ゲスト
(ka0000)
少年を救出せよ
マスター:松尾京

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/12/13 07:30
- 完成日
- 2014/12/19 06:40
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●襲うもの
「ぐわぁっ!」
悲鳴と共に『それ』に襲われた男が木に叩きつけられる。
「大丈夫か!」
まわりの男たちが駆け寄るが、男は苦悶を浮かべるだけだ。
これで何人目か。
村の男たちが十人以上でかかっているのに、『それ』は傷一つなかった。
そこは、『それ』の縄張りだった。
奇妙に折れ曲がった雑木林の中……『それ』が縄張り作りをした結果だろう、そこだけが円形の綺麗な野原だった。
そしてその野原の中央に立つ、朽ちかけの大木――その頂上に、『それ』の巣はある。
男たちは、全員がけがを負い、血を流しながらも、その巣を遠くから注視する。
巣の中に――『それ』にさらわれた、村の幼い少年が捕らわれていた。
●禁忌
村のすぐ北に広がる山は、以前から忌避されていた。
過去に雑魔が出たとも言われているし……それに、ここ最近、その北の山の近くを、翼を持った巨大な禍々しい『何か』が飛んでいる、という目撃談があった。
そんなことから、山に近寄るものはなかった。
だがこの日。その山に一人、まだ幼い少年が踏み入っていた。
「ちょっとだけなら……。綺麗な花があるっていう話だもんね」
村の少年、ロイ。彼には想っている少女がいた。
家が近所なことからよく一緒に遊ぶ、マリという少女で……恋心というにはまだ幼い感情だったが、彼女の誕生日に、花輪を作ってプレゼントしようと思ったのだ。
農作業をする大人たちの話で聞いたことだが、雑魔がはじめて出現する以前は、村の人間も北の山をよく利用していたらしい。
そこには、東の森にはない品種の花があるのだとか。
よくはわからなかったが、つまりは見たことがない珍しい花があるということだろう。
それで少年はすぐに決心し、こっそりと山に入ったのだ。
そして、山中で間もなく、綺麗な花を見つけ、摘みはじめた……そんなときだった。
ばさ、という大きな羽音と共に、少年の体が宙に浮いた。
「え……?」
はじめ何が起こっているのかわからなかった。
見回して、ようやく巨大な『何か』が自分を掴んでいるのだとわかった。
それは、鷲だ。
いや、鷲であったもの……巨大化した、歪虚。
餌を見つけたというようなどう猛な瞳をした、凶悪な魔物であった。
「うっ、うわぁああーっ!」
少年は身動きも取れぬまま、大鷲の足に掴まれ、空に持ち上げられる。
大鷲は悠々と、この活きのいい餌を山の裏の雑木林――自身の縄張りへと運んだ。
それは、村の中にいた人からも、見える光景だった。
「なんてことだ……大きな鷲に、子供が、さらわれた」
「山の向こうに飛んでいったぞ! みんなで追うんだ!」
●大鷲
だが、歪虚は村人などにやられるほど、弱くはない。
縄張りまで追ってきた男たちだったが、縄張りを飛ぶ大鷲に、手も足も出なかった。
死人はまだ出ていない。だが、重傷を負って気を失っているものもいた。
全滅は、時間の問題だった。
それでも、諦めるわけにはいかない。
たとえ勝ち目がなくても、やつの気を引かねば、巣にいる少年――ロイが、捕食されてしまう。
「子供を――返せ」
うああっ、と声をあげながら、男は大鷲に正面から突っ込んだ。
●依頼
そのとき、ちょうど村の南に立ち寄ったハンターたちがいた。
そのハンターたちを見つけて、村の女が駆け寄ってきた。
彼女は、目に涙を浮かべていた。
「助けてください……子供が、子供が化け物に、さらわれたんです」
「ぐわぁっ!」
悲鳴と共に『それ』に襲われた男が木に叩きつけられる。
「大丈夫か!」
まわりの男たちが駆け寄るが、男は苦悶を浮かべるだけだ。
これで何人目か。
村の男たちが十人以上でかかっているのに、『それ』は傷一つなかった。
そこは、『それ』の縄張りだった。
奇妙に折れ曲がった雑木林の中……『それ』が縄張り作りをした結果だろう、そこだけが円形の綺麗な野原だった。
そしてその野原の中央に立つ、朽ちかけの大木――その頂上に、『それ』の巣はある。
男たちは、全員がけがを負い、血を流しながらも、その巣を遠くから注視する。
巣の中に――『それ』にさらわれた、村の幼い少年が捕らわれていた。
●禁忌
村のすぐ北に広がる山は、以前から忌避されていた。
