ゲスト
(ka0000)
【反影】行方、光さす方へ 暗
マスター:ゆくなが

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在4人 / 3~4人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/03/13 07:30
- リプレイ完成予定
- 2018/03/27 07:30
オープニング
●最期の瞬間
もし、諦めるということができたら、エトは幾分か楽だったのかもしれません。
いま、エトはルーナと向き合っています。
彼女はついに手紙を書き上げたのでした。
それを渡すために、エトを飛び寄せたのですが、エトはどこか元気がありません。
「どうしたの?」
ルーナが訊きます。
「……いえ、久しぶりのことが立て続けに起こったので、びっくりしてしまって、体力を使ったのでしょう」
エトはそんなことを言いますが、彼には覇気がありません。思えばハンターと会った時も、疲れた顔をしていました。
「……休んでいったらいいわ」
ルーナがエトに近寄って、言います。
「……どうして、手紙を書こうと?」
その言葉を無視して、エトは訊きました。
「そうね……。実は書かなくてはいけないと思っていたの。いつかは書いたと思う。けれど、さっきの演奏を聴いて、今やらなくちゃ、という気持ちになったの」
「もっと早くても良かったんじゃないですか?」
「……あなたを待たせてしまった。それは悪かったわ。けれど、私にも時間が必要だったと思うの。ごめんなさい」
「その間、僕はずっと一人でした」
この時、エトは堰を切ったように喋り出しました。
「返信のない手紙を届けて、誰もいない灯台に登って、誰もいない死んだような街を歩きました。それも全部、いつかみんなが希望を取り戻してくれると信じていたからです。あなたが、また歌ってくれると信じていたからです。そして、あなたは手紙を書いた。それは嬉しいことのはずなのに、この胸のもやもやはなんでしょう。苦しいと思っている自分がいるんです。だいたい、この生活はいつまで続くのでしょう。邪神の進行に種心を開発しても、余命が伸びただけでした。ああ、きっと、僕も、諦めてしまいたかった……」
悲痛な面持ちでルーナはエトの告白を訊いていました。
「ごめんなさい。そこまで思い詰めていたなんて……私……」
「いいんです。すみませんでした。僕こそちょっと気持ちが高ぶっていたようです。手紙はちゃんと運びます。ええ、それが仕事ですから」
エトが手を差し出しました。
ルーナもおずおずと手紙を渡そうとします。
しかし、彼女はちょっと躊躇しました。
「安心してください。僕は大丈夫なつもりです。ちゃんとこの手紙はあの青年に届けますよ。それが光につながると信じて」
それでもなお、心配そうにルーナはエトを見ています。
それに気づいたエトは苦しい感情を抱えたまま、無理やり笑いました。それはとても歪で、今にも泣き出しそうな表情でした。
ようやく、ルーナはエトに手紙を渡しました。
「では早速いってきます」
「待って、エト。私……」
その時です、赤い光とともに、焦げるような匂いがしてきました。
エトが手元に熱を感じて確認すると、なんと手紙が焼け焦げているではありませんか。
炎はみるみる手紙を焼き尽くします。
「そんな、赤い炎なんて……!」
ルーナの瞳が恐怖に見開かれました。
それはかつて自分の歌が作り出してしまったあの紅蓮の火そっくりだったのです。
エトは燃えている部分を握って、無理やり炎を消そうとします。しかし、炎の勢いは衰えず、エトの肉を焼いて行くのでした。
「エト、手紙を捨てて!」
「そんなこと、できるわけないでしょう!」
エトが手紙を守るために必死になっているのを見て、逆にルーナは冷静になったようでした。ルーナは近くにあった水差しの水を炎に浴びせました。しかし炎の勢いは衰えません。
炎はすでにエトの腕まで燃え盛っています。そして、それはゆらゆら燃立つと同時にささやき始めました。
『諦めちゃえ、諦めちゃえ、諦めちゃえ諦めちゃえ諦めちゃえ』
炎からはそんな声が聞こえてきます。
『だって、あなたは諦めたかったんでしょう?』
その炎の言葉はエトの心に深く突き刺さりました。
「確かに僕は諦めたかった。そっちの方が楽だから……でも、でも……!」
『だから、わたしはあなたの……あなたたちの、“諦め”よ?』
「ルーナ、逃げて……!」
エトの言葉が届く暇もなく、紅蓮の炎は一気に燃え広がり、ルーナの家ごと、二人を焼き尽くしたのでした……。
●そして、もう一度
ハンターたちは、この光の滅ぼされた異界に二回目の侵入を試みました。
やはり、最初の時と同様真っ暗な道に出ます。
そしてしばらくすると、向こうの方から、青い光が近づいてきました。
「あなたたち、こんなところで明かりも灯さず、何をやっているんですか」
戸惑いの声がします。その声の主はやはり、鷲鼻の青年、エトでした。
「光がなければ、暗闇に飲まれてしまいますよ」
一回目の探索の時にも聞いた言葉です。
エトは種心を持っていないハンターたちをみて不思議な顔をします。最初会った時と同じように。
こうして、二回目の異界間交流がはじまったのでした。
