリアルを含むどこか重い空気であった。
森の木々は相変わらず元気がない。負のマテリアルの浸食により、いずれ枯れるだろうどころか、滅びを迎える。
「ここでしたわね」
エンジェル隊と歪虚と同じ方向から来たマッシュという白いフェレットと出会った。
違和感はどれだろうか?
それがこの異界を支えている物だろうか?
ラカは唇をかみしめた。
●もふもふ
世界が終わるでち、世界が終わってしまうでち。
どうやってもだめでちか?
神様はどこに行ってしまったでちか?
神様はもういないでちか?
神様に仕えるエンジェルと言うのを模したエンジェル隊も歪虚に勝てないでち。
みんないなくなる……みんななくなる……。
僕に力があれば!
力があれば守れるでち!
でも、僕は疲れたでち。
でも、もっと生きたいでち。
変な記憶、変な記憶……あれは、敵でちか? 何も変わらないから敵でちか?
●同じ状況?
カサカサと音がして、フェレットが五体出てきた。いや、前回より多い。
『うわあああ、敵が出たでちー』
このように言われてもラカはおろおろしなかった。
このフェレット達は自分たちより大きく、形状が人間に似ているものはすべて歪虚とする傾向があると前回わかっているのだから。
前回ハンターがしたように、ラカはしゃがんで話しかける。
「わたくしたちは敵ではありませんわ。できれば救いたいのです」
『え?』
驚いてエンジェル隊のものはラカを見つめる。甲冑風、背中に羽のある服を着ているフェレット達は立ち止まる。
『本当でちか?』
『あいつらは言葉を話さないでち』
ひそひそとエンジェル隊はしゃべる。
交渉を進め、違和感を排除すれば、穏便にこの世界に眠りをもたらせるとラカは思っていた。
「あれらは言葉を話さないのですね……。私たちは――」
ラカの交渉を遮る鋭い声がした。
『だめでちー、そいつらは敵でちー』
白いフェレットのマッシュの声が響いた。走ってきたらしく、地面についていた前足をあげて立つ。
その背後に木の人形のような歪虚が来る。
「逃げてください!」
ラカがマッシュに警告する。
『戦うのでちー』
マッシュは背後から来た歪虚に吹き飛ばされる。
「マッシュさん!」
思わずラカは名前を叫んでしまった。
その瞬間、エンジェル隊からラカに攻撃がある。
「うっ」
痛い。切られた手より、胸の奥が痛い。名前を呼ぶという愚かなことをした自分に怒りを感じる。
それが原因で敵とみなされたのだろうと、ラカですら分かった。
『会話ができる敵でち! 新しい敵でち!』
『マッシュが殺されたでち!』
『こいつらも敵でち』
「マッシュさんは私が助けます」
生きているならば、救うことができる。でも、この世界は、どうなのだろうか。
「皆さん!」
ハンターは武器を構える。
どう行動するか、違和感が何か。
ラカはマッシュがいる方向に走ろうとしている。
リプレイ本文
●転
ラカ・ベルフ(kz0240)はマッシュがいるだろう方向へ走り出そうとした。
レオン(ka5108)が「ボクが援護する」と告げ、不動シオン(ka5395)はエンジェル隊に共闘する旨を提案し、ラカについていくため向きを変える。
エラ・“dJehuty”・ベル(ka3142)はラカの行動を援護するため、邪魔になるだろう歪虚との距離を測る。その行動の中で、前回との違いを考えを深める。
ヴォーイ・スマシェストヴィエ(ka1613)はマッシュが以前気にしていた「広い場所」にエンジェル隊を誘導しようと考えている。そのためには話を聞いてもらわないとならない。
仙道・宙(ka2134)もこの異界についての情報から広い場所で戦うことを考えている。そのため、エンジェル隊を説得しようとする。
メイム(ka2290)は状況に対する疑問もあり、ラカを真っ直ぐ行かせたくはなかった。そのため、横を通ったラカに足を掛け転ばせた。
「まず、自分にヒール、落ち着いて。目測約二十メートルで、こんな小さいモフモフをどうやって識別したの!」
メイムは近くにいるタヌキ顔のエンジェル隊隊長を指さした。