過去に雑魔が出たとも言われているし……それに、ここ最近、その北の山の近くを、翼を持った巨大な禍々しい『何か』が飛んでいる、という目撃談があった。
そんなことから、山に近寄るものはなかった。
だがこの日。その山に一人、まだ幼い少年が踏み入っていた。
「ちょっとだけなら……。綺麗な花があるっていう話だもんね」
村の少年、ロイ。彼には想っている少女がいた。
家が近所なことからよく一緒に遊ぶ、マリという少女で……恋心というにはまだ幼い感情だったが、彼女の誕生日に、花輪を作ってプレゼントしようと思ったのだ。
農作業をする大人たちの話で聞いたことだが、雑魔がはじめて出現する以前は、村の人間も北の山をよく利用していたらしい。
そこには、東の森にはない品種の花があるのだとか。
よくはわからなかったが、つまりは見たことがない珍しい花があるということだろう。
それで少年はすぐに決心し、こっそりと山に入ったのだ。
そして、山中で間もなく、綺麗な花を見つけ、摘みはじめた……そんなときだった。
ばさ、という大きな羽音と共に、少年の体が宙に浮いた。
「え……?」
はじめ何が起こっているのかわからなかった。
見回して、ようやく巨大な『何か』が自分を掴んでいるのだとわかった。
それは、鷲だ。
いや、鷲であったもの……巨大化した、歪虚。
餌を見つけたというようなどう猛な瞳をした、凶悪な魔物であった。
「うっ、うわぁああーっ!」
少年は身動きも取れぬまま、大鷲の足に掴まれ、空に持ち上げられる。
大鷲は悠々と、この活きのいい餌を山の裏の雑木林――自身の縄張りへと運んだ。
それは、村の中にいた人からも、見える光景だった。
「なんてことだ……大きな鷲に、子供が、さらわれた」
「山の向こうに飛んでいったぞ! みんなで追うんだ!」
●大鷲
だが、歪虚は村人などにやられるほど、弱くはない。
縄張りまで追ってきた男たちだったが、縄張りを飛ぶ大鷲に、手も足も出なかった。
死人はまだ出ていない。だが、重傷を負って気を失っているものもいた。
全滅は、時間の問題だった。
それでも、諦めるわけにはいかない。
たとえ勝ち目がなくても、やつの気を引かねば、巣にいる少年――ロイが、捕食されてしまう。
「子供を――返せ」
うああっ、と声をあげながら、男は大鷲に正面から突っ込んだ。
●依頼
そのとき、ちょうど村の南に立ち寄ったハンターたちがいた。
そのハンターたちを見つけて、村の女が駆け寄ってきた。
彼女は、目に涙を浮かべていた。
「助けてください……子供が、子供が化け物に、さらわれたんです」
リプレイ本文
●大鷲の縄張り
村人に教えられた雑木林はすぐに見つかった。
ハンターたちはその中心を目指して疾駆する。
視界は悪い、が、ざざざざっ、と木々を抜けて走ると、葉の間からかすかにそれが見えた。
巨大な翼を持った影と、大木。そしてその上にいる、小さな男の子の姿。
「あれが、ロイ君ですね」
冷静さを保ちながらも、ベル(ka0738)は厳しい声で言う。
駆けながら、エリス・カルディコット(ka2572)も、自分の拳をぎゅっと握り込む。その体の周囲には蒼い炎が揺らめき、髪色も変化している。
「ええ……必ず助けましょうっ」
「もちろん、なのよ。きっと、すごくすごく、怖いなのよ……っ! 木の上に、ひとりぼっち。いつ殺されるかわからない、なんて」
愛馬マロン号に乗るモニカ(ka1736)は、風と色彩豊かな花びらの幻影を舞わせ、林を突き進む。
ダイ・ベルグロース(ka1769)は頷きながらも続けた。
「ああ、その通りだ……けど、村人の安全を守るのも大事だ」
ダイの言うとおり、縄張りの外にも、倒れている男たちがいた。鷲に立ち向かった、村の男たちだ。
碓氷 蒼(ka3643)は、それを確認しながらも全くひるむ様子を見せない。
「無論だよ。……さて、私はあの大きい方をやらせてもらうよ。手ごたえがある方が楽しいからね。村人のフォローと小さい方も、それぞれうまくやってくれるといい」
「もちろんですの。大鷲はモニカと蒼、村人の避難はベルとダイにまかせますので――小鷲は、颯とエリスでやりますわ!」
大鷲だけでなく、小鷲が飛び交うのも、既に見えていた。そこへ向けて、八劒 颯(ka1804)は機敏に動き出していた。
瞬間、ばさ、と木々を抜けて、ハンターたちの視界が開ける。
縄張りに入る前から、モニカはミュージカルノートを強く吹いていた。そして縄張りに入ると同時――空の巨大な影に、威嚇射撃を行った。
そこに、侵入者を察知して高々と飛んでいる大鷲がいた。
