ゲスト
(ka0000)
愛しのポンコツ姉上
マスター:凪池シリル

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在5人 / 3~5人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 寸志
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/05/11 19:00
- リプレイ完成予定
- 2018/05/20 19:00
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
「うーん?」
ふと気がついて、鍛錬を止める。
姿勢を正し、ぐるりと首を巡らせて、時間を確認。
「可愛い妹ちゃんの帰りが遅くないかなー?」
彼女はそう一人ごちてから、考えるような仕草をする……が、実際そうして考えていたのは、数秒程度だった。
「迎えに行ってあげようか。ハンターオフィスに行ったのは分かってるんだし」
そうして彼女は、のんびりとした仕草で、彼女と妹の暮らす部屋を出ていく。
●
……許せねえ……ハンターの連中を、オレは絶対に許さねえ……。
ハンターオフィスのあるこの街にやって来た男の顔は、暗く澱んでいた。
いや、男、というには若い。少年と言っても良かった。
擦り切れた服装と、やせ細った手足が、日々の暮らしを想像させる。
(アニキ……アニキが居なくなったのはハンターのせいだ……)
所謂、ストリートチルドレンである。彼がアニキと呼ぶ存在は実査の血の繋がりがあるわけでは無く、しかしそれ以上の繋がりで日々を支え合ってきたと、思っている。
その『アニキ』は、かっぱらいを働こうとしたところで居合わせたハンターに取り押さえられ、犯罪者として連行されていった。
狭く、暗い世界しか知らなかった彼にとってそれは、全てを失ったに等しい絶望だったのだ。
(復讐してやる……ハンターたちに……恵まれて、力振りかざしていい気になってるだけの何も知らない連中に……思い知らせてやる……)
思いながら、彼はふらふらと街を彷徨い。
「……すみません。ハンターオフィスは……どちらですか……?」
その辺を歩いていた、己の姿も特に気に留めないような呑気そうな雰囲気の人間を捕まえて話しかける。
「ん? ハンターオフィスなら丁度私もこれから向かおうとしていた所だ。それなら一緒に行こう」
「……ありがとうございます……助かります……」
●
「姉上! 遅くなってすまなかった……姉上ぇぇぇぇぇ!?」
ハンターオフィスでの用事が書類に不備があったとかで予想以上に手間取ってしまった彼女は、それでも急いで帰った部屋に誰も居ないことに悲鳴を上げていた。
「遅くなった時点でもしやと思ったが案の定だ! 何故大人しくしててくれとあれほど言ったのに姉上はぁぁぁ! ……いや、こうしている場合ではないな!?」
彼女は慌ててきた道を引き返す。ハンターオフィスから戻ってきたのだから、引き返せば辿り着くのは当然ハンターオフィスである。
そうして彼女は、一応、とばかりにオフィス内をぐるりと見まわして、まあ、居るわけがないよな、と彼女にとっては当たり前のことを確認して……そうして、叫んだと言っていいほどの声で、その辺の者に声をかけた。
「すまない! どなたか! 姉上を探すのを手伝ってはもらえないだろうか!?」
何人かのお人好しが、何々、どうしたの、という様子でそれでも彼女に近づいてきた。
お姉さんが行方不明? どんな人? 心当たりは? 慌てた言葉の中からそれでも状況を探り当てて、整理のための質問をする。
「う、うむ。姉上はな。我が家に代々継がれる流派の舞刀士で、才能とそれに奢らぬたゆまぬ鍛錬により一流の剣士となった、強いうえに美しい、それはそれは自慢の姉上なのだが」
順番の質問に、彼女は口調を落ち着けて一つ一つ答え始める。落ち着いたのは口調だけなような感じもするが。