「いましたし、声もわかりましたわ! それにこの程度でこの魔法使うのはもったいないですわ」
「堅実と言うか……戦場でもったいないもない……くもないか」
メイムが【ヒール】をかけておく。
「で、どうするの」
「マッシュさんを探しに行きますわ」
ぶれないラカは立ち上がる。
「歪虚がこちらに来るならボクたちが対応するから」
「どれが問題がわらないのだろう? ならば、一つずつ確認、排除していくのもゲームの醍醐味だ」
レオンとシオンがラカと行動を始めた。
「で、方針は決まったな。フェレット、これを見ろ!」
ヴォーイは【マッスルトーチ】を使う。フェレット達は動きを止めた。
「あなたたちの力になりたいんだ。私たちは敵ではない、ここを救いたいと思っているんだ」
宙が話しかけたところ、フェレット達は困惑している。
『うそでち』
『マッシュはうそつかないでち』
ぽそぽそ声が漏れていた。
「吹き抜けろ! 循環の風!【祓いしもの】」
メイムは武器を地面に突き立てた。その瞬間、マテリアルが広がり、周囲を包み込んだ。
●見
ヴォーイの【マッスルトーチ】が効いているため、このフェレット達は知性がそれなりにあると分かる。
「一緒に戦えば、あの歪虚を倒せます」
「そうそう、あっちにいる奴も助かるじゃん」
宙とヴォーイが説得する。
この間、メイムはエンジェル隊の観察をしていた。【祓いしもの】により、これらは本性を現すとか、洗脳が解けるとか可能性も考えていた。しかし、どうも何も起こらない。このエンジェル隊のメンバーは異界の直接的な鍵にはなっていないようだ。
「なあ、俺たちと一緒に戦って状況を変化させようぜ?」
ヴォーイがフェレットに声をかける。
『お前たちは何者でち!』
「通りすがりの……」
「旅人だよ」
「敵ではない!」
「そうです!」
ヴォーイと宙がきっぱりと答えた。
(このフェレットがこの世界の防衛機能ってことは、これを倒したらいいのかな。歪虚を倒すとループ?)
メイムは悩んだ。共闘が正しいのか、それとも敵対か。まだ、答えは出ない。
エラはラカがレオンとシオンとともに走る後ろにつく。歪虚の動き、エンジェル隊の行動が見える位置である。
マッシュが以前「広いところ」を気にしていたことを考える。仲間がそこに誘導する手はずにはなっているが、どうなるかわからない。
(邂逅の際、エンジェル隊が前回同様の反応だったにもかかわらず、マッシュは異なる反応を示した。エンジェル隊の数は増えている……しかし、マッシュの行動には違和感がある)
そのため、異界に結び付く記憶の持ち主か、管理者の可能性は考えていた。
ラカが行くことが良いことはわからないが、事態が動くだろう。
歪虚は持っていた人形を起動させ、それ自身はラカの方に向かっていく。
そのため、エラは人形を多く含むように【三散】を放つ。
レオンとシオンが足を止め、歪虚と対峙する。
「ここはボクたちが対応する! ラカさんはマッシュさんを探してください」
「歪虚を倒すと後が来るとかいう話もあるんだな? ならば、人形のみを狙ったほうがいいか?」
レオンは盾を持ちラカを守るために行動をとる。ただし、攻撃が重要であれば切り替えるつもりである。シオンはここに来る前に読んだ報告書や仲間たちの話から、歪虚がカギとなる可能性も一つと考えていた。
ラカは目を凝らして探した。
「見つけましたわ。大丈夫ですか! 今、回復魔法をかけますね」
倒れているマッシュの横に座る。
『なぜ、でちか』
「あなた方を助けたいのです!」
マッシュがよろよろと立ち上がる。
「そうだよ、ボクたちは敵じゃない。君たちを助けたいんだ!」
レオンが歪虚の攻撃をしのぎながら、声を張り上げる。
ラカが回復のための魔法を使うと、マッシュのマテリアルが活性化され癒される。
「マッシュさん、どうすれば、助けられますか?」
『わからないでち! お前たちは違うでち!』
エラが眉を少しだけ一瞬上げた。
「私たちの何が違うのか?」
エラの問いかけにマッシュは目を瞬く。ラカはその意味が分からないため、マッシュを抱きかかえようと手を伸ばしている。
『お前たちは……よくわからないでち』
