ゲスト
(ka0000)
いのちをあなたに
マスター:ことね桃

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 3~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/08/07 15:00
- リプレイ完成予定
- 2018/08/21 15:00
オープニング
●のこされたもの
「メルルが……そんな……」
帝国のハンターオフィスで待機していた少年・エレンは帰ってきたハンター達の報告を受けるとたちまち顔から色を失った。最愛の妹がアンデッドに連れ去られたのいうのだから無理もない話だ。
そこでフィー・フローレ(kz0255)がおずおずと口を開いた。
「エット……メルルガ契約者ナラ、歪虚カラ手荒ナ扱イハ受ケナイハズナノ。ソレニエレンガ生キテイルナラ、メルルノ心モ折レテイナイハズヨ。ソノ……エット……」
「……ありがとう、精霊さん」
気休めに過ぎない言葉だが、エレンは理性を取り戻したらしい。潤んだ目をシャツの袖で何度も拭うと、走り書きの報告書に目を通しはじめた。
一方でオフィスの職員はハンターが持ち帰ってきた「本」の解読を進めていた。
「こいつはメルル嬢が飲んでいる新薬を研究していた医師の研究記録だな。記録者の名前はソフィア・ヴィンケル。現在公式に発表されている薬の開発メンバーには存在しない名前だ」
「存在しない? 記録のために一時的に雇われていた人物ということ?」
「いや。先ほどその開発者のひとりに確認したんだが、ソフィアはこの新薬研究における第一人者だったらしい。ただし昨年の冬、研究に必要な薬草の採取に向かう道中で失踪したというんだ」
職員は首を傾げたハンターに解読の終わったページを差し出す。
研究初期のページは仲間と活発に交わされたであろう意見交換の記録や考察、帝国各地で確認された患者の治療データや診察のための巡回ルート、研究チームのみならず個人で行った実験記録までが整った字で細やかに記録されており、ソフィアという女がいかにこの研究に入れ込んでいたかが伝わってきた。
しかし、後半に突然ぷつりと記述が途切れる。新薬の完成に必要な薬草が判明したところで……べったりと赤黒い何かが紙面を覆っていたのだ。
ハンター達が戸惑い顔を上げると、職員が苦い顔で頷く。
「当時、その薬草が生える地域でタチの悪い歪虚が暴れていてな。同僚が何度も旅を控えるよう勧めたんだが、一刻も早く薬を完成させたいからと押し切ってしまったらしい。その後歪虚は討伐され、後発の研究者によって薬草も無事に採集されたものの、彼女の存在を示すものは何ひとつ見つからなかった。……つまりはこの本が初めて見つかったソフィア・ヴィンケルの遺物となるわけだな」
歪虚への恐怖心に勝る無謀なほどの情熱を持った女性が、覚悟していたといえど夢半ばにして命を絶たれる瞬間。その時、いかほどの恐怖と怒りと無念が彼女を襲ったのだろうか。――ハンター達は歪虚が生まれるプロセスを無意識に脳裏に描いた。
「……そのソフィア女史がどうなったのかは誰もわからないんですよね。でも、メルルがこれをハンターに託したことに大きな意味があると思います」
ひとりのハンターがぽつりと呟いた言葉に、仲間達は顔を見合わせては頷きあった。
●メルルの意志
『ねぇ、メルル。私の大切な本をどこに落としたの? あの本には患者の記録を書き込んでいたのよ。無くなると困るの。私はあの病をこの世から消さないといけないんだから』
「……」
ここはとある森にひっそりと存在する小さな狩猟小屋。
ソフィアを名乗る白衣の歪虚は椅子に座るメルルの耳元に優しく囁きかけた。しかしメルルの瞳に光はなく、ただ茫とした面持ちで黙り込んでいるだけだ。
『……いきなり言うことを聞かなくなって、私のもとから逃げ出して……困った子だわ。最初の支配はうまくいったのに……いいえ、もしかして私の支配に抗い始めたの?』
眉間に皺を寄せた歪虚がメルルの顔を覗き込むも、一向に反応はない。歪虚は困ったように笑い、毒々しい赤に彩られた指先をメルルの真っ白な手に重ねた。
『ねえ、メルル。私はあなたが大好きよ。自分のためではなく、誰かのために必死で生きようとしたその心……昔の私にそっくりで。私達、きっと良い姉妹になれると思うの』
歪虚の指は氷のように冷たい。メルルの肩が小さく震えるのを目に留めると、彼女は口元を薄い月のように吊り上げて歌うように語り始めた。
