ゲスト
(ka0000)
【初心】藤棚の妖蜂
マスター:竜桐水仙

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加制限
- LV1~LV20
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/04/28 09:00
- リプレイ完成予定
- 2018/05/07 09:00
オープニング
●とある民家の庭にて
それは、言葉にならないほど見事な藤棚だった。
蔦の部分だけでも雨宿りできるほど生い茂っており、時期が来ればその密度に相応しい数の花房が、さながらオーロラのごとく垂れ下がる。
さらに、藤特有の香りが一面を濃密に満たすのも、毎年の楽しみとなっていた。
様々な生き物がその藤棚を訪れ、それぞれに楽しんで帰っていく。
蜂、鳥、ネズミ……。もちろん家主を含めた人間たちも、毎年その藤を待ち望んでいた。
そんなこんなで、藤色のカーテンがかかる季節には、近所の住人たちを呼んで盛大に宴会を開くというのが、その家の恒例行事となっていた。
ちょうどその日も、大勢の人が集まり、宴を催しているところだった。
様々な人が、思い思いの格好で、好きなように藤を愛でている。
「いい香りだねぇ」
「香りもいいがやっぱりこの花が壮観なんだよなぁ」
「バカだなー。どっちもなくちゃ、藤を見てる気がしないじゃん」
「「違いない!」」
酒など入って、若干知能指数の下がった会話が交わされる。
優しく、そして華々しい空気が、その空間を満たしていた。
異変が起きたのは、太陽がてっぺんを通り過ぎ、眠気を催した人々のために空気が弛緩しはじめた頃。
「あれっ?」
酒精で頬を赤らめた若い女性が、宙の一点を見詰め、首を傾げている。
「どうしたよぉ」
「あれ……。なんか、変じゃない?」
そう言って、視線の先を指差す。
その指を辿っていくと、妙に大きな蜂が、ぶんぶんと羽音を鳴らしながら庭を漂っていた。
黄色い頭に産毛を生やし、真っ黒い腹をあちこちに向けて、脈絡もなく飛び回っている。
その体長はどう見積もっても五十センチを優に超える。
その配色も相まって、見る者に不吉な印象を植え付ける姿だ。
さすがに住人たちも酔いを覚ました。
「おいおい、なんか雰囲気が妖しくねぇか」
「あんなでっかい虫が、いるもんかよ?」
「やだやだ、ただでさえ虫は嫌いなのに。あんなおっきいの、見るのもやだわ」
数多いる女性の一人が、席を離れていった。
続いて席を離れる者が少数。
それでいて、蜂に近づく者も多くいた。
「おーい、蜂さんやい」
「妙に図体がでかいが、何食ったらそんなにおっきくなったね」
「一緒に藤を見ないかい」
彼らと蜂との距離が、四~五メートルを切る。
その瞬間。
ブン
蜂の複眼が、先頭の男に向いた。
一瞬のうちに体当たりを仕掛ける妖蜂。
先頭の男は蜂の勢いに負け、尻餅をついて倒れる。
惨劇はそこからだった。
その巨体による突進は、只人にとってはそれだけでも十分に驚異である。
しかしそれだけに飽き足らず、人々の真ん中に躍り出た妖蜂は、唖然として動けないでいる人々に、毒針をかざして襲いかかった。
刺された人は、あまりの痛さに患部を抑えて転げ回る。
恐慌がその場を支配する。
「に、にげろぉぉぉ!!」
「あれは普通の蜂じゃないわ!」
「歪虚にちがいねぇ!!」
宴の参加者たちは、背中を向けて走り出す。
そんな彼らに、絶望が追い打ちを掛ける。
ヴヴヴヴヴ
今まで暴れまわっていた蜂の他に、もう五匹、同じような蜂が姿を現した。
今度こそ人々は、算を乱して逃げ始めた。
思い思いに飛び回り、庭に均等に散っていく妖蜂たち。
いっそ無機質なほど淡々と、妖蜂たちは近くの生き物を襲っていた。
●ハンターオフィスにて
依頼を探しに来たハンターたちに、職員たる女性が一枚の書面を提示する。
「ごく最近発注された依頼になるのですが、これなど初心者の皆さまでも比較的受けやすいのではないでしょうか」
必要な箇所を指差しながら、説明を始める。