「そういえば、なんで広いところで戦うのか?」
『それは!』
「繰り返さないためか?」
『抜け出せるでち、だから頑張るでち』
マッシュが泣きだしそうな声を出す。
「ラカ、離れて」
エラはマッシュを倒すべきと判断した。そのため、指示を出したがラカが理解できていないため指示が止まる。
『お前たちがいれば抜け出せるでちか? でも、抜け出せないでち。ならば、倒すでち』
ラカがようやく何かを察して立ち上がり後退する。
「助けるには……」
悲痛な表情を一瞬浮かべたレオンがとっさにラカとマッシュの間に入る。
「これで決着がつくか?」
歪虚からラカを守るようにシオンが守るように立つ。依頼人を守り、敵と存分に戦える状況となり、喜々とした色が彼女の顔に浮かんだ。
真っ暗な闇がマッシュがいるところに広がる。刹那の出来事であり、マッシュの姿はマテリアルで膨張し、大きなイタチの姿になったのだった。
ヴォーイは舌打ちをする。予想にはあったが、実際目にするとやるせない気もする。
フェレット達は大きなイタチに視線を向け、動きを止めた。宙にフェレットの表情はよくわからなくとも欣喜雀躍にふさわしい雰囲気を感じていた。
『フェレットの神様でち?』
『神様でち!』
『神様でちっ!』
『あたちたちは見捨てられていなかったでち!』
メイムはとっさに「違うよ!」と声をかけるが、フェレット達は聞く耳を持たない。
●炎
レオンはラカをかばいつつどこに下がるか考える。
「こっちも問題ありだ……その上、あっちは何か音がしている」
シオンが歪虚が来た方向を顎をしゃくるように示す。
エラは戦場の全体が見渡せる場所にいたがために、挟撃に近い状態だと感じる。
メイムは「あの歪虚が……どれが優先かな」と呟く。このエンジェル隊を攻撃すれば、あの大きなイタチは確実に攻撃してくる。
「構図ははっきりしたんだ、先に行くぞ」
ヴォーイは武器を構える。マッシュだった大きなイタチに向かって駆けだした。
「仕方がない……もう、彼らは……」
宙は悲し気に眉を寄せた。目を輝かせているフェレット達は平常ならば可愛いと思えるだろう。
「だよね……なら、さっさと片づける、だね。ラカさーん、こっちはもうちょっと待ってね」
メイムが前線に声をかけた。
エンジェル隊との交戦は避けられない。あえてそちらに刃を向けなくとも、歪虚がこちらに来ない保証はないし、マッシュに近づくためには倒さないとならない。
「はい……本来ならばここは知られることがない世界でしたわ。喜怒哀楽、営み死も等しく闇の中なのです」
ラカが戦闘の火ぶたを切るように【セイクリッドフラッシュ】を放った。
大きなイタチが光に飲まれたのを見て、エンジェル隊から悲鳴が上がる。
『神様があああ』
『神様はこんなことで負けないでち』
『僕たちも頑張るでち』
エンジェル隊は近くにいるハンターへの攻撃を開始したのだった。
「せめて、繰り返すことは終わりにしよう」
「そういうことだよ」
「とはいえ……できれば戦いたくはないけれど」
「と言うことで、歪虚をどうにかしよう、まず。伸びろ『ドローミ』」
メイムは【鉄鎖「ドローミ」】を放つ。からめとられた木製の人形のような歪虚は動きを止める。
歪虚がラカ達の方に乱入すれば、大きなイタチとなったマッシュへの対応に支障が出る。足止めしたところで、メイムと宙が攻撃をした。
エンジェル隊は目の前の歪虚と思われる物、ハンターも含め攻撃したのだった。
歪虚の方はメイムに向かい、小さい人形はエンジェル隊に向かう。
宙は傷を負うフェレットを見て、歪虚を見た。
「君達に刃を向けるつもりはない。この歪虚を倒すのに協力しよう」
宙が再度告げる。賢い生き物ならば、この言葉に乗るだろう。なぜなら、今までハンターはエンジェル隊に刃を向けていない。
フェレット達は近くにいる人形たちを攻撃し始めた。
「メイムさん」
「うん、まー、こっち片づけて、あっちに行くよ。リミットあるし」
宙とメイムは歪虚に再び攻撃をする。
「行って、あんず」
【ファミリアアタック】で桜型妖精が飛び、宙からは【マジックアロー】が放たれる。
