• 戦闘

招かざる客の狂詩曲

マスター:三田村 薫

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在4人 / 3~4人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2018/05/12 12:00
リプレイ完成予定
2018/05/21 12:00

オープニング

●オフィス職員の優雅な休日
 やあ、こんにちは。僕はハンターオフィスで受付と依頼の説明をしている職員さ。もしかしたら知ってる人もいるかな? 教会の雑魔討伐とか、雨漏り店舗解体とか、麦畑の依頼とか斡旋してたんだけど。
 僕だっていつもオフィスに缶詰めって訳じゃない。たまには休暇を取って旅行することもある。人間気分転換が大切だからさ。

 まあ、旅行先で雑魔に囲まれるってことも想定しないといけないんだけどね。

 正確に言えば、最初は雑魔じゃなくて強盗だった。繁盛している宿に押し入って、ロビーにいる客を刃物で脅しに掛かったのだ。覚醒者じゃないことは一目瞭然だ。覚醒者なら、魔導銃をぶっ放すなり、スキルで花瓶でも割って見せれば誰も逆らわない。少なくとも僕は投降する。そうしないと言うことは扱えないと言うことだ。
 とはいえ、ほとんどが一般人で、戦いの経験もないような客と宿の従業員では、刃物だけでも十分な脅威だ。お客様の中にハンターか、せめて覚醒者の方はいらっしゃいませんか? やけっぱちになって叫びたいくらいだった。その時だった。

 裏口から悲鳴がした。

●招かざる客
 強盗たちの顔色が変わって、一人が裏口に走った。すぐに彼は戻ってきて、裏口を見張っていた仲間の一人が、そこで死んでいることを伝えた。死体は切り裂かれたような状態であること、動物らしき血の足跡が宿の周りについていることを伝える。
 それからは、面白いように強盗の数は減っていった。外の様子を見てくる、と言って出た奴は皆帰らぬ人になった。断末魔だけは聞こえてくるから、そいつらが無事でないことは全員が悟った。
 やがて、最初に五人いた強盗は、最後の一人になった。ボスだった彼は真っ青になっている。いつの間にか、客と彼の間には、奇妙な連帯感が生まれていた。
「もう、やめろ」
 宿の主人が言う。
「あんた、死ぬとわかって行くことはねぇ。これだけ悲鳴があがってるんだ。町の人間がハンターオフィスに通報してる」
「し、しかし……皆可愛い弟分なんだ……それを放っとけってのか」
「弔いはことが済んだあとだ」
 主人はそう言うと、壁に掛けてあった剣を取った。
「ハンターが駆けつけるまで、俺がここを守る。お客人方、すまないが、もう少し辛抱してくれたまえ」
「え、ご主人覚醒者?」
 僕が思わず尋ねると、主人はにやっと笑って見せた。
「ああ。本業はこっちだがな。暇な時期はハンター稼業で糊口をしのいでる。素人相手に覚醒者が打って掛かったんじゃ死にかねないと思って黙ってたんだが……」
 強盗を見ると、彼は真っ青になってうなだれていた。なんと言うか、運が良いのか悪いのかわからない男だ。覚醒者のいる宿に強盗して、雑魔に囲まれて、でも覚醒者の宿だからそれなりに安心できるっていうのが……。
「ちょっと様子を見てくるとしよう」
「待ってよ。ご主人まで死んじゃうよ」
 僕が止めると、彼は片目をつぶって上を指した。
「二階からさ。むざむざ死ぬような真似はしないよ」
「じゃ、じゃあ俺は戸締まりを……」
「そうしてくれたまえ」
 そうして、宿の主人は二階へ、強盗のボスはふらふらと裏口に向かって行った。誰も止めなかった。逃げ出したら彼の運の尽きだから、逃げることはないと踏んでいたのだ。

 しかし、そこからが本番だった。悲鳴が上がって、僕たちは身構えた。女の子が泣き出すのを、母親がなだめる。
「うわああ! うわああ!!!」
 強盗は走って戻ってきた。
「あ、あいつは!?」
「まだ二階だけど」
 僕が言うと、強盗は信じられないことを言う。
「あ、足跡が……血の足跡が中に入ってるんだよ!」
 できるものなら気絶したかった。