その禍々しい姿は、しかし近くをかすめた弾道に驚き、わなないている。
「威嚇はうまくいった、なのよっ! みんな、お願い、なのよっ!」
モニカが大鷲の対処を続けるため走ると、ハンターたちは散らばった。
モニカと同時に先頭を切って前に出たのは蒼だ。
一刻の猶予も許さない状況、それでも彼女は緊迫した戦いを前に、楽しげでさえある。
「さぁ諸君、楽しい楽しい戦争の時間だ。殲滅ついでに村人たちを救おうじゃないか」
大きな翼を見上げ、挑発するように巣に近づく。
左右に散るように、村人たちは倒れている。息はあるが動けないものも、やはり多い。その左側に飛び出すのは、ベルだ。
「俺は、こっちの人たちを助けます」
脚にマテリアルを集中し、超人的な移動力を発揮。風のような動きで人数が多い方へと即座へ動いた。
「悪いな、ベル君。それじゃあ、俺はこっちだ」
ダイは、反対側の村人へ向かった。危険そうな位置にいるものから、縄張りの外に出そうとする。
だが飛び交う小鷲が、鳴き声を上げながらダイに目を向けていた。
ただ、その前に、颯が立ちふさがっていた。
「颯におまかせですの!」
颯は誘導するように小鷲たちを引きつけながら、移動する。
「さぁ、あなたたちの相手はこちらですの! こっち、こっちですのよ!」
小鷲は颯に狙いをさだめ、はためいた。
エリスも、ベルの方面にいた小鷲の気を引き、颯と共に自分の近くに連れてきていた。
「まずは、うまくいきましたね……。ここから、皆で連携して、行きましょう」
●総力戦
モニカは、まるで縄張りを荒らすように大木のまわりを駆け、大鷲の注意を引いていた。
大鷲はそのモニカを見下ろすが……ここまで攻撃をしかけていないのは、連続される威嚇射撃のせいだ。
だが、次の威嚇射撃までの短い間隙に、大鷲は機を得たとばかりに動いた。
獲物は、地を這う人間か、はたまた巣に捕らえてある獲物か――
狙いを定める大鷲だが……しかしその間に、どうっ! と射撃を受けた。
大木の近くで悠々と銃を向ける蒼の、遠射だ。
「少年など見ていないで、私の相手をしてくれるかい?」
大鷲は、蒼に明確な敵意を浮かべると、滑空する。
蒼は引きつけるように大木を離れ、誘導した。さすがに大鷲の速度は振り切れず、強力な爪に襲われる。
蒼は何とかいなすような動きでダメージを抑えるが……大鷲は、さらに追撃しようと距離を詰めた。
そこにすかさず威嚇射撃が轟く。大鷲が、恐慌に巻き込まれる。
蒼は距離を取ってマテリアルヒーリング。モニカに目を向けた。
「すまないね、助かったよ」
「ううん、鷲の気を引けたから、ありがとう、なのよっ」
モニカは抜け目なく武器を構えながら、また馬を駆った。
大鷲が動きを止めている間、颯とエリスは、小鷲を相手にしていた。
適度に距離を取りながらも……五匹に囲まれている状態は、楽ではない。
エリスはそれでも、一匹一匹の動きを鋭敏に見ている。
先ほどからダイに目を付けていた小鷲が、そちらへ飛ぼうとする瞬間――即座に構えられたエリスのアサルトライフルが、弾丸を発射。マテリアルの力で精度を上げた射撃は、狙いを違わず命中した。
「貴方たちの相手は私たちが引き受けます……他の所に行く前に私たちを倒す事です」
ギャアッ、と悲鳴じみた鳴き声を上げる小鷲を、エリスはさらに狙撃しようと照準をのぞく。
と、不意に、目の前に別の小鷲が迫っていた。
はっとするエリスだったが――ずん、とその小鷲が魔導ドリルに貫かれた。颯だ。
「ありがとうございます、八劒様」
「なんの。接近戦は、おまかせですのよ」
そう言った颯に、エリスは柔和な表情で応えると、すぐにアサルトライフルを構えて、ダイを狙う小鷲を、撃ち落とした。
颯は引き続き、小鷲を誘導するが……自然、囲まれる。
ダメージを与えていた一匹をしっかりとドリルで倒すが、それでも三匹。前面だけでなく、背後からも飛びかかられる。
が、その一匹はタイミングよく、ライフルで吹き飛ばされた。
「――八劒様、後ろはお任せ下さい」
「今度は、颯がお礼を言わねばなりませんわね!」
ベルは村人の避難を終え、縄張りに戻っていた。
近い位置に、小鷲と戦うエリスと颯がいる。ダイの方は彼一人でも大丈夫な状況と判断し――ベルは小鷲の方へ走った。
「お二人とも、加勢しますっ」
エリスのライフルに吹き飛ばされ、ひときわ近くを飛んでいる鷲がいた。
それが、二人から逃れようとしてか、ベルに目を付けて体当たりをしかけてくる。
ベルは、焦らない。ナックルを構えて、しっかりと敵を引きつけてから、強烈な打撃を打ち込んだ。
