ゲスト
(ka0000)
【陶曲】ゼンマイ仕掛けの災厄
マスター:KINUTA

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 3~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 6日
- プレイング締切
- 2018/07/16 19:00
- リプレイ完成予定
- 2018/07/25 19:00
オープニング
●とある昔話
昔々、1人の子供が犬のおもちゃを持っていました。
おもちゃには巻ネジがついていて、それを回すと動くことが出来ました。
毎日毎日子供はおもちゃの犬と遊びました。
それから何年かたった後、子供のもとに本物の子犬がやってきました。
そうしたら子供は、おもちゃの犬には見向きもしなくなりました。
おもちゃの犬は、本物の犬から噛まれたり振り回されたり埋められたり掘り出されたりし、ボロボロになっていきました。ゼンマイが切れ、動かなくなりました。
子供はおもちゃの犬を――ゴミとして捨ててしまいました。
それから何年もたった後、ラルヴァというおじいさんが町外れのゴミ捨て場に捨てられた犬のおもちゃを見つけました。
雨に打たれ風にさらされ錆だらけになった犬のおもちゃは、巻きネジだけがカタカタ動き続けていました。
「自我はあれど思考するに至らぬ段階か……よろしい、ではわたしがそれを与えてあげよう」
おじいさんはおもちゃの背中から、巻ネジを抜き取りました。
それを持って町のおもちゃ屋に行きました。
もう夜中でおもちゃ屋は閉まっていましたが、おじいさんが近づくと店の扉が音もなく開きました。
おじいさんは陳列棚からおもちゃの猫を手に取り、巻ネジを突き刺し、回します。
すると猫がパチパチ瞬きしました。
「あれ? ここはどこ? わたしは誰? あなたは誰?」
「私かい。私はラルヴァと言うんだよ。そしてキミは――」
●ポルトワール
各種ギルドや会社の本館、本社が立ち並ぶ通りの一角。白地に青十字の旗を掲げた建物がある。
それは、海運会社グリーク商会の本社だ。
今そこには、カチャ・タホを筆頭とするハンターたちが集まっていた。依頼主であるグリーク商会次期会長(実際的な権限は既に現会長から彼女に移っているとの説もあるが)ニケ・グリークから依頼内容の説明を受けるために。
「最近この近くの土地を買収したんです。事業の拡張のために。土地の所有者とは話が付いていたんですが。その土地を借りてビジネスをしておられる方が、どうしても立ち退きたくないと頑張っておられまして。私としてもあれこれ提案差し上げたんですが、どうも聞き入れてもらえませんで」
よくありそうな揉め事だなと思いつつカチャは、聞いた。
「所有者さんから話をしてもらったらどうですか?」
「それがね、所有者さんもその方に、あまり強くは言いたくないらしくて。私は言うべきだと思うんですがね。経営破綻しているのは事実なんですから」
「その人は、一体何の商売をしていらっしゃるんです?」
「孤児院の経営です。もとエクラ教会の神父さんでしてね。もうかなりのご高齢ですが」
「私たちに何をしてもらいたいと?」
「第三者の観点から、説得に加わってくれませんか? なるべく穏便に運びたいんですよ。可能な限りはね」
●偽物は嫉妬する
ぼくはぴょんきち。ぼくはうさぎ。
ラルヴァさまによると、ぼくの前にはモンキチというぼくがいたらしい。モンキチの前にはまた違うぼくがいて、その前にもまた違うぼくがいて、たくさんぼくがいたらしい。よく分かんないけど。
おもちゃのうさぎは本物のうさぎより優れている。
だって本物のうさぎはとんでもなく馬鹿で、とんでもなくもろい。
ぼくのように話をすることも出来ないし、ちょっと蹴ったら破れてぐちゃぐちゃしたものをはみ出させる。
こんなものを体の中に詰めているなんて、本物のうさぎ、ばっちい。
おもちゃのほうが上等だ。
ああ、生きてるものってなんて簡単に壊せるんだろう。生きてるものは皆下等だ。ぼくらの方が優れているんだ。
●災厄の訪れ
ポルトワール。
港沿いの通りには、一つの小さな孤児院がある。
しっくいの剥げた壁に囲まれた中にあるのは、遊具数点と飼育小屋のある庭。そして古ぼけた建物。
ここに収容されている子供たちは全部で10人。
現在彼らは建物の裏に固まり、真剣な顔で話し合っている。自分たちにはどうにも出来ない問題を。
「この孤児院がなくなっちゃうって本当なの」
「本当みたい。海運会社がこの土地を買うんだって。今日、この孤児院へ院長先生に話しをしに来るんだって」
