ゲスト
(ka0000)
第四師団長、登場?~おばあちゃんと語る会
マスター:旅硝子

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/12/24 12:00
- リプレイ完成予定
- 2015/01/02 12:00
オープニング
――帝国第十師団の管轄都市『アネリブーベ』。
囚人の街にも、夜は訪れる。
獣脂のランプが独特の匂いを放ち、ゆらりと炎を揺らす中、アネリブーベの中枢『アネリの塔』の一室に、チン、とグラスを打ち合わせる音が響いた。
「おめでとう、と言っておきますわ、ユディ嬢」
ゆるりとグラスを傾ける2人の女の、1人は第十師団長ゼナイド(kz0052)。黒く塗った唇が、どこか優しげに笑む。
「ほほほ、ありがとうゼナイドちゃん。すまないわねぇ、こんなおばあちゃんの遅すぎる門出に、こんな良いワイン開けさせちゃって」
もう1人は、60は既に超えていようかという白髪の老女。リアルブルーのニホンという国から伝来したという着物の柄が、ランプの炎に照らされ揺れる。
その首には、囚人の証である首輪は付けられてはいない。けれどよく見れば、僅かに首を巡る痕が残っていた。
それは、それなりの年月、老女が囚人の首輪と共に過ごしたことを物語っている。
「構いませんわよ。美味しいワインは理由を付けて開けるに限りますわ。だって新しいのを取り寄せられますもの」
「まあ! 確かに、素晴らしい真理ねぇ」
王国から輸入したという血のような色のワインは、帝国で作られたものよりもずっと飲みやすく、コクがありながらまろやかだ。
「では、ベルトルードに着いたらあたしの奢りで、今度は同盟のワインを届けましょうかねぇ」
「楽しみにしてますわ! ま、海賊上がりの荒くれ者の世話に追われて遅くなっても構いませんけれど」
ゼナイドの言葉が終わるか終わらないかのうちに、おほほほほ、と楽しげな笑い声が響く。
「大丈夫よゼナイドちゃん。何せあたしは、人生で陸にいたより海にいた方が長い女ですからねぇ」
「あらそうでしたわね! だったら得意分野じゃなくって?」
「勿論よ」
今度は2つ、重なる笑い声。
それがふっと途絶え、ゼナイドは瓶の底に残ったワインを手酌で注いで一気に喉に流し込む。
「でも、ユディ嬢がいないと寂しくなりますわ」
「そうねぇ、でも今度会うときは同格だと思うと嬉しくもあってねぇ」
「生意気でしてよ? わたくしは師団長経験も、陛下を愛して愛して愛しまくって、挙句に壊して土下座させてヒールで頭を踏み潰して――ああん、たまりませんわぁ! な、気持ちは負けませんもの。あ、でも師団長経験はオズワルド様には負けますわね」
「あたし、ゼナイドちゃんのそういう言葉の前後が噛み合ってないところ結構好きよ」
「わたくしはユディ嬢じゃなくて陛下が好きって話ですのよ!」
地団太を踏んでいたゼナイドは、けれど途中でたまらず笑い出す。
それに重なる、老女の笑い声――彼女の名は、ユーディト・グナイゼナウ。
『ユーディトへ。第四師団長として、ベルトルードへ向かい着任するように』
62の齢を数えた老女が、それだけ書かれた簡素な、けれど重大な辞令を受け取った、その夜のことであった。
翌朝。
「……行ってしまいましたわね」
馬に乗ってユーディトが消えていった街道の向こうに視線をやり、ゼナイドはそっと目を細める。
隣にいたマンゴルトが、ふとその顔を覗き込んだ。
「寂しいかの?」
「寂しくありませんわ。そもそも勝手にわたくしの顔を覗き込まないで下さいましこのエロ頭!」
「エロ頭……」
「セクハラするツルツル頭の略ですわ」
マンゴルトが、困ったように何か言いかけたそのとき。
街道に、突如現れる影。蹄の音。
冷気を切ってこちらへ駆けてくるのは、ゼナイドがユーディトに贈った駿馬。新たな主の姿は背にはない。
「……そういえば、ユーディトは船で暮らした時代が長いから、乗馬が苦手だった、ような……」
マンゴルトの言葉に続くは、沈黙。
その間にゼナイドに駆け寄り、鼻面をすり寄せる駿馬。
