ゲスト
(ka0000)
カランコエ
マスター:瑞木雫

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在4人 / 3~4人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/05/19 07:30
- リプレイ完成予定
- 2018/06/02 07:30
オープニング
“安心しろ? お兄ちゃんがいつまでも、お前の事を守ってやるからさ”
( その眩しい笑顔が私の心を照らし、導いてくれていた。どんなに苦しい時も、悲しい時も、貴方が居てくれるから怖くない。そんな私がいつだって望んでいたのは一つ。貴方と……、ただ、幸せに暮らしたいだけだった。 )
●
「いやぁ、本当、なかなかの別嬪だよなぁ」
「だろ? こいつにはこれからしっかり働いて貰わねぇとな」
ニヤけた面をした男達の視線を感じながら、娘は恐怖で震えていた。
娘は美人だった。
柔らかい金髪に、色白の肌。
涙で濡れた蒼い瞳も美しい。
娘は今、悪党に捕まっていた。
手は縄で縛られ、口にはテープが貼られている。
そして男達と共に馬車に乗っているが、行先は分からない。
……想像するのも恐ろしい。
そんな娘を救ってくれる者は、もう居なかった。
親は幼い頃に亡くなり、兄はこの男達に殺されたからだ。
…いや。
正確には、兄が生きているか死んでいるかはこの時、娘には分からなかった。
それは或る日のことである。
兄と娘二人で暮らす家に男達が突然押し寄せた日。
兄は妹である娘を守る為必死に抵抗し、刺されてしまった。
そして兄は倒れると、動かなくなってしまった。
娘は兄に駆け寄ろうとしたが、その時間さえ与えられず――。
連れ去られ、今に至った。
それが数日前のこと。
「……」
娘は幸せだった日を想いだし、遠くを見つめながら片目から一筋の涙を流した。
兄との生活は貧乏で、その日暮らしだったけれど。
楽しかった。
兄との数えきれない思い出が、走馬燈のように蘇り、胸を温める。
けれど今は自分を守る為に刺されてしまった罪悪感と苦しみが、何よりも勝っていた。
ごめんね。
ごめんね。
娘は何度も心の中で謝り、どうか“生きていて”と願う。
そして、娘はもう1つの願いを、心の中で呟いた。
(……会いたい……)
――娘は辛くなって、ぎゅっと目を瞑った。
――すると。
馬車は突然揺れて、娘は何かに掴まれた瞬間、身を投げ出された。
何が起こったのっだろうか。
手を縄で縛られていた為受け身を取る事が出来ず、後頭部を強く打ち付け、視界がぐらついた。
そんな、意識が朦朧とする中で、娘が見たモノは――
どこかへと逃げ行く馬。
恐怖に怯えて叫ぶ男達。
おどろおどろしい見た目をした人型の何か…。
決して美しいとはいえない植物を纏うソレが、男達を恨むように叩きつけ、襲った瞬間。
そして歪虚であろうソレが放つ風に乗った花びらが、なんと綺麗なことか。
白、黄色、ピンク、オレンジ。
鮮やかな色の風が男達を苦しめ、切り刻み、そのまま男たちの息の根を止めた。
娘はその光景を目の当たりにしながら、不思議と逃げようとする気さえ起らなかった。
ただ、懸命に目を凝らして。
近くの森へと去っていく歪虚を見つめ続け、力尽き、意識を手放したのだった。
(おにい……ちゃん…………)
●
「今回の依頼は、同盟の……この辺りにある森へ潜んでいると想われる歪虚を退治してもらう内容のものです」
ハンターオフィスの女性職員は地図を使ってその場所を示しながら、ハンター達に説明を続ける。
「この森は、希少な鳥が生息している森で、その鳥たちを守っている愛護団体からの要請となります。対象の歪虚は、180㎝程の人型に近く、植物のようで、しかし何とも形容しがたく、おどろおどろしい見た目をしているようです。風を巻き起こし、攻撃対象を花びらで切り刻む様子も確認されています。鳥達が歪虚の影響を受ける前に――早急な退治を、お願い致します」