真っ向から攻撃を受け、小鷲は空を舞いながら息絶える。
「ありがとうですの!」
「ベル様、助かりました」
そうして、エリスと颯も自分たちの方にいる小鷲に向き合うが……
ギャギャァッ、という大鷲の高らかな鳴き声が響く。
モニカが叫んだ。
「みんな、気をつけて、なのよっ!」
モニカの、歪虚をも震わせる威嚇射撃――それに必要なマテリアルが、限界をむかえていた。
大鷲はもはや、ひるむこともなく、大きな翼で羽ばたいた。
「俺は、大鷲の方へ行きます!」
ベルは走り、蒼とモニカが引きつけている場所へ加わった。
「ベル、注意してなのよ。あの大鷲、怒ってるみたい、なのよ」
大鷲は敵意を浮かべ、その自由になった体でハンターたちを見下ろしていた。
ベルに狙いを決めると、風を掃いて一気に下降してくる。
強力な、体当たり。ベルは防御し、受け身を取った。
かなりのダメージではあった。でも、この鷲をしっかりと、くぎ付けにしておく必要がある。
仲間の行動を、助けるために。
●守るもの
「よし……と。痛くないかい? 終わったら、すぐに村に連れて行ってやるからな」
ダイは木立の中で、避難させた村人のうち重傷のものに、応急手当をしていた。
ありがとう、という男たちの声に頷きながら、ダイは立ち上がった。
縄張りに入り、見上げるのは……中央に屹立する、大木だ。
鷲たちの鳴き声や剣戟の音に隠れているが、その頂上から、お父さん、お母さん、と小さく響く涙声が聞こえていた。
「今、行くからな」
そうして、一気に大木まで駆けた。小鷲や大鷲がいるが、何とか距離を挟んで大木に近づく。
ロープを高い枝にかけると、登りはじめた。
「ギャギャァッ!」
大鷲が、怒るように声を発すると、ダイに牙を剥いてくる。
ダイは一瞬、大木から離れようとした。
だが、そこで銃弾が大鷲を直撃した。蒼の攻撃である。
「君の相手はこっちだと言っているだろう? もう少し、楽しませてもらいたいな」
蒼が大鷲の前に立っていた。続けて、モニカも射撃で大鷲にダメージを与える。
「こっちは大丈夫なのよっ!」
「あの子のところに、行ってあげてください」
ベルも、自らが的になるかのように、大鷲に近づいていた。
「……みんな、ありがとう」
ダイは今一度、ロープを握る手に力を込めた。
短時間で、とはいかなかった。だが、仲間たちがしっかりと鷲を引きつけてくれていたから、登ることができた。
巨大な巣に入ると……そこに、泣き腫らして眼を赤くした少年がいた。
「ロイ君、助けに来たよ! もう大丈夫だからな!」
自分の味方が来てくれたのだとわかると、幼い少年――ロイは、泣いてダイにしがみついた。
「怖かったよお……!」
ダイはしっかりと、ロイを抱き留めていた。
「大丈夫。ハンターが、あの怪物をやっつけてくれるからな」
地上では、全員が、自由になった大鷲を警戒していた。
蒼が率先して銃撃を喰らわせるが、それでも動きは止まない。
大鷲は巨大な石をいくつも掴んで高く飛び上がると――ごうっ! 風の力でそれを広範囲に吹き飛ばした。
ベルや颯の方向を襲ったが、二人は警戒していた分、うまく防御を取っていた。
「そんなもの、効きませんわ!」
颯はドリルを振り回してみせる。
何より、大鷲の注意をそらすことで大木に攻撃が向かわなかったのが、よかった。
大木の頂上では、大鷲の風による砂や塵からも……ダイがしっかりと、ロイを抱えて守っていた。
ダイは語りかける。
「ロイ君。平気か?」
「……うんっ」
木の上から、ダイがハンターたちに一つ頷きをしてみせると……皆も縄張りの中、自然と頷きあっていた。
そして敵に、意識を集中する。
はじめに動いたの颯だ。目の前の小鷲を確実に攻撃し、倒した。
そして、小鷲最後の一匹も、エリスの銃撃が仕留めていた。
小鷲はいなくなり、残ったのはただの一体。その、大きな翼だけ。
「さて、あとは君だけだな」
蒼が語りかけるように言うと、大鷲は――まるで激憤を浮かべたように鳴いた。
●花
ばさ、と羽ばたくと、大鷲は地面に降り立つ。
「皆さん、注意しましょう」
颯の言葉に、大鷲を取り囲むハンターたちは頷く。
だが、大鷲は風を切るような素早さで体当たりをかましてきた。ベルに真正面から激突し、大ダメージを喰らわせる。
「……っく!」
しかし、ベルも、やられっぱなしではない。受けると同時に、しっかりとナックルによるカウンターをたたき込んでいる。
「喰らいなさいですのっ!」
続けて、颯のドリルが大鷲の体を穿つ。動きの鈍ったその大鷲の翼を、エリスのアサルトライフルも容赦なく襲った。
