ゲスト
(ka0000)
泉のほとりに忍ぶ影
マスター:一要・香織

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/06/09 09:00
- リプレイ完成予定
- 2018/06/18 09:00
オープニング
真っ青に透き通った空。
ほのかに草の匂いを纏った涼やかな風が、カーテンを揺らした。
カランッと、グラスの中の氷が音を立てて踊る。
「ふーー」
王国の片田舎、グランツ領を治める若き領主レイナ・エルト・グランツ(kz0253)は、机の上に広げた書類から顔を上げて長く息を吐きだし、サイドテーブルに置いた薄くなり始めたアイスティーを一口飲み、両手を上げて伸びをした。
窓の外では小鳥のさえずりが聞こえ、木々を揺らす風の音が耳に心地いい。
窓から見える爽やかな風景に目を細め、そして……机の上の山積みの書類に視線を移し、恨めしそうに見つめた。
「なかなか終わりが見えませんね……」
ここ何日も執務室に籠って仕事をしているが、一向に少なくならない紙の束にため息が漏れる。
むずむずと心に燻るのは、外に出てリフレッシュしたいという思い。
太陽が昇るにつれて窓から入る風の温度は上がり、心地よく頬を撫でていた風は、今では汗ばんだ肌に髪の毛を張り付かせる厄介者になっていた。
「はぁ……」
ムワッとする空気にレイナはひとつため息を漏らした。
書類から顔を上げ、サイドテーブルに置かれたグラスに手を伸ばす……。
しかし、先程まで涼しげにグラスの中に浮かんでいた氷は、その形を消していた。
「……………」
冷たい飲み物が恋しいこの季節、レイナの頭にはジルが入れてくれる水出しの美味しいお茶の姿が浮かぶ。
グランツの屋敷から暫らく行ったところにあるルキエと言う村の近くに、名水が湧き出る泉がある。その湧き水を使って淹れる水出しのお茶は絶品だ。
爽快に喉を潤し、鼻から抜ける芳しいお茶の香りとほのかな甘みを思いだし、レイナの喉がゴクリと鳴った。
(飲みたい……。あの冷たくて美味しいお茶を……)
レイナの胸に湧き上がるその欲望は、リフレッシュしたいと思っていたレイナを突き動かすには十分だった。
レイナは勢いよく立ち上がると、執務室から抜け出した。
ルキエ村南の森林にはレイナ、サイファー、そしてサイファーの部下である兵士2人、計4人の姿があった。
森林は村人たちの憩いの場でもあり、緑道にはルキエの村人がひとつづつ敷いた石畳が続いている。
新緑と言うには濃くなり過ぎた葉が、太陽の光をまるでレースのように切り取り地面に模様を映す。その景色を眺めながら、レイナは清々しい空気を胸いっぱいに吸い込んだ。
「水でしたら、俺が汲みに行きましたのに」
レイナが行く程の事ではない……そう言いたげに、サイファーが足を進めながら呟くと、
「いえ……私がここに来たかったので……」
そう言ってレイナは申し訳なさそうに眉を下げた。
少し歩いたところに、森の中程に湧く泉から引いた水を汲める、汲水所が見えてきた。
しかし……。
「水が出ていませんね……」
流れて来ない水にレイナは肩を落とした。
「地面も少し乾いています。止まったのは昨日か、その前……といったところでしょうか」
サイファーは地面に張り付く苔を撫でて応えた。
「どうしてしまったのでしょう?」
グランツ領名物のひとつと言える水が止まってしまったなんて……。
レイナは困ったように眉を寄せた。
「水路に、……何か詰まってしまったのかしら?」
「そうかもしれませんね」
兵士たちと顔を見合わせたサイファーは、森の先を見据え頷いた。
「水路を辿って確認してみましょう」
視線をレイナに戻したサイファーは、安心させるように微笑み声を掛ける。
「はい。このまま……、止まったままにしてはおけませんものね」
レイナは強く頷き先程のサイファーと同じように、視線を森へと向けた。
先頭に立つサイファーに続き、森の中に踏み入る。
舗装などされていない山道を、水路に沿って歩き始めた。
暫らく歩き辿りついた泉の周りは……、酷く荒らされていた。
岩が水路を塞ぎ、水路から溢れた水が地面をチョロチョロと流れている。
「この岩が水路を塞いでいるから、水が流れて来なかったのですね」
自分の背丈半分ほどの岩を眺め、サイファーは息を吐きだした。
「この岩はどこから転がってきたのでしょう」
レイナは首を傾げ呟くと辺りを見回す。
「確かにこの辺りは岩が多いですが、自然に転がったとは考えにくいですね」
「そうですよね……」
サイファーの言葉に頷くと、他の兵士達も顔を見合わせ困ったように首を傾げた。
「少し周りを見てみましょうか? 岩が転がった原因が見つかるかもしれません」
「わかりました」
レイナとサイファー、そして兵士たちはそれぞれに泉の周りを調査しだした。
(地滑り……? 地盤沈下……? まさか人為的に……?)
