ゲスト
(ka0000)
思い込みの激しいホラ吹き少年
マスター:きりん

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在7人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/05/14 12:00
- リプレイ完成予定
- 2018/05/23 12:00
オープニング
●襲撃
それは突然、夜明け前に始まった。
異常を知らせる村の鐘が盛んに鳴らされる音でアルステフが目覚めて家を飛び出した時には、既に彼が生まれた村は炎に包まれていた。
見慣れた風景は見る影も無く、いつも歩く道には見知った人間が倒れている。
「大丈夫ですか!?」
近所に住んでいた村人の顔をその中に見つけて駆け寄ったアルステフは、既にその村人が絶命していることを知った。
「何が……あったんだ……」
死体を前に放心するアルステフの元へ、両親が慌てた様子で走ってくる。
「アルステフ!」
「外は危険よ、早くこっちへ!」
両親たちはアルステフを地下の食料庫に避難させると、再び外に出て行こうとする。
「父さんと母さんは村を守らねばならん。村長がハンターズソサエティに使いを送った。お前は事が収まるまで隠れていろ!」
「ぼくだってもう十六だ! 守られるだけの子どもじゃない! それにこういう時こそ、騎士は人のために戦うものだろ!」
「まだそんなホラ話を信じてるのか! ええい、時間がない、とにかくじっとしているんだぞ!」
結局アルステフは食料庫に押し込められ、両親を止めることができなかった。
外からは、争う物音や誰かの悲鳴がひっきりなしに聞こえてくる。
まるでその悲鳴が両親のもののように聞こえるのが恐ろしくて、それらがぴたりと止み、静寂が戻ってきても、アルステフは動けなかった。
あんなに威勢の良い事をいったのに、アルステフは恐怖を克服して食料庫を飛び出すということが、どうしてもできなかった。
狭い食料庫に潜むアルステフの耳には、もう異常な物音は何も聞こえない。
しばらくしてようやく決心がついたアルステフは食料庫を出た。
家の一階は荒れ果てている。
誰かが大立ち回りをしたのか、家族皆で使っていたテーブルが真っ二つに割れ、椅子もばらばらになってただの木屑と化していた。
荒れ果てた室内には、アルステフを守ろうと抵抗した両親の死体。その側に、見慣れぬ剣が突き刺さっていた。
●少年の夢
いくつも並んだ墓標を前に、アルステフは佇んでいた。
全て、アルステフが埋葬した。
ハンターは間に合わなかった。
村の生き残りはアルステフだけ。惨劇を知る者はまだ、アルステフの他に誰もいないのかもしれない。
独りであることを自覚する。
アルステフには夢があった。
没落した家を再興し、再び騎士となることだ。
「ぼくは、騎士になる」
墓前でまるで自らに誓うかのように、アルステフは呟いた。
「誰が見ても恥ずかしくないような、立派な騎士になってやる。そして、村を滅ぼした犯人を見つけ出す。絶対に」
当然、アルステフの決意に意味はない。
祖父も父もアルステフも、生まれた頃から平民だった。
騎士の家系だったのは、家系図を遡っても分からないくらい、遠い昔だと聞いている。
そもそもアルステフが聞いたのも口伝で、うちのご先祖様は騎士だったかもしれないと語り継ぐだけの、証拠も何もない与太話。
──騎士になるなんて、できるはずがない。いつまで夢を見てるんだ。自分の身の程を弁えろ。
かつて父親にそう諭されたことがった。
「違う」
──平民も悪いもんじゃないぞ。
幼い頃、存命だった祖父にそう頭を撫でられたことがあった。
「知ってるさ」
──平凡に生きなさい。夢ばかり見たって、いいことはないわ。
「……それで、ぼくは結局誰も守れなかったじゃないか」
ぽたりと、地面に雫が落ちる。
たちまち雫は増えていった。
腰に佩くのは、両親を殺めた、顔も分からぬ輩が置いていった敵の剣。
仇の剣に命を預け、張りぼての自称少年騎士は往く。
●思い込みの果てに
過去を語った少年は、村が滅ぼされたにも関わらず、何故か自慢げな表情だった。
「というわけなんです」
少年は丸々と太っていて、とてもではないが凄惨な過去があった直後とは思えない、のほほんとした顔立ちをしている。
というか、あなたたちはその滅んだ村で死んだはずの彼の両親の依頼で、ハンターズソサエティからやってきたのだ。
実際、村を訪れた際に対面して頼まれている。ホラ吹き癖があって思い込みの強い息子が一人で村を出て、森に出かけてしまった。どうか危険な目に遭う前に連れ戻して欲しい、と。