敵からの攻撃を食らうが、攻撃の手は緩めなかった。何度か応戦をした結果、それは無に還った。それと同時に、人形たちが動きを止めた。
「ラカ、こっちに下がって」
エラは歪虚をメイム達が応対しているのを見て、マッシュだったモノに魔法を放つ。それと同時に、ラカを前から少しでも放そうとする。
「救うにはこれしかないんだ」
レオンは状況を把握し、武器を構え叩き込む。
「お前たちの目的は分からないが、ここまで来て新しいプレイヤーも出てきた。ゲームは盛り上げ、終わらせよう」
シオンは不敵な笑みを浮かべた後、マッシュに技を叩き込む。
マッシュは身も軽くよけ、近づきざまに鋭い爪を二度叩き込んでくる。
『また、終わりが来るでち! 嫌でち! 今度こそはみんなで幸せになるでち!』
近くにいるレオンにマッシュが攻撃をする。鋭い爪が振るわれ、盾で防ぐが、防ぎきれないものは食らう。
ラカは味方を癒す選択をした。
「まずは足を止めないとな【ファントムハンド】」
ヴォーイが放つそれにからめとられたマッシュはにらみつけてくる。それに躊躇することなく、攻撃も加えた。
「そんな顔をしても、もふもふでは迫力に欠けるぞ【閃火爆砕】」
シオンが技を放つ。
エラとレオンの術や武器による攻撃がマッシュに叩き込まれた。
マッシュはハンターとの戦いに集中できていない。エンジェル隊の行動に一部向いていた。
歪虚は討たれた。追加で相当な数が来るだろう音はしている。それはマッシュがいる方向からであり、そろそろ見えるかもしれない。
マッシュに焦りが生じる。
『お前たちもいない方がいいでち。みんなを護るでち! だから、だから……燃えて、なくなってしまうえでちー』
マッシュを中心に紅蓮の炎があふれ出す。
接敵していたヴォーイとレオン、シオンは炎から逃れるように一旦下がった。しかし、その炎はやや離れているところにいる者にも手を伸ばす。
「攻撃のしようがない?」
エラが下がって観察する。炎は強弱があるが打開策にはつながりそうにはない。
『熱いでちー』
『神様がお怒りでち』
エンジェル隊が泣き始めている。ラカが何とかしようとしているが、何もできない。
「近付くならアンチボディで打ち消すことはできるけれど……」
「回復をラカちゃんにしてもらって、行けそうなら行くしかないなー」
レオンの提案にヴォーイが乗せる。
「回避力高いからねえ……それより、タイムリミットも感じるし」
メイムは木々に燃え移っているのにも気づいた。
『嫌でち、みんなには燃えてほしくないでち』
マッシュの怒りと悲しみの声が響く。
「それより、悠長なこと言っていられないですよ」
宙が指摘する。範囲ならばいいが、魔法をかける時間もかかるということを。
「そうだ、早くしないと終わらないぞ」
シオンは炎の中心を見据える。
「私も行きますわ」
「癒せる人までケガするわけにはいかないよ」
レオンが押しとどめた。
「ラカ、回復魔法を」
「【ブリザード】を掛けたいので先行する」
エラと宙の言葉の後、ラカが魔法を使った。
そして、ハンターたちは炎に飛び込んだ。
歪虚が来ると言われる方向に歪虚の姿は見えたが、この炎に躊躇している。
あと少しで世界が終わる。ハンターたちの生命も考えると早く片付けないとならない。
メイムの放つマテリアルが鉄の鎖のようにマッシュに巻き付いた。
宙の放った氷の嵐がマッシュを巻き込んだ。
エラの魔法、レオン、シオン、ヴォーイそしてメイムのスキルも使った攻撃が叩き込まれた。
マッシュは悲鳴を上げる。攻撃こそしてこないが、ハンターに近づく。
「駄目です! こちらに来ると、フェレットさんたちが巻き込まれます」
ラカが悲鳴を上げたところ、マッシュの足が止まる。
マッシュの中で仲間がすべて。
この躊躇のうちにハンターの攻撃が再度加えられた。
炎が止まった。熱もなく、ただ、ある飾りのようだ。
音も止まった。
住民・歪虚がすべて動きを止めた。
パリン。
何かが砕けるような音がした。ハンターたちの目の前で世界に線が入るようにも、鏡が割れていくようにも見える。