「依頼内容は、蜂型雑魔六体の討伐。虫型に分類される雑魔なので、一体毎の生命力が低く、討伐の難易度自体は低いです。ただし、雑魔の出現場所が大切な藤棚であるので、戦闘に際して、可能な限り藤棚の破壊は避けていただきたいとのこと」
基本的に、戦略は各個撃破になるでしょう、と彼女は言う。
「行動パターンもだいたい分かっておりまして、雑魔から半径六メートル以内に足を踏み入れると突撃してきて、半径四メートル以内に入ると毒針で攻撃してきます。自発的に二メートル以上移動する様子は確認されていないので、遠目の間合いから踏み込んで攻撃したり、魔法や射撃などの遠距離攻撃が有効かと思います」
続けて言葉を紡いでいく。
「この依頼には、ベテラン猟撃士のエイソスさんがついていってくださいます。とはいえ彼も親切な方ではないので、基本的には皆さんで頑張っていただき、どうしても危険だったり依頼が失敗しそうなときだけ手を出す、という形のサポートになるでしょうね」
「だーれが親切じゃないって?」
唐突に後ろから浴びせかけられる、男性の声。
説明をしていた職員の顔が歪んだ。
「あ、エイソスさん……」
「どーもこんにちは。親切じゃない先輩の、エイソスだよ」
ニヤニヤと意地悪く笑いながら、皮肉を飛ばす男。猟銃を担ぎ、比較的整った顔の下半分を薄い髭で覆っている。雰囲気は若いが見た目は中年男性じみた感じのする、年齢不詳の男だった。
「まぁ、オレはサポートでついていくんだから、基本的にいないものとして扱ってくれよ。その方があんたらも達成感あるだろ? 後ろの方で好き勝手してるからさ、オレのことは気にせずそちらも好き勝手しなよ」
ウィンクなど決めながら、軽い調子でいう。
「討伐がうまいこといったら、依頼主が宴会を開いてくれるらしいから、それも楽しみだよなぁ」
笑いながら去っていくエイソス。
ため息をこぼしてから、職員はハンターたちの顔を覗き込んだ。
「ああいう胡散臭い先輩ですが、基本的には不干渉です。あの調子だと宴が開かれたら会場のどこかにはいるでしょう、声を掛けたらなにがしか話してくれるでしょうね。彼のこと抜きにしても美味しい依頼ですから、受注してみてはいかがでしょうか?」
それは、言葉にならないほど見事な藤棚だった。
蔦の部分だけでも雨宿りできるほど生い茂っており、時期が来ればその密度に相応しい数の花房が、さながらオーロラのごとく垂れ下がる。
さらに、藤特有の香りが一面を濃密に満たすのも、毎年の楽しみとなっていた。
様々な生き物がその藤棚を訪れ、それぞれに楽しんで帰っていく。
蜂、鳥、ネズミ……。もちろん家主を含めた人間たちも、毎年その藤を待ち望んでいた。
そんなこんなで、藤色のカーテンがかかる季節には、近所の住人たちを呼んで盛大に宴会を開くというのが、その家の恒例行事となっていた。
ちょうどその日も、大勢の人が集まり、宴を催しているところだった。
様々な人が、思い思いの格好で、好きなように藤を愛でている。
「いい香りだねぇ」
「香りもいいがやっぱりこの花が壮観なんだよなぁ」
「バカだなー。どっちもなくちゃ、藤を見てる気がしないじゃん」
「「違いない!」」
酒など入って、若干知能指数の下がった会話が交わされる。
優しく、そして華々しい空気が、その空間を満たしていた。
異変が起きたのは、太陽がてっぺんを通り過ぎ、眠気を催した人々のために空気が弛緩しはじめた頃。
「あれっ?」
酒精で頬を赤らめた若い女性が、宙の一点を見詰め、首を傾げている。
「どうしたよぉ」
「あれ……。なんか、変じゃない?」
そう言って、視線の先を指差す。
その指を辿っていくと、妙に大きな蜂が、ぶんぶんと羽音を鳴らしながら庭を漂っていた。
黄色い頭に産毛を生やし、真っ黒い腹をあちこちに向けて、脈絡もなく飛び回っている。
その体長はどう見積もっても五十センチを優に超える。
その配色も相まって、見る者に不吉な印象を植え付ける姿だ。
さすがに住人たちも酔いを覚ました。
「おいおい、なんか雰囲気が妖しくねぇか」
「あんなでっかい虫が、いるもんかよ?」
