ゲスト
(ka0000)
きみ、わらう
マスター:サトー

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/12/22 12:00
- リプレイ完成予定
- 2014/12/31 12:00
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
「クレア、ムーア君が来たわよ」
母の声に、ベッドに横たわっていた少女が満面の笑みを浮かべ、上半身を起こした。
とみに寒くなってきた空気に、クレアと呼ばれた少女はぶるりと震えて毛布を引きよせる。
「通してもって、聞くまでもないわね」と、母は苦笑して部屋から出て行った。
程なくして、部屋の扉がノックされる。
こんこん。
聞きなれた優しい音に、少女は幾らかの興奮を抑えて、どうぞ、と告げた。
扉の向こうから姿を見せたのは、クレアと同じ十歳になるあどけない少年。くるんとはねた亜麻色の髪の下で、少年――ムーアは目を細めた。
「今日は元気そうだね」
ムーアの安堵したような声色に、クレアはこくりと小さく頷いた。
ベッドの横に置かれた椅子に腰かけ、ムーアは枕横のウサギの人形を、おやと見つめる。
「今日のお相手はそれ?」
ムーアの尋ねに、クレアは微笑みで応えた。
昨日ムーアが訪れたときは、枕横にはクマの人形がいた。その前の日は、リス。その前の前の日は、モグラ、と枕横の人形は日替わりで交代するのがクレアの常だった。
病気により身体が弱く、一日のほぼ全てを自室で過ごすクレアにとって、その人形たちは何にも勝る親友だ。時に話し相手となり、時に慰め役となり、寂しい一人寝を支えてくれる存在。
クリスマスプレゼントには、手作りの人形をあげようと考えているムーアは、不器用な手先に不安を覚えつつも両手をグーパーと握り開いた。
クレアはウサギの人形を手に取り、優しく微笑みかける。
「そうだ、クレア!」
と、突然ムーアが上げた声に、クレアは驚いて胸に手を当てた。
「あっと、ごめん。急に騒いで」
「ううん、大丈夫。どうしたの?」
クレアは鼓動を落ち着けて、ムーアを見つめる。その瞳にどきりとしたものを感じつつ、ムーアはつい大きくなってしまいそうになる声をなるだけ抑えて伝えた。
「許しが出たんだ」
「?」
首を傾げるクレアの両手を取り、ムーアは笑顔を浮かべた。
「外出の許可が下りたんだよ!」
「ほんとう!?」
扉の向こうで母がくすりと笑う。聞き耳を立てていたのにも構わず、クレアは感激に胸を高鳴らせた。
最後に外出したのは、半年前の誕生日。家族皆で外食をした。それ以来、一度もクレアは家から出ることを許されなかった。運動もろくにできず、食事も、特別な日以外は、健康に良いものをと厳しく制限され、嗜好品は言うに及ばず……。
心臓の病、というのは教えられている。ただ、具体的にどう対処していけば良いのか、というのは、余りよく分かっていないらしい。それがために、父も母も心配が高じてしまうのだ。
両親の気持ちは良く分かっている。けれど――。
「ああ、本当さ。クリスマスの日……二時間だけだけど」
たったの二時間――。
だが、そうであっても、クレアにはこれ以上ない喜びだった。
唯でさえ家の中だけで生活するというのは、心身ともに大きく負担をかけるものであるのに、十歳という本来活発な年頃の子がそのような境遇にあるのは、どれほど辛いものだろうか。
クレアは、二時間と嬉しそうに小さく零す。
それを見て、ムーアはこの幼馴染の少女への仄かな想いを募らせて、その日が特別なものとなって欲しいと心から願った。
●ハンターオフィスにて
「――というわけなんです」
女性職員は滲んだ涙をハンカチで拭う。
友人であるクレアの両親からの依頼だと、職員は鼻声で言った。
「町から出ることは許されていませんので、町内をぶらぶらするつもりらしいんですが、クレアちゃんとムーア君は、特に何かすると決めてはいないようですね。子供ですし、まあ、余り体力も無いでしょうから、二時間歩きっぱなしというわけにはいかないと思いますが。
クレアちゃんは生まれてからほとんど家を出たことはありませんから、それでも楽しめるんでしょう」
何でも物珍しいんでしょうね、と職員は悲しそうに微笑んだ。
「けど、どうせなら何かしてあげたいと、ご両親とムーア君は考えております。何か心に残る思い出をあげたいと」
クリスマスですし、楽しい思い出ならいくらあっても困らないでしょう? と職員が笑った。
「当日はクレアちゃんのご両親とクレアちゃん、それとムーア君の四人で行動するそうです。そこで――」
と、職員がごほんと咳をする。
「みなさんには、何かクレアちゃんが喜びそうな催し物でも開いて欲しいんです。
ご両親の手筈で噴水のある広場に連れていきますので、そこで、何かを……
勿論、催し物以外でも、何かしてあげたいことがあれば、時間の許す限り。
広場に来るのはお昼頃とのことなので、昼食を用意してみるのもいいかもしれませんね。食事の制限も当日は特に無くて良いそうですし、アレルギーの心配も必要ないそうです。
