ゲスト
(ka0000)
メルティ・グリーン
マスター:三田村 薫

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在4人 / 3~4人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/05/26 19:00
- リプレイ完成予定
- 2018/06/04 19:00
オープニング
●緑のスライム
リゼリオにあるハンターオフィスの少し離れたところで、職員の彼は煙草を吸っていた。休憩時間である。もちろん、灰皿は忘れていない。喫煙者としてのマナーである。単に、火事が怖いと言うのもあるが。良い感じに雑草のないところを見付けることも忘れない。
歪虚との戦闘が激化していることを、彼はオフィスにいながらその依頼の多さで感じ取っていた。実際に戦うわけではない。リゼリオは比較的治安が良い。こんな歪虚が出るのか。そう驚くことも多くあった。
歪虚のせいでそこまで危ない目に遭ったことはない。五十年弱生きていて、それはとてもありがたいことであった。
三本ほど煙草を灰にして、彼はオフィスに戻ろうとした。そして目を剥いた。
ぺったんぺったんと、雑草を溶かしながら、緑色のスライムがこちらに寄ってきているのだ。
「――っ!?」
全身の血が逆流するような驚愕と、焦燥と、恐怖感。スライムと言うと、あまり人命的に大事にならないことの方が多いが、それでも中には人を殺しているものもある。と言うか、得体の知れない物は殺しに来る思っておいた方が安全である。スライムは、彼の事には気付いていないようだった。彼は息を殺しながら、そろそろとスライムと反対方向への逃走を試みる。オフィスにさえたどり着いてしまえば、そこにいるハンターに頼んで退治してもらえば良いのだ。
どれくらいの移動速度だろうか。どれくらい離れれば、気付かれても走って逃げられるだろうか。彼はスライムを凝視しながらじりじりと遠ざかり、足下の石につまづいた。
「うわっ!」
尻餅をつく。しまったと思った時には遅かった。スライムは彼に気付き、ムチの様に触手を伸ばす。首と、胴を捕まえられた。
「うっ!」
首に巻き付いた方は、殺すつもりはないようで、強く締めてくるようなことはなかった。その代わり、胴の方は、もぞもぞとジャケットの中に入ってくる。何かを探しているようでもある。何だ? 何を探している? 彼は息を詰めて、痛みに備えた。しかし、スライムはシャツの上を這い回るだけで切り裂いたり刺してくるようなことはなかった。だからと言って、解放してくれる様子もない。彼は思いついて、ジャケットの内ポケットからマッチを取り出した。震える手でどうにか火を付けて、触手を炙る。
ヤカンが沸騰をしらせるような甲高い音を上げながら、スライムは彼を解放した。むせるほど締められていない。地面に転がりながら、相手との距離を確認して逃げようとした彼は、仕返しだと言わんばかりに頭を強くひっぱたかれて気を失った。
●ハンターオフィスにて
「本人の皮膚は無事、ウール製のジャケットも無事、シルク製のネクタイも無事、コットン製のシャツだけ酷い有様だ」
オフィスにて、青年職員と、眼鏡にお下げの職員が並んで事情を説明した。そのテーブルの上には、襲われた職員の服が並べられている。
「お腹のあたりごそごそされたって言ってましたねぇ。あと首を掴まれたとも言っていましたぁ。一致します」
ジャケットとネクタイは粘液にまみれているだけだが、問題はシャツだ。胴の部分と、襟の首回りの部分が溶けてしまっている。これを着用していた職員の皮膚は無事であった。
本人は病院である。今のところ、襲われたショックが一番の被害であるようだ。頭を殴られた影響はまだ出ていない。恐らく命に別状はないだろうと言うのが医者の見立てだ。
「また、現場周辺の雑草も溶けてた。以上のことを総合すると、このスライムは植物由来のものだけ溶かすと言うことになる。リアルブルー出身者が、ナイロンって言うの? 植物じゃない布にこの粘液を付けてみたけど、溶けなかった。コットンとナイロンの混紡はスカスカになった。そう言うことだと思う」
「これだけ聞くと、人畜無害に聞こえるんですけどぉ、木も作物も溶かします。長期的に危険です。今のうちにどうにかしないと」
●同僚たちの心配事
ハンター達が意見を交換する前で、お下げの職員はため息を吐いた。
「後で肉を腐らせる、なんてことはないと良いんですけど」
「そういうこと言うなよ」
青年職員が彼女を見下ろして言った。
「だって心配じゃないんですか」
「心配してるよ。僕だって嫌だよ、見舞いに行って、彼が胴体からぼろんて真っ二つになったら」
「あー! あー! やめてくださぁい! 想像させないでぇ!」
