ゲスト
(ka0000)
【幻兆】明日を拓く者たち
マスター:近藤豊

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 不明
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~4人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/04/12 22:00
- 完成日
- 2018/04/15 07:37
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
チュプ大神殿の探索で発覚した施設『ラメトク』。
幻獣にマテリアルを注ぎ混み強化、大型化する事が可能だという。
かつて古代文明の時代に幻獣が歪虚と戦った際、幻獣の力を引き出したとされる施設であった。
チュプ大神殿と共に封印されていたラメトクであったが、ハンターがその封印を開く事に成功。
これで対歪虚戦に利用できると色めきだったハンター達であったが、ここでヴェルナー・ブロスフェルト(kz0032)がある提案を行った。
「このラメトクのマテリアルを一体の幻獣に注ぎ込む事は可能でしょうか?」
四大精霊の一人、イクタサ(kz0246)へ向けられたこの質問には大きな意味がある。
マテリアルを注ぎ込む事で幻獣が大型化するのであれば、一体に大量のマテリアルを注ぎ込めば想像以上に大きくする事ができるのか。
ヴェルナーの脳裏にあったのは、怠惰王ビックマー・ザ・ヘカトンケイル。
体長が100メートル近い巨大なサイズであり、山であっても障害物にならない程である。かつて、要塞「ノアーラ・クンタウ」もビックマーの前では何もする事ができなかった。この時、ヴェルナーは屈辱とも言える辛酸を味わっていた。
イクタサによれば、ヴェルナーの問いは可能。
神殿に貯えられたマテリアルをすべて使えば、時間制限はあるものの、大幻獣であれば大型化ができるようだ。そして、もしその大幻獣をビックマーにぶつける事ができれば、正負のマテリアルが衝突。うまくいけばビックマーを弱体化させられる。
対ビックマーにおける最終決戦兵器――ラメトク。
因縁の対決に終止符を打つことができるのだろうか。
●
「ラメトクなんだけどね。ちょっと問題があるんだ」
チュプ大神殿を訪れていたイクタサは、ヴェルナーへそう話し掛けてきた。
最終決戦兵器に問題がある。
ヴェルナーもその一言を黙って聞き流す訳にはいかない。
「何でしょう?」
「今のままだと大幻獣であっても100メートル近い大きさにするのは難しいんだ。出力を上げる必要がある」
「出力?」
イクタサによれば、神殿そのものがラメトクというシステムだが、大幻獣をビックマーサイズにする為には大量のマテリアルを流し込む必要がある。その為には、マテリアルの流れを制御しているシステムを一時的に解放しなければならないようだ。
「制御装置を解放しなければ、マテリアルの流れを自動的にカットされてしまうはずだよ。それだと100メートルを超えるサイズにはできない」
「そうでしたか」
「規定外の事をしようというのだから、仕方ないね。それにそれだけ大きくなれば、ラメトクも壊れるはずだよ。一発の大博打にかけるなら、障害は排除しておいた方がいい。違うかい?」
「正論ですね。では、その制御を外さなければなりません。その制御はどちらで?」
ヴェルナーの当然とも言える質問。
それに対してイクタサは一呼吸を置いた後に答えた。
「アルナス湖の北に古城がある。その地下にラメトクの制御室があるよ」
「一つよろしいですか? やっぱりそこにも……」
言い掛けたヴェルナーの言葉を遮って、イクタサは即答する。
「あるよ。もちろんね」
●
アルナス湖北の古城。
かつてBADDASとよばれた怠惰が根城としていた場所だ。
まさかBADDASもこの場所に対ビックマーの重要施設が眠っていたとは思わなかったようだ。
「誇りっぽい場所ですね。灯りを持参して正解でした」
古城の地下へと続く階段を発見したヴェルナーは、ハンターと共に一段ずつ降りていく。
ここから先、何が潜んでいるのかは分からない。
警戒しながら進む他無い。
「大神殿のように謎が明かされれば、周囲に灯りが灯るかもしれませんね」
そう言いながら、手にしていたランプを前に突き出して灯りを左右に向けるヴェルナー。
数本の柱はあるものの、怪しい影は発見できない。
だが、左右に振った事でハンターの一人がある物に気付いた。
「あれは……石版?」
ハンターが見つけたのは、部屋に中央にある大きめの石版だった。
積もっていた砂埃を払うと、そこには大神殿同様古代文明の文字が浮かび上がる。
