ゲスト
(ka0000)
【空蒼】生存者の叫び声
マスター:三田村 薫

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,500
- 参加人数
- 現在6人 / 5~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/06/26 19:00
- リプレイ完成予定
- 2018/07/05 19:00
オープニング
●Vegas VOID
アメリカ合衆国、ネヴァダ州はラスベガス。客が逃げ出した後のカジノにて。
VOID火星クラスタの残党が現れたとの報せを受けて、アメリカ基地から連合軍が出撃している。
すでに援軍がクリムゾンウェストから出発しており、こちらに到着するまで可能な限りVOIDを殲滅するのがアルファチームの役目だったが、どうにも分が悪い。次にひかえたブラヴォーチームも、既に武装は完了している。
既に、ナンシー・スギハラ曹長ともう一人のクレア・メイ一等兵を残した、他のチームメイトと通信が途絶えている。あまり考えたくないことだが、潰えた声の数だけ棺が並ぶことだろう。
先ほど、ナンシーもそのVOIDと交戦した。形容しがたい、ヘビ様な、口の丸い外見で、彼女がアサルトライフルで銃撃を加えると、大量の粘液を出しながら逃げて行った。追い掛けようとしたが、既にそのVOIDがまき散らした粘液のせいで思うように走ることができない。うっかり転んだ日には、逃げ遅れた客の死体が語るように、窒息死する可能性がある。息ができなくなることは怖かった。
「こちらスギハラ。二階レストラン前で敵と交戦した。粘液を大量に分泌している。あまり近づきすぎると、あれで窒息する可能性がある。対応は慎重に」
「銃も詰まっちゃうね」
もう一人の生き残り、クレアが呑気な声で答えた。明るく振る舞ってくれているのだろう。この後輩の振る舞いにはいつも救われる。
「そう。銃も詰まる。だから無理するんじゃないよ」
「わかってる! それに、もうすぐクリムゾンウェストから援軍も来てくれるんでしょう? そしたらきっとすぐだよね! 皆も見付けて連れて帰らなきゃ」
「もちろんさ」
「そんなお前たちに朗報だ。今、クリムゾンウェストからの援軍が到着した。一旦戻ってきてくれ」
無線から本部にいる通信担当の声がする。ナンシーはほっと息を吐いた。レストランの奥に、先ほど撃った個体がいるが、それも援軍に頼もう。連合軍ではおおよそ太刀打ちができない。彼女は奥から目を離さずに、ゆっくりと後ろに下がる。
「戻るよ。クレア、今どこ?」
「三階! 今降りるね」
「うん。階段の下にいるよ」
「わかっ……あっ」
そこで言葉が途切れた。
「クレア?」
返事は、無線から轟く耳をつんざくような悲鳴と、何かが引きちぎられる音。そして唐突に悲鳴がぷつんと途絶えた。
●撤退命令
クレアの悲鳴を聞いて、ナンシーの無線から音割れの様な通信担当の声が響く。
「曹長! 大佐からの命令だ今すぐ撤退しろ!」
「嫌だ! 殺してやる! あいつ殺してやる!」
「クリムゾンウェストから援軍が来てるんだ! 生き証人として彼らに見たものを伝えるんだよ! お前の証言が必要だ! 今すぐ戻って来い!」
援軍。生き証人。証言が必要。それらの言葉は、ナンシーを一瞬だけ揺らがせたが、一瞬だけだった。すぐに、その揺らぎは怒りと憎悪に飲み込まれて行く。
「嫌だ! あいつ殺すまで戻るもんか!」
「ナンシー!」
彼女は無線に向かって怒りにまかせて喚いた。恐怖と悲しみと殺意が心の中で混ざり合って行く。銃を持つ手が怒りで震えている。怖くもあったが、この震えは確かに怒りであった。彼女は無線を捨てる。粘液の上に落ちた無線は、いずれ使い物にならなくなるだろう。
「こ、こ、こ……」
息を吸って、吐く。その後から怨嗟を吐き出す。
「殺してやる」
粘液を踏んで、靴底から糸が引いた。
自分だけが生き残っている。自分だけが生きている。自分だけが。
そのことを後ろめたく思っていることに、彼女自身はまだ気付いていない。
●ハンターの出番
「ナンシーの奴、頭に血が上ってやがる。死ぬぞ。後続を考えないなんてあいつらしくねぇ。完全にキレてる」
「死なれちゃ困る。敵情報が上がってこない」
通信担当が頭を抱えると、その場の責任者も頭を抱えた。彼は、到着したハンターたちを振り返って慌てて弁明する。
「いや、誤解しないでほしい。私も彼女に死んで欲しいわけじゃない」
ハンターたちが沈痛の面持ちで頷くのを見て、彼は咳払いをしてから、
「……まずは、彼女の説得を試みて欲しい。面倒見の良い彼女のことだ。君たちが協力する、と言う形で撤退を促せばあるいは……それで納得すればよし、できれば保護してもらえれば敵のことも聞けるだろう。もし間に合わなければ……棺が増えるのは私も本意ではないが、致し方ない」
それから、彼は少し悩んだ様だが、意を決したようにハンターたちに告げる。