「ああもうわたくしが送って行きますわ!」
「ま、待て待て! ベルトルードまで何日かかると思っておる、その間師団長の仕事は……」
「だったら誰か、親衛隊でも」
「しかし、第四師団長の立場として、他の師団の者に護衛を頼むというのは……」
「七面倒ですわね! だったら……そう、ハンター。ハンターに依頼しますわ。今すぐ。使いを出しなさい」
ゼナイドが振り向くと、さっと兵士の1人が膝を突く。
「緊急の依頼として、ユーディト・グナイゼナウの救出とベルトルードまでの護衛を。すぐにハンターを集めて……うちの備品の魔導車、ハンターとユディ嬢が乗れるサイズのを用意しますわ!」
――そして10分後には、最寄りのハンターオフィスにゼナイドからの依頼が貼りだされたのだった。
一方その頃。
「まぁ、馬に乗るのなんてもう50年ぶりだものねぇ、ちょっと調子に乗ってしまったわ……ほほほ」
着物の埃をぱたぱた払い、ユーディトはあっさりと言って肩を竦めた。
ちょっと馬の足を速めようとして暴走した馬からすっ転んだが、怪我はない。得物のトライデントも、咄嗟に引っ掴んで落ちたおかげで手元にある。
「けれど、ゼナイドちゃんから折角いただいたお馬さんを逃がしてしまったわ……ちゃんとゼナイドちゃんのところに戻っているといいけれど」
その願いは叶っているのだが、問題はベルトルードまでの道のりである。
アネリブーベに一旦戻った方が明らかに近いが、馬から落ちて戻って来たとか恥ずかしいし、ちょっと戻るのは面倒な距離だし。
――ベルトルードまでの距離は、面倒どころではないが。
「まぁいいわ、歩きましょう。街道沿いだし大丈夫よ」
そう言って身の丈以上の長さを誇るトライデントに身の回りの品を詰めた風呂敷包みを縛りつけて担ぎ、おばあちゃんはてくてくと歩き始めるのであった。
囚人の街にも、夜は訪れる。
獣脂のランプが独特の匂いを放ち、ゆらりと炎を揺らす中、アネリブーベの中枢『アネリの塔』の一室に、チン、とグラスを打ち合わせる音が響いた。
「おめでとう、と言っておきますわ、ユディ嬢」
ゆるりとグラスを傾ける2人の女の、1人は第十師団長ゼナイド(kz0052)。黒く塗った唇が、どこか優しげに笑む。
「ほほほ、ありがとうゼナイドちゃん。すまないわねぇ、こんなおばあちゃんの遅すぎる門出に、こんな良いワイン開けさせちゃって」
もう1人は、60は既に超えていようかという白髪の老女。リアルブルーのニホンという国から伝来したという着物の柄が、ランプの炎に照らされ揺れる。
その首には、囚人の証である首輪は付けられてはいない。けれどよく見れば、僅かに首を巡る痕が残っていた。
それは、それなりの年月、老女が囚人の首輪と共に過ごしたことを物語っている。
「構いませんわよ。美味しいワインは理由を付けて開けるに限りますわ。だって新しいのを取り寄せられますもの」
「まあ! 確かに、素晴らしい真理ねぇ」
王国から輸入したという血のような色のワインは、帝国で作られたものよりもずっと飲みやすく、コクがありながらまろやかだ。
「では、ベルトルードに着いたらあたしの奢りで、今度は同盟のワインを届けましょうかねぇ」
「楽しみにしてますわ! ま、海賊上がりの荒くれ者の世話に追われて遅くなっても構いませんけれど」
ゼナイドの言葉が終わるか終わらないかのうちに、おほほほほ、と楽しげな笑い声が響く。
「大丈夫よゼナイドちゃん。何せあたしは、人生で陸にいたより海にいた方が長い女ですからねぇ」
「あらそうでしたわね! だったら得意分野じゃなくって?」
「勿論よ」
今度は2つ、重なる笑い声。
それがふっと途絶え、ゼナイドは瓶の底に残ったワインを手酌で注いで一気に喉に流し込む。
「でも、ユディ嬢がいないと寂しくなりますわ」
「そうねぇ、でも今度会うときは同格だと思うと嬉しくもあってねぇ」
「生意気でしてよ? わたくしは師団長経験も、陛下を愛して愛して愛しまくって、挙句に壊して土下座させてヒールで頭を踏み潰して――ああん、たまりませんわぁ! な、気持ちは負けませんもの。あ、でも師団長経験はオズワルド様には負けますわね」
