ゲスト
(ka0000)
心、響かせて 1
マスター:ゆくなが

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
関連ユニオン
APV- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 3~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/06/13 07:30
- リプレイ完成予定
- 2018/06/27 07:30
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
彼女はきらきらしていた。
太陽よりも鮮やかに、世界の中で輝いていた。
「ねえ、僕もあの人みたいになれるかなあ」
当時、僕はすでに合唱団に所属していたけれど、熱心には取り組んでいなかった。
けれど、この日から僕は変わった。
真面目に歌に向き合って、もっと上手くなろうとした。
もっと広い音域が出せるよう訓練した。
幸い、僕の声はとてもきれいだと島では評判だった。
でも、ああ、でも。
あれが全てを奪っていったんだ。
いや、思えばあれが真のはじまりだ。
僕は生まれ変わった。歪虚として。
だから──、もう一度、歌を響かせよう。
●まずは帝国歌舞音曲部隊の一室にて
「アイドルをはじめましょう!」
アラベラ・クララ(kz0250)の声が響き渡った。
「えーと、一体なんです?」
帝国歌舞音曲部隊長クレーネウス・フェーデルバール兵長が困惑を隠さず、闖入者アラベラに問いかける。
「アイドルをはじめるのです! さあ、すぐに、いますぐに!」
「いや、そうは言いましても、ライブをするにも段取りが……」
「妾が言っているのはそのようなことではありません」
クレーネウスの言葉を斬り捨てるようにアラベラは言った。
そして、部屋のとあるデスクで仕事をしているひとりの少女グリューエリン・ヴァルファー(kz0050)の前にアラベラは立ちはだかった。
「もう一度歌いましょう、グリューエリン!」
「……」
グリューエリンは緑色の宝石のような瞳で、静かにアラベラを見据えた。
「仕事中です。出ていってください」
「君は軍属アイドルでしょう? 歌ったり踊ったりするのが仕事のはずです」
「今は違うんです」
「ねえ、グリューエリン。どうして歌わなくなってしまったのです?」
アラベラは真っ直ぐな言葉でグリューエリンに問いかけた。
約2年半前、ある戦いがあった。
そこに駆り出されたのが帝国のアイドル、グリューエリンとブレンネ・シュネートライベン(kz0145)だった。
彼女達は戦場で歌を歌い、兵士を鼓舞した。
結果……兵士たちは戦場で多大なる傷を負った。
歌で鼓舞することで、ある種盲目的なまでに兵士を戦場へと駆り立ててしまったのだ。
死んでしまった兵士がいた。もう元には戻らない傷を負った兵士がいた。
そして、グリューエリンは歌にそんな恐ろしい力があるなんて、その時まで思ってもみなかった。
歌のせいで、人を傷つけてしまった。歌で人が傷つくなんて思ってもみなかった。
それ以来、グリューエリンは自分が歌うことに疑問を抱くようになった。
「私、歌って良いの?」
「私なんかが歌って良いの?」
「人を傷つけた私の歌を、響かせて良いの?」
それでもライブを続けていたけれど、そんな疑いを抱いた状態ではパフォーマンスも冴え渡らず、次第に客は減っていった。
そして、約1年前グリューエリンは歌うのを、やめた。
「それがどうしたというのです」
しかし、アラベラは事情を知ってなお、そんなことは歯牙にも掛けず言ってのけた。
「歌いたいなら、歌えばいいのです」
「……私のような人間は歌うべきではなかったんです」
「でも、まだ君はアイドルをやめてはいないのでしょう?」
歌わなくなっても、グリューエリンはまだ軍属アイドルだった。
「じゃあ、歌いましょう。もちろん妾も一緒に歌います」
「帰ってください!」
硝子細工のように繊細なグリューエリンの声が怒号となって一室に響いた。
「私は歌うべきではなかったのです」
「じゃあ、どうしてまだアイドルの肩書きを持っているのです」
「それは……」
逃げたくない。ただそれだけの理由だった。グリューエリンはまだアイドルを捨て去ることは出来なかった。けれど……。
「アラベラ殿には関係のないことです」
「そうですか。じゃ、そこのクレーネウスとか言いましたね。妾と一緒にアイドル活動をしましょう」