警戒するハンターたちは真っ白い光に包まれた。
●終
そこにあった異界は消えてなくなっている。
シオンは無事終わったことを確認する。
「これで繰り返すことはなくなるのだろう」
ラカはうなずく。
「記憶……とはいえ私たちが見たことは事実として存在する」
エラはあの者たちがいた世界が平和だったらとふと思った。
「狭いところで戦うと必ず全滅する。だから、広いところに行きたかった……」
レオンは戦略ということを考え、マッシュの抗った経緯を考えた。
「……説得が利くとちょっとは変わるかもしれないけど、終わりは変わらないんだよね」
メイムが異界があったところに目を向ける。
「これで、あいつらも安心できるな」
「そうですわね。すべて終わったのですから」
ヴォーイに言われ、ラカは涙を戻すように空を見上げた。
「きっと、みんな一緒に走り回っているさ」
宙がつぶやくと、楽しそうな姿が目に浮かぶのだった。
ラカ・ベルフ(kz0240)はマッシュがいるだろう方向へ走り出そうとした。
レオン(ka5108)が「ボクが援護する」と告げ、不動シオン(ka5395)はエンジェル隊に共闘する旨を提案し、ラカについていくため向きを変える。
エラ・“dJehuty”・ベル(ka3142)はラカの行動を援護するため、邪魔になるだろう歪虚との距離を測る。その行動の中で、前回との違いを考えを深める。
ヴォーイ・スマシェストヴィエ(ka1613)はマッシュが以前気にしていた「広い場所」にエンジェル隊を誘導しようと考えている。そのためには話を聞いてもらわないとならない。
仙道・宙(ka2134)もこの異界についての情報から広い場所で戦うことを考えている。そのため、エンジェル隊を説得しようとする。
メイム(ka2290)は状況に対する疑問もあり、ラカを真っ直ぐ行かせたくはなかった。そのため、横を通ったラカに足を掛け転ばせた。
「まず、自分にヒール、落ち着いて。目測約二十メートルで、こんな小さいモフモフをどうやって識別したの!」
メイムは近くにいるタヌキ顔のエンジェル隊隊長を指さした。
「いましたし、声もわかりましたわ! それにこの程度でこの魔法使うのはもったいないですわ」
「堅実と言うか……戦場でもったいないもない……くもないか」
メイムが【ヒール】をかけておく。
「で、どうするの」
「マッシュさんを探しに行きますわ」
ぶれないラカは立ち上がる。
「歪虚がこちらに来るならボクたちが対応するから」
「どれが問題がわらないのだろう? ならば、一つずつ確認、排除していくのもゲームの醍醐味だ」
レオンとシオンがラカと行動を始めた。
「で、方針は決まったな。フェレット、これを見ろ!」
ヴォーイは【マッスルトーチ】を使う。フェレット達は動きを止めた。
「あなたたちの力になりたいんだ。私たちは敵ではない、ここを救いたいと思っているんだ」
宙が話しかけたところ、フェレット達は困惑している。
『うそでち』
『マッシュはうそつかないでち』
ぽそぽそ声が漏れていた。
「吹き抜けろ! 循環の風!【祓いしもの】」
メイムは武器を地面に突き立てた。その瞬間、マテリアルが広がり、周囲を包み込んだ。
●見
ヴォーイの【マッスルトーチ】が効いているため、このフェレット達は知性がそれなりにあると分かる。
「一緒に戦えば、あの歪虚を倒せます」
「そうそう、あっちにいる奴も助かるじゃん」
宙とヴォーイが説得する。
この間、メイムはエンジェル隊の観察をしていた。【祓いしもの】により、これらは本性を現すとか、洗脳が解けるとか可能性も考えていた。しかし、どうも何も起こらない。このエンジェル隊のメンバーは異界の直接的な鍵にはなっていないようだ。
「なあ、俺たちと一緒に戦って状況を変化させようぜ?」
ヴォーイがフェレットに声をかける。
『お前たちは何者でち!』
「通りすがりの……」
「旅人だよ」
「敵ではない!」
「そうです!」
ヴォーイと宙がきっぱりと答えた。
(このフェレットがこの世界の防衛機能ってことは、これを倒したらいいのかな。歪虚を倒すとループ?)