「やだやだ、ただでさえ虫は嫌いなのに。あんなおっきいの、見るのもやだわ」
数多いる女性の一人が、席を離れていった。
続いて席を離れる者が少数。
それでいて、蜂に近づく者も多くいた。
「おーい、蜂さんやい」
「妙に図体がでかいが、何食ったらそんなにおっきくなったね」
「一緒に藤を見ないかい」
彼らと蜂との距離が、四~五メートルを切る。
その瞬間。
ブン
蜂の複眼が、先頭の男に向いた。
一瞬のうちに体当たりを仕掛ける妖蜂。
先頭の男は蜂の勢いに負け、尻餅をついて倒れる。
惨劇はそこからだった。
その巨体による突進は、只人にとってはそれだけでも十分に驚異である。
しかしそれだけに飽き足らず、人々の真ん中に躍り出た妖蜂は、唖然として動けないでいる人々に、毒針をかざして襲いかかった。
刺された人は、あまりの痛さに患部を抑えて転げ回る。
恐慌がその場を支配する。
「に、にげろぉぉぉ!!」
「あれは普通の蜂じゃないわ!」
「歪虚にちがいねぇ!!」
宴の参加者たちは、背中を向けて走り出す。
そんな彼らに、絶望が追い打ちを掛ける。
ヴヴヴヴヴ
今まで暴れまわっていた蜂の他に、もう五匹、同じような蜂が姿を現した。
今度こそ人々は、算を乱して逃げ始めた。
思い思いに飛び回り、庭に均等に散っていく妖蜂たち。
いっそ無機質なほど淡々と、妖蜂たちは近くの生き物を襲っていた。
●ハンターオフィスにて
依頼を探しに来たハンターたちに、職員たる女性が一枚の書面を提示する。
「ごく最近発注された依頼になるのですが、これなど初心者の皆さまでも比較的受けやすいのではないでしょうか」
必要な箇所を指差しながら、説明を始める。
「依頼内容は、蜂型雑魔六体の討伐。虫型に分類される雑魔なので、一体毎の生命力が低く、討伐の難易度自体は低いです。ただし、雑魔の出現場所が大切な藤棚であるので、戦闘に際して、可能な限り藤棚の破壊は避けていただきたいとのこと」
基本的に、戦略は各個撃破になるでしょう、と彼女は言う。
「行動パターンもだいたい分かっておりまして、雑魔から半径六メートル以内に足を踏み入れると突撃してきて、半径四メートル以内に入ると毒針で攻撃してきます。自発的に二メートル以上移動する様子は確認されていないので、遠目の間合いから踏み込んで攻撃したり、魔法や射撃などの遠距離攻撃が有効かと思います」
続けて言葉を紡いでいく。
「この依頼には、ベテラン猟撃士のエイソスさんがついていってくださいます。とはいえ彼も親切な方ではないので、基本的には皆さんで頑張っていただき、どうしても危険だったり依頼が失敗しそうなときだけ手を出す、という形のサポートになるでしょうね」
「だーれが親切じゃないって?」
唐突に後ろから浴びせかけられる、男性の声。
説明をしていた職員の顔が歪んだ。
「あ、エイソスさん……」
「どーもこんにちは。親切じゃない先輩の、エイソスだよ」
ニヤニヤと意地悪く笑いながら、皮肉を飛ばす男。猟銃を担ぎ、比較的整った顔の下半分を薄い髭で覆っている。雰囲気は若いが見た目は中年男性じみた感じのする、年齢不詳の男だった。
「まぁ、オレはサポートでついていくんだから、基本的にいないものとして扱ってくれよ。その方があんたらも達成感あるだろ? 後ろの方で好き勝手してるからさ、オレのことは気にせずそちらも好き勝手しなよ」
ウィンクなど決めながら、軽い調子でいう。
「討伐がうまいこといったら、依頼主が宴会を開いてくれるらしいから、それも楽しみだよなぁ」
笑いながら去っていくエイソス。
ため息をこぼしてから、職員はハンターたちの顔を覗き込んだ。
「ああいう胡散臭い先輩ですが、基本的には不干渉です。あの調子だと宴が開かれたら会場のどこかにはいるでしょう、声を掛けたらなにがしか話してくれるでしょうね。彼のこと抜きにしても美味しい依頼ですから、受注してみてはいかがでしょうか?」
解説
依頼目的
蜂型雑魔六匹の掃討。ただし藤棚(周辺環境)の破壊は最小限が望ましい。
なお、藤棚の高さは約二メートル。長柄武器や範囲攻撃のスキルなどは取り扱い注意。特にスキルは、対象が「全員」や「空間」である場合は藤を巻き込んでしまうため、使用を控えた方がよい。
