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  • 調査

【虚動】潜み観る者

マスター:有坂参八

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
参加費
1,000
参加人数
現在7人 / 4~7人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2014/12/17 09:00
リプレイ完成予定
2014/12/26 09:00

オープニング


 辺境の諸部族は、連合宙軍のCAM機動実験への協力を決めた。
 『赤き大地』と呼ばれる辺境のとある平野に、いまや連合宙軍の試験部隊が招き入れられ、現場では急ピッチの準備作業が始まった。 
 何台ものトレーラーが連なり、うなりを上げて乾いた大地を往来すると、瞬く間に四角いプレハブ小屋が立ち並び、用途を想像さえできないような棒や箱状の機材が円陣を組みながら、実験場、そして仮設基地の機能を確保する。
 軍服、戦闘服、白衣、作業着といった、辺境では見慣れない格好の人間が忙しく立ち回り、その場はさながらリアルブルーに迷い込んだと思わせるような光景を見せていた。

「……軍曹、軍曹、ちょっと、こっち! こっち来て」
「なんじゃいロレンス、俺ァいま搬入用車両の受け入れと搬入物の検査と警戒人員の掌握と伝達系統管理とその他諸々の仕事をブン投げられて頭が沸騰しそうなんだ、下らねぇ用事なら余所へ当たれ」
「いやいやいや、下らなくねぇんですよこれが」
 仮設基地の警備に当たっている、戦闘員らしき二人の兵士の会話。
 ロレンスと呼ばれた兵士は、軍曹をつれて小走りに、巨大なコンテナが積み上げられた区画へと向かう。 
 『許可された者以外の立入禁止』と書かれた赤標識を素通りしてから、ロレンスはあるコンテナの前で脚を止めた。
「これっす。見て下さい」
「これの何が…………ゲッ」
 ロレンスの指さした、コンテナの底付近を見て、軍曹は目を見開いた。
 穴があいていた。
 ただの穴ではない。動物の爪の様な何かで、ずたずたに引き裂かれた穴。丈夫な合成素材でできている筈の輸送用コンテナが、だ。
「中身は」軍曹はすかさず訊ねた。
「無事っす。幸い、中身は防弾の内箱で保護されてまして、そっちが少し傷つけられただけ……たぶん、電装系の演算ユニットかなんかだと思います」
「そうか、なら…………いや、よくねぇ。全ッ然よくねえぞ、こりゃ」
 軍曹は、大きく溜息を吐いた。
 実害は少ないが、問題はそこではない。
 基地の警備が破られた事、そうまでして荷物に手をつける様な『何か』が、仮設基地内にいる事。
 異常事態と認めるには十分過ぎる。
「……報告、あげなきゃダメっすかねぇ」
 ロレンスが呟く。
 軍曹はヘルメットを外して、頭をかきむしった。
「クソッ、頭が沸騰通り越して蒸発しそうだぜ!」


「……で、儂を呼び戻したと」
「はい……貴方なら、何か知っているかと思いまして」
 その翌日、辺境要塞ノアーラ・クンタウにて。
 要塞最高責任者であるヴェルナー・プロスフェルト(kz0032)の執務室には彼とともに、その麾下にある対歪虚部隊、山岳猟団の老兵シバ(kz0048)の姿があった。
「文書としてこちらに回った報告の後にも、基地内の数カ所で同種の案件が起きている様です。その際には、子供の様な笑い声と、小さな足跡をみつけた証言もあります。狙われているのは、一様に『せんさー』『えんざんき』『つうしんき』と……これは、よく判りませんが」
「…………」シバは黙したまま、ただ瞼を細く狭める。
「この件について、混乱や士気低下を避けるため秘密裏に、捜査に協力をしてほしい、と連合宙軍から要望が来ています。山岳猟団には現在、実験場周辺の哨戒に当たって貰っていますので、審問隊を動かそうかとも思ったのですが……」
「くく、まぁ、できんわな。あの騎士殿達には『赤き大地』の土地柄など何も知らぬ故に」
 渡された書類に目を通しつつ、シバは嘲笑った。
 ヴェルナーは、あくまで柔和に受け答える。
「この地をよく知る者……辺境出身者の知識が必要です。帝国が連合宙軍の信頼を損ねない為にも。率直に訊きますが……この歪虚に、心当たりは?」
「うむ、わからん」
「……え?」空気が、一瞬止まった。
「わからん。そんな歪虚は儂も聞いたことが無い」と、真顔のシバ。
「あの前振りで、ですか」
 態度は穏やかなまま、ヴェルナーの声のトーンが僅かに下がる。老人は、悪戯っぽく苦笑した。
「儂にだってわからん事くらいある。だが……」
 少し間をおいてから……シバは再び、口を開く。
「人であれ歪虚であれ、それは同じ事。見慣れた環境にある日突然異質なモノが飛込んで来たら……その正体を確かめずには居られんものよ。だとすればこりゃぁ、止めねばならん。止めねば、洒落にならん」
「……」
 相手の沈黙を意に介さず、シバは話を続けた。
「ところで、捜索にはハンターも連れ出していいか? 儂一人ではたぶん、手がたらんじゃろ」
「どうぞ。予算は用意します」
「ついでに連合宙軍にも話を通しておいてくれよ。『好きに』基地内を歩き回れる様にな」
 ヴェルナーの表情が、ぴくりと動いたが……すぐに、元に戻った。
「……では、皆さんを『見学者』として手配する事にしましょう。それでも、言動には注意してください。CAMとその関係施設は、向こうにとっての虎の子です」
「……ああ。それでいい。それで、万全じゃ」
 シバは満足げに頷くと、要塞内のハンターズソサエティへと向かう為に部屋を出る。
 残されたヴェルナーは、その背を見送って……何かを考え込む様に、目を伏せた。

