• 反影

【反影】行方、光さす方へ 暗

マスター:ゆくなが

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~4人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2018/03/13 07:30
完成日
2018/03/23 21:20

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●最期の瞬間
 もし、諦めるということができたら、エトは幾分か楽だったのかもしれません。
 いま、エトはルーナと向き合っています。
 彼女はついに手紙を書き上げたのでした。
 それを渡すために、エトを飛び寄せたのですが、エトはどこか元気がありません。
「どうしたの?」
 ルーナが訊きます。
「……いえ、久しぶりのことが立て続けに起こったので、びっくりしてしまって、体力を使ったのでしょう」
 エトはそんなことを言いますが、彼には覇気がありません。思えばハンターと会った時も、疲れた顔をしていました。
「……休んでいったらいいわ」
 ルーナがエトに近寄って、言います。
「……どうして、手紙を書こうと?」
 その言葉を無視して、エトは訊きました。
「そうね……。実は書かなくてはいけないと思っていたの。いつかは書いたと思う。けれど、さっきの演奏を聴いて、今やらなくちゃ、という気持ちになったの」
「もっと早くても良かったんじゃないですか?」
「……あなたを待たせてしまった。それは悪かったわ。けれど、私にも時間が必要だったと思うの。ごめんなさい」
「その間、僕はずっと一人でした」
 この時、エトは堰を切ったように喋り出しました。
「返信のない手紙を届けて、誰もいない灯台に登って、誰もいない死んだような街を歩きました。それも全部、いつかみんなが希望を取り戻してくれると信じていたからです。あなたが、また歌ってくれると信じていたからです。そして、あなたは手紙を書いた。それは嬉しいことのはずなのに、この胸のもやもやはなんでしょう。苦しいと思っている自分がいるんです。だいたい、この生活はいつまで続くのでしょう。邪神の進行に種心を開発しても、余命が伸びただけでした。ああ、きっと、僕も、諦めてしまいたかった……」
 悲痛な面持ちでルーナはエトの告白を訊いていました。
「ごめんなさい。そこまで思い詰めていたなんて……私……」
「いいんです。すみませんでした。僕こそちょっと気持ちが高ぶっていたようです。手紙はちゃんと運びます。ええ、それが仕事ですから」
 エトが手を差し出しました。
 ルーナもおずおずと手紙を渡そうとします。
 しかし、彼女はちょっと躊躇しました。
「安心してください。僕は大丈夫なつもりです。ちゃんとこの手紙はあの青年に届けますよ。それが光につながると信じて」
 それでもなお、心配そうにルーナはエトを見ています。
 それに気づいたエトは苦しい感情を抱えたまま、無理やり笑いました。それはとても歪で、今にも泣き出しそうな表情でした。
 ようやく、ルーナはエトに手紙を渡しました。
「では早速いってきます」
「待って、エト。私……」
 その時です、赤い光とともに、焦げるような匂いがしてきました。
 エトが手元に熱を感じて確認すると、なんと手紙が焼け焦げているではありませんか。
 炎はみるみる手紙を焼き尽くします。
「そんな、赤い炎なんて……!」
 ルーナの瞳が恐怖に見開かれました。
 それはかつて自分の歌が作り出してしまったあの紅蓮の火そっくりだったのです。
 エトは燃えている部分を握って、無理やり炎を消そうとします。しかし、炎の勢いは衰えず、エトの肉を焼いて行くのでした。
「エト、手紙を捨てて!」
「そんなこと、できるわけないでしょう!」
 エトが手紙を守るために必死になっているのを見て、逆にルーナは冷静になったようでした。ルーナは近くにあった水差しの水を炎に浴びせました。しかし炎の勢いは衰えません。
 炎はすでにエトの腕まで燃え盛っています。そして、それはゆらゆら燃立つと同時にささやき始めました。
『諦めちゃえ、諦めちゃえ、諦めちゃえ諦めちゃえ諦めちゃえ』
 炎からはそんな声が聞こえてきます。
『だって、あなたは諦めたかったんでしょう?』
 その炎の言葉はエトの心に深く突き刺さりました。
「確かに僕は諦めたかった。そっちの方が楽だから……でも、でも……!」
『だから、わたしはあなたの……あなたたちの、“諦め”よ?』
「ルーナ、逃げて……!」
 エトの言葉が届く暇もなく、紅蓮の炎は一気に燃え広がり、ルーナの家ごと、二人を焼き尽くしたのでした……。