「……いえ、お断りします」
クレーネウスは悲痛な瞳でグリューエリンを見てから言った。
「我々はあくまで帝国歌舞音曲部隊……軍人です。この所属アイドルが歌いたくないと言っているのなら、我々にも無理強いは出来ませんし、英霊とはいえ軍人ではないあなたの補佐をすることもできません」
「なんだか、難しい問題……いえ、問題を難しくしている感がありますね。歌いたいなら歌えばいいじゃないですか」
やはりアラベラはそんな悩みなぞ痛痒しないというように言う。
「貴女にはわからないんです」
そこへ、グリューエリンの振り絞るような、かすれた声が聞こえた。
「華やかな伝承に彩られた貴女には、私の悩みなんてわからないんです」
●続いてハンターオフィスにて
「と、いうわけなんです」
やってくるなり、アラベラはグリューエリンとのことを説明した。
「妾としては、彼女たちが活動を再開しない限りアイドルになることは難しいようなので、ぜひ帝国歌舞音曲部隊の再開させたいのです。しかし、そのためにはグリューエリンという少女の悩みを解決しなければならないようです」
そしてアラベラは腕を組んで考え始めた。
「歌いたいなら歌えばいいのに、何を悩んでいるのでしょうか?」
絶火の騎士アラベラ・クララは行きたいように生き、好きなように振る舞い、やりたいことだけやって死んだ。彼女の生涯に悩みも悔いもなかった。
そして英霊になってから自分にアイドルの適正があるかどうかについて少しは悩んだが、それも瞬間的に解決してしまった。
だから、グリューエリンのように長い間悩み苦しむものの気持ちは、アラベラにはわからないのだ。
「アイドルとは人に勇気や夢を与える存在だと聞きました。でも、妾の言葉はグリューエリンには届かない。妾は彼女に対しどうすればいいかわからない。ですから、あなたたちハンターに助けて欲しいのです」
そう言ってアラベラは頭を下げた。
「苦悩する美少女というのも絵になりますが、今回のはよろしくありません。どうか、よろしくお願いします」
アラベラはアラベラなりに、グリューエリンのことを心配しているのであった。
彼女はきらきらしていた。
太陽よりも鮮やかに、世界の中で輝いていた。
「ねえ、僕もあの人みたいになれるかなあ」
当時、僕はすでに合唱団に所属していたけれど、熱心には取り組んでいなかった。
けれど、この日から僕は変わった。
真面目に歌に向き合って、もっと上手くなろうとした。
もっと広い音域が出せるよう訓練した。
幸い、僕の声はとてもきれいだと島では評判だった。
でも、ああ、でも。
あれが全てを奪っていったんだ。
いや、思えばあれが真のはじまりだ。
僕は生まれ変わった。歪虚として。
だから──、もう一度、歌を響かせよう。
●まずは帝国歌舞音曲部隊の一室にて
「アイドルをはじめましょう!」
アラベラ・クララ(kz0250)の声が響き渡った。
「えーと、一体なんです?」
帝国歌舞音曲部隊長クレーネウス・フェーデルバール兵長が困惑を隠さず、闖入者アラベラに問いかける。
「アイドルをはじめるのです! さあ、すぐに、いますぐに!」
「いや、そうは言いましても、ライブをするにも段取りが……」
「妾が言っているのはそのようなことではありません」
クレーネウスの言葉を斬り捨てるようにアラベラは言った。
そして、部屋のとあるデスクで仕事をしているひとりの少女グリューエリン・ヴァルファー(kz0050)の前にアラベラは立ちはだかった。
「もう一度歌いましょう、グリューエリン!」
「……」
グリューエリンは緑色の宝石のような瞳で、静かにアラベラを見据えた。
「仕事中です。出ていってください」
「君は軍属アイドルでしょう? 歌ったり踊ったりするのが仕事のはずです」
「今は違うんです」
「ねえ、グリューエリン。どうして歌わなくなってしまったのです?」
アラベラは真っ直ぐな言葉でグリューエリンに問いかけた。
約2年半前、ある戦いがあった。
そこに駆り出されたのが帝国のアイドル、グリューエリンとブレンネ・シュネートライベン(kz0145)だった。
彼女達は戦場で歌を歌い、兵士を鼓舞した。
結果……兵士たちは戦場で多大なる傷を負った。
歌で鼓舞することで、ある種盲目的なまでに兵士を戦場へと駆り立ててしまったのだ。
死んでしまった兵士がいた。もう元には戻らない傷を負った兵士がいた。
そして、グリューエリンは歌にそんな恐ろしい力があるなんて、その時まで思ってもみなかった。
歌のせいで、人を傷つけてしまった。歌で人が傷つくなんて思ってもみなかった。