思い当たる原因を考えてはその可能性の低さに頭を振り、地面を見ながらしばらく歩くと、次の瞬間――――、ガサガサッと音が響き、レイナはハッと顔を上げた。
見れば数メートル先に巨大なツノを持つ大きな鹿が……。
しかし、その禍々しさと、見目の恐ろしさはただの鹿ではない……。
「っ!!」
恐怖に目を見開き息を飲むと、鹿はツノを突き出しレイナ目掛けて突進した。
「きゃあぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!」
悲鳴を上げ、震える足で何とか避けると、鹿のツノはレイナの後ろに佇む大木の幹に突き刺さった。
間一髪、避けられたと安堵するものの、次の瞬間、レイナのバランスが崩れる。
「えっ!?」
腰を引っ張られるような感覚に視線を向ければ、なんと――レイナの腰に着いた装飾の革ベルトが鹿のツノに引っかかっている。
紙一重で避けたと思っていたが、鹿のツノはレイナを捕えていた。
幹からツノを抜いた鹿が勢いよく頭を上げると、それに合わせレイナの足も地面から離れた。
まるで木の枝に干された洗濯物のように、レイナの身体は宙に浮かぶ。
「きゃあぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!」
腰を掴まれたような状態では、動くことも出来ない。
バタバタともがいてみるが、それは鹿雑魔の意識を引くだけだった。
「レイナ様―――――!」
サイファーの声が森に響く。
驚愕した面持ちで駆け付けたサイファーは剣を抜き放ち、鹿に飛び掛かった。
その剣先を避けた鹿の動きに合わせ、レイナも揺れる。
「きゃあぁぁぁ」
再びの悲鳴が森の中を駆け抜けた。
その声に引きつけられたかのように、森の奥からもう1頭……、鹿雑魔が姿を現した。
焦りの色を浮かべたサイファーはギリリと奥歯を噛み締め、鋭く鹿を睨みつけた。
「おい、今悲鳴が聞こえなかったか?」
「ええ、したわね」
ルキエ村付近の森で狩りを楽しんでいたハンター達は、森の奥から聞こえる悲鳴を耳にした。
「何かあったのかもしれない。行こう」
ハンター達は顔を見合わせると、悲鳴が聞こえてきた方角へと駆け出した。
ほのかに草の匂いを纏った涼やかな風が、カーテンを揺らした。
カランッと、グラスの中の氷が音を立てて踊る。
「ふーー」
王国の片田舎、グランツ領を治める若き領主レイナ・エルト・グランツ(kz0253)は、机の上に広げた書類から顔を上げて長く息を吐きだし、サイドテーブルに置いた薄くなり始めたアイスティーを一口飲み、両手を上げて伸びをした。
窓の外では小鳥のさえずりが聞こえ、木々を揺らす風の音が耳に心地いい。
窓から見える爽やかな風景に目を細め、そして……机の上の山積みの書類に視線を移し、恨めしそうに見つめた。
「なかなか終わりが見えませんね……」
ここ何日も執務室に籠って仕事をしているが、一向に少なくならない紙の束にため息が漏れる。
むずむずと心に燻るのは、外に出てリフレッシュしたいという思い。
太陽が昇るにつれて窓から入る風の温度は上がり、心地よく頬を撫でていた風は、今では汗ばんだ肌に髪の毛を張り付かせる厄介者になっていた。
「はぁ……」
ムワッとする空気にレイナはひとつため息を漏らした。
書類から顔を上げ、サイドテーブルに置かれたグラスに手を伸ばす……。
しかし、先程まで涼しげにグラスの中に浮かんでいた氷は、その形を消していた。
「……………」
冷たい飲み物が恋しいこの季節、レイナの頭にはジルが入れてくれる水出しの美味しいお茶の姿が浮かぶ。
グランツの屋敷から暫らく行ったところにあるルキエと言う村の近くに、名水が湧き出る泉がある。その湧き水を使って淹れる水出しのお茶は絶品だ。
爽快に喉を潤し、鼻から抜ける芳しいお茶の香りとほのかな甘みを思いだし、レイナの喉がゴクリと鳴った。
(飲みたい……。あの冷たくて美味しいお茶を……)
レイナの胸に湧き上がるその欲望は、リフレッシュしたいと思っていたレイナを突き動かすには十分だった。
レイナは勢いよく立ち上がると、執務室から抜け出した。
ルキエ村南の森林にはレイナ、サイファー、そしてサイファーの部下である兵士2人、計4人の姿があった。
