※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。

「チィのあにい、ちょいとお聞きしてえことがあるんですが」
「……なんでえアン、お前さまが改まって珍しい」
　ハンターオフィスのカウンターを挟んで会話するのは辺境部族はズヴォー出身の受付嬢とハンターのアン=ズヴォーとチィ=ズヴォーの二人である。受付嬢とハンターなのだから、受付カウンターで会話していることにはなんら不自然では無いのだが。
「素麺って食ったことありますかい」
「素麺」
　内容は、依頼に関係あるような事では到底無さそうだった。
「まあ、食わせてもらったことならあらぁねえ」
「７月７日にですかい？」
「７月７日？　さあ、そりゃどうだったか」
「あー……そういやそう言うお人でしたねぃ、チィのあにぃは」
　さしたる批難の色はなく、納得はしたけど困った、という顔でアンが呟く。
　要するに。
「七夕に素麺を食う、ってえ風習を小耳に挟んだんですが、お聞き及びじゃねえっすかね？」
「いや、そりゃ聞いたことねえなあ……ていうかあれってそんな重要な食い物だったのかい？　なんかこの時期わりと『……暑いから素麺でいいか？』ってな感じで雑に出されてた感じあったけどねぃ」
　出してもらって文句ある訳じゃねえっすけどね、と補足しつつチィが答える。
　うーん、とアンは腕を組む。
　自由を謳うズヴォー族であるが、この二人の自由の在り方は異なるものだった。日付や習慣、流行というものに囚われたくないチィと、新しい文化や風習に抵抗がなく知らないことがあれば飛び込んで行きたがるアン。どちらが正しいというわけでもなく、そこら辺も含めて自由であり、相手を尊重するのが彼らである。
　話を戻すと、リアルブルーの日本、その一部地域において、どれくらいメジャーかは知らないが実際、七夕に素麺を食べるという風習は存在するようだ。
　古くは平安時代からある麺料理にまつわる言い伝えが由来だとか、織姫の糸になぞらえたとか天の川に見立ててとか言われているらしい。織姫と彦星にちなんで七夕に素麺を食べると恋愛運が上がるなんて話もあるそうだ。
　……というわけで。
「食べて見てえんですが。七夕に。素麺」
「食えば良いじゃねえかぃ」
「やっぱそうですかねぃ」
　そんなノリで。

　ハンターオフィスにて、七夕に素麺美食が追及されるの会が開催されることになったのだった。

というわけで七夕の日に皆で素麺を食べましょう。オフィス近場の広場を使ってアン=ズヴォーが主宰するそんな会。
今のところ彼女に流し素麺という知識は無いためその辺りの準備はないです。
素麺ばっかじゃ飽きるしアレンジレシピや差し入れも大歓迎。
ひたすらに美味しい素麺を追及するも良いでしょう。
七夕ですから、空を見上げてオーソドックスに願いを想うも良いでしょう。素麺食いながら。
ただ仲間内で楽しく過ごすのもいいですね。素麺食べつつ。
時刻は夕方から夜更けにかけてでしょうか。とりあえず素麺はそれなりに沢山ある。
NPCに関しては深く気にしなくても構いません。特に何もなければ描写外で勝手に楽しんでるでしょう。逆に言われりゃ凪池が出せるやつなら出しますが。

凪池です。実際のところどんくらい知られてるんですかねこの風習。凪池は「小さい頃に漫画で見た」だけで親とかからそんな話を聞いたり目の当たりにしたことはなかったりします。
まあそれはさておき、純粋にほのぼのまったりゆっくりと。そんな日はいかがでしょうか。色々動いていますが、一度何も考えずに息抜きしませんか。
なにせ次のシナリオはひょっとしたらわりとグリッといくタイプの。いや何でもないです。お砂糖MS凪池です。改めてよろしくお願いします。