大鷲は苦悶を発した。それでも強くはためくと、モニカに接近、爪の斬撃を繰り出す。
大きなダメージだったが、モニカも、反撃をせずに終われない。
「来ないで、なのよっ!」
倒れず、巧みに馬を駆ると、近距離からデリンジャーの一発を撃ち込んでいた。
ギャギャアッ、と悲鳴を上げ、距離を取る大鷲。再び舞い上がり、風で石を飛ばしてくるが――正面にいた蒼は、射線からよけて回避した。
「どこを狙ってるんだい? しっかり狙わないと私に当てられないよ?」
大鷲は怒り狂ったように、威嚇する声をあげるが……そんなことで思い通りになる相手は、もうこの場にいないであろう。
高度を落とした大鷲に、すかさずベルはナックルを打ち込む。大鷲は、苦し紛れに颯を掴んで、持ち上げた。
「きゃ……っ」
高い位置から落とそうという腹であろう、が、再びその翼をエリスが狙撃した。大鷲はたまらず、颯を放す。
次いで、モニカ、蒼の射撃を受けると、大鷲は苦しげな声を発した。
遙かな威容を誇った大鷲は、もはや羽根も翼もすり切れて、名実共に醜い魔物と成り果てている。
最後には――逃げることも忘れて、突っ込んできた。
そこに、うまく着地していた颯がいた。
「やってくれましたわねっ! 今度はこちらからお見舞いしてさしあげますの!」
颯が構えているのは魔導ドリル。真正面からそれで大鷲を受け止めると、その瞬間。
ドリルを媒介に、マテリアルのエネルギーが強烈な光を発した。
「びりびり電撃どりるぅ~!!!!」
大鷲は体の内部からその衝撃を直に受けたように、大ダメージを喰らう。焼き殺されたように、煙を上げながら……大鷲は、動かなくなった。
「八劒さん、ありがとうございます。――これで、やっと、倒しましたね」
ベルが言うと、皆もようやく安堵の表情を浮かべた。
ダイが、ロイをしっかりとおぶって、木から下りてきた。
皆も駆け寄って、ロイの無事を確認した。
モニカはロイの頭をぽんぽんと撫でた……少し身長が足りなくて背伸びが必要だったけれど。
「怖かったね、よく頑張ったね……なのよっ。もう大丈夫。こわーい歪虚はモニカたちがやっつけた! なのよっ」
「う、うん……」
ロイは、少し恥ずかしそうにしていた。
蒼も、ロイの頭を撫でる。
「少年、無事でよかったじゃないか。山に入って何をしたかったかは知らないが……もう少し命を大事にする事だ。私が言うのもおかしな話だが」
「……うん。僕、怖かった。これから、気をつける」
ロイはそんなふうに頷いた。
そうして、村人と一緒にけが人を運び、ロイも村に送り届けるというところで……
エリスが、ロイがしっかりと握っているものに気付いた。
「あれ、ロイ君。その綺麗な花は……?」
ロイは、その言葉に、照れたようになっていた。
けれど、エリスの優しそうな雰囲気を見て、ぽつぽつと話し出す。
エリスはにこやかに笑った。
「そうなんだ……よし! それじゃあ、お姉さんも手伝ってあげる」
死者は出なかった。
村に戻ると、村人は皆が無事だったことを喜び、ハンターたちに感謝を述べるのだった。
ロイは元気に帰って、父と母に抱きしめられていた。
けれど、ハンターたちはそれだけじゃなく……そのあとすぐに。
ロイが同い年くらいの少女に、綺麗な花輪を渡しているのを遠くから見て――
互いに、ほほえましげに笑いあった。
村人に教えられた雑木林はすぐに見つかった。
ハンターたちはその中心を目指して疾駆する。
視界は悪い、が、ざざざざっ、と木々を抜けて走ると、葉の間からかすかにそれが見えた。
巨大な翼を持った影と、大木。そしてその上にいる、小さな男の子の姿。
「あれが、ロイ君ですね」
冷静さを保ちながらも、ベル(ka0738)は厳しい声で言う。
駆けながら、エリス・カルディコット(ka2572)も、自分の拳をぎゅっと握り込む。その体の周囲には蒼い炎が揺らめき、髪色も変化している。
「ええ……必ず助けましょうっ」
「もちろん、なのよ。きっと、すごくすごく、怖いなのよ……っ! 木の上に、ひとりぼっち。いつ殺されるかわからない、なんて」
愛馬マロン号に乗るモニカ(ka1736)は、風と色彩豊かな花びらの幻影を舞わせ、林を突き進む。
ダイ・ベルグロース(ka1769)は頷きながらも続けた。
「ああ、その通りだ……けど、村人の安全を守るのも大事だ」
ダイの言うとおり、縄張りの外にも、倒れている男たちがいた。鷲に立ち向かった、村の男たちだ。
碓氷 蒼(ka3643)は、それを確認しながらも全くひるむ様子を見せない。