「合衆国の、いや世界の命運が掛かっている。ベガスから連中を出してはならない。もし、彼女のためにこの任務に支障が出るならば」
彼は言葉を切った。
「ナンシーの殺害も許可しなくてはならない」
アメリカ合衆国、ネヴァダ州はラスベガス。客が逃げ出した後のカジノにて。
VOID火星クラスタの残党が現れたとの報せを受けて、アメリカ基地から連合軍が出撃している。
すでに援軍がクリムゾンウェストから出発しており、こちらに到着するまで可能な限りVOIDを殲滅するのがアルファチームの役目だったが、どうにも分が悪い。次にひかえたブラヴォーチームも、既に武装は完了している。
既に、ナンシー・スギハラ曹長ともう一人のクレア・メイ一等兵を残した、他のチームメイトと通信が途絶えている。あまり考えたくないことだが、潰えた声の数だけ棺が並ぶことだろう。
先ほど、ナンシーもそのVOIDと交戦した。形容しがたい、ヘビ様な、口の丸い外見で、彼女がアサルトライフルで銃撃を加えると、大量の粘液を出しながら逃げて行った。追い掛けようとしたが、既にそのVOIDがまき散らした粘液のせいで思うように走ることができない。うっかり転んだ日には、逃げ遅れた客の死体が語るように、窒息死する可能性がある。息ができなくなることは怖かった。
「こちらスギハラ。二階レストラン前で敵と交戦した。粘液を大量に分泌している。あまり近づきすぎると、あれで窒息する可能性がある。対応は慎重に」
「銃も詰まっちゃうね」
もう一人の生き残り、クレアが呑気な声で答えた。明るく振る舞ってくれているのだろう。この後輩の振る舞いにはいつも救われる。
「そう。銃も詰まる。だから無理するんじゃないよ」
「わかってる! それに、もうすぐクリムゾンウェストから援軍も来てくれるんでしょう? そしたらきっとすぐだよね! 皆も見付けて連れて帰らなきゃ」
「もちろんさ」
「そんなお前たちに朗報だ。今、クリムゾンウェストからの援軍が到着した。一旦戻ってきてくれ」
無線から本部にいる通信担当の声がする。ナンシーはほっと息を吐いた。レストランの奥に、先ほど撃った個体がいるが、それも援軍に頼もう。連合軍ではおおよそ太刀打ちができない。彼女は奥から目を離さずに、ゆっくりと後ろに下がる。
「戻るよ。クレア、今どこ?」
「三階! 今降りるね」
「うん。階段の下にいるよ」
「わかっ……あっ」
そこで言葉が途切れた。
「クレア?」
返事は、無線から轟く耳をつんざくような悲鳴と、何かが引きちぎられる音。そして唐突に悲鳴がぷつんと途絶えた。
●撤退命令
クレアの悲鳴を聞いて、ナンシーの無線から音割れの様な通信担当の声が響く。
「曹長! 大佐からの命令だ今すぐ撤退しろ!」
「嫌だ! 殺してやる! あいつ殺してやる!」
「クリムゾンウェストから援軍が来てるんだ! 生き証人として彼らに見たものを伝えるんだよ! お前の証言が必要だ! 今すぐ戻って来い!」
援軍。生き証人。証言が必要。それらの言葉は、ナンシーを一瞬だけ揺らがせたが、一瞬だけだった。すぐに、その揺らぎは怒りと憎悪に飲み込まれて行く。
「嫌だ! あいつ殺すまで戻るもんか!」
「ナンシー!」
彼女は無線に向かって怒りにまかせて喚いた。恐怖と悲しみと殺意が心の中で混ざり合って行く。銃を持つ手が怒りで震えている。怖くもあったが、この震えは確かに怒りであった。彼女は無線を捨てる。粘液の上に落ちた無線は、いずれ使い物にならなくなるだろう。
「こ、こ、こ……」
息を吸って、吐く。その後から怨嗟を吐き出す。
「殺してやる」
粘液を踏んで、靴底から糸が引いた。
自分だけが生き残っている。自分だけが生きている。自分だけが。
そのことを後ろめたく思っていることに、彼女自身はまだ気付いていない。
●ハンターの出番
「ナンシーの奴、頭に血が上ってやがる。死ぬぞ。後続を考えないなんてあいつらしくねぇ。完全にキレてる」
「死なれちゃ困る。敵情報が上がってこない」
通信担当が頭を抱えると、その場の責任者も頭を抱えた。彼は、到着したハンターたちを振り返って慌てて弁明する。
「いや、誤解しないでほしい。私も彼女に死んで欲しいわけじゃない」
ハンターたちが沈痛の面持ちで頷くのを見て、彼は咳払いをしてから、
「……まずは、彼女の説得を試みて欲しい。面倒見の良い彼女のことだ。君たちが協力する、と言う形で撤退を促せばあるいは……それで納得すればよし、できれば保護してもらえれば敵のことも聞けるだろう。もし間に合わなければ……棺が増えるのは私も本意ではないが、致し方ない」
それから、彼は少し悩んだ様だが、意を決したようにハンターたちに告げる。
「合衆国の、いや世界の命運が掛かっている。ベガスから連中を出してはならない。もし、彼女のためにこの任務に支障が出るならば」
彼は言葉を切った。
「ナンシーの殺害も許可しなくてはならない」
解説
●目的
1.カジノに出没した狂気歪虚の殲滅