メイムは悩んだ。共闘が正しいのか、それとも敵対か。まだ、答えは出ない。
エラはラカがレオンとシオンとともに走る後ろにつく。歪虚の動き、エンジェル隊の行動が見える位置である。
マッシュが以前「広いところ」を気にしていたことを考える。仲間がそこに誘導する手はずにはなっているが、どうなるかわからない。
(邂逅の際、エンジェル隊が前回同様の反応だったにもかかわらず、マッシュは異なる反応を示した。エンジェル隊の数は増えている……しかし、マッシュの行動には違和感がある)
そのため、異界に結び付く記憶の持ち主か、管理者の可能性は考えていた。
ラカが行くことが良いことはわからないが、事態が動くだろう。
歪虚は持っていた人形を起動させ、それ自身はラカの方に向かっていく。
そのため、エラは人形を多く含むように【三散】を放つ。
レオンとシオンが足を止め、歪虚と対峙する。
「ここはボクたちが対応する! ラカさんはマッシュさんを探してください」
「歪虚を倒すと後が来るとかいう話もあるんだな? ならば、人形のみを狙ったほうがいいか?」
レオンは盾を持ちラカを守るために行動をとる。ただし、攻撃が重要であれば切り替えるつもりである。シオンはここに来る前に読んだ報告書や仲間たちの話から、歪虚がカギとなる可能性も一つと考えていた。
ラカは目を凝らして探した。
「見つけましたわ。大丈夫ですか! 今、回復魔法をかけますね」
倒れているマッシュの横に座る。
『なぜ、でちか』
「あなた方を助けたいのです!」
マッシュがよろよろと立ち上がる。
「そうだよ、ボクたちは敵じゃない。君たちを助けたいんだ!」
レオンが歪虚の攻撃をしのぎながら、声を張り上げる。
ラカが回復のための魔法を使うと、マッシュのマテリアルが活性化され癒される。
「マッシュさん、どうすれば、助けられますか?」
『わからないでち! お前たちは違うでち!』
エラが眉を少しだけ一瞬上げた。
「私たちの何が違うのか?」
エラの問いかけにマッシュは目を瞬く。ラカはその意味が分からないため、マッシュを抱きかかえようと手を伸ばしている。
『お前たちは……よくわからないでち』
「そういえば、なんで広いところで戦うのか?」
『それは!』
「繰り返さないためか?」
『抜け出せるでち、だから頑張るでち』
マッシュが泣きだしそうな声を出す。
「ラカ、離れて」
エラはマッシュを倒すべきと判断した。そのため、指示を出したがラカが理解できていないため指示が止まる。
『お前たちがいれば抜け出せるでちか? でも、抜け出せないでち。ならば、倒すでち』
ラカがようやく何かを察して立ち上がり後退する。
「助けるには……」
悲痛な表情を一瞬浮かべたレオンがとっさにラカとマッシュの間に入る。
「これで決着がつくか?」
歪虚からラカを守るようにシオンが守るように立つ。依頼人を守り、敵と存分に戦える状況となり、喜々とした色が彼女の顔に浮かんだ。
真っ暗な闇がマッシュがいるところに広がる。刹那の出来事であり、マッシュの姿はマテリアルで膨張し、大きなイタチの姿になったのだった。
ヴォーイは舌打ちをする。予想にはあったが、実際目にするとやるせない気もする。
フェレット達は大きなイタチに視線を向け、動きを止めた。宙にフェレットの表情はよくわからなくとも欣喜雀躍にふさわしい雰囲気を感じていた。
『フェレットの神様でち?』
『神様でち!』
『神様でちっ!』
『あたちたちは見捨てられていなかったでち!』
メイムはとっさに「違うよ!」と声をかけるが、フェレット達は聞く耳を持たない。
●炎
レオンはラカをかばいつつどこに下がるか考える。
「こっちも問題ありだ……その上、あっちは何か音がしている」
シオンが歪虚が来た方向を顎をしゃくるように示す。
エラは戦場の全体が見渡せる場所にいたがために、挟撃に近い状態だと感じる。
メイムは「あの歪虚が……どれが優先かな」と呟く。このエンジェル隊を攻撃すれば、あの大きなイタチは確実に攻撃してくる。
「構図ははっきりしたんだ、先に行くぞ」
ヴォーイは武器を構える。マッシュだった大きなイタチに向かって駆けだした。
