ゲスト
(ka0000)
奪還! 恋人たちの聖地
マスター:青木川舟

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/12/27 07:30
- リプレイ完成予定
- 2015/01/05 07:30
オープニング
●ヒトの恋路を邪魔するモノは
宵闇に覆われた深い森の中。月光差し込む開けた空間。その中心にそびえるのは、民家ほどの高さがある巨石。それははまるで巨人が落としていった扇子のような形状をしていた。
明かりを手に、巨石の許へ小走りでやってきた少女は、扇子の下で待つ1人の青年の姿を確認し、ホッと頬を緩めた。同じく安心したような笑みを浮かべた青年は、少女が近寄ってくるにつれて、その表情に緊張の色を濃くしていく。
この場所には特別な意味があった。少女は、青年にここへ呼び出された時点で、その意味を理解していた。それでも彼女は、敢えて何も知らない風を装って青年に尋ねる。
「どうしたのユルバン、こんな時間に呼び出して」
「ぇあー……うん、その……俺、えっと……君に伝えたいことが――」
「うん。なに?」
青年は、己を落ち着かせようと目を閉じ、胸を押さえて大きく息を吐いた。少女は両腕を後ろ手に組んで、その様子を微笑ましげに眺めている。2人の視線が交差した。紅に染まる両者の頬が、青年が言わんとする言葉と、少女の返すであろう答えを、如実に語っていた。
青年が、意を決して前を向き、大きく息を吸う。
「俺、ずっと前から君のことが――」
彼の一世一代の言葉を遮ったのは、暗い森に俄かに響いた、がちゃがちゃという怖気の走るような気味の悪い音と、鼻の粘膜を焼け爛れさせるような抗い難い刺激臭だった――
●村最寄りのハンターズソサエティ支部
「このままじゃ僕、あの子にフラれちゃいますよ! 助けてください!」
情けなく泣き崩れる若者を、受付職員は宥めながら要件を尋ねる。
「化け物ですよ化け物! うちの村の近くに! なんとかしてください!」
若者はヨアンと名乗った。15、6歳くらいの癖っ毛の男子である。どうやら雑魔被害か何かのようだが、それがフラれることと何の関係があるのだろうか。職員は落ち着いたトーンを心がけつつ、順を追って話すようヨアンに頼んだ。
「うぅ……えっとですね……、うちの村の裏の森に『扇岩』って呼ばれてる大きな岩があるんです。謂れは分からないんですけど、なんか神聖なものだとかなんとかで昔から大切にされてました。そこが最近、男女の告白スポットになってるんですよ。村の若者は、異性に愛の告白をするとき必ず扇岩に相手を呼び出すんです。相手もそれは分かってますから、約束の時間に相手が扇岩のところへ来てくれたら告白はほぼ成功。そして自分の気持ちを告げて、承諾されれば晴れて正式に恋人同士に、という流れです」
なるほど、ここまではどこでもありそうな話だ。職員は相槌を打って続きを促す。
「それでですね、僕は遂に、昔から好きだった幼馴染のリュシーを扇岩に呼び出したんですよ。明後日の満月の晩に。もう今から心臓バクバクで死にそうなんですけど、それどころじゃないマズイことが起こったんです。僕の友達のユルバンが、昨日の夜、一足先に自分の想い人のフルールを扇岩に呼び出して、告白しようとしたんです。そしたらそこに扇岩よりも大きな化け物が現れて、2人に襲い掛かったらしいんですよ! 2人ともなんとか村まで逃げおおせたんですが、怪我もしていたし、何より告白を邪魔されたせいで、なんか微妙な雰囲気になっちゃってて……」
話が甘酸っぱい方向に傾きかけたので、職員はその『化け物』について詳しく尋ねた。
「えぇっと……2人は逃げるのに必死で、姿ははっきりと見ていないらしいんですが、とにかく『たくさんの足ががちゃがちゃ動いていた』とか『ものすごく臭かった』って言ってました。その後昼間に様子を見に行った村の大人たちによると、姿は確認できなかったけど臭い液体が残ってて『あの臭いはムカデだ』と……」
自身も田舎出身の職員はふむふむと頷いた。ムカデの放つ強烈な悪臭は独特で、敏感な人間なら臭いだけで周囲にムカデが居ることに気が付く程なのだ。
