ゲスト
(ka0000)
【虚動】受け継がれる腐れた系譜
マスター:T谷

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/12/21 07:30
- リプレイ完成予定
- 2014/12/30 07:30
オープニング
第二師団都市カールスラーエ要塞の東大扉はハンター達の活躍により無事に開門を果たし、帝国皇帝ヴィルヘルミナ・ウランゲル(kz0021)と錬魔院院長ナサニエル・カロッサ(kz0028)、そしていくつかの魔導エンジンを乗せたトラックの車列が都市を抜け辺境へと向かう。その護衛を務めるのは、第二師団の面々と、雇われたハンター達だ。
師団長であるシュターク・シュタークスン(kz0075)、副団長の老兵ハルクス・クラフト。そして、師団内でも精鋭となる兵長や上等兵など、合計すれば百は下らない兵士の群れが陣形を組み十のトラックに別れて行軍する物々しさは、この先に待つものが歴史の分水嶺だと暗示しているようだった。
「んで、キャム? この箱の中身がそんなに強えのか?」
車列の中心を務める、一際大きく厳重な装甲に覆われたトラックの荷台で、シュタークは胡散臭げにエンジンの入ったコンテナをゴンゴンと叩いている。時折、あ、凹んだ、などと聞こえるのは気のせいだろうか。
「まあ、君に説明しても時間と労力と酸素の無駄でしょうねぇ。というか、あんまり触らないで貰えます? これは繊細なものなのですよ、君と違ってねぇ」
ナサニエルは荷台の隅に座って、薄笑いを浮かべ嫌味たらしくシュタークを諌める。
「この中身だけでは何も変わらんさ、実際に取り付けてみないことにはな。……しかし、この眺めとスピード感、悪くないな」
ヴィルヘルミナは、コンテナの上に立って楽しそうに遠くを眺めていた。余り整備のされていない道の上に車体が大きく揺れる中、強風に煽られて尚も微動だにしないのは、流石といったところか。
「……私は車内でぬくぬくしたいですねぇ」
身を切る風に、ナサニエルが体を震わせる。
「馬鹿者、御老人がいらっしゃるのだ。若人がこの程度で音を上げてどうする」
「そうそう、涼しくて丁度いいじゃねえか」
シュタークの快活な笑い声を聞き流し、ナサニエルはこれ見よがしにため息を吐いた。
●
そうしてトラックに揺られることしばらく、木々が薄れ荒涼とした大地が見え始める頃に、
「……ん?」
シュタークが、唐突に空を見上げた。
「どうかしたか?」
ヴィルヘルミナが目聡く、その様子に気づき、尋ねる。
「いや、何か臭えぞ」
言うが早いか、シュタークはトラックの屋根に飛び乗っていた。背負った大剣の柄に手を添え、その目は一直線に前方を睨みつける。
「ふむ、何かしらの襲撃は想定内だが」
だからこその、この車列だ。いざという時のために、エンジンも分散して積載してある。
「しかし臭いとは、犬ですか君は」
ナサニエルがうふふと笑いを漏らす。
「ああ。結構鼻が利くんだ、あたしは」
シュタークが、身長ほどもある大剣を抜き放ち、片手に構えた。
その内に、空の向こうに小さな点が二つ現れた。それは徐々に大きくなり、その形を露わにしていく。
「おい、ありゃドラゴンってやつか?」
大きな翼をバサバサと上下させ、優雅に宙を滑ってこちらに向かってくる。そのシルエットは、トカゲに似ていた。
「いや、あれは――」
しかし、その姿には、異質な点がいくつも見て取れた。近づくほどに違和感は増し、有り得ないその形状は見る者に嫌悪感を抱かせる。
溶け崩れた表皮。
露わになった肋骨。
口の端からはだらんと舌が垂れ、色の悪い唾液がだらだらと流れ出している。
「おや、リンドヴルムですかねぇ」