それ以来、グリューエリンは自分が歌うことに疑問を抱くようになった。
「私、歌って良いの?」
「私なんかが歌って良いの?」
「人を傷つけた私の歌を、響かせて良いの?」
それでもライブを続けていたけれど、そんな疑いを抱いた状態ではパフォーマンスも冴え渡らず、次第に客は減っていった。
そして、約1年前グリューエリンは歌うのを、やめた。
「それがどうしたというのです」
しかし、アラベラは事情を知ってなお、そんなことは歯牙にも掛けず言ってのけた。
「歌いたいなら、歌えばいいのです」
「……私のような人間は歌うべきではなかったんです」
「でも、まだ君はアイドルをやめてはいないのでしょう?」
歌わなくなっても、グリューエリンはまだ軍属アイドルだった。
「じゃあ、歌いましょう。もちろん妾も一緒に歌います」
「帰ってください!」
硝子細工のように繊細なグリューエリンの声が怒号となって一室に響いた。
「私は歌うべきではなかったのです」
「じゃあ、どうしてまだアイドルの肩書きを持っているのです」
「それは……」
逃げたくない。ただそれだけの理由だった。グリューエリンはまだアイドルを捨て去ることは出来なかった。けれど……。
「アラベラ殿には関係のないことです」
「そうですか。じゃ、そこのクレーネウスとか言いましたね。妾と一緒にアイドル活動をしましょう」
「……いえ、お断りします」
クレーネウスは悲痛な瞳でグリューエリンを見てから言った。
「我々はあくまで帝国歌舞音曲部隊……軍人です。この所属アイドルが歌いたくないと言っているのなら、我々にも無理強いは出来ませんし、英霊とはいえ軍人ではないあなたの補佐をすることもできません」
「なんだか、難しい問題……いえ、問題を難しくしている感がありますね。歌いたいなら歌えばいいじゃないですか」
やはりアラベラはそんな悩みなぞ痛痒しないというように言う。
「貴女にはわからないんです」
そこへ、グリューエリンの振り絞るような、かすれた声が聞こえた。
「華やかな伝承に彩られた貴女には、私の悩みなんてわからないんです」
●続いてハンターオフィスにて
「と、いうわけなんです」
やってくるなり、アラベラはグリューエリンとのことを説明した。
「妾としては、彼女たちが活動を再開しない限りアイドルになることは難しいようなので、ぜひ帝国歌舞音曲部隊の再開させたいのです。しかし、そのためにはグリューエリンという少女の悩みを解決しなければならないようです」
そしてアラベラは腕を組んで考え始めた。
「歌いたいなら歌えばいいのに、何を悩んでいるのでしょうか?」
絶火の騎士アラベラ・クララは行きたいように生き、好きなように振る舞い、やりたいことだけやって死んだ。彼女の生涯に悩みも悔いもなかった。
そして英霊になってから自分にアイドルの適正があるかどうかについて少しは悩んだが、それも瞬間的に解決してしまった。
だから、グリューエリンのように長い間悩み苦しむものの気持ちは、アラベラにはわからないのだ。
「アイドルとは人に勇気や夢を与える存在だと聞きました。でも、妾の言葉はグリューエリンには届かない。妾は彼女に対しどうすればいいかわからない。ですから、あなたたちハンターに助けて欲しいのです」
そう言ってアラベラは頭を下げた。
「苦悩する美少女というのも絵になりますが、今回のはよろしくありません。どうか、よろしくお願いします」
アラベラはアラベラなりに、グリューエリンのことを心配しているのであった。
解説
●成功条件
帝国歌舞音曲部隊所属アイドル、グリューエリン・ヴァルファーを元気付けること、および、グリューエリンとアラベラの仲をとりもつこと。
●登場人物
グリューエリン・ヴァルファー
帝国歌舞音曲部隊所属の軍属アイドル。今回の依頼対象。
グリューエリンはシナリオ「【闇光】歌は戦場に響くか」以来、自分が歌うことに疑いを持ってしまったようです。
そんな彼女を元気付け、もう一度歌う……ことは難しくてもアイドルとしての自分にもう一度向き合えるようにしてあげてください。
アラベラについては、最初に痛いところをつかれたこともあって、印象は悪いです。
クレーネウス・フェーデルバール兵長
帝国歌舞音曲部隊長。グリューエリンのことは心配しているが、どうすればいいかはわからないようです。
特にプレイングで絡みがなければ登場しません。
アラベラ・クララ
英霊。絶火の騎士。今回の依頼人。
好きなように生きて来て、悩みとは無縁の人生だったため、グリューエリンとどう向き合えばいいのかわからないようです。