彼女は耳を塞いでテーブルに突っ伏した。
「でも、大丈夫だよ。緑色をしていたってことは、草を取り込んでるって事だと思うし、元々狙ってたのも植物性繊維のシャツだけみたいだし。遅効性で肉に効くってことは……ないと思いたいけど……」
二人は黙り込んだ。
リゼリオにあるハンターオフィスの少し離れたところで、職員の彼は煙草を吸っていた。休憩時間である。もちろん、灰皿は忘れていない。喫煙者としてのマナーである。単に、火事が怖いと言うのもあるが。良い感じに雑草のないところを見付けることも忘れない。
歪虚との戦闘が激化していることを、彼はオフィスにいながらその依頼の多さで感じ取っていた。実際に戦うわけではない。リゼリオは比較的治安が良い。こんな歪虚が出るのか。そう驚くことも多くあった。
歪虚のせいでそこまで危ない目に遭ったことはない。五十年弱生きていて、それはとてもありがたいことであった。
三本ほど煙草を灰にして、彼はオフィスに戻ろうとした。そして目を剥いた。
ぺったんぺったんと、雑草を溶かしながら、緑色のスライムがこちらに寄ってきているのだ。
「――っ!?」
全身の血が逆流するような驚愕と、焦燥と、恐怖感。スライムと言うと、あまり人命的に大事にならないことの方が多いが、それでも中には人を殺しているものもある。と言うか、得体の知れない物は殺しに来る思っておいた方が安全である。スライムは、彼の事には気付いていないようだった。彼は息を殺しながら、そろそろとスライムと反対方向への逃走を試みる。オフィスにさえたどり着いてしまえば、そこにいるハンターに頼んで退治してもらえば良いのだ。
どれくらいの移動速度だろうか。どれくらい離れれば、気付かれても走って逃げられるだろうか。彼はスライムを凝視しながらじりじりと遠ざかり、足下の石につまづいた。
「うわっ!」
尻餅をつく。しまったと思った時には遅かった。スライムは彼に気付き、ムチの様に触手を伸ばす。首と、胴を捕まえられた。
「うっ!」
首に巻き付いた方は、殺すつもりはないようで、強く締めてくるようなことはなかった。その代わり、胴の方は、もぞもぞとジャケットの中に入ってくる。何かを探しているようでもある。何だ? 何を探している? 彼は息を詰めて、痛みに備えた。しかし、スライムはシャツの上を這い回るだけで切り裂いたり刺してくるようなことはなかった。だからと言って、解放してくれる様子もない。彼は思いついて、ジャケットの内ポケットからマッチを取り出した。震える手でどうにか火を付けて、触手を炙る。
ヤカンが沸騰をしらせるような甲高い音を上げながら、スライムは彼を解放した。むせるほど締められていない。地面に転がりながら、相手との距離を確認して逃げようとした彼は、仕返しだと言わんばかりに頭を強くひっぱたかれて気を失った。
●ハンターオフィスにて
「本人の皮膚は無事、ウール製のジャケットも無事、シルク製のネクタイも無事、コットン製のシャツだけ酷い有様だ」
オフィスにて、青年職員と、眼鏡にお下げの職員が並んで事情を説明した。そのテーブルの上には、襲われた職員の服が並べられている。
「お腹のあたりごそごそされたって言ってましたねぇ。あと首を掴まれたとも言っていましたぁ。一致します」
ジャケットとネクタイは粘液にまみれているだけだが、問題はシャツだ。胴の部分と、襟の首回りの部分が溶けてしまっている。これを着用していた職員の皮膚は無事であった。
本人は病院である。今のところ、襲われたショックが一番の被害であるようだ。頭を殴られた影響はまだ出ていない。恐らく命に別状はないだろうと言うのが医者の見立てだ。
「また、現場周辺の雑草も溶けてた。以上のことを総合すると、このスライムは植物由来のものだけ溶かすと言うことになる。リアルブルー出身者が、ナイロンって言うの? 植物じゃない布にこの粘液を付けてみたけど、溶けなかった。コットンとナイロンの混紡はスカスカになった。そう言うことだと思う」
「これだけ聞くと、人畜無害に聞こえるんですけどぉ、木も作物も溶かします。長期的に危険です。今のうちにどうにかしないと」
●同僚たちの心配事
ハンター達が意見を交換する前で、お下げの職員はため息を吐いた。
「後で肉を腐らせる、なんてことはないと良いんですけど」
「そういうこと言うなよ」
青年職員が彼女を見下ろして言った。
「だって心配じゃないんですか」
「心配してるよ。僕だって嫌だよ、見舞いに行って、彼が胴体からぼろんて真っ二つになったら」
「あー! あー! やめてくださぁい! 想像させないでぇ!」
彼女は耳を塞いでテーブルに突っ伏した。
「でも、大丈夫だよ。緑色をしていたってことは、草を取り込んでるって事だと思うし、元々狙ってたのも植物性繊維のシャツだけみたいだし。遅効性で肉に効くってことは……ないと思いたいけど……」
