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甜言蜜語の行く先は

マスター:三田村 薫

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在4人 / 3~4人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2018/06/02 22:00
リプレイ完成予定
2018/06/11 22:00

オープニング

●花の町にひびく悲鳴
 ある町には、園芸を得意とするエルフが移り住んでいた。名前はサンドラ。彼女は、この町で大昔に一度会ったきりの少女との思い出を大切にしてここに引っ越してきており、今は老人施設に入ってしまった彼女の家を借りて済んでいる。

 思い出を大切にするがあまり、移り住む前にこっそりと様子を見に来ていたのが不審者扱いされてハンターオフィスに通報までされていたのだが、それはまた別の話である。

 かつての庭は、家主が施設に移る前に全て処分してしまったが、サンドラがまた一から作り直していた。
 この日も、サンドラは鋏を片手に一生懸命作業にいそしんでいる。施設にいる彼女に面会するときに、うんと綺麗な花を持って行ってやろう。そう思って手入れには余念がない。

 ふと、囁き声が聞こえて、サンドラは振り返った。十四、五歳の少女が二人、こちらを見て何かを囁き合っている。その視線に悪意やさげすみはないが、どうも視線に熱がこもっている気がしてならない。サンドラは困惑した。とりあえず挨拶しよう。にっこり笑って手を振ると、少女たちは顔を見合わせた。
「きゃーっ!」
 そうして二人とも、顔を覆って明後日の方向に走り去ってしまったのである。
「な、なんだお前たち!? 私に手を振られるのがそんなに嫌だったのか!? それとも鋏を持ったままだったのが嫌だったのか!?」
 サンドラは唖然として少女たちの背中を見送る。二人の背中が見えなくなると、彼女は再びしゃがみ込んで作業を再開した。

 その背中はしょんぼりとしていた。

●ハンターオフィスにて
「と、言うことが度々あったんだ……わかる限りでは六人。女が四人、男が二人だ」
「何か心当たりはあるのかな?」
 ハンターオフィスにサンドラは相談に来ていた。中年の職員に尋ねられて、彼女は首を横に振る。
「何も……たまに、うちに遊びに来てよくおしゃべりをしていってくれた子たちなんだ……優しい子たちで、元々不審者だった私にもなんの屈託もなく接してくれていた。花冠を乗せてあげたら本当に喜んでくれたのに……」
「うん、今なんて?」
「元々不審者だった私にも」
「いやその後」
「花冠を乗せてあげたら」
「その時のこと聞かせてくれるかな?」
「うん? 構わないけど……」

●真っ赤なアイリス
 その少女は……仮に名前をアイリスとしよう。アイリスは学校で嫌なことがあったと言ってサンドラの所に来た。お花を見て癒やされたい。サンドラさんのお庭は本当に綺麗だから、と言う彼女を、サンドラは喜んで通した。
 サンドラは、落ち込むアイリスのために、その時丁度見頃だったシロツメクサの花を摘んで来た。目の前で解説しながら花冠を作り、完成品をアイリスの頭に乗せる。そして言った。
「可愛いぞ、アイリス。ちょっと、神さまがお前の美しさに嫉妬して意地悪しただけだよ。こんなに可愛いお前を泣かせるなんて、神さまも冷たい奴だ」
 指先で涙を拭ってやると、アイリスは耳まで真っ赤になって礼を述べた。

「嫌なことがあると具合が悪くなるって言うじゃないか……熱が出たんだろう。可哀想に。だから私は彼女をすぐに家に帰した」
「そういうところじゃないのか……そういうことを、他の子には……?」
「ボタンホールに小さな薔薇を差してやったらとても似合っていたのでそのことを伝えた。押し花が欲しいと言うので、庭で一番そいつに似合う花で作ってどう似合うのか一生懸命説明した。ああ、たまたま綺麗に咲いていた花があったから髪に挿してやったこともある。皆、花が好きな良い子たちだからそれくらいするだろう?」
 ハンターオフィス内の視線の三割くらいがサンドラに集まっていた。ひそひそ、と囁き声がする。その内容は、天然タラシ、生まれる性別を間違えた、いやむしろ女に生まれて良かった、男だったら重婚している、私もちょっと今危なかった、などなど。
「私を褒めてくれるとしたら何て言うかね?」
 職員が自らの顔を指すと、サンドラはじっとその顔を見て、やがてふっと微笑んだ。
「そうだな、お前は収穫前の麦のような落ち着きがある。実り豊かで落ち着いた姿がそっくりだ」
「そういうところだぞ」
「何がだ? そういえば、司祭には悔い改めなさいって言われた……やっぱり私が悪いのか?」
「いや、なんでもない。気にしないでくれ。うーん、これはハンターの出番と言うよりも、君がちゃんとその子たちと話し合ってだね」
「嫌だ! 本当に嫌われていたらどうするんだ! それでなくても私はあの町では不審者出身だと言うのに」
「なんだいそのパワーワードは。まあ、お望みならハンターを募集するけど……」
「ありがとう! やっぱりお前は豊かな麦畑のような奴だ! 陽に当たって優しく黄金色に光るようだよ!」
「うーん、これはなんというか」
 サンドラにカウンター越しに抱きしめられて、職員は半笑いになった。