女性職員は言い終えると、眺めていた資料を机に置き、そして少し憂いを帯びた表情をみせた。
「……そして、もう一つお願いしたい事があります。それは、今回の依頼の情報提供者――セリさんという方の事です」
ハンター達は首を傾げた。
「セリさんは今、今回の歪虚に遭遇した際、怪我をし、ポルトワールの病院で入院しています」
そして女性職員は眉を潜め、辛そうに続ける。
「彼女はダウンタウンの出身で、お兄さんと二人で生活をしていたそうですが……。ある日悪党に襲われ、お兄さんは刺され、セリさんは誘拐されてしまいました。そして後日、悪党たちにどこかへ連れていかれるところで――歪虚に襲われました。そしてセリさんは、その歪虚をお兄さんの成れの果てだと思っています」
「……。」
ハンター達は沈黙した。
「刺された場所――セリさんとお兄さんが住んでいた家には、血痕は残っていましたが、お兄さんのお身体はありませんでした。生きていて、どこかへ向かわれた可能性もあります。ですが、彼の目撃情報は今のところありません。歪虚がお兄さんである証拠はありませんが、……そう思ってしまう気持ちも、私にはわかるような気がします」
女性職員は、セリの心情を想いながら話を続ける。
「セリさんは今、とても苦しんで、想い悩んでいます。誘拐された心の傷もありますし、本当はお兄さんだと思っている歪虚が退治されるのだって、とても辛い筈です。けれど、彼女は歪虚の脅威を理解していたからこそ、私達に情報を提供してくれたのでしょうね……」
女性職員は想う。
セリの心の傷は深い。
彼女の心の傷を癒す事は、とても難しいだろう。
けれど誰かが触れなければ、彼女は孤独なのだ。
「セリさんは歪虚の情報を提供してくれた時点で、歪虚は倒されるものだと覚悟している筈です。なので説得して欲しいというものではなく、セリさんの心の傷を少しだけでも、できれば取り除いてあげてほしいのです。お願いできますでしょうか」
女性職員はハンター達に頼んだ。
( その眩しい笑顔が私の心を照らし、導いてくれていた。どんなに苦しい時も、悲しい時も、貴方が居てくれるから怖くない。そんな私がいつだって望んでいたのは一つ。貴方と……、ただ、幸せに暮らしたいだけだった。 )
●
「いやぁ、本当、なかなかの別嬪だよなぁ」
「だろ? こいつにはこれからしっかり働いて貰わねぇとな」
ニヤけた面をした男達の視線を感じながら、娘は恐怖で震えていた。
娘は美人だった。
柔らかい金髪に、色白の肌。
涙で濡れた蒼い瞳も美しい。
娘は今、悪党に捕まっていた。
手は縄で縛られ、口にはテープが貼られている。
そして男達と共に馬車に乗っているが、行先は分からない。
……想像するのも恐ろしい。
そんな娘を救ってくれる者は、もう居なかった。
親は幼い頃に亡くなり、兄はこの男達に殺されたからだ。
…いや。
正確には、兄が生きているか死んでいるかはこの時、娘には分からなかった。
それは或る日のことである。
兄と娘二人で暮らす家に男達が突然押し寄せた日。
兄は妹である娘を守る為必死に抵抗し、刺されてしまった。
そして兄は倒れると、動かなくなってしまった。
娘は兄に駆け寄ろうとしたが、その時間さえ与えられず――。
連れ去られ、今に至った。
それが数日前のこと。
「……」
娘は幸せだった日を想いだし、遠くを見つめながら片目から一筋の涙を流した。
兄との生活は貧乏で、その日暮らしだったけれど。
楽しかった。
兄との数えきれない思い出が、走馬燈のように蘇り、胸を温める。
けれど今は自分を守る為に刺されてしまった罪悪感と苦しみが、何よりも勝っていた。
ごめんね。
ごめんね。
娘は何度も心の中で謝り、どうか“生きていて”と願う。
そして、娘はもう1つの願いを、心の中で呟いた。
(……会いたい……)
――娘は辛くなって、ぎゅっと目を瞑った。