●そして、もう一度
 ハンターたちは、この光の滅ぼされた異界に二回目の侵入を試みました。
 やはり、最初の時と同様真っ暗な道に出ます。
 そしてしばらくすると、向こうの方から、青い光が近づいてきました。
「あなたたち、こんなところで明かりも灯さず、何をやっているんですか」
 戸惑いの声がします。その声の主はやはり、鷲鼻の青年、エトでした。
「光がなければ、暗闇に飲まれてしまいますよ」
 一回目の探索の時にも聞いた言葉です。
 エトは種心を持っていないハンターたちをみて不思議な顔をします。最初会った時と同じように。
 こうして、二回目の異界間交流がはじまったのでした。
 終わりへと向かって。

リプレイ本文

「実は、旅の途中で種心を使い切ってしまったのです」
 エトと会って、レオナ(ka6158)が切り出しました。種心の青い光がハンターたちとエトを照らし出します。
「おや、そいつは大変でしたね。僕の家までついてきてくだされば、予備の種心を差し上げますよ」
「それと、私たち箱火屋を探しているのです」
 さらにレオナが続けました。
「でしたら、僕が箱火屋ですけども」
 そう行って、エトは背負っている大きな箱を示しました。
「あら、それはちょうど良かったですわ。私たちが演奏会をしようと思っているのです」
「演奏会?」
 エトは眉をちょっと動かしました。
「ええ、ですから、ぜひ箱火屋の方に同席していただいて、種心を採取していただければ、と思いまして」
「それはありがたいんですけど……」
 エトは腕を組みながら考えました。
「ここの住人は果たして聞きにきてくれますかね……?」
「なにか事情がおありなのですか? ……いつか闇にのまれようとも、生きているうちは灯りが必要でしょう?」
 そう聞くと、エトの顔が曇りました。きっと住人たちが諦めてしまったことを考えて居たのでしょう。
 その表情の変化をレオナは鋭く感じ取っていました。
「人を集められるかわからないですけど、聴いてくれそうな人物ならいますよ」
 エトはしかし、なにか思いついたのか少し明るい顔で言いました。
「ちょっと、その人のところへ、僕も用事があるのです。ついてきてください」
 そう行って、エトは再び歩き出しました。
「はて、さて。どうにも妙な、所ですなあ……」
 最後尾を歩きながら、マッシュ・アクラシス(ka0771)がこの世界を見回して言います。
「まあ、様子は見させていただきますよ」
 そして、ついたのはルーナの家です。軒先には種心がかけられて目印になっています。
「やあ、ルーナ」
 ノックをすると、車椅子に乗ったルーナが出てきました。
「今日も手紙が来ていますよ」
「そんな、毎日悪いわ。彼には、もう手紙は出さなくていいと伝えてくださらない?」
 前回と同じやりとりが聞こえて来ます。
 しかし、ここからが違いました。
「それと、ちょっと紹介したいお客さんがいるんですよ」
そう言って、エトはハンターたちを手招きしました。
「この方達は?」
「旅をして、演奏をしているらしいのです」
「あら、素敵ね」
「レオナさん」
 エトはレオナたちと向き合いました。
「きっと、この街には演奏を聞いてくれる人たちはいないと思うんです」
 エトは申し訳なさそうな悲痛な表情をしました。
「でも、きっとこのルーナなら……その、話し相手になってくれると思うんです。ねえ、ルーナ」
「ええ。お客様なんて久しぶりだもの。ぜひ、お話ししたいわ」
 ルーナは喜んでハンターたちを招き入れました。
「じゃ、ちょっと僕は家に戻って、種心の予備をこの人たちのために持って来ますよ。灯台のほうも見ておかなくてはなりませんし」
「ええ、いってらっしゃいな」
「それでルーナ、手紙の返事のことなんですけど……」
「それは、また今度、ね」
「もう一度歌ってとは言いません。でも、せめて手紙くらいは書かないとダメです。心が死んでしまいます」
「……考えとくわ」
 こうしてエトは走り去りました。