「ありましたね。またですか」
ヴェルナーはランプで文字を照らしながら、ゆっくりと読み上げる。
『風=SATE 闇=RA・ 天=NENN 明日=KATSU
senn sasase taseme
rukushi ka・
戦士は民を導く。目の変え、足を踏み出せ』
「これはまた難解ですね。イクタサさんを崇めた方々もそれだけ警戒されていたのかもしれませんが……」
ヴェルナーはため息をついた。
ラメトクは歪虚から見れば破壊したい存在だ。
ビックマーがラメトクを知っていたかは不明だが、何かを察していたのかもしれない。だからこそ、ロックワンやラロッカ一味にチュプ大神殿を探させ、青木燕太郎に大神殿の地下入り口を破壊させた。
今回の調査も歪虚が察知していたとしたら――。
万一を考えて地上に護衛のハンターを配備してきたのだが、彼らの為にもこの謎を早々に解き明かす必要があるだろう。
「ふふ、皆さんを頼りにしていますよ」
ランプの明かりが灯る中、ヴェルナーは笑みを見せた。
幻獣にマテリアルを注ぎ混み強化、大型化する事が可能だという。
かつて古代文明の時代に幻獣が歪虚と戦った際、幻獣の力を引き出したとされる施設であった。
チュプ大神殿と共に封印されていたラメトクであったが、ハンターがその封印を開く事に成功。
これで対歪虚戦に利用できると色めきだったハンター達であったが、ここでヴェルナー・ブロスフェルト(kz0032)がある提案を行った。
「このラメトクのマテリアルを一体の幻獣に注ぎ込む事は可能でしょうか?」
四大精霊の一人、イクタサ(kz0246)へ向けられたこの質問には大きな意味がある。
マテリアルを注ぎ込む事で幻獣が大型化するのであれば、一体に大量のマテリアルを注ぎ込めば想像以上に大きくする事ができるのか。
ヴェルナーの脳裏にあったのは、怠惰王ビックマー・ザ・ヘカトンケイル。
体長が100メートル近い巨大なサイズであり、山であっても障害物にならない程である。かつて、要塞「ノアーラ・クンタウ」もビックマーの前では何もする事ができなかった。この時、ヴェルナーは屈辱とも言える辛酸を味わっていた。
イクタサによれば、ヴェルナーの問いは可能。
神殿に貯えられたマテリアルをすべて使えば、時間制限はあるものの、大幻獣であれば大型化ができるようだ。そして、もしその大幻獣をビックマーにぶつける事ができれば、正負のマテリアルが衝突。うまくいけばビックマーを弱体化させられる。
対ビックマーにおける最終決戦兵器――ラメトク。
因縁の対決に終止符を打つことができるのだろうか。
●
「ラメトクなんだけどね。ちょっと問題があるんだ」
チュプ大神殿を訪れていたイクタサは、ヴェルナーへそう話し掛けてきた。
最終決戦兵器に問題がある。
ヴェルナーもその一言を黙って聞き流す訳にはいかない。
「何でしょう?」
「今のままだと大幻獣であっても100メートル近い大きさにするのは難しいんだ。出力を上げる必要がある」
「出力?」
イクタサによれば、神殿そのものがラメトクというシステムだが、大幻獣をビックマーサイズにする為には大量のマテリアルを流し込む必要がある。その為には、マテリアルの流れを制御しているシステムを一時的に解放しなければならないようだ。
「制御装置を解放しなければ、マテリアルの流れを自動的にカットされてしまうはずだよ。それだと100メートルを超えるサイズにはできない」
「そうでしたか」
「規定外の事をしようというのだから、仕方ないね。それにそれだけ大きくなれば、ラメトクも壊れるはずだよ。一発の大博打にかけるなら、障害は排除しておいた方がいい。違うかい?」
「正論ですね。では、その制御を外さなければなりません。その制御はどちらで?」
ヴェルナーの当然とも言える質問。
それに対してイクタサは一呼吸を置いた後に答えた。
「アルナス湖の北に古城がある。その地下にラメトクの制御室があるよ」
「一つよろしいですか? やっぱりそこにも……」
言い掛けたヴェルナーの言葉を遮って、イクタサは即答する。
「あるよ。もちろんね」
●
アルナス湖北の古城。
かつてBADDASとよばれた怠惰が根城としていた場所だ。
まさかBADDASもこの場所に対ビックマーの重要施設が眠っていたとは思わなかったようだ。
「誇りっぽい場所ですね。灯りを持参して正解でした」
古城の地下へと続く階段を発見したヴェルナーは、ハンターと共に一段ずつ降りていく。
ここから先、何が潜んでいるのかは分からない。
警戒しながら進む他無い。
「大神殿のように謎が明かされれば、周囲に灯りが灯るかもしれませんね」
そう言いながら、手にしていたランプを前に突き出して灯りを左右に向けるヴェルナー。