終わりへと向かって。
もし、諦めるということができたら、エトは幾分か楽だったのかもしれません。
いま、エトはルーナと向き合っています。
彼女はついに手紙を書き上げたのでした。
それを渡すために、エトを飛び寄せたのですが、エトはどこか元気がありません。
「どうしたの?」
ルーナが訊きます。
「……いえ、久しぶりのことが立て続けに起こったので、びっくりしてしまって、体力を使ったのでしょう」
エトはそんなことを言いますが、彼には覇気がありません。思えばハンターと会った時も、疲れた顔をしていました。
「……休んでいったらいいわ」
ルーナがエトに近寄って、言います。
「……どうして、手紙を書こうと?」
その言葉を無視して、エトは訊きました。
「そうね……。実は書かなくてはいけないと思っていたの。いつかは書いたと思う。けれど、さっきの演奏を聴いて、今やらなくちゃ、という気持ちになったの」
「もっと早くても良かったんじゃないですか?」
「……あなたを待たせてしまった。それは悪かったわ。けれど、私にも時間が必要だったと思うの。ごめんなさい」
「その間、僕はずっと一人でした」
この時、エトは堰を切ったように喋り出しました。
「返信のない手紙を届けて、誰もいない灯台に登って、誰もいない死んだような街を歩きました。それも全部、いつかみんなが希望を取り戻してくれると信じていたからです。あなたが、また歌ってくれると信じていたからです。そして、あなたは手紙を書いた。それは嬉しいことのはずなのに、この胸のもやもやはなんでしょう。苦しいと思っている自分がいるんです。だいたい、この生活はいつまで続くのでしょう。邪神の進行に種心を開発しても、余命が伸びただけでした。ああ、きっと、僕も、諦めてしまいたかった……」
悲痛な面持ちでルーナはエトの告白を訊いていました。
「ごめんなさい。そこまで思い詰めていたなんて……私……」
「いいんです。すみませんでした。僕こそちょっと気持ちが高ぶっていたようです。手紙はちゃんと運びます。ええ、それが仕事ですから」
エトが手を差し出しました。
ルーナもおずおずと手紙を渡そうとします。
しかし、彼女はちょっと躊躇しました。
「安心してください。僕は大丈夫なつもりです。ちゃんとこの手紙はあの青年に届けますよ。それが光につながると信じて」
それでもなお、心配そうにルーナはエトを見ています。
それに気づいたエトは苦しい感情を抱えたまま、無理やり笑いました。それはとても歪で、今にも泣き出しそうな表情でした。
ようやく、ルーナはエトに手紙を渡しました。
「では早速いってきます」
「待って、エト。私……」
その時です、赤い光とともに、焦げるような匂いがしてきました。
エトが手元に熱を感じて確認すると、なんと手紙が焼け焦げているではありませんか。
炎はみるみる手紙を焼き尽くします。
「そんな、赤い炎なんて……!」
ルーナの瞳が恐怖に見開かれました。
それはかつて自分の歌が作り出してしまったあの紅蓮の火そっくりだったのです。
エトは燃えている部分を握って、無理やり炎を消そうとします。しかし、炎の勢いは衰えず、エトの肉を焼いて行くのでした。
「エト、手紙を捨てて!」
「そんなこと、できるわけないでしょう!」
エトが手紙を守るために必死になっているのを見て、逆にルーナは冷静になったようでした。ルーナは近くにあった水差しの水を炎に浴びせました。しかし炎の勢いは衰えません。
炎はすでにエトの腕まで燃え盛っています。そして、それはゆらゆら燃立つと同時にささやき始めました。
『諦めちゃえ、諦めちゃえ、諦めちゃえ諦めちゃえ諦めちゃえ』
炎からはそんな声が聞こえてきます。
『だって、あなたは諦めたかったんでしょう?』
その炎の言葉はエトの心に深く突き刺さりました。
「確かに僕は諦めたかった。そっちの方が楽だから……でも、でも……!」
『だから、わたしはあなたの……あなたたちの、“諦め”よ?』
「ルーナ、逃げて……!」
エトの言葉が届く暇もなく、紅蓮の炎は一気に燃え広がり、ルーナの家ごと、二人を焼き尽くしたのでした……。
●そして、もう一度
ハンターたちは、この光の滅ぼされた異界に二回目の侵入を試みました。
やはり、最初の時と同様真っ暗な道に出ます。
そしてしばらくすると、向こうの方から、青い光が近づいてきました。
「あなたたち、こんなところで明かりも灯さず、何をやっているんですか」
戸惑いの声がします。その声の主はやはり、鷲鼻の青年、エトでした。
「光がなければ、暗闇に飲まれてしまいますよ」
一回目の探索の時にも聞いた言葉です。
エトは種心を持っていないハンターたちをみて不思議な顔をします。最初会った時と同じように。
こうして、二回目の異界間交流がはじまったのでした。
終わりへと向かって。
解説
●成功条件はこの異界の管理者の討伐。失敗条件はエトとルーナの死亡。
●概要
前回の探索で異界の住人であるエトとルーナとの交流に成功し、異界に関する情報を手に入れることができました。
この世界は邪神によって光の滅ぼされた世界であること。
邪神に抵抗する手段はなかったこと。
種心をつかいかろうじて生活していること。
負の種心を作る実験がおこなわれたこと。
