ゲスト
(ka0000)
【CF】泣きじゃくる歌姫
マスター:十野誠

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 6~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/12/21 15:00
- リプレイ完成予定
- 2014/12/30 15:00
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
12月、リアルブルーでは多くの街がどこもかしこもクリスマスに染まるこの時期、クリムゾンウェストでもまた同じようにクリスマスムードに包まれる。
それはここ、崖上都市「ピースホライズン」でも変わらない。
むしろどこもかしこも華やかに、賑やかにクリスマス準備が進められていて。
リアルブルーの街に輝くという電飾の代わりに、ピースホライズンを彩るのは魔導仕掛けのクリスマス・イルミネーション。
立ち並ぶ家や街の飾りつけも、あちらこちらが少しずつクリスマスの色に染まっていく。
特に今年は、去年の秋に漂着したサルヴァトーレ・ロッソによって今までになく大量に訪れたリアルブルーからの転移者たちが、落ち着いて迎えられる初めてのクリスマス。
ハンターとして活躍している者も多い彼らを目当てにしてるのか、少しばかり変わった趣向を凝らす人々もいるようで。
果たして今年はどんなクリスマスになるのか、楽しみにしている人々も多いようだった。
●
教会に音が響く。
大オルガンからはき出される音にあわせて歌われるのは、少年や少女らの合唱曲だ。
繊細な年代の子らの口から紡がれる歌声は、教会の中で響き渡り、更なる広がりを示す。
オルガンの音が更に盛り上がりに連れ、少年少女の声が盛り上がらんとしたところで――指揮棒を振っていた青年が大きく手を振り、その歌声を中断させる。
「あぁ、もう駄目だ! そこの左から3番目の子! もっと出せるだろう!? それに全体的に右につられてる!」
ダメ出しを受けた子らは、沈んだ顔もちを見せつつも、指揮者の声に耳を傾ける。
「いいかい? キミらはこの教会の一員として、リアルブルーの人達と迎えるクリスマスで合唱を披露するんだ。もっと集中しないと。はい、それじゃあ第2節の……」
教会における合唱曲は、その道に携わる者にとり特別とも言える。
特にクリスマスの合唱はその年の締めくくりを飾る一幕でもあり、一般の人に向けた大きな舞台でもある。この日ばかりは日頃教会に足を運ばない者も足を向け、司祭の言葉に耳を傾けるからだ。
この教会では、少年や少女らを広く集めて日頃から訓練を行い、合唱の研鑽を積んできていた。
歌声は響く。先ほど注意された者も、大きく歌い上げ、整った合唱を作り上げる。が。
「ストーップ!」
指揮者の青年は再び腕を振り、彼らの歌声を止めさせた。
「あー、すこし休憩しよう。それぞれで気分転換してくれ」
彼の言葉に子供達は散らばり、それぞれがおしゃべりに興じ始める。
そんな中、青年のもとにオルガンを演奏していた教会のシスターが歩み寄る。
「みんな十分に出来ていると思いますよ? やり過ぎては……」
「分かってる、分かってるんだ。だけど」
「あの子ですか」
彼女の言葉に、青年は口を閉じ、苦い笑みを浮かべる。
「そうだね――彼女と、キミは二人でもあの子らよりも歌えていたんだから」
「なら、そう言って上げれば……」
「そうも行かない。この教会で演るのは合唱だ。あの子がいては、皆がよりかかってしまう」
けれど、と言う青年に、シスターはそっと笑みを浮かべる。
「心配性なんですね、貴方は」
「――また突拍子も無いことを言うね?」
「そうですね、貴方の教え子がライバルになる、なんて事になったら心配しなくても良いでしょうか?」
「また突拍子も無いことをいうね?!」
「ついでにオルガン奏者も……」
「そいつは勘弁してくれ!」
●
ピースホライズン内の住宅街の一角。
そこから聞こえる若いながらも豊かな高い音の歌声は、近くの住人の心を和ませていた。
聞くものの心に残り続けるその歌は、ここ数日はめっきり鳴りを潜めている。
「あの子、大丈夫かしら……」
「なんでも、合唱団を……」
「勿体無いことをするなぁ、あの子の歌を聞きにいってたのに……」
その住宅の中。一人の少女が拗ねた顔でうずくまっている。
「わたしは、歌いたかっただけなのに……」
もっとたくさんの人の前で。
色んな人に聞いてもらいたかった。
だから、教会の合唱団に入ったし、リアルブルーの人達も来ると言う今度の舞台では張り切っていた。
それなのに。