「あたし、ゼナイドちゃんのそういう言葉の前後が噛み合ってないところ結構好きよ」
「わたくしはユディ嬢じゃなくて陛下が好きって話ですのよ!」
地団太を踏んでいたゼナイドは、けれど途中でたまらず笑い出す。
それに重なる、老女の笑い声――彼女の名は、ユーディト・グナイゼナウ。
『ユーディトへ。第四師団長として、ベルトルードへ向かい着任するように』
62の齢を数えた老女が、それだけ書かれた簡素な、けれど重大な辞令を受け取った、その夜のことであった。
翌朝。
「……行ってしまいましたわね」
馬に乗ってユーディトが消えていった街道の向こうに視線をやり、ゼナイドはそっと目を細める。
隣にいたマンゴルトが、ふとその顔を覗き込んだ。
「寂しいかの?」
「寂しくありませんわ。そもそも勝手にわたくしの顔を覗き込まないで下さいましこのエロ頭!」
「エロ頭……」
「セクハラするツルツル頭の略ですわ」
マンゴルトが、困ったように何か言いかけたそのとき。
街道に、突如現れる影。蹄の音。
冷気を切ってこちらへ駆けてくるのは、ゼナイドがユーディトに贈った駿馬。新たな主の姿は背にはない。
「……そういえば、ユーディトは船で暮らした時代が長いから、乗馬が苦手だった、ような……」
マンゴルトの言葉に続くは、沈黙。
その間にゼナイドに駆け寄り、鼻面をすり寄せる駿馬。
「ああもうわたくしが送って行きますわ!」
「ま、待て待て! ベルトルードまで何日かかると思っておる、その間師団長の仕事は……」
「だったら誰か、親衛隊でも」
「しかし、第四師団長の立場として、他の師団の者に護衛を頼むというのは……」
「七面倒ですわね! だったら……そう、ハンター。ハンターに依頼しますわ。今すぐ。使いを出しなさい」
ゼナイドが振り向くと、さっと兵士の1人が膝を突く。
「緊急の依頼として、ユーディト・グナイゼナウの救出とベルトルードまでの護衛を。すぐにハンターを集めて……うちの備品の魔導車、ハンターとユディ嬢が乗れるサイズのを用意しますわ!」
――そして10分後には、最寄りのハンターオフィスにゼナイドからの依頼が貼りだされたのだった。
一方その頃。
「まぁ、馬に乗るのなんてもう50年ぶりだものねぇ、ちょっと調子に乗ってしまったわ……ほほほ」
着物の埃をぱたぱた払い、ユーディトはあっさりと言って肩を竦めた。
ちょっと馬の足を速めようとして暴走した馬からすっ転んだが、怪我はない。得物のトライデントも、咄嗟に引っ掴んで落ちたおかげで手元にある。
「けれど、ゼナイドちゃんから折角いただいたお馬さんを逃がしてしまったわ……ちゃんとゼナイドちゃんのところに戻っているといいけれど」
その願いは叶っているのだが、問題はベルトルードまでの道のりである。
アネリブーベに一旦戻った方が明らかに近いが、馬から落ちて戻って来たとか恥ずかしいし、ちょっと戻るのは面倒な距離だし。
――ベルトルードまでの距離は、面倒どころではないが。
「まぁいいわ、歩きましょう。街道沿いだし大丈夫よ」
そう言って身の丈以上の長さを誇るトライデントに身の回りの品を詰めた風呂敷包みを縛りつけて担ぎ、おばあちゃんはてくてくと歩き始めるのであった。
解説
●目的
第四師団長(ただし着任前)ユーディト・グナイゼナウを無事に保護し、ベルトルードまで護衛すること。
●アネリブーベとベルトルードについて
アネリブーベは帝都からほぼ真っ直ぐ北上した位置にあります。今回はアネリブーベで魔導車を借りて出発です。
ベルトルードは帝国の最南東にあります。こちらが目的地となります。
街道沿いに走って、夜は休んで休憩込みで1日半くらい。
この距離歩いて行くとか、おばあちゃんマジ正気の沙汰じゃないっすね。
●魔導車について
7人乗りの車。形としてはデカいクラシックカーです。
特に免許とかありませんが、一般スキルとかリアルブルーでの運転経験が役立つと思います。
かなり高価な品なので無茶な運転はしないでくださいね!
