ゲスト
(ka0000)
実験畑の研究日誌2頁目
マスター:佐倉眸

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/12/20 15:00
- リプレイ完成予定
- 2014/12/29 15:00
オープニング
●
農業魔術研究機関、ジェオルジ前領主ルーベンが実験畑の一角に陣取った研究機関。
畑と管理棟とは名ばかりの小屋が幾つも並ぶ中、深夜まで明かりの灯っている建物が一つあった。
「――……つまり?」
厳しい声が尋ねる。
「より強く動物を惹き付ける苗があれば、そちらに害獣は引き寄せられます」
「続けて」
若い研究生がごくりと喉を鳴らし、古い論文や何枚もの資料を広げて説明を続けた。
ランプが燃え尽きそうになった頃、漸く話は終わる。
「……だから、同じ作物で、片方にこの魔術を掛けた場合、害獣は全てそちらに行きます。僕がやりたい実験は、畑の一箇所だけこの魔術を掛けて、見張っておくというものです」
教授は白髪の交じり始めた髪を掻き上げ、気怠げに溜息を吐いた。そしてやはり厳しい声で告げる。
「見張りは? 1人でやるのかね」
「や、やります」
研究生が裏返った声で答え、真っ直ぐに視線を向けて頷くと、教授はこめかみを押さえ、髪を掻き毟り、深々と溜息を吐く。
「じゃ、やってみなさい――私が使っている畑が1つ開いている。北の端の畑を好きにしなさい。実験が終わったら、植えている芋を収穫しておくこと」
いいね、と言って教授は研究生を追い出して研究棟の鍵を掛けた。
広い構内を歩いて帰途に就くと、彼の目にポップな書体でカラフルなポスターが飛び込んでくる。
ちょっとした依頼にも、ハンターさんの手を貸しましょう!
害獣の駆除なんて、駆け出しハンターさんのいい経験です!
荒んだ戦いの日々を送るハンターさんに、癒やしの農村ライフな一時を!
片隅が剥がれ、夜露で文字を滲ませたそこに「ハンターオフィス」の文字を見つけると、教授はすぐに連絡を取った。
●
「害獣駆除の依頼ですか? 山の近くは大変ですからね!」
早とちりをして笑うのは、ポスターを貼った受付嬢。ハンターの案内人を自称する彼女は身を乗り出して、依頼にはしゃぐ。
仏頂面の教授が投げ寄越したのは、研究生が持ち込んできた古い論文だった。
「私が……若い頃に書いたものだ。実験もした。成功したが、失敗もして死にかけた」
彼女はパラパラとページを捲る。
「難しいことは、分かりませんが……害獣駆除の魔術です、よね?」
「まったく。今になって引っ張り出してこられるとは思わなかったよ」
これには大きな問題がある、と教授は言った。
山から下りてきて魔術の掛かった作物に引き寄せられた獣は、それを食い荒らしきった後どうなるか。本来の目当ての作物に行ってくれればまだマシなのだ。
「見張りをしていた私に突っ込んできたんだ、あのイノシシは」
その時の傷だと、そこだけ凹んだこめかみを押さえた。
論文として提出した時は、魔術の要素と構成のみを纏めたため、実験の結果は記載していない。研究生だった彼が当時師事していた教授に「難あり」と訴えたが、師はそれを付記せぬまま「今後の参考に」と論文を残してしまった。
そして年を経て、彼自身の弟子に渡ったというわけで。
「彼が同じ実験を……幾らか構成は変えているらしいが、誘引と退却の要因を与え……つまり、これを食べたら山に帰ると思わせる作用が有る。1つの苗で満足すれば、それだけ獣が2つ目の苗以外に目を向ける機会が増えると言うことだ」
分かるかと尋ねられると、単調な言葉に微睡んでいた案内人が姿勢を崩す。
「は、はいっ。見張りをしているお弟子さんの見張りですね! お任せ下さい」
集められたハンターは、日暮れ前に件の芋畑から少し離れた小屋に招かれた。
老齢に近い教授は筋張った頬の無精髭を撫でて彼らを見回す。分厚い眼鏡を直すと、世話を掛けると項垂れるように深く頭を垂れた。
「若い研究生の……拙い文集のようなものなんだよ、あの論文は。だから、その中の1人2人の名前が落丁していたところで、困ることなど無かったんだ」