『さあ、これから私とどこまでも旅をしましょう。あの病で苦しんでいる人達全てに永遠の安らぎを与える救済の旅を。そして私達があの病をなくすだけでなく、生の苦しみと死の恐怖から世界を解き放つのよ。それにあなたのためにお友達をたくさん作ってあげる。きっと賑やかで楽しい旅になるわ』
その時、焦点の合わなかったメルルの瞳が歪虚の顔をゆるやかに捉え。小さな唇から言葉が漏れ出た。
「……いや……せんせいのすること……わるいことでしょ……?」
『ようやく口を開いたと思ったら、まだ抗うのね。いいわ、今度はもう少し違う精神支配をしてあげる』
メルルの返答に歪虚は吐き捨てるように言い放つと、深紅の瞳に怪しげな光を宿らせる。
メルルはかつてあるハンターから授けられたペンダントを縋るように握ったが――やがて、その手は力なく滑り落ちた。
●歩みはじめた歪虚と少女
ハンターオフィスで待機するハンター達とエレンのもとに新しい情報が入ったのは、陽が傾いてからのことだった。
「この町から北東にある街道で白衣を着た女と子供が歩く姿を見た商人がいるそうだ。……それと同時刻に街道周辺の森の木々を揺らす巨大な影を見かけたという不穏な情報も入っている」
職員がハンター達の前で白地図に赤鉛筆で問題のポイントを示す。即座にハンターのひとりが「本」を開いた。
「この道を進んだ先のひとつがソフィア女史の巡回ルートになっていますね。診療所のない過疎の村があり、患者が複数名いるようです」
その言葉に別のハンターが頷いた。
幸い、村は小さい丘にあり見晴らしが良い。早期に転移門を使い地の利を制するならば待ち伏せも可能だろう。
「……ン」
エレンに付き添うフィーがハンター達に申し訳なさそうな視線を送った。精霊は転移門を潜ることができない。同行できないことへの心苦しさがあるのだろう。
そこでハンターのひとりがフィーの柔らかな毛を撫でた。万が一の場合は頼むと言って。
――やがて次々と転移門の向こうに消えていくハンター達。その背にフィーとエレンはただひたすら無事を祈ることしかできなかった。
「メルルが……そんな……」
帝国のハンターオフィスで待機していた少年・エレンは帰ってきたハンター達の報告を受けるとたちまち顔から色を失った。最愛の妹がアンデッドに連れ去られたのいうのだから無理もない話だ。
そこでフィー・フローレ(kz0255)がおずおずと口を開いた。
「エット……メルルガ契約者ナラ、歪虚カラ手荒ナ扱イハ受ケナイハズナノ。ソレニエレンガ生キテイルナラ、メルルノ心モ折レテイナイハズヨ。ソノ……エット……」
「……ありがとう、精霊さん」
気休めに過ぎない言葉だが、エレンは理性を取り戻したらしい。潤んだ目をシャツの袖で何度も拭うと、走り書きの報告書に目を通しはじめた。
一方でオフィスの職員はハンターが持ち帰ってきた「本」の解読を進めていた。
「こいつはメルル嬢が飲んでいる新薬を研究していた医師の研究記録だな。記録者の名前はソフィア・ヴィンケル。現在公式に発表されている薬の開発メンバーには存在しない名前だ」
「存在しない? 記録のために一時的に雇われていた人物ということ?」
「いや。先ほどその開発者のひとりに確認したんだが、ソフィアはこの新薬研究における第一人者だったらしい。ただし昨年の冬、研究に必要な薬草の採取に向かう道中で失踪したというんだ」
職員は首を傾げたハンターに解読の終わったページを差し出す。
研究初期のページは仲間と活発に交わされたであろう意見交換の記録や考察、帝国各地で確認された患者の治療データや診察のための巡回ルート、研究チームのみならず個人で行った実験記録までが整った字で細やかに記録されており、ソフィアという女がいかにこの研究に入れ込んでいたかが伝わってきた。
しかし、後半に突然ぷつりと記述が途切れる。新薬の完成に必要な薬草が判明したところで……べったりと赤黒い何かが紙面を覆っていたのだ。
ハンター達が戸惑い顔を上げると、職員が苦い顔で頷く。
「当時、その薬草が生える地域でタチの悪い歪虚が暴れていてな。同僚が何度も旅を控えるよう勧めたんだが、一刻も早く薬を完成させたいからと押し切ってしまったらしい。その後歪虚は討伐され、後発の研究者によって薬草も無事に採集されたものの、彼女の存在を示すものは何ひとつ見つからなかった。……つまりはこの本が初めて見つかったソフィア・ヴィンケルの遺物となるわけだな」
歪虚への恐怖心に勝る無謀なほどの情熱を持った女性が、覚悟していたといえど夢半ばにして命を絶たれる瞬間。その時、いかほどの恐怖と怒りと無念が彼女を襲ったのだろうか。――ハンター達は歪虚が生まれるプロセスを無意識に脳裏に描いた。