皆と共に歌うはずだった曲――それを歌おうとしたところで、彼女の耳に数日前に指揮者の言葉がよみがえる。
『ごめん。キミがいると合唱にならない。今度は外れてくれないか』
「もう、歌わないもん」
少女の口からは、歌声ではなく。圧し殺した泣き声があがっていた。
●
「皆様、今回はお世話になります」
依頼の詳しい話を聞こうと言うハンター達の前に立つ年若いシスターは、そう言って深くお辞儀をする。
「皆様にご依頼するのは――そうですね。まとめて言うと、傷ついた女の子を慰めて、共に教会の合唱団に勝って欲しい、と言う事ですね」
シスターはにっこりと笑顔を浮かべる。
「あの分からず屋――失礼。頑固な――もとい。頭の固い指揮者に、少しばかり思いやりを覚えさせないといけません」
その為には、かの指揮者が率いる合唱団に勝つ必要があるのだと言う。
とは言え、歌での勝ち負けなど判断が難しい話だ。採点をする人次第で、いくらでも変わってしまう。
小さく咳払いをすると、シスターは改めて話し始める。
「正しくは、あの子が合唱を出来るのだと。彼が指揮者としてもったいない判断をしたのだと。彼にそう感じさせるような曲を披露していただきたい、と言うことです」
それを機に、女の子が再び合唱を出来るようになればなにより。そうでなくても、彼女が歌を唄う事をやめてほしくないのだと、シスターは言葉を続けた。
「女の子の歌声はかなりのものです。単独で歌っても、合唱団が彼女の添え物になるほどです……あの男は、それが問題だと思ったようですが……」
うっすらと浮かんだ青筋は、すぐに再び浮かぶ笑みに隠される。
「私はあちらで演奏をしないといけませんので、演奏も皆様にお願いさせていただきます。楽器はある程度こちらで用意いたします。リアルブルーの方達の使うような楽器――ええと、えれきぎたー、でしたか?そう言ったものはありませんが……」
リアルブルーで言う電子楽器を除く、古くからあるような楽器ならば教会に存在しているとの事だ。
「あぁ、それともう一点。指揮も皆様の内のどなたかにお願いさせていただいても良いでしょうか? そのうえで、教会で用意された曲以外を演りたいと言うのであれば、そちらも問題ありません」
もしかすると、その方が彼女の気分転換になるかもしれないと言い、シスターは懐かしむような顔を浮かべる。
彼女は、元気な歌声をあげ、回りの人に聞いてもらうのが何より好きだったのだと。新しい譜面を渡すと、喜んで勉強をはじめ、少しでも早く歌えるようになろうとしたのだと、シスターは語る。
「余談が過ぎましたね。失礼致しました。もし、よろしければ。皆様、御協力のほどよろしくお願い致します」
12月、リアルブルーでは多くの街がどこもかしこもクリスマスに染まるこの時期、クリムゾンウェストでもまた同じようにクリスマスムードに包まれる。
それはここ、崖上都市「ピースホライズン」でも変わらない。
むしろどこもかしこも華やかに、賑やかにクリスマス準備が進められていて。
リアルブルーの街に輝くという電飾の代わりに、ピースホライズンを彩るのは魔導仕掛けのクリスマス・イルミネーション。
立ち並ぶ家や街の飾りつけも、あちらこちらが少しずつクリスマスの色に染まっていく。
特に今年は、去年の秋に漂着したサルヴァトーレ・ロッソによって今までになく大量に訪れたリアルブルーからの転移者たちが、落ち着いて迎えられる初めてのクリスマス。
ハンターとして活躍している者も多い彼らを目当てにしてるのか、少しばかり変わった趣向を凝らす人々もいるようで。
果たして今年はどんなクリスマスになるのか、楽しみにしている人々も多いようだった。
●
教会に音が響く。
大オルガンからはき出される音にあわせて歌われるのは、少年や少女らの合唱曲だ。
繊細な年代の子らの口から紡がれる歌声は、教会の中で響き渡り、更なる広がりを示す。
オルガンの音が更に盛り上がりに連れ、少年少女の声が盛り上がらんとしたところで――指揮棒を振っていた青年が大きく手を振り、その歌声を中断させる。
「あぁ、もう駄目だ! そこの左から3番目の子! もっと出せるだろう!? それに全体的に右につられてる!」
ダメ出しを受けた子らは、沈んだ顔もちを見せつつも、指揮者の声に耳を傾ける。
「いいかい? キミらはこの教会の一員として、リアルブルーの人達と迎えるクリスマスで合唱を披露するんだ。もっと集中しないと。はい、それじゃあ第2節の……」
教会における合唱曲は、その道に携わる者にとり特別とも言える。
特にクリスマスの合唱はその年の締めくくりを飾る一幕でもあり、一般の人に向けた大きな舞台でもある。この日ばかりは日頃教会に足を運ばない者も足を向け、司祭の言葉に耳を傾けるからだ。