「すまない。ぶしつけに邪魔しちまって……」
 リュー・グランフェスト(ka2419)が言いました。
 けれど、ルーナは明るい顔です。
「いいのよ。気にしないで。私の方こそ呼び止めてしまって申し訳ないわ」
 ルーナは家の中で器用に車椅子を動かして、お茶を用意します。
「ねえ、旅をしてらっしゃるんでしょう? どんなところを旅したの?」
 ルーナはおしゃべりができることが嬉しいのかいろいろ聞いてきます。
 リューはなるべく明るい雰囲気を作るように心がけ、いろんな話をしてあげました。
 そして、一番聞きたいことを切り出します。
「さっきの会話で、聞こえちまったんだけど……」
 ハンターたちからすればこのやり取りはかつて経験した、あるいは報告により何が起こるか知っている世界です。あったことをなぞって誘導するのはフェアでないと感じながらも、リューは言います。
「昔、音楽をやっていたんだろ?」
「それは……」
「いまはやめちまったんだよな? どうしてだ……?」
「それに気になることがあります」
 さらに、レオナが前回と同じように話を継いでいきます。
「種心はどうして青色ばかりなのでしょう」
 その言葉を聞くと、ルーナはやはり震えだし、さっと顔色を青くしました。
そして語り始めます。
 自分が歌えなくなった理由、そして赤い種心の話を。


「あら、ちょうどいいところに帰って来てくださいました」
 エトが種心を持ってルーナの家に帰って来ますと、ハンターたちは庭に出て来ていました。ルーナも泣きはらした目で、明るい表情です。
「これから演奏会をしようと思って」
 そうレオナが言いますと、エトは驚いていました。
 ルーナがまた歌うのか、と聞きますから、それはまだ、とルーナは答えました。
「でも演奏が懐かしくなってしまって。こうしてお願いをきいてもらったの」
「もともとそのつもりでしたもの。ぜひ、エトさんも聞いて言ってくださいな」
「ええ、ええ、もちろんです」
 さて、リューとレオナがそれぞれ楽器を取り出し、演奏の準備をします。
 細かな音の調律をしてから、リューがルーナに話しかけました。
「ルーナ、貴女はとても辛い思いをしていたんだね」
 ルーナも真剣にリューの言葉を聴いています。
「でも、貴女は俺達に話してくれた。」
それは諦めていないという、抵抗の意思、このままではいけないという、再起の表れだ、とリューは続けました。
「あんたならきっとまた歌える。諦めの歌ではなく、希望の歌を」
 リューは力強く言いました。
 その言葉にこたえるようにルーナもリューを見つめています。
「俺のつたない演奏で良ければ聞いてほしい。そして、それがルーナとエトの……、二人がこれから進む時の灯火になれば幸いだ」
 そういう、リューが言った後、厳かにレオナのギターが鳴らされます。
 こうして演奏がはじまりました。
 その演奏は、暗闇に火が灯るような力強い演奏でした。