「仕方がない……もう、彼らは……」
宙は悲し気に眉を寄せた。目を輝かせているフェレット達は平常ならば可愛いと思えるだろう。
「だよね……なら、さっさと片づける、だね。ラカさーん、こっちはもうちょっと待ってね」
メイムが前線に声をかけた。
エンジェル隊との交戦は避けられない。あえてそちらに刃を向けなくとも、歪虚がこちらに来ない保証はないし、マッシュに近づくためには倒さないとならない。
「はい……本来ならばここは知られることがない世界でしたわ。喜怒哀楽、営み死も等しく闇の中なのです」
ラカが戦闘の火ぶたを切るように【セイクリッドフラッシュ】を放った。
大きなイタチが光に飲まれたのを見て、エンジェル隊から悲鳴が上がる。
『神様があああ』
『神様はこんなことで負けないでち』
『僕たちも頑張るでち』
エンジェル隊は近くにいるハンターへの攻撃を開始したのだった。
「せめて、繰り返すことは終わりにしよう」
「そういうことだよ」
「とはいえ……できれば戦いたくはないけれど」
「と言うことで、歪虚をどうにかしよう、まず。伸びろ『ドローミ』」
メイムは【鉄鎖「ドローミ」】を放つ。からめとられた木製の人形のような歪虚は動きを止める。
歪虚がラカ達の方に乱入すれば、大きなイタチとなったマッシュへの対応に支障が出る。足止めしたところで、メイムと宙が攻撃をした。
エンジェル隊は目の前の歪虚と思われる物、ハンターも含め攻撃したのだった。
歪虚の方はメイムに向かい、小さい人形はエンジェル隊に向かう。
宙は傷を負うフェレットを見て、歪虚を見た。
「君達に刃を向けるつもりはない。この歪虚を倒すのに協力しよう」
宙が再度告げる。賢い生き物ならば、この言葉に乗るだろう。なぜなら、今までハンターはエンジェル隊に刃を向けていない。
フェレット達は近くにいる人形たちを攻撃し始めた。
「メイムさん」
「うん、まー、こっち片づけて、あっちに行くよ。リミットあるし」
宙とメイムは歪虚に再び攻撃をする。
「行って、あんず」
【ファミリアアタック】で桜型妖精が飛び、宙からは【マジックアロー】が放たれる。
敵からの攻撃を食らうが、攻撃の手は緩めなかった。何度か応戦をした結果、それは無に還った。それと同時に、人形たちが動きを止めた。
「ラカ、こっちに下がって」
エラは歪虚をメイム達が応対しているのを見て、マッシュだったモノに魔法を放つ。それと同時に、ラカを前から少しでも放そうとする。
「救うにはこれしかないんだ」
レオンは状況を把握し、武器を構え叩き込む。
「お前たちの目的は分からないが、ここまで来て新しいプレイヤーも出てきた。ゲームは盛り上げ、終わらせよう」
シオンは不敵な笑みを浮かべた後、マッシュに技を叩き込む。
マッシュは身も軽くよけ、近づきざまに鋭い爪を二度叩き込んでくる。
『また、終わりが来るでち! 嫌でち! 今度こそはみんなで幸せになるでち!』
近くにいるレオンにマッシュが攻撃をする。鋭い爪が振るわれ、盾で防ぐが、防ぎきれないものは食らう。
ラカは味方を癒す選択をした。
「まずは足を止めないとな【ファントムハンド】」
ヴォーイが放つそれにからめとられたマッシュはにらみつけてくる。それに躊躇することなく、攻撃も加えた。
「そんな顔をしても、もふもふでは迫力に欠けるぞ【閃火爆砕】」
シオンが技を放つ。
エラとレオンの術や武器による攻撃がマッシュに叩き込まれた。
マッシュはハンターとの戦いに集中できていない。エンジェル隊の行動に一部向いていた。
歪虚は討たれた。追加で相当な数が来るだろう音はしている。それはマッシュがいる方向からであり、そろそろ見えるかもしれない。
マッシュに焦りが生じる。
『お前たちもいない方がいいでち。みんなを護るでち! だから、だから……燃えて、なくなってしまうえでちー』
マッシュを中心に紅蓮の炎があふれ出す。
接敵していたヴォーイとレオン、シオンは炎から逃れるように一旦下がった。しかし、その炎はやや離れているところにいる者にも手を伸ばす。
「攻撃のしようがない?」