無名の若い研究者の成果に、その著者を目の前にして、要旨のまとめ問題提起から解決策まで講じて見せた弟子を思って溜息を零す。自分でキッチリ直しておけばと、数十年前のことを今更に。
「――何故、彼を止め無いのかって?」
教授はこめかみの傷に触れた。
「私を襲ったイノシシを体当たりで弾き飛ばして、オレの時は余計に獣を呼び寄せて追い払うのに畑を焼いたさ、と、私の先生だった人に言われたからね」
脈々と継がれる研究の最先端が彼なのだから、それを止めることなどできないさと、眩しげに目を細めた。
農業魔術研究機関、ジェオルジ前領主ルーベンが実験畑の一角に陣取った研究機関。
畑と管理棟とは名ばかりの小屋が幾つも並ぶ中、深夜まで明かりの灯っている建物が一つあった。
「――……つまり?」
厳しい声が尋ねる。
「より強く動物を惹き付ける苗があれば、そちらに害獣は引き寄せられます」
「続けて」
若い研究生がごくりと喉を鳴らし、古い論文や何枚もの資料を広げて説明を続けた。
ランプが燃え尽きそうになった頃、漸く話は終わる。
「……だから、同じ作物で、片方にこの魔術を掛けた場合、害獣は全てそちらに行きます。僕がやりたい実験は、畑の一箇所だけこの魔術を掛けて、見張っておくというものです」
教授は白髪の交じり始めた髪を掻き上げ、気怠げに溜息を吐いた。そしてやはり厳しい声で告げる。
「見張りは? 1人でやるのかね」
「や、やります」
研究生が裏返った声で答え、真っ直ぐに視線を向けて頷くと、教授はこめかみを押さえ、髪を掻き毟り、深々と溜息を吐く。
「じゃ、やってみなさい――私が使っている畑が1つ開いている。北の端の畑を好きにしなさい。実験が終わったら、植えている芋を収穫しておくこと」
いいね、と言って教授は研究生を追い出して研究棟の鍵を掛けた。
広い構内を歩いて帰途に就くと、彼の目にポップな書体でカラフルなポスターが飛び込んでくる。
ちょっとした依頼にも、ハンターさんの手を貸しましょう!
害獣の駆除なんて、駆け出しハンターさんのいい経験です!
荒んだ戦いの日々を送るハンターさんに、癒やしの農村ライフな一時を!
片隅が剥がれ、夜露で文字を滲ませたそこに「ハンターオフィス」の文字を見つけると、教授はすぐに連絡を取った。
●
「害獣駆除の依頼ですか? 山の近くは大変ですからね!」
早とちりをして笑うのは、ポスターを貼った受付嬢。ハンターの案内人を自称する彼女は身を乗り出して、依頼にはしゃぐ。
仏頂面の教授が投げ寄越したのは、研究生が持ち込んできた古い論文だった。
「私が……若い頃に書いたものだ。実験もした。成功したが、失敗もして死にかけた」
彼女はパラパラとページを捲る。
「難しいことは、分かりませんが……害獣駆除の魔術です、よね?」
「まったく。今になって引っ張り出してこられるとは思わなかったよ」
これには大きな問題がある、と教授は言った。
山から下りてきて魔術の掛かった作物に引き寄せられた獣は、それを食い荒らしきった後どうなるか。本来の目当ての作物に行ってくれればまだマシなのだ。
「見張りをしていた私に突っ込んできたんだ、あのイノシシは」
その時の傷だと、そこだけ凹んだこめかみを押さえた。
論文として提出した時は、魔術の要素と構成のみを纏めたため、実験の結果は記載していない。研究生だった彼が当時師事していた教授に「難あり」と訴えたが、師はそれを付記せぬまま「今後の参考に」と論文を残してしまった。
そして年を経て、彼自身の弟子に渡ったというわけで。
「彼が同じ実験を……幾らか構成は変えているらしいが、誘引と退却の要因を与え……つまり、これを食べたら山に帰ると思わせる作用が有る。1つの苗で満足すれば、それだけ獣が2つ目の苗以外に目を向ける機会が増えると言うことだ」
分かるかと尋ねられると、単調な言葉に微睡んでいた案内人が姿勢を崩す。
「は、はいっ。見張りをしているお弟子さんの見張りですね! お任せ下さい」
集められたハンターは、日暮れ前に件の芋畑から少し離れた小屋に招かれた。
老齢に近い教授は筋張った頬の無精髭を撫でて彼らを見回す。分厚い眼鏡を直すと、世話を掛けると項垂れるように深く頭を垂れた。
「若い研究生の……拙い文集のようなものなんだよ、あの論文は。だから、その中の1人2人の名前が落丁していたところで、困ることなど無かったんだ」