その両肩に鋼鉄の機銃を乗せ、尾に巨大な刃を携えたドラゴン型のゾンビは、帝都を襲った彼の剣機に酷似する姿で以って目の前に現れた。
しかし、
「小さいな」
ヴィルヘルミナは呟く。
空を覆うほどに巨大だったそれとは、比べ物にならない。半分か、それよりも小さく見える。
「嵩張る機能をオミットした、低コスト低燃費の量産型……といったところでしょうかねぇ」
「……何言ってるかよく分かんねえが、敵ってことでいいんだな?」
「ああ、間違いないよ」
シュタークはそれだけ聞くと、向かってくる二つの影に向き直る。
「んじゃ、お仕事と行きますか!」
次の瞬間、獰猛な笑みを浮かべ、シュタークは膨大なオーラに包まれた。
額には天を衝く二本の角が現れ、犬歯は牙のように伸び、片目の赤い瞳だけを残して白目が闇夜のような黒に染まる。全身には真紅の文様が浮かび上がり、その様相を鬼と呼ぶに相応しい物へと変貌させる。
「手伝おうか?」
ヴィルヘルミナが尋ねる。
「いやいや、この程度で大将が出張ることもねえだろ。ヴィル……何とかは、ドライブでも楽しんでてくれや」
「ああ、ならばそうしよう。では――」
ヴィルヘルミナは、トラックの後方にちらと目をやる。
「――後ろの二体は、ハンターに任せるとしようか」
計四体の量産型リンドヴルムが、同時に咆哮を上げた。
●
ズドンとトラックの屋根を蹴り飛ばし、シュタークが砲弾のように飛び上がる。その衝撃は凄まじく、重装甲のトラックが反動で潰れんばかりのものだった。
コンテナの上から飛び出さなかったのは、先ほどのナサニエルの言葉が効いていたからなのだろうか。
「……乱暴ですねぇ」
しかし、それでもトラックはコントロールを失って大きく揺れる。運転手の類まれな技術がなければ、大事故に発展していたかもしれない。
「何、あれくらい元気でなければ師団長など務まらんさ」
愉快そうに、ヴィルヘルミナが笑みを浮かべる。
「それにしても」
ナサニエルが、リンドヴルムと交差しその翼を一撃のもとに斬り落とすシュタークの姿を見て呟く。その様子は、どこか楽しげだ。
「身体強化系の術式は、視力以外に施されていないはずですよねぇ。それも失敗に終わったはずですし……ウフ、どうやったらあそこまで育つのやら」
「ほう、まだ殴り足りなかったか?」
「嫌だなぁ、何もやましいことなんて考えていませんよ」
軽く拳を固めるヴィルヘルミナを前に、ナサニエルはわざとらしく肩を竦めた。
師団長であるシュターク・シュタークスン(kz0075)、副団長の老兵ハルクス・クラフト。そして、師団内でも精鋭となる兵長や上等兵など、合計すれば百は下らない兵士の群れが陣形を組み十のトラックに別れて行軍する物々しさは、この先に待つものが歴史の分水嶺だと暗示しているようだった。
「んで、キャム? この箱の中身がそんなに強えのか?」
車列の中心を務める、一際大きく厳重な装甲に覆われたトラックの荷台で、シュタークは胡散臭げにエンジンの入ったコンテナをゴンゴンと叩いている。時折、あ、凹んだ、などと聞こえるのは気のせいだろうか。
「まあ、君に説明しても時間と労力と酸素の無駄でしょうねぇ。というか、あんまり触らないで貰えます? これは繊細なものなのですよ、君と違ってねぇ」
ナサニエルは荷台の隅に座って、薄笑いを浮かべ嫌味たらしくシュタークを諌める。
「この中身だけでは何も変わらんさ、実際に取り付けてみないことにはな。……しかし、この眺めとスピード感、悪くないな」
ヴィルヘルミナは、コンテナの上に立って楽しそうに遠くを眺めていた。余り整備のされていない道の上に車体が大きく揺れる中、強風に煽られて尚も微動だにしないのは、流石といったところか。
「……私は車内でぬくぬくしたいですねぇ」
身を切る風に、ナサニエルが体を震わせる。