この教会では、少年や少女らを広く集めて日頃から訓練を行い、合唱の研鑽を積んできていた。
歌声は響く。先ほど注意された者も、大きく歌い上げ、整った合唱を作り上げる。が。
「ストーップ!」
指揮者の青年は再び腕を振り、彼らの歌声を止めさせた。
「あー、すこし休憩しよう。それぞれで気分転換してくれ」
彼の言葉に子供達は散らばり、それぞれがおしゃべりに興じ始める。
そんな中、青年のもとにオルガンを演奏していた教会のシスターが歩み寄る。
「みんな十分に出来ていると思いますよ? やり過ぎては……」
「分かってる、分かってるんだ。だけど」
「あの子ですか」
彼女の言葉に、青年は口を閉じ、苦い笑みを浮かべる。
「そうだね――彼女と、キミは二人でもあの子らよりも歌えていたんだから」
「なら、そう言って上げれば……」
「そうも行かない。この教会で演るのは合唱だ。あの子がいては、皆がよりかかってしまう」
けれど、と言う青年に、シスターはそっと笑みを浮かべる。
「心配性なんですね、貴方は」
「――また突拍子も無いことを言うね?」
「そうですね、貴方の教え子がライバルになる、なんて事になったら心配しなくても良いでしょうか?」
「また突拍子も無いことをいうね?!」
「ついでにオルガン奏者も……」
「そいつは勘弁してくれ!」
●
ピースホライズン内の住宅街の一角。
そこから聞こえる若いながらも豊かな高い音の歌声は、近くの住人の心を和ませていた。
聞くものの心に残り続けるその歌は、ここ数日はめっきり鳴りを潜めている。
「あの子、大丈夫かしら……」
「なんでも、合唱団を……」
「勿体無いことをするなぁ、あの子の歌を聞きにいってたのに……」
その住宅の中。一人の少女が拗ねた顔でうずくまっている。
「わたしは、歌いたかっただけなのに……」
もっとたくさんの人の前で。
色んな人に聞いてもらいたかった。
だから、教会の合唱団に入ったし、リアルブルーの人達も来ると言う今度の舞台では張り切っていた。
それなのに。
皆と共に歌うはずだった曲――それを歌おうとしたところで、彼女の耳に数日前に指揮者の言葉がよみがえる。
『ごめん。キミがいると合唱にならない。今度は外れてくれないか』
「もう、歌わないもん」
少女の口からは、歌声ではなく。圧し殺した泣き声があがっていた。
●
「皆様、今回はお世話になります」
依頼の詳しい話を聞こうと言うハンター達の前に立つ年若いシスターは、そう言って深くお辞儀をする。
「皆様にご依頼するのは――そうですね。まとめて言うと、傷ついた女の子を慰めて、共に教会の合唱団に勝って欲しい、と言う事ですね」
シスターはにっこりと笑顔を浮かべる。
「あの分からず屋――失礼。頑固な――もとい。頭の固い指揮者に、少しばかり思いやりを覚えさせないといけません」
その為には、かの指揮者が率いる合唱団に勝つ必要があるのだと言う。
とは言え、歌での勝ち負けなど判断が難しい話だ。採点をする人次第で、いくらでも変わってしまう。
小さく咳払いをすると、シスターは改めて話し始める。
「正しくは、あの子が合唱を出来るのだと。彼が指揮者としてもったいない判断をしたのだと。彼にそう感じさせるような曲を披露していただきたい、と言うことです」
それを機に、女の子が再び合唱を出来るようになればなにより。そうでなくても、彼女が歌を唄う事をやめてほしくないのだと、シスターは言葉を続けた。
「女の子の歌声はかなりのものです。単独で歌っても、合唱団が彼女の添え物になるほどです……あの男は、それが問題だと思ったようですが……」
うっすらと浮かんだ青筋は、すぐに再び浮かぶ笑みに隠される。
「私はあちらで演奏をしないといけませんので、演奏も皆様にお願いさせていただきます。楽器はある程度こちらで用意いたします。リアルブルーの方達の使うような楽器――ええと、えれきぎたー、でしたか?そう言ったものはありませんが……」
リアルブルーで言う電子楽器を除く、古くからあるような楽器ならば教会に存在しているとの事だ。
「あぁ、それともう一点。指揮も皆様の内のどなたかにお願いさせていただいても良いでしょうか? そのうえで、教会で用意された曲以外を演りたいと言うのであれば、そちらも問題ありません」
もしかすると、その方が彼女の気分転換になるかもしれないと言い、シスターは懐かしむような顔を浮かべる。
彼女は、元気な歌声をあげ、回りの人に聞いてもらうのが何より好きだったのだと。新しい譜面を渡すと、喜んで勉強をはじめ、少しでも早く歌えるようになろうとしたのだと、シスターは語る。
「余談が過ぎましたね。失礼致しました。もし、よろしければ。皆様、御協力のほどよろしくお願い致します」