解説

●依頼内容
CAM起動実験場の仮設基地に侵入した歪虚の捜索、および排除。
以上

●歪虚
仮設基地内の複数箇所で、歪虚とおぼしき存在の活動が確認されています。
これを捜索し、発見後、撃退してください。
現場の士気低下と混乱を避ける観点から、事態を小規模・隠密に処理することができればより望ましい、との追加要件がありますが、これは絶対条件ではありません。

歪虚のスペックについては不明点が多いですが、OP文に記載された情報は、すべてPCも知っている物として扱うことができます。
その他、PL情報(PCが知っている事にはできないオマケ的情報)として、出現する歪虚は1体のみです。
また、一定水準の隠密行動能力及び戦闘能力を有します。

●仮設基地
実験場に併設された仮設基地には現在、プレハブ小屋やテント、大型貨物コンテナなどが密集して並べられています。
CAM本体はまだ到着していませんが、実験用の機材(コンピューター、各種センサー、車両、通信機器etc...)は既にほぼ全てが搬入されています。

帝国軍の仲介により、ハンター達は表向き『特別待遇の見学者』として扱われますので、仮設基地内の全てのエリアに立ち入り、調査を行う事が可能です。
但し、あらゆる行動が容認される訳ではない事にはご留意ください。

●その他
依頼者兼案内役として、帝国軍兵士のシバが同行します。
彼にできる範囲の事であれば協力してくれるでしょう。
辺境関連の連動依頼となっております。
他の依頼については後日依頼公開予定です。
質問は相談卓にて対応します……が、状況が状況ですので曖昧な回答が多いかもしれません。

マスターより

●マスターより
この依頼をご紹介いたします、有坂参八と申します。

今回の焦点はCAMでなく、その周辺機材。
地味ながらも無くてはならないものばかりですので、うまく守り通して頂きたく思います。
ヒントは少ないですが、決して不十分では無い……はずです(

皆様のご活躍に、期待いたします。

関連NPC

  • 山岳猟団団員
    シバ(kz0048
    人間(クリムゾンウェスト)|90才|男性|霊闘士(ベルセルク)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2014/12/25 06:19

参加者一覧

  • Pクレープ店員
    真田 天斗(ka0014
    人間(蒼)|20才|男性|疾影士
  • 大口叩きの鍛冶職人
    エルデ・ディアマント(ka0263
    ドワーフ|11才|女性|機導師
  • Pun Pun ぷー
    メープル・マラカイト(ka0347
    エルフ|25才|女性|魔術師
  • 真実を見通す瞳
    八島 陽(ka1442
    人間(蒼)|20才|男性|機導師
  • 絆の雷撃
    ヒースクリフ(ka1686
    人間(蒼)|20才|男性|機導師
  • 山岳猟団即応員
    美作さくら(ka2345
    人間(蒼)|14才|女性|霊闘士
  • 【Ⅲ】命と愛の重みを知る
    フェリア(ka2870
    人間(紅)|21才|女性|魔術師
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/12/13 14:41:46
アイコン 仕事の時間です
真田 天斗(ka0014
人間(リアルブルー)|20才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2014/12/17 00:04:53