妖蜂の攻撃パターン
雑魔から三スクエア以内に踏み込むと突撃(敵味方判別可能な前方三スクエアへの攻撃。終了後は三スクエア前方に移動)。
雑魔から二スクエア以内に踏み込むと毒針(毒による追加ダメージあり。抵抗可)。
それぞれ、一度使うと二ラウンドは違う攻撃を選択。
なお、妖蜂がそれぞれの初期位置から動くのは、プレイヤーが反応位置に踏み込んだときのみである。
藤棚を破壊せず、なおかつ迅速に敵を倒すことができれば、感謝の宴が開かれる。
エイソスについて
ぬらりくらりとつかみ所のない中年猟撃士。雰囲気的には青年といわれても違和感がない、年齢不詳の男。
主に牽制射撃や制圧射撃などの、回避・移動を阻害するスキルで戦闘を支援。
プレイヤーが過度の危険にさらされたり、有効打が入らないなど依頼達成が不可能と判断したときのみ介入する。
蜂型雑魔六匹の掃討。ただし藤棚(周辺環境)の破壊は最小限が望ましい。
なお、藤棚の高さは約二メートル。長柄武器や範囲攻撃のスキルなどは取り扱い注意。特にスキルは、対象が「全員」や「空間」である場合は藤を巻き込んでしまうため、使用を控えた方がよい。
妖蜂の攻撃パターン
雑魔から三スクエア以内に踏み込むと突撃(敵味方判別可能な前方三スクエアへの攻撃。終了後は三スクエア前方に移動)。
雑魔から二スクエア以内に踏み込むと毒針(毒による追加ダメージあり。抵抗可)。
それぞれ、一度使うと二ラウンドは違う攻撃を選択。
なお、妖蜂がそれぞれの初期位置から動くのは、プレイヤーが反応位置に踏み込んだときのみである。
藤棚を破壊せず、なおかつ迅速に敵を倒すことができれば、感謝の宴が開かれる。
エイソスについて
ぬらりくらりとつかみ所のない中年猟撃士。雰囲気的には青年といわれても違和感がない、年齢不詳の男。
主に牽制射撃や制圧射撃などの、回避・移動を阻害するスキルで戦闘を支援。
プレイヤーが過度の危険にさらされたり、有効打が入らないなど依頼達成が不可能と判断したときのみ介入する。
マスターより
こんにちは。竜桐です。
今回は、藤棚を破壊することなく雑魔を全て倒すというミッション。
本文中では各個撃破という表現をしましたが、必ずしも一匹ずつ倒していく必要はありません。複数人で面的に雑魔の数を削って行くもよし、一人のプレイヤーをみんなで強化し、短期決戦を挑んでみるもよしです。スキルや工夫次第で一度に複数匹倒すことも出来るかもしれません。ただし範囲攻撃は藤棚を壊しかねないので要注意。
サクサクっと倒して、ちゃっちゃと宴に突入しちゃいましょう。←
その為には、意外とサポート役が重要かもしれませんね、虫はすばしっこいので。
今回は、藤棚を破壊することなく雑魔を全て倒すというミッション。
本文中では各個撃破という表現をしましたが、必ずしも一匹ずつ倒していく必要はありません。複数人で面的に雑魔の数を削って行くもよし、一人のプレイヤーをみんなで強化し、短期決戦を挑んでみるもよしです。スキルや工夫次第で一度に複数匹倒すことも出来るかもしれません。ただし範囲攻撃は藤棚を壊しかねないので要注意。
サクサクっと倒して、ちゃっちゃと宴に突入しちゃいましょう。←
その為には、意外とサポート役が重要かもしれませんね、虫はすばしっこいので。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/05/07 04:36
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/04/27 19:35:18 |
|
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打ち合わせの場 時雨 凪枯(ka3786) 人間(リアルブルー)|24才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2018/04/28 06:56:50 |