●そういうところだぞサンドラ
「と言うわけで、彼女に、そういうところだぞサンドラ、って言ってやるだけの依頼になりそうなんだけど、乗ってくれる人いるかね?」
 サンドラが「お茶とお菓子を用意して待っている! 本当にありがとう!」と言って帰宅すると、中年の職員は半笑いのまま募集を掛けた。
「人命的に火急の案件ではないが、サンドラがあのままでは可哀想なので誤解だけでも解いてくれるとありがたい。そういうことがある度に、オフィスに来て口説かれちゃたまったもんじゃないよ」
 職員はやれやれと首を横に振る。舌の根が乾かぬうちに本音が出ていることに気付いていない。
「まあ、思春期の女の子と男の子だから、ハンターさんたちがちょっとかっこいいところ見せても黄色い悲鳴を上げそうな気はするけどね……まあ、そう言うゆるい感じで良いからとにかく誰か行ってくれ。私には妻子がいるんだ」

解説

甜言蜜語(てんげんみつご)……蜜のように甘い言葉。聞いて快く感じる言葉。人にへつらうような話や勧誘の言葉。▽「甜」は甘い、うまいの意。(goo辞書より)

●目的
サンドラの誤解を解くこと
※少年少女たちはサンドラに黄色い悲鳴を上げているのですが、サンドラは怖がられていると思っているようです。誤解を解いてあげて下さい。

●少年少女について
皆サンドラに花を添えて口説かれた(?)14、5歳の子どもたちです。女子4人男子2人。
サンドラの前に出ると真っ赤になってもごもごします。6人ともお花が好きです。
かっこいい言動が刺さりやすくなっているのでサンドラ以外からもそういうこと言われるときゃーっ! となります。
恋愛とかじゃなくて、ファンとか追っかけというかそう言う感じの好意です。このシナリオで口説き落としても関係が発展するわけではないのでご安心下さい。
サンドラのいないところで話を聞くことも可能です。

●その他
サンドラはハンターさんと子どもたちが皆来ても大丈夫なお茶会の用意ができます。よろしければお使い下さい。使わなくても大丈夫です。誘えば子どもたちは来てくれます。
サンドラの魅了(?)が有効なのはNPCのみです。

●プレイングについて
プレイングに決め台詞とかドヤ顔を書いたら子どもたちが黄色い悲鳴があがるかもしれません。かっこいいにも色々ありますが暴力を伴うもの、極端にお色気方面のものは採用できません。
かっこいい、かわいい、綺麗なあなたの決めロールをお待ちしています。

マスターより

こんにちは三田村です。
ロールプレイ重視のシナリオとなります。
戦闘依頼でもハンターさんたちのRPかっこいいですもんね。これが本当にかっこいい方面にガン振りしたらどうなるんだろう……そんなシナリオです。
子どもたちの黄色い悲鳴を聞かせ、恐怖の悲鳴ではないことを教えてサンドラを安心させてあげましょう。温めていたかっこいいロールを試すチャンスかも!

サンドラが不審者だった依頼はリプレイにありますが今回のシナリオには何も関係がないので読まなくても大丈夫です。初めましての方も大歓迎。お待ちしています。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2018/06/07 01:29

参加者一覧

  • 星の音を奏でる者
    エステル・クレティエ(ka3783
    人間(紅)|17才|女性|魔術師
  • フリーデリーケの旦那様
    アルマ・A・エインズワース(ka4901
    エルフ|26才|男性|機導師
  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナ(ka5852
    人間(蒼)|24才|女性|符術師
  • 重なる道に輝きを
    ユメリア(ka7010
    エルフ|20才|女性|聖導士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/06/02 07:09:28
アイコン 拈華微笑の境地へと(相談卓)
ユメリア(ka7010
エルフ|20才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2018/06/02 07:13:07