数本の柱はあるものの、怪しい影は発見できない。
だが、左右に振った事でハンターの一人がある物に気付いた。
「あれは……石版?」
ハンターが見つけたのは、部屋に中央にある大きめの石版だった。
積もっていた砂埃を払うと、そこには大神殿同様古代文明の文字が浮かび上がる。
「ありましたね。またですか」
ヴェルナーはランプで文字を照らしながら、ゆっくりと読み上げる。
『風=SATE 闇=RA・ 天=NENN 明日=KATSU
senn sasase taseme
rukushi ka・
戦士は民を導く。目の変え、足を踏み出せ』
「これはまた難解ですね。イクタサさんを崇めた方々もそれだけ警戒されていたのかもしれませんが……」
ヴェルナーはため息をついた。
ラメトクは歪虚から見れば破壊したい存在だ。
ビックマーがラメトクを知っていたかは不明だが、何かを察していたのかもしれない。だからこそ、ロックワンやラロッカ一味にチュプ大神殿を探させ、青木燕太郎に大神殿の地下入り口を破壊させた。
今回の調査も歪虚が察知していたとしたら――。
万一を考えて地上に護衛のハンターを配備してきたのだが、彼らの為にもこの謎を早々に解き明かす必要があるだろう。
「ふふ、皆さんを頼りにしていますよ」
ランプの明かりが灯る中、ヴェルナーは笑みを見せた。
リプレイ本文
古代文明との邂逅。
それは、突然であった。
チュプ大神殿の覚醒――そして、『ラメトク』の発見。
この発見において、部族会議は対ビックマー戦の糸口を見つける事ができた。
だが、完全ではない。
対ビックマーを倒すには、ラメトクの制御を外す必要がある。
未来への勝利を願い、ハンター達はアルナス湖北にある古城へと赴いた。
「なかなか回りくどい事になっているようだ」
エアルドフリス(ka1856)は、ハンディLEDライトで前方を照らし出す。
古城の地下に広場のような空間。
ライトの先に照らし出されたのは、巨大な石版であった。
チュプ大神殿での調査について話は聞いていたが、実際に現場で見るのとは状況が異なる。
石造りの城の地下で、本当にラメトクなる施設の制御装置があるようには見えない。
「そのようですね。古代文明の方々は、私達が悩むのを想像されていたのでしょうか」
ハンターに同行していたヴェルナー・ブロスフェルト(kz0032)は、思わずため息をついた。
チュプ大神殿でハンター達が一つ一つ謎を解いてきたおかげで、ラメトクの発見をかなり早い段階で見つける事ができた。
だが、ヴェルナーはそれでも不安要素があるという。
「ご存じだと思いますが、なるべく急いだ方が良いようです。チュプ大神殿が歪虚に攻撃されたのは、歪虚がラメトクについて危険と判断したからでしょう。であれば、ここを歪虚が襲撃してくる恐れもあります」
ヴェルナーの指摘はハンター達も理解していた。
チュプ大神殿にあった地下入り口を破壊した青木 燕太郎(kz0166)。今まで攻撃をして来なかったが、突如攻撃してきた事実。そこから何者かの指示を受けていたと仮定できる。
そう考えるならば、指示した者はラメトク破壊を目論んでいた可能性がある。もし、そうであるなら、この古城も攻撃ターゲットになる。そう考えて地上に防衛班を配置しているのだが――。
「制御室……とは、なかなかに厳重なの。それだけ力を持っているという事、ですね。
ですが、また謎解きなの……ですね」
桜憐りるか(ka3748)は、ヴェルナーの傍らで周囲を見回した。
チュプ大神殿とは異なり、周囲の壁は石そのもの。
また床に痕跡らしきものは発見できない。仮に古代文明の人々がここで何かを行ってラメトクを制御していたとするならば、何らかの痕跡があると考えていた。
しかし、痕跡らしき物が無いのはチュプ大神殿と同じ。
似た仕掛けで稼働するかもしれない。
「ふふ、そうですね。また謎解きです。本当に古代文明の方々は悪戯好きです。でも、もしかしたら……」
「……? ヴェルナーさん、何か分かったのですか?」
意味ありげな発言のヴェルナーにりるかは首を傾げる。
それに対してヴェルナーはりるかへ優しい笑顔を向ける。
「いえ。謎解きはさっぱりです。ですが、今までの謎解きで気になった事があります。それもきっとここの謎を解けばはっきりするかもしれません」
「私は記録する。古代遺跡の謎。その先にあるものを」
雨を告げる鳥(ka6258)は、今回の『謎』に向かって膝を折った。
雨を告げる鳥の灯火の水晶球が照らし出すのは一枚の石版だ。
そこには、このように刻まれている。
『風=SATE 闇=RA・ 天=NENN 明日=KATSU
senn sasase taseme
rukushi ka・