いたって平和なとても長閑な村だった。
一体どういうことなのか。
案の定少年はゴブリンの群れに襲われており、助けがなければ死んでいただろう。
まさに間一髪だった。
「ぼくは騎士になりたいんです。あなたたちってハンターですよね。ぼくと戦って下さい」
あなたたちは断った。
手合わせなどせずとも、勝敗は分かりきっている。あなたたちはハンターで、彼は一般人だ。両者の差は埋め難い差となって隔絶しているのだから。
「特に何かを指導する必要はありません。ぼくは天才なんです。報酬はこれくらいでどうでしょう」
懐からアルステフが取り出したのは、いくばくかの貨幣。世界中に流通しているのと同じ、ごく一般的な通貨だ。
少ない額とはいえ、特に準備をすることなくこの場で行う依頼としては、妥当な値段ではあった。
彼を連れ戻さなければならないのだが、どうもこのままでは梃子でも動かなさそうな様子だ。
無理やり連れ戻すべきだろうか。いや、へそを曲げられるのも面倒くさい。
それに、依頼二つ分の報酬を一度に受け取れると考えれば、決して悪い依頼でもない。
場所はどこにするか相談を始めるあなたたちに、アルステフはここで今すぐ始めたいと述べた。
今あなたたちがいる場所は、深い森の中。
どうしてこんな場所に来たのかとあなたたちが問うと、彼はふんぞり返った。
「天才ですから。自分を追い込めば追い込むほど早く、強くなれるんです」
当然、そんな事実はない。
幸い、一箇所だけ木々が開けた場所があった。
日が当たる分下草が生い茂っていたが、手早く刈ってみるとちょうどいい天然の闘技場になる。
大体広さは二十メートルほどの円形で、一般人であるアルステフが戦うには十分な広さだ。
誰からアルステフと戦うか決める段になって、アルステフが不思議そうな顔をする。
「一度に全員と戦うのでは駄目なのですか?」
思わずあなたたちは苦笑いした。さすがにハンターを舐めすぎだ。
順番を決めて、あなたたちのうち最初の一人がアルステフと相対する。
「ぼくの本気を見せてあげます。あなたも本気で戦って下さい。手加減なんてしたら承知しませんよ」
腰の剣を引き抜き、アルステフが構える。
当然仇の剣などではない、ただの剣である。
木々と動物たちを観客に、あなたたちの奇妙な戦いが始まった。
それは突然、夜明け前に始まった。
異常を知らせる村の鐘が盛んに鳴らされる音でアルステフが目覚めて家を飛び出した時には、既に彼が生まれた村は炎に包まれていた。
見慣れた風景は見る影も無く、いつも歩く道には見知った人間が倒れている。
「大丈夫ですか!?」
近所に住んでいた村人の顔をその中に見つけて駆け寄ったアルステフは、既にその村人が絶命していることを知った。
「何が……あったんだ……」
死体を前に放心するアルステフの元へ、両親が慌てた様子で走ってくる。
「アルステフ!」
「外は危険よ、早くこっちへ!」
両親たちはアルステフを地下の食料庫に避難させると、再び外に出て行こうとする。
「父さんと母さんは村を守らねばならん。村長がハンターズソサエティに使いを送った。お前は事が収まるまで隠れていろ!」
「ぼくだってもう十六だ! 守られるだけの子どもじゃない! それにこういう時こそ、騎士は人のために戦うものだろ!」
「まだそんなホラ話を信じてるのか! ええい、時間がない、とにかくじっとしているんだぞ!」
結局アルステフは食料庫に押し込められ、両親を止めることができなかった。
外からは、争う物音や誰かの悲鳴がひっきりなしに聞こえてくる。
まるでその悲鳴が両親のもののように聞こえるのが恐ろしくて、それらがぴたりと止み、静寂が戻ってきても、アルステフは動けなかった。
あんなに威勢の良い事をいったのに、アルステフは恐怖を克服して食料庫を飛び出すということが、どうしてもできなかった。
狭い食料庫に潜むアルステフの耳には、もう異常な物音は何も聞こえない。
しばらくしてようやく決心がついたアルステフは食料庫を出た。
家の一階は荒れ果てている。
誰かが大立ち回りをしたのか、家族皆で使っていたテーブルが真っ二つに割れ、椅子もばらばらになってただの木屑と化していた。
荒れ果てた室内には、アルステフを守ろうと抵抗した両親の死体。その側に、見慣れぬ剣が突き刺さっていた。
●少年の夢
いくつも並んだ墓標を前に、アルステフは佇んでいた。
全て、アルステフが埋葬した。
ハンターは間に合わなかった。
村の生き残りはアルステフだけ。惨劇を知る者はまだ、アルステフの他に誰もいないのかもしれない。
独りであることを自覚する。
アルステフには夢があった。