「院長先生はここは絶対売らないから、心配しなくていいっていってたわ」
「何と言われようと孤児院は手放しませし閉鎖もしません。お引き取りください」
「しかしですね、このままでは成り立っていけませんでしょう。失礼ですが経営が赤字続きなのではなかったですか?」
「心配は無用です。私の貯金もありますし、寄付をしてくださる篤志家もおります。孤児院経営は商売とは違います。損する得するの問題ではない。エクラ様への信仰告白であり奉仕なのです」
白い髭を生やした院長は、どうにも頑固で手のつけようがなかった。なるほど善良にして高潔な「いい人」らしいが、現実に対処する手腕はからきしありそうにない。
外で激しく犬が吠え始めた。それを渡りに船と捕らえたか、院長は話し合いの席を立つ。
「すみませんが、ちょっと見てきますので……」
残ったニケは椅子の背に身をもたせ掛け、同席しているハンターたちにぼやく。
「私、どうにも宗教関係の方と相性が悪いんですよね」
院長の声が外から聞こえてきた。
「フラッシュ、何を騒いでいるんだ。静かにしなさい……」
次いで、立て続けの銃声が響いた。
子供たちはビクッと身を強ばらせる。
「……今の何の音?」
年長の子が年少の子に押されるようにして、恐る恐る足を進めた。
建物の前に回ってきてみれば、鉄臭さと生臭さが交じり合った匂い。
飼育小屋の近く、蜂の巣にされた犬と院長が血溜まりに転がっている。
その側にウサギがいた。
しかし本物のウサギではない。大きな巻ネジが背中についたおもちゃのウサギ。大きさは1メートルほどか。
それが作り物の目玉を動かし子供たちを見た。
『ねえ、きみたちもすぐ壊れる?』
ウサギの前面がばくりと割れた。黒光りする銃口が顔を覗かせる。
その時疾風のごとき勢いで、異変を嗅ぎ付けたハンターたちが場に飛び込んできた。
子供たちに体当たりし地面に伏させる。
固形化した負のマテリアルが銃口から飛び出し、カチャの右脇腹を貫通した。
痛みと熱さに加え、体の中を食い荒らされるような気持ち悪さが襲ってくる。
「おえっ……」
吐き気を催しそうになりながらカチャは、自ら弾の貫通した脇腹を押さえ、回復魔法をかけた。
しかし傷口はなかなか塞がらない。指の間からどんどん血が滲み出してくる。
(この感じ、どこかで……)
彼女はそこで気づいた。ウサギの背についている巻ネジが、以前致命傷を負わせてきた歪虚の背についていたものと、全く一緒であることに。
昔々、1人の子供が犬のおもちゃを持っていました。
おもちゃには巻ネジがついていて、それを回すと動くことが出来ました。
毎日毎日子供はおもちゃの犬と遊びました。
それから何年かたった後、子供のもとに本物の子犬がやってきました。
そうしたら子供は、おもちゃの犬には見向きもしなくなりました。
おもちゃの犬は、本物の犬から噛まれたり振り回されたり埋められたり掘り出されたりし、ボロボロになっていきました。ゼンマイが切れ、動かなくなりました。
子供はおもちゃの犬を――ゴミとして捨ててしまいました。
それから何年もたった後、ラルヴァというおじいさんが町外れのゴミ捨て場に捨てられた犬のおもちゃを見つけました。
雨に打たれ風にさらされ錆だらけになった犬のおもちゃは、巻きネジだけがカタカタ動き続けていました。
「自我はあれど思考するに至らぬ段階か……よろしい、ではわたしがそれを与えてあげよう」
おじいさんはおもちゃの背中から、巻ネジを抜き取りました。
それを持って町のおもちゃ屋に行きました。
もう夜中でおもちゃ屋は閉まっていましたが、おじいさんが近づくと店の扉が音もなく開きました。
おじいさんは陳列棚からおもちゃの猫を手に取り、巻ネジを突き刺し、回します。
すると猫がパチパチ瞬きしました。
「あれ? ここはどこ? わたしは誰? あなたは誰?」
「私かい。私はラルヴァと言うんだよ。そしてキミは――」
●ポルトワール
各種ギルドや会社の本館、本社が立ち並ぶ通りの一角。白地に青十字の旗を掲げた建物がある。
それは、海運会社グリーク商会の本社だ。
今そこには、カチャ・タホを筆頭とするハンターたちが集まっていた。依頼主であるグリーク商会次期会長(実際的な権限は既に現会長から彼女に移っているとの説もあるが)ニケ・グリークから依頼内容の説明を受けるために。
「最近この近くの土地を買収したんです。事業の拡張のために。土地の所有者とは話が付いていたんですが。その土地を借りてビジネスをしておられる方が、どうしても立ち退きたくないと頑張っておられまして。私としてもあれこれ提案差し上げたんですが、どうも聞き入れてもらえませんで」