森林は村人たちの憩いの場でもあり、緑道にはルキエの村人がひとつづつ敷いた石畳が続いている。
新緑と言うには濃くなり過ぎた葉が、太陽の光をまるでレースのように切り取り地面に模様を映す。その景色を眺めながら、レイナは清々しい空気を胸いっぱいに吸い込んだ。
「水でしたら、俺が汲みに行きましたのに」
レイナが行く程の事ではない……そう言いたげに、サイファーが足を進めながら呟くと、
「いえ……私がここに来たかったので……」
そう言ってレイナは申し訳なさそうに眉を下げた。
少し歩いたところに、森の中程に湧く泉から引いた水を汲める、汲水所が見えてきた。
しかし……。
「水が出ていませんね……」
流れて来ない水にレイナは肩を落とした。
「地面も少し乾いています。止まったのは昨日か、その前……といったところでしょうか」
サイファーは地面に張り付く苔を撫でて応えた。
「どうしてしまったのでしょう?」
グランツ領名物のひとつと言える水が止まってしまったなんて……。
レイナは困ったように眉を寄せた。
「水路に、……何か詰まってしまったのかしら?」
「そうかもしれませんね」
兵士たちと顔を見合わせたサイファーは、森の先を見据え頷いた。
「水路を辿って確認してみましょう」
視線をレイナに戻したサイファーは、安心させるように微笑み声を掛ける。
「はい。このまま……、止まったままにしてはおけませんものね」
レイナは強く頷き先程のサイファーと同じように、視線を森へと向けた。
先頭に立つサイファーに続き、森の中に踏み入る。
舗装などされていない山道を、水路に沿って歩き始めた。
暫らく歩き辿りついた泉の周りは……、酷く荒らされていた。
岩が水路を塞ぎ、水路から溢れた水が地面をチョロチョロと流れている。
「この岩が水路を塞いでいるから、水が流れて来なかったのですね」
自分の背丈半分ほどの岩を眺め、サイファーは息を吐きだした。
「この岩はどこから転がってきたのでしょう」
レイナは首を傾げ呟くと辺りを見回す。
「確かにこの辺りは岩が多いですが、自然に転がったとは考えにくいですね」
「そうですよね……」
サイファーの言葉に頷くと、他の兵士達も顔を見合わせ困ったように首を傾げた。
「少し周りを見てみましょうか? 岩が転がった原因が見つかるかもしれません」
「わかりました」
レイナとサイファー、そして兵士たちはそれぞれに泉の周りを調査しだした。
(地滑り……? 地盤沈下……? まさか人為的に……?)
思い当たる原因を考えてはその可能性の低さに頭を振り、地面を見ながらしばらく歩くと、次の瞬間――――、ガサガサッと音が響き、レイナはハッと顔を上げた。
見れば数メートル先に巨大なツノを持つ大きな鹿が……。
しかし、その禍々しさと、見目の恐ろしさはただの鹿ではない……。
「っ!!」
恐怖に目を見開き息を飲むと、鹿はツノを突き出しレイナ目掛けて突進した。
「きゃあぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!」
悲鳴を上げ、震える足で何とか避けると、鹿のツノはレイナの後ろに佇む大木の幹に突き刺さった。
間一髪、避けられたと安堵するものの、次の瞬間、レイナのバランスが崩れる。
「えっ!?」
腰を引っ張られるような感覚に視線を向ければ、なんと――レイナの腰に着いた装飾の革ベルトが鹿のツノに引っかかっている。
紙一重で避けたと思っていたが、鹿のツノはレイナを捕えていた。
幹からツノを抜いた鹿が勢いよく頭を上げると、それに合わせレイナの足も地面から離れた。
まるで木の枝に干された洗濯物のように、レイナの身体は宙に浮かぶ。
「きゃあぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!」
腰を掴まれたような状態では、動くことも出来ない。
バタバタともがいてみるが、それは鹿雑魔の意識を引くだけだった。
「レイナ様―――――!」
サイファーの声が森に響く。
驚愕した面持ちで駆け付けたサイファーは剣を抜き放ち、鹿に飛び掛かった。
その剣先を避けた鹿の動きに合わせ、レイナも揺れる。
「きゃあぁぁぁ」
再びの悲鳴が森の中を駆け抜けた。
その声に引きつけられたかのように、森の奥からもう1頭……、鹿雑魔が姿を現した。
