ゲスト
(ka0000)
【空蒼】希望の目覚め
マスター:近藤豊

- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- 普通
- 参加費
500
- 参加人数
- 現在25人 / 1~25人
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/06/25 22:00
- リプレイ完成予定
- 2018/07/04 22:00
オープニング
傷は、自分が思っている以上に癒えない。
肉体的にも、精神的にも傷は深い。
それが癒えるまでには時間を要する。
しかし、時間は有限――だからこそ、人は限られた時間の中で必死に足掻く。
少しでも前に進みたいから。
「ユーキ、『アレ』はどうなっている?」
エディンバラにあるムーンリーフ財団本部。
総帥のトモネ・ムーンリーフは、執務室の窓から外の風景を見つめていた。
いつもと変わらぬ光景。
同じように太陽が照らし、風は吹き抜けている。
平和の象徴にも見える光景だが、トモネの目にはそう映っていなかった。
一見平和そうな光景でも、その裏では誰かが失意の中で苦しんでいる。
今は、決して平和ではない。
平和のように見える光景の裏には、様々な負の感情が渦巻き、虚偽と欺瞞に満ちあふれている。
この世界に『本当の救済』はないのか――。
「計画通り順調に進んでおります」
「すまぬ。今から変更を加える事は可能か?」
「変更箇所にもよりますが……どのような変更をされるのでしょう?」
世話役兼補佐役のユーキ・ソリアーノは、敢えてトモネに詳細を問いかけた。
『アレ』が計画された時、多くの者が一笑に付した。
何度も馬鹿にされ、頓挫しかけながらも完成間近にまで漕ぎ着けた。
財団のすべてを注ぎ込んだ『アレ』に総帥は何をしようというのか。
そう考えていたユーキだが、トモネからは思わぬ言葉がもたらされる。
「分からぬ」
「はい?」
「今は分からぬ。これから彼らの意見を取り込みたいのだ」
「……!」
トモネの言葉の意味を、ユーキは少しの間を置いてから気付いた。
トモネは『アレ』の建造に際して強化人間失踪事件で充分な働きを見せたハンターの意見を取り入れようとしているのだ。
ハンター。
実績は既に多く積んでいる。その強さも経験も本物だろう。
VOIDを前に何度も戦ってきたハンターならば、『アレ』はさらに完成度を増すかもしれない。
――しかし。
「総帥。ハンターが如何に優れていても『アレ』は……」
「私はっ! 『アレ』を希望にすると決めた。『アレ』が希望となる為には、更なる改修が必要だ。不安を抱き、恐れる民を先導する希望。今、人類に必要なものはそれではないのか?」
トモネの言葉に熱が入る。
強化人間失踪事件を受け、トモネは傷付き悩んでいた。
それでも歩き続けるのは、ムーンリーフ財団の総帥として人々を導こうとしていたからだ。
希望。
トモネは、財団の力で人々の希望を作り出そうとしているのだ。
もう、子供達が傷付かないで済む世界を作る為に。
「案によっては工期の遅れもございましょう」
「致し方あるまい。すべては明日の未来の為だ」
「Yes, My Lord」
ユーキはトモネの指示を実行するべく、早々に準備へ入った。
●
クリムゾンウェストの連合軍宛にムーンリーフ財団から協力要請が来たのは、一週間も前の事だ。
リアルブルーの有力企業が、わざわざ世界を越えてクリムゾンウェストの連合軍に依頼をするのは前代未聞。だが、連合軍からすればリアルブルーでも高い技術力を持つ企業と繋がりを持つ事は悪い事ではない。
そこで連合軍は、ある人材を派遣する。
それは――クリムゾンウェストでも若くして要塞『ノアーラ・クンタウ』を任される有望な将官である。
「『ニダヴェリール』ですか。リアルブルーの技術に、私は恐ろしさを感じてしまいます」
ヴェルナー・ブロスフェルト(kz0032)は、建造中のニダヴェリールをガラス越しに見つめていた。
視界に広がる巨大な塔。
おそらく他の施設でも製造を行っている為、目の前にあるのはほんの一部なのだろう。
「私にはクリムゾンウェストの魔導技術の方が恐ろしく感じます」
「お褒めの言葉と受け取っておきます。では、早速ですがこちらへ呼ばれた理由を教えていただけますか?」
トモネに先んじてヴェルナーとハンターを会議室へ招待したユーキ。