ただ、あまり健康に悪そうなものは喜ばれないでしょうが……。
必要なものがあれば、クレアちゃんのお父さんに言うといいでしょう。
クレアちゃんのお父さんは、町内なら結構顔がきく方ですので、大抵のものは都合をつけてくれるでしょうから。
ムーア君やご家族に当日協力してもらいたいことがあれば、事前にご相談ください。
ムーア君は猫のぬいぐるみを作るのに四苦八苦しているそうなので、事前に打ち合わせが必要なようでしたら、手短にしてあげてくださいね」
当日使える時間は、二時間、いや、移動の時間を除けば、実質一時間から多くても一時間半くらいだろうか。
「クレアちゃんは勿論このことを存じていません。依頼のことは彼女には秘密、ということでお願いしますね」
「クレア、ムーア君が来たわよ」
母の声に、ベッドに横たわっていた少女が満面の笑みを浮かべ、上半身を起こした。
とみに寒くなってきた空気に、クレアと呼ばれた少女はぶるりと震えて毛布を引きよせる。
「通してもって、聞くまでもないわね」と、母は苦笑して部屋から出て行った。
程なくして、部屋の扉がノックされる。
こんこん。
聞きなれた優しい音に、少女は幾らかの興奮を抑えて、どうぞ、と告げた。
扉の向こうから姿を見せたのは、クレアと同じ十歳になるあどけない少年。くるんとはねた亜麻色の髪の下で、少年――ムーアは目を細めた。
「今日は元気そうだね」
ムーアの安堵したような声色に、クレアはこくりと小さく頷いた。
ベッドの横に置かれた椅子に腰かけ、ムーアは枕横のウサギの人形を、おやと見つめる。
「今日のお相手はそれ?」
ムーアの尋ねに、クレアは微笑みで応えた。
昨日ムーアが訪れたときは、枕横にはクマの人形がいた。その前の日は、リス。その前の前の日は、モグラ、と枕横の人形は日替わりで交代するのがクレアの常だった。
病気により身体が弱く、一日のほぼ全てを自室で過ごすクレアにとって、その人形たちは何にも勝る親友だ。時に話し相手となり、時に慰め役となり、寂しい一人寝を支えてくれる存在。
クリスマスプレゼントには、手作りの人形をあげようと考えているムーアは、不器用な手先に不安を覚えつつも両手をグーパーと握り開いた。
クレアはウサギの人形を手に取り、優しく微笑みかける。
「そうだ、クレア!」
と、突然ムーアが上げた声に、クレアは驚いて胸に手を当てた。
「あっと、ごめん。急に騒いで」
「ううん、大丈夫。どうしたの?」
クレアは鼓動を落ち着けて、ムーアを見つめる。その瞳にどきりとしたものを感じつつ、ムーアはつい大きくなってしまいそうになる声をなるだけ抑えて伝えた。
「許しが出たんだ」
「?」
首を傾げるクレアの両手を取り、ムーアは笑顔を浮かべた。
「外出の許可が下りたんだよ!」
「ほんとう!?」
扉の向こうで母がくすりと笑う。聞き耳を立てていたのにも構わず、クレアは感激に胸を高鳴らせた。
最後に外出したのは、半年前の誕生日。家族皆で外食をした。それ以来、一度もクレアは家から出ることを許されなかった。運動もろくにできず、食事も、特別な日以外は、健康に良いものをと厳しく制限され、嗜好品は言うに及ばず……。
心臓の病、というのは教えられている。ただ、具体的にどう対処していけば良いのか、というのは、余りよく分かっていないらしい。それがために、父も母も心配が高じてしまうのだ。
両親の気持ちは良く分かっている。けれど――。
「ああ、本当さ。クリスマスの日……二時間だけだけど」
たったの二時間――。
だが、そうであっても、クレアにはこれ以上ない喜びだった。
唯でさえ家の中だけで生活するというのは、心身ともに大きく負担をかけるものであるのに、十歳という本来活発な年頃の子がそのような境遇にあるのは、どれほど辛いものだろうか。
クレアは、二時間と嬉しそうに小さく零す。
それを見て、ムーアはこの幼馴染の少女への仄かな想いを募らせて、その日が特別なものとなって欲しいと心から願った。
●ハンターオフィスにて
「――というわけなんです」
女性職員は滲んだ涙をハンカチで拭う。
友人であるクレアの両親からの依頼だと、職員は鼻声で言った。
「町から出ることは許されていませんので、町内をぶらぶらするつもりらしいんですが、クレアちゃんとムーア君は、特に何かすると決めてはいないようですね。子供ですし、まあ、余り体力も無いでしょうから、二時間歩きっぱなしというわけにはいかないと思いますが。
クレアちゃんは生まれてからほとんど家を出たことはありませんから、それでも楽しめるんでしょう」
何でも物珍しいんでしょうね、と職員は悲しそうに微笑んだ。
「けど、どうせなら何かしてあげたいと、ご両親とムーア君は考えております。何か心に残る思い出をあげたいと」
クリスマスですし、楽しい思い出ならいくらあっても困らないでしょう? と職員が笑った。
「当日はクレアちゃんのご両親とクレアちゃん、それとムーア君の四人で行動するそうです。そこで――」