2.撤退拒否したスギハラ曹長の保護
●敵情報
ヌタウナギ型狂気雑魔:5体
フォルムはヌタウナギですが(検索は勧めません)、大きさは直径50センチ程度あります。ギリギリサイズ1を出ないくらいの大きさです。居場所に関しては、ナンシーが撃った2階の個体と、クレアを襲った3階の個体が明らかです。
ヌタウナギと同じく粘液を大量に分泌しており、これにかかると強度2の行動阻害を受けます(3ターン)。積極的にふっかけてくることはありませんが、大きく動くと飛んでくることも。
また何の前触れもなく噛みついてくることも。
狂気の眷属なので戦略的な動きはしませんが、急に動くことはありえます。
●カジノ内部について
正面玄関入ってすぐがロビー。その先の扉を開けるとカジノルームです。
2階はレストランが4店舗。
3階より上は宿泊施設になっており8階まであります。
いずれも床や設備に粘液がへばりついています。こちらは覚醒者の身体能力も加味して、接触しても行動阻害なしとして処理します。
また、先発部隊や逃げ遅れた一般人の亡骸も見つかります。いずれも粘液にまみれており、体の一部が食いちぎられたものもあります。粘液のため出血は止まっており、死因はほぼ、粘液が呼吸器を閉塞したことによる窒息死です。
●ナンシー・スギハラ曹長について
2階か3階にいます。粘液のせいで移動はゆっくりです。アサルトライフルとナイフ、ハンドガンを所持しており、抵抗した場合は発砲の可能性もあります。
保護した場合の迎えは連合軍のブラヴォーチームが出動します。
使命感と憎悪を燃やしています。
説得に失敗し、任務の進行に支障が出るようであればナンシーはその場で再起不能あるいは殺害もやむなしとの許可は下りています。
1.カジノに出没した狂気歪虚の殲滅
2.撤退拒否したスギハラ曹長の保護
●敵情報
ヌタウナギ型狂気雑魔:5体
フォルムはヌタウナギですが(検索は勧めません)、大きさは直径50センチ程度あります。ギリギリサイズ1を出ないくらいの大きさです。居場所に関しては、ナンシーが撃った2階の個体と、クレアを襲った3階の個体が明らかです。
ヌタウナギと同じく粘液を大量に分泌しており、これにかかると強度2の行動阻害を受けます(3ターン)。積極的にふっかけてくることはありませんが、大きく動くと飛んでくることも。
また何の前触れもなく噛みついてくることも。
狂気の眷属なので戦略的な動きはしませんが、急に動くことはありえます。
●カジノ内部について
正面玄関入ってすぐがロビー。その先の扉を開けるとカジノルームです。
2階はレストランが4店舗。
3階より上は宿泊施設になっており8階まであります。
いずれも床や設備に粘液がへばりついています。こちらは覚醒者の身体能力も加味して、接触しても行動阻害なしとして処理します。
また、先発部隊や逃げ遅れた一般人の亡骸も見つかります。いずれも粘液にまみれており、体の一部が食いちぎられたものもあります。粘液のため出血は止まっており、死因はほぼ、粘液が呼吸器を閉塞したことによる窒息死です。
●ナンシー・スギハラ曹長について
2階か3階にいます。粘液のせいで移動はゆっくりです。アサルトライフルとナイフ、ハンドガンを所持しており、抵抗した場合は発砲の可能性もあります。
保護した場合の迎えは連合軍のブラヴォーチームが出動します。
使命感と憎悪を燃やしています。
説得に失敗し、任務の進行に支障が出るようであればナンシーはその場で再起不能あるいは殺害もやむなしとの許可は下りています。
マスターより
こんにちは三田村です。
誰が死んでもお腹は空くし、誰が死んでも自分が生きていれば、自分の人生は続きます。生きている理由なんて、心臓が止まらないから、で充分。私はそう思います。
雑魔退治は勿論ですが、生き残って「しまった」人に寄り添っていただくのも今回のシナリオの肝となります。どちらも大事なことです。
どうぞよろしくお願いします。
誰が死んでもお腹は空くし、誰が死んでも自分が生きていれば、自分の人生は続きます。生きている理由なんて、心臓が止まらないから、で充分。私はそう思います。
雑魔退治は勿論ですが、生き残って「しまった」人に寄り添っていただくのも今回のシナリオの肝となります。どちらも大事なことです。
どうぞよろしくお願いします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/07/02 00:50
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/06/24 08:16:09 |
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相談卓 万歳丸(ka5665) 鬼|17才|男性|格闘士(マスターアームズ) |
最終発言 2018/06/26 18:36:11 |