• 調査

扉の向こうへ

マスター:KINUTA

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 3~8人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
6日
プレイング締切
2018/05/10 19:00
リプレイ完成予定
2018/05/19 19:00

オープニング

●南方大陸のどこか


 とある湾岸にあるリザードマンの部落は、大騒ぎだった。
 いきなり空の一角から大量の砂が流れ落ちてきたのだ。

「何だ」

「何だ、あれは何だ」

 砂の流れは最初細かったが、見る見るに太く大きくなっていった。天が崩れそうなほどの轟音を立てて落ちてくる。時折何か四角い物も交ざって落ちてくる。
 リザードマンたちは、ただそれを見守ることしか出来なかった。
 砂は一日かけて湾の内外をきれいに埋立ててしまった――そこにあったあらゆるものを下敷きにして。




●ユニオン保養所建設地区


 自由都市同盟領内にある、寂れた炭鉱町。
 今そこでは、ユニオン保養所建設のための再開発工事が進んでいる。




「だいぶ出来上がってきたなー」

 と作業員の一人は言った。

「そうだな」

 ともう一人が応じた。
 彼らは貸し出された農業機械を操り、広いさら地を行ったり来たりしている。土を砕き耕し滑らかにし、そこへ種を撒いていく。
 指定された場所を緑化して行くのが与えられた仕事だ。
 もう任されたほとんどの部分が、青々とした芝に覆われている。
 その芝の上に見慣れぬ遊具が次々据え付けられていく。

「ここが完成しちまえば、おれたちまた仕事がなくなるな」

「そういう契約だからしょうがねえ。そろそろ新しい口を探しておかなきゃなんねえな。このままユニオン市民にならねえんだとしたら」

「お前は市民になる気はねえのかい?」

「うーん……お前はどうだ?」

「おれか。おれは……迷うところなんだよな。家族を持っちゃいかんていうんだろ。俺はまだ結婚してねえけど、それでも将来的なことを考えると、最後まで独身で通すのはなあ……叶うなら嫁も欲しいし、子供も欲しいしなあ。お前はどうだい?」

「俺は市民になってもいいかなって思ってるよ。女と付き合っちゃいかんてわけじゃないし、死ぬまで生活の面倒見てくれるっていうことだしな。正味今の労働条件よりいい勤め先なんかねえだろ? 一日6時間働いて週休2日でよ、十二分に食ってける所、他にあるか?」

「……確かにそれはあるけどな。でもお前、市民てのはコボルドしかいねえんだぜ。コボルドに交じって暮らすのは人間としてちょっと嫌じゃねえか」

「……そこはまあ思うところがないでもないけどよ。でもやっぱり俺は安定を取るぜ。いつ食えなくなるかとびくびくするような暮らしは、もうしたくねえんだよなあ」


●開通させよう


 南向きの山肌にそい、白いブロックを詰んだような建造物が多数作られている。
 ユニゾン島から保養所建設の定期巡回にやってきたマゴイは、そこから工事現場全体を見下ろした。
 赤茶けていた大地は緑に変わり、遊具施設が備えられ、歩道に沿って街路樹と花が植えられている。

『……作業は順調……外部委託労働者も適切な労働をしている……』

 この先ワーカーの福利厚生が改善されることに大きな満足感を覚えつつ、一人ごちる。

『……これなら次の長期休暇に間に合いそう……さて……そろそろ島とこの保養所を……繋いでおかないと……』

 保養所はユニオンの一部である。一部であるからには、市民は負担なく自由に行き来出来るようにならなければならない。それが彼女の考えだ。
 θから聞いた話によれば、一月ほど後にジェオルジで郷祭をやるらしい。ワーカーたちはそれに参加したがっている。だからそれまでには、是非ちゃんと繋いでおきたい。前のように自分と一緒に転移させるやり方だと、どうしても多く力を消耗してしまう。

『……とはいえここと島では格段に距離が開くから……調整には少し手間取りそうね……』

 建造物の壁を擦り抜け地上に降りてきたマゴイは、建設地の一角に向かう。
 そこにはぽつんと黒い板が立っていた。全面すべすべ、とっかかりというものがない。
 近くにいた作業員が近づいてくる彼女に気づき、挨拶をした。