時折、トゥールビヨンの腕時計を気にしている所を見れば、何かを待っているのだろうか。
ヴェルナーは未だリアルブルーへ招待された理由を聞いていない。
だが、ガラスの向こうに鎮座する『塔』に関する事だと予想できた。
「まずはこちらをご覧下さい」
会議室のスクリーンに映し出される説明文。
それはニダヴェリールの持つ機能の概要である。
全容は書かれていないが、そこには意外な一文が書かれていた。
その一文を、ユーキが読み上げる。
「大規模宇宙ステーション『ニダヴェリール』。
かつて火星クラスタから侵攻したVOIDによって破壊されたコロニーの残骸を再利用して作られました」
「え?」
ハンターの中から驚きの声が上がる。
無理もない。ハンターの中にはリアルブルー出身でコロニーを失った者もいるのだ。その者達がかつて住んでいた場所がニダヴェリールの一部となって生きている。
そうしたハンターもニダヴェリールを捉えて良いか迷ってしまう
「ニダヴェリールは単なる宇宙ステーションではありません。VOIDの侵攻を防ぐ盾として建造されてきました。
破壊されたコロニーから回収した反重力機関を複数搭載する事で、コロニーと同規模の大きさでありながら大気圏下や宇宙空間でも安定した飛行が可能となっております」
「失礼。盾と仰るからには、相応の防御力を誇ると考えてよろしいか?」
ハンターの一人が口を挟んだ。
「はい。ニダヴェリールには強力な反重力バリアを搭載しています。財団では今後大型VOIDの侵攻時にはニダヴェリールが盾となって軍の戦艦や地球への攻撃を防ぐ事も想定しています」
ニダヴェリールは宇宙ステーションというよりも、巨大な盾だ。
VOIDがいくら叩いても破壊できない鉄壁の盾を財団は作ろうとしているのだろうか。
「盾ですか。それは素晴らしいですが、その上で我々に何をして欲しいのでしょう?」
「それは……」
「ニダヴェリールを希望の象徴にしたい。その為の意見が欲しい」
ヴェルナーの問いに答えようとするユーキの代わりに、会議室へ入ってきたトモネ。
ユーキの代わりに答えを告げると自身に用意されていた椅子に腰掛けた。
「希望ですか」
「そうだ。ニダヴェリールは盾として人々を守る。だが、それだけではダメだ。
ニダヴェリールは人類の希望……そうならねばならん。
その為には、どうするべきなのか。皆の意見を聞きたいのだ。
このまま盾として更に強化するという意見でも構わん。率直な話が聞きたい」
ハンター達の意見を参考にして、ニダヴェリールを人々の希望の象徴とする。
それこそがトモネが考えていた事であった。
「希望ですか。これは難題ですね。人々が希望を寄せるには……」
ヴェルナーの言葉にトモネは耳を傾ける。
希望――ニダヴェリールは、ガラスの向こうで目覚めの時を待ちわびている。
肉体的にも、精神的にも傷は深い。
それが癒えるまでには時間を要する。
しかし、時間は有限――だからこそ、人は限られた時間の中で必死に足掻く。
少しでも前に進みたいから。
「ユーキ、『アレ』はどうなっている?」
エディンバラにあるムーンリーフ財団本部。
総帥のトモネ・ムーンリーフは、執務室の窓から外の風景を見つめていた。
いつもと変わらぬ光景。
同じように太陽が照らし、風は吹き抜けている。
平和の象徴にも見える光景だが、トモネの目にはそう映っていなかった。
一見平和そうな光景でも、その裏では誰かが失意の中で苦しんでいる。
今は、決して平和ではない。
平和のように見える光景の裏には、様々な負の感情が渦巻き、虚偽と欺瞞に満ちあふれている。
この世界に『本当の救済』はないのか――。
「計画通り順調に進んでおります」
「すまぬ。今から変更を加える事は可能か?」
「変更箇所にもよりますが……どのような変更をされるのでしょう?」
世話役兼補佐役のユーキ・ソリアーノは、敢えてトモネに詳細を問いかけた。
『アレ』が計画された時、多くの者が一笑に付した。
何度も馬鹿にされ、頓挫しかけながらも完成間近にまで漕ぎ着けた。
財団のすべてを注ぎ込んだ『アレ』に総帥は何をしようというのか。
そう考えていたユーキだが、トモネからは思わぬ言葉がもたらされる。
「分からぬ」
「はい?」
「今は分からぬ。これから彼らの意見を取り込みたいのだ」
「……!」
トモネの言葉の意味を、ユーキは少しの間を置いてから気付いた。