焦りの色を浮かべたサイファーはギリリと奥歯を噛み締め、鋭く鹿を睨みつけた。
「おい、今悲鳴が聞こえなかったか?」
「ええ、したわね」
ルキエ村付近の森で狩りを楽しんでいたハンター達は、森の奥から聞こえる悲鳴を耳にした。
「何かあったのかもしれない。行こう」
ハンター達は顔を見合わせると、悲鳴が聞こえてきた方角へと駆け出した。
解説
森の中に巨大な鹿雑魔が現れました。
有名な湧き水は鹿雑魔が暴れまわり、岩を転がしてしまった為に止まってしまったようです。
鹿のツノは大きく鋭いです。枝の様に分岐し槍の様に突き刺さります。
鹿は2頭います。
そのうちの1頭にレイナが捕まっています。
捕まっているというか……鹿のツノにベルトが引っかかり宙ぶらりんの状態です。
自力で逃げる事が出来ないので助けてあげて下さい。
鹿のツノを折るか、鹿が地面に倒れれば引っかかっていたのが取れるかもしれません。
しかし、同時にレイナも地面に倒れる事になるでしょう。
他の方法もあると思います。皆さんで相談して考えてみてください。
私兵達が居ますが、戦闘には参加しません。
レイナを助け出した後はサイファーたちが守ってくれるので、レイナの事は気にしなくて大丈夫です。
森の中ですが、木々の間隔は広いので戦闘できる程度の空間はあります。
攻撃手段は突撃、叩き付け、ツノを振り回したり、足での蹴りもあります。
戦闘終了後は、水路を潰してしまっている岩の撤去にご協力下さい。
力を合わせて押してもいいですし、スキルを使って細かく砕いてもいいです。
相談して力を合わせて下さい。
どうぞ、よろしくお願いします。
有名な湧き水は鹿雑魔が暴れまわり、岩を転がしてしまった為に止まってしまったようです。
鹿のツノは大きく鋭いです。枝の様に分岐し槍の様に突き刺さります。
鹿は2頭います。
そのうちの1頭にレイナが捕まっています。
捕まっているというか……鹿のツノにベルトが引っかかり宙ぶらりんの状態です。
自力で逃げる事が出来ないので助けてあげて下さい。
鹿のツノを折るか、鹿が地面に倒れれば引っかかっていたのが取れるかもしれません。
しかし、同時にレイナも地面に倒れる事になるでしょう。
他の方法もあると思います。皆さんで相談して考えてみてください。
私兵達が居ますが、戦闘には参加しません。
レイナを助け出した後はサイファーたちが守ってくれるので、レイナの事は気にしなくて大丈夫です。
森の中ですが、木々の間隔は広いので戦闘できる程度の空間はあります。
攻撃手段は突撃、叩き付け、ツノを振り回したり、足での蹴りもあります。
戦闘終了後は、水路を潰してしまっている岩の撤去にご協力下さい。
力を合わせて押してもいいですし、スキルを使って細かく砕いてもいいです。
相談して力を合わせて下さい。
どうぞ、よろしくお願いします。
マスターより
こんにちは。一要です。
冷たい飲み物が恋しい季節になりましたね。
私もアイスティーやアイスコーヒー大好きです!
それはそうと、名水を汲みに行ったレイナが鹿雑魔に襲われてしまいました。
助けてあげて下さい。
そして今までのように水が水路を流れるよう、大きな岩の撤去も手伝ってあげて下さい。
それでは、どうぞ宜しくお願い致します。
冷たい飲み物が恋しい季節になりましたね。
私もアイスティーやアイスコーヒー大好きです!
それはそうと、名水を汲みに行ったレイナが鹿雑魔に襲われてしまいました。
助けてあげて下さい。
そして今までのように水が水路を流れるよう、大きな岩の撤去も手伝ってあげて下さい。
それでは、どうぞ宜しくお願い致します。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/06/13 21:30
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/06/07 07:57:59 |
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相談卓 通りすがりのSさん(ka6276) エルフ|18才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2018/06/09 01:51:33 |