「とかく剣一筋に生きることを家も本人も是としてきた故にな。それ以外の……つまり家事だとかそれ以前の生活能力だとかその辺がだな……いや、それはいいんだ。尊敬する姉上の補佐が出来ることは私にとって誉ですらある、が」
彼女はここで、それだけはとばかりにぐっとこぶしを握り締め、肩を震わせて言った。
「今の問題はだ! 中でも特に、方向感覚についてはどうしてそうなる!? と言いたくなるほどに壊滅的なのだ! 姉上は! その上それを全く自覚してくれないのだ!」
はあーっと溜息が彼女から零れた。先ほどの「尊敬する姉上」と言ってからのこの表情の落差である。苦労がしのばれた。
「というわけで心当たりだったな! 状況的にここで事務手続きが遅れた私を迎えに来ようとここに向かおうとしたことは間違いない! だがそんな先入観は捨ててくれ! この辺に居るなどとは思わない方がいい! むしろここに向かおうとして何故それを目指す!? と思う方向を探した方がまだ見込みがある!」
……どんだけだ。
彼女の力説には、不安しかなかった。
●
「あの……本当にこっちで……合ってます……?」
どれほど歩いたのだろう。広い街だが、果たしてこんなに歩くものだろうか。
「んー。大丈夫大丈夫。妹と何回も行った事あるんだし。うん。この景色は見覚えあるし、間違いないよ」
男が声をかけた女性は、そう言って迷いのない足取りで歩いていく。
見覚えのある景色。男にも見覚えがあった。さっき通った気がするという意味で。
……もはや、街の入り口に戻る道すら分からない。男には女性の言葉を信じるしか無かった。
不安が、疲労を加速させる。
──果たして、オフィスにたどり着いたころ、暴れる体力が自分に残っているのだろうか。
伸し掛かる疑問を、彼は復讐の心を燃やすことで振り払おうとしていた。
「うーん?」
ふと気がついて、鍛錬を止める。
姿勢を正し、ぐるりと首を巡らせて、時間を確認。
「可愛い妹ちゃんの帰りが遅くないかなー?」
彼女はそう一人ごちてから、考えるような仕草をする……が、実際そうして考えていたのは、数秒程度だった。
「迎えに行ってあげようか。ハンターオフィスに行ったのは分かってるんだし」
そうして彼女は、のんびりとした仕草で、彼女と妹の暮らす部屋を出ていく。
●
……許せねえ……ハンターの連中を、オレは絶対に許さねえ……。
ハンターオフィスのあるこの街にやって来た男の顔は、暗く澱んでいた。
いや、男、というには若い。少年と言っても良かった。
擦り切れた服装と、やせ細った手足が、日々の暮らしを想像させる。
(アニキ……アニキが居なくなったのはハンターのせいだ……)
所謂、ストリートチルドレンである。彼がアニキと呼ぶ存在は実査の血の繋がりがあるわけでは無く、しかしそれ以上の繋がりで日々を支え合ってきたと、思っている。
その『アニキ』は、かっぱらいを働こうとしたところで居合わせたハンターに取り押さえられ、犯罪者として連行されていった。
狭く、暗い世界しか知らなかった彼にとってそれは、全てを失ったに等しい絶望だったのだ。
(復讐してやる……ハンターたちに……恵まれて、力振りかざしていい気になってるだけの何も知らない連中に……思い知らせてやる……)
思いながら、彼はふらふらと街を彷徨い。
「……すみません。ハンターオフィスは……どちらですか……?」
その辺を歩いていた、己の姿も特に気に留めないような呑気そうな雰囲気の人間を捕まえて話しかける。
「ん? ハンターオフィスなら丁度私もこれから向かおうとしていた所だ。それなら一緒に行こう」
「……ありがとうございます……助かります……」
●
「姉上! 遅くなってすまなかった……姉上ぇぇぇぇぇ!?」
ハンターオフィスでの用事が書類に不備があったとかで予想以上に手間取ってしまった彼女は、それでも急いで帰った部屋に誰も居ないことに悲鳴を上げていた。
「遅くなった時点でもしやと思ったが案の定だ! 何故大人しくしててくれとあれほど言ったのに姉上はぁぁぁ! ……いや、こうしている場合ではないな!?」