「でもそんなに大きなムカデなんて聞いたことないし、間違いなく化け物だって村は恐慌状態なんです! このままじゃ僕の告白はどうなっちゃうっていうんですか! せっかく勇気を出したのに……これが失敗したらもう立ち直れませんよぉ……!」
再びおいおいと泣き出す若者。職員は黙って彼の背をポンと叩いた。
宵闇に覆われた深い森の中。月光差し込む開けた空間。その中心にそびえるのは、民家ほどの高さがある巨石。それははまるで巨人が落としていった扇子のような形状をしていた。
明かりを手に、巨石の許へ小走りでやってきた少女は、扇子の下で待つ1人の青年の姿を確認し、ホッと頬を緩めた。同じく安心したような笑みを浮かべた青年は、少女が近寄ってくるにつれて、その表情に緊張の色を濃くしていく。
この場所には特別な意味があった。少女は、青年にここへ呼び出された時点で、その意味を理解していた。それでも彼女は、敢えて何も知らない風を装って青年に尋ねる。
「どうしたのユルバン、こんな時間に呼び出して」
「ぇあー……うん、その……俺、えっと……君に伝えたいことが――」
「うん。なに?」
青年は、己を落ち着かせようと目を閉じ、胸を押さえて大きく息を吐いた。少女は両腕を後ろ手に組んで、その様子を微笑ましげに眺めている。2人の視線が交差した。紅に染まる両者の頬が、青年が言わんとする言葉と、少女の返すであろう答えを、如実に語っていた。
青年が、意を決して前を向き、大きく息を吸う。
「俺、ずっと前から君のことが――」
彼の一世一代の言葉を遮ったのは、暗い森に俄かに響いた、がちゃがちゃという怖気の走るような気味の悪い音と、鼻の粘膜を焼け爛れさせるような抗い難い刺激臭だった――
●村最寄りのハンターズソサエティ支部
「このままじゃ僕、あの子にフラれちゃいますよ! 助けてください!」
情けなく泣き崩れる若者を、受付職員は宥めながら要件を尋ねる。
「化け物ですよ化け物! うちの村の近くに! なんとかしてください!」
若者はヨアンと名乗った。15、6歳くらいの癖っ毛の男子である。どうやら雑魔被害か何かのようだが、それがフラれることと何の関係があるのだろうか。職員は落ち着いたトーンを心がけつつ、順を追って話すようヨアンに頼んだ。
「うぅ……えっとですね……、うちの村の裏の森に『扇岩』って呼ばれてる大きな岩があるんです。謂れは分からないんですけど、なんか神聖なものだとかなんとかで昔から大切にされてました。そこが最近、男女の告白スポットになってるんですよ。村の若者は、異性に愛の告白をするとき必ず扇岩に相手を呼び出すんです。相手もそれは分かってますから、約束の時間に相手が扇岩のところへ来てくれたら告白はほぼ成功。そして自分の気持ちを告げて、承諾されれば晴れて正式に恋人同士に、という流れです」
なるほど、ここまではどこでもありそうな話だ。職員は相槌を打って続きを促す。
「それでですね、僕は遂に、昔から好きだった幼馴染のリュシーを扇岩に呼び出したんですよ。明後日の満月の晩に。もう今から心臓バクバクで死にそうなんですけど、それどころじゃないマズイことが起こったんです。僕の友達のユルバンが、昨日の夜、一足先に自分の想い人のフルールを扇岩に呼び出して、告白しようとしたんです。そしたらそこに扇岩よりも大きな化け物が現れて、2人に襲い掛かったらしいんですよ! 2人ともなんとか村まで逃げおおせたんですが、怪我もしていたし、何より告白を邪魔されたせいで、なんか微妙な雰囲気になっちゃってて……」
話が甘酸っぱい方向に傾きかけたので、職員はその『化け物』について詳しく尋ねた。
「えぇっと……2人は逃げるのに必死で、姿ははっきりと見ていないらしいんですが、とにかく『たくさんの足ががちゃがちゃ動いていた』とか『ものすごく臭かった』って言ってました。その後昼間に様子を見に行った村の大人たちによると、姿は確認できなかったけど臭い液体が残ってて『あの臭いはムカデだ』と……」
自身も田舎出身の職員はふむふむと頷いた。ムカデの放つ強烈な悪臭は独特で、敏感な人間なら臭いだけで周囲にムカデが居ることに気が付く程なのだ。
「でもそんなに大きなムカデなんて聞いたことないし、間違いなく化け物だって村は恐慌状態なんです! このままじゃ僕の告白はどうなっちゃうっていうんですか! せっかく勇気を出したのに……これが失敗したらもう立ち直れませんよぉ……!」