戦士は民を導く。目を変え、足を踏み出せ』
新たな謎。
今までの謎とは異なる傾向を感じる。
「厄介と言えば厄介、か。特にこの『・』がな」
「おや、『・』が気になりますか」
八島 陽(ka1442)の指摘にヴェルナーが興味を示した。
『・』が厄介とはどういう事なのだろうか。
「ああ。おそらくこの『・』は状況によって意味を変える」
「確かに解読する際に『・』の存在は厄介になる。それによって誤った解釈となるかもしれないからな」
エアルドフリスは、イヌワシの『アナム』を飛ばしてファミリアズアイで周辺を調査していた。
今の所天井や柱に異変は感じられない。
もし、異変があるとすればこの石版の謎を解いた後なのかもしれない。
「謎解き、お役に立てなくて申し訳ないの……」
りるかも必死に考えているものの、謎の答えらしき物が浮かぶ気配もない。
しょんぼりするりるか。そんなりるかの肩にヴェルナーはそっと手を置いた。
「いいえ。りるかさんはりるかさんなりに貢献されています。気を落とす事はありません。できる事を見つければ良いのです」
「ヴェルナーさん、ありがとうございます」
ヴェルナーの励ましで、りるかの顔に元気が戻ってくる。
やはりヴェルナーは、りるかにとって元気の素のようだ。
●
「私は回答する。どうやら古代文字の規則は、リアルブルーのとある言語と似た規則のようだ」
雨を告げる鳥は、自らの推論を口にし始めた。
推論ではあるが、雨を告げる鳥には確固たる裏付けを持っていた。
「基本的には単純な置換である」
「置換ですか」
「ああ。まず、このメッセージを三つのブロックに分けて考えるんだ」
ヴェルナーの言葉に続け、陽が石版のメッセージを指し示す。
A:風=SATE 闇=RA・ 天=NENN 明日=KATSU
B:senn sasase taseme
rukushi ka・
C:戦士は民を導く。目を変え、足を踏み出せ
「次にAの文字を置き換えるんだ」
「ああ、それがリアルブルーのとある言語ですか」
「私は示す。その言語とは、五十音であると」
雨を告げる鳥がAの文字を変換する。
正確にはローマ字表記にされていた物を平仮名へと変換する。
A’:かぜ=さて やみ=ら・ てん=ねん あす=かつ
「あ。東方にもあります。五十音」
りるかにも馴染みがある言葉が現れた。
だが、この置き換えにどのような意味があるのかは、りるかにも分かっていない。
「濁音を清音に直すと『・』『ん』を除き、すべて母音はそのままだ」
「そうか。母音だけはそのままで、子音だけが置き換わっているのか」
エアルドフリスは陽の説明で合点がいったようだ。
つまり、AとA’は子音だけが法則に従ってずらされていると考えられる。
「私は現す。この法則を」
事前に用意していた資料を雨を告げる鳥が広げる。
そこには平仮名の五十音が書き記されていた。
A I U E O
あいうえお
K かきくけこ
S さしすせそ
T たちつてと
N なにぬねの
H はひふへほ
M まみむめも
Y や・ゆ・よ
R らりるれろ
W わ・・・を
ん=NN
「この表からA’を辿れば良い訳か。『かぜ』の濁点を清音に直せば、『かせ』。これが『さて』になるのだから」
「あ……表で見れば『かせ』は『さて』の、すぐ下にあります」
エアルドフリスに続けて、りるかが声を上げる。
どうやら、法則とは五十音表の下を見れば良いようだ。
「『・』が厄介というのは?」
「表の本来空白の部分が『・』に当たるって事だ。つまり、『・』が現す言葉は、『み』、『め』、『り』、『る』、『れ』のどれかって事だ」
ヴェルナーの問いに陽が答える。
『・』は五種類の意味を持つ事になる。
おそらく文脈から正しい言葉を選ぶ他ないのだが――。
「私は答える。この法則に従ってBを変換すれば、『剣 掲げ 叫べ 勇気あれ』もしくは『剣 掲げ 叫べ 勇気あり』と」
「あ……どちらとも考えられますね」
りるかは、雨を告げる鳥の言葉を聞いて首を捻る。
複数の意味が存在する。仮にどちらでも良いとしても、おそらくこれで終わりではない。その上で何かをしなければならない。
何故なら、石版にはCのブロックが残されているからだ。
「このCの解釈が難しいんだ。オレはAとBの暗号文字が大文字と小文字って所が気になってる。実はAが制御装置の稼働モードを示しているんじゃないかって思ってる。
Cの『目を変えて』というのは、稼働モードを変更しろって事なんじゃないか?」
陽は独自の判断で推論を述べた。
正確にはチュプ大神殿の謎と同様、対応する属性魔法を石版に撃てば稼働モードが変えられるのではないかと考えていた。
風=通常モード
闇=セーフモード
天=フル稼働モード=光属性?
明日=解放モード=無属性?