彼女は慌ててきた道を引き返す。ハンターオフィスから戻ってきたのだから、引き返せば辿り着くのは当然ハンターオフィスである。
そうして彼女は、一応、とばかりにオフィス内をぐるりと見まわして、まあ、居るわけがないよな、と彼女にとっては当たり前のことを確認して……そうして、叫んだと言っていいほどの声で、その辺の者に声をかけた。
「すまない! どなたか! 姉上を探すのを手伝ってはもらえないだろうか!?」
何人かのお人好しが、何々、どうしたの、という様子でそれでも彼女に近づいてきた。
お姉さんが行方不明? どんな人? 心当たりは? 慌てた言葉の中からそれでも状況を探り当てて、整理のための質問をする。
「う、うむ。姉上はな。我が家に代々継がれる流派の舞刀士で、才能とそれに奢らぬたゆまぬ鍛錬により一流の剣士となった、強いうえに美しい、それはそれは自慢の姉上なのだが」
順番の質問に、彼女は口調を落ち着けて一つ一つ答え始める。落ち着いたのは口調だけなような感じもするが。
「とかく剣一筋に生きることを家も本人も是としてきた故にな。それ以外の……つまり家事だとかそれ以前の生活能力だとかその辺がだな……いや、それはいいんだ。尊敬する姉上の補佐が出来ることは私にとって誉ですらある、が」
彼女はここで、それだけはとばかりにぐっとこぶしを握り締め、肩を震わせて言った。
「今の問題はだ! 中でも特に、方向感覚についてはどうしてそうなる!? と言いたくなるほどに壊滅的なのだ! 姉上は! その上それを全く自覚してくれないのだ!」
はあーっと溜息が彼女から零れた。先ほどの「尊敬する姉上」と言ってからのこの表情の落差である。苦労がしのばれた。
「というわけで心当たりだったな! 状況的にここで事務手続きが遅れた私を迎えに来ようとここに向かおうとしたことは間違いない! だがそんな先入観は捨ててくれ! この辺に居るなどとは思わない方がいい! むしろここに向かおうとして何故それを目指す!? と思う方向を探した方がまだ見込みがある!」
……どんだけだ。
彼女の力説には、不安しかなかった。
●
「あの……本当にこっちで……合ってます……?」
どれほど歩いたのだろう。広い街だが、果たしてこんなに歩くものだろうか。
「んー。大丈夫大丈夫。妹と何回も行った事あるんだし。うん。この景色は見覚えあるし、間違いないよ」
男が声をかけた女性は、そう言って迷いのない足取りで歩いていく。
見覚えのある景色。男にも見覚えがあった。さっき通った気がするという意味で。
……もはや、街の入り口に戻る道すら分からない。男には女性の言葉を信じるしか無かった。
不安が、疲労を加速させる。
──果たして、オフィスにたどり着いたころ、暴れる体力が自分に残っているのだろうか。
伸し掛かる疑問を、彼は復讐の心を燃やすことで振り払おうとしていた。
解説
ハンターオフィスにて、方向音痴の姉が絶対に迷子になっているからと相談されたところからスタートです。
あなたは不憫に思って、探すのを手伝ってあげる気になったのかもしれません。
以下はPL情報。
姉は現在素性不明の男とふらふらと街を彷徨っています。痩せぎすで背が高い男ですが、よく見ると顔立ちは幼く、実際は14歳。
男は幼くして親に捨てられたところを、兄貴分と呼ばれる存在に拾われて、厳しい世の中を、まあ完全にクリーンとは言いませんがそれでも弱者を虐げることや大きな怪我や損害を与えるようなことはせずに、支え合って生きていきました。
が、先日、男が高熱を出したことで、兄貴分は金持ち相手に少々無茶なかっぱらいを敢行、居合わせたハンターに取り押さえられます。厳罰を望んだ金持ちはハンターに金を払って連行を要求、そのまま詳しい事情を語る機会もなく裁きを受けました。
兄貴分は根は悪い男ではなく、自分が犯罪を、そしてへまを犯したのは事実と受け止め、今は反省し懲罰労働を真面目にこなしつつ弟分の身を案じています。
