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　それは突然で、意外な展開だった。
　バチャーレ村の仲間を救うべく、再び廃坑への突入について相談していたハンター達の元に、村人が息せき切って駆け込んできたのだ。
「た、大変だ！　マリナが……マリナが帰ってきた！！」
　一同は即座に立ち上がる。
「今、畑にいて……なんかいろいろ連れてて……とにかく来てくれ！　やばいんだ！！」
　腰を抜かしかけた男を、村の代表であるサイモン・小川（kz0211）が助け起こす。
「落ち着いて。いったい何があったんだ？　何がやばいんだ？」
「マリナが近づくと、寒さで動けなくなるんだ！　俺は捕まる前に逃げてきたけど、これ以上村に近づいたらまずいよ！！」
　サイモンが困惑した表情でハンター達を見上げる。

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　マリナは畑から逃げ出していく男の背中を、ぼんやりと見送った。
「行ってしまった……」
　それから近くで倒れこんだ二人の女を、困ったように見下ろす。
「寝ちゃったわ」
『友達ではなかったのか？』
　積雪を踏むような音が響く。どうやら笑っているらしい。
「もういいわ。それよりも村に行かなきゃ。皆にいいことを教えてあげるんだから」
『ではこの者たちと一緒に行くが良い。いじめられぬようにな』
　村はずれの大きな木の根元に伏せていた、２体の巨大な白オオカミが体を起こす。木の後ろから、全身真っ白な女が３人、顔をのぞかせる。
「ありがとうございます。白の君」
　マリナが嬉しそうにそう言って、声のほうを振り仰ぐ。木の上からは白の君と呼ばれた「モノ」が枝に腰かけて見下ろしていた。
　一見すると、背の高い痩せぎすの男。
　だがその髪は白く長く、極細の氷柱のようにしゃらしゃら揺れる。
　雪のように白い頬は陶器の人形のようで男とも女ともつかず、薄い唇と瞳はザクロのように赤い。
　首から下を纏うのは古い時代の金属製の鎧だった。だが「それ」が動いても、鎧の音はしないのである。

　不意に、赤い唇が三日月型に割れる。積雪を踏む音。
『ああかわいそうな迷い子よ、悪い奴らが来てしまったな。だが大丈夫だ、お前の行きたいほうへ行くがよい』
　マリナが泣きそうな顔で村の方向を見ると、幾人かの集団がこちらを窺っているようだった。
　よく見知った、眼鏡をかけた男の顔もある。
「サイモン……いいことを教えてあげようと思ったのに。どうしてそんな人たちと一緒なの？」
　子供のように無防備に、マリナがぽろぽろと涙をこぼす。

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　マリナが泣いている。
　そう思った直後、サイモンは膝の力が抜けるように感じた。
「なんだ、これは……！」
　眠い。恐ろしく眠い。
　異常な状態であるとわかっているのに、道端で横になりたい。
「皆さん、お気を……つけ、て……」
　一番大切なのは、貴方達の命。正気のマリナなら、自分のために誰かが傷つくことに耐えられないはずだ。
　サイモンの意識はそこで途切れた。

●状況
前回の内容を受けて、ブフェーラ・ディ・ネーレ、あるは吹雪の歪虚と呼ばれる存在を討伐することになりました。
皆様はそのために依頼を受けて、バチャーレ村で相談中でした。
そこに当のネーレがマリナを伴って村はずれの畑に現れたところです。

周囲は畑。春になったばかりですので、まだ小さな苗などが植わっているか、土を掘り起こした畑ばかりです。
土がフカフカで多少足場は悪いかもしれませんが、畑の被害については考慮不要です。
村はずれを示す大きな木が数本、マリナの背後にあります。
ハンター側は畑にある農作業小屋に来たところで、マリナたちを見つけました。
互いの距離はおよそ１００ｍ。マリナのそばには村人の女性が２名倒れています。
なお、●で区切られた真ん中部分の歪虚とマリナの会話はＰＬ情報になります。

●目的
歪虚が村に入ることを阻止する。（最低クリアライン）
他は対応できた範囲で評価。

●敵情報（吹雪の歪虚以外はすべてＰＣ情報）
・吹雪の歪虚×１　嫉妬の眷属。登場時点では木の上から見物している。スタート時点ではハンターたちからは見えないものとする。
・オオカミ型歪虚×２
　体長２ｍ。牙と爪による近接攻撃の他、吠え声による威圧を使う（回避力低下）。
・陶器人形型歪虚×３
　白いワンピースのようなものを纏い、地につくほども長い白髪を顔の前に垂らしている、女性型の陶器人形のような歪虚。
　鞭と、硬質の手による手刀を使う。いずれも命中すると氷結による行動不能効果。
　また一定の負傷で自身のパーツを切り離し、本体の致命的な破損を防ぐことがある。ただし全身の負傷率が６割を超えると自爆する。
・マリナ
　吹雪の歪虚の契約者。泣いている間は声が届く範囲の歪虚の回避率アップ効果、ハンター達に睡眠による行動不能効果。

●他
これまでの経緯は『白銀のおとぎ話』１～４によります。
サイモンが倒れたので、質問卓は設置不可とします。すみません。

いつもお世話になっております、樹シロカです。

いよいよ吹雪の歪虚が乗り込んできました。
動機は面白半分。マリナの行動と、それに振り回される人間を見るのが楽しいようです。
今回の流れによっては、一戦交える可能性もあります。
危険フラグはつけておりませんが、くれぐれもご注意ください。

今回は広い場所での遭遇で、少し人数を増やしましたので、戦闘には対応しやすくなったと思います。
ですがハンデもいろいろ。それらにうまく対処できた場合には、評価ポイントもアップします。

あと少し、お力をお貸しください。ご参加お待ちしております。