「無論だよ。……さて、私はあの大きい方をやらせてもらうよ。手ごたえがある方が楽しいからね。村人のフォローと小さい方も、それぞれうまくやってくれるといい」
「もちろんですの。大鷲はモニカと蒼、村人の避難はベルとダイにまかせますので――小鷲は、颯とエリスでやりますわ!」
大鷲だけでなく、小鷲が飛び交うのも、既に見えていた。そこへ向けて、八劒 颯(ka1804)は機敏に動き出していた。
瞬間、ばさ、と木々を抜けて、ハンターたちの視界が開ける。
縄張りに入る前から、モニカはミュージカルノートを強く吹いていた。そして縄張りに入ると同時――空の巨大な影に、威嚇射撃を行った。
そこに、侵入者を察知して高々と飛んでいる大鷲がいた。
その禍々しい姿は、しかし近くをかすめた弾道に驚き、わなないている。
「威嚇はうまくいった、なのよっ! みんな、お願い、なのよっ!」
モニカが大鷲の対処を続けるため走ると、ハンターたちは散らばった。
モニカと同時に先頭を切って前に出たのは蒼だ。
一刻の猶予も許さない状況、それでも彼女は緊迫した戦いを前に、楽しげでさえある。
「さぁ諸君、楽しい楽しい戦争の時間だ。殲滅ついでに村人たちを救おうじゃないか」
大きな翼を見上げ、挑発するように巣に近づく。
左右に散るように、村人たちは倒れている。息はあるが動けないものも、やはり多い。その左側に飛び出すのは、ベルだ。
「俺は、こっちの人たちを助けます」
脚にマテリアルを集中し、超人的な移動力を発揮。風のような動きで人数が多い方へと即座へ動いた。
「悪いな、ベル君。それじゃあ、俺はこっちだ」
ダイは、反対側の村人へ向かった。危険そうな位置にいるものから、縄張りの外に出そうとする。
だが飛び交う小鷲が、鳴き声を上げながらダイに目を向けていた。
ただ、その前に、颯が立ちふさがっていた。
「颯におまかせですの!」
颯は誘導するように小鷲たちを引きつけながら、移動する。
「さぁ、あなたたちの相手はこちらですの! こっち、こっちですのよ!」
小鷲は颯に狙いをさだめ、はためいた。
エリスも、ベルの方面にいた小鷲の気を引き、颯と共に自分の近くに連れてきていた。
「まずは、うまくいきましたね……。ここから、皆で連携して、行きましょう」
●総力戦
モニカは、まるで縄張りを荒らすように大木のまわりを駆け、大鷲の注意を引いていた。
大鷲はそのモニカを見下ろすが……ここまで攻撃をしかけていないのは、連続される威嚇射撃のせいだ。
だが、次の威嚇射撃までの短い間隙に、大鷲は機を得たとばかりに動いた。
獲物は、地を這う人間か、はたまた巣に捕らえてある獲物か――
狙いを定める大鷲だが……しかしその間に、どうっ! と射撃を受けた。
大木の近くで悠々と銃を向ける蒼の、遠射だ。
「少年など見ていないで、私の相手をしてくれるかい?」
大鷲は、蒼に明確な敵意を浮かべると、滑空する。
蒼は引きつけるように大木を離れ、誘導した。さすがに大鷲の速度は振り切れず、強力な爪に襲われる。
蒼は何とかいなすような動きでダメージを抑えるが……大鷲は、さらに追撃しようと距離を詰めた。
そこにすかさず威嚇射撃が轟く。大鷲が、恐慌に巻き込まれる。
蒼は距離を取ってマテリアルヒーリング。モニカに目を向けた。
「すまないね、助かったよ」
「ううん、鷲の気を引けたから、ありがとう、なのよっ」
モニカは抜け目なく武器を構えながら、また馬を駆った。
大鷲が動きを止めている間、颯とエリスは、小鷲を相手にしていた。
適度に距離を取りながらも……五匹に囲まれている状態は、楽ではない。
エリスはそれでも、一匹一匹の動きを鋭敏に見ている。
先ほどからダイに目を付けていた小鷲が、そちらへ飛ぼうとする瞬間――即座に構えられたエリスのアサルトライフルが、弾丸を発射。マテリアルの力で精度を上げた射撃は、狙いを違わず命中した。
「貴方たちの相手は私たちが引き受けます……他の所に行く前に私たちを倒す事です」
ギャアッ、と悲鳴じみた鳴き声を上げる小鷲を、エリスはさらに狙撃しようと照準をのぞく。
と、不意に、目の前に別の小鷲が迫っていた。
はっとするエリスだったが――ずん、とその小鷲が魔導ドリルに貫かれた。颯だ。
「ありがとうございます、八劒様」
「なんの。接近戦は、おまかせですのよ」
そう言った颯に、エリスは柔和な表情で応えると、すぐにアサルトライフルを構えて、ダイを狙う小鷲を、撃ち落とした。
颯は引き続き、小鷲を誘導するが……自然、囲まれる。
ダメージを与えていた一匹をしっかりとドリルで倒すが、それでも三匹。前面だけでなく、背後からも飛びかかられる。