――すると。
馬車は突然揺れて、娘は何かに掴まれた瞬間、身を投げ出された。
何が起こったのっだろうか。
手を縄で縛られていた為受け身を取る事が出来ず、後頭部を強く打ち付け、視界がぐらついた。
そんな、意識が朦朧とする中で、娘が見たモノは――
どこかへと逃げ行く馬。
恐怖に怯えて叫ぶ男達。
おどろおどろしい見た目をした人型の何か…。
決して美しいとはいえない植物を纏うソレが、男達を恨むように叩きつけ、襲った瞬間。
そして歪虚であろうソレが放つ風に乗った花びらが、なんと綺麗なことか。
白、黄色、ピンク、オレンジ。
鮮やかな色の風が男達を苦しめ、切り刻み、そのまま男たちの息の根を止めた。
娘はその光景を目の当たりにしながら、不思議と逃げようとする気さえ起らなかった。
ただ、懸命に目を凝らして。
近くの森へと去っていく歪虚を見つめ続け、力尽き、意識を手放したのだった。
(おにい……ちゃん…………)
●
「今回の依頼は、同盟の……この辺りにある森へ潜んでいると想われる歪虚を退治してもらう内容のものです」
ハンターオフィスの女性職員は地図を使ってその場所を示しながら、ハンター達に説明を続ける。
「この森は、希少な鳥が生息している森で、その鳥たちを守っている愛護団体からの要請となります。対象の歪虚は、180㎝程の人型に近く、植物のようで、しかし何とも形容しがたく、おどろおどろしい見た目をしているようです。風を巻き起こし、攻撃対象を花びらで切り刻む様子も確認されています。鳥達が歪虚の影響を受ける前に――早急な退治を、お願い致します」
女性職員は言い終えると、眺めていた資料を机に置き、そして少し憂いを帯びた表情をみせた。
「……そして、もう一つお願いしたい事があります。それは、今回の依頼の情報提供者――セリさんという方の事です」
ハンター達は首を傾げた。
「セリさんは今、今回の歪虚に遭遇した際、怪我をし、ポルトワールの病院で入院しています」
そして女性職員は眉を潜め、辛そうに続ける。
「彼女はダウンタウンの出身で、お兄さんと二人で生活をしていたそうですが……。ある日悪党に襲われ、お兄さんは刺され、セリさんは誘拐されてしまいました。そして後日、悪党たちにどこかへ連れていかれるところで――歪虚に襲われました。そしてセリさんは、その歪虚をお兄さんの成れの果てだと思っています」
「……。」
ハンター達は沈黙した。
「刺された場所――セリさんとお兄さんが住んでいた家には、血痕は残っていましたが、お兄さんのお身体はありませんでした。生きていて、どこかへ向かわれた可能性もあります。ですが、彼の目撃情報は今のところありません。歪虚がお兄さんである証拠はありませんが、……そう思ってしまう気持ちも、私にはわかるような気がします」
女性職員は、セリの心情を想いながら話を続ける。
「セリさんは今、とても苦しんで、想い悩んでいます。誘拐された心の傷もありますし、本当はお兄さんだと思っている歪虚が退治されるのだって、とても辛い筈です。けれど、彼女は歪虚の脅威を理解していたからこそ、私達に情報を提供してくれたのでしょうね……」
女性職員は想う。
セリの心の傷は深い。
彼女の心の傷を癒す事は、とても難しいだろう。
けれど誰かが触れなければ、彼女は孤独なのだ。
「セリさんは歪虚の情報を提供してくれた時点で、歪虚は倒されるものだと覚悟している筈です。なので説得して欲しいというものではなく、セリさんの心の傷を少しだけでも、できれば取り除いてあげてほしいのです。お願いできますでしょうか」
女性職員はハンター達に頼んだ。
解説
【目的】
セリの心を慰め、歪虚を退治する
【概要】
心情描写中心の戦闘依頼となります。
セリへの想い、セリへの慰めの言葉、感じ方・伝え方は、一人一人違うと想っておりますので、
皆さんの行動や想いの方向性が全員バラバラになっても大歓迎です。
なので皆様の想うままに、プレイングにして頂けると嬉しいです。