トモネは『アレ』の建造に際して強化人間失踪事件で充分な働きを見せたハンターの意見を取り入れようとしているのだ。
ハンター。
実績は既に多く積んでいる。その強さも経験も本物だろう。
VOIDを前に何度も戦ってきたハンターならば、『アレ』はさらに完成度を増すかもしれない。
――しかし。
「総帥。ハンターが如何に優れていても『アレ』は……」
「私はっ! 『アレ』を希望にすると決めた。『アレ』が希望となる為には、更なる改修が必要だ。不安を抱き、恐れる民を先導する希望。今、人類に必要なものはそれではないのか?」
トモネの言葉に熱が入る。
強化人間失踪事件を受け、トモネは傷付き悩んでいた。
それでも歩き続けるのは、ムーンリーフ財団の総帥として人々を導こうとしていたからだ。
希望。
トモネは、財団の力で人々の希望を作り出そうとしているのだ。
もう、子供達が傷付かないで済む世界を作る為に。
「案によっては工期の遅れもございましょう」
「致し方あるまい。すべては明日の未来の為だ」
「Yes, My Lord」
ユーキはトモネの指示を実行するべく、早々に準備へ入った。
●
クリムゾンウェストの連合軍宛にムーンリーフ財団から協力要請が来たのは、一週間も前の事だ。
リアルブルーの有力企業が、わざわざ世界を越えてクリムゾンウェストの連合軍に依頼をするのは前代未聞。だが、連合軍からすればリアルブルーでも高い技術力を持つ企業と繋がりを持つ事は悪い事ではない。
そこで連合軍は、ある人材を派遣する。
それは――クリムゾンウェストでも若くして要塞『ノアーラ・クンタウ』を任される有望な将官である。
「『ニダヴェリール』ですか。リアルブルーの技術に、私は恐ろしさを感じてしまいます」
ヴェルナー・ブロスフェルト(kz0032)は、建造中のニダヴェリールをガラス越しに見つめていた。
視界に広がる巨大な塔。
おそらく他の施設でも製造を行っている為、目の前にあるのはほんの一部なのだろう。
「私にはクリムゾンウェストの魔導技術の方が恐ろしく感じます」
「お褒めの言葉と受け取っておきます。では、早速ですがこちらへ呼ばれた理由を教えていただけますか?」
トモネに先んじてヴェルナーとハンターを会議室へ招待したユーキ。
時折、トゥールビヨンの腕時計を気にしている所を見れば、何かを待っているのだろうか。
ヴェルナーは未だリアルブルーへ招待された理由を聞いていない。
だが、ガラスの向こうに鎮座する『塔』に関する事だと予想できた。
「まずはこちらをご覧下さい」
会議室のスクリーンに映し出される説明文。
それはニダヴェリールの持つ機能の概要である。
全容は書かれていないが、そこには意外な一文が書かれていた。
その一文を、ユーキが読み上げる。
「大規模宇宙ステーション『ニダヴェリール』。
かつて火星クラスタから侵攻したVOIDによって破壊されたコロニーの残骸を再利用して作られました」
「え?」
ハンターの中から驚きの声が上がる。
無理もない。ハンターの中にはリアルブルー出身でコロニーを失った者もいるのだ。その者達がかつて住んでいた場所がニダヴェリールの一部となって生きている。
そうしたハンターもニダヴェリールを捉えて良いか迷ってしまう
「ニダヴェリールは単なる宇宙ステーションではありません。VOIDの侵攻を防ぐ盾として建造されてきました。
破壊されたコロニーから回収した反重力機関を複数搭載する事で、コロニーと同規模の大きさでありながら大気圏下や宇宙空間でも安定した飛行が可能となっております」
「失礼。盾と仰るからには、相応の防御力を誇ると考えてよろしいか?」
ハンターの一人が口を挟んだ。
「はい。ニダヴェリールには強力な反重力バリアを搭載しています。財団では今後大型VOIDの侵攻時にはニダヴェリールが盾となって軍の戦艦や地球への攻撃を防ぐ事も想定しています」
ニダヴェリールは宇宙ステーションというよりも、巨大な盾だ。
VOIDがいくら叩いても破壊できない鉄壁の盾を財団は作ろうとしているのだろうか。
「盾ですか。それは素晴らしいですが、その上で我々に何をして欲しいのでしょう?」
「それは……」
「ニダヴェリールを希望の象徴にしたい。その為の意見が欲しい」
ヴェルナーの問いに答えようとするユーキの代わりに、会議室へ入ってきたトモネ。