が、その一匹はタイミングよく、ライフルで吹き飛ばされた。
「――八劒様、後ろはお任せ下さい」
「今度は、颯がお礼を言わねばなりませんわね!」
ベルは村人の避難を終え、縄張りに戻っていた。
近い位置に、小鷲と戦うエリスと颯がいる。ダイの方は彼一人でも大丈夫な状況と判断し――ベルは小鷲の方へ走った。
「お二人とも、加勢しますっ」
エリスのライフルに吹き飛ばされ、ひときわ近くを飛んでいる鷲がいた。
それが、二人から逃れようとしてか、ベルに目を付けて体当たりをしかけてくる。
ベルは、焦らない。ナックルを構えて、しっかりと敵を引きつけてから、強烈な打撃を打ち込んだ。
真っ向から攻撃を受け、小鷲は空を舞いながら息絶える。
「ありがとうですの!」
「ベル様、助かりました」
そうして、エリスと颯も自分たちの方にいる小鷲に向き合うが……
ギャギャァッ、という大鷲の高らかな鳴き声が響く。
モニカが叫んだ。
「みんな、気をつけて、なのよっ!」
モニカの、歪虚をも震わせる威嚇射撃――それに必要なマテリアルが、限界をむかえていた。
大鷲はもはや、ひるむこともなく、大きな翼で羽ばたいた。
「俺は、大鷲の方へ行きます!」
ベルは走り、蒼とモニカが引きつけている場所へ加わった。
「ベル、注意してなのよ。あの大鷲、怒ってるみたい、なのよ」
大鷲は敵意を浮かべ、その自由になった体でハンターたちを見下ろしていた。
ベルに狙いを決めると、風を掃いて一気に下降してくる。
強力な、体当たり。ベルは防御し、受け身を取った。
かなりのダメージではあった。でも、この鷲をしっかりと、くぎ付けにしておく必要がある。
仲間の行動を、助けるために。
●守るもの
「よし……と。痛くないかい? 終わったら、すぐに村に連れて行ってやるからな」
ダイは木立の中で、避難させた村人のうち重傷のものに、応急手当をしていた。
ありがとう、という男たちの声に頷きながら、ダイは立ち上がった。
縄張りに入り、見上げるのは……中央に屹立する、大木だ。
鷲たちの鳴き声や剣戟の音に隠れているが、その頂上から、お父さん、お母さん、と小さく響く涙声が聞こえていた。
「今、行くからな」
そうして、一気に大木まで駆けた。小鷲や大鷲がいるが、何とか距離を挟んで大木に近づく。
ロープを高い枝にかけると、登りはじめた。
「ギャギャァッ!」
大鷲が、怒るように声を発すると、ダイに牙を剥いてくる。
ダイは一瞬、大木から離れようとした。
だが、そこで銃弾が大鷲を直撃した。蒼の攻撃である。
「君の相手はこっちだと言っているだろう? もう少し、楽しませてもらいたいな」
蒼が大鷲の前に立っていた。続けて、モニカも射撃で大鷲にダメージを与える。
「こっちは大丈夫なのよっ!」
「あの子のところに、行ってあげてください」
ベルも、自らが的になるかのように、大鷲に近づいていた。
「……みんな、ありがとう」
ダイは今一度、ロープを握る手に力を込めた。
短時間で、とはいかなかった。だが、仲間たちがしっかりと鷲を引きつけてくれていたから、登ることができた。
巨大な巣に入ると……そこに、泣き腫らして眼を赤くした少年がいた。
「ロイ君、助けに来たよ! もう大丈夫だからな!」
自分の味方が来てくれたのだとわかると、幼い少年――ロイは、泣いてダイにしがみついた。
「怖かったよお……!」
ダイはしっかりと、ロイを抱き留めていた。
「大丈夫。ハンターが、あの怪物をやっつけてくれるからな」
地上では、全員が、自由になった大鷲を警戒していた。
蒼が率先して銃撃を喰らわせるが、それでも動きは止まない。
大鷲は巨大な石をいくつも掴んで高く飛び上がると――ごうっ! 風の力でそれを広範囲に吹き飛ばした。
ベルや颯の方向を襲ったが、二人は警戒していた分、うまく防御を取っていた。
「そんなもの、効きませんわ!」
颯はドリルを振り回してみせる。
何より、大鷲の注意をそらすことで大木に攻撃が向かわなかったのが、よかった。
大木の頂上では、大鷲の風による砂や塵からも……ダイがしっかりと、ロイを抱えて守っていた。
ダイは語りかける。
「ロイ君。平気か?」
「……うんっ」
木の上から、ダイがハンターたちに一つ頷きをしてみせると……皆も縄張りの中、自然と頷きあっていた。
そして敵に、意識を集中する。
はじめに動いたの颯だ。目の前の小鷲を確実に攻撃し、倒した。
そして、小鷲最後の一匹も、エリスの銃撃が仕留めていた。
小鷲はいなくなり、残ったのはただの一体。その、大きな翼だけ。
「さて、あとは君だけだな」