没落した家を再興し、再び騎士となることだ。
「ぼくは、騎士になる」
墓前でまるで自らに誓うかのように、アルステフは呟いた。
「誰が見ても恥ずかしくないような、立派な騎士になってやる。そして、村を滅ぼした犯人を見つけ出す。絶対に」
当然、アルステフの決意に意味はない。
祖父も父もアルステフも、生まれた頃から平民だった。
騎士の家系だったのは、家系図を遡っても分からないくらい、遠い昔だと聞いている。
そもそもアルステフが聞いたのも口伝で、うちのご先祖様は騎士だったかもしれないと語り継ぐだけの、証拠も何もない与太話。
──騎士になるなんて、できるはずがない。いつまで夢を見てるんだ。自分の身の程を弁えろ。
かつて父親にそう諭されたことがった。
「違う」
──平民も悪いもんじゃないぞ。
幼い頃、存命だった祖父にそう頭を撫でられたことがあった。
「知ってるさ」
──平凡に生きなさい。夢ばかり見たって、いいことはないわ。
「……それで、ぼくは結局誰も守れなかったじゃないか」
ぽたりと、地面に雫が落ちる。
たちまち雫は増えていった。
腰に佩くのは、両親を殺めた、顔も分からぬ輩が置いていった敵の剣。
仇の剣に命を預け、張りぼての自称少年騎士は往く。
●思い込みの果てに
過去を語った少年は、村が滅ぼされたにも関わらず、何故か自慢げな表情だった。
「というわけなんです」
少年は丸々と太っていて、とてもではないが凄惨な過去があった直後とは思えない、のほほんとした顔立ちをしている。
というか、あなたたちはその滅んだ村で死んだはずの彼の両親の依頼で、ハンターズソサエティからやってきたのだ。
実際、村を訪れた際に対面して頼まれている。ホラ吹き癖があって思い込みの強い息子が一人で村を出て、森に出かけてしまった。どうか危険な目に遭う前に連れ戻して欲しい、と。
いたって平和なとても長閑な村だった。
一体どういうことなのか。
案の定少年はゴブリンの群れに襲われており、助けがなければ死んでいただろう。
まさに間一髪だった。
「ぼくは騎士になりたいんです。あなたたちってハンターですよね。ぼくと戦って下さい」
あなたたちは断った。
手合わせなどせずとも、勝敗は分かりきっている。あなたたちはハンターで、彼は一般人だ。両者の差は埋め難い差となって隔絶しているのだから。
「特に何かを指導する必要はありません。ぼくは天才なんです。報酬はこれくらいでどうでしょう」
懐からアルステフが取り出したのは、いくばくかの貨幣。世界中に流通しているのと同じ、ごく一般的な通貨だ。
少ない額とはいえ、特に準備をすることなくこの場で行う依頼としては、妥当な値段ではあった。
彼を連れ戻さなければならないのだが、どうもこのままでは梃子でも動かなさそうな様子だ。
無理やり連れ戻すべきだろうか。いや、へそを曲げられるのも面倒くさい。
それに、依頼二つ分の報酬を一度に受け取れると考えれば、決して悪い依頼でもない。
場所はどこにするか相談を始めるあなたたちに、アルステフはここで今すぐ始めたいと述べた。
今あなたたちがいる場所は、深い森の中。
どうしてこんな場所に来たのかとあなたたちが問うと、彼はふんぞり返った。
「天才ですから。自分を追い込めば追い込むほど早く、強くなれるんです」
当然、そんな事実はない。
幸い、一箇所だけ木々が開けた場所があった。
日が当たる分下草が生い茂っていたが、手早く刈ってみるとちょうどいい天然の闘技場になる。
大体広さは二十メートルほどの円形で、一般人であるアルステフが戦うには十分な広さだ。
誰からアルステフと戦うか決める段になって、アルステフが不思議そうな顔をする。
「一度に全員と戦うのでは駄目なのですか?」
思わずあなたたちは苦笑いした。さすがにハンターを舐めすぎだ。
順番を決めて、あなたたちのうち最初の一人がアルステフと相対する。
「ぼくの本気を見せてあげます。あなたも本気で戦って下さい。手加減なんてしたら承知しませんよ」
腰の剣を引き抜き、アルステフが構える。
当然仇の剣などではない、ただの剣である。
木々と動物たちを観客に、あなたたちの奇妙な戦いが始まった。
解説
●概要
戦闘シナリオです。
順番を決めて、一人ずつNPCと一対一で戦ってください。外野が回復やバフデバフで援護をするのは構いませんが、死なせてはいけません。
全力で手加減してください。でないと一般人なので簡単に死んでしまいます。ただし、戦っている最中に見て分かるような露骨な手加減は見抜かれて怒られます。ばれないようにこっそりやりましょう。