無名の若い研究者の成果に、その著者を目の前にして、要旨のまとめ問題提起から解決策まで講じて見せた弟子を思って溜息を零す。自分でキッチリ直しておけばと、数十年前のことを今更に。
「――何故、彼を止め無いのかって?」
教授はこめかみの傷に触れた。
「私を襲ったイノシシを体当たりで弾き飛ばして、オレの時は余計に獣を呼び寄せて追い払うのに畑を焼いたさ、と、私の先生だった人に言われたからね」
脈々と継がれる研究の最先端が彼なのだから、それを止めることなどできないさと、眩しげに目を細めた。
解説
目的 研究生の安全確保
●エネミー
猪 畑の芋を食べます、突進してきます。
鹿 畑を踏み荒らします、角で突っ込んできます。
兎 畑を掘り返します。
狼 畑を無視して人や動物を襲いに来ます。
何が何匹出るかは不明です。
雑魔や歪虚の出没はありません。
日没後に山から下ってきます。
●フィールド
北に山を望む、5メートル四方程度の畑。
芋が植えてあり、東側から1メートル程は魔術が施してある。
畑の南辺に農具の小屋が隣接。
●護衛対象
若い研究生
特に武装はしていませんが、小屋の中にクワがあります。
論文の落丁のため、参考にした研究が彼の師の若い頃のものだとは気付いていません。
●協力者
教授
オーバーオールに長靴、得意ではありませんが一応猟銃(装填3発)を装備。
研究生の安全を第一に考えますが、できる限り研究の成果を見届けたいと考えています。
案内人
非武装でカンテラを構えています。
指示が無ければ待機します。
●農業魔術研究機関
ルーベン・ジェオルジ所有の実験畑の一部を管理運営し、農業魔法の研究を行っている機関。
大小様々な畑と管理棟が点在し、中央には広場がある。
時折実験に失敗し、大事の時はハンターオフィスへ対処の依頼を届けている。
●エネミー
猪 畑の芋を食べます、突進してきます。
鹿 畑を踏み荒らします、角で突っ込んできます。
兎 畑を掘り返します。
狼 畑を無視して人や動物を襲いに来ます。
何が何匹出るかは不明です。
雑魔や歪虚の出没はありません。
日没後に山から下ってきます。
●フィールド
北に山を望む、5メートル四方程度の畑。
芋が植えてあり、東側から1メートル程は魔術が施してある。
畑の南辺に農具の小屋が隣接。
●護衛対象
若い研究生
特に武装はしていませんが、小屋の中にクワがあります。
論文の落丁のため、参考にした研究が彼の師の若い頃のものだとは気付いていません。
●協力者
教授
オーバーオールに長靴、得意ではありませんが一応猟銃(装填3発)を装備。
研究生の安全を第一に考えますが、できる限り研究の成果を見届けたいと考えています。
案内人
非武装でカンテラを構えています。
指示が無ければ待機します。
●農業魔術研究機関
ルーベン・ジェオルジ所有の実験畑の一部を管理運営し、農業魔法の研究を行っている機関。
大小様々な畑と管理棟が点在し、中央には広場がある。
時折実験に失敗し、大事の時はハンターオフィスへ対処の依頼を届けている。
マスターより
実験畑、別の畑より。
害獣との戦闘が発生するらしいですが、相手は雑魔や歪虚では無く野生生物です。
研究生を見守っても、積極的に絡んでも構いません。
害獣との戦闘が発生するらしいですが、相手は雑魔や歪虚では無く野生生物です。
研究生を見守っても、積極的に絡んでも構いません。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/12/28 17:23
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/12/15 20:01:08 |
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若気の至り ロニ・カルディス(ka0551) ドワーフ|20才|男性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2014/12/20 12:48:14 |