基本、言いたいことを言う人間ですから、何の用意もさせずにグリューエリンに接触させると、どんな事態になるかわかりません。
また、策略なども苦手な人種です。扱いには注意が必要でしょう。
アイドルというものを知って以降、協力や協調も大事にするようになってきたので、グリューエリンのことは心配しているし、仲良くしたいと思っています。
ですのでアラベラをグリューエリンと完全に接触させない、というのは得策ではありませんし、アラベラも了承しません。
●場所について
ゾンネンシュトラール帝国第一師団兵営、帝国歌舞音曲部隊のための一室が依頼の舞台です。
●質問について
今回は受け付けません。ご了承ください。
帝国歌舞音曲部隊所属アイドル、グリューエリン・ヴァルファーを元気付けること、および、グリューエリンとアラベラの仲をとりもつこと。
●登場人物
グリューエリン・ヴァルファー
帝国歌舞音曲部隊所属の軍属アイドル。今回の依頼対象。
グリューエリンはシナリオ「【闇光】歌は戦場に響くか」以来、自分が歌うことに疑いを持ってしまったようです。
そんな彼女を元気付け、もう一度歌う……ことは難しくてもアイドルとしての自分にもう一度向き合えるようにしてあげてください。
アラベラについては、最初に痛いところをつかれたこともあって、印象は悪いです。
クレーネウス・フェーデルバール兵長
帝国歌舞音曲部隊長。グリューエリンのことは心配しているが、どうすればいいかはわからないようです。
特にプレイングで絡みがなければ登場しません。
アラベラ・クララ
英霊。絶火の騎士。今回の依頼人。
好きなように生きて来て、悩みとは無縁の人生だったため、グリューエリンとどう向き合えばいいのかわからないようです。
基本、言いたいことを言う人間ですから、何の用意もさせずにグリューエリンに接触させると、どんな事態になるかわかりません。
また、策略なども苦手な人種です。扱いには注意が必要でしょう。
アイドルというものを知って以降、協力や協調も大事にするようになってきたので、グリューエリンのことは心配しているし、仲良くしたいと思っています。
ですのでアラベラをグリューエリンと完全に接触させない、というのは得策ではありませんし、アラベラも了承しません。
●場所について
ゾンネンシュトラール帝国第一師団兵営、帝国歌舞音曲部隊のための一室が依頼の舞台です。
●質問について
今回は受け付けません。ご了承ください。
マスターより
こんにちは、あるいはこんばんは。ゆくながです。
悩みって、当人にとっては複雑怪奇で大きく重たいもののように見えるけど、他人からしたらすごく単純なものに見えちゃったりするんじゃないか、というようなお話です。
さて、この依頼は連作ショートの第1話目となっており、全5話を予定しております。
まずは導入の日常編です。
主軸となるのは帝国のアイドル、グリューエリン・ヴァルファーです。
久々の登場ですが、なにやらアラベラとは不穏な空気。
皆さんの活躍で、どうか仲良くさせてあげてください。
それでは皆様のご参加をお待ちしております。
最後までお付き合いいただければ幸いに存じます。
悩みって、当人にとっては複雑怪奇で大きく重たいもののように見えるけど、他人からしたらすごく単純なものに見えちゃったりするんじゃないか、というようなお話です。
さて、この依頼は連作ショートの第1話目となっており、全5話を予定しております。
まずは導入の日常編です。
主軸となるのは帝国のアイドル、グリューエリン・ヴァルファーです。
久々の登場ですが、なにやらアラベラとは不穏な空気。
皆さんの活躍で、どうか仲良くさせてあげてください。
それでは皆様のご参加をお待ちしております。
最後までお付き合いいただければ幸いに存じます。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/06/20 16:02
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/06/08 22:08:55 |
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心の傷を乗り越えて[相談卓] ユメリア(ka7010) エルフ|20才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2018/06/12 21:45:03 |