しかし、最後は紅蓮の炎に包まれて二人は死に、ハンターたちは異界の外にはじき出されてしまいます。
●管理者について(PL情報)
ルーナがエトに手紙を渡した瞬間に現れた炎が管理者です。
どうやら、諦めという感情が具現化した姿のようです。紅蓮の炎の形をしており、数は一体。
単体攻撃のほか、非常に強力な範囲攻撃を持っています。
また、積極的にエトとルーナを狙います。
OP中には喋っている描写がありますが、一方的に『諦めろ』などと言うだけで、意思疎通は不可能です。
●ルーナが手紙を書くタイミングについて(PL情報)
本人も言っていたように、ハンターたちが関わらなくても、時間はかかりますが、いつかは手紙を書き始め、エトに渡します。
●戦闘中の二人の行動(PL情報)
エトはルーナを守るように行動します。
●用語解説
種心:たなごころ、と読みます。この異界における唯一の光源です。正の感情からは青色、負の感情からは紅蓮の種心が生み出せます。
箱火屋:はこびや、と読みます。つまり運び屋です。かつては人々から種心を採取する役割も持っていました。しかし、現在はエトしか活動している箱火屋はいません。
火巫呼:ひみこ、と読みます。この異界における歌手のことです。
伝灯:でんとう、と読みます。通信手段の一つだったようです。今回は必要とすることはないでしょう。
●人物紹介
エト:箱火屋の青年。諦めたい気持ちを隠していた。
ルーナ:車椅子で火巫呼の少女。しかし負の種心事件により、歌うことをやめてしまった。
●概要
前回の探索で異界の住人であるエトとルーナとの交流に成功し、異界に関する情報を手に入れることができました。
この世界は邪神によって光の滅ぼされた世界であること。
邪神に抵抗する手段はなかったこと。
種心をつかいかろうじて生活していること。
負の種心を作る実験がおこなわれたこと。
しかし、最後は紅蓮の炎に包まれて二人は死に、ハンターたちは異界の外にはじき出されてしまいます。
●管理者について(PL情報)
ルーナがエトに手紙を渡した瞬間に現れた炎が管理者です。
どうやら、諦めという感情が具現化した姿のようです。紅蓮の炎の形をしており、数は一体。
単体攻撃のほか、非常に強力な範囲攻撃を持っています。
また、積極的にエトとルーナを狙います。
OP中には喋っている描写がありますが、一方的に『諦めろ』などと言うだけで、意思疎通は不可能です。
●ルーナが手紙を書くタイミングについて(PL情報)
本人も言っていたように、ハンターたちが関わらなくても、時間はかかりますが、いつかは手紙を書き始め、エトに渡します。
●戦闘中の二人の行動(PL情報)
エトはルーナを守るように行動します。
●用語解説
種心:たなごころ、と読みます。この異界における唯一の光源です。正の感情からは青色、負の感情からは紅蓮の種心が生み出せます。
箱火屋:はこびや、と読みます。つまり運び屋です。かつては人々から種心を採取する役割も持っていました。しかし、現在はエトしか活動している箱火屋はいません。
火巫呼:ひみこ、と読みます。この異界における歌手のことです。
伝灯:でんとう、と読みます。通信手段の一つだったようです。今回は必要とすることはないでしょう。
●人物紹介
エト:箱火屋の青年。諦めたい気持ちを隠していた。
ルーナ:車椅子で火巫呼の少女。しかし負の種心事件により、歌うことをやめてしまった。
マスターより
(解説の続き)
●異界内の特殊設定
種心以外の光源は使用できません。また、光、炎、雷など光るスキルも効果、威力半減とします。
(解説の続き終わり)
こんにちは、あるいはこんばんは。ゆくながです。
さて、このシナリオは「【反影】行方、光さす方へ 明」の続きとなっております。この話で完結する予定です。
この世界には諦めてしまった人間たちがいました。
戦っているつもりでも、心はズタズタだったエト。
これから再び立ち向かおうと手紙を書いたルーナ。
この物語の結末は皆さまのプレイングに託されました。
それでは、ご参加をお待ちしております。
●異界内の特殊設定
種心以外の光源は使用できません。また、光、炎、雷など光るスキルも効果、威力半減とします。
(解説の続き終わり)
こんにちは、あるいはこんばんは。ゆくながです。
さて、このシナリオは「【反影】行方、光さす方へ 明」の続きとなっております。この話で完結する予定です。
この世界には諦めてしまった人間たちがいました。
戦っているつもりでも、心はズタズタだったエト。
これから再び立ち向かおうと手紙を書いたルーナ。
この物語の結末は皆さまのプレイングに託されました。
それでは、ご参加をお待ちしております。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/03/23 21:20
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/03/10 15:11:51 |
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相談所 レオナ(ka6158) エルフ|20才|女性|符術師(カードマスター) |
最終発言 2018/03/13 07:32:54 |