 演奏が終わった後、ルーナは拍手するのも忘れて、ただただ涙を流していました。
「……私、もう一度歌えるかしら?」
 ルーナが誰とも知れず問いかけます。もしかしたら、自分にこそ問いかけていたのかも知れません。
「もちろんだ。きっと歌えるさ」
 それにこたえたのはやはりリューでした。
 エトはルーナの背中をそっとさすってやりました。
 しばらくして、ルーナは落ち着きを取り戻し、エトに向かって言いました。
「私、お手紙のお返事を書いてみようと思うの」
「本当ですか!?」
 ルーナは手紙を書くので、一人にしてほしい、と言って家の中に戻っていきました。
 エトもやはり、家の外で待っています。
「今のところ、前回と同じなのか……?」
 エトに聞こえないように、リューが前回を体験したキャリコ・ビューイ(ka5044)とレオナにききます。
「ええ、今のところは」
 声を潜めて、レオナがこたえます。
 しばらくして、ついに中から、エトを呼ぶ声が聞こえました。
 エトが中に入ろうとすると、キャリコが彼を止めました。
「俺がルーナを迎えに行こう」
「また、どうして?」
「車椅子じゃ、移動が大変だろう?」
「はあ、まあそうですね」
 エトはわかったようなわからないような返事をしました。ですが、エトもルーナもすでにハンターたちを信頼しているので、特に不審がりません。
 キャリコに連れられて、ルーナが出てきます。
「エトさんもあちらへ」
 そうレオナが言って、戦闘に適した開けた場所へ誘導します。幸い、ルーナの家の周りは空き地で街からも離れていますから、そんな場所はすぐ見つかりました。
 レオナはワイルドカードからEndhaを発動しました。十二枚の符から、ポプラの葉紋が浮かび上がり葉のさざめきが聞こえます。
 レオナがルーナから手紙を受け取り、エトに渡す前にさらに結界術を行使しました。しかし、 Endhaも結界術も光を使う符術です。この異界の特性によりその輝きはいつもより弱々しいものでした。
 そうしてやっと、エトに手紙が渡されます。
「……」
 エトの顔が暗く曇りました。
 そして遂に、手紙がちりちりと燃えだしました。
 その炎に気づいたエトは自分の手で炎を消そうとします。
 しかしキャリコの方が早かったのです。
 キャリコは、銃底でエトの手を打って手紙を叩き落としました。
「何を!?」
「離れてください!」
 レオナが鋭く叫びました。
 その瞬間、手紙の炎が天高く燃え広がりました。