ちなみにアネリブーベに帰る描写はありません。車もたぶん第四師団の誰かが返しに行ってくれます。
●おばあちゃんについて
ユーディト・グナイゼナウ。62歳女性。疾影士。武器は身の丈を超えるトライデント(三又槍)。左腕に腕固定式のバックラー装備。
40年近く海賊やって来たおばあちゃんです。
街道をてくてく歩いているので合流するのは容易でしょう。
気さくなおばあちゃんなので質問にも答えてくれることが多いですが、10年間アネリブーベにいたので外の事情にはあまり詳しくなく、任地のベルトルード近隣についても10年前の知識です。
アネリブーベでも特に重要な役職にはいなかったので、突っ込んだ質問には答えられないと思います。ゼナイドさんとは個人的に酒飲んでますが。
適当なところで宿を取ることになりますが、そこはおばあちゃんがぽんと出します。ぽん。
手合わせとかも申し込まれたら喜んで受けます。強いです。師団長(予定)ですから。
●その他
ベルトルードに近付くにつれ治安がやや悪くなり、休憩中など盗賊が出る可能性があります。
覚醒者ではないので軽く捻ってやって下さい。
第四師団長(ただし着任前)ユーディト・グナイゼナウを無事に保護し、ベルトルードまで護衛すること。
●アネリブーベとベルトルードについて
アネリブーベは帝都からほぼ真っ直ぐ北上した位置にあります。今回はアネリブーベで魔導車を借りて出発です。
ベルトルードは帝国の最南東にあります。こちらが目的地となります。
街道沿いに走って、夜は休んで休憩込みで1日半くらい。
この距離歩いて行くとか、おばあちゃんマジ正気の沙汰じゃないっすね。
●魔導車について
7人乗りの車。形としてはデカいクラシックカーです。
特に免許とかありませんが、一般スキルとかリアルブルーでの運転経験が役立つと思います。
かなり高価な品なので無茶な運転はしないでくださいね!
ちなみにアネリブーベに帰る描写はありません。車もたぶん第四師団の誰かが返しに行ってくれます。
●おばあちゃんについて
ユーディト・グナイゼナウ。62歳女性。疾影士。武器は身の丈を超えるトライデント(三又槍)。左腕に腕固定式のバックラー装備。
40年近く海賊やって来たおばあちゃんです。
街道をてくてく歩いているので合流するのは容易でしょう。
気さくなおばあちゃんなので質問にも答えてくれることが多いですが、10年間アネリブーベにいたので外の事情にはあまり詳しくなく、任地のベルトルード近隣についても10年前の知識です。
アネリブーベでも特に重要な役職にはいなかったので、突っ込んだ質問には答えられないと思います。ゼナイドさんとは個人的に酒飲んでますが。
適当なところで宿を取ることになりますが、そこはおばあちゃんがぽんと出します。ぽん。
手合わせとかも申し込まれたら喜んで受けます。強いです。師団長(予定)ですから。
●その他
ベルトルードに近付くにつれ治安がやや悪くなり、休憩中など盗賊が出る可能性があります。
覚醒者ではないので軽く捻ってやって下さい。
マスターより
こんにちは、旅硝子です。
このたび帝国第四師団を担当することになりました。よろしくお願いいたします。
帝国第四師団は、ベルトルードとその周辺地域、そしてその近海を治めています。
帝国では珍しい、海軍を主体とした師団です。
そう、海軍です。
海戦です。
船です。
あと海産物もあったり、独特の農産物もあったりしますがその辺はおいおい。
とりあえず今回は第四師団長(予定)のおばあちゃんとの交流がメインです。
おばあちゃんとの道中を楽しんでいただければ!
どうぞよろしくお願いいたします!
このたび帝国第四師団を担当することになりました。よろしくお願いいたします。
帝国第四師団は、ベルトルードとその周辺地域、そしてその近海を治めています。
帝国では珍しい、海軍を主体とした師団です。
そう、海軍です。
海戦です。
船です。
あと海産物もあったり、独特の農産物もあったりしますがその辺はおいおい。
とりあえず今回は第四師団長(予定)のおばあちゃんとの交流がメインです。
おばあちゃんとの道中を楽しんでいただければ!
どうぞよろしくお願いいたします!
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/12/30 09:00
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談所 音桐 奏(ka2951) 人間(リアルブルー)|26才|男性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2014/12/22 13:37:06 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/12/20 09:20:36 |