●血の足跡
「三匹だ」
 宿の主人は二階から戻ってきて、僕たちに告げた。
「四匹だよ……」
 強盗が言って、主人はため息を吐いた。
「入っていたか……客人方、すまないが二階にあがって欲しい。一階は危険だ」
「それは了解したけど、どんな見た目か教えて欲しい」
 僕が言うと、主人は簡単にその特徴をまとめて聞かせた。いわく、それはダチョウに似ていたが、足にかぎ爪らしきものがついていたこと。いわく、羽に金属光沢があること。いわく、外には三匹いること。いわく、三匹とも血まみれだったこと。
 強盗によれば、足跡の主は裏口から玄関に入ると、厨房の中に入った。そっと覗いたところ、厨房の入り口に置いてあるマットに血は付いており、どうやらそこで拭き取られてしまっているので、その後の足跡は追えなかったそうだ。
「ようし、全員二階に上がりたまえ」
「ご主人、無茶はするなよ」
「わかってるよ。おい、お前もだ」
「お、俺も……!?」
 言われた強盗が驚いて主人を見る。
「このクソ狭いところで闘狩人が雑魔と戦ってみろ。巻き添え食って死ぬぞ」
「彼の言うとおりだ。お前も僕たちと一緒だよ」
 僕も申し添えると、強盗はうろたえたように僕と主人を見た。そして、頷いた。
「わ、わかった……」
「よし、決まりだ。全員上がれ」
「ご主人、あなたも危なくなったら上がれよ。残りが入ってこない保証もない」
「もちろんそうするさ。だが、俺はあの一匹はうっかり入ってきたって公算が高いと思うね。本来なら外に出てきた獲物を襲うんだろう」
「馬鹿ってほんと迷惑」
 僕が吐き捨てると、主人は笑った。

●ハンターオフィスにて
「ハンターがやってる宿に強盗が入ったが、後から来た雑魔によって全滅したそうだ」
 オフィスの中年の職員はやれやれと首を横に振った。
「ハンターじゃなくて、雑魔に命を取られたと言うのが涙を誘うね。凶暴なダチョウのような姿をしたのが四匹視認されていたが、あとで三匹になったそうだ。中に入ったのか、はたまた主人にやられたのかはわからない。足に鋭いかぎ爪、羽はなんだかナイフのようだったそうだよ。充分気をつけてくれ」
 そして、彼はオフィスの中を振り返った。休暇中なのか、人が座っていない、片付いた席がある。
「……あいつが旅行に行ったの、確かこの町じゃなかったかなぁ……ま、そうタイミング良くオフィス職員が事件に巻き込まれてるなんて、小説みたいなことはないよな、はは」
 事実は小説より奇なりとはよく言ったものである。

解説

●目的
宿泊施設周辺に出没したダチョウ型雑魔の討伐と、宿泊客、並びに従業員の安全確保

●ダチョウ雑魔について
体高2メートル程度。足には鉤爪がついており、蹴りでもれなく斬りつけもついてきます。また羽も刃物の様に鋭いので近接戦闘には注意が必要でしょう。対して、くちばしはそこまで脅威ではありませんがつつかれたら相応に痛くはあります。
瞬発、近接威力は高いですが、命中はやや低めです。
外に3体、中に1体います。

●宿泊施設と客について
収容人数20人の宿に18人が宿泊していました。現在は出かけている客もいて12人と、主人入れた従業員4名が残っています。
犠牲になった4人の強盗の遺体は、裏口のすぐ外に1人、少し歩いた周辺に3人です。
裏口から少し入ってすぐの所に厨房、その先に事務室、スタッフ休憩室、仮眠室があり、その先を進むとOPで登場したロビーになります。
ロビーの広さは5スクエア×4スクエアです。玄関入ったところから見て左に2階への階段があります。
OPを語ったオフィス職員(休暇中)は一般人なので援護は不可能ですが、ご希望があれば2階から応援します。
客と従業員の生死は、依頼の成否に影響します。

●生き残っている強盗について
客に混ざって宿の二階で怯えています。通報を受けたオフィスでは、この強盗の生存は確認されていません。弓の心得があるので万が一の時は二階から援護するかもしれません。覚醒はしていません。
この強盗の生死は、依頼の成否に影響しません。

●宿の主人について
本業宿泊施設経営・副業ハンターの闘狩人です。
強打、堅守、ソウルエッジを習得しています。

マスターより

こんにちは三田村です。
ゴールデンウィークに特に予定のないマスターです。皆様はいかがお過ごしでしょうか?
OPを語る職員は、実際に出した依頼で内容説明に使ったNPCですが、初めましての方も大歓迎です。よろしければこれを機にごひいきにして頂ければ幸いです。
ご参加お待ちしています!
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2018/05/19 04:02

参加者一覧

  • 戦神の加護
    アデリシア・R・時音(ka0746
    人間(紅)|26才|女性|聖導士
  • 世界は子供そのもの
    エラ・“dJehuty”・ベル(ka3142
    人間(蒼)|30才|女性|機導師
  • ベゴニアを君に
    マリィア・バルデス(ka5848
    人間(蒼)|24才|女性|猟撃士

  • レーゲル・ストラウフェン(ka7201
    オートマトン|30才|男性|聖導士
依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
エラ・“dJehuty”・ベル(ka3142
人間(リアルブルー)|30才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2018/05/10 10:40:35
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/05/09 03:44:50