今までの謎も属性魔法が関係していた。今回も関与していても不思議ではない。
「私は思案する。Cの言葉に従った行動を取った者が『戦士』となり、新たなる導く者となる。
そして、目を変える。即ち。ランプの明かりを消す事で、『戦士』にのみ見える道ができるのではないか」
雨を告げる鳥は、Cのブロックを言葉通りに行動する事を提案した。
そう難しい事をしろと言っている訳ではない。そもそも今まで解いた謎も実践あるのみだ。
こうしている間にも城の外にいるハンター達の身に危険が及んでいなければ良いのだが……。
「では、早速試そう。剣を持っているのはオレだけだな」
「ならば、私は民役をやろう。後ろに立って踏み出してみるか」
魔導符剣「インストーラー」を手にした陽の背後に、エアルドフリス立った。
陽はインストーラーを天へ掲げる。
それを受け、エアルドフリスが一歩足を踏み出す。
「勇気あれ! ……どうだ?」
陽はメッセージの通りに叫んだ。
だが、周囲を見回してみてもチュプ大神殿のように壁が光るような変化は見られない。「何も、起こりませんね」
「私は否定する。変化は起こっている。明かりを消すといい」
雨を告げる鳥の言葉に従って、ハンターは手持ちの明かりを消し始める。
すると、石版の前に薄く光る空間が確認できる。
剣を掲げる前までは存在しなかった変化だ。
「アナムとフィスの目からも存在を視認できる。間違いない。変化は現れた。
そして……解放モードが無属性だったな」
エアルドフリスはマジックアローを空間に打ち込んだ。
しかし、マジックアローは空間に吸い込まれただけで待っても何も起こらない。
「ダメか」
「制御室であればラメトクを何らかの形で制御できるのは間違いありません。その見方は正しいはずです。
『勇気あれ』……勇気、ですか」
ヴェルナーは冷静に分析する。
チュプ大神殿では周囲の壁が青白く光り始めた。
おそらく、ここもシステムの一部であれば同じような現象が発生するはずだ。
後で分かった事だが、四大精霊の一人イクタサ(kz0246)によればこの古城の制御室は弁のような役割である為、古城の謎を解けば制御を解放できるようだ。
「でも、何をすれば? ……あ、天だから『10』回魔法を撃ち込む、とかでしょうか?」
「今までの謎を考えれば何らかの属性攻撃を使うと考えて良いと思います。回数の可能性もありますが、もっと単純に考えて良いのかもしれません」
りるかの予想にヴェルナーは首を振る。
だが、魔法を放つという線は今までの謎に共通している。
考え方は間違っていないはずだ。
「私は提案する。属性魔法の『実践』を行うべき」
雨を告げる鳥は白い空間にシャドウブリッドを放った。
黒い塊が空間へ衝突。
次の瞬間、空間は闇の中で黒へと変色する。
――変化。それは、残された属性魔法の可能性だ。
「イクタサは勇気を司る精霊。そして、風と闇の精霊でもある。
闇で変化が訪れたという事は……次は風か」
エアルドフリスはスタッフ「アライアンス」を掲げ、ウィンドスラッシュを叩き込む。
鋭い風が黒い空間を襲った。
風の属性攻撃――この瞬間、空間は黒と青が入り交じり、弾け飛んだ。
「さて、これで装置がやる気を出してくれると良いんだがね」
アライアンスを肩にかけ、変化を待つエアルドフリス。
その言葉に反応したのか、周囲の壁と柱に青白い文様が浮かび上がる。
「きた!」
陽は周囲を見回す。
青白い光が闇を照らし、ハンターが持っていた照明も不要になるぐらい明るくなった。
まさしくチュプ大神殿と同じ変化だ。
「お見事です。皆さんのおかげで装置が稼働したようですね。これでビックマーと戦う手段を確保する事ができました」
ヴェルナーはハンターへ感謝の言葉を述べた。
ついにあの巨大な怠惰王を葬る手段を、部族会議は手に入れた事になる。
●
「あの……」
周囲の壁が光る中、りるかはヴェルナーに問いかけた。
「なんでしょう?」
「先程、『気になる事がある』と、言われていました。あれは、何でしょう?」
りるかは、ヴェルナーが謎について口にした言葉を覚えていた。
気になる事。
その一言をりるかは覚えていた。
「私も要望する。その『気になる事』を教えて欲しい」
雨を告げる鳥もヴェルナーの言葉を覚えていた。
古代文明の探求を続ける雨を告げる鳥。
古代文明に秘められた謎を解き明かす為にも、様々な人物の見解を知っておいて損はない。
熱心な二人の前にヴェルナーは小さく頷いた。
「構いません。ですが、あくまでも私個人の推論とお考え下さい。
チュプ大神殿とこの古城を見てきました。その中で、少々気になる点がありました。
たとえば、チュプ大神殿が目覚めた後。壁の前に立つだけで勝手に道ができましたね」