二人は黙り込んだ。
解説
●目的
1.植物由来のものを溶かすスライムの討伐
2.可能であれば、動物性のものを劣化させる可能性が低いことの示唆
●スライムについて
緑色をしたスライムです。OP通り、植物由来の物質のみを溶解する粘液を分泌しています。視覚はなく、音に反応しているようです。また触れたものが動物性か植物性かを判別できるようです。
よくよく見てみると、雑草を溶かして取り込んだ際に巻き込まれたとおぼしき虫なんかも混ざっています。まったく溶けた様子はなく、原型を留めています。
布を使った装備品については正確な組成が不明であるため一律「溶けない」として扱います。
OP本文で、炙られたことで職員を解放したのは、「熱に弱い」わけではなく「痛覚がある」ものとお考えください。
草を溶かした粘液の後を追えば見付けられるでしょう。
●戦闘におけるスライムの情報
PCがエンカウントした時点では3体います。
触手を伸ばしてひっぱたいたり巻き付いたりしてきますがそれほど強い敵ではありません。
●襲われた職員について
襲われたショックが一番の被害です。リゼリオの病院でひとまず用心のため入院していますが命に別状はありません。冗談めかしたことを言いますが割とショックを受けており顔が強ばっています。
「ははは、おじさんの裸に需要なんてないと思うけどね」
本人よりも同僚たちの方が心配しているようです。
「どうしましょお……後から肉も腐ったりしたらぁ……」
「やめろよ! 見舞いに行ってほんとにそうだったらどうすんだよ!」
1.植物由来のものを溶かすスライムの討伐
2.可能であれば、動物性のものを劣化させる可能性が低いことの示唆
●スライムについて
緑色をしたスライムです。OP通り、植物由来の物質のみを溶解する粘液を分泌しています。視覚はなく、音に反応しているようです。また触れたものが動物性か植物性かを判別できるようです。
よくよく見てみると、雑草を溶かして取り込んだ際に巻き込まれたとおぼしき虫なんかも混ざっています。まったく溶けた様子はなく、原型を留めています。
布を使った装備品については正確な組成が不明であるため一律「溶けない」として扱います。
OP本文で、炙られたことで職員を解放したのは、「熱に弱い」わけではなく「痛覚がある」ものとお考えください。
草を溶かした粘液の後を追えば見付けられるでしょう。
●戦闘におけるスライムの情報
PCがエンカウントした時点では3体います。
触手を伸ばしてひっぱたいたり巻き付いたりしてきますがそれほど強い敵ではありません。
●襲われた職員について
襲われたショックが一番の被害です。リゼリオの病院でひとまず用心のため入院していますが命に別状はありません。冗談めかしたことを言いますが割とショックを受けており顔が強ばっています。
「ははは、おじさんの裸に需要なんてないと思うけどね」
本人よりも同僚たちの方が心配しているようです。
「どうしましょお……後から肉も腐ったりしたらぁ……」
「やめろよ! 見舞いに行ってほんとにそうだったらどうすんだよ!」
マスターより
こんにちは三田村です。
服だけ溶かすスライム書いてみたい……とか思って書き始めたら、あの、こんな筈じゃなかった(宇宙猫顔)。
当シナリオではMSが宇宙猫顔で書いたスライムをお楽しみください。
スライムもですが、被害に遭った人を安心させるロールプレイもお楽しみ頂けます。皆様のアフターケアの腕前を是非発揮してください。
次は服だけ溶かしてラッキースケベするんだ……。
服だけ溶かすスライム書いてみたい……とか思って書き始めたら、あの、こんな筈じゃなかった(宇宙猫顔)。
当シナリオではMSが宇宙猫顔で書いたスライムをお楽しみください。
スライムもですが、被害に遭った人を安心させるロールプレイもお楽しみ頂けます。皆様のアフターケアの腕前を是非発揮してください。
次は服だけ溶かしてラッキースケベするんだ……。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/05/30 01:41
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/05/25 22:07:26 |
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ドル〇ーガの塔一階(相談卓) 蓬仙 霞(ka6140) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|舞刀士(ソードダンサー) |
最終発言 2018/05/26 17:40:55 |