「馬鹿者、御老人がいらっしゃるのだ。若人がこの程度で音を上げてどうする」
「そうそう、涼しくて丁度いいじゃねえか」
シュタークの快活な笑い声を聞き流し、ナサニエルはこれ見よがしにため息を吐いた。
●
そうしてトラックに揺られることしばらく、木々が薄れ荒涼とした大地が見え始める頃に、
「……ん?」
シュタークが、唐突に空を見上げた。
「どうかしたか?」
ヴィルヘルミナが目聡く、その様子に気づき、尋ねる。
「いや、何か臭えぞ」
言うが早いか、シュタークはトラックの屋根に飛び乗っていた。背負った大剣の柄に手を添え、その目は一直線に前方を睨みつける。
「ふむ、何かしらの襲撃は想定内だが」
だからこその、この車列だ。いざという時のために、エンジンも分散して積載してある。
「しかし臭いとは、犬ですか君は」
ナサニエルがうふふと笑いを漏らす。
「ああ。結構鼻が利くんだ、あたしは」
シュタークが、身長ほどもある大剣を抜き放ち、片手に構えた。
その内に、空の向こうに小さな点が二つ現れた。それは徐々に大きくなり、その形を露わにしていく。
「おい、ありゃドラゴンってやつか?」
大きな翼をバサバサと上下させ、優雅に宙を滑ってこちらに向かってくる。そのシルエットは、トカゲに似ていた。
「いや、あれは――」
しかし、その姿には、異質な点がいくつも見て取れた。近づくほどに違和感は増し、有り得ないその形状は見る者に嫌悪感を抱かせる。
溶け崩れた表皮。
露わになった肋骨。
口の端からはだらんと舌が垂れ、色の悪い唾液がだらだらと流れ出している。
「おや、リンドヴルムですかねぇ」
その両肩に鋼鉄の機銃を乗せ、尾に巨大な刃を携えたドラゴン型のゾンビは、帝都を襲った彼の剣機に酷似する姿で以って目の前に現れた。
しかし、
「小さいな」
ヴィルヘルミナは呟く。
空を覆うほどに巨大だったそれとは、比べ物にならない。半分か、それよりも小さく見える。
「嵩張る機能をオミットした、低コスト低燃費の量産型……といったところでしょうかねぇ」
「……何言ってるかよく分かんねえが、敵ってことでいいんだな?」
「ああ、間違いないよ」
シュタークはそれだけ聞くと、向かってくる二つの影に向き直る。
「んじゃ、お仕事と行きますか!」
次の瞬間、獰猛な笑みを浮かべ、シュタークは膨大なオーラに包まれた。
額には天を衝く二本の角が現れ、犬歯は牙のように伸び、片目の赤い瞳だけを残して白目が闇夜のような黒に染まる。全身には真紅の文様が浮かび上がり、その様相を鬼と呼ぶに相応しい物へと変貌させる。
「手伝おうか?」
ヴィルヘルミナが尋ねる。
「いやいや、この程度で大将が出張ることもねえだろ。ヴィル……何とかは、ドライブでも楽しんでてくれや」
「ああ、ならばそうしよう。では――」
ヴィルヘルミナは、トラックの後方にちらと目をやる。
「――後ろの二体は、ハンターに任せるとしようか」
計四体の量産型リンドヴルムが、同時に咆哮を上げた。
●
ズドンとトラックの屋根を蹴り飛ばし、シュタークが砲弾のように飛び上がる。その衝撃は凄まじく、重装甲のトラックが反動で潰れんばかりのものだった。
コンテナの上から飛び出さなかったのは、先ほどのナサニエルの言葉が効いていたからなのだろうか。
「……乱暴ですねぇ」
しかし、それでもトラックはコントロールを失って大きく揺れる。運転手の類まれな技術がなければ、大事故に発展していたかもしれない。
「何、あれくらい元気でなければ師団長など務まらんさ」
愉快そうに、ヴィルヘルミナが笑みを浮かべる。
「それにしても」
ナサニエルが、リンドヴルムと交差しその翼を一撃のもとに斬り落とすシュタークの姿を見て呟く。その様子は、どこか楽しげだ。