と、職員がごほんと咳をする。
「みなさんには、何かクレアちゃんが喜びそうな催し物でも開いて欲しいんです。
ご両親の手筈で噴水のある広場に連れていきますので、そこで、何かを……
勿論、催し物以外でも、何かしてあげたいことがあれば、時間の許す限り。
広場に来るのはお昼頃とのことなので、昼食を用意してみるのもいいかもしれませんね。食事の制限も当日は特に無くて良いそうですし、アレルギーの心配も必要ないそうです。
ただ、あまり健康に悪そうなものは喜ばれないでしょうが……。
必要なものがあれば、クレアちゃんのお父さんに言うといいでしょう。
クレアちゃんのお父さんは、町内なら結構顔がきく方ですので、大抵のものは都合をつけてくれるでしょうから。
ムーア君やご家族に当日協力してもらいたいことがあれば、事前にご相談ください。
ムーア君は猫のぬいぐるみを作るのに四苦八苦しているそうなので、事前に打ち合わせが必要なようでしたら、手短にしてあげてくださいね」
当日使える時間は、二時間、いや、移動の時間を除けば、実質一時間から多くても一時間半くらいだろうか。
「クレアちゃんは勿論このことを存じていません。依頼のことは彼女には秘密、ということでお願いしますね」
解説
目的:
クレアを喜ばせること。
状況:
広場にはそこここに行きかう人がおりますが、皆さんの為に十分なスペースが確保されていますので、広さ的な心配は不要です。
必要な小道具や下準備などがありましたら、無理のない範囲内で、購入するなり自作するなり借りるなりしてください。費用は依頼者持ちです(あまり高価なものは不可となる場合があります)。
備考:
ご両親は「たまたま」広場へ、クレア・ムーアとともに立ち寄ったという体になっています。
みなさんがハンターであること、依頼を受けたことはクレアには秘匿してください。
※ 目的はクレアが楽しいひと時を過ごせるように、ということですので、OP中にて催し物でも、と言われていますが、必ずしもそうする必要はございません。
また、催し物も皆で一つのことをやられてもいいですし、個別・複数人でやられても構いません。
それ以外にも、例えば屋台を借りてきたり、クレア家の台所を拝借して食事を用意してもいいですし、金魚すくいなどの遊び的なものを行っても良いですし、クレアが快適に観覧できるような配慮をなされてもいいですし、プレゼントを用意してみても構いません。(プレゼントを渡す場合は、依頼のことは秘密ですので、渡しても不自然では無い理由または状況が必要になるかと思います)
基本的にみなさんの自由ですので、失敗を恐れることはありません。
また、下準備・当日の行動、それぞれについて明記するよう、お願いいたします。
クレアを喜ばせること。
状況:
広場にはそこここに行きかう人がおりますが、皆さんの為に十分なスペースが確保されていますので、広さ的な心配は不要です。
必要な小道具や下準備などがありましたら、無理のない範囲内で、購入するなり自作するなり借りるなりしてください。費用は依頼者持ちです(あまり高価なものは不可となる場合があります)。
備考:
ご両親は「たまたま」広場へ、クレア・ムーアとともに立ち寄ったという体になっています。
みなさんがハンターであること、依頼を受けたことはクレアには秘匿してください。
※ 目的はクレアが楽しいひと時を過ごせるように、ということですので、OP中にて催し物でも、と言われていますが、必ずしもそうする必要はございません。
また、催し物も皆で一つのことをやられてもいいですし、個別・複数人でやられても構いません。
それ以外にも、例えば屋台を借りてきたり、クレア家の台所を拝借して食事を用意してもいいですし、金魚すくいなどの遊び的なものを行っても良いですし、クレアが快適に観覧できるような配慮をなされてもいいですし、プレゼントを用意してみても構いません。(プレゼントを渡す場合は、依頼のことは秘密ですので、渡しても不自然では無い理由または状況が必要になるかと思います)
基本的にみなさんの自由ですので、失敗を恐れることはありません。
また、下準備・当日の行動、それぞれについて明記するよう、お願いいたします。
マスターより
首尾よく行きますようお祈りいたします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/12/25 22:10
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/12/19 14:00:06 |
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クリスマスの贈りもの【相談卓】 エイル・メヌエット(ka2807) 人間(クリムゾンウェスト)|23才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2014/12/22 11:31:07 |