よくありそうな揉め事だなと思いつつカチャは、聞いた。
「所有者さんから話をしてもらったらどうですか?」
「それがね、所有者さんもその方に、あまり強くは言いたくないらしくて。私は言うべきだと思うんですがね。経営破綻しているのは事実なんですから」
「その人は、一体何の商売をしていらっしゃるんです?」
「孤児院の経営です。もとエクラ教会の神父さんでしてね。もうかなりのご高齢ですが」
「私たちに何をしてもらいたいと?」
「第三者の観点から、説得に加わってくれませんか? なるべく穏便に運びたいんですよ。可能な限りはね」
●偽物は嫉妬する
ぼくはぴょんきち。ぼくはうさぎ。
ラルヴァさまによると、ぼくの前にはモンキチというぼくがいたらしい。モンキチの前にはまた違うぼくがいて、その前にもまた違うぼくがいて、たくさんぼくがいたらしい。よく分かんないけど。
おもちゃのうさぎは本物のうさぎより優れている。
だって本物のうさぎはとんでもなく馬鹿で、とんでもなくもろい。
ぼくのように話をすることも出来ないし、ちょっと蹴ったら破れてぐちゃぐちゃしたものをはみ出させる。
こんなものを体の中に詰めているなんて、本物のうさぎ、ばっちい。
おもちゃのほうが上等だ。
ああ、生きてるものってなんて簡単に壊せるんだろう。生きてるものは皆下等だ。ぼくらの方が優れているんだ。
●災厄の訪れ
ポルトワール。
港沿いの通りには、一つの小さな孤児院がある。
しっくいの剥げた壁に囲まれた中にあるのは、遊具数点と飼育小屋のある庭。そして古ぼけた建物。
ここに収容されている子供たちは全部で10人。
現在彼らは建物の裏に固まり、真剣な顔で話し合っている。自分たちにはどうにも出来ない問題を。
「この孤児院がなくなっちゃうって本当なの」
「本当みたい。海運会社がこの土地を買うんだって。今日、この孤児院へ院長先生に話しをしに来るんだって」
「院長先生はここは絶対売らないから、心配しなくていいっていってたわ」
「何と言われようと孤児院は手放しませし閉鎖もしません。お引き取りください」
「しかしですね、このままでは成り立っていけませんでしょう。失礼ですが経営が赤字続きなのではなかったですか?」
「心配は無用です。私の貯金もありますし、寄付をしてくださる篤志家もおります。孤児院経営は商売とは違います。損する得するの問題ではない。エクラ様への信仰告白であり奉仕なのです」
白い髭を生やした院長は、どうにも頑固で手のつけようがなかった。なるほど善良にして高潔な「いい人」らしいが、現実に対処する手腕はからきしありそうにない。
外で激しく犬が吠え始めた。それを渡りに船と捕らえたか、院長は話し合いの席を立つ。
「すみませんが、ちょっと見てきますので……」
残ったニケは椅子の背に身をもたせ掛け、同席しているハンターたちにぼやく。
「私、どうにも宗教関係の方と相性が悪いんですよね」
院長の声が外から聞こえてきた。
「フラッシュ、何を騒いでいるんだ。静かにしなさい……」
次いで、立て続けの銃声が響いた。
子供たちはビクッと身を強ばらせる。
「……今の何の音?」
年長の子が年少の子に押されるようにして、恐る恐る足を進めた。
建物の前に回ってきてみれば、鉄臭さと生臭さが交じり合った匂い。
飼育小屋の近く、蜂の巣にされた犬と院長が血溜まりに転がっている。
その側にウサギがいた。
しかし本物のウサギではない。大きな巻ネジが背中についたおもちゃのウサギ。大きさは1メートルほどか。
それが作り物の目玉を動かし子供たちを見た。
『ねえ、きみたちもすぐ壊れる?』
ウサギの前面がばくりと割れた。黒光りする銃口が顔を覗かせる。
その時疾風のごとき勢いで、異変を嗅ぎ付けたハンターたちが場に飛び込んできた。
子供たちに体当たりし地面に伏させる。
固形化した負のマテリアルが銃口から飛び出し、カチャの右脇腹を貫通した。
痛みと熱さに加え、体の中を食い荒らされるような気持ち悪さが襲ってくる。
「おえっ……」
吐き気を催しそうになりながらカチャは、自ら弾の貫通した脇腹を押さえ、回復魔法をかけた。
しかし傷口はなかなか塞がらない。指の間からどんどん血が滲み出してくる。
(この感じ、どこかで……)
彼女はそこで気づいた。ウサギの背についている巻ネジが、以前致命傷を負わせてきた歪虚の背についていたものと、全く一緒であることに。
解説
補足説明
これは突如現れた歪虚と戦うシナリオです。
犬と院長はすでに死んでいますので、放置してかまいません。