「ああ。あの自動ドアみたいな奴か」
陽は大神殿の様子を思い返した。
壁の前に立つ事で壁の石が自動で組み変わり、扉の如く開く仕掛けだ。
古代文明の技術が使われているのだろうが、陽の言う通り『自動ドア』と呼ぶに相応しい。
「ええ。あの自動ドアは私がリアルブルーへ訪れた時に拝見しました。
そして、古城の石版にあった『平仮名』。
もしかしたら、チュプ大神殿と古城が作られる際にリアルブルーの何かが関与していたのではないでしょうか」
「私は答える。可能性は、否定できない」
ヴェルナーの言葉に雨を告げる鳥も否定する要素はない。
謎だけではなく、大神殿の施設からもクリムゾンウェストにはなかった思想が感じられる。文明と共に失われた思想かもしれないが。
「仮に古代文明に関わっていたとすれば、サルヴァトーレ・ロッソのように覚醒者がその時代に転移していた事になる」
エアルドフリスは、これまでの事を思い返してみる。
サルヴァトーレ・ロッソが大規模な転移ではあったが、それ以前にも転移があったという。それならば、何らかの理由で古代文明と接触したリアルブルーの者がいても不思議ではない。
「はい。そうであれば、とても浪漫のある話です。次に古代文明の謎解きがある時は、リアルブルーの事を知っておいた方が良いかもしれませんね」
そう言ったヴェルナーの笑顔は、どこか謎解きを楽しみにしているように感じられた。
それは、突然であった。
チュプ大神殿の覚醒――そして、『ラメトク』の発見。
この発見において、部族会議は対ビックマー戦の糸口を見つける事ができた。
だが、完全ではない。
対ビックマーを倒すには、ラメトクの制御を外す必要がある。
未来への勝利を願い、ハンター達はアルナス湖北にある古城へと赴いた。
「なかなか回りくどい事になっているようだ」
エアルドフリス(ka1856)は、ハンディLEDライトで前方を照らし出す。
古城の地下に広場のような空間。
ライトの先に照らし出されたのは、巨大な石版であった。
チュプ大神殿での調査について話は聞いていたが、実際に現場で見るのとは状況が異なる。
石造りの城の地下で、本当にラメトクなる施設の制御装置があるようには見えない。
「そのようですね。古代文明の方々は、私達が悩むのを想像されていたのでしょうか」
ハンターに同行していたヴェルナー・ブロスフェルト(kz0032)は、思わずため息をついた。
チュプ大神殿でハンター達が一つ一つ謎を解いてきたおかげで、ラメトクの発見をかなり早い段階で見つける事ができた。
だが、ヴェルナーはそれでも不安要素があるという。
「ご存じだと思いますが、なるべく急いだ方が良いようです。チュプ大神殿が歪虚に攻撃されたのは、歪虚がラメトクについて危険と判断したからでしょう。であれば、ここを歪虚が襲撃してくる恐れもあります」
ヴェルナーの指摘はハンター達も理解していた。
チュプ大神殿にあった地下入り口を破壊した青木 燕太郎(kz0166)。今まで攻撃をして来なかったが、突如攻撃してきた事実。そこから何者かの指示を受けていたと仮定できる。
そう考えるならば、指示した者はラメトク破壊を目論んでいた可能性がある。もし、そうであるなら、この古城も攻撃ターゲットになる。そう考えて地上に防衛班を配置しているのだが――。
「制御室……とは、なかなかに厳重なの。それだけ力を持っているという事、ですね。
ですが、また謎解きなの……ですね」
桜憐りるか(ka3748)は、ヴェルナーの傍らで周囲を見回した。
チュプ大神殿とは異なり、周囲の壁は石そのもの。
また床に痕跡らしきものは発見できない。仮に古代文明の人々がここで何かを行ってラメトクを制御していたとするならば、何らかの痕跡があると考えていた。
しかし、痕跡らしき物が無いのはチュプ大神殿と同じ。
似た仕掛けで稼働するかもしれない。
「ふふ、そうですね。また謎解きです。本当に古代文明の方々は悪戯好きです。でも、もしかしたら……」
「……? ヴェルナーさん、何か分かったのですか?」
意味ありげな発言のヴェルナーにりるかは首を傾げる。
それに対してヴェルナーはりるかへ優しい笑顔を向ける。
「いえ。謎解きはさっぱりです。ですが、今までの謎解きで気になった事があります。それもきっとここの謎を解けばはっきりするかもしれません」
「私は記録する。古代遺跡の謎。その先にあるものを」
雨を告げる鳥(ka6258)は、今回の『謎』に向かって膝を折った。
雨を告げる鳥の灯火の水晶球が照らし出すのは一枚の石版だ。
そこには、このように刻まれている。
『風=SATE 闇=RA・ 天=NENN 明日=KATSU
senn sasase taseme
rukushi ka・