【リプレイの流れ】
<<ポルトワールの病院で、セリのお見舞い>> → <<森で、戦闘>>
……という流れの順を想定しています。
戦闘後にセリに会いたい場合は、プレイングにあれば、描写するかもしれません
ですが文字数制限の事情等によっては、描写できないかもしれませんので、ご了承頂けると嬉しいです
【セリのお見舞いに関する情報】
・セリはハンター達が来る事を事前に知らされていて、この後、ハンター達が歪虚を倒しに行く事も知っている上で、迎え入れます
・16歳。穏やかで雰囲気も柔らかな、優しい性格です。
・お兄さんの事は、とても大好きで、唯一の心許せる存在でした。
【戦闘に関する情報】
・基本情報はOPの中に書かれている通りです。
・歪虚の巻き起こす風に舞う花びらは、カランコエです。花言葉は、「たくさんの小さな思い出」「幸福を告げる」「あなたを守る」です。
・歪虚がお兄さんであるか否かの真相は、リプレイ中にも出ません。人型ですが喋ることも、ありません。
・鳥や動物達は身を守る為、基本的には戦闘に近付きません。
※遅筆の為、締め切りを長く設定しております。ご確認ください。
セリの心を慰め、歪虚を退治する
【概要】
心情描写中心の戦闘依頼となります。
セリへの想い、セリへの慰めの言葉、感じ方・伝え方は、一人一人違うと想っておりますので、
皆さんの行動や想いの方向性が全員バラバラになっても大歓迎です。
なので皆様の想うままに、プレイングにして頂けると嬉しいです。
【リプレイの流れ】
<<ポルトワールの病院で、セリのお見舞い>> → <<森で、戦闘>>
……という流れの順を想定しています。
戦闘後にセリに会いたい場合は、プレイングにあれば、描写するかもしれません
ですが文字数制限の事情等によっては、描写できないかもしれませんので、ご了承頂けると嬉しいです
【セリのお見舞いに関する情報】
・セリはハンター達が来る事を事前に知らされていて、この後、ハンター達が歪虚を倒しに行く事も知っている上で、迎え入れます
・16歳。穏やかで雰囲気も柔らかな、優しい性格です。
・お兄さんの事は、とても大好きで、唯一の心許せる存在でした。
【戦闘に関する情報】
・基本情報はOPの中に書かれている通りです。
・歪虚の巻き起こす風に舞う花びらは、カランコエです。花言葉は、「たくさんの小さな思い出」「幸福を告げる」「あなたを守る」です。
・歪虚がお兄さんであるか否かの真相は、リプレイ中にも出ません。人型ですが喋ることも、ありません。
・鳥や動物達は身を守る為、基本的には戦闘に近付きません。
※遅筆の為、締め切りを長く設定しております。ご確認ください。
マスターより
こんにちは、瑞木雫です。
初心に戻り、連動でもなく、NPCの関連でもない、単発の戦闘依頼を出したいと想いリリース致しました。
どうか何卒、宜しくお願い致しますっ。
初心に戻り、連動でもなく、NPCの関連でもない、単発の戦闘依頼を出したいと想いリリース致しました。
どうか何卒、宜しくお願い致しますっ。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/06/01 00:45
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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相談卓 藤堂研司(ka0569) 人間(リアルブルー)|26才|男性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2018/05/18 23:40:42 |
|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/05/14 22:14:09 |