ぴょんきちは一定のダメージを食らうと逃げて行きます。今回は深追いをせず、子供たちを守ることを第一の目的としてください。
死者が出なければ成功です。
ハンターたちはカチャ同様、『依頼を受け孤児院に同行したところ、そこで事件に遭遇した』と言う形をとります。
従って戦う前に、ぴょんきちに対する情報を得ることが出来ません。
カチャはぴょんきちの前身であるモンキチと戦ったことがあるので、その特性等を知っています。
戦闘開始の後、彼女からその話を聞くことは可能ですが、ぴょんきちがその特性を丸々受け継いでいるかどうかは不明です。
ぴょんきちが撃ち出す弾丸は負のマテリアルで出来ています。それを食らうとBSがかかり、回復魔法の効きが極端に低下します。
戦闘開始時における大体の位置関係。
壁壁壁壁壁壁
■■■■■■■■■
■■■■◇■■■■
■■■■◎■■■■
■■■■☆■■■■
■■■■■■■■■
■■■■■■▼▽■
■小屋■■■■■■
■=(3m×3mの空間) ◇=子供たち ◎=ハンター ☆=歪虚のぴょんきち ▽=犬の死骸 ▼=院長の死体
戦闘開始時において、カチャ以外のハンターはダメージを受けていません。
ニケは屋内にいます。彼女は危険な状況だということを察していますので、戦闘中屋外に出てくることはけしてありません。
モンキチに関する情報を詳しく知りたい方は、「沈黙せよ鉄人」「アイテム返せ泥棒」「このダニ野郎が!」並びに【陶曲】タグのシナリオをご覧下さいませ。
これは突如現れた歪虚と戦うシナリオです。
犬と院長はすでに死んでいますので、放置してかまいません。
ぴょんきちは一定のダメージを食らうと逃げて行きます。今回は深追いをせず、子供たちを守ることを第一の目的としてください。
死者が出なければ成功です。
ハンターたちはカチャ同様、『依頼を受け孤児院に同行したところ、そこで事件に遭遇した』と言う形をとります。
従って戦う前に、ぴょんきちに対する情報を得ることが出来ません。
カチャはぴょんきちの前身であるモンキチと戦ったことがあるので、その特性等を知っています。
戦闘開始の後、彼女からその話を聞くことは可能ですが、ぴょんきちがその特性を丸々受け継いでいるかどうかは不明です。
ぴょんきちが撃ち出す弾丸は負のマテリアルで出来ています。それを食らうとBSがかかり、回復魔法の効きが極端に低下します。
戦闘開始時における大体の位置関係。
壁壁壁壁壁壁
■■■■■■■■■
■■■■◇■■■■
■■■■◎■■■■
■■■■☆■■■■
■■■■■■■■■
■■■■■■▼▽■
■小屋■■■■■■
■=(3m×3mの空間) ◇=子供たち ◎=ハンター ☆=歪虚のぴょんきち ▽=犬の死骸 ▼=院長の死体
戦闘開始時において、カチャ以外のハンターはダメージを受けていません。
ニケは屋内にいます。彼女は危険な状況だということを察していますので、戦闘中屋外に出てくることはけしてありません。
モンキチに関する情報を詳しく知りたい方は、「沈黙せよ鉄人」「アイテム返せ泥棒」「このダニ野郎が!」並びに【陶曲】タグのシナリオをご覧下さいませ。
マスターより
KINUTAです。
モンキチ改めぴょんきちが戻って参りました。
相変わらず根性が曲がっています。
モンキチ改めぴょんきちが戻って参りました。
相変わらず根性が曲がっています。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/07/24 00:48
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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【質問卓】 メイム(ka2290) エルフ|15才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2018/07/16 10:07:18 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/07/15 18:50:02 |
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相談卓だよ 天竜寺 詩(ka0396) 人間(リアルブルー)|18才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2018/07/16 19:27:54 |