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【虚動】王国の動き

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王国の動き

 ――CAMの実験を行う。
 首脳会議でその案件が出た時、ヘクス・シャルシェレット(kz0015)はそこに居た。会議で決定した方針と種々の情報を整理して王国本土へと送った。
 後にヘクスが王国の代表としてその実験に関わるように、との達しが届いた際、彼は大いに頭を悩ませることとなった。

 保守的な国風の王国ではあるが、CAMの武威は聖堂戦士団団長のヴィオラ・フルブライト(kz0007)や王国騎士団の副団長ダンテ・バルカザールの報告からよく知られている。
 ベリアルによる突然の侵攻の影響。他国――特に帝国がその実験を行う事に対する政治的な思惑。現状、実験に参加しない妥当な理由が存在しなかった。
 しかし。
 王国の傷は深い。そのような状況で、実験場所となる辺境に干渉する余力は殆どありはしなかった。
 ヘクス『だけ』に命令が届いた由もそこにあった。彼には全権が委ねられていたが、それは王国の幹部が軒並み関わることができない現状を色濃く反映している。とはいえ、CAMに役立つ知識や技術などヘクスが持ち得るはずもなく――結果として、ヘクスは辺境部族のスコール族の族長であるファリフ・スコール(kz0009)と、王国の学術都市アークエルスの領主フリュイ・ド・パラディ(kz0036)に助力を乞うた。
 現在の帝国との関係に懸念を抱くファリフは、この求めに応じた。尤も、霊呪を専門とする辺境部族といえどもCAMに対してどのようにアプローチするかは分からなかったのだが……。
 一方。フリュイの勧めで一人の男の名が挙がることとなる。
 アダム・マンスフィールド。魔術師協会を離れ、アークエルスで教鞭をとっている男の名だった。
 魔術師協会の目から逃れるように、禁術の研究を進めていた男である。

 ――こうして、遠き世に失われた魔術に、光が当たることとなった。
 その魔術の名を、『刻令術』と言う。

■刻令術とゴーレム
 この世界においてゴーレムの歴史は古い。だが、ゴーレムを作成する魔術については魔術師協会が設立されたその初期に禁術指定されたため、現在ではその多くが喪われてしまっており、極々一部の魔術師が協会の目を盗んで研究をしているのみである。
 研究資料が少ない事、協会が睨みを利かしているため大規模な実験が不可能な事、今も残存している魔術製のゴーレムが僅少である事など、種々の要因によってこの領域そのものが下火だ。
 ここでのゴーレムとは、特殊な魔術によって自律的に動作するようになった無生物のヨリシロを差す。この時ゴーレムに対して施す魔術を、特に『刻令術』と呼ぶ。刻令術は、ヨリシロに備え付けられた魔術的な核に施され、この核には高純度のマテリアル鉱石や宝玉などが用いられる。こうして作成されたゴーレムは、その素体に応じて性質が異なるが、総じて刻令術に定められた命令に従って行動する。
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強力な力を持つゴーレムは非常に希少である。

 刻令術の認知度は低いが、対してゴーレム自体は良く知られている。ゴーレムの多くは遺跡で発掘された時には既に動作を停止しており、結果としてその素体や核となるマテリアル鉱石、宝玉が盗掘品として市場に流れる事が多いからだ。
 稀に生体と見紛う程に自立したゴーレムを各地の遺跡で目にする事もある。恐らくその遺跡の番人として製作されたと想定されているが、それには茫漠な命令を要するため、どの時代の如何なる魔術師がそれらの個体を製作したのかが歴史上の謎の一つとされている。
 また――何故、ゴーレムの多くが既に行動を停止しているのか、何故、禁術指定されたのかについても明らかにはされていない。
それを詳らかにすることは即ち、魔術師協会の手が及ぶことを意味するからだ。

■古都アークエルス
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王国全図。王国中北部に位置し、学術都市とも呼ばれる。

 グラズヘイム王国の中北部に位置する学術都市である。現在の領主はフリュイ・ド・パラディ(kz0036)。
 ここには国内の多くの研究者が集い、日夜様々な研究が行われている。といってもチームとして共通のテーマに取り組むというより、自らのテーマを独自に研究するといった個人主義の者の方が多いようだ。
 今回、CAM稼働実験に参加することになった研究者もまた、そういった個人主義者の一人である。
 この街はグラズヘイム王国において古都と称されている通り、現在機能している街としては王都イルダーナに次ぐ歴史を誇っている。
 アークエルスはグラズヘイム王国に併合されるより以前、エルスという名の街であった。そこで王国は併合の際、街に対する敬意を表してアークエルス(偉大なるエルス)と改名したとの逸話が残されている。
 街には王国に併合される前から図書館があり、それは現在も活用されている。
 幾らかの改修を行ったのち、国が管理するものとしてグラズヘイム王立図書館――文字の森(グリフヴァルト)と命名されたこの図書館には膨大な量の書物や紙片、小型の石版等、様々なものが種々雑多に収められており、全容は王国にすら未だ掴めていない。
 かつてのエルス時代、何らかの魔術が行使されたのだろう。建物外観の実測と内部を歩いた時の距離が一致しておらず、一種の迷宮とも呼べる代物となっている。
 とはいえ内部で魔獣が大手を振って闊歩しているというわけではなく、既に整理された表層区画では一般人が気軽に利用している姿も見られている。
 ……一方で街の研究者の中には、深層区画を調査していて行方不明となった者もいるという噂もあるのだが。

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