再びおいおいと泣き出す若者。職員は黙って彼の背をポンと叩いた。
解説
・扇岩について
村のジジババ世代からは守り神として、若者世代からは縁結びの神として崇められている巨石。村のすぐ裏手にある森に入り、道なりに15分程歩いたところにある。森は鬱蒼としており昼間も暗いが、岩の周囲約10メートルは樹木が無く、日光や月明かりが差し込む。棒で叩いた程度では傷も付かない硬い岩石だが、厚さが40センチメートル程しかないので強い衝撃を受けると破壊されてしまう可能性あり。
・敵について
ムカデ(?)型の雑魔。目撃情報による推定では全長約5メートル。今のところ目撃は1体のみ。扇岩周辺以外での目撃情報は無く、村を襲う様子も無い。吐いたと思われる臭い液体からは毒々しい臭気が立ち上っていた。『ムカデ臭』は扇岩に最も濃く残っており、この岩自体を縄張りにしている可能性がある。
・その他
今回の依頼主とその幼馴染について、近所に住む噂好きオバハンのコメント。
「えっ、あの2人ってまだ付き合ってなかったのかい? 誰が見ても両想いだからワタシゃてっきりとっくにくっついてるもんだと……まあそういうことなら、あとは切っ掛けだけなんじゃないのかねぇ」
村のジジババ世代からは守り神として、若者世代からは縁結びの神として崇められている巨石。村のすぐ裏手にある森に入り、道なりに15分程歩いたところにある。森は鬱蒼としており昼間も暗いが、岩の周囲約10メートルは樹木が無く、日光や月明かりが差し込む。棒で叩いた程度では傷も付かない硬い岩石だが、厚さが40センチメートル程しかないので強い衝撃を受けると破壊されてしまう可能性あり。
・敵について
ムカデ(?)型の雑魔。目撃情報による推定では全長約5メートル。今のところ目撃は1体のみ。扇岩周辺以外での目撃情報は無く、村を襲う様子も無い。吐いたと思われる臭い液体からは毒々しい臭気が立ち上っていた。『ムカデ臭』は扇岩に最も濃く残っており、この岩自体を縄張りにしている可能性がある。
・その他
今回の依頼主とその幼馴染について、近所に住む噂好きオバハンのコメント。
「えっ、あの2人ってまだ付き合ってなかったのかい? 誰が見ても両想いだからワタシゃてっきりとっくにくっついてるもんだと……まあそういうことなら、あとは切っ掛けだけなんじゃないのかねぇ」
マスターより
初めまして! 青木川舟と申します。
臆病な若者の一世一代の大告白。甘酸っぺぇなぁ。羨ましい。成功させてやりたいけれども邪魔物出現。さあどうする、って感じです。
ヨアンはヘタレの癖にシチュエーションなどに無駄にこだわる面倒な野郎なので、想定していた告白が出来なくなると心が折れちゃいそうです。まあ、言葉で直接、あるいは行動で間接的にでも、ちょっと背中を押してやれば覚悟を決められる程度には男気ある奴だと信じてますけれども。
何卒、皆さまのお力でコイツを男にしてやってくださいませ。
臆病な若者の一世一代の大告白。甘酸っぺぇなぁ。羨ましい。成功させてやりたいけれども邪魔物出現。さあどうする、って感じです。
ヨアンはヘタレの癖にシチュエーションなどに無駄にこだわる面倒な野郎なので、想定していた告白が出来なくなると心が折れちゃいそうです。まあ、言葉で直接、あるいは行動で間接的にでも、ちょっと背中を押してやれば覚悟を決められる程度には男気ある奴だと信じてますけれども。
何卒、皆さまのお力でコイツを男にしてやってくださいませ。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/01/06 06:57
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/12/23 12:16:27 |
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相談卓だよ 天竜寺 舞(ka0377) 人間(リアルブルー)|18才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2014/12/27 01:29:56 |