ユーキの代わりに答えを告げると自身に用意されていた椅子に腰掛けた。
「希望ですか」
「そうだ。ニダヴェリールは盾として人々を守る。だが、それだけではダメだ。
ニダヴェリールは人類の希望……そうならねばならん。
その為には、どうするべきなのか。皆の意見を聞きたいのだ。
このまま盾として更に強化するという意見でも構わん。率直な話が聞きたい」
ハンター達の意見を参考にして、ニダヴェリールを人々の希望の象徴とする。
それこそがトモネが考えていた事であった。
「希望ですか。これは難題ですね。人々が希望を寄せるには……」
ヴェルナーの言葉にトモネは耳を傾ける。
希望――ニダヴェリールは、ガラスの向こうで目覚めの時を待ちわびている。
解説
目的:ニダヴェリールに追加するべき兵器や機能について提案する。
概要:
大規模宇宙ステーション『ニダヴェリール』は、破壊されたコロニーを再利用して建造されている。だが、そのニダヴェリールの最大の特徴は『反重力バリア』と『反重力機関』にある。特に反重力バリアは財団が技術力を注ぎ込んだ機能だけあり、大型VOIDの攻撃にも耐えられるよう設計されている。
しかし、総帥のトモネはこれだけでは人々が希望の象徴と見るには不足と考えた。そこで実践経験も豊富なハンターにニダヴェリールが希望の象徴とされるに相応しい機能を提案するよう要請した。人々を守る盾に如何なる機能を持たせるべきか。
備考:
ハンターの皆さんの自由な発想でニダヴェリールに搭載するべき機能を提案して下さい。
提案内容は自由です。工期や費用は無視して、『こうすれば人々は安心するのでは?』『これなら人々は期待してくれるのでは?』『こんな兵器があればハンターが戦いやすいぜ』という率直な意見をトモネは待っています。
求められるのはただ強い兵器ではありません。
VOIDと戦う兵器だけでは持ち得ない、希望の象徴となるにはどうすれば良いか。
長くVOIDと戦ってきたハンターとして意見をお願いします。
概要:
大規模宇宙ステーション『ニダヴェリール』は、破壊されたコロニーを再利用して建造されている。だが、そのニダヴェリールの最大の特徴は『反重力バリア』と『反重力機関』にある。特に反重力バリアは財団が技術力を注ぎ込んだ機能だけあり、大型VOIDの攻撃にも耐えられるよう設計されている。
しかし、総帥のトモネはこれだけでは人々が希望の象徴と見るには不足と考えた。そこで実践経験も豊富なハンターにニダヴェリールが希望の象徴とされるに相応しい機能を提案するよう要請した。人々を守る盾に如何なる機能を持たせるべきか。
備考:
ハンターの皆さんの自由な発想でニダヴェリールに搭載するべき機能を提案して下さい。
提案内容は自由です。工期や費用は無視して、『こうすれば人々は安心するのでは?』『これなら人々は期待してくれるのでは?』『こんな兵器があればハンターが戦いやすいぜ』という率直な意見をトモネは待っています。
求められるのはただ強い兵器ではありません。
VOIDと戦う兵器だけでは持ち得ない、希望の象徴となるにはどうすれば良いか。
長くVOIDと戦ってきたハンターとして意見をお願いします。
マスターより
近藤豊です。
RHが終わった途端、空蒼が始まりました。強化人間失踪事件が残した傷は思わぬ形で残っています。不安にかられる人々を前に、トモネは財団の総帥として希望を生み出す決意をしました。ニダヴェリールは完成に近づいていますが、ハンターの皆さんの意見を受け、更なる改修を準備しています。
希望とは何か。人々を守るとは何か。
その実現に対する考えをプレイングにぶつけてみてはどうでしょうか?
それでは、焼きそばパンを肴にお待ちしています。
RHが終わった途端、空蒼が始まりました。強化人間失踪事件が残した傷は思わぬ形で残っています。不安にかられる人々を前に、トモネは財団の総帥として希望を生み出す決意をしました。ニダヴェリールは完成に近づいていますが、ハンターの皆さんの意見を受け、更なる改修を準備しています。
希望とは何か。人々を守るとは何か。
その実現に対する考えをプレイングにぶつけてみてはどうでしょうか?
それでは、焼きそばパンを肴にお待ちしています。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/06/28 07:51