戦士は民を導く。目を変え、足を踏み出せ』
新たな謎。
今までの謎とは異なる傾向を感じる。
「厄介と言えば厄介、か。特にこの『・』がな」
「おや、『・』が気になりますか」
八島 陽(ka1442)の指摘にヴェルナーが興味を示した。
『・』が厄介とはどういう事なのだろうか。
「ああ。おそらくこの『・』は状況によって意味を変える」
「確かに解読する際に『・』の存在は厄介になる。それによって誤った解釈となるかもしれないからな」
エアルドフリスは、イヌワシの『アナム』を飛ばしてファミリアズアイで周辺を調査していた。
今の所天井や柱に異変は感じられない。
もし、異変があるとすればこの石版の謎を解いた後なのかもしれない。
「謎解き、お役に立てなくて申し訳ないの……」
りるかも必死に考えているものの、謎の答えらしき物が浮かぶ気配もない。
しょんぼりするりるか。そんなりるかの肩にヴェルナーはそっと手を置いた。
「いいえ。りるかさんはりるかさんなりに貢献されています。気を落とす事はありません。できる事を見つければ良いのです」
「ヴェルナーさん、ありがとうございます」
ヴェルナーの励ましで、りるかの顔に元気が戻ってくる。
やはりヴェルナーは、りるかにとって元気の素のようだ。
●
「私は回答する。どうやら古代文字の規則は、リアルブルーのとある言語と似た規則のようだ」
雨を告げる鳥は、自らの推論を口にし始めた。
推論ではあるが、雨を告げる鳥には確固たる裏付けを持っていた。
「基本的には単純な置換である」
「置換ですか」
「ああ。まず、このメッセージを三つのブロックに分けて考えるんだ」
ヴェルナーの言葉に続け、陽が石版のメッセージを指し示す。
A:風=SATE 闇=RA・ 天=NENN 明日=KATSU
B:senn sasase taseme
rukushi ka・
C:戦士は民を導く。目を変え、足を踏み出せ
「次にAの文字を置き換えるんだ」
「ああ、それがリアルブルーのとある言語ですか」
「私は示す。その言語とは、五十音であると」
雨を告げる鳥がAの文字を変換する。
正確にはローマ字表記にされていた物を平仮名へと変換する。
A’:かぜ=さて やみ=ら・ てん=ねん あす=かつ
「あ。東方にもあります。五十音」
りるかにも馴染みがある言葉が現れた。
だが、この置き換えにどのような意味があるのかは、りるかにも分かっていない。
「濁音を清音に直すと『・』『ん』を除き、すべて母音はそのままだ」
「そうか。母音だけはそのままで、子音だけが置き換わっているのか」
エアルドフリスは陽の説明で合点がいったようだ。
つまり、AとA’は子音だけが法則に従ってずらされていると考えられる。
「私は現す。この法則を」
事前に用意していた資料を雨を告げる鳥が広げる。
そこには平仮名の五十音が書き記されていた。
A I U E O
あいうえお
K かきくけこ
S さしすせそ
T たちつてと
N なにぬねの
H はひふへほ
M まみむめも
Y や・ゆ・よ
R らりるれろ
W わ・・・を
ん=NN
「この表からA’を辿れば良い訳か。『かぜ』の濁点を清音に直せば、『かせ』。これが『さて』になるのだから」
「あ……表で見れば『かせ』は『さて』の、すぐ下にあります」
エアルドフリスに続けて、りるかが声を上げる。
どうやら、法則とは五十音表の下を見れば良いようだ。
「『・』が厄介というのは?」
「表の本来空白の部分が『・』に当たるって事だ。つまり、『・』が現す言葉は、『み』、『め』、『り』、『る』、『れ』のどれかって事だ」
ヴェルナーの問いに陽が答える。
『・』は五種類の意味を持つ事になる。
おそらく文脈から正しい言葉を選ぶ他ないのだが――。
「私は答える。この法則に従ってBを変換すれば、『剣 掲げ 叫べ 勇気あれ』もしくは『剣 掲げ 叫べ 勇気あり』と」
「あ……どちらとも考えられますね」
りるかは、雨を告げる鳥の言葉を聞いて首を捻る。
複数の意味が存在する。仮にどちらでも良いとしても、おそらくこれで終わりではない。その上で何かをしなければならない。
何故なら、石版にはCのブロックが残されているからだ。
「このCの解釈が難しいんだ。オレはAとBの暗号文字が大文字と小文字って所が気になってる。実はAが制御装置の稼働モードを示しているんじゃないかって思ってる。
Cの『目を変えて』というのは、稼働モードを変更しろって事なんじゃないか?」
陽は独自の判断で推論を述べた。
正確にはチュプ大神殿の謎と同様、対応する属性魔法を石版に撃てば稼働モードが変えられるのではないかと考えていた。
風=通常モード
闇=セーフモード
天=フル稼働モード=光属性?
明日=解放モード=無属性?