「……そのソフィア女史がどうなったのかは誰もわからないんですよね。でも、メルルがこれをハンターに託したことに大きな意味があると思います」
ひとりのハンターがぽつりと呟いた言葉に、仲間達は顔を見合わせては頷きあった。
●メルルの意志
『ねぇ、メルル。私の大切な本をどこに落としたの? あの本には患者の記録を書き込んでいたのよ。無くなると困るの。私はあの病をこの世から消さないといけないんだから』
「……」
ここはとある森にひっそりと存在する小さな狩猟小屋。
ソフィアを名乗る白衣の歪虚は椅子に座るメルルの耳元に優しく囁きかけた。しかしメルルの瞳に光はなく、ただ茫とした面持ちで黙り込んでいるだけだ。
『……いきなり言うことを聞かなくなって、私のもとから逃げ出して……困った子だわ。最初の支配はうまくいったのに……いいえ、もしかして私の支配に抗い始めたの?』
眉間に皺を寄せた歪虚がメルルの顔を覗き込むも、一向に反応はない。歪虚は困ったように笑い、毒々しい赤に彩られた指先をメルルの真っ白な手に重ねた。
『ねえ、メルル。私はあなたが大好きよ。自分のためではなく、誰かのために必死で生きようとしたその心……昔の私にそっくりで。私達、きっと良い姉妹になれると思うの』
歪虚の指は氷のように冷たい。メルルの肩が小さく震えるのを目に留めると、彼女は口元を薄い月のように吊り上げて歌うように語り始めた。
『さあ、これから私とどこまでも旅をしましょう。あの病で苦しんでいる人達全てに永遠の安らぎを与える救済の旅を。そして私達があの病をなくすだけでなく、生の苦しみと死の恐怖から世界を解き放つのよ。それにあなたのためにお友達をたくさん作ってあげる。きっと賑やかで楽しい旅になるわ』
その時、焦点の合わなかったメルルの瞳が歪虚の顔をゆるやかに捉え。小さな唇から言葉が漏れ出た。
「……いや……せんせいのすること……わるいことでしょ……?」
『ようやく口を開いたと思ったら、まだ抗うのね。いいわ、今度はもう少し違う精神支配をしてあげる』
メルルの返答に歪虚は吐き捨てるように言い放つと、深紅の瞳に怪しげな光を宿らせる。
メルルはかつてあるハンターから授けられたペンダントを縋るように握ったが――やがて、その手は力なく滑り落ちた。
●歩みはじめた歪虚と少女
ハンターオフィスで待機するハンター達とエレンのもとに新しい情報が入ったのは、陽が傾いてからのことだった。
「この町から北東にある街道で白衣を着た女と子供が歩く姿を見た商人がいるそうだ。……それと同時刻に街道周辺の森の木々を揺らす巨大な影を見かけたという不穏な情報も入っている」
職員がハンター達の前で白地図に赤鉛筆で問題のポイントを示す。即座にハンターのひとりが「本」を開いた。
「この道を進んだ先のひとつがソフィア女史の巡回ルートになっていますね。診療所のない過疎の村があり、患者が複数名いるようです」
その言葉に別のハンターが頷いた。
幸い、村は小さい丘にあり見晴らしが良い。早期に転移門を使い地の利を制するならば待ち伏せも可能だろう。
「……ン」
エレンに付き添うフィーがハンター達に申し訳なさそうな視線を送った。精霊は転移門を潜ることができない。同行できないことへの心苦しさがあるのだろう。
そこでハンターのひとりがフィーの柔らかな毛を撫でた。万が一の場合は頼むと言って。
――やがて次々と転移門の向こうに消えていくハンター達。その背にフィーとエレンはただひたすら無事を祈ることしかできなかった。
解説
●目的
歪虚ソフィアの撃破
●戦場
過疎の村近郊にある墓地周辺
●状況
夕暮れどき、天候は良好
ハンター達は茂みに囲まれた旧い墓地まで前進しており、遭遇まで残り1分程度
敵は大型スケルトン×2が先行、かなり後方に歪虚ソフィアと契約者メルルが控えている
歪虚ソフィアは不利と判断した時点で逃亡を開始する
村とはある程度の距離があるため住民の避難活動は不要
●敵
○歪虚ソフィア
吸血鬼型歪虚。アンデッド使役能力と精神支配能力に長ける一方で、戦闘能力は低い。
攻撃手段はナイフによる近接攻撃のみ。
しかし1ラウンド消費して歌えば使役アンデッドや契約者の能力を3ラウンドの間、引き上げることができる。
また、1ラウンド消費して祈ることで5体までゾンビ(平均的なもの)を作り出すことが可能。
○契約者メルル
ソフィアと契約を結んだ人間の少女。
精神支配が強化されたため、ハンターとの戦いに躊躇なく臨む。