解説
クリスマスのイベントを控えた教会にて、女の子と共に合唱をしてほしいという依頼となります。
女の子は、歌唱力が目立ち過ぎた為に、合唱には不向きだと指揮者に言われて、合唱隊から外された事に傷つき、自室に閉じこもっています。
彼女の状態については、家族も知っているため、シスターに伝えていただければその自室まで向かっていただくことが出来ます。
部屋の扉は特に開かないわけではありませんが、中から聞こえてくる泣き声に、家族達も中に入れない状態です。
合唱に関する、教会のシスターからの要望は以下の通りです。
・彼女と共に歌ってほしい
・演奏者、および指揮者についてはハンター達から出してほしい
教会における楽器の貸出が出来るほか、皆さまがアイテムとしてお持ちの楽器等がありましたら、それを持ちこんでいただいても結構です。
また、もし可能であれば、皆さまのオリジナルの曲などを聞いてみたいと、シスターは言っています。
本番までは2週間となります。この間に、女の子を連れ出し、練習をしていただく必要があります。
(※二週間常時一緒ではなく、PC達も拘束はされません。プレイング次第では行間で練習が行われる場合もあります)
複数のオリジナル曲をあげていただいても構いませんが、女の子が5分前後の曲を歌いこなすのにかかる時間は、シスターの経験からすると1週間弱だとの事です。
このため、短い曲で3曲、普通の長さで1、2曲が限度となります。
なお、教会で歌われる予定だった曲は、少年と少女の混声による、いわゆる讃美歌と呼ばれる曲となります。
女の子は、歌唱力が目立ち過ぎた為に、合唱には不向きだと指揮者に言われて、合唱隊から外された事に傷つき、自室に閉じこもっています。
彼女の状態については、家族も知っているため、シスターに伝えていただければその自室まで向かっていただくことが出来ます。
部屋の扉は特に開かないわけではありませんが、中から聞こえてくる泣き声に、家族達も中に入れない状態です。
合唱に関する、教会のシスターからの要望は以下の通りです。
・彼女と共に歌ってほしい
・演奏者、および指揮者についてはハンター達から出してほしい
教会における楽器の貸出が出来るほか、皆さまがアイテムとしてお持ちの楽器等がありましたら、それを持ちこんでいただいても結構です。
また、もし可能であれば、皆さまのオリジナルの曲などを聞いてみたいと、シスターは言っています。
本番までは2週間となります。この間に、女の子を連れ出し、練習をしていただく必要があります。
(※二週間常時一緒ではなく、PC達も拘束はされません。プレイング次第では行間で練習が行われる場合もあります)
複数のオリジナル曲をあげていただいても構いませんが、女の子が5分前後の曲を歌いこなすのにかかる時間は、シスターの経験からすると1週間弱だとの事です。
このため、短い曲で3曲、普通の長さで1、2曲が限度となります。
なお、教会で歌われる予定だった曲は、少年と少女の混声による、いわゆる讃美歌と呼ばれる曲となります。
マスターより
※OPイラストはイメージです。実際の教会とは異なります(主に規模の面で)
ほぼ皆さま初めましてかと思います。十野誠です。
少々やる事の多いような感のある依頼ですが、皆さまのプレイングをお待ちしております。
オリジナル曲ですが、版権のあるもの等については、描写する事が出来ませんので、ご了承願います。
ほぼ皆さま初めましてかと思います。十野誠です。
少々やる事の多いような感のある依頼ですが、皆さまのプレイングをお待ちしております。
オリジナル曲ですが、版権のあるもの等については、描写する事が出来ませんので、ご了承願います。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/12/26 22:56
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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相談の卓、です メトロノーム・ソングライト(ka1267) エルフ|14才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2014/12/21 12:06:43 |
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![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/12/16 19:59:49 |