「来ましたね」
 マッシュが剣を構えます。
 炎はめらめらと燃え、大人一人分くらいの大きさになっています。
「さっきは悪かったな」
 キャリコは、手をさすって何が起きたかわからない表情のエトに言いました。
「言い方は悪いが、手紙はまた書けるが……お前が死んでは、誰がルーナの手紙を相手に届けるんだ? 無茶はするんじゃない」
「エトさん、ルーナさんを連れて下がってください!」
 レオナが言います。
 エトは何やら危機的状況だということは理解しましたので、ルーナの元へ駆けていこうとしました。
 ルーナはといえば、赤い炎を見て過去の記憶が蘇ったのでしょう。呆然としているばかりです。
『諦めちゃえ諦めちゃえ諦めちゃえ諦めちゃえ』
 炎はそんな呪いのような言葉を言いつづけます。
「僕は……」
 その言葉に、エトの足が止まります。
「僕はきっと……」
「うるせえ!」
 しかし、リューの声が響き渡り、炎の声を相殺しました。
「立ち上がれ、エト! あなたたちはここで負けるような人間じゃない!!」
 その言葉に打たれたように、エトは再びルーナへ駆け寄ります。
「ルーナ、大丈夫ですか!?」
 ルーナはパニックに陥っていると見えましたが、今のリューの言葉で彼女もまた平静を取り戻したようでした。
「お二方はそのまま下がっておられよ」
 マッシュがルーナにアンチボディを施しながら言います。
 炎から離れ、ハンターたちを見守るエトとルーナを炎が睨めつけます。
 そして、炎が膨れ上がって、恐ろしい範囲攻撃をしようとした時、十枚の符が飛んで行って、炎を押さえ込みました。レオナが黒曜封印符を放ったのです。
『どうして? 諦めれば楽でしょう?』
 炎はエトたちの方へ進んで行こうとします。
 しかし、マッシュがその進路を妨害しました。
 マッシュの武器には今や魔法威力が上乗せされ、その刃は一層鋭く見えます。そして素早い一撃を炎に見舞いました。
 炎は苦しそうにゆらゆら揺らめいています。
 そこへさらに、弾丸が撃ち込まれました。着弾すると同時に冷気が炎を凍てつかせました。
「覚えておけ」
 リューの武器にもまた、魔法の力が上乗せされていきます。そして勢いよく武器を振り、敵を闘志の宿った瞳で見つめて言います。
「俺たちは……人間は、決して絶望に負けるだけじゃない。抗う心を持っているんだと!」
 そして繰り出された一撃は炎を貫いて、怨嗟の叫びを上げさせます。その強力な一撃は、炎に大ダメージを与えたのでした。
「今のうちに畳み掛けろ!」
「では、遠慮なく」
 マッシュも、自分の命から力を抽出し、渾身の威力を剣にのせます。マテリアルの込められた斬撃は、炎を真っ二つにしました。
 しかし、赤い炎はまだゆらゆらと揺らめいています。
 その時です、炎が符の拘束を振り払い、ぶくぶくと大きく膨れ上がったのでした。
 それが爆発するかと思った刹那、雨のような弾丸が炎に降りしきりました。
 キャリコがリトリビューションを放ったのです。それにより行動を阻害された炎はうまく爆発できず、みるみる萎んでいくのでした。
 キャリコは即座に弾倉を交換して、銃を構えます。
『どうして?』
 炎はそれでも言葉を継ぐことをやめません。
 そこへ、キャリコが容赦なく弾丸を撃ち込みました。
「人はいつか死ぬ」
『諦めないの?』
「だが、死ぬ時は自分の意志で決める」
『諦めちゃえば?』
「お前のような奴に、従って生きるのを諦めたりはしない」
『諦めてよ』
「……俺は、たとえ神にだって従わない」
 それがとどめでした。
 そうして放たれたハウンドバレットは言葉を繰り返す炎を貫きました。
『そう、諦め、ないのね……』
 炎はそういうと、一度収縮し、空を焼き焦がすのではないかというほど燃え上がりました。
 ですが、それが最後でした。
 その後には、赤い光はどこにもなく、エトが持ってきていた種心の青い光がただただ周囲を照らしているばかりでした。
 それを見届けて、エトはへなへなと地面に座り込みました。きっと緊張の糸が途切れたのでしょう。
「さっきのは……手紙は……」
 手紙は燃えてしまい、もうどこにもありません。
「ごめんなさい。守れなくて」
「いいのよ。それにキャリコさんのいうように、手紙はまたかけるもの」
 ルーナはエトの肩にそっと手を置いてそう言いました。
 ハンターたちも、敵が消失したのを見て武器を収めます。
「怪我は……ないようですな。いや、なによりです」
 マッシュが二人を確認して言います。
 ハンターたちの立ち回りのおかげで、エトとルーナには傷一つありませんでした。
「しかし……」
 そこで、マッシュは顎に手を当てて考え出しました。
「炎という姿が諦めという感情を示すとは、どうにも似つかわしくない気はします」
「……似つかわしくない?」
 ルーナが聞き返しました。
「絶望とは裏を返せば、希望であったもの」
 望むから裏切られる。何も望まなければ、絶望することもない、とマッシュは言います。
「であればこれは、如何なる業とするべきか……はて、さて」
 いつもの調子でマッシュはそんなことを言いました。
 その言葉に、ルーナも考え込みます。
「私たち、なにか思い違いをしていたのかも……」
「思い違い?」
 エトは何がなんだかわからない様子です。
「ありがとう、皆さん。……それにマッシュさん、私、大事なことがわかった気がするわ。きっと、赤い炎も……」
 ですが、それがタイムリミットでした。
 管理者を倒した以上、この異界は消失するほかありません。
 ハンターたちは虚無の外へ投げ出されました。


 相変わらず、負の大地では陰鬱な太陽が輝いていた。
 ハンターたちが侵入した虚無はもうそこにはなかった。異界も消えてしまった。
 だが……とマッシュは最後のルーナの表情を思い出す。
「なにか見つけられたのなら、これ幸い、ということでしょうな」
 こうして、ある異界間交流は終わったのだった。

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重体一覧

参加者一覧

  • 無明に咲きし熾火
    マッシュ・アクラシス(ka0771
    人間(紅)|26才|男性|闘狩人
  • 巡るスズラン
    リュー・グランフェスト(ka2419
    人間(紅)|18才|男性|闘狩人
  • 自在の弾丸
    キャリコ・ビューイ(ka5044
    人間(紅)|18才|男性|猟撃士
  • 遊演の銀指
    レオナ(ka6158
    エルフ|20才|女性|符術師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/03/10 15:11:51
アイコン 相談所
レオナ(ka6158
エルフ|20才|女性|符術師(カードマスター)
最終発言
2018/03/13 07:32:54