「あ、マゴイ様いらしてたんですか。送られてきた壁の据え付けが終わりましたが――どうしましょうか」

『……ご苦労様……ここからの調整は私がするので……あなたは休憩をとってちょうだい……』

 そう言ってマゴイは板に手を当てた。
 方形の幾何学模様が板の全面に浮かび上がる。

『……まず大まかなポイント合わせを……座標軸894……3……7……8……』

 板の表面に切れ込みが入る。こちら側から向こう側に向かって開いて行く。
 マゴイはそこから顔を出し、首を傾げた。

『……ン……?』


●クリムゾンウェストの南方大陸のどこか


『……それでは皆さん……私についてきて……』

 保養所建設現場に呼び出されたハンターたちはマゴイについて、黒い扉をくぐった。
 その先にあったのは――見渡す限り一面の砂丘。
 砂漠かと思ったが、それにしては空気に若干の湿り気がある。第一さほど暑くもない。
 カチャが聞く。

「ここはー……どこなんですか?」

『クリムゾンウェスト……の南方大陸のどこか……』

「大ざっぱですね」

『……仕方ないのよ……これまでのデータにはなかった土地だから……』

「なかったって?」

『……多分この土地は……エバーグリーンからこの世界に、新しく取り込まれたのだと思う……この星のガイアエレメントが引き込んだものと……』

 そこで砂丘の向こうから頭が現れた。
 続いてもう1つ更にもう1つ。総勢20。耳も髪もない尖った顔。全身を覆う緑色の鱗。裂けた口。長い尻尾。リザードマンだ。
 手に手に石槍を構え近づいてきた。口々にキュ、キッと言う高い鳴き声を立てて。

「えっと、なんだかあの人たち怒ってません?」

『……どうもそのようね……』

 何か言っているらしいが分からない。マゴイはウォッチャーを出した。

『……ウォッチャー……彼らの言語体系をスキャンして……』

《承知いたしました、マゴイ》

 ウォッチャーはスキャンする。リザードマンの言葉を翻訳する。
 すると、大体こういう意味のことを言っているのが判明した。

「我々の部落に砂を降らせた悪い魔法使いは、お前たちか!」

「孵化場埋もれた、今年の卵全部埋もれた、どうしてくれる!」


解説

補足説明

これは、エバーグリーンから転送されてきた土地を探索するシナリオです。

探索の前に土地のリザードマンたちの誤解を解いて、衝突しないようにしましょう。
リザードマン語が話せなくても、マゴイさんがちゃんと通訳してくれますので、話し合いは可能です。
リザードマン部落のうち転送された土地の下敷きになったのは、孵化場だけです。居住地域の大半は無事です。死んだ者もいません。ただ今年孵化するはずだった卵が全滅しました。そのため怒り心頭です。


PL情報となりますが、転送されてきた土地はかつてユニオンの居住区域があった場所です。
探してみれば、建造物の残骸を発見することが出来ます。マゴイさんは使えそうな物は全部ユニゾンに持って帰りたい所存であります。

ユニオン保養所建設についての詳細を知りたい方は、リプレイ『立ち退いていただきます』をご覧ください。

マスターより

KINUTAです。

クリムゾンウェストによる異世界取り込み作戦は、続いているみたいです。

関連NPC

  • 荷を運ぶ者
    カチャ・タホ(kz0150
    人間(クリムゾンウェスト)|13才|女性|聖導士(クルセイダー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2018/05/16 00:51

参加者一覧

  • 征夷大将軍の正室
    天竜寺 詩(ka0396
    人間(蒼)|18才|女性|聖導士
  • タホ郷に新たな血を
    メイム(ka2290
    エルフ|15才|女性|霊闘士
  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師
  • ジルボ伝道師
    マルカ・アニチキン(ka2542
    人間(紅)|20才|女性|魔術師
  • 秘剣──瞬──
    多由羅(ka6167
    鬼|21才|女性|舞刀士
  • 我が辞書に躊躇の文字なし
    ルベーノ・バルバライン(ka6752
    人間(紅)|26才|男性|格闘士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/05/08 09:50:42
アイコン 相談卓だよ
天竜寺 詩(ka0396
人間(リアルブルー)|18才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2018/05/10 16:05:39
アイコン 質問卓だよ
天竜寺 詩(ka0396
人間(リアルブルー)|18才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2018/05/09 21:21:42