レベル15の格闘士と同じ程度の戦闘能力を有する。
攻撃は蹴り主体で「鎧通し」と「飛翔撃」に酷似した技を使用する。
ソフィアの歌の力を借り受けているため、歌っている間は自分の身体能力を引き上げることができる。
○大型スケルトン×2
ジャイアントの遺骨により作られたスケルトン。両者ともサイズ2(体長3m強)。
巨大な蛮刀を持ち、目の前の横3スクエアを薙ぐことが可能。
また、単体を力任せに投げ飛ばす(3スクエア任意の方向に移動+中ダメージ)こともできる。
ソフィアを守るべく、ハンターを阻む壁となる。
●登場NPC
フィー・フローレ
今回はオフィスでエレンとともに皆の帰りを待っています。
●質問について
確認したいことがございましたら質問卓を立ててお声かけください。
フィーができる範囲でお答えします。
受付は出発日前日の正午までとなりますのでご了承ください!
歪虚ソフィアの撃破
●戦場
過疎の村近郊にある墓地周辺
●状況
夕暮れどき、天候は良好
ハンター達は茂みに囲まれた旧い墓地まで前進しており、遭遇まで残り1分程度
敵は大型スケルトン×2が先行、かなり後方に歪虚ソフィアと契約者メルルが控えている
歪虚ソフィアは不利と判断した時点で逃亡を開始する
村とはある程度の距離があるため住民の避難活動は不要
●敵
○歪虚ソフィア
吸血鬼型歪虚。アンデッド使役能力と精神支配能力に長ける一方で、戦闘能力は低い。
攻撃手段はナイフによる近接攻撃のみ。
しかし1ラウンド消費して歌えば使役アンデッドや契約者の能力を3ラウンドの間、引き上げることができる。
また、1ラウンド消費して祈ることで5体までゾンビ(平均的なもの)を作り出すことが可能。
○契約者メルル
ソフィアと契約を結んだ人間の少女。
精神支配が強化されたため、ハンターとの戦いに躊躇なく臨む。
レベル15の格闘士と同じ程度の戦闘能力を有する。
攻撃は蹴り主体で「鎧通し」と「飛翔撃」に酷似した技を使用する。
ソフィアの歌の力を借り受けているため、歌っている間は自分の身体能力を引き上げることができる。
○大型スケルトン×2
ジャイアントの遺骨により作られたスケルトン。両者ともサイズ2(体長3m強)。
巨大な蛮刀を持ち、目の前の横3スクエアを薙ぐことが可能。
また、単体を力任せに投げ飛ばす(3スクエア任意の方向に移動+中ダメージ)こともできる。
ソフィアを守るべく、ハンターを阻む壁となる。
●登場NPC
フィー・フローレ
今回はオフィスでエレンとともに皆の帰りを待っています。
●質問について
確認したいことがございましたら質問卓を立ててお声かけください。
フィーができる範囲でお答えします。
受付は出発日前日の正午までとなりますのでご了承ください!
マスターより
こんにちは、ことねです。
今回は拙作「ぬくもりをあなたに」「きぼうをあなたに」と続いた物語の完結編をお送りいたします。
歪虚に魅入られた儚い少女はどのような結末を迎えるのでしょうか。
兄と妹が再会するためにはハンターの皆様のご協力が不可欠です。
ぜひぜひお力添えのほど、よろしくお願いします!
今回は拙作「ぬくもりをあなたに」「きぼうをあなたに」と続いた物語の完結編をお送りいたします。
歪虚に魅入られた儚い少女はどのような結末を迎えるのでしょうか。
兄と妹が再会するためにはハンターの皆様のご協力が不可欠です。
ぜひぜひお力添えのほど、よろしくお願いします!
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/08/26 15:42
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/08/04 21:19:41 |
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相談卓 通りすがりのSさん(ka6276) エルフ|18才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2018/08/05 11:53:07 |
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質問卓 通りすがりのSさん(ka6276) エルフ|18才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2018/08/03 15:11:11 |