こまめに回復してあげてください。彼は回復手段を持っていません。回復なしでは死ぬ可能性があります。でも気付かれたら怒られるので、これもやっぱりこっそりやりましょう。
使う姿を目にしさえしなければ、細かいことは気にせずすぐ調子に乗る性質なのでPCが何をしていてもきっと気付きません。
ただし彼の機嫌はあまり損ねるべきではありません。何故なら彼は依頼人だからです。
●達成条件
・全員がNPCと戦い、彼を殺さずに勝利した後、村に連れて帰る
●戦場
森の中にある、即席で作った直径二十メートルの円形闘技場です。
下草が刈り取られ、戦いやすくなっています。
PCは森の中に入ることもできますが、NPCは円形闘技場からは出ません。
周りの森は木々が立ち並び、視界が悪く地面には木の根も張っています。
●NPC
○アルステフ……一人
身長百六十センチ。体重七十ニキロ。小太りの体型です。
一般人です。剣を装備しています。特別なスキルは何も持っていません。特別な防具も装備していません。村人が着る普通の服を着ています。
曲りなりにも人ですのでそれなりにタフですが、まともに戦えば駆け出しハンターが相手でも一撃で生命力が全損しかねないレベルです。でも自覚がありません。
●ギミック
○森の木々……円形闘技場の回りを囲んでいます。身を隠している間の行動はNPCに気付かれにくくなります。隠れている時間が長いほど発見されやすいです。
戦闘シナリオです。
順番を決めて、一人ずつNPCと一対一で戦ってください。外野が回復やバフデバフで援護をするのは構いませんが、死なせてはいけません。
全力で手加減してください。でないと一般人なので簡単に死んでしまいます。ただし、戦っている最中に見て分かるような露骨な手加減は見抜かれて怒られます。ばれないようにこっそりやりましょう。
こまめに回復してあげてください。彼は回復手段を持っていません。回復なしでは死ぬ可能性があります。でも気付かれたら怒られるので、これもやっぱりこっそりやりましょう。
使う姿を目にしさえしなければ、細かいことは気にせずすぐ調子に乗る性質なのでPCが何をしていてもきっと気付きません。
ただし彼の機嫌はあまり損ねるべきではありません。何故なら彼は依頼人だからです。
●達成条件
・全員がNPCと戦い、彼を殺さずに勝利した後、村に連れて帰る
●戦場
森の中にある、即席で作った直径二十メートルの円形闘技場です。
下草が刈り取られ、戦いやすくなっています。
PCは森の中に入ることもできますが、NPCは円形闘技場からは出ません。
周りの森は木々が立ち並び、視界が悪く地面には木の根も張っています。
●NPC
○アルステフ……一人
身長百六十センチ。体重七十ニキロ。小太りの体型です。
一般人です。剣を装備しています。特別なスキルは何も持っていません。特別な防具も装備していません。村人が着る普通の服を着ています。
曲りなりにも人ですのでそれなりにタフですが、まともに戦えば駆け出しハンターが相手でも一撃で生命力が全損しかねないレベルです。でも自覚がありません。
●ギミック
○森の木々……円形闘技場の回りを囲んでいます。身を隠している間の行動はNPCに気付かれにくくなります。隠れている時間が長いほど発見されやすいです。
マスターより
皆さんこんにちは。あるいは初めまして。
今回のシナリオを担当させていただきますきりんと申します。
冒頭からいきなりホラ吹き全開なアルステフ君ですが、あんまり嫌いにならないであげてください。
彼のコンセプトとしては、うざ可愛いを意識しています。
よろしければ楽しんで下さいね。
今回のシナリオを担当させていただきますきりんと申します。
冒頭からいきなりホラ吹き全開なアルステフ君ですが、あんまり嫌いにならないであげてください。
彼のコンセプトとしては、うざ可愛いを意識しています。
よろしければ楽しんで下さいね。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/05/15 11:24
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
作戦相談&順番希望 ミリア・ラスティソード(ka1287) 人間(クリムゾンウェスト)|20才|女性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2018/05/13 22:36:54 |
|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/05/13 19:38:22 |