蒼が語りかけるように言うと、大鷲は――まるで激憤を浮かべたように鳴いた。
●花
ばさ、と羽ばたくと、大鷲は地面に降り立つ。
「皆さん、注意しましょう」
颯の言葉に、大鷲を取り囲むハンターたちは頷く。
だが、大鷲は風を切るような素早さで体当たりをかましてきた。ベルに真正面から激突し、大ダメージを喰らわせる。
「……っく!」
しかし、ベルも、やられっぱなしではない。受けると同時に、しっかりとナックルによるカウンターをたたき込んでいる。
「喰らいなさいですのっ!」
続けて、颯のドリルが大鷲の体を穿つ。動きの鈍ったその大鷲の翼を、エリスのアサルトライフルも容赦なく襲った。
大鷲は苦悶を発した。それでも強くはためくと、モニカに接近、爪の斬撃を繰り出す。
大きなダメージだったが、モニカも、反撃をせずに終われない。
「来ないで、なのよっ!」
倒れず、巧みに馬を駆ると、近距離からデリンジャーの一発を撃ち込んでいた。
ギャギャアッ、と悲鳴を上げ、距離を取る大鷲。再び舞い上がり、風で石を飛ばしてくるが――正面にいた蒼は、射線からよけて回避した。
「どこを狙ってるんだい? しっかり狙わないと私に当てられないよ?」
大鷲は怒り狂ったように、威嚇する声をあげるが……そんなことで思い通りになる相手は、もうこの場にいないであろう。
高度を落とした大鷲に、すかさずベルはナックルを打ち込む。大鷲は、苦し紛れに颯を掴んで、持ち上げた。
「きゃ……っ」
高い位置から落とそうという腹であろう、が、再びその翼をエリスが狙撃した。大鷲はたまらず、颯を放す。
次いで、モニカ、蒼の射撃を受けると、大鷲は苦しげな声を発した。
遙かな威容を誇った大鷲は、もはや羽根も翼もすり切れて、名実共に醜い魔物と成り果てている。
最後には――逃げることも忘れて、突っ込んできた。
そこに、うまく着地していた颯がいた。
「やってくれましたわねっ! 今度はこちらからお見舞いしてさしあげますの!」
颯が構えているのは魔導ドリル。真正面からそれで大鷲を受け止めると、その瞬間。
ドリルを媒介に、マテリアルのエネルギーが強烈な光を発した。
「びりびり電撃どりるぅ~!!!!」
大鷲は体の内部からその衝撃を直に受けたように、大ダメージを喰らう。焼き殺されたように、煙を上げながら……大鷲は、動かなくなった。
「八劒さん、ありがとうございます。――これで、やっと、倒しましたね」
ベルが言うと、皆もようやく安堵の表情を浮かべた。
ダイが、ロイをしっかりとおぶって、木から下りてきた。
皆も駆け寄って、ロイの無事を確認した。
モニカはロイの頭をぽんぽんと撫でた……少し身長が足りなくて背伸びが必要だったけれど。
「怖かったね、よく頑張ったね……なのよっ。もう大丈夫。こわーい歪虚はモニカたちがやっつけた! なのよっ」
「う、うん……」
ロイは、少し恥ずかしそうにしていた。
蒼も、ロイの頭を撫でる。
「少年、無事でよかったじゃないか。山に入って何をしたかったかは知らないが……もう少し命を大事にする事だ。私が言うのもおかしな話だが」
「……うん。僕、怖かった。これから、気をつける」
ロイはそんなふうに頷いた。
そうして、村人と一緒にけが人を運び、ロイも村に送り届けるというところで……
エリスが、ロイがしっかりと握っているものに気付いた。
「あれ、ロイ君。その綺麗な花は……?」
ロイは、その言葉に、照れたようになっていた。
けれど、エリスの優しそうな雰囲気を見て、ぽつぽつと話し出す。
エリスはにこやかに笑った。
「そうなんだ……よし! それじゃあ、お姉さんも手伝ってあげる」
死者は出なかった。
村に戻ると、村人は皆が無事だったことを喜び、ハンターたちに感謝を述べるのだった。
ロイは元気に帰って、父と母に抱きしめられていた。
けれど、ハンターたちはそれだけじゃなく……そのあとすぐに。
ロイが同い年くらいの少女に、綺麗な花輪を渡しているのを遠くから見て――
互いに、ほほえましげに笑いあった。
依頼結果
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/12/08 00:31:10 |
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相談卓です。 ベル(ka0738) 人間(リアルブルー)|18才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2014/12/13 03:16:36 |