「身体強化系の術式は、視力以外に施されていないはずですよねぇ。それも失敗に終わったはずですし……ウフ、どうやったらあそこまで育つのやら」
「ほう、まだ殴り足りなかったか?」
「嫌だなぁ、何もやましいことなんて考えていませんよ」
軽く拳を固めるヴィルヘルミナを前に、ナサニエルはわざとらしく肩を竦めた。
解説
・概要
背後から強襲を掛けてきた量産型リンドヴルムを迎撃せよ。
・敵
量産型リンドヴルムが二体。リンドヴルムA、Bと呼称。量産型らしく両者に違いはほぼありません。
先日帝都を襲った剣機リンドヴルムの半分ほどの大きさの、サイズ3のドラゴン型ゾンビです。翼を使って空中を自由に舞い、両肩の機銃から弾丸を無数にばらまきます。また地上では、その尾に埋め込まれた刃で体ごと回転させつつの薙ぎ払いも行います。
骨格自体が金属で補強されており非常に耐久力が高く、牙や爪も硬質の金属製で大きな威力を持っています。
ブレス機能は量産できなかったのか、汚いヨダレ以外に吐くものはありません。
・場所
木々がまばらに存在する、荒涼とした平地です。道を外れれば、遮蔽物になる大きな岩なども転がっています。
・補足
ハンター達が接敵する時点でトラックは走り去っているため、護衛の必要はありません。事が終われば、辺境の方から改めて迎えが来るでしょう。
また、シュタークは自力で二体を倒してしまうため援軍を必要としません。そのため、時間の経過によりシュタークが戦力として加わる可能性もあります。もちろん、それを当てに時間稼ぎを行っても構いません。
背後から強襲を掛けてきた量産型リンドヴルムを迎撃せよ。
・敵
量産型リンドヴルムが二体。リンドヴルムA、Bと呼称。量産型らしく両者に違いはほぼありません。
先日帝都を襲った剣機リンドヴルムの半分ほどの大きさの、サイズ3のドラゴン型ゾンビです。翼を使って空中を自由に舞い、両肩の機銃から弾丸を無数にばらまきます。また地上では、その尾に埋め込まれた刃で体ごと回転させつつの薙ぎ払いも行います。
骨格自体が金属で補強されており非常に耐久力が高く、牙や爪も硬質の金属製で大きな威力を持っています。
ブレス機能は量産できなかったのか、汚いヨダレ以外に吐くものはありません。
・場所
木々がまばらに存在する、荒涼とした平地です。道を外れれば、遮蔽物になる大きな岩なども転がっています。
・補足
ハンター達が接敵する時点でトラックは走り去っているため、護衛の必要はありません。事が終われば、辺境の方から改めて迎えが来るでしょう。
また、シュタークは自力で二体を倒してしまうため援軍を必要としません。そのため、時間の経過によりシュタークが戦力として加わる可能性もあります。もちろん、それを当てに時間稼ぎを行っても構いません。
マスターより
前回の剣機に余り関わることが出来なかったので、今回は頑張って首を突っ込んでいきたいと思っていますT谷です。
自分で作っておいてあれですが、シュタークちゃんが女の子だということをたまに忘れそうになります。……気をつけよう。
自分で作っておいてあれですが、シュタークちゃんが女の子だということをたまに忘れそうになります。……気をつけよう。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/12/29 04:56
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/12/16 22:15:11 |
|
![]() |
相談卓ですよー リリティア・オルベール(ka3054) 人間(リアルブルー)|19才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2014/12/21 00:53:52 |