男は今、絶望からハンターのせいだ、と責任を転嫁し、ハンターオフィスでテロを行う事で現実逃避しようとしています。テロ、と言ってもまあ、正直あまり頭も良くないので、その辺の棒きれもって暴れよう、くらいにしか考えていません。
無事姉と男を発見したら、「彼もオフィスに行きたがっている」という話をされるでしょう。何もせずに連れて行ったら、男は暴れようとはしますが無駄に姉に引き回されたせいでヘロヘロになっているのもあって被害0で収束します。
話の持っていき方次第では、そうなる前に違う結末になることもあるでしょう。
どうなるにせよ、あなた方の言動次第で、彼は罰を受けることになるかもしれないし、ならないかもしれません。
結構、フリーシナリオです。あなたの思うように行動してどうぞ。
あなたは不憫に思って、探すのを手伝ってあげる気になったのかもしれません。
以下はPL情報。
姉は現在素性不明の男とふらふらと街を彷徨っています。痩せぎすで背が高い男ですが、よく見ると顔立ちは幼く、実際は14歳。
男は幼くして親に捨てられたところを、兄貴分と呼ばれる存在に拾われて、厳しい世の中を、まあ完全にクリーンとは言いませんがそれでも弱者を虐げることや大きな怪我や損害を与えるようなことはせずに、支え合って生きていきました。
が、先日、男が高熱を出したことで、兄貴分は金持ち相手に少々無茶なかっぱらいを敢行、居合わせたハンターに取り押さえられます。厳罰を望んだ金持ちはハンターに金を払って連行を要求、そのまま詳しい事情を語る機会もなく裁きを受けました。
兄貴分は根は悪い男ではなく、自分が犯罪を、そしてへまを犯したのは事実と受け止め、今は反省し懲罰労働を真面目にこなしつつ弟分の身を案じています。
男は今、絶望からハンターのせいだ、と責任を転嫁し、ハンターオフィスでテロを行う事で現実逃避しようとしています。テロ、と言ってもまあ、正直あまり頭も良くないので、その辺の棒きれもって暴れよう、くらいにしか考えていません。
無事姉と男を発見したら、「彼もオフィスに行きたがっている」という話をされるでしょう。何もせずに連れて行ったら、男は暴れようとはしますが無駄に姉に引き回されたせいでヘロヘロになっているのもあって被害0で収束します。
話の持っていき方次第では、そうなる前に違う結末になることもあるでしょう。
どうなるにせよ、あなた方の言動次第で、彼は罰を受けることになるかもしれないし、ならないかもしれません。
結構、フリーシナリオです。あなたの思うように行動してどうぞ。
マスターより
凪池です。
「なんか最近ダウナー系男子の話ばっかり書いてる気がするから、明るい女の子が活躍する話をしよう」と考えていたような気がする。
我ながら、何か違うなこれは、と思いつつ出来たもんは出来たのでとりあえず出してみます。姉は舞刀士としてはジッサイ強い。今回多分不要な情報でしょうが。
「なんか最近ダウナー系男子の話ばっかり書いてる気がするから、明るい女の子が活躍する話をしよう」と考えていたような気がする。
我ながら、何か違うなこれは、と思いつつ出来たもんは出来たのでとりあえず出してみます。姉は舞刀士としてはジッサイ強い。今回多分不要な情報でしょうが。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/05/16 06:23
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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相談卓 夢路 まよい(ka1328) 人間(リアルブルー)|15才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2018/05/11 00:18:54 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/05/09 23:16:24 |