エラが下がって観察する。炎は強弱があるが打開策にはつながりそうにはない。
『熱いでちー』
『神様がお怒りでち』
エンジェル隊が泣き始めている。ラカが何とかしようとしているが、何もできない。
「近付くならアンチボディで打ち消すことはできるけれど……」
「回復をラカちゃんにしてもらって、行けそうなら行くしかないなー」
レオンの提案にヴォーイが乗せる。
「回避力高いからねえ……それより、タイムリミットも感じるし」
メイムは木々に燃え移っているのにも気づいた。
『嫌でち、みんなには燃えてほしくないでち』
マッシュの怒りと悲しみの声が響く。
「それより、悠長なこと言っていられないですよ」
宙が指摘する。範囲ならばいいが、魔法をかける時間もかかるということを。
「そうだ、早くしないと終わらないぞ」
シオンは炎の中心を見据える。
「私も行きますわ」
「癒せる人までケガするわけにはいかないよ」
レオンが押しとどめた。
「ラカ、回復魔法を」
「【ブリザード】を掛けたいので先行する」
エラと宙の言葉の後、ラカが魔法を使った。
そして、ハンターたちは炎に飛び込んだ。
歪虚が来ると言われる方向に歪虚の姿は見えたが、この炎に躊躇している。
あと少しで世界が終わる。ハンターたちの生命も考えると早く片付けないとならない。
メイムの放つマテリアルが鉄の鎖のようにマッシュに巻き付いた。
宙の放った氷の嵐がマッシュを巻き込んだ。
エラの魔法、レオン、シオン、ヴォーイそしてメイムのスキルも使った攻撃が叩き込まれた。
マッシュは悲鳴を上げる。攻撃こそしてこないが、ハンターに近づく。
「駄目です! こちらに来ると、フェレットさんたちが巻き込まれます」
ラカが悲鳴を上げたところ、マッシュの足が止まる。
マッシュの中で仲間がすべて。
この躊躇のうちにハンターの攻撃が再度加えられた。
炎が止まった。熱もなく、ただ、ある飾りのようだ。
音も止まった。
住民・歪虚がすべて動きを止めた。
パリン。
何かが砕けるような音がした。ハンターたちの目の前で世界に線が入るようにも、鏡が割れていくようにも見える。
警戒するハンターたちは真っ白い光に包まれた。
●終
そこにあった異界は消えてなくなっている。
シオンは無事終わったことを確認する。
「これで繰り返すことはなくなるのだろう」
ラカはうなずく。
「記憶……とはいえ私たちが見たことは事実として存在する」
エラはあの者たちがいた世界が平和だったらとふと思った。
「狭いところで戦うと必ず全滅する。だから、広いところに行きたかった……」
レオンは戦略ということを考え、マッシュの抗った経緯を考えた。
「……説得が利くとちょっとは変わるかもしれないけど、終わりは変わらないんだよね」
メイムが異界があったところに目を向ける。
「これで、あいつらも安心できるな」
「そうですわね。すべて終わったのですから」
ヴォーイに言われ、ラカは涙を戻すように空を見上げた。
「きっと、みんな一緒に走り回っているさ」
宙がつぶやくと、楽しそうな姿が目に浮かぶのだった。
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依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 エラ・“dJehuty”・ベル(ka3142) 人間(リアルブルー)|30才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2018/03/13 16:21:11 |
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【質問卓】 メイム(ka2290) エルフ|15才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2018/03/12 21:00:44 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/03/10 11:39:57 |