今までの謎も属性魔法が関係していた。今回も関与していても不思議ではない。
「私は思案する。Cの言葉に従った行動を取った者が『戦士』となり、新たなる導く者となる。
そして、目を変える。即ち。ランプの明かりを消す事で、『戦士』にのみ見える道ができるのではないか」
雨を告げる鳥は、Cのブロックを言葉通りに行動する事を提案した。
そう難しい事をしろと言っている訳ではない。そもそも今まで解いた謎も実践あるのみだ。
こうしている間にも城の外にいるハンター達の身に危険が及んでいなければ良いのだが……。
「では、早速試そう。剣を持っているのはオレだけだな」
「ならば、私は民役をやろう。後ろに立って踏み出してみるか」
魔導符剣「インストーラー」を手にした陽の背後に、エアルドフリス立った。
陽はインストーラーを天へ掲げる。
それを受け、エアルドフリスが一歩足を踏み出す。
「勇気あれ! ……どうだ?」
陽はメッセージの通りに叫んだ。
だが、周囲を見回してみてもチュプ大神殿のように壁が光るような変化は見られない。「何も、起こりませんね」
「私は否定する。変化は起こっている。明かりを消すといい」
雨を告げる鳥の言葉に従って、ハンターは手持ちの明かりを消し始める。
すると、石版の前に薄く光る空間が確認できる。
剣を掲げる前までは存在しなかった変化だ。
「アナムとフィスの目からも存在を視認できる。間違いない。変化は現れた。
そして……解放モードが無属性だったな」
エアルドフリスはマジックアローを空間に打ち込んだ。
しかし、マジックアローは空間に吸い込まれただけで待っても何も起こらない。
「ダメか」
「制御室であればラメトクを何らかの形で制御できるのは間違いありません。その見方は正しいはずです。
『勇気あれ』……勇気、ですか」
ヴェルナーは冷静に分析する。
チュプ大神殿では周囲の壁が青白く光り始めた。
おそらく、ここもシステムの一部であれば同じような現象が発生するはずだ。
後で分かった事だが、四大精霊の一人イクタサ(kz0246)によればこの古城の制御室は弁のような役割である為、古城の謎を解けば制御を解放できるようだ。
「でも、何をすれば? ……あ、天だから『10』回魔法を撃ち込む、とかでしょうか?」
「今までの謎を考えれば何らかの属性攻撃を使うと考えて良いと思います。回数の可能性もありますが、もっと単純に考えて良いのかもしれません」
りるかの予想にヴェルナーは首を振る。
だが、魔法を放つという線は今までの謎に共通している。
考え方は間違っていないはずだ。
「私は提案する。属性魔法の『実践』を行うべき」
雨を告げる鳥は白い空間にシャドウブリッドを放った。
黒い塊が空間へ衝突。
次の瞬間、空間は闇の中で黒へと変色する。
――変化。それは、残された属性魔法の可能性だ。
「イクタサは勇気を司る精霊。そして、風と闇の精霊でもある。
闇で変化が訪れたという事は……次は風か」
エアルドフリスはスタッフ「アライアンス」を掲げ、ウィンドスラッシュを叩き込む。
鋭い風が黒い空間を襲った。
風の属性攻撃――この瞬間、空間は黒と青が入り交じり、弾け飛んだ。
「さて、これで装置がやる気を出してくれると良いんだがね」
アライアンスを肩にかけ、変化を待つエアルドフリス。
その言葉に反応したのか、周囲の壁と柱に青白い文様が浮かび上がる。
「きた!」
陽は周囲を見回す。
青白い光が闇を照らし、ハンターが持っていた照明も不要になるぐらい明るくなった。
まさしくチュプ大神殿と同じ変化だ。
「お見事です。皆さんのおかげで装置が稼働したようですね。これでビックマーと戦う手段を確保する事ができました」
ヴェルナーはハンターへ感謝の言葉を述べた。
ついにあの巨大な怠惰王を葬る手段を、部族会議は手に入れた事になる。
●
「あの……」
周囲の壁が光る中、りるかはヴェルナーに問いかけた。
「なんでしょう?」
「先程、『気になる事がある』と、言われていました。あれは、何でしょう?」
りるかは、ヴェルナーが謎について口にした言葉を覚えていた。
気になる事。
その一言をりるかは覚えていた。
「私も要望する。その『気になる事』を教えて欲しい」
雨を告げる鳥もヴェルナーの言葉を覚えていた。
古代文明の探求を続ける雨を告げる鳥。
古代文明に秘められた謎を解き明かす為にも、様々な人物の見解を知っておいて損はない。
熱心な二人の前にヴェルナーは小さく頷いた。
「構いません。ですが、あくまでも私個人の推論とお考え下さい。
チュプ大神殿とこの古城を見てきました。その中で、少々気になる点がありました。
たとえば、チュプ大神殿が目覚めた後。壁の前に立つだけで勝手に道ができましたね」
「ああ。あの自動ドアみたいな奴か」
陽は大神殿の様子を思い返した。
壁の前に立つ事で壁の石が自動で組み変わり、扉の如く開く仕掛けだ。
古代文明の技術が使われているのだろうが、陽の言う通り『自動ドア』と呼ぶに相応しい。
「ええ。あの自動ドアは私がリアルブルーへ訪れた時に拝見しました。
そして、古城の石版にあった『平仮名』。
もしかしたら、チュプ大神殿と古城が作られる際にリアルブルーの何かが関与していたのではないでしょうか」
「私は答える。可能性は、否定できない」
ヴェルナーの言葉に雨を告げる鳥も否定する要素はない。
謎だけではなく、大神殿の施設からもクリムゾンウェストにはなかった思想が感じられる。文明と共に失われた思想かもしれないが。
「仮に古代文明に関わっていたとすれば、サルヴァトーレ・ロッソのように覚醒者がその時代に転移していた事になる」
エアルドフリスは、これまでの事を思い返してみる。
サルヴァトーレ・ロッソが大規模な転移ではあったが、それ以前にも転移があったという。それならば、何らかの理由で古代文明と接触したリアルブルーの者がいても不思議ではない。
「はい。そうであれば、とても浪漫のある話です。次に古代文明の謎解きがある時は、リアルブルーの事を知っておいた方が良いかもしれませんね」
そう言ったヴェルナーの笑顔は、どこか謎解きを楽しみにしているように感じられた。
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相談卓 雨を告げる鳥(ka6258) エルフ|14才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2018/04/12 19:18:25 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/04/09 10:11:05 |